したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

救命天使・りたリン♥

124たべごろアト脳内:2004/03/14(日) 11:58 ID:l7w.udVQ
>>122乙!
>>116
勿体無いお言葉です…
>>117
何で漏れがアタマワルイの知ってんだyo!!

125名もなき股裂き人形:2004/03/14(日) 23:16 ID:N77ATa4k
こんなのりたリン♥じゃ無いやい

そのころ僕達はそれがこの世界の真実だと信じていた…

126名もなき股裂き人形:2004/03/16(火) 18:37 ID:g2pxsC0U
        ∬  ∬∫  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     _______( ・∀・)<  まだー?
     \回回回回回/⊂ ⊂_)__\_______
     /\___/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
     |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄::| :|
     |                  :|/

127名もなき股裂き人形:2004/03/18(木) 00:40 ID:W7ncbUPU
 ヽ ├─────┐
|エエエ| l l l l l l l l  ┝━(´ρ`;)──
ヽ  ├┴┴┴──┘

128あおがえる。 </b><font color=#d9a366>(LIMECkW6)</font><b>:2004/03/20(土) 00:25 ID:Yo67R0Zk
おまいら、りたリン&hearts;さんの3サイズが判明しましたよ。
ttp://www.magiccity.ne.jp/D_NAVI/DRC/link.cgi
…投稿したのは自分ですけどね。

ハッキリ言ってヒップがバストより大きいです(爆
だって、「むっちりとした太もも」のイメージが強くて…

129名もなき股裂き人形:2004/03/20(土) 11:37 ID:VRol5wgY
キタ━━━━(♥∀♥)━━━━!?!?
私事で恐縮ですがもう来れません。
>>1よ、そうだお前だ。客一人減ったよ?
>>1さんさよなら

130名もなき股裂き人形:2004/03/20(土) 12:44 ID:L3BhgrsA
 ∬∫ ∧_∧ ∬
___( ・∀・)<いーいもんだな〜
\    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
  \回回回回回/
   \___/

131名もなき股裂き人形:2004/03/21(日) 08:23 ID:I.U.7PDI
そんなことよりも…蛙さん…(´Д`)ハアハア

132:2004/03/21(日) 16:10 ID:CQCirDhc
お待たせ致しました。遅くなって御免なさい…
投下、開始

133帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:11 ID:CQCirDhc
 雲一つなく晴れ渡ったある日、救命天使・りたリン&hearts;は、大都会の副都心に一際高くそびえ立つ、
摩天楼の屋上に立って下界の四方を見渡していた。
 無論、彼女の使命を果たすためである。その使命とは、肩に力を入れすぎて自らを追い込んでいく
人間に、心の平安へと通じる希望の道を指し示すことにあった。特に切羽つまった人間を探し出す上
で、摩天楼の屋上は見晴らしが良く、何かと都合がいい。特に今回は対象となる人物が予め決まって
いたので、その波動を探す必要があった。
 頭に戴くナース帽を吹き荒ぶビル風に攫われまいと、ナース服の色をやや濃くしたようなピンクの
ショートカットを、りたリンは手で押さえつけた。背中の白い羽も、風に煽られて折れないよう小さ
く畳まれている。
 「さてと。こんなに太陽が眩しかったら、人によっては生きるのが辛くなるかもしれないな」
 りたリンはそう云って、街行く地上の星達を眺めてみた。
 オールバックのスーツ姿、モヒカン刈りに黒い皮ジャン、ジーンズにサングラス、そしてゴスロリ。
 どの顔もまるで余裕がなく、リングイン直前の長州を思わせるような殺気を放っている。噴水や鳩、
店の呼び込みに浮浪者と、豊かな顔ぶれを見せる往来の風景に毛筋ほども関心を寄せない。
 背の低い白髪の中年男性が往来のど真ん中に立ち、キーボードでゆったりとした音楽を流していた
が、その曲に込められたメッセージは誰の心にも届いていなかった。キーボード奏者めがけてトラッ
クが突っ込んで行き、白髪の彼は鍵盤を放り投げて逃げ去った。
 「これじゃいつ誰が追い込まれても、不思議じゃないわね」
 りたリンは風に乗って吹き上がる音楽に少し酔いながらも、大きな不安と絶望とを抱かずには居ら
れなかった。蟻の如き人間たちから目を離すと、今度は大きな四角い函の群れが飛び込んで来た。
 群がる寒色系の建物は、中に取り込んだ人間をただの部品へと確実に変える機能を持っているのだ
ろう。機械は一個の目的を遂行するためにのみ存在する。ならばそこに取り込まれた人間も、立ち止
まって周囲を顧みる余裕を無くして行くのは当然である。一体こんな無機的な街並を、誰が創り上げ
たのだろうか。
 「それが嫌で逃げ出しても、世間じゃ弱虫としか言わないんだもんね」
 りたリンはぶつくさと呟きながらも右、左と四角い函を見渡した。その時である。
 濃桃色の髪の下で大人しく垂れていた彼女の茶色い耳が、唐突にぴんと張り詰めた。

134帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:11 ID:CQCirDhc
 生という樹海に迷い込み、脱出できなくなった人間の波動を捕らえたのである。彼女自身は目標を
察知する耳の機能を、りた&hearts;アンテナと呼んでいた。
 立ち上がった耳を獣のように器用に動かして、りたリンはその波動を探った。やがてその動きは一
点で止まる。彼女のいた地点から西北西に約2キロメートル、地上16メートル弱の地点であった。
 「あっちね。ちょっとずれちゃったけど、飛べない距離でもないし」
 りたリンは背中の白い羽を目一杯に展開し、追い風を受けて空を舞った。

 ――どうしてどうして私は、こんな風になってしまったのだろう。
 前田明は一フロアまるごと開放された事務所で、生き生きと動く新入社員を横目に、後ろ向きな
言葉を頭の中にリフレインさせていた。
 机に山と積まれた書類に、ほとんど手を付けられない。ほんの一月前までは、精々二時間の残業
で片付けられた分量なのに、それが出来なくなっている。社内でそれなりに出世もしたが、当然そ
れには責任と義務が伴っていた。
 ――そんなことは分かっていたはずなんだ。
 「…の件ですが、先方にもお詫びした方がいいと思うんですが」
 ふと前田が我に帰ると、目の前には贅肉のない聡明な若者が、紺のスーツを着こなして立っていた。
つい二三年前までは報告書の書き方も知らなかった子供だったのに、彼はもう勤め人姿が板に付いて
いる。私もその分歳を食ったのかと空恐ろしい気分になりながら、前田は曖昧に返事した。
 「ああ…いいんじゃないか」
 青年は訝しんだ様子で、念のため先程の話を繰り返した。
 「大丈夫ですか部長。中国での塩ビ増産が追い付かなくて、契約通りに先方へ供給できないって話
なんですけど。課長に相談した結果、担当の僕から直接部長に事情を話すことになったのですが」
 ――それほど重大な話をしてたのか。なのに聞いていなかっただなんて
 前田は内心で自分の迂闊さに愕然としながら、心の動きを悟られぬよう軽い口調で答えた。
 「北米はどうなってるんだ?少々高くてもいいからそこから仕入れたまえ。上手くすれば期限内に
納入できるだろうから、謝るのはまだ早いよ。得意先と切れたら、それこそ我が社の死活問題だ。」
 青年はまだ不安そうな顔で、前田に問い掛けた。
 「足出たら資材(ウチ)の責任問題ですかね?やだなぁ、ボーナスカットは」
 どうやらこの青年にとって当面の心配事は、前田の心理とは関係ないらしい。胸を撫で下ろしなが
ら、前田は笑顔を作り上げて優しい口調で説明した。
 「足まで出る事はないよ。それに万一出た所で、我々は経営陣の決めた方針に従って動いたんだ。
これで営業が責任取らされるなら、私はこの会社をすぐにでも辞めるよ。」
 じゃ課長にも話してすぐやりますと言い残し、青年は彼の前を去り自分のデスクへと戻って行った。

135帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:12 ID:CQCirDhc
 青年には威勢のいいことを喋ってしまったが本当は――
 私は職場に居辛いのだ。
 入社した当初は確かに、仕事に情熱を注いでいた。同期入社の奴らは掛け替えのない友人だが、仕
事でもそうだとは限らない。
 若手時代は、使えない企画書を上に持って行こうとした開発部の同期を皆に隠れて罵倒した事もあ
る。そいつは一週間後泣きそうな顔をして職場を去った。めげずに頑張っていれば、今でも良き友と
して一緒に仕事できた事だろう。
 課長補佐時代には営業畑も勤め上げたが、その時は無駄で違法な経費を使いまくった挙句に得意先
から逃げられた無能な課長を、経理部と組んで追放した事もある。彼はウチの子会社で、庶務課長の
まま定年を迎えたらしい。
 そうやって会社に徒為す人間を、次々に蹴落としていった。正しい事をしたと思っているし、実際
その度に出世して行ったのだから、傍目にも正しい事だと認められて来たのである。
 だが一月半前、私はある手術を受ける破目になった。それが契機だった。
 私は心のどこかで死を覚悟したものだが、近年目覚しく発展した医療によって事なきを得た。私は
術創が癒えると無理を押して退院し、目出度く職場復帰した。
 今にして思うと、我ながら随分と無理を押したものだ。会社に復帰する、私がいなければ会社が持
たない、その一念だけで復帰してみたのだが――
 私がいなくとも、会社には何の悪影響もなかった。皆が私の入院前と同じ、生き生きした表情で働いている。
 私は壊れた。
 以後、体力の低下もあって仕事の効率も恐ろしく落ちた。何とか営業部を束ねる役割は果たせてい
るものの、以前の私を知る者は、凡庸な部長と成り果てた私を蔭で笑っているに違いない。
 さっきの青年にしても、豊耳皇子と渾名された嘗ての私を知る一人だ。
 私の前ではいい子ぶっていたが、内心では「部長も堕ちたものだ」と思っているに違いない。彼だ
けではない、おそらく営業スタッフや同期の総務部長もそう思っている。
 だからといって今更会社を辞められるものか。精力溢れていた半年前の私ならともかく、今の私を
拾ってくれる酔狂な企業など、このご時世にある訳がない。白髪の目立ち始めた妻と、幼稚園に通う
絵の大好きな子供に負担を掛けさせる事はできないのだ。
 本音を云えば、確かに辛い、苦しい、逃げ出したい、日に何度もそんな重苦しい気分に支配されている。
 しかし衰えたといえど、私には部下の監督責任という仕事が出来るのだ。断じて逃げる訳には行かない。
 断じて――
 無意識に髪を掻き毟ると、以前より格段に増えた抜け毛が爪の間に絡みついた。

136帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:12 ID:CQCirDhc
 ビルの外で月が昇り日が沈んだ頃、前田はフロア全体に聞こえるよう出来るだけ大きな声で挨拶した。
 「では私は帰るが、何かあったら連絡するように。すぐ行くから」
 「ゆっくりお休みになって下さって結構ですよ部長。昼間はありがとうございました。塩ビの件も
何とか片付きそうですし、お蔭さまで僕が課長に迷惑を掛ける事もないでしょう。ブチレンゴムも僕
と課長で根交渉の準備しときます」
 前田はおどけた調子で放たれた青年のねぎらいに一瞬眉を寄せたみたが、すぐにいつものポーカー
フェイスに戻ってフロアを去って行った。

