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英雄幻想ガンパレードマーチ【本編】
1
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/04(金) 20:06:23
-プロローグ-
1945年【第5世界】
1939年に勃発した第二次世界大戦は、意外な形で終幕を迎えることとなった。
月と地球の間、二十四万㎞の距離に突如出現した黒い月。
それに続く、人類の天敵の出現である。人類の天敵、これを幻獣という。
神話の時代の獣たちの名を与えられた、本来、我々の世界にありえない生物である。
幻のように現れ、身に蓄えられた栄養が尽きるまで戦い、死んで幻に帰る。ただ人を狩る人類の天敵。人はそれが何であるかを理解する前に、そして人類同士の戦いの決着を見る前に、まず自身の生存のために、天敵と戦うことを余儀なくされた。
それから五十年。戦いはまだ続いている。
一九九七年四月。仁川防衛戦。ユーラシア大陸の最後の砦であった仁川要塞において、人類側は言葉も国籍の違いも乗り越え、決死の抵抗を試みるも要塞は陥落。
人類は四千万の死者を残してユーラシアから絶滅した。
……人類の生存圏は、南北アメリカ大陸と日本、アフリカ南部のみとなる。
ユーラシアから人類を駆逐した幻獣は、自然休戦期開け、ついに九州西岸から日本に上陸。ここに人類と幻獣の幾度目かの防衛戦争が開始された。
1998年、八代会戦。日本自衛軍は持てる戦力のすべてを動員し、限定的勝利を得るも、戦力の八割を喪失して無力化。戦略的には惨敗と言う結果に終わる。
事態を憂いた日本国政府は、1999年に二つの法案を可決し、起死回生をはからんとした。
ひとつは幻獣の本州上陸を阻止するための拠点、熊本要塞の戦力増強。もう一つは、十四歳から十七歳までの少年兵……学兵の強制招集であった。
召集された学兵は十万を超えるが大半はロクな訓練期間さえ与えられず戦場に放り出され捨て駒とされていく中変り種の5121小隊と言う名の精鋭部隊が誕生したが、それでも所詮は一個小隊、各防衛線は突破され学兵をオトリとした九州撤退作戦が発動、撤退命令を無視した5121小隊は多くの部隊を救出するも自衛軍は大打撃を受け、学兵に到っては無事撤退した兵士は招集された半数にも満たなかった、そして畳み掛けるように幻獣軍攻勢が開始された。
必死の抵抗を試みるも敵の新型幻獣や物量作戦に疲弊しきった自衛軍は押し込まれ遂に本土の横浜最終防衛ラインまで押し込まれる。
熾烈な物量作戦に防衛ライン陥落まで秒読みとなった、防衛ラインが落ちれば首都東京まで遮るものは何もなくなる。
このままでは日本も他の国同様に消えてしまう。
誰もが絶望し諦めかけたとき、不意に空に穴が開いた。
空だって誰かに見てもらいたいと思うものである、しかし絶望に染まり誰もが下を向いているため誰もが下ばかり向いていた。
そして世直しを始めるために空に穴が開いた、世界を救う希望[ヒーロー]を呼ぶために……。
2
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/04(金) 21:04:31
【自衛軍横浜基地/作戦会議室→ハンガー/峰津院 大和、君島邦彦】
夕暮れの作戦会議室にて、電気もつけずに高速でノートパソコンのキーボードを叩く音が響く。叩いているのは17歳の少年だ。彼は青を基調とした制服の上から黒いロングコートを羽織っている。
ふと目の疲れを覚えてドライアイ用の目薬を差すと、左手でテーブルの上に置いているコップに手を伸ばして、中身がカラだったことを思い出して少しだけ表情を歪める。
首をゆっくりと回して3分だけ休憩をとるとすぐにまたキーボードを高速で叩き始める、彼が受け持つ仕事は多い。近日中に発令される予定の大規模反攻作戦の立案、ヤマトが受け持つ『海軍第一特務旅団』の人員のスカウト、旅団の部隊編成、いずれ来るであろう風渡り(プレイヤー)のための部屋の準備、そして一番面倒な他派閥からの介入阻止。
これに加えて突発的に入るクレームという名のイチャモンに対応するのがヤマトの仕事だ、補佐であり同じ風渡りである君島邦彦と、参謀である東三条孝則、それから使えると判断してヤマト自らヘッドハントした優秀なスタッフ7名の合計10名で海軍第一特務旅団を切り盛りしていた。
再びキーボードを叩き始めてから十分後、作戦会議室のドアをノックする音が響く、ヤマトは画面に目を向けたまま「鍵は開いている。入れ」と短く返事をする。入ってきたのはブラウンのジャケットを羽織った茶髪の少年、ヤマトの補佐を押し付けられている君島邦彦だ。
『よっすヤマト、進捗はどうよ? こっちは頼まれてた物資の調達を全部済ませたぜ。陸軍はともかく海軍方の事務の人たちは良い人が多くて助かるぜホント。いい知らせと悪い知らせが一つずつあるけどどっちから聞く?』
「ご苦労だったな君島千翼長、悪い方から手短に簡潔に話せ」
『あいよ、また会津の連中からのクレームだ。前に生放送のテレビ番組で軍事評論家のシロウトをボコボコに叩きのめしたろ? アレのリベンジにもう一度お前さんをテレビに引っ張り出すつもりらしいぜ?』
「そんな暇はない、日本滅亡のカウントダウンが始まっているのに頭のめでたい連中だ、脳にウジでも沸いているに違いない。大方時間を削る嫌がらせだろう。それでいい知らせは?」
『今から3分前に特異反応が検出された、規模も範囲もまだ絞りこめてないくらいにはデカい。この調子なら3・4人は見込めるんじゃないか?』
それを聞いた途端、ヤマトがキーボードを叩く手が止まった。次いで今までの仕事を保存し、バックアップも取ると席を立った。その顔には笑みが浮かんでいた。
「ようやくか、部屋の確保が済んでいて助かったな。ともあれ大規模反攻作戦に間に合って助かった。君島、今すぐ竹内と入即出と九頭に連絡を。九頭には非常時に備えてハンガーで待機を、貴様を含めた残りは出撃準備だ。よそのたわけどもに嗅ぎつけられる前に早急に保護するぞ」
『了解、ところでさっきのイチャモンの返事はどうする? 一応急ぎらしいけど』
「バカめ、とでも返しておけ。行くぞ」
君島は天井を仰いで目元に手を当ててオイオイと呟いた。ヤマトは確かに優秀だ、優秀過ぎるのだ。常人の十倍は働いてなお余るほどに。だが時に彼は効率を極めて常道を外れる。それに周りは引っ張られるのだ。
君島も含めて引っ張りまわされても付いていける人材しか登用していないのだが、ヤマトは面と向かってそれを言わない。仕事は任せられる奴にしか任せない主義だ。
君島を引き連れて作戦会議室を出ると早足でハンガーに向かって歩き出した。その間に君島は携帯で東三条に連絡を取り、竹内優斗、入即出やる夫、そして九頭文治をハンガーに呼び出していた。
>入即出やる夫(竹内優斗、九頭文治)
【レス解禁です、入即出やる夫様はハンガーに。他の皆様はOVERSの問いに返事をして横浜基地近辺の荒野に出現して味方の迎えを待ってください】
3
:
<削除>
:<削除>
<削除>
4
:
カリー
:2020/09/07(月) 16:39:59
【横浜基地近辺/荒野/橋川清太郎(GAWND装着、Blitz griffon搭乗)】
◆Yes← ■No
―――――――――――
「……ん……」
鉛のように重い瞼をどうにかこじ開け、少しでも眠気を薄めようと手で擦ろうとし……『失敗』した。
「ここは……ああ」
直後、自分の軽い失態に嘆息した。
ここは愛機Blitz griffonのコクピットシート。殆ど日課と化していたこの機体での模擬戦、それで蓄積していた疲労のせいで休憩時間に居眠りしてしまったのだろう。
当然ながら愛用の白いパワードスーツGAWNDも装着したままだ。
瞼を擦ろうとして失敗したのも、手と頭の装甲がぶつかったからである。
さていつまでも呆けてはいられない。早く自室に戻りデスクワークやら何やらを片付けなければ。
「……!?」
そう思ったところで、異変に気付く。
座標がおかしい。
自分は今時空防衛連盟の模擬戦施設にいる筈だ。にも関わらず計器類には全く違う座標が表示されている。どういうことだ、もしや実戦任務中に眠りこけていたとでもいうのか。
いや違う、確かに自分は先程まで模擬戦をしていた。ここ最近実戦はしていない。
となれば、残る可能性は……
(連盟の所持する時空移動装置による事故、または他者によって強制的に移動させられた、か)
装置が異常を起こしたという、記憶もログもないので前者の可能性はほぼゼロ。そして消去法で後者と当たりを付けた。
そういえば先程寝ている時に夢でOrvers Systemとかいうプログラム?に介入だとか身を投じるだとかいう旨の質問を受けた。あれが本当に外部からの干渉によるものだとすれば、この状況にもとりあえず辻褄が合う。
一旦思考の整理はついた、次は現状の確認などが望ましい。
Blitz griffonの頭部を動かし、周囲の状況を調べる。
これといって特徴のない荒野が広がるばかりで、これも夢ではないのかと疑ってしまう。しかし、この地点からやや離れた場所に、建造物らしき反応があるのをレーダーで検知。何らかの形でこの地帯を管理している人間がいるのだろうか。
だとすれば、その人間に拾ってもらうのが理想的だろう。何しろこの時代?での自分は完全に根無し草、ここを離れたところでメリットはない。とりあえずこの場で30分程待機し、何の動きも見られない場合はこちらから接触することも視野に入れよう。
そう思案した瞬間、
「っ!?……え、あ……第五世界……幻獣……5121小隊……?」
突如として頭に強烈な違和感が襲った。頭痛や目眩とはわけが違う、まるで他人に脳をこじ開けられているような感覚だ、事実いままで聞いたことのない単語や情報が自分の中に流れ込んでくる。
「……はぁっ!」
暫く経ち、情報の流入が終わったことで違和感から開放される。
「……成る程、やっぱりここは待機で正解みたいだ」
今得られた知識によれば、あの建造物は横浜基地という軍事施設であり、既に自分のような人間を迎え入れる体制がある程度整っているそうだ。
返す返す、いきなり飛び回ったりしなかったことに胸を撫で下ろす。
>周辺all
5
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/09/07(月) 23:42:37
横浜基地周辺/荒野/マズルカ(騎乗)
マズルカ
「ゴッホゴッホ!…やれやれ砂っぽいところに出てしまったなぁ」
横浜基地に近い荒地に光と共に姿を現したのは実に奇妙な存在だった。二足歩行で動く機械(それは鶏の様にも見える)ドラケーターその後ろにはまるで引っ越しでもするかの様に
大きな錬金窯等荷物が乗せられそれに跨っているのは出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ美しいスタイルを持つ金髪碧眼の女性。その恰好はケープの様に纏ったマントやとんがり帽子
手に持った杖から絵にかいた様な「魔女」といった姿をしていた。こんな所(無人の荒地)でドラケーターに乗っていなければハロウィンの仮装にしか見えなかっただろう。
この異形の歩行機械(ドラケーター)に乗った女性の名はマズルカ。幽かに魔法が存在する不思議な世界テネスからやってきた外見通りの魔女である。とはいえその力は全盛期に比べ衰えており
かつて行使出来た次元を渡る様な大魔法等は使えなくなってしまい、今ではマナとリソース(資源)を使って作り上げた人形兵を使役する程度である。しかし今まで培った知識や技術が全て
消え去った訳ではなく、恐らくそうした理由からなのだろうOrvers Systemの問いかけにも二つ返事で答え、空に開いた穴…転送ゲートを通って移動しこの第五世界にやって来る事にも抵抗が無い所か
二つ返事で了承しこうしてまるで近場に散歩へ行く様にして第五世界にやってきた。とは言えこれ程荒廃しているとは思っていなかった様だ。
マズルカ
「ご丁寧にこの第五世界なる世界の知識も与えてくれたのは有り難いけれど、こうなんで私の行く世界は大体滅びかかっているんだろうねレキテーちゃん。ん?私が選んでる?いや確かにそうだけど」
独り言にしてはずいぶんと流ちょうに話しているが、実際には彼女が言うレキテーちゃんと呼ばれる存在(現在は彼女が身に着けたペンダント化)と会話している。とはいえレキテーちゃんこと
妖路歴程(ようろれきてい)はマズルカとしか意思疎通が出来ない為他の人間から見れば独り言に変わりはないだろうが。
マズルカは改めて周囲を眺めながら頭に流れ込んだこの第五世界の知識を反芻する。劣勢に立たされた人類。絶対敵たる存在幻獣。そしてその状況を変える存在として呼ばれた者達。
恐らくその中に自分も入っているのだろうがはてさてそんな大役をこなせるかとマズルカは少々不安でもあった。とは言え一人では無いだろう…という楽観的な考えによって
その不安を払しょくすると、携えた杖を動かし何時の間にか杖の先に止まっていた黒い鳥…烏を空高く舞い上がらせる。同時に鞄の中に手を突っ込んでごそごそと中を探り、手に掴んだ人形を放り投げる
すると小さな人形は一瞬眩い光に包まれ、次の瞬間には人間程の大きさになっていた。くすんだ灰色のトレンチコートに革製のベルトを付け、武骨なヘルメットに簡素なガスマスクを装着した
この第五世代の時代から考えれば古臭い格好まるで第一次大戦時の兵士。しかし手に持った銃はボルトアクションライフル等ではなく、武骨ながらも異質な形をしている。
之はラスガン(粒子銃)と呼ばれるレーザーライフルの一種であり、射程、命中精度、装弾数どれをとってもこの時代(90年代)主流の実弾式小銃に比べ勝っている。
使い魔である黒烏は天高く飛びマズルカの周囲を偵察し、今いる地点の大まかな情報をマズルカに伝え、出現した数体の人形兵はマズルカの傍で気を付けの姿勢のままぴくりとも動かない
勿論(そんなことは無いだろうが)マズルカに対して不用意あるいは敵意を持って接近する何かが現れれば、人形兵達はその身を投げうってでもマズルカを守るだろう。
マズルカ
「うーん転移の影響か周囲の状況が良く分からないな。何か大きなロボット(Blitz griffon)がちらっと見えた気もしたけれど…まぁ今は大人しくしておこう」
とりあえず警戒だけしてマズルカ本人は動かず待機する事にした。
>>ALL
6
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/08(火) 20:29:16
【自衛軍横浜基地/ハンガー → /峰津院 大和】
ハンガーに召集を掛けて3分後、ヤマト、君島、優斗、参謀の東三条、そして無言のままコクピットに乗り込んだ九頭文治を含めた五名が集まっていた。
突然の招集だったが皆の行動は早かった、まだ入即出やる夫が来ていなかったがそのうち来るだろうと判断してヤマトは話を先に進める。今は時間が惜しい。
「入即出を除いて全員集まったな? 先に話を進めるぞ。現在特異反応が検出されている、規模も数もまだ絞り込めていない程に大きい。東三条大尉、詳しい現状は?」
『はい、現在横浜基地より少し離れた場所に二名現れているのを観測しています。一人は全長約10mほどのブルーの機体、もう一人は目視で姿を確認できていませんが、座標は絞り込めています』
「ご苦労、では私がブルーの機体の方へ向かい、君島千翼長はもう片方の方へ向かえ、出迎え方は打ち合わせ通りにな。東三条はフリーダムと通信を繋げて逐一現状を報告しろ。竹内千翼長は九頭万翼長と共に待機だ。他に風渡りが現れた際の指示は追って出す、いいな?」
『峰津院旅団長、やる夫君が来た際はどう伝えます?』
「ハンガーにて待機させておけ。では私と君島千翼長で出るぞ、ああ、念のために言っておくが飛行許可はまだ出さない。ホバー飛行は許可する。では総員、行動に移れ」
『『了解!』』
ヤマトの号令の下、各々は行動を開始する。君島はハンガーの二階へ駆け上がり士翼号のコクピットに入り神経接続を開始し、参謀の東三条は関係各所に根回しを開始する。
先んじてヴォルケイン改のコクピットに乗り込んでいた九頭文治は足を投げ出してコクピット内で煙草を吹かしている。待機を命じられた竹内優斗は更衣室に入って航空兵用のウォードレス『ベイビーバード』に着替えてハンガー内でやる夫を待つ。
――――
――
―
【 → 横浜基地近辺/荒野/峰津院 大和】
コクピットに乗り込みOSを起動、戦闘になる確率はあるが、それはかなり低いといえる。今のところ幻獣出現の兆候は無しだ。如何に世界が滅び掛けていようともOVERS Systemを名乗ったあの声の主はいくら何でも人格位は選考してくれると信じたい。
メインシステム起動までに掛かる時間は少なく、『本来の日本人なら忌避するであろう』動力は順調に稼働している。ハンガー内をモニターに映す、今も忙しなく整備兵が動いている。ヤマトが一声かけるとハンガーの入口を開けて、傍の整備兵が出撃OKのサインを送る。
「峰津院 大和、フリーダムガンダム、出撃する」
機体を歩かせてハンガーを出ると移動をホバーに切り替えて、青い翼と白いボディを黒と灰色に塗り替えたフリーダムガンダムはゆっくりと加速してエイビーブルーの機体(Blitz griffon)目掛けて接近する。
現状あの機体は動く様子は見られず、周囲を索敵でもしているのだろうか? ともあれ機体の距離を10mほど開けて静止、コクピットを開けて身を乗り出すと手に持った拡声器でネイビーブルの機体(Blitz griffon)のパイロットに声を掛ける。
「私は『海軍第一特務旅団』の団長、峰津院大和だ。諸君らには風渡り、プレイヤーと言えば聞こえはいいだろう。現在我らは滅亡に対抗するために『異世界からの風』を集めている。
諸君ら風渡りには衣食住と金銭、戸籍制作などの用意がある。他にも希望があればそれらを叶えることも可能だ、場合によっては時間を要するがな。そちらの用意が出来次第こちらの誘導に従ってほしい。現状で質問などはあるか? 可能な限り答えよう」
態度こそ高圧的なものだったが、要件を簡潔に述べるとコクピットを横殴りに吹き付ける風に黒いコートをはためかせながらも青い機体の反応を見る。
一見無防備に見えるが、ヤマトはしっかりと『対策』をしている。さて、新たなる風が優秀かつ利口ならばこちらは大助かりなのだが、向こうはどう出るか。無暗に移動しようとしなかっただけ話し合いの余地はあると思いたいが。
>橋川清太郎(Blitz griffon)
【マズルカさん宛のレスは後ほど、もしくは後日です】
7
:
カリー
:2020/09/10(木) 18:52:07
【横浜基地近辺/荒野/橋川清太郎(GAWND装着、Blitz griffon搭乗)】
ちょっとした暇を持て余していると『何もない場所が光る』としか表現できないような事象が起こった。余りに非現実的……なのは今更だろう、ここは冷静に解析でもするべきか。
慣れた手付きでコンソールを数度叩き、スキャンを開始。
「これは……成る程」
コクピットスクリーンに表示された簡易的な分析結果を見て、一人納得した。
この数値パターンには見覚えがある。自分もよく使う時空移動の際に起こるものと類似していた。
(……ということは)
考えられるのは一つ、やはりOrvers Systemに選ばれたのは自分一人ではなかったということだ。
その予想を裏付けるように、光の中から人影が現れる。
第一印象は正しく『魔女』だ、服装もそうだが実際に魔力らしきエネルギーが彼女の体内から検出されている。そして純粋に女性として見目麗しい。自分の職場である連盟にも、何人か美人とカテゴライズできる女性はいるが、彼女も引けをとっていない。
また、彼女が騎乗している歩行ユニットらしきものも気になる。後で本人に詳細を聞いてみようかと考え始めたところで、高エネルギー反応が接近してきた。
「っ!?」
反射的にレーダーを凝視、しかし機動力が高いのかすぐさま肉眼(メインカメラ)で確認出来る距離まで近づいてくる。侵入角を見るに、横浜基地の人間がコンタクトを取りにきたのだろう。
黒と灰色が基調の、可変翼が付いた機体。こちらもスキャンしてみたところ、装甲部分に随分と特徴的な機構が見られる。何か特殊な機能があるようだ。そして何より動力部から発せられるエネルギー反応……
(か、核エンジン!?)
一瞬何かの見間違いかとも思ったが、分析結果の表示の数々を見てそれが厳然たる事実と認める。
現地人に悪印象を持たれないかだとか、そもそもこのサイズの機体にそんな大出力が必要なのかとか色々気になるが、それらについて思考を深めるのは後だ。今は交渉を円滑に進めることに注力しなければ。
羽の機体はおよそ10mまで近づくと、パイロットが直接姿を晒して勧誘?を行った。
正直言ってかなり助かる。何しろ自発的に元の世界へ戻る手段が無い以上、戸籍などを持っていない現状は非常に肩身が狭いからだ。Orvers Systemから、横浜基地の者達と協力することは知らされているが、やはり直接確認を取るまでは一抹の不安があった。
「いや、今は特にないよ。これからそっちの誘導に従う」
迷いなく二つ返事で答える。戸籍だけでなく衣食住や金銭まで与えてくれるとは願ったり叶ったりだ。ここまで取り持って貰えると多少の汚れ仕事を覚悟してもいい。
大和と名乗った男にいつでも追従出来るよう、左右の操縦桿を握っておく。
>周辺all
8
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/10(木) 21:41:05
【自衛軍横浜基地/ハンガー → 横浜基地近辺/荒野/君島 邦彦(士翼号)】
夢を見ていた、荒々しくも雄々しい夢を。
二人の男が荒野で戦っている、一人は髪を逆立てた異形の腕を持つ少年、君島の相棒だった少年、名はカズマ。
もう一人は白と青を基調とした制服を着た少年、名は劉鳳。HOLYのエースにしてカズマのライバル。
二人のぶつかり合いは凄まじく、その余波で周囲が破壊されていき、軽微であるが次元が歪むほど。互いに激情をぶつけ合いカズマがポケットから拳銃を取り出し、空高く放り投げる。
「行こうぜ君島!これは、この光は!俺と、お前の輝きだああぁぁぁぁぁぁぁ!」
拳銃がアルター分解され、周囲にまばゆい光が溢れだし、時空のゆがみがさらに大きくなる。そして二人の更なる力のぶつかりは本来有り得ない次元へと世界を繋げてしまい――――。
『君島くん、応答してください。君島くん?』
「……っは! 夢、いや”グリフ”だったか……しかしあの光景は……悪い、今目が覚めたぜ参謀さん」
『随分長かったですね、旅団長は既に風渡りの一人と接触しています、君島くんも急いで。武装は念のためジャイアントアサルトと超硬度小太刀を背部にマウントしています』
「了解了解、今から急いで接触する。基地からあまり離れていないみたいだし大丈夫だろ。出撃するぜ」
機体を歩かせてハンガーから出るとホバー飛行で基地から少し離れた地点、特異反応を観測した地点がご丁寧にレーダーで表示されている。
昔はこんな上等な設備など無く、全てはアナログな方法でやってたから大分恵まれていると思うが、それでも初っ端から一度の敗北で日本滅亡というシャレにならない状況だ。
ホバー飛行を3分続けていると目視で確認、遠くには青い機体とヤマトの黒と灰色の機体が見える。目視できる範囲内にいたらしい。だったらヤマト一人でもいいんじゃないかと思うが、まあもののついでみたいに扱われるのは誰だって嫌だしな。特に一緒に戦うかもしれない仲間なら。
「あーアー。テステス、よし感度良好っと。ヘイそこのおねーさん……いや、これだと一世代前のナンパだな……悪い悪い、俺は君島邦彦ってんだ。アンタと同じ風渡りって言えばわかるな?」
軽妙、というよりは結構軽薄な感じのトークで君島は切り出して左手を振ってみる。その動きは機体にも反映されていて、機械なのにどこか人間臭く映る。
さて、この後に言うことは大体ヤマトから聞いている。とりあえずそのまま話を続けよう。
「ちょっと色々立て込んでてな、話が分かるってこと前提で話を続けるぜ。俺たちはこの国の軍隊、自衛軍ってんだが、その中の『海軍第一特務旅団』、長いからダイイチでいいや。そのダイイチに風渡りを集めてるんだ、保護を含めて全員そこに所属してもらうことになる。
衣食住と金と戸籍、その他にも色々必要なものがあれば適宜こっちで準備させてもらう。何か質問がなければ横浜基地に案内したいんだが、大丈夫かい?」
ヤマトの様な高圧的ではない軽い口調で話を進めていく。機体がなければ機体の手の平に乗せて行ってもよかったんだが、何か乗り物がある上に色々荷物を積んでるみたいだ。
あの窯みたいなのはなんだろうな? 格好と合わせて魔女の窯みたいだな。某ね〇〇るねーるのCMみたいな感じで。口に出してへそを曲げられると面倒なので考えるだけで言わないけど。
>マズルカ
【ヤマトのレスは明日か明後日に返させていただきます】
9
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/09/11(金) 10:53:40
横浜基地周辺/荒野/マズルカ(騎乗)
小型二輪程度の大きさしかないドラケーターに跨り、ぼんやりと使い魔の烏から送られる情報を眺めるマズルカ。どうやら向こうの大きなロボット(Blitz griffon)にはお迎えが来た様だ。
という事は自分にも恐らく…と思っていた所、大きなロボット側に来た迎え(フリーダム)と比べやや小型の中型機動兵器(君島の乗る士翼号)が此方にやってきた。
ホバー走行で舞い上がる粉塵と風によって少々あおられ、めくれそうになったスカートを抑えつつマズルカもまた君島に対して笑顔とと共に答えた。しかし満面の笑みで手を振り返す
マズルカと違い周囲に立っていてた人形兵達は素早く散会し、ラスガンの銃口を士翼号に向けている。
マズルカ
「やぁやぁ態々お出迎えまでしてもらって恐縮だね。私は…ん?之聞こえてるのかな?(そう呟くと後ろに積んでいた荷物の中から拡声器を取り出す)アーアー聞こえているかな?
