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ネタバレ@サム/フロド 2

1萌えの下なる名無しさん:2004/06/01(火) 23:45
旦那のサム&サムの大事な旦那を語り合うスレです。
原作も映画もサムフロもフロサムも有りで
SSも萌え話もこちらでどうぞ。

■『萌える子馬亭』の約束(必読)■SS投稿時には必ずお読み下さい。
http://0024.hiho.jp/pony/fellowship_rule.html

■前スレはこちら(過去ログ倉庫)■
http://0024.hiho.jp/pony/last_log/index.html

77萌えの下なる名無しさん:2005/12/27(火) 23:33:21
サムフロなんですが、かなり妄想というか捏造が入っているので
お許し下さい。
しるけ無しです。


(1/3)
「フロド様、フロド様、フロド様」

遥かに続くトル・エレスセアの白い海岸を、泣きじゃくりながら駆けてゆくホビットの
後ろを、テレリ族の水夫が困りきった顔で追って行く。 
航海の間、ひどく緊張し落ちつかない様子に、定命の身の脆さと儚さを心配していたが
陸に着いた途端、その小さな身体に確かな変化が訪れた。
エルフの手を借りてやっと地面に降り立った、老いて緩慢な動きだった両足が、まるで
小兎の様に跳ね出して、ただ一つの名前を泣き叫びながら走り出したのだ。
「フロド様、フロド様、来ましただ、貴方のサムが来ましただ、フロド様」
まるで親鳥を探して嘆く雛の様だ。
潮風に乗る鳥達の他、動く影のない砂丘に何度も足を捕られ、柔らかな砂を蹴り散らし
ながら進む姿に、無理にでも休ませた方が良いのではと思ったが、あれ程激しく一途な
感情に戸惑い、小さな身体を止める事は出来なかった。
かといって放っておくわけにもいかず、砂浜に残された足跡をおろおろと辿って付いて
ゆくしかなかった。
東から還って来た同胞ほど知識はないにせよ、水夫はこの土地でホビットと言う種族を
直接知る数少ないエルフだったが、イメージとは違う生物に戸惑っていた。
以前も小さい人を実際に紹介された時まで、歌われる輝かしい功から、猛々しい武人を
想像していた水夫は見事に裏切られた。

そっと首を傾げた白い横顔は、まるで綻び始めた待雪草の蕾のごとく清楚で愛らしく、
穏やかで何処か寂し気な微笑みに、胸が痛くなった憶えがある。
そして、この静かで深い海の色の瞳を持った……

「フロド様!」
暖かな砂浜の上を転がり落ちるように、こちらに駆け寄ってくる知己に、エルフは目を
見開いて驚いた。
新しくやって来たホビットと同じように、顔をくしゃくしゃにして泣きながらフロドは
腕を広げた。
この浄福の地で始めて見る、指輪所持者の涙だった。

78萌えの下なる名無しさん:2005/12/27(火) 23:35:05

 



(2/3)     
「サム!サム!」
二人して夢中でぶつかった勢いに、サムとフロドはどさりと砂丘に倒れ込み、そのまま
固くきつく抱き締めあった。
「フロド様、おら、おら、来ましただ」
「うん、うん、待っていたよサム」
しゃっくりをあげてばかりで、ほとんど声になっていなかったが、それでもお互いの
言いたい事は伝わっていた。
強く背中に回された腕の確かさに、更に涙が溢れてきた。
「サムやサムや、ああ、顔を、顔を見せておくれ」
幾分か白の混じった、しかしそれでも暖かな色合いの巻き毛を何度も撫で上げながら、
フロドは頼んだが、サムは主人の肩から顔を上げる事が出来なかった。
もう一瞬でも離れるのが恐ろしかった。
「お会いしたかった、フロド様」
稀代の名庭師として、七度庄長を勤め上げたホビット庄の有力者として、西方世界の
勇者サムワイズ・ギャムジーとして、長い年月欠ける事の無い一つのものとして
暮らしてきても、彼の求める場所はフロドの傍らにあった。
「お前がここに一緒にいてくれて嬉しいよ」
懐かしい言葉にやっと顔を上げて、主人とまじまじと見つめあうと、変わる事のない
ふくよかな頬を優しく摘まれた。
「そうですだ、旦那のお側にはおらがいますだ」
「うん、うん」
不意に押さえきれない笑いが、甘雨の嵐の後のサムとフロドを襲った。
「ああ、おら、海を渡ってきちゃいましただ!おら達の物語がまた始まるんですね?」
「そうさ!さあ、私と一緒においで!」
すっかり砂塗れになった自分達の格好に大笑いしながら、手を繋ぎ寄り添って丘を登る
二人の姿を、太陽の光が優しく包み込んできらきらと輝かせていた。
「本当に綺麗な所ですねぇ、さすがエルフの故郷ですだ」
「お前の作る庭には適わないけどね、さあ早くおいで!ビルボが待ちくたびれちゃうよ」
素早くサムの頬に口付けると、庭師の腕から逃れ走り出した。
「フ、フロド様!」

79萌えの下なる名無しさん:2005/12/27(火) 23:39:58





(3/3)
ホビットの再会を邪魔にならぬ様に、離れて佇み眺めていた水夫の目が、愛おしさと
切なさに細められた。
長く生きるうちに何時しか、情熱を胸の奥に仕舞いこんでしまっていた自分には、
熱く眩し過ぎる光景だった。
彼はそっと踵を返して、新しい住人の為に開く盛大な宴を、手伝う為仲間の元へ急いだ。
そしてその後は、久しぶりに妻の所にでも顔を出そうと思っていた。
エルフにとっても、この世界にはまだ十分に美しいもの驚くもの、そして愛すべき
ものが在るのだから。 





おまけ
「やれやれ、サム、お前やっぱりフライパン持ってきたんだ」
「ちゃんと特別な塩も有りますだよ」
「ふふ、ここでは食べ物の心配は一切いらないよ、何でもおいしくってねぇ
惜しむ事は、パイプ草が見当たらない事ぐらいだよ」
「もちろん長窪印を、持てるだけ持って来ましただよ!」
「ああ有難う嬉しいな、でもチビチビ吸わなきゃ、どれくらいもたせられるだろう」
「安心して下さい!ちゃんとパイプ草の追加は頼んでおいて来ましただ」
「追加だって?誰に?」
「レゴラスの旦那です!なんでも旦那が言うにゃあ『ギムリの為にね、船は一艘
余計に作ってパイプ草とビール樽専用にするつもり、もちろん君達の分も有るからね。
宝石と金とミスリルも、後何持っていけばいいかしら、ドワーフを海に引っ張り出す
のって大変』なんだそうです」
「…………相変わらずなんだね、あの二人」

お粗末様でした


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