 会社を収めたコンクリートの殺風景な函の口から歩み出た中年男性を、りたリンは人も滅多に通ら
ぬような暗い路地裏の蔭から目で追っていた。動物を思わせる彼女の耳は、まるで麻薬を嗅ぎ当てた
ジャーマンシェパード犬ほどもぴんと立ち上がり、車道の対岸を歩く男の一挙一動を捉えるべく彼に
向けられている。
 ――間違いない、あのオジサンだ
 天空から彼女が察した波動は、この函から発せられていた。りたリンはその発生源を、おそらく会
社の誰かという所まで突き止めており、人物を特定すべくここで張っていたのだった。それがあの男
、白髪の所為で実年齢より老けてみえる中年男性だった。
 その人物は入り口の守衛と、それから帰宅していく社員たちを見送りつつ、自らも家路に就くべく
私鉄某駅の方角へと忙しく歩いていく。グレーのスーツを自然に着こなし顔に刻んだ皺は深く、白髪
頭は若干薄く眼は鋭くも虚空をさまよう。道路の舗装に蹴つまづくと歩調はその都度僅かに乱れ、よ
ろめいてまた一直線に駅を目指す。
 当人は目一杯の速度で歩いていたのであろうが、人の流れが彼を上回る速度で進んでいるため、彼
は黒く濁る鉄砲水に飲み込まれた流木の如く、ひどく頼りなげに見えた。上辺では何も起こっていな
いように見えるが、放置しておけばその内心身ともに消耗し、人間の濁流に飲み込まれて溺れ死んで
しまうだろう。
 ――助けてあげるからね、オジサン
 りたリンは表通りに面した両脇と、それから後方の暗く細い通りを窺った。浮浪者が道端に一人座
り込んで、腕に突き立てた注射器のピストンを往復させながら、それをぎらついた目で凝視している。
 これなら例え彼女が見つかり、その存在を言い触らされた所で、シャブ中電波の見間違いで片付け
てもらえるだろう。りたリンは胸を撫で下ろすと、月さえ遮る黒褐色の天空めがけて大きく羽を広げ、
静かに離陸した。

137帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:13 ID:CQCirDhc
 前田は横断歩道の段差に足を掛けてつまづき、二三歩よろめいて歩道に倒れ込んだ。
 雑踏の流れは彼だけを器用に避けながら過ぎていく。たかが通行人一人、誰も手を差し伸べる者はいない。
 立ち上がろうとして前田は、行き交う無数の足の間に白い羽が一枚落ちているのを発見した。心が
洗われるような白いその羽は、明らかに烏や鳩や鶏のものではない。思わず手を伸ばし、彼は手の甲
を誰のものとも知れぬ靴に思い切り踏み付けられた。たぐり寄せてみると、手の甲には靴の跡がくっ
きり残っていたが、掴んだ羽は無事である。
 彼は安堵の息を漏らし、羽を収めた掌をじっと眺めてみると、何故か心が温かくなった。
 我に帰って前田は、目を周囲に遣る。また一枚、這うようにして覆い被さる。また一枚。
 たかが道に落ちた羽ごときに、下らない執着を見せているという自覚はあった。実に子供っぽい。
普段の前田を知る人間がこの光景を見れば、即座に似つかわしくないと言い放ったであろう。
 それでも彼は帰宅する事も忘れ、羽集めに没頭して街路樹の下を、電柱の下を、歩道の中央を這いずり回る。
 通行人はその都度、足元の障害物を避けようとして押し合い圧し合いつまづいた。ハンバーガーシ
ョップの店先で特上の寿司を頬張っていたカップルが、地を這う中年男性へ好奇の眼差しを向けたが、
その前田が足元にやって来ると、台所のゴキブリを避けるように彼から素早く離れた。
 前田は徐々に人混みの中心から離され、大通りの人気店舗の前から裏路地に、羽を拾いつつ足を向
けた。もう彼と白い羽を踏み付ける通行人はほとんどない。地を這い足蹴にされたため着衣は乱れて
いたものの、立ち上がって羽を探す余裕がようやく彼にも生まれた。

138帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:14 ID:CQCirDhc
 狭く寂しく汚い裏路地。大通りを歩いていた、あれだけ多くの人間達が全く目を向ける事もなく、
野良猫の集会所を化しているその場所に、白い羽が舞い降りて来る。誘い込まれるように導かれた
前田が天を仰いだ。
 右手に見える建物の屋上に、天使のごとき人影が立っていた。闇に慣れた目には、影が背にして
いた月明かりさえ眩しく見える。それは背中の羽を広げたかと思うと、一瞬目を細めた前田の眼前
に降り立った。
 羽を畳んだその天使は、小柄な少女だった。
 淡い桜色のナース服に、青い十字のナース帽。髪は桃色。
 円く大きな瞳に小さな鼻と口。キツネ色の毛に覆われた耳が、まるで動物のように細かく動いている。
 少女は無垢であどけない笑顔を前田に向けた。
 「羽に気付いてくれなかったら、どうしようかと思ってたわ。見つけてくれたのね」
 「君は」
 何者だと問いかけた前田を制するように、緑の天使は腕を伸ばして掌を広げた。前田は親子ほど
も歳の離れた彼女が醸し出す、この世ならぬ雰囲気に飲まれて息を止めた。
 ――実際何者なんだ
 巷で言われる援助交際目当てとも、因縁を付けて金を巻き上げる手合いとも全く違う。彼女が放った
圧倒的な存在感が、見慣れないナース姿と相まって、世間一般で言われる少女とは全く異なった存在で
あると前田に教えている。そもそも、人間がそんな小さな羽で空を飛べるはずがなかった。
 全身のピンクが程よく調和したナース姿の天使は、自らさえぎった前田の質問に答えるように名乗った。
 「私は救命天使・りたリン&hearts;、心が疲れた人を助けるのが仕事よ」
 「きゅうめい」
 前田は自分の脳内を見るように視線を上に向けて思案した後、ナース姿に当てはまる漢字を探り
当てる。頷くと彼は、息を吐き鞄を右手に持って、気を付けの姿勢で毅然と云った。
 「命を救うと書いて救命か?ならなぜ私の所に来たんだ。差し当たって私に命の危険はない」
 救命天使と名乗ったナース少女は、ゆっくりと頭を振って話しつづけた。
 「なんとなく気分が怠い、仕事が前よりはかどらない、そんな自分が不甲斐ない」
 ぴく、と前田の肩がわずかに揺れ、りたリンは肉付きの良い左脚を一歩前に出て彼に近付いた。
猫たちは彼女の後方から、丸くなった目で人間たちの動向を観察していた。

139帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:14 ID:CQCirDhc
 「みんなが自分を馬鹿にしてるような気がする。余計落ち込んで、ますます自分が嫌になる」
 今度は右脚。
 たった一歩を踏み出す間に、猫たちはその場から素早く立ち去っていた。
 「誰にも悩みを言わずに、一人で苦しんで。会社の皆にも奥さんや子供さんにも、辛い顔一つ
見せないで」
 話し掛ける表情はあくまで優しく、口調はゆったりと穏やかに、その言葉はどこまでも鋭く、
四十も半ばに差しかかろうとした男の心から虚飾を容赦なく剥ぎ取って行く。前田は蛇に睨まれ
た蛙の如き状態に置かれ、後ずさりどころか救命天使の瞳から目を逸らすことも出来なかった。
 「大手術の後からそうなったのよね。でも前田さん、あなたは凄い人よ」
 前田が名乗っていないにも関わらず、りたリンは既知の人物に呼び掛けるように彼の名を口にした。
 また一歩。
 「何で私の名前に手術を受けたことまで知ってるんだ」
 魅入られたという自覚は彼にもある。さらに一歩進むと、りたリンは前田の手が届く位置に来ている。
 「私はある人に呼び出されて、この世に現れたの。私を呼んだ人は、あなたが病気を患った事
を知っていたわ。大病の後、以前と比べて元気が無くなったってことも」
 「誰なんだそれは」
 立ち止まる。
 「言えないわ。だからどうしても納得行かないようなら、私が救命天使だからってことで納得
してくれない?」
 りたリンの邪気や打算、媚びと云った混じり気のない透明な台詞は、その口調と相まって演技
か否かという相手の判断力を麻痺させるような魅力を持っていた。当然その力の前に、前田も抗
いきれなかった。
 
 「なるほど。何故かを問うのは意味の無い事なのだな。君が私の前に現れた以上問題は私が君に、いや違うな」
 君が私に何をするかだな、と前田は金縛りに遭った自分の身の上を顧みて云った。
 りたリンは嬉しそうに微笑んで、肩から下げた桜色のポシェットに目を注ぎながら手を差し入れた。
眼球だけは呪縛から逃れた前田が注目する中、彼女は金属光沢を持った緑色のシートを一枚取り出した。
 それは薬局でよく処方される、一錠ごとに包装されたPTPと呼ばれるものだった。りたリンが云う。
 「これを渡しに来たの。毎食後、あなたが飲んでる薬と一緒に飲むといいわ」
 前田は当然ながら、彼女が手に持つ薬を怪訝な目で見詰めた。彼女は手術の事まで知っているのだ。自分が現在も薬物療法を続けていることなど、マルっとお見通しであろう。りたリンの話を疑う気持ちが、前田から完全に失せていた。
 「何の薬なんだ」
 「あなたが無理をしない為の薬よ。あなたは放って置くと、どこまでも感情を隠して必死に働く人だから」
 意識は頑張っても、身体の防衛本能と関係の深い無意識ではそれを拒否する。そんな状態を放置す
れば、その内人間は心身のバランスが崩れて、破滅への最短距離を走ってしまうと、りたリンは云う。
 「私はそんな人たちを察知することができるの。これでね」
 りたリンはそう云うと首を傾けて、キツネ色の毛に覆われた耳を右手で摘まんだ。なるほど彼女は
異形の存在、異界の住人に相違あるまいが、しかしその動作は彼女が放つ絶対的な威圧感と比較すれ
ば、ひどく幼けなかった。

140帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:15 ID:CQCirDhc
 「あなたが今貰ってる薬との飲み合わせは問題ない筈よ。それからこの薬について注意することが
あるんだけど、まずコーヒーは控えてね。眠れなくなっちゃうから。それと毎日欠かさず飲まないと
逆効果だから、気をつけてね。お酒、煙草も勿論良くないわ」
 「まるで医者のようなことを言うんだな。酒も煙草もコーヒーも、全部医者に止められてるんだ」
 問題ない、と云って前田は苦面を浮かべながら笑い声を上げ、りたリンも釣られてふふと笑った。
一通り笑って落ち着いた所で、りたリンは背中の羽を大きく広げて空気を大きく掻く。巻き起こった
突風に前田は刹那顔を手で覆い、目を開けると翼を持った影が彼の間近にあった。月明かりの方向に
目を向けると、りたリンは上空で夜風を受けながら、鳶か鷹のように滞空していた。
 「あなたなら大丈夫だと思うわ、前田さん」
 前田は焦った。まだ薬の事について説明の足りない部分がある。それに会話をして楽しい気分にな
ったことも、随分久し振りのことだった。りたリンを出来るだけ引き止めるべく、前田は言葉を頭の
中から探して云った。
 「待ってくれ、りたリン。この薬が無くなったら、私はどうすればいいんだ」
 「もしあなたにまだ薬が必要だと思ったら、いつでも現れるわ。なくても大丈夫だと思ったら、私
は二度と現れない。身の回りの大事な人たちを大切にね」
 りたリンはにっこりと微笑んでそう答えると、向かい風に乗って上空へ、追い風に乗って遥か彼方
へ飛んで行く。時折羽ばたきながら天高くへと去って行く際に、りたリンは彼女を目で追い続ける頭
の禿げ掛けた中年に向けて、はっきりと聞こえるように一言残して行った。
 ――薬は正しく、使ってね――

141帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:16 ID:CQCirDhc
 ラッシュ時の殺人的な混雑を思えば、幾ら座れないとはいえ通勤電車の立ちん坊も然程苦痛には
感じないものである。前田は吊り革を握りながら、路地裏で起こった出来事を回想し続けていた。
 ――思えばなぜ素直に、彼女の薬を受け取ったのか。
 考えてみれば荒唐無稽な話である。天使が空から降りて来て、自分に薬を渡したなどと周囲に言
い触らそうものなら、忽ちにして前田が狂人扱いを受けることは間違いあるまい。
 だが実際に、彼女は現れた。前田は黒い皮の鞄に手を入れて、十錠纏めて包装された緑色のシー
トを取り出す。それは彼女の存在を証明する、強力な証拠であった。
 前田は車両のドア窓に額を付き、手に持った包装を眺めながら、誰にも云えないなと口の中で呟
いた。云って彼は、自分の口元が穏やかに緩んでいたことに気付いた。