私はリマーシュ・マズルカ・エルマ御覧の通り魔女だ。細かな質問はあるがとりあえずお互い腰を落ち着けられる所に移動してからが良いだろう君に従うよ」
右手に杖左手に拡声器という妙な出で立ちは兎も角君島の提案事態には素直に乗る様だ。更に話を聞いた後杖を振るうと人形兵達も構えていたラスガンを降ろし、更に光と共にパッと消えてなくなった。
マズルカ
「行き成り武器を向けて悪かったね今のが私の数少ない魔法らしい魔法さ之も後で詳しく話すとしよう。それじゃあ案内を頼む…というかその機体(士翼号)に乗せていって貰えないかな?
大丈夫この乗り物ドラケーターというのだけれど、荷物と私を含めて500kgも無いから君の機体なら手に乗せて簡単に運べるだろう。いやー街乗りならいいんだけれどね
之馬力は全然ないから速く移動したい時にはちょっと困るんだよ。それじゃその横浜基地とやらまで頼むよー」
終始ニコニコして話すマズルカは自身も魔女と名乗ってはいるが、どちらかと言えばコスプレをした女子高生辺りにしか見えない。先ほど見せた兵士(人形兵)を消す魔法を見なければ
魔女というのも語りにしか思えなかっただろう。尚マズルカの言う通り実際ドラケーターはかなり軽く君島の技量的な問題が無ければマニピュレーターに乗せて簡単に運搬出来そうだ。
君島の機体に便乗あるいは追従して移動する間も、ころころと表情を変えて君島の機体である士翼号や横浜基地周辺の風景を眺めている。
>> 君島 他ALL
10
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/11(金) 18:12:52
【横浜基地近辺/荒野→自衛軍横浜基地/ハンガー/峰津院 大和】
返事に少し間があったように思えた、恐らくこちらの機体のスキャンでもしていたか、とヤマトは勘繰る。この機体は感覚が正常な日本人なら忌避するであろう核が動力として使われている。
だがこの世界はあるべき歴史を辿っていない、広島と長崎に原爆が落ちていないのだ、落ちる前に幻獣が現れてそれどころではなくなったというべきか。
スキャンされているというのは推測の域を出ないし、必要もないのに藪をつつく趣味はない。だがもし彼が技術者として優秀であれば、ヤマトが、日本国首相が欲している装置を作れるかもしれない。ニュートロンジャマーキャンセラーという実物もあることだし、芝村の手を借りれば制作は不可能ではない。
「感謝する。実はこのあたり一帯にまだ風渡りが現れる兆候が出ていてな、他所の愚図共に捕獲される事態は避けたいのだ。皆が皆君のように協力的であればいいのだが……すまん、愚痴になったな。ともあれこちらだ、機体格納の際は整備兵の誘導に従ってほしい」
まだ名も知らぬ風渡りの協力的な対応に感謝を述べると現状とわずかな愚痴を零す。特異反応の探知はヤマトが作ったアプリでしかできず、会津の連中には突然人が現れたようにしか見えないはずだ。
竹内優斗という例外はあったものの、凡そはヤマトたちが先手を打てる。
だがそれでも球に現れた人物や機体の情報を欲するのは会津とて同じ、それを様々な手段でシャットアウトするのがヤマトの仕事だ。幸いヤマトを味方する人間は階級の高低関係なく多い。下は学兵から上は日本国首相まで、このコネクションをわずか二週間で築いた。
コクピットに戻ると通信で参謀と連絡を取る。
≪東三条、風渡りを一人確保した。これよりハンガーに期待を搬入する、細かな手続きは任せるぞ。それと竹内千翼長に出迎えをさせろ。彼なら適任だ≫
≪了解しました、そのまま彼をこちらに。幸いまだ会津派閥には気付かれていないようですので、気付かれる前に済ませてしまえば余計な手間は省けます≫
青い機体を誘導するように低速のホバー飛行で横浜基地のハンガーに向かって移動を開始する。普通に飛行した方が速いのに何故そうしないかというと横浜基地は市街地から割と近い。
それ故に飛行すると騒音で苦情(という名の嫌がらせ)が来るのだ。その程度跳ね除けるのにヤマトは苦労しないが、余計な手間は出来れば省きたいというのがヤマトを含めた海軍第一特務旅団の意向だ。
それを彼に伝え忘れたが、低速で向かっているということの意味を少し考えれば理解してくれるだろう。というヤマトにしては珍しい希望的観測を抱きながらも移動を続ける。
ハンガー内では整備兵が忙しなく動いている。ヤマトが連絡を入れてから僅かな時間しか過ぎていないのに受け入れ態勢は既に整っていた。
その中でも髪を狩り上げた人の良さそうな少年、竹内優斗千翼長が青い機体(Blitz griffon)の誘導を行っていた。それを終えた後に彼に案内や説明を行う心算らしい。
>橋川清太郎(Blitz griffon)
【君島のレスと分けます】
11
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/11(金) 18:14:38
【横浜基地近辺/荒野/君島 邦彦(士翼号)】
「おっと待て待て、敵じゃねーよ。つかどういうことだ? 反応は一人だったはずだが、団体さんじゃんかよ。大尉? 聞こえてますー?」
≪え、ええ、聞こえてますよ君島くん。ですが何度確認しても反応は一つですが……≫
「どういうこった? ああ、ワリィなリマー……ねーちゃん。ちゃんと聞こえてる、この機体足の方に収音マイクついてるから会話にゃ困らないよ」
こちらを確認して散開しつつ銃口を向けてきた人形兵(君島には人間にしか見えないが)に手を挙げて敵意がないことを知らせるが、驚いたことにマズルカが杖を振るうと彼らは光となって消えた。
一瞬混乱しかけたが、直ぐに冷静になり「なるほどね」と納得するように頷いた、カズマ達のアルター能力とは違うが、これが彼女の武器なのだろう、そう判断した。
アルタ―能力も千差万別だった、中には理想の彼女を作るとかいうワケワカラン奴もいたことだし、世界が違えば理も違うといったところか。
ちなみにマズルカの名前を途中で切り上げてねーちゃん呼びになったのは何と呼べばいいか分からなかったからだ。フルネームは一応覚えたがそれだとなんかお堅いし。ヤマトだったら躊躇いなくフルネームで呼ぶだろうが。
「オーケー、全部理解したとは言わねーが大体わかった。そっちの観測は間違っちゃいないぜ大尉殿。後で詳しく説明するわ。つーか、人型戦車ってそんな重いモノ乗せられたっけ? 歩くだけで壊れる代物って原さんの講義で聞いたけど」
≪問題ありませんよ、人工筋肉も大分発達してきてますし、昔ならともかく今なら1tでも余裕です≫
「りょーかい、けど人型戦車に乗るって言っても手に乗せて運ぶ形になるけどいいのかい? これ単座型だからコクピットに入らねーし、まあホバーなら大して揺れないから大丈夫だと思うけど」
君島は魔女というワードには一切触れていないが、それは信じていないから、ではない。むしろ逆だ。世界が違えばそういう存在もいるだろうと何となく理解している。
ファンタジーな魔法とは違うが君島はヤマトと九頭文治の”生身の”激戦を間近で見ている。ヤマトは魔法スキルで容赦なく文治を追い立てて、文治はそれをかわしながらも隙あらば銃弾を撃ち込んでいた。おかげで演習場の一角が絨毯爆撃くらったみたいな荒れ方をしてた。
そんな光景見てたら魔女だのなんだのに拘るのも馬鹿馬鹿しくなるってものだ、要するにそんな超常現象モノにはもうなれているのである、前の世界の事も含めて。
士翼号が片膝をついて両手を前に下ろす。「大丈夫なら手に乗ってくれ」ということらしい。
>マズルカ
12
:
カリー
:2020/09/14(月) 21:59:17
【横浜基地近辺/荒野→自衛軍横浜基地/橋川清太郎(GAWND装着、Blitz griffon搭乗)】
「了解、ハンガーへ着いたら整備兵に従えばいいんだね?」
大和の引率に倣い、再びコンソールを操作し機体の挙動をホバー飛行に設定する。
各部推進系から青白い噴射炎が吐き出され、巨大な金属のボディを僅かに持ち上げる。目の前の機体より小さいといっても、人間や乗用車を軽く踏み潰せるサイズであることに変わりはない。
これはついさっき気付いたことだが、居住エリアが割と近い位置に存在するようだ。何かの拍子でそこへ突っ込んでしまったら、あらゆる意味で目も当てられない事態となってしまう。
(とりあえず、最低ラインの出力でいいか)
左右の操縦桿をゆっくり前へ動かし、絶対に追突しないような速度で彼に追従した。
(他所に捕獲される事態……か)
胸中で大和の言葉を反芻する。この世界の軍隊も一枚岩ではないらしい。
……否、そもそも大きな組織は基本的に一枚岩、とみなすのが間違いか。自分のいた連盟も、それに敵対してきた組織も、凡そ内部に複数の派閥といえる分け隔てがあった。
「……! あれか」
暫く経ち、ハンガーが見えてきた。既に情報伝達は済んでいるようで、こちらを迎え入れる準備は終わっているらしい。
ハンガーへ入ってからは刈り上げの少年に誘導され、程なくして停止位置に到着。各種シーケンスを終えると、コクピットハッチを開き機体から降りた。
しかしまだ素顔を晒したわけではない、愛用の白いパワードスーツPS-M-3352-GAWNDは装着したままである。
なので傍目からは人型機動兵器の中から、等身大の人型機動兵器が出てきたようにしか見えないだろう。
――いずれそれも脱ぎ、皆と顔を合わせての交流をすることだろうとは分かっている。だがそれでもすぐに全てを曝け出すような行動は出来なかった。何しろ学生時代からほぼ一貫して、この醜い素顔を隠し続けているのだ、それを一朝一夕で改善させられるほど自分は出来た人間ではない。
ただ、今はそれよりも――
「えっと……僕はこれから具体的にどうすればいいのかな?」
少しばかり困惑した声色で、白い頭部装甲越しに少年へ伺う。
>竹内優斗
13
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/18(金) 21:28:01
【自衛軍横浜基地/ハンガー/竹内 優斗】
「おお、位置ぴったりだ。操縦上手だな」
機体を誘導していた優斗だが、誘導した位置ぴったりに機体を移動させた橋川清太郎が機体から降りてくる前にボソリと呟いた。しかし異世界から来た機体ということでやはり未知の塊みたいな機体だと思った。
そして彼がコクピットから出てきたのを見て小走りで彼の元へと駆け寄る。これまた見覚えのないパワードスーツだ。単純な筋力補助を目的としたウォードレスとはまた違う設計思想に見える。顔は見えないが真正面に回ってピシッっとした海軍式の敬礼をする。
「遠路遥々お疲れ様です、当自衛軍横浜基地は貴方の到着を歓迎します。自分は海軍第一特務旅団のパイロット兼整備兵の竹内優斗千翼長であります。
あ、千翼長というのが学兵……所謂学徒兵の階級に当たり中尉相当になります。まあ学兵は徴収兵なので実際の発言力はさらに二つほど下の階級のものになります。我が旅団は複雑な事情により階級は学兵の物が適用されるんですよ」
敬礼の後にヤマトから指示されたように挨拶をすると簡単に階級の説明をする。だがその口調は一貫して柔らかく、どこか人の良さと軍人としての未熟さがにじみ出る様なとっつきやすそうな雰囲気だった。
優斗はこの旅団に於いては人が良い一般市民的なポジションにいる、だがそれでも腐っても軍人である。目上の人間には敬意を示すし、命令に考えなしに唯々諾々として従うだけの兵士でもない。それでは生き残れなかったから。
さて、ちょっと捲し立てるように喋ってしまったが、彼はこの後どうすればいいかと聞いてきた。その質問に対処するためのマニュアルはしっかりと覚えている。
「はい、特異反応が収まり次第会議室へ集合して必要な手続きをしていただくことになります。特異反応というのは貴方たち風渡りが現れる兆候のことですね。
今すぐでなくても結構ですが、もう少ししたら用意した制服に着替えていただいて、会議室へ案内します。今のうちに何かしておきたい質問などはありますか? 僕に答えられることであればなんでも答えますよ。あ、その前にお名前をお聞きしてもよろしいですか?」
そういって人の良さそうな笑みを浮かべる少年、竹内優斗。質問に答えるうちにうっかり言わなくてもいいようなことでも口走りそうな雰囲気であるが。
>橋川清太郎
【返信遅れて申し訳ないです】
14
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/09/20(日) 00:52:31
横浜基地周辺/荒野/マズルカ(騎乗)
マズルカ
「うーんそこまで覚えづらい名前だろうか?まぁ気軽に魔女のお姉さんとかマズルカとでも呼んでくれ」
困った様子の君島を察したのかマズルカは好きに呼んでくれれば良いと付け加えた(ただ自身のフルネームに対して少々思う事があった様だが)
士翼号が片膝をついて両手を前に下ろすと小さい自動二輪程度の大きさのドラケーターは器用な足取りで、ちょこんと座り込む。曰く安定性は高いからぶん回しでもしない限り落ちる心配はないそうだ
マズルカ
「之(ドラケーター)は軽いと言っただろう?ははその機体の持つ太刀や機関砲一本分の重さも無いから負荷の心配もないさ。それに移動時の振動もこっちで緩和出来るから問題ない。
後は君(君島)が静かに運んでくれれば万事OKさ…まぁよほど振り回しでもしない限りこっちでも掴まっているから大丈夫大丈夫さぁ折角の機会何だから頼むよ」
どうやらマズルカは士翼号の手に乗って移動したいらしい。それについて聞くと「巨人の手に乗って移動するのは浪漫だろ?」との事。中々愉快な性格をしてるらしい。
実際士翼号の両手に乗った状態で起動し、歩行やホバー走行を始めてもまるで人間が手のひらに小鳥を乗せているかの様に、安定した状態を維持している。
マズルカが問題無いと言ったのも納得といった所か。彼女はというとまるで子供の様に士翼号や周囲の景色を監察している(落ち着きのなさもまるで子供の様だ)
マズルカ
「良い腕をしているねぇだが流石に私の可愛いお尻に少々ダメージが蓄積してきた様だ。ここの所私も乗りっぱなしだったからねぇ。その基地とやらには足を延ばせるお風呂はあるかい?」
移動中も君島に対しては他愛のない話しかしない。ある程度知識を与えられたと言っても普通異世界に放り込まれたら、疑問や不安が渦巻きそれが矢継ぎ早の質問に変わってもおかしくはないが
この変わり者の自称魔女はそうした気配や様子はなく、ずっとこの調子で飄々としている。
15
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2020/09/23(水) 00:12:11
【自衛軍横浜基地/ハンガー/入速出やる夫】
「zzzzz…あ…いつの間にか寝てたお…え呼び出し!?」
ヤベェ、と散らかった机の上から慌てて起き上がる一人の少年。
彼は入速出やる夫、本来であれば本人というより日本に住む一般人の認識からすれば平穏な世界で暮らしていた。
ところが中古屋ゲームショップでガンパレードマーチというゲームを見つけてから運命が変わる。
いや本人は分かっていないだろうが再び始まったと言うべきか。
とにかく細かい諸々は今は語らないがやる夫は現在第五世界という場所で海軍第一特務旅団に所属している。
そこで幻獣と呼ばれる第五世界に住まう人々の天敵と戦うために一兵士になった。
しかし入速出やる夫は戦争とは無縁の学生で暴力と戦いには一切の素人。
この世界に飛ばされた時実際に幻獣に遭遇し本人もその時は覚悟する暇も無いほど死ぬんじゃないかと思った。
だが生き残った。理由は分からない、此処で異世界転移で自分の眠っていた能力が目覚めたとでも喜ぶには
頭のネジは飛んでないし恐ろしさが先行し身に染み付き、実際手放しで素直に喜べるものではない。
実際に経験すればそれがよく分かった。土壇場で覚醒するように殺せたりするのは何処かおかしいのだとも。
故に死に物狂いで生き残る術を得ていた。死にたくないからという単純な理由で。
だから断じて連絡に居眠りして反応するのが遅れたのは自家発電だの趣味にかまけていた訳では談じて無い。
それくらいの寝る間も惜しまず強迫観念に駆られるような素人が追いつく為の努力を今はしていた。
とにかくハンガーに向かえと言う命令が来ているので大急ぎで熊帽子と熊の尻尾が付いたハードレザープレートメイルに着替え、
装備一式を持って部屋から飛び出る。
「す、すいません!!遅れてしまいましたお!」
ハンガーに出来る限り早足でやってくる。
尚目の下に隈と体型的に少し痩せた様な姿で現れるのは
精神的に疲弊しているのも見えるし見ている人間には根を詰めてでも皆に追い付こうとしているようにも見える。
人によって別れるだろう。
>ハンガーall(竹内優斗)
16
:
カリー
:2020/09/23(水) 01:27:29
【自衛軍横浜基地/ハンガー/橋川清太郎(GAWND装着、Blitz griffon搭乗)】
一見優男の印象があったが、やはりそこは軍人。敬礼をはじめとした一連の行動は確かな風格を纏っている。それでいて人当たりのいい口調でもあったので、内容はすんなり頭に入った。
仮に忘れたとしてもGAWNDのCPUのログを漁れば問題ない。
(あー……やっぱりそうなるよな)
優斗の話の途中で『制服に着替えて貰う』という旨のものが出てきた。着替えるということは即ち、この機体を脱ぐことに他ならない。
(……いや、いい加減切り替えよう)
この流れになるのはわかりきっていたことだ、いつまでもグズグズして他人の足を引っ張るわけにはいかない。戸籍やら何やら用意されておいて、まだ我儘を言えるほど自分は落ちぶれていない。
それに、直接顔を合わせて話せば信頼関係をより早く進められるだろう。
「そういえばこっちから自己紹介はしてなかったね。僕は橋川清太郎、時空防衛連盟所属、兵装管理及び研究開発担当をやらせて貰ってるよ」
思えば戦闘員として戦ったことはあっても、正式な軍人として編入されたことはなかった。
……自分も罵声を浴びながら走ったり筋トレさせられたりするのだろうか。
そう考えると額に嫌な汗が流れる。正直勘弁して欲しい、このGAWNDを着た状態ならどんな過酷な運動でも平気だが、それがないと一般人の平均以下の能力しかないのだ。
「……それじゃあ、着替える為のロッカー室とかないかな? 流石に人目があるところで下着姿になるのは嫌だな」
優斗に、風渡りにも訓練等はあるのかどうか教えて貰ってもよかったが、恐らく具体的な決定権は大和が持っているので、後で彼に確認しようという結論に至った。
ふと横目である機体を見つめる。ハンガー内ゆえ整備中の機体が何機か鎮座しており、己の性分からそのうちの一機を凝視、半ば無意識にスキャンも行う。
全長およそ9m、灰色にほぼ統一された装甲、球状の肩部装甲……
(足の指もあるのか)
人型機動兵器は数あれど、足の指まで作られているのは少ない。比較的細身のシルエットなども考慮すれば、人型としての動作や可動域、ひいてはパイロットの直感的な挙動に重点を置いた設計だろうか。
(しっかしこれ姿勢制御が大変だぞ……)
二足歩行兵器が抱える永遠の課題の一つとして、姿勢制御の難しさが挙げられる。この機体もその例に漏れず、戦闘機動が困難な構造である。またそれに伴い整備面も劣悪になるだろう。事実いま担当している整備員達はかなり手こずっているようだ。自分もこの点には随分と苦労させられた。動力に人工筋肉も使用しているようだが、やはり根本的な解決とまではいかない。
制御系にブラックボックスが多数あるのも気になる。簡易的なスキャンだけではその中身まではわからなかった為、これも後で大和に聞いてみることにした。
(おっと、少し考え込み過ぎたな)
思考がすっかり逸れてしまったことを自省し、優斗からの返答を待つ。
>竹内優斗
【いえいえお気になさらず、僕もこの通り調子が悪いとかなり遅筆になるので……】
17
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/25(金) 14:44:27
【横浜基地近辺/荒野→自衛軍横浜基地/ハンガー/君島 邦彦(士翼号)】
「呼びにくいって程じゃないけど、どうも日本人は長い名前をパッと覚えたり読んだりするのが抵抗があるのかもな。ホラ、日本人って割と名前短いじゃん? ミドルネームとかないしな、とりあえずよろしくなマズルカの姐さん」
士翼号の手のひらにちょこんと乗っかるマズルカ。そしてバイクを掴んでみるが、これがまた本当に軽い。バイクというよりは原付に近いかもしれないな。
どこかウキウキして見えるマズルカだが、気持ちは君島にもわからなくはないので「分かるわ〜」と返した。操縦の師匠である滝川センセーも人型戦車のイベントでお披露目をやったときに一番人気だったのがイタリアンイエローの彼の機体で手の平に子供を乗せて歩いたりしていたそうだ。
結果イベントは大盛況で終わったそうで、滝川も士魂号の十分の一のフィギュアをタダでもらってホクホクだったらしい。まあ、俺も乗れるものなら乗ってみたいとは思うが、今の君島はパイロットであり、誰かを乗せる側だ。
「いや〜、それほどでも。ってかやっぱりこの辺の技量は前もっての『刷り込み』による面がデカイな。そうでもなきゃこうしてホバー飛行での移動も難しい。訓練期間もバカにならないしなー。
もちろん風呂くらいはあるが、その前に最低限の書類の記入とかの手続きがあるんだわ、悪いけど先にそっちを片付けてからにしてくれ。そろそろ下ろすから身を乗り出したりしないでくれよ?」
刷り込みというのはこの世界に来る際に大まかな歴史と機体と最低限の機体の操縦技術を与えられることを言っているらしい。そうでなければ操縦訓練に最低2〜3週間掛かるものを数日で終わらせられるわけがない。
ゆっくりと屈んで膝をつくと手を地面につけてマズルカが安全に下りられるように配慮しながらもカメラは竹内優斗と、彼と話している新たな風渡り、そして今到着したらしいやる夫を捉えていたので拡声器を起動して彼らに呼び掛ける。
『おーい、優斗にやる夫。このねーちゃんも風渡りだ。色々説明とか案内頼むわ。俺はまだ搭乗したまま待機らしいからよ。んじゃまた後でなマズルカの姐さん、あとはあの黒髪を刈り上げたヤツと白饅頭っぽいのに聞いてくれ』
>マズルカ、入即出やる夫、(橋川清太郎、竹内優斗)
18
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/09/25(金) 15:33:38
【自衛軍横浜基地/ハンガー/竹内 優斗、九頭 文治】
「はーい、了解です。こちらは任せてくださーい!」
士翼号に搭乗している君島からの声に手を振りながら大声で答える。そして橋川の自己紹介を聞いて少し驚いたような表情になる(これでも精一杯隠しているようだが)。
だが、そのあとに納得したように頷くと改めて橋川清太郎に声を掛ける。
「なるほど、旅団長が言っていた世界は無数にあるというのは本当なんですね……。ああ、失礼しました。それにしても兵器管理に開発担当とは凄いですね、
僕は一応航空学校の出身でして、パイロット志望だったんですが、空軍が縮小の一途を辿ってた上に機械に強いということで整備兵として徴兵されました。その後二級戦線である青森で突撃兵兼整備兵やっていたんですが、異世界から来た”機体”に触れて、色々あった末にこちらに転属になりました」
