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ネタバレ@サム/フロド 2

77萌えの下なる名無しさん:2005/12/27(火) 23:33:21
サムフロなんですが、かなり妄想というか捏造が入っているので
お許し下さい。
しるけ無しです。


(1/3)
「フロド様、フロド様、フロド様」

遥かに続くトル・エレスセアの白い海岸を、泣きじゃくりながら駆けてゆくホビットの
後ろを、テレリ族の水夫が困りきった顔で追って行く。 
航海の間、ひどく緊張し落ちつかない様子に、定命の身の脆さと儚さを心配していたが
陸に着いた途端、その小さな身体に確かな変化が訪れた。
エルフの手を借りてやっと地面に降り立った、老いて緩慢な動きだった両足が、まるで
小兎の様に跳ね出して、ただ一つの名前を泣き叫びながら走り出したのだ。
「フロド様、フロド様、来ましただ、貴方のサムが来ましただ、フロド様」
まるで親鳥を探して嘆く雛の様だ。
潮風に乗る鳥達の他、動く影のない砂丘に何度も足を捕られ、柔らかな砂を蹴り散らし
ながら進む姿に、無理にでも休ませた方が良いのではと思ったが、あれ程激しく一途な
感情に戸惑い、小さな身体を止める事は出来なかった。
かといって放っておくわけにもいかず、砂浜に残された足跡をおろおろと辿って付いて
ゆくしかなかった。
東から還って来た同胞ほど知識はないにせよ、水夫はこの土地でホビットと言う種族を
直接知る数少ないエルフだったが、イメージとは違う生物に戸惑っていた。
以前も小さい人を実際に紹介された時まで、歌われる輝かしい功から、猛々しい武人を
想像していた水夫は見事に裏切られた。

そっと首を傾げた白い横顔は、まるで綻び始めた待雪草の蕾のごとく清楚で愛らしく、
穏やかで何処か寂し気な微笑みに、胸が痛くなった憶えがある。
そして、この静かで深い海の色の瞳を持った……

「フロド様!」
暖かな砂浜の上を転がり落ちるように、こちらに駆け寄ってくる知己に、エルフは目を
見開いて驚いた。
新しくやって来たホビットと同じように、顔をくしゃくしゃにして泣きながらフロドは
腕を広げた。
この浄福の地で始めて見る、指輪所持者の涙だった。


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