 各駅停車の終着駅は、自宅の場所としては理想的な環境であろう。駅から家までの道程を歩きな
がら、前田は寝静まった住宅街を一人歩いていた。
 昼間は花見連中が押し掛けたであろう公園の夜桜は、りたリンの衣装を思わせる色合いを闇に向
かって主張している。物悲しいまでに儚いはずである桜の花が、それでも自分を励ましてくれるよ
うな気分を覚え、彼には嬉しさを胸の内に点した。
 住宅街の一角に建てられた、未だローンの残る我が家に辿り着き、前田はチャイムを鳴らして玄
関に立つ。
「ただいま松子、遅くなって済まん。愛はどうだ」
 目立ち始めた白髪を紫のヘアカラーで染めた彼の妻が、鍵を開けて出迎えてくれた。外食の有無を
連絡しなかった時は、どれだけ帰りが遅くなろうとも前田家では夕飯を準備する手筈になっていた。
 「良い子は寝ている時間でしょ。もう十時よ」
 そう云って松子は壁に懸かった時計の針を指差し、前田は文字盤を見て苦笑した。そんな彼の屈託
ない態度が、妻に微かな驚きを見せた。

142帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:16 ID:CQCirDhc
 「どうしたの貴方。何だか普段と違うわね」
 松子の驚きは、靴も脱がずに玄関で立っていた前田にも伝染したらしく、彼は妻の顔を窺いつつ
恐る恐る彼女に尋ねた。
 「俺、どうかしたか」
 「いや――何だかいつもはぶすっとするだけなのに、今日は笑ったりするから」
 最近彼は家族の前で笑っていない。云われてみて、前田は気付いた。
 「俺らしくないかな」
 「ううん、帰ってくる度に厭な顔されたら、こっちだって気分悪くなるわよ。晩ご飯ばっかり用意
させて、こっちだって忙しいのにっていつも思うもの。大体こんな良妻賢母の鏡を捕まえておいて、
ワガママばっかり言ってたらその内天罰が下るわよ――」
 夫が普段見せる態度を思い出して、松子は腹が立って来たらしい。放っておけばいつまで愚痴を聞
かされるのか分かったものではない。前田は慌てて靴を脱いでフローリングに上り、目を吊り上げた
松子を宥めながら食卓に向かった。

 「そうだ。愛がね」
 夫の遅い夕飯に付き合うべく晩酌のビアグラスを傾けていた松子が、唐突に話題を振る。TVでは
嬉々としてハンバーガーに齧り付く沖縄のおばあのVTRを、白髪のキャスターが引き攣った表情で
眺めていた。その様子に見入っていた前田は、こら、という首の後ろから聞こえた声に驚いて振り返
った。
 「人の話、聞いてるの」
 聞いてます、と彼は顰め面をした妻に謝った。普段の大人しい表情に戻り、松子は続ける。
 「愛がね、学校で描いた絵を褒められたの。一番感動したことを絵に描いてみなさいって云う題で
描いたらしいの。あの子それ持って帰って来たんだけど、パパに見せるんだって張り切ってたわ」
 「どんな絵なんだ」
 「うん。看護婦さんの絵だって愛は言ってたけど」
 どこにやったっけ、と妻はしばし思案の後、食卓を慌しく立って台所へ駆けた。
 「あった、これだ」
 はい、と妻から手渡された画用紙を手に取り、前田は空になった食器を目の前から退けてスペース
を確保し、二つ折りにされていた画用紙を置いた。
 画用紙を開いてみると――

143帰り道での奇跡:2004/03/21(日) 16:17 ID:CQCirDhc
 ピンクの色鉛筆をふんだんに使って描かれた目の大きなナースが、前田と思しき禿頭の傍に立っていた。

 「貴方この前入院したでしょ。その時看護婦さんがあなたの世話を一生懸命してるのが印象に残って
たみたい。そう言えばあの子、パパが元気になったのは看護婦さんのお蔭だ、っていつも言ってたじゃない」
 嬉しそうに語る妻の表情は、最早前田の耳には届いていない。両手で画用紙を持ち、彼はさらに娘の
絵を注意深く眺めてみた。
 子供の絵らしく頭身は崩れ、人物の体も前面だけを向いている。それでも確かにピンクのナースは
その服装と云い何故かポシェットを下げていた点と云い、帰り道で遭遇したあの救命天使に似ている、
と前田には断言できた。
 ――りたリン、まさか君を呼んだのは
 「ねぇ聞いてるの?」
 呆れたような妻の声に、前田はようやく我に帰った。
 「愛にも、貴方が絵を見た事をちゃんと伝えてね」
 「だが明日は――」
 「七時ちょっと過ぎに家を出ても、定時には十分間に合うんでしょ。たまには愛に、行ってきますを
言ってあげてから出発したらどう。忙しいのは分かるけど、私も貴方の身体が心配だから」
 「ああ」
 そうだな、と呟いて彼は常用している食後薬を数種類ほど鞄から取り出し、緑の包装もろとも1錠ず
つぷちぷちと包装を破って口に放り込んだ。湯呑み茶碗に新しく茶を注ぎ、その中身で口内の錠剤を
流し込む。見慣れない緑のPTP包装に目を留めた松子が、その薬どうしたのと問うて来る。
 「新しい薬を処方してもらったんだ」
 ありのままに話すと松子の余計な怒りを呼び起こしそうな気がしたので、前田は適当に答えてから、
異常に濃く出てしまったお茶を飲み干した。松子が食卓の向こうから身を乗り出して。
 訝しんだ眼差しで妻に見詰められ、前田はずっと昔の少年時代、つまらない嘘をついてびくびくと
怯えていた記憶を呼び覚ましながら明後日の方角に目を遣った。

<終>

144:2004/03/21(日) 16:20 ID:CQCirDhc
もし次に投下するとしたらかなり時間が空くかも。
ご了承頂ければ幸いです。

追記.
抗癌剤とリタとの飲み合わせで禁忌はないと思うけど…断言はできません。

145一番のりヽ(`Д´)ノ:2004/03/21(日) 18:39 ID:Xp335FCY
前作より「普通の人」も理解しやすくなったのね
まじ小説来るとは思わんかった。参りました<(_ _)>

146名もなき股裂き人形:2004/03/24(水) 22:52 ID:GtsWBbcc
躁鬱(喜怒哀楽で無く)の激しい方が居られる。そして漏れもナー(´・ω・`)

147ひとりごと@覆面:2004/03/25(木) 00:28 ID:tlMRmhPU
りたリン&hearts;のポテンシャルはまだまだこんなモンじゃない。
もっと魅力的なはずなのに。
書ききれない力不足が恨めしいわ…

148名もなき股裂き人形:2004/03/25(木) 13:52 ID:VIy9QVtc
新たな物語に期待…
ttp://uten.sunnyday.jp/cgi-bin/oekaki2/rakugakicg/U000007.jpg

149躁鬱のあるたべごろ…てゆーか病気じゃないんですけど:2004/03/25(木) 16:25 ID:37Atrhio
1の3/4程文章力があれば…
漏れなんか流石兄弟をたまに改造するだけだし
AAEのポテンシャルはまだまだこんなモンじゃない。
もっと魅力的なはずなのに。
書ききれない力不足が恨めしいわ…

まああれだ、漏れよりは偉いハズだ。発信者だし

150149:2004/03/25(木) 17:15 ID:7XYsKzJo
(´-`).。oO(>>148の絵は1が描いたのか?)

151なまえをわすれたおんなのこ:2004/03/29(月) 01:15 ID:lfLQ3RmY
そらが夕やけいろにかわるころ。

おんなの子がひとり、えきまえの人だかりにたっていました。

その女の子は、からだじゅうがピンクいろでした。

ピンクのいしょう、ピンクのかみの毛、ピンクのぼうしにピンクのポシェット。

おんなの子は、くびをかしげてこまったかおをしていました。

「わたしはだれなの」

いえもなまえもおもいだせない。どこからきたかもわからない。

「あっ、かんごふさんだ!」

やんちゃそうなおとこの子が、手をひくお母さんを見あげながらいいました。

「かんごふさんね」

お母さんもおんなの子をみてうなずきます。

「わたしは、かんごふさんなのかな」

かんごふさんは、なにをする人なのかな。

おんなの子はまちをあるきながらかんがえました。

かんごふさんは、けがやびょうきの人をたすける人です。

152なまえをわすれたおんなのこ:2004/03/29(月) 01:16 ID:lfLQ3RmY
おんなの子のまえに、おばあさんがやってきました。

「かんごふさん、まごのびょうきがなおらないんです。たすけてください」

おばあさんはそういって、おんなのこをいえにつれていきました。

まごのおとこの子がおばあさんのいえで、くるしそうにいきをしながらねています。

あかいほっぺたをして、ねつもありそう。

たすけなきゃ、おんなの子はそうおもいながら、かばんのなかをさがしました。

「このくすりを、のませましょう」

かばんにあったくすりをのませると、おとこの子はぐっすりとねむりました。

おんなの子とおなじピンクのほっぺた、こんどはきもちよさそう。

「かんごふさん、ありがとう」

おばあさんがおれいをいうと、おんなの子はいえをでていきました。

「わたしは、かんごふさんなんだ」

おんなの子はそうおもうと、なんだかうれしくなってきました。

153なまえをわすれたおんなのこ:2004/03/29(月) 01:16 ID:lfLQ3RmY
こうえんにいくと、みすぼらしいおじさんがおんなの子をよびました。

「ピンクのおじょうちゃん、たすけておくれ」

「わたしは、かんごふさんよ」

おんなの子はおこったようにいいました。

なまえのない子から、かんごふさんになったというのに。

「じゃあかんごふさん、ぼくをきれいにしておくれ」

ちかづくと、むっとしたきもちわるいにおいがします。

「おふろにはいればいいじゃない。ちかづかないで」

おんなの子はとても大きなちゅうしゃきを、ポシェットからとりだしておじさんにむけました。

「りた&hearts;(はぁと)アシッド!」

なんでもとかすさんが、おじさんにふりかかりました。

おじさんはいけにとびこんで、からだについたさんをおとします。

おじさんがいけからでると、あらふしぎ。

くすんでにおったようふくから、よごれがきれいにきえていました。

「おじょうちゃん、ありがとう。これでみんなにきらわれないよ」

おじょうちゃんはまほうつかいだ、とおじさんはよろこびました。

おんなの子もよろこびながら、こうえんをでていきました。

「わたしは、まほうつかいなんだ」

154なまえをわすれたおんなのこ:2004/03/29(月) 01:17 ID:lfLQ3RmY
おんなの子があるいていると、ちいさな子がないていました。

「なにがあったか、いってごらん。おねえさんがなんとかしてあげる」

ちいさな子はだまったまま、ちいさなしろい犬をだきしめました。

しろい犬はただしずかに、めをつぶっていました。

「もううごかないの。なまえをよんでもなかないの」

「しんでしまったのね。かわいそうに」

かんごふさんでもまほうつかいでも、しんだらもとにはもどせません。

おんなの子は、ちいさな子にあやまりました。

「ごめんね、なにもできなくて。ワンちゃんはたすけられないわ」

ちいさな子はわっとさけんで、おおごえをあげてなきだしました。

「わたしよりもとし上だったの。お兄ちゃんだったのに!」

それをみていたおんなの子も、とてもかなしくなりました。

かなしいきもちは、みんなにつたわる。だからみんながかなしくなります。

だったらこの子をたすけよう。えがおをとりもどしてあげよう。

おんなの子がそうおもったとき、とつぜんせなかからつばさが二まいあらわれました。

155なまえをわすれたおんなのこ:2004/03/29(月) 01:17 ID:lfLQ3RmY
はくちょうのようにしろく、たかのように大きなはね。そらだってとべそうな、ちからづよいつばさ。

おんなの子はついに、すべてをおもいだしました。かんごふさんでも、まほうつかいでもなく。

「わたしは、てんしだったんだ」

ピンクのてんしは犬をだきあげ、ちいさな子のあたまをなでました。

「おじょうちゃん、なかないで。ワンちゃんがそういってるわ」

もちろん犬は、しゃべりません。けれどもちいさなおんなの子は、こくりとくびをふりました。

しんだはずのしろい犬の、しっぽがゆれてみえたから。

「ワンちゃんにはまたあえるわよ。あなたがわすれていなければ」

ピンクのてんしがそういうと、ちいさな子は犬のなまえをおしえてくれました。

「ワンちゃんじゃないわ、この子はドルフよ。ちゃんとなまえがあるんだからね」

てんしはこくりとうなずいて、ちいさなあたまをなでました。

「この子はドルフね、わかったわ。かならずてんごくに、つれていくからね」

てんしは大きくはねをひろげて、そらにむかってとびたちました。

「おじょうちゃん、ありがとう。わたしはてんしだってこと、あなたのおかげでおもいだせたわ」

「おねえちゃんは、てんしだったの」

ちいさな子はくびをそらにむけて、どこまでもたかくとんでいく、てんしと犬をいつまでもみおくっていました。

156名もなき股裂き人形:2004/03/29(月) 01:20 ID:lfLQ3RmY
突然投下して失礼しました。
全部ひらがなで文章も短いのに、なぜか物凄く苦労したような気がする…