ハハハ、と少し乾いた笑いをしながらも人型戦車、士魂号を観察しているように見える橋川清太郎をぼんやりと眺めるが、ふと一つの事を閃いて清太郎の前に移動すると、真剣な面持ちで話しかけた。もし彼が兵器開発にも携わるほどに機械に強ければ、ヤマトが作ろうと苦心しているとある装置の開発に光明が差す。
「あ、あの! 橋川さんは兵器の管理を任せられるほどに機械に強いんですよね? もしかしたら貴方には旅団長が作ろうとしている――――」
『それ以上は言うな小僧! 最高レベルの軍事機密だぞバカヤロウ!』
優斗が何かを捲し立てようとしていた時、突然上から渋みがある鋭い声が響いた。それは鬼のような円錐の角が特徴の赤褐色の人型機、ヴォルケイン改のコクピットから出て来ていた男、九頭文治だった。
その鋭い声に我を取り戻した優斗は、急いで口を手で塞いで文治と橋川に向かって急いでペコペコと頭を下げ始める。
「し、失礼しました九頭万翼長……つい熱くなりました。すみませんでした橋川さん。恐らくですが今話そうとしていたことは後ほど旅団長から話があると思います。
それとハンガーの直ぐ近くにちゃんと男女別の更衣室とシャワー室があるので大丈夫ですよ」
少しだけしょんぼりした様子だったが、すぐに立て直したようで、こちらに慌てて向かってきているやる夫に手を振って「こっちですよ」と声を掛けた。
先程優斗に鋭い叱責をした男、九頭文治はコクピットから降りてくる様子はない。一応コクピットにて待機命令を受けている文治の判断は間違いではないが、例え待機命令がなくても降りてくることはなかっただろう。彼はそういう一匹狼だ。
橋川清太郎に、降りてくる様子はないが九頭文治、慌てて走ってくる入即出やる夫に、君島の誘導によりこちらに向かわされるマズルカ、ヤマトと君島はまだ次に備えて待機している。ハンガーの一角にて異なる世界の風たちが集結し始めていた。
>橋川清太郎、入即出やる夫(マズルカ、九頭文治)
【アルファ06さんが合流した後でハンガーから会議室に移動しようと思います】
19
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/10/03(土) 22:54:02
【横浜基地近辺/荒野→自衛軍横浜基地/ハンガー/マズルカ】
マズルカ
「そうか文化的な差異とかってやつかな?ハハハまぁ私だって本気で気にしてる訳じゃーないから気負ったりしないでくれたまへ!」
名前に関しては君島が若干気にした様に見えたのかきっぱりと「気にしなくていい」と笑いながら言うマズルカ。その後はドラケーター事士翼号の手に大人しく座り横浜基地までの道のりを楽しんでいた。
マズルカ
「刷り込み?私がこの世界に来る際いや来た後この世界について必要な情報が与えられたのと同じ事かな?という事は私もキミの様にエースなパイロットになれる可能性が?」
君島が刷り込みについて話すとその話題に食いついてきた。同じ様に情報を与えられたのならば自分も君島の様にパイロットになれるのではないかと。
しかし当然ながらマズルカは持ち前の機動兵器は無く、仮に乗るとしたら修練を積んでこの世界の人型戦車の操縦資格を取ってからという事になるだろう。本人(マズルカ)曰く学力にはそれなりに自信があるが
体力に関してはからっきしであり、身体能力に関しては一般人と同等かそれ以下らしく大真面目に悩んだ末、とりあえず最初は魔女として働き貢献してから(資格を取るか)考えるとのこと。
風呂に関してもたいそう喜んでいた。曰くここ最近は一人文明とは無縁の世界を旅していたらしく、ここには戦う為に来たとは言え久々に人や文化的な物と触れ合えて兎に角楽しいのだという。
横浜基地の格納庫に到着した後は君島に安全運転でありがとうと礼を言った後、大人しく指示に従って竹士翼号のマニピュレーターからドラケーターに跨って降りると邪魔にならない場所を聞いてドラケーターを止め
降りた後歩いて竹内、橋川、入速出の元へ向かう。所謂「魔女っ子」的なコスプレにしか見えないマズルカはその容姿もあって横浜基地の中ではかなり浮いた存在となっている事だろう。
マズルカ
「やぁやぁそこの筆みたいな髪型の少年(恐らく竹内)と君は走るか俺たちゃ走るな少年(恐らく入速出)そして強化装甲服の少年(恐らく橋川)私はリマーシュ・マズルカ・エルマ御覧の通り魔女をやっているよ
と言っても最近は皆が想像する様な便利な魔法は使えないのだが、パーティーに魔法特化が一人いるとバランスが保てるだろう?まぁ仲良くして欲しい!」
開口一番竹内、橋川、入速出に対して中々失礼な事を言っている気がするが本人に(恐らく)悪気は無いのだろう。満面の笑みで手を振りながらやってきたコスプレ少女?は自称魔女との事。
とは言えその妙にフレンドリー(悪く言えば距離感の無い)口調や仕草から魔女らしい要素は格好以外一切感じられないのだが。
>>君島 邦彦 竹内 優斗 橋川清太郎、入即出やる夫 他ALL
20
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2020/10/05(月) 23:33:56
【????→横浜基地近辺/荒野(上空)/アルファ06(MFA07A3着装)】【大幅に開始が遅れて申し訳ないです;】
――闇の中で、火花が散った。
濃い鉄の味のするモノが込み上げ口元から赤い滴が零れる。―打ち砕けて機能を半ば損失しているHMDを補助する形で自身の網膜内に
仕込まれているオルタナ(副現実)が戦術情報表示を秒足らずの時間で視界内へ立ち上げる。
“目標”が眩い閃光を伴い爆散する様を注視映像が浮かび上がり…常闇に消える。
………
自身のメディカルステータスに骨折・出血・欠損の文字列が赤色でずらりと踊っている、凡その意味で言うところの(致命傷)と言った
ところだろう。負傷箇所を検知したスキンスーツが膨張したり圧迫したり止血剤を投与したりと大忙しで避け得ない緩慢な死への絶望的
な時間稼ぎを機械的な無機質さで行っているらしい、不思議と痛みを感じないのは人造人間としての魔力も伴った治癒能力がフル稼働し
ているのと循環しているナノマシンの類が神経系を弄って無駄な足掻きを興じているに違い無い。
高度計は見る見るうちにそのその数値を下降させていく、地上への墜落・衝突まで秒読み段階だ。
“差し違え”はほぼ成功した、後は戦友たち、そして異世界からの共闘者達が目的を果たしてくれるだろう。
この戦争の行く末―――そしてこの世界の行く末を見られないのは心残りだけれども…
――
何より、見たかった風景を――生まれてこのかた一度も目にした事のない■■を拝む事無く逝くのは―――
―
――-OVERS SYSTEM- Ver■.■■■――
CLOSE……………………OK
混濁する意識、その表層、常闇の世界の戦場の日々の記憶…出会った(あの人)の哀しげな笑顔。――入り込む異界の記憶、歴史
―正体不明の存在(幻獣)と人類の生存権を賭けた戦争の記録、不思議な人材の揃ったとある小隊の記憶。見た事も聞いた事も無い
それらの情報が走馬灯の様に駆け巡り自分自身の記憶に焼き付いてゆく。
しかしそれらの(記憶)とも(記録)ともとれる様な氾濫する情報の中で“彼女”の心を掴んで離さないモノが一点だけ存在した。
それは■■
それは青空
見果てなく広がる―“彼女”が映像記録のみでしか知らない、日の輝く蒼い蒼い大空――
―
――
戦禍の廃墟が広がる荒野の上空で、前触れも何も無く(飛ばされて)来た一つの機影―もしくは人影。フルフェイスバイザーにヘルメット
スキンスーツにボディアーマー、そして着装する形で足や身に纏った噴射式戦闘航空脚(エーテルジェットストライカーユニット)、彼女
自身がこれまで戦って来た環境故なのか、黒を基調としたRAM塗装による夜間迷彩が施され、実質的に(真っ黒)なシルエットが特徴的な
(人造魔女)という歪な異世界由来の軍事技術と魔術により造り出された存在は、空中に滞空しながら半ば唖然とした様子で周囲を見回し
ていた。
頭の中では(Orvers System)というナニカからの(選択権)の提示、それを承諾した事による急激な情報の流入により“理解”はしているの
だが、本人の現実感や情緒自体が追い付いていないらしい。
≫ALL
21
:
カリー
:2020/10/09(金) 19:58:26
【自衛軍横浜基地/ハンガー/橋川清太郎(GAWND装着、Blitz griffon搭乗)】
「そ……そっか、ありがとね」
一連のやり取りを、頭部装甲越しに苦笑いで見ていたので、空返事気味の返答しかできなかった。
ふと、ハンガーに向かって走ってくる、人間らしき動体反応をキャッチした。
反応があった方向へ視線を動かす。
(熊……いや、白い……饅頭?)
失礼ながら第一印象はそれしかない。およそ人間のそれとは思えぬ体形バランスだ。着ている服も見た目はきぐるみそのものである。
スキャンすることでれっきとした人間、服はハードレザープレートメイルだと直ぐに理解するが、なんというかコミカルさが拭えない外見だ。
が、それ以上に――
(なんか、危なっかしいな……)
随分やつれているようだ、自己管理が出来ず、自分を追い詰め過ぎているタイプの疲労に思える。ふとした拍子に崩れ落ちてしまいそうな脆さを抱えている。
そんな感想を抱いた直後、その場を照らすような快活な女性の声が響いた。
「へ? しょ、少年て……まあよろしくね」
マズルカからの呼称に対し、思わず困惑の声を上げた。自分はもう33、完全におじさん呼ばわりされてもおかしくない年齢である。
いや、もしかしたら彼女は人間と比べ非常に長寿なのかもしれない。自ら魔女と名乗っているくらいなので、何かしら普通の人間とは違うのだろう。
(! これは!?)
突如として状況が動いた。
HUDに表示される特殊なエネルギー反応。自分達がこの世界に移動してきた時と同質のものだ。
(ということは……特異反応か)
風渡りがまた一人やってきたことになる、大和の言ったとおりだ。
とはいえ、自分がそれに対し直接動く意義は薄い。交渉役や案内役は大和一人で十分だろうし、竹内をはじめとしたバックアップが控えている。つまりは、ここでの土地勘も持たない自分が向かったところで、ほぼ意味はないのだ。寧ろ、素人がちょっかいを出したせいで事態が悪化。などというオチもありうる。
よってここは竹内の指示通りにするのがベターだろう。
(となるとさっき言ってたロッカー室に行くべきだけど……もう少し後でいいか)
暫しの間、ここで暇を潰すことに決めた。
>竹内優斗、all
22
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/10/10(土) 20:08:54
【自衛軍横浜基地/ハンガー → /峰津院 大和(フリーダムガンダム)】
『峰津院上級万翼長、反応検出されました。望遠にて姿を確認しましたが、どうやら機体はなく、その……飛んでいるようです、パワードスーツらしき黒い装束を着ています。同時に周囲の特異反応が収束を始めました、恐らくその方で今回は最後かと思われます』
「ご苦労東三条大尉、聞こえるか諸君? どうやら最後の一人がやってきたようだ、その一人を連れてきたら更衣室で着替えて会議室へ集合だ。君島千翼長と九頭万翼長は待機を解除、ウォードレスを脱いでいいぞ。では、出るぞ」
黒と灰色を基調としたヤマトのフリーダムはアルイテハンガーを出ると、ホバー飛行にて最後の反応地点へ向かって移動を開始する。
>ハンガーALL
【→横浜基地周辺/荒野/峰津院 大和(フリーダムガンダム)】
ホバー飛行で反応に移動すること約4分。肉眼で目視できるレベルで黒いシルエットを見つけるとズームしてみる。どうやらあの足の機械で滞空しているようだ。
しかし、あの様子はどこか呆然としているような、唖然としているような感じだ。まあ無理もない、夢のような空間で問いに答えるとそこは文字通り異世界だった、などと言われてすんなり受け入れられる人間は多くない。
ある程度接近すると機体を停止させて、コクピットを開けて拡声器を持ち出すと、黒いシルエットの主に声を掛ける。
「聞こえるかね? 私は海軍第一特務旅団団長の峰津院大和、階級は上級万翼長である。君たちには風渡り、もしくはプレイヤーと言った方が聞こえはいいだろう。私はその第一号という訳だ。
単刀直入に言おう、我々はすぐ向こうに見える横浜基地にて君を迎えたい。基地には君と同じ境遇の風渡りが次々に集まっている、そこで君たちには衣食住と金銭、それとこの世界における戸籍を与える用意がある。私は君を他所のグズ共に嗅ぎつけられる前に君を保護しに来たという訳だ」
ゆっくりと、しかし耳に残る凛々しい声で黒いシルエットに事情を説明するヤマト。その声、その堂々たる態度、その様子は紛れもなく人々の上に立つ者特有のカリスマを感じさせるものがあった。
ヤマトは幼いころより英才教育を受けて、若くして一つの組織のトップに立って最前線で陣頭指揮を執ってきた男だ、後方で椅子に座っているだけのお飾りの将官とは到底違う風格があった。
「質問があるならば受け付けよう、他にも要求があるならば可能な限り答えよう。我々は君の味方であり同胞だ。どうか私と共に来てはもらえないだろうか?」
そういうと拡声器をコクピットに放ると、右手を黒いシルエットに向かって伸ばす。私は君の敵ではない、そう示すように。
上に立つ者としてはあまりにも無防備な姿だが、対策はしっかりしている。物理攻撃”程度”なら防いだ上で反射する防壁が張られているが、それは現れたばかりの彼女には分からないだろう。
>アルファ06
【優斗や君島のレスは後ほど】
23
:
ライブラ
◆Qk.P8qCp7Q
:2020/10/10(土) 21:01:53
【自衛軍横浜基地/ハンガー/竹内 優斗、君島 邦彦】
「えっと、筆……筆!? それってもしかしなくても僕の事ですか? えっと、リマージュ・マズルカ・エルマさんですね。しかし魔女かぁ……」
刈り上げた髪型を筆と表現されて最初は何のことやら、といった感じだったが、自分の事と分かったら流石に少々不服だった。だがこの程度の事で怒るような様子はなく、すぐに人の良さそうな表情に戻った。
だってこの程度で怒ってたら『ヒロイン天国小隊』じゃやっていけなかったからなぁ……。隊長含めて女性は皆個性的(やわらかい表現)だったので一々怒ったり戸惑ったり落ち込んでいたりしたら身が持たない環境だった。
人が良く、器用で、大体のことはそれなりにこなせる優斗は隊長には体のいいパシリ扱いだった。あるときは指揮車両の運転手、あるときは整備士、あるときは欠員が出来た際の突撃兵の埋め合わせ。それなりに根性があって二級戦線だったこともあって何とかやってきたが、よく倒れなかったな僕。
この旅団に引き抜かれた際は流石に部隊が回らなくなるのでヤマトには潤沢な支援を約束させて、初戦でミノタウロスのミサイルの余波を受けて負傷して退院したばかりの上田君や、炊事係の葉月さんや吉田さん。あとは不思議ちゃんと名高い鈴木ファンタジアさんに仕事の引継ぎを頼んできたのだが、いまどうなっているだろうか?
そういえば鈴木さん最後に気になることを言ってたっけ、なんでも『この世界に竜の兆しはなく、あるのは破棄された実験場よ』とか。なんのことか優斗にはわからないが、何故かその言葉が頭に残っていた。
マズルカの言葉に特に不信感や不快感を露にすることはなく『多分そういう人なんだろう』ということであっさり受け入れていた。この世界には喋るペンギンや猫がいるのである。他所の世界だったら魔女位いるんじゃないか、と思ったらしい。
「ん? どうかしましたか橋川さん? あちらは旅団長が向かった方角ですが……まさか橋川さんも特異反応を検知されたんですか? だったら凄いですね、何というかSFの技術を間近で見てるような感じです。凄いなぁー」
橋川清太郎に手放しで称賛の視線を向ける優斗。技術士というにはまだまだ拙い優斗であるが、ある程度通じているからこそわかることもある。少なくとも彼の見えている世界は自分たちとは次元が違うのだろう。
仮に彼の真似事をしようとしたら凄まじい時間と予算を必要とするだろう。予算も恐らく国が傾くレベルだ。そんな余裕はこの国にはない、何故なら『既に傾いている』状態なのだから。この国は今首の皮一枚でつながっていて、あと数日でその皮も千切れて終わりだ。
そんなやり取りをしているうちに君島は所定の位置に機体を置いて神経接続を解除していたらしく、ヘルメットを被った人影がこちらによってきて、皆の前でヘルメットを取る。
『みんなお疲れさん、俺は君島ってんだ、階級はコイツ(優斗)と同じだ。戦争のほかにも事務やら物資の調達もやってる。どっちかっつーと後者が俺の本職さ。何か欲しいものがあったら俺に言いな。生活雑貨から特殊な機材までなんでも格安で調達してやっからよ、ひとつよろしくぅー!』
慣れた所作でウィンクして見せる君島。物資の取り寄せは任せろということだが、流石に個人的なものなら金を取るらしい。一応後ほどヤマトから生活に困らない量の金が振り込まれるらしいから多少無駄遣いしても生活には困らないだろう。
それはそれとして、この世界に渡った際に何故か青い宝石とサイフに五万円入っていたが、どういうことなんだろうな? 宝石の方はうまく言えないが、なんか『失くしちゃいけない気がする』し、ヤマトに聞いても「とりあえず持っておけ」としかいわないしなぁ。
赤褐色の機体から一人の男が降りてくる。彼は君島と違いヘルメットをしていなかったが、彼らの傍を通ると一瞥することもなく通り過ぎ、そのままハンガーから出て行った。彼の名前は九頭文治、この世界にきた風渡りの中で唯一反抗的な態度を取っていた男である。
>橋川清太郎、入即出やる夫、マズルカ、
24
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2020/10/12(月) 08:32:27
【横浜基地近辺/荒野(上空)/アルファ06(MFA07A3着装)】
information Status...
Amg Support 666 Link offline
Electronic Support Link offline
JTIDS Link offline
Not applicable
Not applicable
Not applicable
――
―
バイザー越しに網膜に投影され下方へと流れていく数値と文字列の群れ――もとい逐一表示される各種戦術情報。
指揮・統制・通信関連のデータリンクは完全に喪失、(Orvers System)から提供された“事前情報”から考えればこの状態は
至極当然の事と言えるだろう。何せどういう形であるかは分からないが自身が(世界間移動)という名の人為的なパラノーマル
・アクティビティを経由してこの場所(第五世界)へ飛ばされて来たのだから、外部インフラに依存する機載システムが死んだ
ままなのは当たり前の事だ。そもそもそれら自体が存在しない世界故に
だが不可思議な事もある。
ここへ来る直前の自分自身の状態、肺・心臓・補助臓器の大半が損失、もしくは著しく損傷し、血液その他も致命的な量が流失
自身の意識レベルも急激に緩慢に死に向かっている様な文字通り現在進行形で(死に掛け)な有様であった。
それこそ自分の様に(死に難く)遺伝子レベルで設計され造られた兵器然とした存在(人造魔女)でも助からないと確信できるほど
の負傷・致命傷が嘘の様に(消えて)いる点、何より(そうなる)前の激戦で消耗していた装備・弾薬も出撃前の状態に戻っている
…どころか、バックパックには何故かそこそこの額のニホンの通貨とこれまた不可思議な“青い宝石”
まるで魔術、否魔法の様なモノだ。――神懸り的な人智を超えた(力)を有している存在との交戦経験はあるが、それらがそうい
う力を用いても自身にその手の得体の知れないナニカが(助けとして)働くのを経験するのは始めての事である。
――
―呼び掛けと共に蒼々とした翼が特徴的な大型機動兵器から姿を現した人物、生物学的な意味で言えば恐らく自分自身より年上
尚且つ決して見掛け倒しではない粛とした威厳を伴っている(人の上に立つに相応しい)タイプの人物…とまでは察せていないもの
の、恐らくこの人(ヤマト)、そして彼の部隊が“わたし”の新しい運用元なのだろう。
戦闘情報表示系のエーテル共鳴結像(ERI)システム…不必要な膨大な流血と些か不名誉な経緯を以って彼女のいた世界の人類が
開発したAntiParaTec(対超常技術)の認識表示が生身を晒ながらも彼(ヤマト)が決して策無しで無防備な訳では無い事を少女は理解
する。エーテル性エネルギー場(AEF)及び生体発躍エネルギー(EVE)で僅かながら不可思議な動きを確認出来る。
そこから魔術・魔法的な防護としては相当高度なモノだろうと推測する。
―――
無機質なフルフェイスヘルメット、装具やスキンスーツ、着装しているストライカーを含めて一切肌の露出が無い全体的に有機的な
雰囲気をシャットアウトしている様な有様の少女は空中で滞空状態のまま儀仗兵か何かの様な機械染みた動きで傾注しつつ最敬礼を
一つ。
そして差し出された右手に応えて握手を交わして
「もうしでかんしゃいたします。新規運用者への指揮権移譲を確認・これよりわたしはあなたがたのたてとなり・ほことなる、なんなりと
ごめいれいを。――わたしのよびなはおすきにどうぞ。」
そうあっさりと快諾と麾下への隷属の了承を示す。
素顔はバイザーとフェイスガードで今は隠れて見えないが、少なくとも外見上の歳相応の幼さの残る声色――堅苦しい言い回しの割にはなんだ
か間の抜けた様な妙な語感があるかもしれない。
それでもって彼女は自分の事を文字通り人と言うより物や兵器といった物品として表わす様な違和感のある表現をしている。
――
―
「あの、ヤマトだんちょうひとつごしつもんが」
さっそく移動を開始、もしくは移動中に質問の許可を受けていた彼女は――恐らく彼女以外にとっては至極当たり前であろう事を上官(ヤマト)
に尋ねた。
「えっとその…いまは“ひる”なのですか?」
常夜の世界で生まれ、陽の出ている環境自体を経験した事が無かったこの人造魔女の素朴な質問だった。
≫峰津院 大和(フリーダムガンダム搭乗)、ALL
25
:
カリー
:2020/10/15(木) 01:44:20
【自衛軍横浜基地/ハンガー/橋川清太郎(GAWND装着)】
(うぅ〜、む、むず痒い……)
こうも正面から褒められるとかなり反応に困る。これまで蔑まれたり憎まれることの方が多かったので、どう返答すればいいのか正直わからない。
「そ、そっか。お褒めに与り光栄だよ」
と、無難な返しをするので精いっぱいであった。
その直後、ガンメタルブラックの機体から一人の男が現れた。彼は非常に人懐っこい態度で自己紹介を済ます。
(凄いな、絵に描いたような快活さだ)
人当たりがいいとはこのことか、自分とは大違いだ。陽キャ、コミュ強といった言葉が良く似合う。さぞかし人脈や交渉面で苦労したことはないのだろう。自分のような者がどれほど苦悩しているかも知らず、笑顔を振り撒いているのだろう。
――――――
(って、何を考えてるんだ僕は……!!)