>>149
ぼくちんの画力は、多分あなたの想像以上にヒドいと思います。

でわ失礼。

157名もなき股裂き人形:2004/03/29(月) 02:52 ID:fCJGW7p2
今年の流行色はピンクなんだそうで

158名もなき股裂き人形:2004/03/29(月) 03:31 ID:eO/D9YrY
うまいとか下手とか分からんけど1の文章は読みやすいのである

159名もなき股裂き人形:2004/03/30(火) 17:52 ID:/U0x8Qhw
    ∧_∧
    (;´Д`)
   /^^</ヽ>
   L_i ヽノヽ
   .| .|〉  /
    |./\___ヽ
    /      |
    |____|
     |  | |
     l  l l
      l  l l
     l l l
     l l l
    .[ ̄] ̄]
    L_)_)

160名もなき股裂き人形:2004/04/02(金) 08:14 ID:BsgjUW.s
ひらがな萌え

161名もなき股裂き人形:2004/04/02(金) 21:49 ID:GPSFWkIw
パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れた…
   ,.-─-、
   / /_wゝ-∠l
   ヾ___ノ,. - >
   /|/(ヽY__ノミ
  .{   rイ  ノ

1621@覆面:2004/04/03(土) 02:05 ID:A6Twb1bk
あ、うれしい…
子供の頃読んだ本思い出しながら書いてみたけど、
本物の絵本読み直してみたら自分まだまだ甘いと思った。

話思い付かないんで少しここ離れます。
りた&hearts;愛求ム!!

163名無し:2004/04/05(月) 09:34 ID:4jQLKYZE
1が消えるなら漏れも消える

164名もなき股裂き人形:2004/04/06(火) 16:59 ID:nyC5NWmE
寂しいし鬱が出そうだよ…
癒してれくよ、りたリン

165名もなき股裂き人形:2004/04/06(火) 18:35 ID:0uFca7DQ
一人暮らし…
りたリンが「一緒に帰ろう」


寂しさ吹っ飛ぶわな

166名もなき股裂き人形:2004/04/06(火) 18:40 ID:OCC/D56Y
うまいとかへたとかわからんけど1の文章は脳裏に映像を生ずるのである

167名もなき股裂き人形:2004/04/07(水) 16:16 ID:/mXu9rqo
ハァハァ(*´д`)〈>>1さん…

168:2004/04/07(水) 20:21 ID:qcaZ3g8I
りたリンをかってに動かしたの自分だけど、
まさかりたリンに自分が励まされる事になろうとは思わなんだ…

読んでくれたみんな、有難う!
今は諸般の事情で書けないけども、次に来る時は
今までにない「救命天使・りたリン&hearts;」を土産に戻って来る!

ソノマエニボクチンノミノウエヲカイケツシナイト…

169名もなき股裂き人形:2004/04/07(水) 21:01 ID:/yBnsgQo
165は164のジエーン

170名もなき股裂き人形:2004/04/07(水) 21:04 ID:FIinCwWo
正直、スマンカッタ

171名もなき股裂き人形:2004/04/07(水) 21:10 ID:/mXu9rqo
>>1の正体は…



りたリン

172名もなき股裂き人形:2004/04/07(水) 23:58 ID:Ag1stKWU
スレが香ばしい

173名もなき股裂き人形:2004/04/08(木) 16:25 ID:eiiTTIEw
りたリンハァハァは居ないね

174あおがえる。:2004/04/09(金) 00:10 ID:G50eeGuk
http://uten.sunnyday.jp/kaizo3/rita-rin5.jpg
シールっぽい処理のりーちゃんです。
ホログラム加工はむつかしくてできなかった…(T-T

最近精神的にまいってて、このサイズを描くのですら悪戦苦闘状態。
描きはじめての一枚目はネガティブ感が漂っていたので没にしました。
誰か見てたら、本家サイト更新できてなくてすまんね…
ここ、個人の近況スレじゃないのにぐちってすまんね…

なんだかんだ、りーちゃんとみんなには笑顔で居てほしいのよね…

175名もなき股裂き人形:2004/04/09(金) 01:23 ID:So0k5yoA
1が喜びそうだな

176175:2004/04/09(金) 01:38 ID:yvc2sKa6
つーか漏れもナ-
引越し作業中にビックリマンシールとポケモンスタンプ見つけたんだけど誰か欲しい?

177名もなき股裂き人形:2004/04/09(金) 09:39 ID:CrRoFoTc
(;*´Д`)ハァハァ<アオタソ…

178名もなき股裂き人形:2004/04/09(金) 16:09 ID:So0k5yoA
(*´д`)ハァハァ…カエルタソ…ハァハァアハァ!ハァハァ…

179名もなき股裂き人形:2004/04/09(金) 18:11 ID:So0k5yoA
どうもうすいさちよに共感しちゃう(´・ω・`)鬱

180名もなき股裂き人形:2004/04/10(土) 09:20 ID:74hA1QVk
絵をうPするとAA来ちゃうよ

181名もなき股裂き人形:2004/04/12(月) 16:52 ID:Zrq5Vrw2
1の正体は…あおがえ(ry

182あおがえる。 </b><font color=#d9a366>(LIMECkW6)</font><b>:2004/04/13(火) 18:16 ID:07XcaAv2
>>181
それだけはハッキリと否定します。
こんな壮大な自作自演ができるほどに文章力もなく賢こさがない私と
>1さんを同等と見なすのでは、1さんがあまりにみじめですので。

とりあえず管理人やカキコした人にハァハァはやめれ。
一瞬本気でスレごと消しそうになる位に殺気を覚えたので。

183名もなき股裂き人形:2004/04/13(火) 19:00 ID:ieyVGXI2
了解、正直悪かった思います…

184:2004/04/19(月) 00:01 ID:VYZgbDdQ
>>174
わお、ビックリ○シールじゃん!
どうもありがとうございます。

済みません、もう少し色々な物に触れてみたらりたリンのお話書きますので、
新しい話はもうしばらく待って頂きたいんですが。

185:2004/04/27(火) 22:03 ID:3Wu/zRUE
何とか書けたので投下致します。
けど…こういう舞台設定はアリなのだろうか。メチャ不安。

理由はご覧になったら分かるかも。でわ――

186奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:04 ID:3Wu/zRUE
 りたの精、狐狸憑きて塞ぎ込みし者救わんと欲し、桃桜の唐衣片げて現世に現る。渋面掲げたる
男に問ふ。汝大いに塞ぎ込む、如何なる所以かと訊かば男、働けど働けど尚我が暮し楽に成ら不り
じつと手を見る、とぞのたまふ。りたの精云はく、物の憑きたる可から不らん、我薬石煎じて飲ま
せんと。取り出だしたる小白石飲ませしはこれ如何に、男狸狐の落ちたる面に成りて深く謝すれば、
りたの精舞いて天へと帰りけり。

 ――実に奇妙な話であった。
 両手に持っていた薄い読本をぱたりと閉じると、新兵衛は本と同じ色の畳の上で仰向けに寝転んだ。
 彼が読んでいた草紙は、たまたま家の近くを通り掛った本売りの行商人から購入したものである。
 新兵衛は寝転んだまま右肘を枕にして、其の日長屋を訪れた、奇妙な風体の行商人との遣り取りを
思い出そうと努力してみた。

 新兵衛は年に十両近い商いを誇る薬売りである。彼は比較的薬問屋に近い麹町で長屋を借りていた。
 尤も彼は、長屋で生活を営んでいた訳ではない。置き薬を扱って諸国を巡る為に、新兵衛がこの長
屋に戻って来る事はかなり少なかった。
 江戸市中の人間を相手にする薬屋は既に何人もいる。町民だけを相手にした商売では、とても食っ
て行けない。徳公や江戸詰めの諸大名相手に薬を売るには許可が必要であったし、新兵衛の如き一介
の薬売りが食い込む余地は端からあろう筈もなかった。
 そこで置き薬である。
 新兵衛が他の薬売りと異なっていた所は、田舎では珍しい唐薬を扱っていた所である。
 薬問屋から比較的容易に唐薬を入手する事により、彼の商売は越中富山の置き薬とも価格で競合出
来たのである。効果が高く比較的廉価な品を扱う新兵衛の評判は忽ちにして広がり、今では殆ど留守
にしている長屋の家賃や薬の原価をきちんと払っても、生活に支し障りが出ることはなかった。
 長屋には二日前に甲州での商いから戻ってきたばかりである。薬の在庫を粗方確かめ、帳簿を付け
終わった所で新兵衛は午睡を取ろうとした。
 新兵衛が開け放しの玄関をふと見ると、大きな風呂敷包みを背負った小柄な老人がそこに立っていた。
 近頃は江戸市中でも、一見の客相手に下らない代物を売りつけようとする無頼の輩が多く跋扈する。
それも、大抵は法外な価格で役に立たない品物を売り付ける手合いが実に多かった。
 中には明らかなやくざ者も居たが、あくまで商談であれば新兵衛の得意分野である。
 追い返そうと考えて新兵衛は座布団から立ち上がり机から離れ、明るい往来に向けて開かれた三和土
に向かった。

187奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:04 ID:3Wu/zRUE
 三和土に立っていた行商の男と最初に目が遭った途端、新兵衛は闖入者から立ち昇る異様な気迫に、
思わず戦慄を覚えた。
 日中だと云うのに黒い長半纏に黒脚絆姿、腕には黒い手甲。三度笠の下から、日焼けして所々に染み
の浮いた顔が覗いている。小柄な黒尽くめの彼が口元をいやらしく歪めて笑みを浮かべると、前歯も二
三本ほど欠けているのが見て取れる。精一杯の愛想笑いを作っているのだろうが、目だけは全く笑って
いなかった事が不気味さを更に引き立てた。
 光ある世界の特異点、あるいは太陽が背負う黒点の如き業と云う表現が、正に新兵衛の前に立ったこ
の老夫に相応しかろう。
 何れにせよ、真っ当な行商の類ではなさそうに見える。新兵衛は強張った表情を動かし、老夫を追い
返そうと口を開いた。
 「何の御用で御座いますか」
 単刀直入である。見知らぬ男相手に世間話をする程には新兵衛も暇ではないし、何よりこの手の輩に
は有効な応対でもあった。変に話が弾めば、断る筈だった押し売りの間合いに引き摺りこまれ、結局は
強引に買わされてしまうのが落ちである。
 だが老いた行商人は新兵衛の冷たい応対に臆する事もなく、三和土に無地の草色をした風呂敷包みを
降ろし、結び目を解き始めた。
 「本をお持ち致しましたんで、買うて欲しう思いましたんや。旦那さんにぴったりの読本でっせ」
 西国訛りを交えながら、行商人は新兵衛の顔も一顧だにせずに答える。
 「本ですか」
 新兵衛は呆気に取られながら、風呂敷包みと格闘している老人の小さな背中を呆然と眺めた。
 神保町辺りに行けば読本、絵草紙の類は何時でも手に入るものであり、江戸に住まう人間が書籍を所
望する時は、別段行商人から買う必要などなかった。尤も、京大阪で流行りの人情物を手に入れようと
する場合は別だったが。
 但し本は行商の売り物にもなる以上、重さの割には随分と高価な代物である。
 そのため町人が本を読む時は大抵貸し本屋にて流行り物や商売上の資料を借り、必要に迫られた時だ
け写本を残して本屋に返すのが普通であった。新兵衛でさえ、本を買う事など有り得るべからざる椿事
である。
 新兵衛は思案しつつも、両単位で吹っ掛けて来るだろうと心の何処かで身構えた。
 「たったの銭六匁ですさかい、是非お一つ」
 目の前に本を突き出し、歯のない口で呼び掛けて来た老人の声に、新兵衛は思案から引き戻された。

188奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:05 ID:3Wu/zRUE
 下手をすれば同じ厚さの半紙よりも安い値ではないか。そんな端金で読本を売っている行商など居る
ものかと、新兵衛は訝しんで訊ねた。
 「別に儲けようと思うて売る訳や御座いません。旦那が買うてくれはりそうな方とお見受けしまして、
是非差し上げようと思いましてな」
 老人は飄々とした口調で答えると、何時の間にやら銭を握り締めていた新兵衛に素早く近付き、彼の
手を抉じ開け銭を一掴み強奪して玄関から駆け去った。
 結局新兵衛は、元々買う気のなかった読本を掴まされた訳である。
 買ってしまった物は仕方が無い、そう呟きながら新兵衛は手元の読本に目を遣り、行商人と自分自身
との、何れに向けたかも分からぬ溜息を吐いた。

 それで新兵衛は午睡を諦め、銭六匁もした読本を一読した訳である。
 感想としては、矢張り先程も感じたように奇妙な話だとしか云い様がなかった。
 新兵衛自身は稼ぎに余裕がある為か度を越した働き者ではないとは云え、物が憑いたような働き者の
話は彼自身もよく耳にする。
 否、世間の人間が忙しく働いていると云う事は彼にも分かる。例えば彼の隣に住まう十一人家族は行
灯の紙張りで生計を立てているが、稼ぎを得る為には一家総出で朝から晩まで懸命に働かなければなら
ぬ。第一数をこなさねば仕事も来ない。
 それだけ働いても稼ぎとしては年に五両稼げるかどうか、と隣家の主は新兵衛と会う度に零していた。
 普通の職人で年五両も稼げたら上出来かも知れないが、何せ親兄弟、それから食い盛りである子供達
の食い扶持を稼がねばならぬし、今よりも仕事が遅くなれば頼み込んでくる提灯屋も減って、五両の稼
ぎがあっと云う間に三両まで減ってしまうのだ。三両では食えない。
 紙張りだけを生業とする職人ですら、斯様に忙しい日々を送っている。況してや客の入りも多く、あ
れやこれやと気の回る者でなくては勤まらぬ大店の番頭や手代などが、如何程に忙しいものであるのか
見当も付かぬ。
 ただその家の主はとて何かに付けて「貧乏暇なし」と愚痴り、物憑きと見紛う程に働いているが、い
つ顔を合わせても活気に満ちた笑顔を浮かべている。
 紙張り職人と比する事が適切であるかどうか定かではないが、もっと忙しい仕事をこなしていると思
しき大店の番頭が終に狂ったと云うような話など、瓦版にも読本にも講談にも出て来ない。
 恐らく読本の内容が、現実には有り得ない話だからであろう。

189奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:05 ID:3Wu/zRUE
 と云うことは物憑きと貧乏暮らしの間には、何の関係も無いではないか。考えを推し進める上で、こ
れら二つは分けて考えるべきだ。
 新兵衛ははたと思い至ると、素早く起き上がって座布団の上に胡坐を掻き、腕を組んで始めから思案
し直すことにした。
 先ずは貧乏暮らしについてだが、これは問題がない。隣家の紙張り職人の例で説明が事足りるからだ。
 怠け者は忽ち貧乏になるが、身を粉にして働いたからと云って必ずしも長者或いは分限者になる訳で
はない。世間とはそのような物であると、自身が商売人である新兵衛は厭と云うほど思い知らされていた。
 次に憑き物だが、この話が新兵衛にとって難題になりそうな予感がした。新兵衛は唸る。
 新兵衛は本物の狐狸憑きなど見たことがない。商売柄諸国を巡り歩いているが、江戸以外の場所でも
その手の話はとんと聞かぬ。別に百物語を作りたいと云う不届きな事を考えている訳ではないので、怪
談奇譚の類に注意が行かぬだけかも知れぬが。
 本に書かれた字の並びからも、男に憑いたものの正体を推し量ることは適わなかった。
 せめてこの本が絵草子であったならまだ頭に思い描くことが出来たろうにと、新兵衛は詮無き溜息を
吐いて見せる。新兵衛は別に無気力な性質ではないが、今日一日で何度目吐いたかもう分からない。
 新兵衛は仕方無しに、昔耳にした話から狐狸憑きを想像してみようと試みた。

 最も馴染み深い狐と云えば、正一位稲荷大明神であろうか。
 新兵衛も正月には稲荷天王まで出掛けて一年の息災を祈る。稲荷大明神は様々なご利益があり、元旦
の境内は新兵衛のような商売人をはじめ、近場に住まう農村の人間も目にする事がある。尤も武家の場
合は八幡宮詣でが主流であり、参拝客の中で目立った数は見受けられないが。
 果たして商売繁盛の御利益が本当にあるのか、新兵衛は知らぬ。
 ただ正月一日稲荷神社詣でを行なわなかった一年と云うのが、どれだけ気不味いものになるかと云う
想像は付くような気がした。
 何せ詣でる商売人は新兵衛ひとりではない。大店小店で働く者や新兵衛の商売仲間も多くが初詣に訪
れ、彼らと顔を合わせることもある。

190奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:06 ID:3Wu/zRUE
 そんな中で一人だけ参拝しなければ
 ――新兵衛は不信心だ
 ――新兵衛は商売に精を出さない
 在らぬ噂が流され、最悪新兵衛は薬売りを廃業せねばならぬかもしれぬ。
 何の話か――そう狐憑きから御狐様、稲荷大明神の話へと脱線してしまった。本筋は狐の話である。
 稲荷明神の場合、神の使いは狐となって信心深い者に御利益をもたらし神託を行う。
 その際狐そのものの姿を借りる事もあるのだが、霊狐が寄代に宿って神託を告げることもある。
 寄代が人である場合――それは狐憑きと呼ばれる。
 時には狐憑きが悪さを行なう事もあるが、この場合人に宿る狐は神の使いではない。それらは野狐
(やこ)と呼ばれ、神の使いである善狐(ぜんこ)と区別されている。
 新兵衛が見る限り、男が憑り依かれたのは野狐ではあるまい。狐なら人を化かすが、文面には物憑
きの男が人を騙したなどと書かれていなかった。
 では狢狸の類だったのか、いやそれも恐らく違うだろう。
 狸は主に山野に住み、旅人や猟師を化かす存在である。
 化かされた側は一夜見た良い夢から覚めた時、はじめて狸に化かされたのだと知る。その後憑り依
かれた者が、すっ白昼夢の中を彷徨うようになった話は聞いた事がない。
 狸は実に後腐れのないやり方で、人を化かすのである。
 ――違う。狐でもなければ狸でもない
 では男に憑り依いたのは一体どんな代物だと云うのだろうか。
 新兵衛の乏しい知識でこれ以上考えても無駄な気がする。彼はこめかみに手を副えてううん、と唸った。
 ――「物」は「物」として扱う他はあるまい。それよりも。
 薬売りである新兵衛の興味を引いたものは、小さな白碁石、と云う記述である。
 これは薬であると新兵衛には分かった。それを飲ませたら男は狐狸が落ちた顔になったと書いてある。

191奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:06 ID:3Wu/zRUE
 丸薬の類か。そう考えて間違いは無さそうだが、白い丸薬など存在する筈がない。
 唐薬、あるいは随分昔に交易の途絶えた遥かな西洋にもないと思われる。
 それ以上に丸薬を飲んで憑き物が落ちる事など、新兵衛の見聞した世界からは想像も付かない話だった。
 ――結局は判らないことが多すぎる。
 新兵衛は再びごろりと仰向けに寝転がり、長屋の天井に浮いた染みを一つずつ数え始めた。
 
 無花果人参山椒に椎茸、牛蒡むかご――
 
 手鞠歌を口ずさみながらそれらを数えていると、寡暮らしの狭い長屋の天井にも満天の星が犇いているかの様に思えてくる。
 気が付くと長屋の窓から入り込む日は橙に変わりつつあり、畳の上に転がった新兵衛自身の影も伸びている。
 ――止めた。どうせ考えても詮の無い話だ。
 友人とも云うべきあの人物の元へ行こう、そう呟くと新兵衛はむっくりと起き上がって背伸びをする。
 着流しの襟元を調えると三和土へと足早に向かい、新兵衛はきちんと並べられた下駄の鼻緒に足袋を通した。

 日も殆ど落ちてしまった夕暮れ刻、新兵衛は高松藩江戸屋敷に近い飯田町付近の、入り込んだ小路を
一町ほど歩いていた。
 この界隈は新兵衛の住まう下町と違って人の往来も少ない。新兵衛は昼も夜もしんと静まり返った此
処を通る度に、これが同じ江戸市中なのかと驚くものである。
 新兵衛は商売人として生まれ、商売人として育って来た。行商ゆえ街道沿いや諸国の田園風景を見て
来た時間の方が長かったが、寧ろ慣れ親しんだ都会の喧騒こそが安住の地でもあった。新兵衛が武家屋
敷に対して拭い切れぬ違和感を覚え続けて来たのは、そこが彼にとって異世界であったからに相違あるまい。

192奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:07 ID:3Wu/zRUE
 山の手に親しみを覚える町人が少ないのは、彼らと武家の間に立ちはだかる身分の壁のみが為せる業ではない。
 ここは――
 町並みそのものが整然と佇んでおり、猥雑さが混じらぬよう常に見張っている場所である。
 余所者を拒絶するようなやんわりとした嫌味が肌に纏わり付く。歩みを鈍らせ、顔を曇らせながらも
新兵衛はそれを胸の辺りで適度にあしらい、件の人物が住まう家を目指す。
 漸く見えた。
 焼き板の色も新しく、漆喰もまだ白い家であった。見た目から判断するに、つい数年前起こった大火
から復興して間も無い。
 長屋ではない、歴とした広めの一軒家である。だが屋敷と云うには門が狭く塀はやや低く、些か中途
半端な構えであった。
 門に手を掛け、手応えを感じ取る。閂や錠の類は掛かっていない。
 新兵衛は屋敷の中に向けて呼び掛ける事もせずに門を押し開ける。
 武家屋敷に相応しい造りの庭に足を入れ、彼は母屋へと続く菱形に敷かれた細かく青い砂利を踏み締めた。
 「人の住まいに勝手に入るとは、まるで盗人だな」
 くぐもった声にいきなり呼び止められて、新兵衛は歩みを止めた。首を動かして声の出所を探る。
 「だが盗人ならば搦手から入るものだろう。況して今は日のある刻限、盗みを働くには不向きだぞ」
 声は庭を取り囲む塀の方角から聞こえて来た。声はすれど姿は見えず。
 新兵衛は取り敢えず母屋に向かって左手に見える、松の植え込みに近づいてみた。
 砂利の小道を離れて剥き出しの土を踏み、二本松の植え込みに近づいてみると――
 真鍮の管だ。
 煙管の吸い口をさらに大きくしたような管が、盆栽のように剪定された松の陰から茸のように伸びている。
 只でさえ馴染みの薄い武家屋敷の庭で、斯様に不可思議な光景と出食わした心情を表す適切な言葉を、
新兵衛は持ち合わせて居なかった。
 新兵衛が戸惑っていると、笑いを含んだ様子で薬売りに向かって呼び掛ける声が真鍮管から飛び出して来た。
 「私はそこに居らんよ、新兵衛。中で待っているから遠慮せずに早く来い」
 耳を澄ませばそれが覚えのある人物だと分かる。眉を顰めた新兵衛は笑いを隠し切れなかった。
新兵衛の来訪は、既に彼の知る処であったらしい。
 菱形に敷かれた砂利と云い、ここの主は来客を掌上で動かす釈迦という訳か。彼の人物はいつもこうだ。
 彼の人物の外簾味に苦笑しつつ、新兵衛は順路である砂利の上に戻ってから母屋の玄関に向かった。

193奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:08 ID:3Wu/zRUE
 「庭の隅から私の声が聞こえると云うのは、中々に面白い趣向だろう」
 その人物――平田淳二郎玄内――は屋敷の廊下から玄関に現れてそう云うと、快活に笑った。
 草履の鼻緒から足を抜いていた新兵衛が、床板に立つ屋敷の主を三和土から見上げる。
 風呂上りなのか妙にさっぱりとした面持ちの玄内は、腰に一本も差さず着流し姿でいる。
 小柄で痩せた玄内の出で立ちは、武士と云うよりどちらかと云うと下町の職人に近い、と新兵衛は思う。
 脱いだ草履を踏み台に床板へ上る新兵衛に、玄内が手を貸そうとする。恐れ多いと新兵衛は手を軽く
振って断り、三和土を後にした。
 見下ろすような体勢から、新兵衛は口を尖らせて玄内に話し掛けた。
 「そりゃア驚きますよ玄内先生、余りにも悪趣味では御座いませんか。庭にでっかい茸みたいな煙管
の吸い口が置いてあって、中から先生の声が聞こえたんですから。ありゃアどう云う仕掛けなんで」
 御座いますかな、と云い切らずに終わった新兵衛の後に続けるよう、玄内は質問者と向かい合って答えた。
 「あれはな、お手前が見立てた通りの大きな煙管よ。土の下を通って屋敷の中まで通じておる」
 えっ、と新兵衛は素っ頓狂な声を上げた。脱力した身体を中腰で支える彼の姿が、間の抜けた様相を
呈している。
 「お屋敷の中にですか、そりゃアまたえらく馬鹿でっかい煙管じゃありませんかい」
 玄内は自慢気に頷くと、先ずは新兵衛の目を、次に屋敷の奥へと続く細長い廊下の先を目で示して云った。
 「折角お越しになられたのだ。続きは奥でゆるりと話そうではないか」
 立ち話で結構だと恐縮する新兵衛を置いて、玄内は自室へと続く檜の床板を歩いて行った。

 自然新兵衛は、屋敷の主が待つ奥の茶室に上がらざるを得なかった。
 何せ相手は来客を煙に巻き、その様子を見て楽しむような偏屈である。下手に遠慮を重ねて機嫌を
損ねたら、彼はいつ掌を返すかの様に新兵衛を屋敷から追い出すか分かったものではない。
 とは云え二人は本来客と売り手と云うよりは寧ろ友人同士であり、新兵衛はやや韜晦趣味のある彼
の心象を損ねぬ配慮に苦労を感じることはなかった。

194奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:09 ID:3Wu/zRUE
 ――それにしても
 茶室の引き戸を開け、中に入ろうとする玄内の先に新兵衛が見た光景は、ここが日の本八洲
であると俄には信じ難い物だった。
 ここに入るのは初めてではなかったが、それでも見慣れるものではない。
 桐の木枠に納まった甲虫や蝶が右手の壁に並び、やや離れた左手の壁には薬草や小石の標本。
さらに新兵衛が庭で見たような真鍮の管が一つ、虫の標本の間から生えている。その脇の台に
置かれた一尺四方の時計は、短針が頂上を子に見立てて巳に当たる方角を差していた。
 その右手には三段作りの棚、中には蘭引や異国の天秤と分銅がきちんと並べられており、見
慣れない医療器具らしき物もある。
 床には畳ではなく、何やら細かい刺繍の入った紅く分厚い布が敷かれていた。玄内が躊躇わ
ずにその上を歩く。
 部屋の中央寄り少し大きめに造られた樫の椅子に、杉で出来た足の長い卓。それらを三方囲
むように立っている衝立には舟戦、唐の山奥、それから猿と坊主の水墨画がそれぞれに描かれていた。
 卓上に目を遣ると、そこに置かれた白磁の茶碗は急須と併せて組物となっているらしく、唐
津や久谷にも見られぬような翠と紅の草花をあしらった文様が揃いで入っている。
 玄内は椅子の一つに腰掛けると、新兵衛を手招きして向いに座るよう手招きした。新兵衛は
入り口側の椅子に腰掛け、玄内が急須から茶碗に注ぐ間、壁に懸かった虎の毛皮や異国の面に
目を奪われていた。
 ――本草学者とは云え、ここまで蒐集するものなのか。
 「何を見取れているのだ。この前来た時と同じ物しか置いておらぬぞ」
 新兵衛は呼び掛けられて我に帰り、茶碗を差し出していた玄内は不敵な笑みを浮かべていた。
 「いや、何時参りましても目の保養になります。先生のお部屋は不思議で御座いますな。いや
それよりも――先生のお人が不思議なのですかな」
 云いながら新兵衛は茶碗を取り、立ち昇る湯気の匂いを嗅ぐ。
 茶とは違って脂っこく纏わり付いて来る芳香に、新兵衛は違和感を感じた。
 「長崎遊学時代の弟々子から分けて貰った物だ。興奮作用があるので多くは振舞えぬが飲んでみろ、美味いぞ」
 云われるままに一口茶碗を啜ってみると、新兵衛はそのあまりの苦さと辛さに思わず吐き出しそうになって口を手で押さえた。

195奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:09 ID:3Wu/zRUE
 言っては悪いが、不味い。
 茶の渋みを濃くした上に、脂臭い感触が口の中に残ってしまう。そのような熱い飲み物に
唐辛子まで入っている。
 玄内は口内の物を吐き出すか否か迷っている新兵衛をからかうように、笑顔で口を開いた。
 「カカオ豆の煮汁だ。阿蘭陀人の説明に従って作ってみたものだが、慣れたら中々乙なものだよ。」
 悪かったな、と玄内は一応謝り、菓子を持って来るよう廊下の方角に声を掛けた。
 程無くして三十路過ぎと思しき女中が、菓子盆を持って茶室に入って来る。卓上に置かれた
菓子盆の壺を新兵衛が開けて見ると、中身は金平糖であった。
 かなり高価な菓子である。女中が去った後で新兵衛が一口放り込むと、煮汁の苦さに痺れた
彼の舌の上に程好い甘味が広がった。
 恍惚の表情で金平糖を嘗め続ける新兵衛に向かって、玄内が現世に呼び戻すかのように呼び掛けた。
 「ところで新兵衛、商売の方は上手く行っているのか」
 新兵衛は吃驚して、小さくなった金平糖を飲み下す。惜しむ気持ちを眉に表しながらも、彼
は招待主の呼び掛けに答えた。
 「御蔭様で食うに事欠かぬ程度には儲かっております。実は先生、ある事についてご指導を
頂きたいンですが宜しゅう御座ンすか」
 「ああ。だが云って置くが金の話は勘弁願うぞ、私が願い出たい位だからな。それ以外の話
だったら、取り敢えず話して見るがよい」
 有難う御座いますと云って、新兵衛は白磁の茶碗を啜る玄内に軽く下げた。話を切り出す。
 「玄内先生。先生は憑物が薬で落ちるなんて事、本当に有り得るとお考え遊ばされますかい」
 「憑き物――薬とな」
 歓心した様子で玄内は茶碗を卓上に置き、首を傾げて新兵衛に訊き返した。
 「薬の話ならお前の方が詳しい筈なのに、何故そのような事を口走るのだ。しかも憑き物とは
此れ如何に」
 「これを」
 新兵衛は思い出したかのように、手に下げて持ってきた風呂敷包みを卓上に置いて結び目を解
いて見せた。中から銭六匁で買った古い畳色の読本が現れる。
 博識の蘭学者に見て貰う為、新兵衛はこの本を長屋から持参したのであった。

196奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:10 ID:3Wu/zRUE
 「今日の昼過ぎに、行商から銭六匁で買ったものです。先ずはこれを読んで頂きたいんです
が、構いませんか」
 銭六匁だと、玄内は目を丸くしたままそう叫んだ。
 「そんな事は有り得ないぞ新兵衛。幾ら何でも安すぎるではないか、一体どんな者から買ったと云うのだ」
 新兵衛がその行商人について――黒尽くめの老人だった事を始め、その日起こった出来事を
簡潔に語ると、玄内は素早い動作で読本を手に取り、開いて中身を目で追い始めた。

 ――りたの精、狐狸憑きて塞ぎ込みし者救わんと欲し、桃桜の唐衣片げて現世に現る。
 ――男狸狐の落ちたる面に成りて深く謝すれば、りたの精舞いて天へと帰りけり。

 「馬鹿げている。余りにも馬鹿馬鹿しい話ではないか」
 読み終わった玄内の正直な感想であった。不安と不満の混じった目で新兵衛に睨まれ、玄内は
慌てて付け足した。
 「いや、確かに狸狐憑きと呼ばれるものを否定する訳ではないぞ。だがな新兵衛、憑き物を落
とす薬など唐土にも阿蘭陀にもない。それだけは云える」
 そうですか、と新兵衛は肩を落として返事した。椅子を卓から引く。
 「済まぬな新兵衛。薬とは病を治すものであって、お祓いを行なうものではないのだ。慣れぬ
椅子に座らせて申し訳ないが、期待にはあい沿えぬ」
 新兵衛は椅子を立って玄内の慰めを背に茶室の襖まで行き、そこで振り返ると茶碗を手に取った
玄内に一礼した。
 「いえ、ご馳走に預かり恐縮で御座います。また何か薬が御入用でしたら、お声を掛けて下さいまし」
 「夕餉くらいは振舞ったのに、惜しい事をしたな」
 ぶんぶんと首を振り、新兵衛は申し出を固辞した。
 「ご相伴あい仕る、と申し上げたい所なんですがね、帰って大坂に文を書かにゃいかんので御座います」
 女中が客人を玄関に送り届けるべく襖の右手から現れ、二人の影が左手の端へと姿を消した。

197奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:11 ID:3Wu/zRUE
 新兵衛が持って来た読本が、卓上に忘れ去られた侭になっていた。
 それを斜めに見下ろすと、彼は再び煮汁を茶碗から啜った。
 折角玄内を頼って来たのに、何も分からぬ侭帰る羽目になったのである。見た目には平静を保
っていたが、内心本を忘れる程に気落ちしていたのであろう。
 悪い事をした、と玄内は思った。明日辺りでも、この本を自らの手で彼の長屋に返してやらね
ばなるまい。文を書くと云っていたからにはニ三日居るのだろうが、それを逃すと今度来る時は
再会を幾月も待たねばなるまい。
 それにしてもりたの精とはやはり天女ではないか、と玄内は苦汁を飲み下しながら思った。
 天女の説話とはまた珍しい物である。羽衣を失った天女についての伽草子ならばまだ聞き覚え
があるが、薬売りが置いて行ったこの読本の例は、おそらく宇治拾遺にも宇津保にもない物であろう。
 しかも人情も心中もない話とはまた、随分と思い切った本である。版元としては売れる事など
端から考えてはおらぬのかも知れぬ。
 そう考えると覆面の戯作者として、書き手の独創性に敬意を払わねばなるまい。玄内はそう思
って本の表紙、裏表紙、果ては中身を再び読んで戯作者の名を探して見たが、話に聞いた売り手
の素性同様、何処にもそれらしき名は見当らなかった。
 絵草子ではなく純粋な読本であった為、りたの精とか云う天女の姿を思い描く事は適わなかった。
 「りた――りたの精、か。実に不可思議な名だ」
 玄内が何気なしにその名を口にした時、彼は何処からか鈴の音を聞いたような気分に囚われた。
 りん
 玄内にはそう聞こえる。曲者が侵入した際に糸で釣られた鈴が鳴るよう、玄内は屋敷中に仕掛け
を施していた。
 恐らく、その一つが鳴ったのであろう。但し賊が人間であった場合、更に多くの鈴が一斉に鳴り
出す筈である。鳴った音は、鈴一つであった。
 ――猫でも来たのか。ならば随分と酔狂な猫である事よ。
 玄内は笑いを噛み殺しながら、読本と鈴の音から下らない戯れ歌を一つ考え付いた。
 ――りた、りん
 ――りた、りた、りん
 ふむ。
 口にすると、何故か耳に心地よく響く。ここは手鞠歌のようなものを一つ吟じて見るか。

198奇譚〜天女降臨〜:2004/04/27(火) 22:12 ID:3Wu/zRUE
 謡曲と手鞠歌との間に貴賎がある訳ではない、玄内はそう信じていた。
 現に芭蕉翁は世俗的な俳諧から俳句という道を編み出したではないか。尤も玄内は
俳諧の流れを汲む川柳の方が好みであったが、しかし日常の意外な処で思い付いた事
柄を表す上では、何だって構わぬではないか。
 それが川柳であれ手鞠歌であれ、謡曲にされた物に劣ると云うのは馬鹿げた話である。
 大体天女の名と鈴の音と組み合わせる以上は、耳に残ったものが良い。
 玄内は暫し黙考して節を思い付くとすぅ、と息を吸い込み、ゆっくりと即興の手鞠歌を歌い始めた。
 〜りたリン りたリン りたりたリン〜

 「何て歌で私を呼び出すのよ!!!」
 甲高い娘の叫び声が、突如玄内の居る悪趣味な茶室に響き渡った。
 聞き覚えのある声ではなかった。たった一人の女中は大年増であり、斯様な桃色の
声を上げる事はまず有り得ない。第一女中の声は、もっと低いものである。
 先程の鈴は、矢張り賊の侵入を知らしめる物であったか。
 玄内は己の迂闊さを悔やみながら、しかし廊下に駆け出して部屋を閉め、声の方向を懸命に探る。
 右か、左か――
 ――まさか茶室?!

 振り返って茶室の襖を強く押し開いた瞬間、玄内の視界に桃色の人影が飛び込んで来
たかと思うと、それは剥き出しにされた膝小僧を玄内に向けて突き出した。
 娘特有の、むっちりとした太股である。
 衝撃が玄内の脳髄を揺らし、そして彼は失神した。

<…続く、いや続けたい>

199:2004/04/27(火) 22:19 ID:3Wu/zRUE
…という訳なんですよ。
りたリンハァハァを味付けして落とすのが僕の遣り口なんですけど、
それにしてもりたリンが江戸時代にいるなんて設定自体が
ふざけてるから、落とすのが不安だったんですよ…

くどいようだけど、こんなんアリ?!
本気で悩んでるんですけど…

あ、後日りたリンの好物(1の脳内設定)も文中で明らかにしますんで。
それではまた。

200名もなき股裂き人形:2004/05/19(水) 01:16 ID:Ms0j0DnU
はじめて読みましたが、読んでいて心地のよい文章ですね。

201中の人:2004/05/22(土) 12:48 ID:aWqd9Px2
あああごめんなさいごめんなさい!
読んで頂けて嬉しいですけど全然続きを書いてないよママン
かなり気長に待って頂く事になりますけど宜しいですか?

202200:2004/05/24(月) 21:32 ID:W6Ds4EDo
こういう文章を操れる人がいるというのが驚き。
志賀直哉とか? なんかそっち方面?
文豪と呼ばれる人達の文章みたいな。
どこいら辺方面の文体なんでしょうか?
ある意味続きより気になる…

続きはゆっくり書いて下さいまし。
まだ江戸時代編しか見てませんので。

203名もなき股裂き人形:2004/07/03(土) 20:03 ID:TkB0HPbM
ご無沙汰しております。ちと長いこと放置が過ぎました。

暑い夏こそ、水分よりもりた分補給を。
というわけで、一本が投下されます。

番外編みたいなもんです。
小学生の作文に感動したので、小学生になった気で作りました。

204ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:04 ID:TkB0HPbM
 きょうは、とってもおもしろい かんごしさんのはなしをします。

 その人は かわいいけど なんだかきけんな、かんごしさんです。

 ぼくと そのかんごしさんが さいしょに出あったのは、ぼくがにゅういん

している びょういんでした。



 ぼくの ねている びょうしつは おおべやで、ぼくのほかにも たくさん

の人が ねています。

 ぼくの 右どなりのおじさんは、アオノさん と いいます。

 よなかに かくれて ワンカッ●※を のんでいます。

 アオノさんは「ぽっぽっぽ、はと にわとり」という へんな かえうたを、

ぼくに おしえてくれました。

 まどのちかくで ねている おにいさんは、中がっこうの クラブかつどう

で けがをしたと いっていました。

 おにいさんは、アンドウさん と いいます。

 アンドウさんは、ぼくより とし上なのに びしょ●女せんしが だいすき

です。そして いつも、「ムーンス●イラル」 さけびます。

205ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:04 ID:TkB0HPbM
 まむかいの おばあさんは、コジマさんと いいます。

 まいにち こうばいで むしパンをかいます。そして ごはんのあとで 3

こたべます。とうにょうびょうで にゅういん しているんだ、と コジマさんは

いってました。

 ほかにも、おみまいの人たちが たくさんきて、アオノさんと うたをうたったり、

アンドウさんと アニメの はなしを したり、コジマさんに 大ふくもちの 

おみやげを わたしたりします。

 びょうしつは、いつでも うるさいので、ぼくは ねられなくて こまっています。

 ぼくは、いえでは よく おねしょを していたけど、にゅういん してから 

1かいも してません。

 でも、おかあさんは なんでか しらないけど ほめてくれません。



 ぼくが びょうしつで ねていると、アオノさんの ベッドから ギターの

おとが きこえて きました。

 じかんは おとといの ゆうがたでした。

 アオノさんは ベッドの下に、ギターを かくして いるのです。

 アオノさんは ラではじまる わおんを 2かい、ミではじまる わおんを 

2かいの じゅんばんで、きもちよさそうに ならしました。

206ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:05 ID:TkB0HPbM
 アオノさんは わおんを ABCでよびます。でも むずかしいので、ぼくは

せんぶは おぼえていません。がっこうで ならった、ドレミファソラシドの

ほうが、かんたんだと おもいます。

 アオノさんは わおんの くりかえしを 4かい ひいてから たかい こえで、

うたいだしました。

 「♪なー●つーのー」

 アオノさんが うみ●ら、と うたいかけたとき、びょうしつの ドアが、 

あくおとが きこえて きました。

 「うるさいアオノさん、あなたここをどこだとおもってるのよ! びょういん

でしょ! ほかの人のめいわくをかんがえたことあるの?! ひじょうしきにも

ほどってもんがあるわよ!」

 ものすごい おおごえの はやくちが、いり口から きこえてきます。

 カーテンが 大きくあいて、アオノさんと かんごしの おねえさんが、ぼくの

ベッドから みえるように なりました。

 かんごしさんは ぜんしんが ピンクいろです。

 びょういんの かんごしさんは、みんな ふくが ピンクいろですが、その

おねえさん だけは かみの毛も ピンクいろでした。

 ピンクいろの かんごしさんは、むっちりとした ふとももを、みじかい 

スカートから つきだして、アオノさんに シャイニングウィザードを ぶつけました。

 ぼくは、パンツが みえたら はずかしいだろうなと しんぱいしました。

207ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:05 ID:TkB0HPbM
 このおねえさんが、ぼくの いってた とってもおもしろい かんごしさんです。

 ぼくが にゅういんして しばらくすると くるように なりました。

 おとな なのに、びじんじゃ ありません。でも クラスで かわいい ちかちゃんよりも もっと きれいで かわいいし、わらうと ぼくも うれしくなります。 

 きゅうめいてんし・りたリン&hearts;という、かわった なまえです。

 びょうしつの みんなも、かんごしさん じゃなく、りたリン&hearts;と よんでいます。

 みみには いぬみたいな 毛がはえていて、せなかに はねまで ついてます。だから りたリンは、にんげんじゃないんだと ぼくは かんがえてます。

 でも だれも、りたリンの みみのことや、せなかのはねの ことは、しゃべりません。

 なんでだろう。みみや はねは、ぼくにしか みえないのかも しれません。

 きゅうめいてんし・りたリン&hearts;は こんな かんごしさんです。
 


 りたリンは アオノさんに ちかづいて、犬みたいに においました。

 「あっアオノさん、あなた また おさけ のんでたでしょう!」

 おじさんが かおを まっかにして、わらいました。

 「ごめんよ、りたリン。でも いっぱいぐらいなら、いいじゃないか」

 アオノさんは わらいながら そういって いましたが、りたリンは おこっています。

 「よくないわよ! かんぞうで にゅういんしている 人が、おさけなんか 

のむんじゃないわよ。りた&hearts;スキャン!」

 りたリンは 毛のはえた みみを いぬのように うごかしました。

208ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:08 ID:TkB0HPbM
 アオノさんの ベッドのしたには ワン●ップが たくさん ありました。

 アオノさんは、ずっと わらっていました。

 りたリンは あけてない ワ●カップを 1こもって、いいました。 

 「で、おいしいの? これ」

 りたリンが いうと、アオノさんは わらうのを やめました。

 「おいしいけど、まさか きみは おさけを のんだこと ないのかい?」

 りたリンは、うん、と くびを ふりました。なんだか はずかしそうです。

 「すてる ぐらいなら、のんじゃってよ。すてたら もったいないよ」

 アオノさんが いいました。



 アオノさんは りたリンの もってた ワンカッ●の ふたを あけます。

 しょうどくえき みたいな においが、ぼくの ところまで とどきました。

 びょういんでは めずらしくない においです。でも りたリンは なんだか うれしそうです。

 りたリンは かおを まっかにして、いいました。

 「うん、なんだか いいにおい。それに いいきもち」

 りたリンは ●ンカップを ひと口で のんでしまいました。そうしたら 

かおが まっかになって わらいだしました。

209ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:09 ID:TkB0HPbM
 「ったくも〜、ふりょうかんじゃばっかりよね、このびょうしつ。ナース

コールならすのも、いいかげんにしてほしいわよ。ハハハハハハハハ。そう

そう、アオノさんってば、すうちわるくなってるわよ。こんなののんでるから」

 りたリンは ベッドのしたから、また ワンカ●プを とりだして、ひと口で 

のみほしました。そして もう1こ のみました。

 アオノさんの かおが、しんぱいそうに なりました。だいじにしてた おさけを、

りたリンに とられたからだと おもいます。

 「ねえ りたリン。そんなに おさけを のんだら、せんぱいに おこられるん

じゃないかい?」

 アオノさんが いうと、りたリンは、きゅうに おこりだしました。かおが 

いつもより はやく かわります。ぼくが おこられてるんじゃないのに こわいです。

 りたリンは、アオノさんの えりをつかんで いいました。

 「うるさいわね〜、あなたのために、このおさけを、しょぶんしてあげてるんじゃない。

だいたい、のめっていったのはアオノさんじゃないの。このくされのんだくれかんこうへん

おやじが。あなたにくらべたら、ギターひきのチチまつ●らだって、もうちょっとまともな

じょうしきをもちあわせているわよ」

 アオノさんは りたリンを こわがってました。

 ぼくは りたリンの ことばづかいが、ものすごく きたないなあと、おもいました。

 ビックリ しました。

210ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:10 ID:TkB0HPbM
 そのとき コジマさんが むしパンの つつみを ゆかに すてました。

 りたリンは アオノさんを ベッドに なげすてて、コジマさんを みて いいました。

 「とうにょうびょうのかんじゃがそんなもんたべるな! コジマさん、きょうはいったい

なんこたべたのよ! それになに? 大ふくもちまでたべたんじゃない? え? あなた

じぶんのびょうきわかってるの? ほんきでなおるきあるの?」

 コジマさんは おこっている りたリンから かおを よこむけて、むしパンを じっと

みました。そして、だまって 口を あけました。

 「りた&hearts;フレイム!」

 ぼくは コジマさんの てから むしパンが きえているのに きがつきました。

コジマさんの ひざの うえに、くろこげが おちてます。

 りたリンは、バケツみたいに 大きな ちゅうしゃきを てに もってます。

 ちゅうしゃきには 大きな くろい ボンベが ついてます。

 ぼくは、ガスみたいな 火が ちゅうしゃきの さきっぽから でたのを みました。

 火が むしパンを もやしたのです。だから むしパンは きえたのです。

 「もう、あったまきた!なんべんなんべんなんべんも、いってるのに、だあれもきいて

ないし。こうなったら、じつりょくこうしよ!」

 りたリンは、アンドウさんの カーテンを おこりながら あけます。

 アンドウさんは、びしょう女●んしの へんしんセットで あそんでいました。

りたリンに みつかって、アンドウさんは とっても、びっくり してました。

211ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:10 ID:TkB0HPbM
 「よるおそくまで、おおごえだしてあそんでるんじゃない! りた&hearts;フレイム!」