はっと我に返り、己の愚考を戒める。他人を羨んだところでどうなる、第一印象で決めつけた人物像で妄想などして何の意味がある。彼より自分の方が苦労しているなどと、何の根拠があって思い込んでいるのか。
直ぐ後ろ向きな思考に陥り、他人を妬んだりするのは自分の悪い癖だ。如何に英雄じみた功績を重ねようとも、幼少期からの習慣などは中々改善出来ないものである。
GAWNDのお陰で、表情や視線が一切読み取られないのが救いか。
(! あの人は、さっき竹内君を怒鳴りつけていた……)
自らの浅はかさに辟易しているところに、サングラスの男が横切った。彼はこちらを特に気にかけるでもなくこの場を立ち去る。
一目見ただけでわかった。
――というより、思い知らされた。あれは間違いなく『プロ』だ、幾多の実戦や修羅場を経験し、それらを確かな『糧』と変え続けた歴戦の戦士である。自分も戦績だけなら英雄クラスなので、そのことが嫌でも理解出来た。その纏う覇気は大和に勝るとも劣らない。
内から滲み出るような強さを見せる男。彼もまた、自分とは対象的な人物だ。
(せっかくだから他の機体も見ておくかな)
やはり技術者としての性ゆえか、自然と首はハンガー内の機体に向いていた。
そこで目を引いたのは白い戦闘機。外観こそ20世紀後半に見られたものと類似するが、内部構造は既存の戦闘機と全く違う。フレームの形状や駆動部の数からして、複数の形態への変形機能を持つと思われる。
その次はマントに包まれた機体。先程の男が乗っていたものだ。
大和の機体にも匹敵する程の全高を持ち、武装は射撃系が中心である。脚部にはローラー駆動式の加速装置があり、地上での機動戦がコンセプトと思われる。他には人型戦車用の兵装も搭載しているようだ。
(マントの方も気になるな、どうもただの布地じゃないみたいだ)
果報は寝て待てといわんばかりに、人型戦車や他の風渡りの機体を存分に観察していく。
>(君島 邦彦)、all
26
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2020/10/25(日) 14:06:53
【横浜基地周辺/荒野→/峰津院 大和(フリーダムガンダム)】
「運用者……? なるほど、深刻かもしれんな、これは」
彼女からは快く了承を得られたが、流石にこの様子、この言葉遣いには大きく引っかかるものがあった。すこし喋り慣れていないような幼なさの残る声は無論だが、己の呼び名すら相手に委ねる『隷属』の意。そして『運用者』という言葉だ。ヤマトは気に入った相手や能力を認めた人間に従属こそ求めることはあるが、隷属を求めたことは一度としてない。
恐らくだが彼女は生まれてこの方戦いしか経験していないのだろう、自分は指揮官ですらなく『運用者』ということになってしまったらしい。多分だが彼女は無茶な作戦に投じても唯々諾々と従い、そして死ぬだろう。ヤマトは人をこき使うことこそあれど、死ぬ可能性が高い作戦に仲間を投入したことは一度だけだ。その作戦も人類が生き残るには”それしかなかった”からであり、最後には参加自体を自主性に任せていたのだ。
つまるところ、ヤマトは指揮に従う仲間こそ求めても、従うだけの道具になることまでは求めていない。仮にヤマトが彼女を道具として彼女を使うことがあれば他の風渡りは確実にヤマトの元を離れてこの日本は滅ぶ。ヤマトは絶対にそれだけはしないと確信を持って言える。
海軍第一特務旅団には女性の隊員が多く居るが、遊ばせる余裕のある隊員は限りなく少ない。その中で彼女の面倒を見るものを最低一人、健康で文化的な生活を送るための補佐は……とりあえず竹内と今日新たに現れたリマージュ・マズルカ・エルマ女史に頼むしかない。
待てよ、我が旅団には学兵や元学兵の女子も数多くいる。彼女らとも交流させるべきか。などと握手をして手を放すまでの短い間に高速で思考を巡らせていた。
「いいか、名前とは単に個人を表すだけの記号ではない。君だけのものだ、君が定めるべきだ。そうだな、此処にくる以前はどう呼ばれていた?」
とりあえず、道具扱いだけは絶対に無しだ、俺も仲間たちも彼女を一人の人間として扱うだろうし、下手に他所の派閥に接触させることも控えねばならないか。
流石に人間としての名前がなくともコールサインくらいはある筈だ。だが戸籍を用意する前に彼女の名前を決めるところからか。彼女が特定の名前を望まなくても必要なことだし、ヤマトは何が何でも名前は用意する気でいた。
【→自衛軍横浜基地/ハンガー/峰津院 大和(フリーダムガンダム)】
横浜基地へ移動をしている最中に彼女から声を掛けられた、フリーダムには集音マイクが付いているので音はしっかり拾えている。些細な事かも知れないが、彼女が自発的に質問してくることは良いことのはずだ。
コクピットで拡声器をオンにしてヤマトは質問に回答することに、少しでも話を広げて彼女に対する情報を引き出すべきか?
「現時刻は1630、じきに夕方だ。今は1999年6月27日で日の入りは凡そ1845だが、よもや空を拝むことすら困難な生活を送っていたのか?」
この言葉を聞いてヤマトは彼女の境遇が自分の想定よりも過酷であることを察した。一体彼女は何と戦っていたのだ?
機体の操縦中だが思わず頭を抱えたくなる衝動に駆られるが、そこは堪えて今後の事に思考を巡らせる、風渡りが多く現れたことでやらなければならないことが多く増えた。だがその前に目前に迫ったハンガーに機体を置くところから、だな。
スマホ型携帯端末のアプリを開く、特異反応は今のところ検出されていない、今日は彼女で最後と見るべきか。
≪峰津院より東三条へ、最後の風渡りを確保した。これより各自を着替えさせて会議室に案内する。前以て伝えていた準備を頼む。それと人数分の飲み物をな≫
≪了解しました、先に準備を始めておきます。本日だけで三人ですか、作戦に間に合って助かりましたね、旅団長≫
≪全くだ。通信終わる≫
ハンガー入口にさしかかると、ヤマトはフリーダムを歩かせて所定の位置に機体を収めるとコクピットから出る。ついてきた彼女(アルファ06)を風渡りが集まっている一角に誘導する。
「待たせたな諸君、私は峰津院大和、海軍第一特務旅団の旅団長を務めている。これより君たちには制服に着替えて会議室に集まってもらい、現状の説明や必要な手続きを行ってもらう。話の続きは会議室で頼む、いいだろうか?」
ヤマトがそう言い終わるころには男女二人の整備兵が駆け寄ってきていた、二人とも身分は確かなものであり、二人が更衣室へと案内をするようだ。
>アルファ06、ハンガーALL
【優斗と君島のレスは皆さまのレスの後に返させていただきます】
27
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/10/26(月) 03:17:13
【自衛軍横浜基地/ハンガー/マズルカ】
マズルカ
「そうさ魔女さまぁさっきも言ったけれど魔女らしいのは今となっては見てくれ程度だけどね。でもオカルト的な知識はあるから気兼ねなく相談して欲しい。多分メイビー力になれる筈だよ」
竹内の恐らくみょうちくりんなあだ名に対する不服そうな態度よりも魔女というワードに反応し、マズルカはそれに乗る形で言葉をつづけた。どうもマズルカにとって「魔女」である事は重要らしく
妙にアピールしてくる…とはいえ何だか適当というかうさん臭さも感じられる発言であり、良く言えば正体を掴ませず人をからかう魔女の狡猾さかあるいは単に適当な人間?なのか
どうも重要な事に関しては煙に巻く癖がマズルカにはある様だ。それはマズルカ曰く魔女特有の神秘性等を生み出すために必要なものらしい。あまり効果が感じられないのが正直な所だろう
指示には今の所大人しく従っているし、そこまで問題児にはならない…筈だ。また機体から降りた君島や九頭文治にも改めて挨拶をし直している。
恐らく君島は兎も角九頭には返事等は貰えないかもしれないが、そこら辺はあまり気にしていない様だ。
マズルカ
「おや少年扱いは嫌いだったかな?それはすまないとは言え君(橋川清太郎)の魂に少年っぽさを感じたのは本当の事さ。肉体という器はその人本来の年齢とイコールになるとは限らないだろう?
いやそれよりもせっかくなのだから名前を教えて欲しいな。之から同じ釜の飯を食う仲なのだからお互い名前で呼び合い親交を深めようではないか!」
私だって外見だけなら10代って所だが実際はそうじゃないし…と挨拶を返した橋川に対して(ほぼ一方的に)話し返すマズルカ。話の内容以前に橋川的には相手をし辛いタイプかもしれない
この短いやり取りで分かるのはマズルカは本物の魔女か否かはともかくとして、所謂テンションが高めでグイグイ距離を詰めてきて話すタイプだからだ。
この後も橋川を含め色々な人物と他愛も無い話を続けたマズルカだったが、流石に旅団長である大和が帰ってきたらウロチョロするのを止めて話を聞いている。
マズルカ
「ほうほうあれが我らがボス(大和の事だろう)と最後の御仲間(アルファ06)か。魔術よいうより魔科学による人工魔女?それにボスも術らしき物が使える様に感じるし…ん?私の存在意義は?」
自分の存在意義に疑問を持ちつつも、全員に「会議室でまた会おう!」と短く別れの言葉を投げ大和の指示に従って大人しく整備兵の案内を受け女性更衣室へと向かう。
>>ALL
28
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2020/10/29(木) 22:31:08
【自衛軍横浜基地/ハンガー/入速出やる夫】
ハンガーに辿り着くと見回す限りは峰津院 大和のフリーダムを除いて全機体は戻って来ている様で
完全に出遅れたようだ。
(こりゃあ怒られるかお?)
内心完全にヤバイなぁと同時に冷や汗をかいていたが、君島から説明や案内を頼むと言われて
視線を向けると其処には二人見かけない顔の者達が二人居た。
一人は近未来の兵士のような強化外骨格を身に纏ったのが一人でこちらを見ているが
この格好が珍しいのかどう思っているのかは定かではないが、この第五世界のウォードレスに比較的近いような文明や世界からの来訪者のようだ。
(まぁ装備の技術とか文明はこの格好ならドラクエとディスティニーとかのレベルのみたいな違いかおね)
例え話の比較として出したゲームがドラクエはやる夫、ディスティニーとは橋川清太郎のことである。
「見るからにSF世界の住人っぽいお」
自分の居た時代からはいろいろ進んでいるかもしれないなと思っていた。
所変わってもう一人。
そしてもう一人は完全にファンタジー世界の魔女と言えるその格好は分かりやすいと言えば分かりやす過ぎて
まず誰が見ても分かるだろう。しかも胸が大きい。
「ああ、やっぱりかお。やる夫は入速出やる夫だお、とりあえず二人より先に来た元学生の風渡りも兵士としても見習いだお。
戦いの先輩だろうから一先ずよろしくだお」
彼女―リマーシュ・マズルカ・エルマの自己紹介に便乗して名乗り返すが
見習い、というのは自分には戦闘経験が無いからいやなぜか違和感は無く身体が馴染むのに不自然な感覚を抱くものの
恐らく戦いに置いて先輩に当たるだろう人物たちに聞こえるように言い放つ。
自分が一番足手纏いなのは確実なので言って置かなくては駄目だろうという後ろ向きな判断だ。
「説明つっても何処から言えばいいのか…」
まずは案内からするべきかと考えた際に峰津院 大和のフリーダムがもう一人の現れたと思しき風渡りを引き連れて戻ってくる。
それを見てなんとなくではあるが勘だろうか、何かが動く音が聞こえた気がした。
いやゲームでいうならばイベント開始の合図か?とにかくそのような構図にゲーマーとしての感覚が捕らえていた。
(やる夫はこの先生き残れるのかお?付け焼刃の訓練で?)
峰津院大和が着替えて会議室に集まる旨を告げられた際にそのような事を思いつつ
確かに身に付いている実感と妙な既知感に戸惑いつつ自分ではどうしようもないので今は流れに身を任せよう。
「了解、だお」
それだけ呟いてとりあえず峰津院大和に従い、男子更衣室に向かうのであった。
>君島 邦彦、橋川清太郎、リマーシュ・マズルカ・エルマ、all
29
:
カリー
:2020/11/01(日) 20:54:36
【自衛軍横浜基地/ハンガー/橋川清太郎(GAWND装着)】
次に君島と名乗った男の機体を眺める。先の灰色の機体にウィングユニットを装備したような外観だ。しかし空中での三次元機動よりかは、ホバー機動に向いていると思われる。武装面でもさほど変わりないらしく、機体の周辺に目新しいものは見当たらない。つまりは使い回しが利くということであり、多少荒く扱っても余裕があるのだ。
「!」
機体にすっかり見惚れていたその時、ハンガー入口から大きな駆動音が聞こえてくる。振り向くと、大和(とその機体)が少女を一人引き連れているのが見えた。
黒いセミショートに無機質な表情、体格の方は筋肉質とは言い難い。服装は黒のオーバーコートを纏っており、おおよそ普通の少女といえる外見だ。
外見は、だが。
(こりゃ、驚いたな……)
スキャンの結果、彼女が人間とは違う存在であることを思い知る。それだけでなく『もしかしたらアンドロイドの類ではないか』という予想すらも覆されたことに舌を巻く。
端的にいえば、人造人間のようなものである。厳密には違うかもしれないが、兎に角通常の人体に当て嵌まらない特殊な肉体であるのは間違いない。
身に付けているものもこれまた特殊だ。といっても外から見えるオーバーコートではなく、肌着?に該当する部分の衣服である。
なんと人工筋肉が内蔵されているのだ。あのサイズで実用的なパワーアシストが可能という技術力は、軽く驚愕を覚える。
(さて、次は……おっと)
脚部に装着(というより搭乗している?)された大型の兵装も気になるが、大和が機体から降り自分達に指令を下したので一旦お開きだ。
やる夫と名乗った男に続く形で、男の整備員の案内に従い更衣室へ向かった。
僅かばかりの名残惜しさを含んだ足取りで、歩みを進める。
脚部装甲が軍靴代わりに床を叩く。
その途中、思い出されるのはマズルカという女性だ。君島以上に快活で溌剌な、嫌味すらつけ入る余地のない明るさ。
眩しい……を通り越して半ば暑苦しい。
だが、自分にはある種それが丁度良かった。偏屈で捩じ曲がった性根にとっては、彼女くらい過剰に明快な方が上手く噛み合う気がする。
そんな事を考えながら、更衣室のドアノブに手(マニピュレータ)をかけた。
>all
30
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2020/11/02(月) 16:25:31
【横浜基地近辺/荒野(上空)→/アルファ06(MFA07A3着装)】
「?……はい、いいえ――わたしこじんのよびなにかんしてはきゅうなとーきじゅんのふごうで“アルファ06”のこたいこしょうがあたえ
られていました。」
相変わらずバイザー越し故に表情は伺えないが何処かしらきょとんと首を傾げる様子を見せながらそのまま個人、というより単純に戦闘単
位めいた無機質な呼称(コールサイン)を告げる。
正確には単なるコールサインというだけではなく、彼女自身の兵器としての形式も意味していたりする。人工魔女A型の6番個体とでも言う
べきだろうか。
表記上は部隊として、しかし実態は単体での運用が基本として扱われていた(準戦略兵器)としての側面も持つ存在故、元いた世界では戦線
から戦線を頻繁に転戦し指揮下に入る部隊や所属自体がころころ変わっていたという事情もあったりする。
結局の所、彼女自身は己が(造り物)である事を当たり前の様に自覚しているし、消耗品めいた扱われ方をされる事にも慣れてしまっている。
その上で、否…そんな様の中でも彼女なりに(生きる事)を十分楽しむ事を知っているし好奇心や感情も人並みに併せ持っている。――この
一見矛盾した情緒や在り方の両立は、ある意味で言えばこの世界(第五世界)に於ける用途特化型の(年齢固定型クローン)の彼ら(彼女ら)の
在り方に近しいものかもしれない。
―――
――
―
「…わたしがもといたせかいでは、ずっとよるがあけてなかったので――じっさいに“おひさま”をみるのははじめてなんです。―きれい。」
そんな感慨の“それ”が例えプログラムされ植え付けられたモノであったのだとしても紛れもなくその言葉は彼女自身の本心の言葉であった。
【横浜基地近辺/→自衛軍横浜基地(ハンガー→女性更衣室)//アルファ06(MFA07A3着装→解装)】
そうしている内に、新たな(ベース)へと到着する。誘導に従う形で着陸してハンガーへ
(戦闘航空脚)に関しては実質的にUCAVなどの様な自律した無人航空兵器に類似した機能も有しているが基本的に(着装)、即ち使用者が“穿く”
事でその本来の性能を発揮する、言わば(個人装備)の其れに近い為、ハンガー内の割り当てられたポイントにて解装した結果、待機モードとでも
言える様な形態へと自動で変形し、一見すると小型の偵察用無人機材めいた状態になる。
そして幾分か生身の姿を見せて無機質さが多少和らいだ格好の人工(人造)魔女、アルファ06は、排気音と共に頭から外したフルフェイスヘルメ
ットとバイザーを脇に抱えて、指示通りに更衣を済ませるべく移動を開始するが…誘導された先には、境遇を同じくする“風渡り”達の姿が見
える。
規格品の物々しい軍用オーバーコート(記章にはU.S.Deviantation Warfare Response Commandの文字が入っている)とそれに不釣合いな幼い外
見の少女は一つその場の面々にペコリと会釈し――一先ず本格的な自己紹介に関しては後からでも出来ると判断して女性の整備兵の案内に従って
女性更衣室へ向かいながら…
何処かしら自分に関して危うさや心配を覚えているらしき、新しい司令(ヤマト)の様子や…何やら気になる事でもあったのか興味深げな目でこち
らをジッと眺めてスキャニングまでしていた人(清太郎)の事、それから個性の塊めいた白いユニークな外見と格好をしていた人(やる夫)など、共
に戦う新たな(戦友)達の姿を頭に刻み込みつつ――彼ら(彼女ら)をどう護り、どう死なせないか考え始めていた。
この辺は彼女自身が造られた理由である(機能)や(役割)を中心とした思考回路故だろう。
一応、この場では行き先は同じであるまんま(魔女)といった風貌の恐らく自分より実年齢でも外見上の年齢でも年上であろう彼女(マズルカ)、整
備兵の後を追う内にそんな彼女の後ろから歩いて行き、自然と並んで歩く形になる。
「……………………」
―(元いた世界)でも異世界からやって来たという魔術師やら魔法使いの類の人々がいた。思い出す限りでも皆様々な形式や在り方をしていたのを
思い出す。
…何時の間にか並んで歩いていた人工魔女は、無意識の内にフクロウか何かのに顔だけジッと彼女(マズルカ)に向けて――しかし特に何か話出す
訳でもなく、険悪では無いが妙な空気のまま見つめている。
>マズルカ、峰津院 大和、(橋川清太郎、入速出やる夫)、ハンガーALL
31
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2020/11/03(火) 15:01:41
【自衛軍横浜基地/ハンガー → 第二会議室/峰津院 大和】
「アルファ06か、今はそれでいいが、のちに君には戸籍が与えられる。そのための名前も今後必要だ、君が呼ばれたいと望む名を考えておけ、難しいならばこちらでも検討しよう」
やはりコールサインのみか、と複雑な表情を取りそうになるがそれも堪えて淡々としながらもどこか情を感じさせる声で彼女(アルファ06)に言い聞かせる。
そして彼女から聞く異世界の様子、夜が明けない世界で常に闘争に晒されれば彼女の様な生物兵器扱い、いやもしかすれば本当に”そう在れ”と生み出されたらこの反応もやむなしか。
ヤマトは駆けるべき言葉を一瞬失うが、そこは腐っても元一つの組織の長をやっていた男だ、すぐに掛けるべき言葉を探し当てると背中越しに言葉を掛ける。
「……そうか。あと二時間もすれば日が落ちる、俗にいう夕焼け空が見られる。必要な手続きは夕焼けを見られる程度の時間には終わる。手続きが終わった後にゆっくり堪能すると良い。夕焼け空もまた趣があっていいものだ」
さて、これから少し忙しくなるな。彼女の世話は竹内優斗とリマージュ・マズルカ・エルマ女史に任せるのが今のところ良いだろう。ヤマトと君島は文字通り徹夜のデスマーチが始まりを告げる。
フリーダムのコクピットから降り立つと、ウォードレスを着ずに機体に搭乗していたヤマトは真っすぐにダイイチの根城となった第二会議室を目指して早足で歩き。一番奥の中央の席を陣取り、必要な書類のプリントアウトを始め、プリントしている間に参謀の東三条を呼び出して人数分の飲み物を用意させ始める。
さあ、これからが私の本当の戦いが始まる。見ていろ世界よ、人類の可能性を見くびるな。
そう意気込むヤマトの姿を横目に、先に着替え終わって入室していた九頭文治は会議室から空を見上げていた。
>ALL
【自衛軍横浜基地/更衣室/竹内 優斗、君島 邦彦】
竹内優斗は慣れた様子でウォードレスを脱いでテキパキと青を基調とした制服を着始めて、すぐに着替え終わるが、一緒に着替え始めた君島はというと、まだ脱着に手間取っているようだった。
「手伝い要りますか、君島さん?」
『ワリィ、頼むわ優斗。どうもウォードレスの脱着は面倒だよなァ。長い時間着てるとマジで体に来るしよ……』
「ハハハ、しょうがないですよ。本当は第6世代しか着られない設計なんですし」
やや拙い手つきでウォードレスを脱いでいる君島を優斗はフォローして、ようやく海軍第一特務旅団の制服に着替え終わると、パンパンと手を叩いて周囲の注目を集める。
『ハイハイ、みんな着替え終わったな? つっても新しく入った男子は橋川の旦那だけだったな今回は。今から第二会議室ってところに行くんだが、この場所は実質ウチの根城みたいなモンでな、よく俺とかヤマトの大将が居る場所だ、一応覚えといてくれ。そんじゃ案内するぜ』
ついてきてくれ、というと既に知っているであろうやる夫はともかく、橋川清太郎に説明するように言うと手招きして先頭きって歩き出す。
その際に当然清太郎の顔は見ているわけだが、顔については一言も言及することもなければ、表情を変えることもなかった。顔の美醜で戦争できるなら今頃軍隊は新宿歌舞伎町のホスト集団だっつーの。
同じことを女子更衣室でも案内されていることだろう。女性は女性隊員がマズルカやアルファ06を案内している。
彼ら/彼女らが案内された第二会議室には、忙しなくPCのキーボードを叩くヤマトと、部屋の隅のポットでお茶を入れている参謀である東三条孝則、そして窓際で空を見上げるサングラスをかけた男、、九頭文治だった。
>ALL
【各自思い思いに交流をしながら次のレスから始まる手続きをしたりしてください。】
32
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2020/11/10(火) 03:29:40
【自衛軍横浜基地/女子更衣室→第二会議室/マズルカ】
皆(主に男性陣)とハンガーで別れた後、自分も含め中々面白い人材が揃っているな等とマズルカは考えていた。明るく社交的な者も居れば内気な者も不安を隠せない者も居る。とは言えマズルカはそれでよいと思った
人間はこういう風に多種多様だからこそ、画一化された機械等にない可能性を秘めているのだと。そうして横浜基地内を女性兵士に案内される道中、横に並んだ魔女(アルファ06)の視線に気づく
こうも露骨に視線を向けられては誰だって気づくだろう。人から見られる事には慣れているマズルカだったがこう会話も無くただ近距離から注視されてはやや気後れしてしまう。
「や.やぁ魔女の姉妹よ私は魂の魔女リマーシュ・マズルカ・エルマ。マズルカとでも呼んでくれ。生まれは違えど同じ魔女そして之からは同じ釜の飯を食い戦う戦友だ。仲よくしようじゃないか」
当然先に口を開いたのはマズルカである。ハンガーで口にした様にマズルカなりの解釈ではあるがアルファ06の素性についておおよその見当がついていたが、彼女もまた物扱いはしない様だ。
之に関してはマズルカの性格もあるし、もう一つは人工的に作られた"ヒトガタ"の存在は往々にして微妙な立場にあるという魔女としての知識によるものであり
徹底してそれを物として扱う世界(あるいは場所)もあれば、人間と同等の権利等と与えられている場合もある。なので最初は人間の様に接する事にしている(無論そのヒトガタの主が居ない場合だが)
「私もキミに似た存在を使役したり作ったりは出来るが、キミと同等の存在を生み出せと言われたら不可能だろう。全く世界は広大だね私は魔女として如何に自分が落ちこぼれなのか再認識させられるよ。
それはさておき何か質問や聞きたい事があれば受け付けよう。もしかしたらキミの助力になれるかもしれないしね」
とほほ…とやや大げさに落ち込んで見せた後はアルファ06に質問をされた場合それに答えたり、益体の無い話を続けたりしながら女子更衣室のドアを開け、今着ていた服をさっと脱いでグラマラスな肢体を露わにし
用意されていた海軍第一特務旅団の制服に袖を通す。無論ただ制服だけを着る訳では無く今まで羽織っていたケープを纏ったり、制服の上からマズルカ流にアレンジを加え「魔女らしさ」を残した
本人的におしゃれな着こなし方をしている。無論特徴的なトンガリ帽子も健在だが、確か室内脱帽という礼節があったことを思い出し何時でも折り畳んで仕舞える様にした
後は必要であればアルファ06を手伝い、二人が着替え終わった後女性隊員の案内によりマズルカはアルファ06と共に第二会議室へと向かう。
「やぁやぁ皆の衆NEWマズルカさんだよ折角だからよく見ておきたまえ!おっと之は緑茶かな?あまり熱くないと嬉しい」
会議室に入ると静かだった室内が賑やかさ(煩さとも言う)が二割増し位になった。えっへんと豊満な胸を揺らして魔女流にアレンジした自身の制服姿を会議室に居るメンバーに見せつけた後
今度はお茶を入れている東三条孝則の方に走っていきお茶の注文と催促をする。
>>ALL
33
:
カリー
:2020/12/10(木) 19:57:06
【自衛軍横浜基地/更衣室→第二会議室/橋川清太郎】
白鋼の鎧を脱ぎ、支給された制服に袖を通す。なるべく目立たずそそくさと行ったつもりだが、パワードスーツなんていう代物の関係上、ある程度は自己主張してしまうのが歯痒かった。
(……第6世代?)