 アンドウさんが だいじに してた おもちゃの つえも、りたリンの 火で 

もえてしまいました。

 ぼくは、アンドウさんが かわいそうだなと おもいました。

 ぼくも、だいじにしてる SP●イセンスとか デカレン●ャーロボが もやされたら、

いやだろうなあと おもいます。

 でも、そんなことは どうでもよく なってきました。

 びょうしつの あちこちに 火が ついて、みんな にげだした からです。

 りたリンは、まだ 火を つけてます。

 カーテンとか ベッドが、もえはじめました。

 ウラタさんと いう おばさんの かんごしさんが、 ぼくを びょうしつから 

つれだして くれました。

 ぼくは ベッドから うごけなかった からです。

 ぼくの からだには くだとか ふくろが ついたままでした。

 もしかしたら、ぼくは りたリンに やきころされていたかも しれません。 

 さいわい、びょうしつが いっこ もえてしまった だけで、しんだ人とか けがを

した人とかは いませんでした。

 なんでか しらないけど、りたリンが ほうかまだと、だれも いいませんでした。

 ぼくも、だれにも いってません。


 きゅうめいてんし・りたリン&hearts;は こんな かんごしさんです。

212ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:11 ID:TkB0HPbM
 びょういんには ときどき、がっこうの ともだちが きます。

 なかよしの こういちくんと、クラスの かわいい ちかちゃんが、がっこうの 

はなしを してくれます。きのうも びょういんに きて くれました。

 2りとも たのしそうだから ぼくも うれしいです。でも ちょっとだけ うらやましいです。

 アオノさんは おみまいに きた ちかちゃんに、「おっちゃんが へび 

みせたろか」っていったから、ちかちゃんは いやなかおを しました。

 こういちくんと ちかちゃんは、おもしろいことを おしえて くれました。

 「まさてるくん、さっき かみの毛が ピンクの かんごしさんが、おこり

ながら ろうかを はしっていたよ」

 「そうそう。かんごふさんが いっぱいいる へやで、へんな おんがくが 

ながれたら、いきなり おこりだしたの。そして ろうかを はしっていったんだよ。」

 かんごふさん じゃなく、かんごしさん です。ぼくが いうより まえに、

こういちくんが ちかちゃんに ちゅういしました。

 「ごめんなさい。それでね、まさてるくんは その へんな おんがくを 

きいたこと ある?」

 ずっと ベッドにいるから、きいたこと ありません。

 こういちくんと ちかちゃんは、ちょっと かなしそうな かおを しました。

 「じゃあ、まさてるくんにも きかせてあげる。こういちくんが ふえを ふいて 

くれるから、わたしは うたうね」

 こういちくんは ランドセルから たてふえを だしました。

 こういちくんは、すごく たてぶえが じょうずです。せんせいの まねをして 

ふえを ふくので、せんせいは すごいなあと いってました。

 「せーの。」

213ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:11 ID:TkB0HPbM
 ラソミ、ラソミ、ラソラソミ、レ、ララ、ソラソ、ラソラソ、ド(高)※
 りたリン、りたリン、りたりたリン べん(以下略)※


 2りは、うたいおわると イエイ と、いいました。

 ぼくは こういちくんと ちかちゃんに はくしゅを しました。

 はやく がっこうに いって、こういちくんみたいに じょうずに ふえを ふきたいです。



 そのとき、ろうかで だれかが はしるおとが きこえてきました。

 「いったいだれが、あんなきょくを ながしてるのよ! わたしあのきょく 

きらいだから、もうやめてって いっつもいってるのに!」

 りたリンの こえが、きこえました。おこってる みたいです。

 びょうしつに かんごしさんが きました。やっぱり りたリンです。

 りたリンは おこっています。めちゃくちゃ おこっています。

 りたリンは、おこると とっても こわいです。ぼくは いいました。

 「こういちくん、りたリンに あやまりなよ」

 でも こういちくんは、ふえを やめません。

 こういちくんは、がっこうでも せんせいに いたずらをして よく おこられます。

せんせいが おこっていると おもしろいんだそうです。

 こういちくんは もう一ど、ふえに くちを つけました。

 「せーの。」

214ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:12 ID:TkB0HPbM
 ラソミ、ラソミ、ラソラソミ、レ、ララ、ソラソ、ラソラソ、ド(高)


 こういちくんは、わらいながら ふえを ふいていました。すると、とつぜん 

うしろに たおれました。

 こういちくんは めが まっ白になって 口から あわを ふいています。

 ぎゅうにゅうびんぐらいの ちゅうしゃきが こういちくんの おでこに ささっていました。

 「人のいやがることをする こまったちゃんには、おしおきよ!」

 りたリンは、きぜつしている こういちくんに むかって、ひとさしゆびを つきだしました。

 そして ワハハと わらいました。


 きゅうめいてんし・りたリン&hearts;は こんな かんごしさんです。

<おわり>

※原文では具体的な文字が書かれておりましたが、添削者の判断により
     一部伏字にさせて頂きました。読者の皆様にはご了承頂くと共に、
     作者の金子君に対し、この場を借りてお詫び申し上げます。
※尚括弧書きも、添削者の加筆に拠るものです。悪しからずご了承下さいます
     よう、重ねてお願い申し上げます。

215ふしぎなかんごしさん:2004/07/03(土) 20:13 ID:TkB0HPbM
えーっと、おヒマな方はリコーダーなど単音の楽器で
ラソミ、ラソミ、ラソラソミ、レ、ララ、ソラソ、ラソラソ、ド(高)
と一度演奏してみて下さい。
多分あの音程で間違ってないと思いますんで。
あ、でも以前歌詞を間違えたか。信用ならんわね。

>>202
その時その時読んだ本に影響されます。
でも小学生の作文は、あれで物凄く難しく奥が深い物だと、
書き終わってから気付きました。アホや。

216あおがえる。 </b><font color=#d9a366>(LIMECkW6)</font><b>:2004/07/03(土) 20:31 ID:n/XKjpOA
お久しゅうございます。
今回もまた変わった視点から見ていて愉快な文面ですね。
もしかして、私がお絵描き掲示板に描いた夜勤のりたリン&hearts:さん…
を見て書いて下さったとか…(ドキドキ)

ついにあの曲のメロディ解明ですか。
想像していたものより数倍ユーモラスな楽曲で…(笑)

217名もなき股裂き人形:2004/07/09(金) 21:15 ID:HSygWXv2
>>216
>お絵描き掲示板に描いた夜勤のりたリン&hearts:さん
是でございます。
お恥ずかしい話ですが、りたリン&hearts;が絵板に降臨して舞い上がったもので。
しかし書く度に全然違う話になってるってどういう事よ…?

こだわり。
口に出した時の響きを考えて、りたリン秘技のネーミングは全部
りた&hearts;○○○○←(4文字)ってなるように考えてます。

218祝☆一周年:2004/10/20(水) 22:43 ID:a6vxKJQM
今日はネ
皆さんにネ
ちょっとだけ心暖まる行事をお知らせしようと思ってるんですネ。

部屋の壁紙をネ
こう、真っ白な奴に変えてしまうんですネ。
壁紙なんか無いゾ、コンクリートの壁にモルタルで化粧しただけだゾ、って仰る方はネ
ハイそれで結構ですネ
要するにネ
部屋を病室みたいな真っ白い雰囲気にできたら、それで結構なんですネ

そいでもってネ
飾り付けをするんですネ
どんな飾り付けって言われたらネ
そりゃあクリスマスとか、パーティとかみたいな奴にするんですネ
ホーム・アローンとかで良く見かけますネ
こう、色紙とか折り紙とかで出来た鎖を居間に飾ってるシーンがございますネ
ああいうのを昼間何時間もかけて作って、それを壁一面に飾りましてネ
壁が真っ白だから、色紙の鎖の色が映えるんですネ

それからネ
料理とか飲み物を用意するんですネ
つまみ食いできるようなチーズとかクラッカーとか、ピザなんか大勢で食べられるし
雰囲気も出るからいいですネ
あと甘いものが用意できたらいいですネ
お酒はいけませんネ
主役は未成年ですし、酔って暴れ出したら誰も止められませんからネ
せっかくの飾り付けが燃やされてしまいますしネ

そいで準備が整いましたらネ
たくさん人を集めないといけませんネ
誰でもいいんですけどネ
特に少しだけ優しくして欲しい人とかが集まれば尚結構ですネ
彼らなら主役を心から愛する人たちですから、話も弾みますネ

さあ準備が整いました、そしたら集まった人たちで歌を歌うんですネ
「りたリン りたリン りたりたリン」とネ
最後まで歌うと下品ですから、これ位で止めておきましょうネ
そしたらネ
こう、むっちりとした太腿が飛び膝蹴りを放って来るんですネ

もうお分かりですネ
救命天使りたリン&hearts;の誕生日ですネ
いつ生まれたのか判らないから、初登場の時期を誕生日にしてしまおうとネ
考えたんですネ

キャラクターの誕生日をお祝いしようと考えるのはネ
ある意味おかしな事かも知れませんネ
ですけどネ
「あしたのジョー」っていう漫画がございましてネ
その中に登場する力石徹っていう人物がですネ
作中で死んでしまうんですネ
それを悲しんだファンの皆さんがネ
本当に彼の葬儀を執り行ったっていう話がございますネ(※実話です)
そのファンの人たちの気持ちがですネ
少しだけ解るような気がするんですネ
彼らにとっての力石徹と同様、りたリン&hearts;から感動を頂いた者の一人としてネ
彼女の誕生日をお祝いして差し上げたいと思うのも、無理からぬ事だと思いますネ

それじゃあ今日はこの辺で
さいなら
さいなら
――さいなら

(故・淀川大先生の口調をお借り致しました。)

219名もなき股裂き人形:2004/10/20(水) 22:44 ID:a6vxKJQM
救命天使りたリン&hearts;、お誕生日オメデトウございます!

しかしキャラクターを生み出した人物でさえ忘れてるだろう事を挙げて、
危ない輩とかに間違われないのか、自分。

220あおがえる。 </b><font color=#d9a366>(LIMECkW6)</font><b>:2004/10/20(水) 23:42 ID:QkKI/1U.
>>218-219
いやいやいや、そんなの作者本人から言い出してもなんだか
照れくさいじゃないですかー。とかいいつつage。(笑)

「救命天使りたリン&hearts;」が初めてネットの日記でストーリーとして公開されたのは
10月6日。初めてりたリン&hearts;の肖像画が描き上がったの9月下旬、
余りにも長い病院での待ち時間に頭に浮かぶイメージを繋ぎ合わせて描いたのが彼女。
少しの間、サイトのトップ絵も飾っていましたね。

それからの一年間、名もない方々の支援を受けてりーちゃんは生き続けている。
「仮想世界」という触れても反応が帰って来ない電脳世界の中に。

明日、ちょうど通院しなきゃ行けない日なので…また、新たな気持ちで
りたリン&hearts;さんを描いてみようかな、と思います。
相変わらず病院の待ち時間は長いです。お茶でも飲みながら、のんびり待ちます。
それだけ社会の葛藤やストレスにさらされた患者さんが多いと言う事実でもあります。
ただ、台風の進路が気になりますね…まさか直撃?

私が入院した精神病院は1件だけですけど、(それでも十分すぎますか?)
「真っ白な壁」ではなかったですね…淡いクリーム色、というのか…。
通院経験のある2件の診療所も壁紙は淡い別の色でした。
「真っ白」な個室にとじこめられて(主観)入院でもしていたら
精神的に余計辛くなるんじゃないか、と、かってに解釈しています。

私が知らないだけで、真っ白な病室の精神病院もあるかもしれませんが…。
内科とか外科は完膚なきまでに白づくめですよねー。
私が一時期通っていた神経内科はここの壁紙のような薄黄緑の壁紙&カーテンで、
待ち合わせ室のカラーコーディネートも統一されていました。余談ですが。

221あおがえる。:2006/05/05(金) 19:16:16 ID:e3w13G6I
りたリンの成分解析結果 :

りたリンの76%は魔法で出来ています。
りたリンの21%は見栄で出来ています。
りたリンの3%はミスリルで出来ています。

222あおがえる。:2006/08/11(金) 01:20:51 ID:LqKqeVAg
http://uten.sunnyday.jp/kaizo/kaizo3/rita-momo.jpg
モモさんに描いてもらったりたリン&hearts;だよ。上手いよ。

223あおがえる。 ◆2XwiVo0D5s:2010/01/24(日) 12:44:03 ID:1i23DzPA
http://mangayomo.com/mxp/viewer.html?dir=/indies/aogaeru&amp;id=3300
りたリンさんお漫画を描きました。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板