着替えの途中、君島と竹内の会話の一部に混ざった、聞き慣れない単語が頭に引っかかる。
……否『聞いた』ことはないが『知っている』
そう、OVERS Systemから齎された情報だ。
確か超人的なクローン兵士のような存在だった筈。
「っ!」
この世界特有の技術に思考を巡らせていると、君島の手拍子に意識を引き戻された。
(……そういえば)
彼は特にこの顔のことを気にしなかった。
否、彼だけではない。この場にいる誰一人として口を出すものはいない。
こちらに気を遣ってなるべく顔を見ないように……といったぎこちなさもない。
どうやら本当に恥じる必要はないようだ。時空防衛連盟にいる時と同じように振る舞っても問題はないだろう。
(ありがとう)
胸中で小さく、決して声に出すことなく感謝の意を示した。
―――――――
「し、失礼します」
若干緊張しつつ会議室のドアを開ける。
入室と同時に、お茶の催促と注文をするマズルカが目に入った。彼女の制服姿(帽子やケープはそのままだが)に少し見惚れてしまう。比較的質素なデザインながら、それでもなお隠しきれない『女性的』な体型に、つい釘付けとなる。反射的に視線を逸らすも、今度はGAWNDを着ていないので恐らく勘付かれただろう。
視線を逸した先に、九頭が窓から空を見つめているのが見えた。明らかに『我関せず』のスタンスなので特に意識を向けずそのまま適当な席につくことにした。
「そ、それで……これからの方針とかは……?」
まだ緊張の抜けきらない声色で発言する。
この会議室で何らかの説明などを行うのは知っているが、具体的にどんな告知をするのかは知らされていない。
といっても大まかな予想はつく。自分達の処遇や、各機体の情報交換といったところだろう。自分としては、機体毎の特性を把握し、それを踏まえた戦術などを議論しておきたい。
>会議室all
34
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2020/12/30(水) 02:54:12
【自衛軍横浜基地/更衣室→第二会議室/入速出やる夫】
現状男性陣全員が学生制服に着替えている頃にやる夫も含まれていた。
「でも働いてる補正に感謝だおね、なけりゃ大変な事になってるお」
その最中メタなことを言い竹内 優斗、君島 邦彦のやり取りを見つつ
橋川清太郎の素顔を見ても
「アニメみたいにイケメンしかいねぇより万倍もマシだお、安心したお」
きちんと能力のみで選ばれているのか定かではないが寧ろ親近感が湧いているようだ。
なおこの世界でスクールカーストが存在しているのな最下位の仲間がいるという安心感込みで。
「まぁ分かんなくなったらやる夫がまた教えるから」
君島の言葉に対して付け足し橋川清太郎に対して告げる。
そこ先輩面とか言わない余裕がないけど、似たような容姿で馬鹿やれる友達に
なれるかもしれないんだから切っ掛けは作れるようにしたいんだよ。
そして男性陣全員で第二会議室に再度向かうと全員集合していた。
忙しいそうにしている峰津院は相変わらずで
まずは海軍第一特務旅団の華である女性陣二
人に目を向ける。
「おっぱい!(マズルカちゃん似合ってるお)」
マズルカの制服姿を見て似合ってると言おうとしたが何時もの様に
「あっ、本音と建前が裏返っちゃったお!」
とテヘペロと誤魔化した。嘘が吐けないのである。
その後に近づいて
「文治の兄貴もお早いようで」
近づきがたい雰囲気を持つがタダのチンピラとは違うダンディさ
明らかな裏社会の人間でありながら不思議と個人的には兄貴と呼びたくなるのでそう挨拶し
いつものように任侠ものでやる舎弟のポーズをやった。
>会議室all
35
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2020/12/30(水) 21:00:18
【自衛軍横浜基地/第二会議室/東三条 孝則、九頭 文治、峰津院 大和、竹内 優斗、君島邦彦】
「おっとっと、斬新な着こなしですねマズルカ女史。ただ式典だとか出撃を控えた会議だとかだと問題なのでその時は普通に着てくだされば助かります。
私は東三条孝則という一介の参謀です、今はワケあって旅団長の元で作戦の立案やオペレーター、そして時々お茶くみなどをしております。どうぞよろしくお願いします、適当でいいので席についてください、ご希望とあらばぬるめにお茶を入れるので」
最初に入ってきたのは機体に乗ってこなかった数少ない風渡りであるリマーシュ・マズルカ・エルマ女史。お堅くならないように釘を刺しつつも淀みなく自己紹介をして、ついでにお茶をぬるめに入れると約束しつつ着席を促した。
自称軽空母なみの軽さを持つ参謀だが、能力は確かである。それが何故お茶くみなどをやっているかというと、簡単に言えば人数不足を補うためである。旅団というだけあって人数は確かにそろっているがこのように高度な機密を扱う場に置ける人間は限られる。
本来出世コースまっしぐらのエリートであるはずの彼がどうしてこのような扱い、平たく言えば左遷されたのかと言えば話せば長いので割愛するが、簡単に言えばヤマトに目を付けられたからである。本人は気にした様子は見られないが。
――――――――
「…………!」
窓際で外を見ていた男、九頭文治は懐かしさすら感じる呼称に僅かに眉を上げて反応する。兄貴か……最後にそう呼ばれたのはいつだったか、最後にそう呼んだ奴は誰だったか、それすら定かではない。
だが自分が最期に兄貴と呼んだ瞬間は覚えている、鮮明に脳裏に焼き付いている。あの正確無比かつ流麗で、どこまでも苛烈な銃撃の嵐を受けて自分は死んだ、はずだったのだ。
どんな因果か自分は異世界なんぞに流れ着いて、ガラでもないことに峰津院大和という男の下で働いている。文治にしては理解できないことだが、意外にも彼を慕う学兵は多い。言葉数は少なく、口調はぶっきらぼうだが、彼に付いて行けば生き延びられる、そういった不思議な安心感が彼にはあったのだ。
ガラじゃねぇ、と突っぱねようにもボスであるヤマトから「彼らを鍛えろ」とまで命令されてしまえば逆らえるものではなく、渋々といった体であるが彼は兵隊の雛である学兵を鍛えている、今兄貴と呼んだやる夫も似たようなものだ。
「……俺は舎弟をとった覚えはねえ。その呼び方はやめろ」
文治がやる夫に返した言葉はそれだけだった。少し思い出に浸ってしまったが、思いですべてが綺麗であるわけでもない。文治の事を兄貴と呼んでいたのは文治の兄貴分、ブランドン・ヒートのチームメンバーと、彼の死後に引き継いだチーム『九頭組』だけだ。
マフィアのスイーパーチームが血生臭くないワケがなく、全身血みどろの負け犬の自分を兄貴と呼ばせるにはコイツも、時々悪乗りしてそう呼ぶ学兵の一部もあまりにも綺麗過ぎる。こちらに踏み込ませたくないと思う程度には奴らは純粋だ。
普段文治の事を兄貴だとか親分だとか呼ぶ連中には拳骨を一発くれてやっているが、何故か今回はその拳骨を進呈するような様子ではない。らしくなく感傷に浸った余波か、単純に上官であるヤマトのまえだからそうしないだけか、真相は闇の中だ。
――――――――
「さて、大方揃ったな。先ほども名乗ったが私は峰津院大和、階級は上級万翼長だ。海軍第一特務旅団の団長を務めている。今回来た三名、橋川清太郎、リマーシュ・マズルカ・エルマ、アルファ06にはまず簡単にこの書類に記載されている項目を埋めてもらう」
皆が集まったことを確認するとヤマトはノートPCから顔を上げて立ち上がり、周りを見渡しながら言う。文治の視線は窓の外を向いているが、それを咎める様子もなく話を切り出す。
東三条は皆の席にお茶を配り(マズルカはぬるめ)、新しく現れた三名には手元にペンと書類が置かれた。書類に記載する項目は意外にも少ない。
一つ目は戸籍作成に使うための名前(本名推奨)、二つ目実戦経験の有無、三つ目『所属する兵科』(実戦経験無しならば空白でもよし)、四つ目は自分の生まれ故郷、五つ目は自分が出来ることを自由に記載せよ。と書かれている。
「最低でも今日はその書類を記入して提出してもらうことになる。質問は随時受け付けるし、取り急ぎ必要なものがあれば裏の余白にでも書いておけ、私か君島が用意する。
今から約30分後に我々の上官である芝村勝吏準竜士と回線が繋がり今後の事を話す予定だ。新たに着任した三名を除いた皆で自己紹介を。ああ、竹内はプロジェクターの準備を頼む」
『了解です、あ、先に自己紹介を済ませますね。僕は竹内優斗、階級は千翼長で兵科は航空兵です。前は二級戦線で学兵をやってましたが、異世界から来た機体に触れたことなどが原因で色々あってこの旅団に着任しました、よろしくお願いします!』
『俺はさっきハンガーであいさつしたから以下省略……あ、このお嬢ちゃん(アルファ06)にはまだだったな。俺は君島邦彦、階級千翼長で人型戦車の戦車兵だ、物資の調達とか情報収集もやってる。以後よろしく〜! ハイ次は文治の旦那』
『……九頭文治、階級万翼長の人型機体の戦車兵だ』
ヤマトの言葉に続くように優斗が自己紹介をする、君島はハンガーで一度やったがアルファ06が聞いていたかどうかわからないのでもう一度改めて自己紹介をし、君島に話を振られた文治は視線を窓の外に向けたまま短く簡潔に自己紹介をして黙り込む。
優斗はヤマトに言われたようにプロジェクターの準備を始め、東三条は拙い手つきの優斗をフォローしている。部屋から出なければ少なくとも今から30分はある程度自由が許されるようである。
>マズルカ。やる夫、橋川清太郎、ALL
36
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2021/01/13(水) 23:22:48
【横浜基地/自衛軍横浜基地(女子更衣室→第二会議室)/アルファ06】
「…わたしは、アルファ06――よろしく、まずるかさん。――かまのめし?」
―そこそこの時間ではあるが、流石に沈黙し続け何の会話も起きないまま監視カメラとまでは言わずとも、その奇妙で無機質
な視線をただただ向けられ続けられるのは堪えたらしい。というより放っておいたらそのまま何時間でもジッと見つめられ続け
られ兼ねない為、ある意味話を切り出したのは良い選択だと言えるだろう。
この先共に戦火を往き過ごす戦友たる別世界の文字通りの(魔女)な彼女、マズルカの名乗りと挨拶に人造魔女はこくり、と頷い
て疑いの欠片も無い双眸で相手を見据えながら自分もまた個体名・呼称を伝えつつ――分かり易い相手の例えに少し首を傾げな
がらも…
「わたしとおなじひとをつくるのはたしかにむずかしいかも、“ざいりょう“と”おかね”、それから“じかん“がすごいかかるっ
て(らぼ)のひとがいってた。でも(にたもの)を(つくれる)ってとてもすごいことだとおもう。わたし、(こわす)のはとくいだけ
ど(つくる)ことはできないから」
明け透け且つそのまんまに人造魔女は、本物且つ本場の(魔女)に欺瞞も配慮もへったくれも無い素直な評価を口にして、無機質
気味な表情を和らげて微かな笑みを浮かべる。口数は割かし、というより意外と多い方らしい。
「しつもん、ききたいこと…わたし、ヤマトだんちょうから”じぶんのなまえ”をかんがえておくようにいわれてて―――でも
なんだかいいなまえがおもいつかなくて、まずるかさんならどんななまえがいいとおもう?」
まるで拾った捨て猫の名前でも考えるかの様な気安さで、自分の名前という割と重要な名前について良い案は無いか?と人造
魔女はマズルカへ訊いてみる。無論、初対面の相手にする様な相談でも無いが…
そんな話をしながら、自分もまた制服に着替え始める。スキンスーツ自体は解装せずとも特に問題は無いだろう。――眼前の
彼女(マズルカ)に比べると控え目なプロポーションの体躯に慣れた様子で制服を手際よく着こなした。この辺は軍服自体を日常
的に着用していた身の上故かもしれない。
ただ、非番の際のバックアップ火器である自動拳銃(ベレッタM9A1)に関しては、腿のレッグホルスターに差したままにしてお
く、やや物騒かもしれないが物騒以前の話のモノもあるので別段問題では無い筈だ。軍事組織の兵員ならば尚更に
そうした後に、二人揃って女性隊員の案内に従って会議室に到着する。
――さっそく挨拶からお茶の催促に向かったマズルカとは対照的に、人造魔女は特に入室してから動きを見せる事無くその場で
歩哨よろしく直立している…が
「…………………………」
自然と目がゆくのは、意図していないながらも明らかに彼(九頭文治)とはまた異なる感慨で、窓際から見える”空”――最期に願
った情景故――もっと言えば、自分という存在の内に在り、自分という存在を形成した(あの人)に見せてあげたかったからか…
それをただ眺めているだけで、そのまま吸い込まれて行きそうになる。
――“みんな“にも、みせてあげたかったな。
―
「あ…ごめんなさい。」
(らしく)なくぼうっとしていた人造魔女は、旅団長及び先任たる三人の自己紹介(気乗りしないモノも含め)で漸く我に返ると
半ば慌てて筆記用具と書類の置かれた席へ移動しつつ―ほぼほぼまだまだ面識の浅い面々に軽くペコリと会釈する。
「ヤマトりょだんちょう、たけうちせんよくちょう、きみしませんよくちょう、…くがしらまんよくちょう」
ぼそり、と口に出して今し方紹介を受けた面々の名を反芻しつつ―自然、マズルカを含めるとまだ名を知らない二人、先進的な
個人用強化外骨格(パワードスーツ)姿の青年(清太郎)と白い饅頭頭な彼(やる夫)の二人に、その無機質さと無垢さ、そして幼さが
奇妙に共生している様な視線が向く。
≫マズルカ、峰津院 大和、君島邦彦、竹内優斗、九頭文治、橋川清太郎、入速出やる夫
37
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/01/14(木) 10:31:04
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
「釜の飯というのは同じ部隊に属するという例えの一つさ。ん?ふふそうさこれでも地元じゃそれなりな魔女子さんだったからね!ちょっとは凄いのさハハハ!」
アルファ06とのたわいない会話中僅かな笑みを浮かべ凄いと評価された事に気をよくしたのか、反比例する様にマズルカはニッコリと笑みを浮かべ大きく笑う。
しかしそんな単調?なマズルカではあったが流石に命名問題となると悩むらしく、先ほどまでハッハッハと笑いあげていた状態から一点うーむと声に出しながら真剣に悩んでいる。
「う.うーん名前かぁミハイ・ドゥミトル・マルガレータ・コルネリウ…アストライアー…ノスフェラトゥ…私が作る人形兵には何時も適当につけていたからなぁうむむ悩んでしまう。
アルファ06君自身に何かアテは無いのかい?こういうのは知っている人とか物とか何かこう印象に残るものを引っ張ってくるといい。何たとえ同一人物の名前だってここでは困らないよ」
案外と言うかその通りというべきかどうやらマズルカ自身にネーミングセンスはあまりない様子だ。なのでここはあえてアルファ06自身に何か印象的な物は無いか聞いてみる事にした。
そうしたやり取りを続けている内に"空木彩虹(うつきあやこ)"という名前にたどり着いたか、それともどこかの亡国の空の王の様な名前を勝手につけられたかは分からない。
第二会議室に入ると一旦アルファ06との会話を中断し、その場にいる風渡りを含めたメンバー全員に自身のお披露目を行いつつ、茶の督促をして席に着く。
「はは見せているのだから気にせず見るといいさやる夫君も正直でよろしい!む流石にドレスコードに引っかかる様な場所はダメかその点は覚えておくよ東三条君後お茶有難う」
橋川の視線にもやる夫恒例の本音と建て前逆転現象にも動じずえへんと胸をそらしたまま笑い飛ばすマズルカ。参謀の東三条には忠告を素直に受け止めお茶の礼をしつつ着席する。
この際さり気なくアルファ06の隣に座り、後は峰津院の始まりの挨拶を聞きつつお茶を飲み、渡された書類に目を落とす。難しい物では無く簡単な自己紹介の様なものだ
「まるでアイドルにでもなった気分だよ」と茶化した言葉を発しつつ、ペンを手に取ってさらさらと必要事項に記載していく。特に悩む点は無い1名前はリマージュ・マズルカ・エルマ
2実戦経験の有無は有り。こう見えてそれなりに戦いを潜り抜け、命を落としそうになったことも何度もある。3所属する兵科之については少し悩んだが「スカウト」とした。
スカウトはこの第五世界でいう歩兵その中でも戦車随伴歩兵を示す。元々マズルカは魔法を使う魔女だが直接自分の魔法で攻撃するのではなく人形兵と呼ばれる
マズルカが作り上げた人間そっくりのある意味アルファ06に近い存在を使役して戦う為、どうしても直接自身が戦場に赴き人形兵を指揮する必要がある為だ。
つまりマズルカは歩兵隊の士官。人形兵はその名の通り兵という訳である。4出身地之も単純に「テネス」と書く。ここまではあまり悩む必要は無かった。
5自分が出来る事…これに関してはペンを動かす手を止めてうーむと声に出してマズルカは悩んだ。とりあえず人形兵と魔女ノ旅団については細かく記載せねばならないだろう。
本体となる人形は自分(マズルカ)が作る事。それを魔導書妖路歴程を通じて魔力を送り戦場において実体化させ戦わせる事。ただし数には限りがあり特に質の高い人形兵程
員数制限が厳しくなり一般兵を広く多数配置するか、精兵を集中投入するかはマズルカの判断で決まる事。後重要な事は簡単な意思疎通は出来るがあくまで人形である事
補給(この場合ウォードレスや銃火器)は必要ない事等を箇条書きにしていく。後は妖路歴程を使いちょっとした高高度偵察の様な真似を出来る事を記載(実際には地形把握に近い為屋内でも可能)
後は…錬金術や本当にちょっとした魔法位か。と言っても錬金術で生み出せる物は人形兵や魔女用の為の物ばかりで役に立たちそうなものはあまりない。
「金塊100kgを大量生産したりは出来ないけれど仲間の為に病気やケガに効く薬、映画やプールのチケットを作る位は出来る」と書いておいた。まぁこんなものだろう
自分の記述が終わると代わる代わる挨拶を行う竹内、君島、九頭によろしくと軽く挨拶を行い、うーんと大きく背伸びをして椅子の背もたれにもたれかかる。
この後30分ほどの小休止は会議室に居る仲間との会話や、必要に応じてアルファ06の記述のフォローに回る事にした。
>>ALL
38
:
カリー
:2021/01/16(土) 17:43:51
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
「…………」
(ドストレートだなぁ……)
やる夫の言動に閉口、軽く額を抑えた。更衣室で自分にかけた温かいそれとの、余りに大きな落差に目眩を覚える。
人間素直が一番、みたいな言葉を聞いたことはあるが、それにしたって限度というものがあるだろう。
とはいえ、本音と建前が裏返ったとわざわざ発言した点から、本当にドス黒い欲望ではないようだ。マズルカも屈託のない笑顔で軽く流している。そもそも自分だって鼻の下を伸ばしていたので、他人をどうこう言える立場ではない。
また、九頭に対しても、彼なりに程よい距離感で挨拶していたのでこの辺りは深く懸念しなくてもいいだろう。
さていよいよ会議が本格的に始まり、先ずリーダーの大和が改めて自己紹介する。そして新入りである自分、マズルカ、アルファ06の三人に最初の命令として、簡易的なペーパーワークを命じた。直後、ヤマトに続く形で他の者達も自己紹介を行う。
早速彼の命令に従いペンを手に取る。
1つ目の項目は慣れた手付きで済ませ、2つ目も『有り』と10秒足らずで終わらせる。3つ目で一瞬手を止めたが、これから所属を希望する兵科という意味合いだと判断し、『パイロット(スカウトとしての装備、戦闘能力も有り)』と記入した。仮に間違っていても即座に口頭での訂正などが入るだろう。4つ目も少々悩んだが『別世界の地球・日本』とごく簡潔に纏めた。最後の5つ目も同じように書き連ねる。
『パイロット、スカウト両方の戦闘適性。兵器類の管理、研究開発。系統としては純粋な物理化学のみであり、魔導技術などは専門外』
(……よし)
まあこんなところだろう。ついでにGAWNDとBlitz griffonのスペックも詳細に記しておいた。
あとはヤマトの言った通り、裏の余白に、各員の機体のカタログスペックを要求する旨を書いたところでペンを置く。
「…………」
(な、何だ……?)
視線を感じて首を向けると、アルファ06がこちらとやる夫をずっと凝視していた。
ハイライトの無い涼しげな双眸が見つめてくる。小心者の自分にとっては無言の圧力となり、気まずさを覚えてしまう。
(いや待てよ……あ、そうか)
「僕は橋川清太郎。時空防衛連盟所属で、メカニックをやらせて貰ってるよ」
彼女の行動を『こちらでも自己紹介をし合うべきだ』という意味合いと解釈し、席に座ったまま言葉を連ねた。
>会議室all
39
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/01/16(土) 21:14:00
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、君島 邦彦】
「アルファ06の名前か……私は姓名判断士などではないから縁起の良い名前などは分からないが、彼女は空に対して強い思い入れがある。姓か名のどちらかに”空”の文字は入れてやりたいところだな……なんだ君島千翼長、そんな顔をして」
『あ、いや。意外とロマンチストなんだなって思って』
「……柄ではないことくらいは分かるが、無駄口は慎め。お前の仕事はまだまだ残っている」
『あいよ』
君島の呆然とした顔にツッコミを入れるヤマト、茶々を入れる君島に対して後ろの書類の山を指差して仕事を命じる。
今までのヤマトを知る人間が見れば唖然とするかもしれないやり取りだ。対する君島は書類の山を切り崩すべくヤマトの隣に座ってペンを走らせていく。
さて、マズルカと橋川清太郎が書類を書き終えたところだ。先に書き終えたマズルカ女史の方から目を通すか。
「まずは君からだマズルカ女史、実戦経験ありのスカウト希望とあるが、銃による戦いの経験はあるか? 戦場で魔法を用いることは禁じるつもりはないが、銃による戦闘経験がないなら最低限学兵並には使えるように訓練してもらう必要がある。取れる護身手段が増えて困ることはないはずだ、次は……」
マズルカの書いた書類に目を通し、疑問点を洗い出していく。しかしこの戦い方は魔法使いというより指揮者(コンダクター)のようだな。などと思いながらも、その戦法をゆっくり咀嚼していく。
「人形兵の扱いについてだが、個々にある程度のパーソナルはあるとみていいのか? それとその人形兵のボロが出ないためにも最低限の所属と名前は必要だ、所属は当旅団だが名前は適当に決めてもいいか? それとこのテミスというのは地球上の地理にある場所か? 無い場所ならば今は滅んだユーラシアのどこか、ということにする必要がある。それと人形作成に必要なものがあれば早いうちに用意するので裏にでも書くように」
人形兵を使うことは否定しないが、所属を聞かれた際に『実はこれ人形です』などと言う訳にもいかない。なのである程度は使いまわすとしても所属と姓名は必須になる。ヤマトは口頭で淀みなくそれを説明する。
そしてテミスという地名にヤマトは覚えがない。実在しない地名ならばユーラシア大陸のどこかという設定にしなくてはならないのでその説明も添える。これについてはアルファ06にも恐らく当てはまるだろう。そして付け加えるように「チケットなどの偽造はバレるとめんどうなのでやめておけ」と釘を刺しておく。必要ならば君島か自分に言えば一日足らずで取り寄せられるのだから。
「次は君だ橋川清太郎、君はパイロットかつスカウトの戦闘も可能とある、これは『必要に応じてスカウトとして運用する』事も可能と見ていいか? それに兵器の管理や研究開発とあるが、あの機体を制作したのは君か? だとすれば正直今私が喉から手が出るほどに欲している人材だな。『今の日本に必要なシステム』の開発の手が足りていなくてな」
橋川清太郎、彼の経歴を鵜呑みにするならば彼は今ヤマトが一番欲していた人材と言うことになる。戦闘経験が有るというだけでもありがたいが本質はそこではなく、兵器の管理や研究開発の方だ。
丁度いいのでここで話してしまおう、ヤマトが制作を進め、”日本国首相が欲している”モノのことを。
「橋川清太郎、君は日本人だそうだが1945年の8月に広島と長崎に何が起きたか答えられるか? 私と君島と九頭と入速出の居たそれぞれ別の世界の日本では原爆……つまるところ核が落とされた。アメリカによってな。
そして極秘裏に入手した情報では『オレンジ計画』という東京が陥落した時点で日本全土に核を投下して日本諸共幻獣を消滅させる計画が発覚した。それを阻止するためにとあるシステムが必要になるのだ。ハードウェアの開発までは何とかこぎつけたがソフトウェアの方はほぼ手付かずだ。そのシステムの名は『ニュートロンジャマー』核分裂を抑止するシロモノだ」
ヤマトが語るのは1945年の8月に何が起きたかだ。ヤマト、君島、九頭、やる夫。それぞれ別の世界の日本から来た風渡りの全ての歴史に共通する事件がそれだ。
この世界の日本は原爆が落ちる前に幻獣が現れて戦争どころではなくなったという経歴があるが、今でもアメリカには日本に核を落とそうとしている過激派が居るとの情報を入手したのだ。
そして日本が核に焼かれる未来を防ぐには『ニュートロンジャマー』通称Nジャマーが必要であり、首相から早急に開発を命じられたものだ。そのNジャマーの開発の元となったのはヤマトが転移と共に持ってきたフリーダムガンダムの核融合炉に搭載されたシステム『Nジャマーキャンセラー』だ。
そのシステムを元に何とかハードウェアは開発したがソフトウェアがまだ手付かずであることなど全てをヤマトは打ち明ける。格納庫で優斗が捲し立てていたのはこの事だったのだ。
「Nジャマーが完成したらこれを極秘裏に日本全土に相当な数のダミーと共に埋め込み核の脅威から日本を守る構想だ。原子力発電所などには既存のNジャマーキャンセラーを使用する予定となっている。そのソフトウェアの開発を橋川清太郎、君に任せたい。
時間さえかければ私でも完成させる目度がある、が、今の私には時間がない。旅団の運営などに大きく時間を取られるからだ。私の機体に元となるシステムがあって幸いだった、何度も言うがこれは日本国首相の依頼だ。成功すれば広島長崎のような悲劇は回避される、どうだろうか?」
ヤマトは清太郎の目を真っすぐ見て頼み込む。意外なことに先程まで我関せずといった態度を貫いていた九頭文治もサングラス越しに彼を見ていた。
会議室内の空気が張り詰める、優斗と参謀の東三条も手を止めている。はたしてどうなるか。
>アルファ06、マズルカ、橋川清太郎、会議室ALL
40
:
カリー
:2021/01/30(土) 17:25:11
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
「うん、基本的にGAWNDを着たままBlitz griffonに乗るからね、コクピットハッチを開けてから即座にスカウトとして運用出来るよ」
パイロットとスカウトの二足の草鞋。どっちつかずの器用貧乏となってしまう可能性は高いが、それでも状況に応じ両方の選択を取れるのは大きなアドバンテージの筈だ。
「そう、僕自身で開発したんだ。これに限らず、機体の武装やGAWNDもね」
純粋に機械関係にしか取り柄がない。ならばその一点を極限まで伸ばしてやろうと必死こいて頑張っきた結果『それ』で全身を覆うことになった。後悔などない、寧ろ自身の努力の結晶を、衣服と同じように他人に見せられる事を誇らしく思う。Blitz griffonについてもほぼ同様だ。
喉から手が出るほど、そう言われ内心照れくさくなった。竹内と話している時もそうだったが、素直に褒められるというのはどうにも慣れない。
「………………」
暫しの沈黙、ヤマトから思わぬ提案を持ちかけられ面食らってしまう。
「…………」
だけではなかった、実のところかなり返答に迷っている。
これから起こる惨劇を自分達の手で回避しよう、その為に協力して欲しい、という旨の要求であることは重々承知しているのだが、ここで二つ返事をしないのは相応の理由がある。
「……それって、過去改変にならないかな?」
ぼそりと、しかし全員に聞こえる程度の声量で口を開いた。
過去改変。それは読んで字のごとく過去に干渉し、歴史を変えてしまうことを指す。
「僕の所属する時空防衛連盟は、過去に干渉するのを禁じ、取り締まっているんだ。当然、僕自身もそういう内容の任務を何度もこなしてきた」
その数と規模たるや、文字通り世界規模であり自分一人ではどうにもならなかったものばかりだ。それでも生き残れてきたのは、自分より強く気高い仲間達が、死力を尽くしてくれたからに他ならない。
「……それで、過去改変を止める理由だけど、単なる倫理的な面だけじゃなくて、その時間軸での未来に悪影響が及ぶからなんだ」
最悪その時間軸が消滅したり、そうでなくとも時空間的な問題が出てくる可能性がある。よってどんなに凄惨な出来事でも変えてはならない。
……長々と話したが、要するに『これは過去改変とは違うから大丈夫だ』という証明が欲しいのだ。
ここが完全な別世界の時点で、過去もクソもないというのは理解している。しかしヤマトの口から明確な答えを直接聞くまでは、安心しきれない。
考えてみればこの世界に来た時点で、ヤマト達や自分が過去改変をしてしまっている可能性もある。
その場合は極めて不本意だが、ヤマト達と敵対しなければならなくなる。例え敗北が確定しているとしても。
戦って死亡したならば『過去改変をしようとするヤマト達を過去に行って追跡し、阻止しようとした』という名分は辛うじて立つ。
逆に過去改変を承知でヤマト達に協力した場合、幻獣達に勝利したとしても、先程言った時間軸での悪影響が起き、それを連盟が察知しヤマト達と自分を始末する為この世界に刺客を送り込んでくるだろう。それはつまり、嘗ての仲間と殺し合わなければならなくなるのだ。
(考察を深める程、僕にとって深刻な事態なのがわかってくるな……)
大きくため息をつきたくなるのを我慢するも、こめかみから大粒の冷や汗が流れた。
こちらを見つめるヤマトの目に曇りはない、ほぼ確実に納得のいく説明をしてくれるだろう。
しかし重ねて述べるが、出来れば説明ではなく、一言『過去改変じゃないので問題ない』と断言してくれれば全て丸く収まるのだ。
半ば祈るような心持ちでヤマトの返答を窺う。
>ヤマト、会議室all
41
:
<削除>
:<削除>
<削除>
42
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/02/19(金) 16:12:22
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和】
なるほど、時空防衛連盟というのはそういう仕事をしているのか、と納得しつつも自分の行いがそれに抵触しているのではないかという疑問は早急に晴らさねばならない。故にその回答は直球だ。
「……橋川清太郎、君の言う過去改変とやらがどういうものかは理解した。ならば私は断言しよう、『過去改変ではない』と。私の行いは未来に起き得る悲劇の阻止だ。
頭の中に知識として入っているだろうが、今は1998年であり1945年ではないし、この年に核が落ちた世界は今のところ発見されていない、私も、君島も、九頭も、入速出もそのような事実は観測していない。あくまで核が広島と長崎に落ちたのは1945年でその直後に日本は終戦を迎えていたのだよ」
ヤマトは結論から述べることにした、断じて違うと。ヤマトは腐った現状の打破を目論んではいるが、その全ては『今』と『これから先の未来』に焦点を絞ったものだ。過去を変えようなどと思ったことすらない。
ヤマトの持論は”自分を含めて人間は皆クズだ”というものだ、だがそこで終わりではなく”人間は成長して変わることが出来る”と人間の可能性を信じている。腐った世の中に辟易していた自分に体を張って教えてくれた”友達”がいる。
故にヤマトは清太郎の目を真っすぐ見据えて堂々と言い切った。
「第一過去を変えて何になる? 確かに過去の事象を変えることが出来ればそれによって計り知れない利益を得る者はいるだろうな。例えば潰れるはずだった会社を延命させたり、過去の戦争の結果を変えれば世界の勢力図は丸ごと塗り替えられるだろう。
だがそれに手を出せば確実に他の不利益を被ったものは黙っていないだろうし、改変に次ぐ改変のイタチごっこで世界はいずれ崩壊する、そんな唾棄すべきものなどに私は頼らん。今時の若者風に言うならば『クソくらえ』だ」
ヤマトは僅かな苛立ちとも怒りとも知れない感情が籠った声で言い放つ。ヤマトにしてはとても珍しいことに分かりやすく汚い言葉を添えている。その様子に隣で事務作業をしている君島はむせる始末だ。
技術力が極まり文明が栄えても尚その手のクズはどこにでもいるということか。いずれ世界の垣根すら超えてしまうのではないかという懸念もある。
清太郎がいう時空防衛連盟とやらはさぞかし苦労してきたことだろうし、これからも苦労し続けることだろう。ひとつ労いの言葉でも掛けてやりたい気分だが、それはまた別の機会でいいだろう。
「……私としたことが少々熱くなったな、私の世界も管理者を気取る異星の神という理不尽なモノに滅ぼされかけてな、思うところはあるわけだ。詳しく話してもいいがそれはまた別の機会に。
さて、返答を聞かせてもらえるかね? 橋川清太郎。他にも何か懸念事項があるならば今のうちに頼む」
言葉こそ偉そうだが声音は平常時の物に戻っているし、表情も普段と変わりないが、その眼は変わらず真っすぐ清太郎の眼を見据えている。この感触ならば懸念事項さえクリアすれば手を借りることは出来そうだが。
>橋川清太郎
【一部書き忘れがあったので追記します】
43
:
カリー
:2021/02/24(水) 01:34:09
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
まず第一に求めていた回答を聞き、深く胸を撫で下ろした。肩の荷が降りるとは正にこのことか。ここでヤマトが別の返答をしていれば、自分が破滅する可能性が跳ね上がっていたかもしれないのだ。少しくらい緩んだ仕草も許して欲しい。
(まだ幻獣と戦ってすらいないのに、とんだ綱渡りだったな……)
とはいえ、当面の危機は去った。まずは一歩といったところか。
また、ヤマト個人としても過去改変は望ましいものと捉えていないようだ。彼らしからぬ面持ちで言葉を紡いでいく。
異星の神。随分と仰々しい呼び名が出てきたが、彼の言葉を疑うことはしなかった。純粋に彼が信頼に足る人物というだけでなく、自身もそのような存在と対峙したことがあるからだ。そんな者達と全面戦争してあまつさえ生き延びるとは、本当に仲間に恵まれたものである。
少し思考が逸れた、今は彼の問いに答えなければ。
「勿論イエスだよ。ソフトウェアの開発は任せて」
真摯な眼差しに応じるように、快諾の表情を示した。
オレンジ計画とやら、絶対に止めて見せよう。過去改変という枷が明確に外れたからには、遠慮なく叩き潰す。
考えてみれば世界規模の戦役は経験しても、日本を守るという目的で動くのは初めてだ。『国の為に』なんてのは柄じゃないが、たまには国士として戦うのも悪くはないだろう。
(まさかあの機体がその鍵を握っていたなんてね)
Nジャマー、Nジャマーキャンセラー。その言葉の並びからして、フリーダムという機体があった世界でも核は大きな脅威であり、また技術面でのイタチごっこがあったことが窺える。
また、今あるNジャマーキャンセラーで原子力発電所を、予め防護しようとこの時点で考案しておくとは、本当に抜け目のない男だ。もし敵に回っていたらと思うと肝が冷える。
「ああ、それと……懸念事項というか、ちょっと欲しいデータがあるんだけど」
この世界に来てから頭の中で状況を整理するにあたって、比較的優先して手に入れるべきと判断した情報を要求する。
「この地域での幻獣関連の資料を閲覧出来ないかな? 実戦で浮き足立つなんて事態は避けたいからね」
基本的な情報はOVERS Systemで一通り知っているが、現地から仕入れる情報というのも重要だ。この地域ではどの種類の幻獣と交戦することが多いのか、はたまた地域毎に幻獣の習性などに違いがあるのかといった“生”の情報があると助かる。
>ヤマト、会議室all
44
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/04/05(月) 17:10:33
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
椅子の背もたれによっかかり足をぶらぶらさせていたマズルカは自身の提出した書類に目を通し、そして質問をしてきた峰津院の言葉に反応して待ってましたとばかりに言葉を返す。
マズルカ
「銃火器の取り扱いは護身用程度ならあると言っておこうか。何せ私は魔女なのだけど世間一般の方々が思う様な手から火球とか光線を出して戦ったり出来ないもので必然的に身を守る術は身に着けたのさ
とはいえだ。正規の軍人に比べたら素人の毛が生えた程度体力的にもどっかの鋼鉄の胃袋を持つ生体クローンスカウトに言わせたら隅で震えてろ状態なのだがねハハハ!」
最後に妙な冗談を付け加えて笑いながら答えるマズルカ。一応銃火器の取り扱いは出来る様だが本人が言う通り本来スカウト(歩兵)において最も重要である体力面に関しては学徒兵以下である。
之に関して例えば配置を変えてオペレーター等になればいいのではないか。といった疑問に対しては他の仕事と兼任すると魔女の旅団の質が低下する為成るべく指揮に専念したい事。
そして自分(正確には自分が持つレキテーちゃんと呼ばれる魔導書)が人形兵に近ければ近いほど何かと都合が良い為、やはり自分(マズルカ)自身も戦場に出た方が良いという説明を行った。
とは言え必要に応じてAPC(装甲兵員輸送車)やIFV(歩兵戦闘車)の類を陳情し、そこに乗り(当然車両の運転等は人形兵に任せる)指揮を執り戦う事もあるだろうと付け加えた。
マズルカ
「うーんパーソナリティかぁ難しい質問だね。簡単に言えば人形兵によってあったりなかったりするよ。例えば君島クンは見ただろうけど、初めてこの世界に来た時周辺警戒に出した様な
私は"ガーズメン"と呼ぶ汎用歩兵タイプの人形兵だとほぼ無いし応対もはいかいいえ程度しか出来ない。まだ出していないけれどアルファ06クンみたいなタイプの人形兵は人間と殆ど変わらない
ある程度の独立心何かも持ってるよ。うーん戸籍や名前かぁ正直私としては消耗品である人形兵にあまり個性をつけすぎるのは反対なのだけれど、書類上必要ならテキトーにでっち上げておいて欲しい
あまり私の方でコチコチにパーソナリティ固めてしまうと、なんにでもなれるという人形兵の汎用性を失ってしまうからね。その辺りも理解してくれると助かるよ」
今まで快活に答えてきたマズルカであったが事人形兵のパーソナル問題に関しては首をかしげ、悩みながら言葉を選んで出していく。大和にとってアルファ06を含め書類上必要というだけでなく
人間としてパーソナリティを確立させるのは重要視しているであろうことは、マズルカもある程度察している様だが之に関してはあまり干渉を受けるとマズルカ的に問題がある様だ。
尚最後の質問である自身の出身地に関しては当然地球にはない場所なので、それも大和側で決めて欲しいと付け加えた。
>>会議場ALL
45
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/04/10(土) 14:29:45
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、九頭 文治】
無事にこちらの話を理解してくれたのか深く胸を撫で下ろす橋川清太郎。あの様子ではこちらが『過去改変』を行おうとしたら彼は命を賭して止めに来たのだろうな。
彼からしてみればとんだ綱渡りだったわけだ、その心中には同情しよう、しかし逆に言えば彼はそれだけ使命に殉ずる覚悟を持っているということだ、ニュートロンジャマーのソフトウェア開発の未来は明るいとみていいだろう。
「ありがとう、正直このタイミングで君が来てくれて非常に助かった。必要なものがあったら私か君島に言ってくれれば最優先で用意しよう、君の働きに期待する」
この話が無事に通ってホっとしたのは橋川清太郎一人ではない、露骨に顔に出ている竹内優斗を含めて君島や文治も同じような心境だ。感謝を言葉に出したヤマトもいわずもがなだ。
「ああ、幻獣についてのデータなら各自の端末に送る用意がある。芝村準竜士の話が終わったタイミングで送るつもりだったが、今のうちに送っても構わない、少々待て」
大まかな情報はOVERS Systemを名乗るなにかに直接頭に叩き込まれているのはヤマトも同じだが、現地側の資料があるならそれも見ておこうということだろう。
前もってその準備をしていたヤマトはスマホ型の端末を操作すると、橋川清太郎を含む今日現れた皆に幻獣の詳細なデータを送信する。この端末同士の通信回線は現地の物を使用したものではなく、通信速度もこの時代のものと比べると十数倍は早い。
さて、橋川清太郎の懸念が片付いたところで次はマズルカ女史の返答が来た、幻獣のデータがすべて送信されるのはあと数分は掛かるのでその間に応えるとしよう。
「なるほど、銃についてはあまり芳しくないワケか、ならば君も九頭万翼長の訓練を受けてもらおう。海軍の者が小銃ひとつ使えないのは問題だ、余計な勘繰りをされる恐れもあるしな。
九頭万翼長、一人訓練に追加だ。構わんな?」
『……あぁ、構わねえが、学兵共の訓練と一緒でいいか? 大規模反攻作戦前でソイツ一人には時間を割けないんでな』
「それでいい。マズルカ女史には最低限の射撃スキルを取得してもらう。あの声(OVERS System)の言った『可能性の付与』という言葉を身を持って体験してもらうことになる」
『可能性の付与』、この言葉だけを聞けば何の事だかさっぱりわからないだろうが、簡単な話だ。訓練や資格取得のための効率が通常の人間を遥かに凌駕するレベルで高くなるのだ。
例を挙げるならば、君島千翼長が人型戦車に乗り、エースと肩を並べて戦えるようになったのはこの『可能性の付与』による恩恵が大きい。
通常人型戦車に乗り、戦闘できるまでの慣熟訓練にはあの5121小隊でも一月近くの時間を要したが、君島は一週間程度でそれを成した。君島には元から戦いに関する才能があったわけでもないのにだ。
それを考えれば最低限の射撃スキルの取得に関する問題は、本人に余程適性がない限りはないと言えるだろう。
「なるほど、粗方理解した。戸籍を作るのは先ほども言った通りここぞというときにボロを出さないためだ。戸籍も軍籍もない者が銃を携えて戦場に出ている、などと発覚すれば会津の連中はここぞとばかりに責め立てるだろう。
人形兵にはこちらで適当に戸籍と軍籍を作っておく、とりあえず一個中隊、いや一個小隊(凡そ30〜60)程度作っておく。名前の振り分けはそちらに任せるぞ」
ヤマトは人形兵にもある程度の自我があると踏んでいたが、一部を除いてそうでもないという情報を得た。ならば戸籍と軍籍は使いまわしでも大丈夫だろう。その振り分けはマズルカに任せるしかない。
流石に一度に一個小隊分の正規の軍人を増やすことは出来ないので、その人形兵には、そうだな”九州撤退戦をなんとか生き延びた学兵”ということにさせてもらおう。学兵の管轄は文部科学省だが、今のところロクに機能しているとは言い難いのでその混乱を突けば偽造は容易い。
「人形兵諸君には”九州撤退戦を生き延びた学兵”ということで話を通そうと思う。学兵の管轄である文部科学省の連中はどの部隊が撤退出来ている、という現状の正確な把握は出来ていない。そこに付け込み戸籍と軍籍を偽造する。この経歴で問題はあるかマズルカ女史? なければこのまま作業を開始するが。」
躊躇いもなくグレーゾーンどころかブラックなゾーンに手を入れる宣言をするヤマトである。伊達にこの年で一つの大きな組織を纏めていたわけではない、酸いも甘いも噛み分けたヤマトに躊躇いという文字はない。
「それとその紙に書いてある実戦経験の有無についてだが、実戦経験のある風渡りは万翼長、無い者には千翼長という階級を振らせてもらっている。
だが実際の待遇には差はない。諸君らには実際の階級以上の給金を保障するし、何か問題が起きればこちらで随時対処する。細かい違いは作戦会議等における発言力だが、千翼長以上であれば最低限の発言は許可される。この階級は学兵のもので、万翼長が大尉相当で、千翼長は中尉相当となるが、実際の発言力は二階級程度下がると思ってくれ、今日現れた諸君は全員戦闘経験アリということで階級は万翼長とする、なにか質問はあるか?」
キーボードを凄い速度で叩きながらも情報を纏めていく。所謂戸籍と軍籍の偽造は今この時点で開始されているのだ。そして後で質問されるであろう実戦経験の有無の欄についても触れておく。
戦果を挙げた際に昇進の話しもいずれ来ることになるだろうが、それはまた別の機会に触れるとしよう。
>橋川清太郎、マズルカ、会議室ALL
46
:
カリー
:2021/04/14(水) 06:45:03
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
マズルカの方は、軍人として振る舞う為に携行火器の扱いが求められているようだ。風渡り……というより『正規の軍人ではない』という事が公になれば、面倒どころか破滅になりかねないからだろう。
また、それまでの話を聞く限り、彼女は人形兵を使った用兵術に特化しているらしい。
もし彼女と組むような事があれば、どのような形が適切だろうか。
Blitz griffon(機体)ではなくGAWND(強化服)の使用が前提として、まず考えられるのは自分が補佐官のように随伴、レーダー類を活用して視界外の人形兵や地形情報を逐一報告するのはどうだろう。
または自分が切り込み隊長のように先陣を切り、装甲と火力を活かして正面からの攻撃を受け止めるか。
(……いや、まてよ)
それ以前に、人形兵の性能がGAWNDのそれを上回っている可能性もある。レーダー類に関しても、それに代わる探知魔法などがあるかもしれない。その場合は素直に後方支援に徹しよう。
(……っと)
あれこれ考えている間に、ヤマトが幻獣のデータを端末に送信した。
「ありがとう、ひとまずこれで初陣で活躍出来ないということはなさそうだよ」
目当ての情報がほぼ全てしっかり記載されていることを確認し、感謝の言葉を述べる。
しかしこの点に関しても事前に準備してあるとは、重ね重ね底の知れない男だ。
マズルカの銃器修練の件については、九頭の行う学兵の訓練に参加する、という形で落ち着いたようだ。
そしてヤマトの話の途中に出てきた『可能性の付与』という概念も少々興味深い。OVERS Systemからの情報やこれまでの話の流れを鑑みるに、一定方面の分野における習熟速度の向上、といったところか。
だがあいにくというか何というか、自身は戦場へ身を置いて長いので、それが適用されそうなスキルは(フィジカル系を除いて)あらかた習得してしまっている。いわば最初から頭打ちだ。無論まだ自分の知らない技術体系もあるのだろうが、具体的に把握出来ずまた活用法も分からない以上、保留にしておくべきだ。それよりは今ある技術を、ヤマトの期待通りに使う方がよほど組織的な貢献が出来る。
「僕はもう現時点での質問はないかな」
彼の説明を聞き、とりあえず『横浜基地の一兵士』として振る舞えば問題ないと解釈した。
さてソフトウェア開発などで忙しくなるなと胸中で呟いたところで、気になる点がもう一つあったことを思い出す。
「あ……そうだマズルカ。人形兵についてなんだけど、生身の歩兵と比較して、能力的にどういう違いがあるんだい?」
そのようなことを聞いた理由は先程と同様だ。直接本人の口から聞くことでその情報をより深く理解する為である。特に彼女の持つ技術体系は他の風渡りよりも特異性が高い。
>ヤマト、マズルカ、会議室all
47
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/04/15(木) 03:08:01
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
前もってその準備をしていたヤマトはスマホ型の端末を操作すると、橋川清太郎を含む今日現れた皆に幻獣の詳細なデータを送信する。この端末同士の通信回線は現地の物を使用したものではなく、通信速度もこの時
マズルカ
「うへェー私もお前にヨシ!俺にヨシ!って感じにシゴかれて銃にシャーリーンとか名前つけてしまうのかな?それはさておき<可能性の付与>に関しては私も実際どういう物か気になっていた所だ」
大和に学徒兵と共に訓練を受けろと言われた際にはまるでこの世の終わりの様な顔で机に顔を埋め、訳の分からない事を口走ったが直ぐに顔を上げて訓練を受ける事を了承する。マズルカ自身もある程度
自分を鍛える必要性がある事は自覚していたし、そしてそれ以上に魔女としての知識欲がOVERS Systemから自身に与えられた能力である<可能性の付与>という物がどういう物か知りたかった。
因みにマズルカは本当に一般女子中学生程度の体力や筋力しかない。銃の心得があるというのも素人(民間人と言うべきか)が護身用に持てる銃を撃ち、弾を込め、とりあえず分解清掃出来る程度だ。
それが本当に短時間で軍用自動小銃の取り扱い(射撃技術だけでなくこの場合分解結合等も含むだろう)を習得出来るなら、それは本人の努力や才覚、教練の良し悪し以上に"何か"がなければならない。
マズルカ
「やれや仮にも軍人なのに政治も考えなくちゃーいけないなんて大和君も大変だねぇ。とはいえそれで問題は無いし理解と配慮に感謝するよ。ただ流石に戦場で出す人形兵の顔を常に一致させるのは大変だから
もし閲兵式の様な事があるなら早めに教えて欲しい。その時は大和君が作った書類通りうるさ方も文句を言えないよーにカンペキにしあげようじゃないか」
人形兵の書類上の扱いについては大和のいう事に不満も問題点も無かった。面通しだってもしそんな事態に陥る様な事になる様であればマズルカが言わずともこの大和なる青年は即座に手を打ち
必要があれば自分(マズルカ)にしてもらいたい事を伝えるだろう。この場であえてそれマズルカ自身が言ったのはこんな重箱の隅をつつく程度しか付け加える事が無い位帰ってきた答えが
完璧に近い物であったからだ。数に関しても一個小隊程度なら現状多すぎず少なすぎずで丁度良い。後で人形兵を増員させる見通しが立てばその際改めて進言すればいいだろう。
階級や給金、発言権等の話になったが之に関してもマズルカ自身特に問題は無かった。元々給料目当ての傭兵や軍隊での立身出世を求めて来た訳では無いし、ここ(ダイイチ)であれば
衣食住に困る事は無いだろう。人形兵の材料に関してもご丁寧に大和の方から進言してくれた為之に関しても困る事は無いだろう。そもそもマズルカは命を賭して戦ったことがあるとはいえ
それは軍人としてではなくしいていうならごく個人的な抵抗(戦い)であったので、軍人としての生活事態初めてである。まぁ之は羽目を外し過ぎなければなんとかなるだろう。
等と考えながら大和の質問に「異議無し!」と元気よく答え、自分に渡された携帯端末に送られた幻獣の情報を眺め「之をキックで倒すってどう蹴るのだろう」等と呟いている。
と大体今やるべき事も終わり、お茶のお代わりを貰ったりして自由に過ごしていた所同じ風渡りである橋川から人形兵について質問を受けた。之はある意味いい機会だろう。
マズルカ
「うーむどこから説明したものか。一番は私がある程度自由に展開させる事が出来るという事かな?こういう風にエイエーイ!」
謎の奇声(本人的には掛け声)をあげ小さく杖を振るとマズルカの丁度後ろ側が光り出す。光量は大した事は無く眩しくもなんとも無いのだがその地点で何が起きているかは分からない。
つまり光っているとしか捉えられない(とは言え橋川や大和等が見れば魔術的要素が働いている事は簡単に分かるだろう)その後瞬時に兵士が二人現れた。
身長は平均的な男性と同程度。薄暗い色のトレンチコートを羽織りその上から革製のベルトに弾帯や雑納を付け、顔は古いガスマスクで覆われ頭にヘルメットを着用している。
之だけだとまるで第一次世界大戦時の兵士の様だが、肩に担いだ小銃らしき物がクラシックなデザインではあるものの、どうやらレーザーガンの一種の様だ。
今出現させた人形兵は此方の世界に来た際、周辺警護に出した物と同じでありこの中なら君島のみ見たことがある。とは言え行き成り兵士が二人出現するのだから驚かれるだろう
しかしすぐにまた現れた時と同じ光が発生し人形兵は消えてしまう。まるで初めから無かったかあるいは先ほどのが幻覚であるかの様に感じられる。
マズルカ
「私の周辺であればこの通り展開も撤収もほぼ一瞬で終わる。必要であれば出撃させ不必要になれば撤収させる。負傷や損耗した場合も同じく強制撤収させる。
ただし負傷や損耗の場合、私が管理しているリソースを使って増員を送る事になるから何時までも無限に兵力を送れる訳じゃない。そもそも出せる人形兵事態限りがあるしねー」
私の様なモヤシが態々戦場に出る事に拘る大きな理由の一つは之と付け加えた。どうしても戦う以上人形兵の負傷或いは戦死(之をあえてマズルカは損耗と呼んだ)は避けられない。
その場合マズルカが近くにいれば今見せた様に即座に撤収させ、必要であれば新しい人形兵の増援を送れるという仕組みだ(それにも限界がある様だが)
そしてまた妙な掛け声を発すると新しい発光現象が起き、今度は三体の人形兵が現れた。一体は先ほど出たトレンチコートにガスマスクの歩兵だが、もう二体は全く違う姿をしている。
一体は非常に重厚な装甲服姿で非常に大きな体躯であり身長は恐らく2mを超えているだろう。もはや人間というよりはゴリラに鎧を着せたと言った方が正しいと言った姿だ。
もう一体は普通の少女の様だが手や足に強化装甲服の様な物を着用しており、よく見ると微妙に浮かんでいる。飛行型強化外骨格の類だろうか?
マズルカ
「で恐らく橋川君が聞きたかったであろうスペックの方だけど、之は人形兵毎に結構違っていてね。例えばさっきも出したガーズメンのファセット…ああファセットは人形兵の
職業みたいなものだと思って欲しい。でガーズメンは一般的な訓練を受けた人間の歩兵と同程度の能力で少しの傷でも致命傷になるし、使える装備も限られる。
このデッカイゴリラ事スペースマリーンみたいなエリート歩兵になると、身体機能は大幅に向上して見かけ通り頑丈だし車並に速く走れる。そして最後に出したアクトレスは
まぁ御覧の通り空を飛べる航空歩兵?とでも言えばいいのかな。とまぁ実例を出したところでそろそろ邪魔だから引っ込めようか」
マズルカの言葉通り現れた人形兵はまた直ぐに光と共に一瞬で消えマズルカは説明を続けた。とは言え大体の事は今話した通りであり必要に応じて(つまりマズルカが考えて)
ファセットの違う人形兵を編成して「魔女ノ旅団」と言う部隊として指揮するのだと。ただほぼ人間と同等か身体能力面では一般人を上回る能力を持つ人形兵であるが
唯一思考能力に関しては人間程柔軟に考えられず命令を第一にして動くという。より人間に近い人形兵も作れなくは無いが手間暇がかかり色々問題があるという。
マズルカ
「一番はコスト問題でね強いファセットの人形兵程求められるリソースも大きくなるんだ。つまり旅団の兵員数は人形兵の強さに比例して少なくなっていく。
少数精鋭の部隊を一極集中させるか多数の人形兵を広く投入するか…中々見極めが難しいのだよ橋川君。とまぁ人形兵についてはこんな所かな?
他に何か質問があれば何でも聞いてくれ。おっと先に行っておくがえっちな事には使えないよ?!残念だけどそういう機能は無いんだこれが」
長々と説明をした上に最後に下ネタで占める辺りその能力に反して威厳の類が全くついてこないどうしようもない魔女であった。
>>大和 橋川 ALL
48
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/04/20(火) 16:48:16
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、君島 邦彦、ハードボイルドペンギン】
「了解した、橋川万翼長には早速明日からソフトウェアの開発に取り掛かってもらう。この件に関しては早ければ早いほど良い、開発の詳しい話は後ほど君島に話させるので君島は必要に応じて橋川万翼長の補佐に回れ、いいな?」
『別にいいけどよ、ヤマトの方は大丈夫なのかよ? 後で準竜士のオッサンがいう作戦の用意もあるだろ?』
「そちらに関しては東三条に手伝わせる、彼(橋川清太郎)のおかげで私は次の作戦に注力できる余裕が出来た。君島は訓練と橋川万翼長の補佐を優先だ」
『りょーかい、ってな訳でヨロシクな橋川の旦那、俺もあの声(OVERS System)のいう”可能性の付与”って奴のおかげで小間使い程度やれる知識は持ってる、Nジャマーのハードウェア開発にも俺も嚙んでる程度には知識はあるからよ』
君島は一度作業を中断して席を立って橋川清太郎の前に立つと右手を差し出す、握手のつもりなのだろう。階級が上になったということもあり旦那と呼んでいる。
君島同様に更に忙しくなった参謀の東三条はひょうきんものらしくおどけた様子で肩を竦めて見せた。
「……君が何を言っているかよく分らんが、言いたいことは察したつもりだ。これに関しては習うよりも慣れろという言葉が相応しい。可能性の付与に関しては君島が身をもって証明している、心配せずとも同じ風渡りである君にも適用されるはずだ」
稀にやる夫が使うよく分らない言葉(ネットスラング)に近い何かを感じながらもマズルカのよく分らない例えに応えるとヤマトは一旦キーボードを叩く手を止めて時計を見上げる、刻限まであと10分弱か。
その時、ガララと後を立てて会議室のドアが開いた。他の第一の連中に人払いをさせているにも関わらずだ。そこにいたのは体長1m程度の大きさの、トレンチコートにソフト帽を被りサングラスを掛けた、口には火のついていない葉巻を加えたハードボイルドな雰囲気の……ペンギンであった、まごうことなきペンギンである。
このペンギンを一瞥したヤマトは再び席でキーボードを叩き始めた。
「今は取り込み中だぞハードボイルドペンギン、急ぎの要件でなければ後にしろ」
『お構いなく、俺は新しい風渡りに面通しをしに来たにすぎん。俺のことはハードボイルドペンギンとでも呼んでくれぃ、青森から貴様らを鍛え上げるために来た、訓練から腕の錆落としを任されている』
さも当然のようにペンギンに話しかけるヤマト、さも当然のように渋い声で答えるハードボイルドなペンギン、その名はハードボイルドペンギン、まんまである。しかも妙に巻き舌がうまい。
彼(?)も一応所属は海軍第一特務旅団だ、扱いは動物兵器である。横浜基地内を我が物顔で歩いて、時折訓練に顔を出す謎の存在である。
確かなことはこのペンギンは幻獣と敵対しているということ、そして幻獣と戦えるだけの力を持っていることである。時折横浜基地に現れる間者(スパイ)を鋭く察知してはその鋭い嘴をうならせて撃退しているという噂が流れているほどである。
「話が少しずれたなマズルカ女史、私は私で元の世界では政府の高官の相手や組織の運営には”慣れている”のでな。君らにとっては面倒事であっても私にとっては些事に過ぎない。普通ではないとは自覚しているがね。
ひとまず閲兵式についてはあと10分弱あとに説明される『大規模反攻作戦』の後に勲章授与式と併せて行われる予定だ。今すぐやる必要はないが、準備と心構えはしておけ」
キーボードを叩きながらもマズルカに返事をするヤマト。普通は政治に巻き込まれることは”面倒”という言葉では済まないのだが、それを些事として片づけられるのが峰津院大和という男である。
その高過ぎる能力故に一度は腐敗した政治上層部に辟易し、とある事件を利用して”世界を変えようとした”ことがあった、結果だけ言えばそれは未遂に終わったが。
「あと10分弱、1700に我ら海軍第一特務旅団の上司である芝村準竜士との会合が開かれる、粗方話したつもりだが他にも急ぎの質問があるならば今のうちにな」
>橋川清太郎、マズルカ、会議室ALL
アルファ06、マズルカ、橋川清太郎、会議室ALL
【次のレス辺りで少し話を進めようと思いますが、その後も打ち合わせなどをやってもいいので気軽にレスをしてください】
49
:
カリー
:2021/04/24(土) 00:39:39
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
「これは……」
マズルカがやや珍妙な声をあげ、杖で魔法を使った(と思われる)瞬間、淡い光と共に人間が二人現れた。
否……人形兵だ。
一瞬だが直感的に誤認してしまったのは、ひとえにその完成度の高さだろう。皮膚にあたる部分を露出しない服装であることも一因か。
「あ」
っと言う間に2体の姿は、先と同じ光と共に消えた。ホログラムよろしく、もうそこには痕跡も何もない。
そしてこの技術体系に関する基礎的な説明を一通り終えた後、新たに3体の人形兵を出現させる。うち1体は先程と同型だが、残る2体は完全な別型だ。先ず片方は重鎧の巨漢といった風貌である。もう片方は華奢な体躯ながら、四肢に強化装甲服?を装着しており、恐らくはそれによって浮遊している。
「成る程、色々種類があるのか」
顎に指を添えながら関心する。数に任せた圧殺を行うタイプかとも予想したが、実際は大きく異なり幾つもある種類を使い分けるタイプのようだ。
「は、はは……そっか」
解説のオチに思わず引き笑いしてしまう。なんとも彼女らしい。
それはそうとして魔女の旅団とやら、扱いが難しいような印象だが、裏を返せば指揮能力さえ高ければ、非常に高い戦術効果を発揮するのは間違いない。
修復とリソース云々に関しても、言ってしまえば物資の調達さえ出来ればいいだけのこと。
少し視点を変えてみても、新兵への訓練にかけるコストや手間が一切かからないのは画期的だ。スパイの類をほぼ警戒しなくていいのも安定性に拍車をかけている。
更にいえば、戦闘以外でも広く応用でき、各種復興活動にでも使えば容易に組織単位でのイメージアップなども可能だろう。
正直、これは想像以上だ。こと組織的運用においての優位性は計り知れない。
「……なんにせよ、実際にやってくれてありがとう。今のを見る限り、僕のスーツならエリート歩兵1体と同程度の働きが出来ると思う。あるかどうかは分からないけど、もし組むようなことになったら目安にしてね」
無論、各種武装なども考慮すればその限りではないのだが、とりあえずの基本的なスペックを伝えておいた。
「うん、よろしくね」
君島の差し出した右手を掴み、軽く笑顔を返す。
そしてヤマトがマズルカへ助言をしたところで、何者かが会議室へ入ってきた。
「ペ……ペンギン!?」
予想外の出来事により目を見開く。
なぜここでペンギンなのか、なぜ当然のように馴染んでいるのか。
自分のいた世界でも、喋る動物といった存在はそう珍しいものではなかったが、この世界にいるのは辻褄が合わない。
もしやこれも人形兵ではと疑ったが、自我は希薄という先程の説明と矛盾するためこの線も薄い。
(……ああ、もういいや)
額を押さえ、小さく首を横に降る。
この際細かな考察は放棄することにした。現時点での自分の知識では、下手に考えても脳へ不要な負荷をかけるだけだ。まあアレは兎に角特別な何かなのだろう。
それよりも今は、これからのスケジュールなどをどうするかに意識を傾けよう。
一瞬、マズルカに次いで特異性の高いアルファ06にも色々聞こうと考えたが、10分程度で収まる保証はない上、何より精神的に些か疲弊しているので止めておいた。
どうやら先程の綱渡りが無意識レベルで尾を引いているようだ。
とはいえそこはベテラン、ほんの数分休息を取ればすぐにまた本調子に戻るだろう。
(当分は情報収集かな)
小さく伸びをしつつ、静かに芝村準竜士が来るのを待つことにした。
>会議室all
50
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2021/04/24(土) 22:32:35
【相変わらず迷いながらも投下します】
【反応を返そうと思ったんですが広げ方が予想できないので断念しましたが無視したわけではないのは念の為】
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
とりあえず此処までは黙っていろいろ見ていたが
ただ気になったことが幾つか出てくる。
橋川清太郎は時空防衛連盟なるようはタイムパトロールの組織に所属していて
その際に峰津院 大和が引っかかることを言っていた。
「管理者を気取る異星の神ってまさかねぇ…」
やる夫のまず連想したのはとある人理修復の話だが頭の隅に追いやる。
今の状況でさえありえないのだから無いとは言えないが。
「とりあえずやる夫の出る幕はないおね」
それぞれが得意分野にて話をしているので出しゃばる要素は一つもない。
なのでこのまま見届けようと思ったときにハードボイルドペンキンが現れる。
「スゲェ!前尻尾が…」
本物の獣人を見た事と比較対象が某ペンギンコマンドとしたことで
ねぇ、と言おうとしたときなぜかデジャヴュを感じてしまう。
「あれ、これ前にも…」
言った気がする。なぜそう思ったのか理由は分からないが。
51
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2021/05/06(木) 02:50:36
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/アルファ06】【皆様、遅れに遅れて本当に申し訳ないです。】
「みはいる・どぅみとる・まるがれーた・こるねりう……ながい――あて?」
魔女な彼女(マズルカ)の口に出した人名らしきモノを、復唱し掛けながらも相手が言う様に自分が思い当たる限りの
“当て”を探してみる――思えば今までのやり取りの中では戦友も同僚も上官も、余りにも自然体で(アルファ06)もし
くは(06)の番号呼びで本当の名前めいた感じの扱いだった(自分自身もそれが変だとも露も思わなかった訳だが)
脳裏に浮かぶのは、やはり“空”――脳侵襲式のBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)経由でこの国の言語で
“それ”を表す羅列が視界内で幾列も流れ、そのパターンは彼女自身の選択意思も汲み取って幾通りも出て来くる。
――空、そして枯れ果てた木々の上に広がる陽の昇らない世界の夜空では決して見る事叶わぬ鮮やかな色彩の“虹”―
用紙に書き出される氏名は、そのまま空木彩虹(うつきあやこ)、捻りの欠片も無いが頭の中で浮かんだイメージをそのま
ま言語化して書き出した様なモノだ。―幸い一応人名っぽい形式は保てている。
用紙の二番目の実戦経験の有無に関しては考えるまでも無く(有り)
三番目の項目は少々悩んだが、高々度長距離飛行能力のある航空歩兵(スカウトの欄と、保有している火力的な意味で歩兵
の枠にのみ嵌りきらないと考えてパイロットの欄にもチェックを入れる)
四番目の項目――出身地は彼女の(製造・運用元)が元いた世界の旧アメリカ軍(その国防総省・統合参謀本部隷下の超自然戦
対応軍)つまりアメリカ合衆国になる。此方の世界の情勢下では先刻のヤマト旅団長と彼(清太郎)の会話から聞く限りでは決し
て良いモノとは言えない様だが…
五番目の項目―自身が可能な事、近接航空支援・長距離敵支配地偵察・搭載兵装を用いた広域対地対空制圧行動、航空優勢
の確保――etc、と航空作戦行動全般に、近接戦闘・屋内戦闘・白兵戦・野戦技能に関しても基本技能は習得・実地経験済み。
(というよりユニットの不調時は歩兵として戦った経験がある)それから幾らかの電子戦に関しての心得も(仕込まれて)いる。
軍務に関しては大体の事は対応可能、最悪事務仕事や後方業務に関しても単純な雑務ならば機械さながらにこなすだろう。
―――
――
―
「わたしは――なまえはいまかんがえてるところだけど、よびなはあるふぁ06、もとじんるいぐんしょぞくのこうくうほへい、
さいしゅうかいきゅうはしょうい。よろしくせいたろうさん。いっしょにがんばろう。」
にこり、と特に他意は無いであろうが、屈託の無い笑顔で名を名乗った相手(清太郎)に自分もコクリと頷きながら自己紹介をす
る。ある組織のメカニックという事だが軍属と言うこの人造魔女の感覚で言えば高位の技術士官辺りという認識をしていた。
―
――
「まずるかさんのにんぎょうさんのへいたい…べんり。でもできないこともある――りょうかい。」
そうして件の魔女(マズルカ)がモノの試しに(顕現)させた“人形”――最初は古めかしいガスマスクにやはり古式ゆかしい歩兵
装備(恐らくその見た目そのままでは無いだろうが…)の兵員が二名、その後に(顕れた)のは先進性と古めかしさの両方を併せも
った機動装甲服姿の巨漢と、対照的に飛行型強化外骨格を装備しているらしき華奢な少女の二種類、後者は自分と同じ様な者な
のかとじっと視線を向けつつ、マズルカの説明を耳に入れていた―その最中でも視界表示内のEVE閾値の間接分析云々が自動的に
行われて―数値と文字列がさらさらと流れていくのは敢えて無視しつつ…
「ぺんぎん?」
新たに会議中に姿を現したフィリップ・マーロウもかくやと言わんばかりにハードでワイルドな雰囲気と容姿?のペンギン――
だが、その辺の感覚に疎い人造魔女の少女は純粋に“かわいい”という何ともシンプルで妥当だがこの場合は恐らく妥当ではな
い印象をその只ならぬ渋いペンギンに抱く。
「…まえしっぽ?――ぺんぎんのしっぽはうしろ、まえにはないはず。」
――今の処、まだ名前を聞けていない、饅頭頭な彼(やる夫)の食い付く様な言葉に対して、頭上に?マークを浮かべながらそん
な口に出すべきでない疑問を口にする。…少なくともその言葉の意味する部分に関しては地味に返答に困るかも知れない。
>会議室ALL
52
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/05/07(金) 21:50:39
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
橋川等に人形兵をお披露目をする少し前アルファ06と名前についてやり取りをしていた際「やはりミハイはないよねェ」等と自分で言っておきながら勝手を言うマズルカだったが
アルファ06が自発的に書いたと思わしき名前-「空木彩虹(うつきあやこ)」ミハイやノスフェラトゥ、カーミラよりずっとましな名前だ。それにまだ出会ったばかりではあるが
この名前にマズルカは彼女らしさという物を感じた。なので之からは自分(マズルカ)もそう呼ぶ事にしよう。そしておそらくそれをボス(大和)は望んでいる筈だ。
マズルカ
「中々良いじゃないか。空木彩虹…ふむあだ名で呼ぶならアヤとか彩虹っちとかになるのかな?私はアヤ君か彩虹君とでも呼ばせてもらおう」
そしてアルファ06…空木彩虹に改めて宜しく頼むよと付け加えた。当初はマズルカが使う下級ファセットの人形兵の様にほぼ機械と同じ程度かとも思っていたが
どうやらかなり人間に近いメンタリティを持っているし思考事態も柔軟な様だ。之ならこの部隊の中でも対人関係に関しては問題なくやっていけるだろう。
その後も特に問題なく書類を書き進めていくアルファ06事彩虹に対して、時にアドバイス時に茶々を入れつつ過ごすと橋川から人形兵の質問を受けた為実演して見せた
マズルカ
「とりあえずどんなものかある程度知ってもらえたなら何よりだ。だが実際にどう動くかとなると話は別だ何せ私自身あまり人と共闘した経験がなくてね。だから可能なら
後で全員と一通り訓練しておきたい。合同訓練って奴だ。私も人形兵に人型機動歩兵の随伴をやらせた経験なんて殆ど無いし…おっと之発言力使っちゃったかな?」
等と相変わらず最後に冗談をおかねば気が済まないのか。とは言えマズルカの共同訓練を行いたいというのは本心だ。何せ同じ部隊に配属されたとはいえマズルカ達は
やる夫等一部を除き今日初めて出会った赤の他人それも文化も技術も全く違う世界からやってきた異邦人だ。既に「反抗作戦」等と不穏な単語が出ている以上ある程度
すり合わせ…最低限互いにどう動きどう戦うか認識しておく事が必要であるとマズルカは考えていたのだが…会議室にやってきた新しい客の方へと思考が集中してしまう
マズルカ
「之は驚いたな本物の神様なんて私もそうお目にかかった事は無い。それも随分と徳の高い神様と来た。折角だから拝んでおこうかね」
南無南無…とまるで仏壇に手を合わせる老婆の様にわざとらしく拝んで見せる。会議室に現れたハードボイルドペンギンに意識が集中したのは他の風渡りと同じだが
マズルカは外見(ペンギンである事)に全く触れず"神"であると別の驚き方をしている。何の神様かは分からないが凄く偉い神様である事は分かる…との事。
マズルカ
「やれやれこの世界に来て地味に一番驚いたかもしれないよ。さて人形兵についての些事は了解だ大和君。材料についての陳情は後で紙に書いておこなうとしよう
私としては万事オッケーという訳ではないが他に出来そうな事も無い。他の皆が何もなければその偉い人(準竜士)との会合とやらに臨もうじゃないか」
>>会議室ALL
53
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/05/07(金) 22:26:40
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、君島 邦彦、ハードボイルドペンギン】
『よし、じゃあ早速明日から頼むぜ、Nジャマーのデータは今から送るが、準竜士とのツラ合わせが終わる頃には送り終わってるはずだぜ。
ヤマトと作ったハードウェアのデータも一緒に送るから、他の誰にも見せないでくれよ? まあそこのところはしっかりしてそうだし言うまでもないかもしれないが、国家機密に入るからさ』
スマホ型端末を操作しながら簡単に説明をする君島、国家機密というのも本当だ。お茶を文治に渡していた東三条から小さく「顔合わせですよ君島くん」と小さく釘を刺されていた。
あー、紹介忘れてた。と額に手を当てて天井を仰ぐ君島。ヤマトや君島は慣れて久しいのでこの反応が当然であるということをすっかり失念していた。
『コイツは……まあ名乗った通りハードボイルドペンギンってんだ、日本が日本って名前が付く前から居たらしい神サマで、所属はうちの旅団で扱いは動物兵器ってことになってる。
動物兵器ってのは遺伝子組み換えの動物を搭乗兵器として扱ってるヤツでな、主に山岳騎兵で運用されてる。んだが、見て分かる通りコイツぁ乗り物じゃない。まあ訓練教官みたいな扱いで頼むぜ』
「うむ、俺を拝んだ所で大したものは出せんが、訓練などで力になれるところは力になろうぞ魔女よ。
そしてそこのお前ぇ」
マズルカの言葉に応えつつ、短い脚でスススと妙に速い速度でやる夫の隣にまで歩き、鋭い嘴を唸らせて太ももに一突き入れていた。大怪我になるほどの力を籠めてはいないが、これは痛い、すごく痛い。
「そこのお嬢さんが言った通り、尻尾は尻の尾にあるから尻尾だ。どこぞのォ、HENTAI共と一緒にするとはいささか以上に無礼が過ぎるぞ貴様ぁ」
「言い忘れていたが、ハードボイルドペンギンはそこらの兵士よりも強いぞ。マズルカ女史の言う通り伊達に神を名乗っているわけではない。戦闘に必要な能力と技能は一通り学べる、不安がある者はソイツに鍛えてもらえ」
妙に巻き舌が上手いペンギンの言葉が終わると、キーボードを叩く手を止めず、顔も上げないままヤマトが補足を入れる。やる夫がつつかれる前に教えればよかった気もするが、今回は自業自得ということで痛みに我慢してもらおう。
ヤマトが喉の渇きを覚えて湯呑に手を伸ばす、その際に顔を上げてアルファ06の方を見る、ようやく名前の欄が埋まったらしい。内心ヤマトも色々と良さそうな名前を考えてはいたのだが、本人が決めたのならばそれで良い。
「空木彩虹(うつきあやこ)、それが君の名前だアルファ06。今この瞬間からは私を含めたこの世界の者は君の事をそう呼ぶだろう。出来得る限り早くその名前になれることだ、いいな?
さて、空木彩虹万翼長のことを色々と聞きたいところだが、残り時間があと1分になった。各自一時話を中断してモニターの方を向いてくれ、我らの上官になる男の顔だ、名前も含めて覚えておけ」
そういうと一旦会話を切り上げるように言うとスクリーンの方を指差す。東三条が少し照明を暗くする、するとプロジェクターから映像が投射されて白い軍服を着た恰幅の良い男が人を食ったような笑みを浮かべて映し出された。
>橋川清太郎、マズルカ、空木彩虹、入速出やる夫、会議室ALL
【長くなるのでレスを分けます、次のレスは後日投下します】
54
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/05/08(土) 18:07:22
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、芝村 勝吏、東三条 孝則】
スクリーンに映った恰幅の良い、人を食ったような笑みを浮かべた男はどこか気怠そうに口を開く。
『俺は芝村勝吏、階級は準竜士だ。芝村に挨拶はない。早速だが話を始めよう。先ほど風渡りを三名保護したと情報が入ったが、事実か?』
「事実だ、うち一名はNジャマーの開発を請け負ってくれた。開発に掛かる期間を短縮できるし、私の手が空く。首相に良い報告が出来るだろう」
『それは重畳。さて、今回話すのは4日後に正式に発令されることになった大規模反攻作戦、作戦名<Earth Daybreak>についてだ。この世界がこうなるあらましは把握していることを前提に話を進めよう――――』
そういって話始めるのはこの国の内情だった。鹿児島で自衛軍が大敗を喫して熊本を要塞化し、14歳から17歳の学生を学徒兵、通称学兵を徴兵して戦うも、戦線を維持しきれず九州撤退作戦、多くの学兵を置き去りにした作戦を発動し、辛うじて戦線を縮小したこと、
そして本来は5月10日から始まる……はずだった幻獣と人類の争いが一時期収束する『自然休戦期』を無視して幻獣が山口県から侵攻を開始、前もって構築していた岩国基地防衛ラインで迎撃し、地下に大量に掘り進んだ地下坑道から神出鬼没の奇襲攻撃を主とした迎撃を行うも、幻獣共生派の爆弾魔であるカーミラにより地下坑道を爆破され、再び撤退を余儀なくされて横浜まで進行を許してしまい、今この状況に繋がるという現状を淡々と、悪い言い方をすれば他人事のように準竜士は話す。
『今の日本は首の皮が一枚で繋がっている状況だ、領土的にも経済的にもな。今も山口県岩国のシェルターには多くの民間人が残されているし、食料も心許ない。その首の皮も一週間と持たずに千切れ飛ぶ予断を許さない状況だ、さらに幻獣共生派の活動も活発化してきているし、この状況でも人類は派閥争いを続けている。
そのような状況に現れたのが峰津院大和を始めとした風渡りだ。未知の技術やオーバーテクノロジーの塊の機体や装備、これを活用しない手はない。そうでもしなければ日本滅亡は免れない、聞いているかもしれないが東京が陥落した時点でアメリカによる『オレンジ計画』により日本全土に核の雨が降り注ぐ予定だ。控えめに言って八方塞がりだ、その状況を打破するための大規模反攻作戦だ、四日後の0400に開始して横浜から山口の岩国まで一気に攻め上がる』
聞かされるのは、聞くだけで気分が滅入りそうな情報の数々だが、事実だ。
その情報を隠すことなく公開するのは隠す必要がないからということもある、隠しておいて国が滅んだら何の意味もないのである。
『作戦は3つのフェイズに分けられ、諸君ら海軍第一特務旅団が担当するのは第一と第三フェイズだ。詳しくは峰津院上級万翼長に伝えてあるので彼に聞くように。
しかし、こうして映っていると俺はまるで遺影のように見えなくもないな』
「下らん冗談はよせ、俺も貴様も遊んでいる暇はないだろう? 話は終わりか?」
『ああ、こんなもので良いだろう。あとの説明は任せるぞ峰津院』
それだけ言うと、本当に挨拶や前振りもなく映像が途絶えた。東三条を始めとした君島や竹内が顔を引きつらせつつも片付けを始めた。
情報密度が濃いのもあるが、上官に対して不遜な態度を取り続けていたヤマトに周りの常識人たちは肝を冷やしていた。
しかし色々と濃い時間が嵐のように過ぎ去っていった。まるでこちらの事などお構いなしと言わんばかりの傍若無人っぷりだった。
「さて、今説明された大規模反攻作戦についてだ。文字通り日本の存亡が掛かったものとなる。今回ばかりは全ての派閥や日和見共を巻き込み全ての戦力を結集させた。こういう時でもない限り団結できないのは頭の痛い話だがな」
『一旦お茶を淹れなおして一息付きましょう団長、情報の密度があまりに濃いし、今からも濃い情報を話さなければいけませんから』
「……情報を咀嚼する時間も必要か。茶も冷めた頃合いだ、少し休憩を入れてから次の大規模反攻作戦について説明する。竹内、手伝ってやれ」
了解です、と短く返事をする優斗。湯呑にお茶を淹れなおし始める東三条。その手伝いを始める優斗。張り詰めた空気が少しだけ弛緩する。
君島は情報の送信状況を確認し始めて、文治は手伝う気はないらしく、外を見ているだけである。
>橋川清太郎、マズルカ、空木彩虹、入速出やる夫、会議室ALL
55
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2021/05/09(日) 01:12:06
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
喋るペンギンなど今まで見た事がない。故にハードボイルドペンギンを獣人か何かと判断したやる夫は
「え…ええと…」
今意外な所から来た攻撃に戸惑っていた。
敬虔なる淫夢厨(そんなのいねぇーよ)である彼ならば友達や悪ふざけで見せたければ
「見せたければ見せてやるよ」(震え声)
とでも茶化して言っていただろうが相手は完全に見知らぬ他人で
自身の世界のホモビから派生したネタなど露ほども知らないだろうし
まして見るからに冗談を冗談とも思わない分からないように思えた。
正直に答えるかオブラートに答えるか、上手く逸らして誤魔化すか
喰い付いて来た同級生になる少女(アルファ06)の返答を必死で考えた際に
「ツワリッツ!!!」
太腿にハードボイルドペンギンの嘴によるキツーイ一撃により床を転がる。
しかし幸か不幸か準備は終わりこれから始まる反攻作戦の前に一番偉い人の面通しが始まり
これにより入速出やる夫少年はある意味窮地を救われたのであった。
そしてなんとか痛みを押しながら席について一番偉い人―芝村勝吏準竜士のありがたーいお話を聞くことになる。
此処までは軽い調子であるがその内容は洒落にならずまた極めて切羽詰まっている状況即ち
詰みゲー一歩手前。
それがやる夫自身の認識であった。
だが聞いていて彼なりに不審点に思う部分がある。
(自然休戦期を無視ってそれを無視するほどの事が幻獣側にあったことかお?)
はっきり言ってやる夫は幻獣については何も知らない。
完全な未見プレイヤーでネットや攻略本も調べてないで何故か個々に居たからだ。
所詮エンジョイ勢であり、噂で裏設定が凄い程度を聞いたことが程度それが貴方だ。
(しかしこのおっさん本当に他人事だな…自分達の世界のことだお?)
それを言えばやる夫はこの世界の住人ではないので極論で言えば見も知らぬ世界の出来事で他人事に当たる。
が、こうして地に足を着け、息も吸え、飯も食えるし眠れば明日が来る現実。
現実になってしまったのだそしてそれを自分である意味では選択した。
(やる夫にとってはゲームの中の出来事だけど実際はその中に居て)
他人事では無くなった。
対岸の火事などでは最早無いのだ。
ネットニュースでの海外での戦争や内戦が今目の前に
「怯えている罪も無い人達を助けられるのかお?」
「広島や長崎なんて比じゃない核攻撃を防げるのかお?」
準竜士から公開された情報を聞いての自問自答。
自分でもいきなり戦えと言われたのにこんな事を考えられる余裕があるのは驚きだ。
幻獣との戦いでの恐怖や気持ち悪さが両立しするが落ち着いてる自分も居るなど、
いろんな感情が渦巻く中そんな冷静さを持てることに対しても疑問が湧き上がる。
そうこうしてる内に準竜士の話は終わり、自分が遺影に見えるかなど冗談のつもりなのか
そんなやり取りをした後に峰津院 大和に後の話を投げて完全に通信を切ってしまった。
「あのおっさん完全に他人事だからあの余裕の態度なのか、それとも本当の大物なのか判断に困るお」
怖い物知らずと言うべきかさすが煽りの天才と言うべき明らかに雲の上の人に対する発言ではない。
が、やはり嘘を吐く事が出来ないので君島や竹内が顔を引きつらせた峰津院の発言と違い本人の目の前ではないものの
思わず本音が出てしまう。
「……やっぱなろうやハーメルンの主人公にはなれそうにねぇお」
こんな話を聞いて手放しにはやはり喜べない。
自分の秘めたる才能が発揮できる、俺が主人公だから物事全て上手く良くなんぞ
思うのは間違いなく頭のネジが外れてるか精神的にどっかイカレてるか。そうとしか思えない。
自分はそこまで自意識過剰にはとてもではないがなれない。
「あいつ等のある意味幸せな頭してて羨ましいお」
これから先に話を詰める前に休憩時間に入り、改めて茶を入れる直す東三条や竹内君を前に
冷めた茶を一気に飲んだ後気が滅入り溜息が漏れた。
>アルファ06、ハードボイルドペンギン、会議室all
56
:
カリー
:2021/05/14(金) 08:21:05
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
「……成る程ね」
顎に手をあて、神妙な表情で考えこむ。
まずはヤマトの指示通り情報を咀嚼することにした。
学生の徴兵、その学兵達を事実上の生贄とした作戦。前代未聞の『自然休戦期』破り。幻獣共生派による妨害工作とそれに起因する幻獣側の勢力圏拡大――
ざっと並べただけでも特濃スクープだらけだ。流石に準竜士じきじきに伝えるだけのことはある。
(清々しい程、逆境だなぁ)
控えめに言って王手、チェックメイトと評していい。如何に自分達が異端の力を使えるとしても、限界というものはある。あらゆる面において一筋縄でいかないのは確実だろう。
それでも絶望はしない。何故なら似たような状況から盛り返し、あまつさえ勝利してみせた者達を知っているからだ。そして、自身もその一員である。
詰みだというのなら盤面をひっくり返せばいい。無理だろうが無謀だろうが、可能性があるなら全てのリソースを投げうってでも掴んでやる。
手足が千切れても蜘蛛の糸に噛み付いてやる。
「Earth Daybreak、か」
日本国にとっての一大決戦となる作戦名を復唱した。
地球の夜明け、まあ悪くないセンスだ。この世界の人類のためにも、ひいては自身が帰還するためにも、否が応でも旭(あさひ)を引き摺り出してやろう。
そして忘れてはならないのがNジャマー。作戦開始時刻が四日後とのことなので、実質的にそれまでがタイムリミットとなる。
ともすれば鎮魂歌でも流されたような空気となりかけているが、兎に角自分は平気だ。伊達に死線は潜っていない。
(それにしても、そこまで時間は経ってない筈なのに、随分長く缶詰めされてる気がするなぁ)
ひとえに情報の密度が高かったせいだろうか。
少しでも体から疲れを逃がそうと、伸びをしたり肩を回したりする。我ながらオヤジ臭い仕草だ。まあ実際そういう年齢なのだが。
ふと、やる夫が沈んだ面持ちになっていることに気付く。
無理もない……というより、この反応こそが正常といっていい。
今のを聞いて気落ちしない人間の方が少ないだろう。
「……ねえやる夫、君の機体についても聞きたいな。運用コンセプトやカタログスペックを簡潔にでもいいから教えて欲しい……それとも、パイロットじゃなくて歩兵だったりするかな?」
とはいえ、これから同じ釜の飯を食う者として、気遣いはするべきか。
違う話題を振ることで、精神を安定させようと図るのが今の精一杯だが。
彼の機体については先程ハンガーで見た可能性はあるが、どれがそうなのかはさっぱり見当が付かない。そもそも今言った通りパイロットかどうかも分からない為、本人に聞くのが手っ取り早いと考えた。
>会議室all、やる夫
57
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/05/23(日) 21:24:41
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和】
「入速出、貴様の懸念は分かるが、奴にとっても他人事ではないのは確かだ。芝村は新興の派閥で日本に於いてはそれなりに影響力はあるが、国外に出てもコネもアテも何もない。芝村には元より『逃げ場がない』のだ。アメリカに逃げて政府に金をいくら積もうが売国奴扱いが関の山だ」
まるで何事もないような声音で言うヤマト、芝村準竜士の態度を見ればヤマトも似たようなものではないか、そう勘繰られても仕方ないが、事実は違う。
ヤマトも芝村準竜士も”冷静に、冷徹に状況を見られるタイプ”の人間だ。こればかりは人間を指揮し慣れた人間の放つ余裕に近いものだ、つい先日まで一般人だったやる夫に理解しろというのは難しいかもしれない。
普段は及び腰の発言が多々ある君島が何も口を挟まないでいるのはヤマトたちの気質を理解しているからだ。決して彼らは”自分だけは何があっても大丈夫”などと妄信する愚者ではない。
東三条がお茶を淹れなおして、優斗がそれを皆に配って回る。マズルカに入れるお茶はぬるめにしているので最後になった。
優斗に「ご苦労」と短く礼を言うとお茶を口に含んで喉の渇きを潤した。
「奴は、芝村勝吏は君らから見れば度し難いように映るかもしれないが思想は至ってまともで実力もある。海軍に戻れば中将当たりの椅子は確実に狙える器だ。信頼は難しいかもしれないが、信用くらいはしても大丈夫だ。それに勝算は充分にある、気を落とすな」
かなり迂遠で遠回りだが、ヤマトなりにやる夫を気遣っているらしい。少なくとも東三条や君島はそれに気が付いた。優斗はうっすらと感づいていて、文治の表情からは何も読み取れない。
さてと、ヤマトは作業のデータを保存し、バックアップも確認するとノートPCを閉じた。肩に凝りを感じて軽く回すと子気味のいい音が数回響いた。
「橋川、その機体のデータについては”我々の端末”からしかアクセス出来ない場所に専用のデータベースを開設してある。私の”フリーダムガンダム”、竹内優斗の”VF-19エクスカリバー”、九頭文治の”ヴォルケイン改”のデータはそこに納めてある。閲覧や書き込みの方法は後ほど伝えるので入速出と橋川は作戦開始前24時間前までにデータを入力してくれ。私が目を通し作戦に反映する。
入速出は……橋川や我ら程詳細が分からなければ最低限得手不得手を書き込むだけでもいい。君島の機体についてはこの世界のものなので別に纏めてあるので興味があれば君島に言え」
一瞬「橋川にやり方を教えてもらって入力しろ」と言いかけたが寸でのところで飲み込んで言い直した。やる夫に形式的な事で無駄な時間を使わせるよりは訓練や自由時間に当てたほうが建設的だと判断してのことだ。
ヤマトはこの中で一番メンタル的に危ういと感じているのはやる夫だ。ヤマトは戦場で陣頭指揮を取れるベテランで、君島は戦いは不得手だが幾つも鉄火場を潜り抜けてきた経験者、優斗は二級戦線だが戦場を経験しているし、九頭文治については身に纏う雰囲気で大体察せられる。
やる夫がメンタル的に一番危ういと考えるヤマトだが責める気は毛頭ない。これについて誰が悪いという話でもないし、強いて言えばやる夫をこの世界にいざなったOVERS Systemを名乗る声だろう。
「これから説明することは四日後に発令される大規模反攻作戦についてだ、読んで字の如く、この日本の領土を山口県の岩国市まで奪還する大規模作戦だ。各々話を聞く用意が出来たら言うように。言わずもがな重要な情報だ、気構えが出来ていないような状態で聞く内容ではない」
君島、優斗、そして文治は準備が出来ているようでヤマトの方を見る。東三条はプロジェクターに出力するデータを呼び出している最中だ。
>橋川清太郎、マズルカ、空木彩虹、入速出やる夫、会議室ALL
【次のレスで作戦の説明を行います。皆様の書き込み次第ですが少し時間を空ける予定なので無理して急いだりしなくても大丈夫です】
58
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/05/24(月) 18:09:51
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
マズルカ
「(やれやれテミス程では無いが絶体絶命状態じゃないか。前例も無く私達みたいな異世界の人間を重用するという事はそれだけ苦しい状況…という事か)」
モニターに映し出された芝村勝吏準竜士の話をマズルカにしては大人しく聞いていた。とは言え内心ではこの世界の危機的状況に若干呆れていた。PB(Phantom Beast…幻獣)とそれを信奉するカルティストにより
人類軍は押しまくられ既にこの国の首都東京まで刃を突き付けられている。それだけならまだ首都機能を移転するとか亡命政権を樹立させるとか手はあるのやもしれないが。米国はそれを許さず
トーキョー(東京)が陥落した時点でこの国に核が降り注ぐという。それを防ぐ為にボス(大和)や橋川が何かしらの手段を講じる様だが、そもそも核攻撃が防げたとしてもPBに勝利しなければ
末期患者に対する空しい延命処置にしかならないだろう。しかも<Earth Daybreak>なる反抗作戦の開始は四日後との事だ。他の部隊はどうか知らないが昨日今日来た自分達にはわずかな時間しかない。
モニターに映し出されたカエルの遺影の様な芝村勝吏準竜士は自覚があったのか自分から遺影ネタを振ってきた。何時ものマズルカならそれに嬉々として乗ったであろうが今回ばかりは懸念事項が多く
うーんと唸り声をあげ難しい顔をしたまま話を聞き、終了後どういう態度を取ればいいか分からなかった為、画面が消える芝村勝吏準竜士を下手な敬礼で見送った。
辺りを見回すと意外な事にこの知らせにショックを受けているのはドマンジュウ…もといやる夫だけの様だ。まぁ大和達は恐らく事前に知っていたのであろうから別として橋川や空木(アルファ06)に
表面上そこまでショックが見られないのはやはり実戦経験者という事なのだろう。マズルカも色々と口に出したい事はあった。しかしそれ等はあえて飲み込んだ。一つにボス(大和)等が
ただ追い込まれた側が自殺代りに行う様な無謀な反撃を行うとは思えないという信頼。もう一つはここで自分がやれ反抗作戦までの時間的猶予が少ないとか失敗が許されないなら尚の訓練や
編成の為に時間を取るべきだ等と言った場合、それは簡単に却下されるのは目に見えていたし、やる夫を含め他のメンバーに対してこれ以上不安感を与えるだけになる。
マズルカ
「やれやれ改めて聞くととんでもないね。確かにこの作戦を成功させれば勲章物じゃないか。いや勲章物の戦働きをしなきゃいけないというべきかアッハッハ!」
自分で言うのも何だが少々演技じみた笑みだ。自分自身(マズルカ)の奥底にも不安感があるのだろう。とは言えマズルカはそうした逆境の下で常に不利な戦いを続けてきた。であるからこそ
例え心の奥底に不安感や絶望があったとしても"戦わない"という選択肢を選ぶ事は無い。態々ぬるめを用意してくれた東三条に礼を述べ、大和が口を開くのを黙って待つ事とした。
>会議室ALL
59
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2021/06/07(月) 03:45:02
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】
「…?」
流石に如何答えるか迷った様子で言い淀んだ饅頭頭の彼(やる夫)に、くだんのハードボイルドなペンギン
の痛そうな一撃が加えられて悶絶している様子を他所に――彼(やる夫)にとっては幸運な事にそのまま先
程の(前尻尾)に関して悪意の無い至ってシンプルな興味本位から追及する様な気まずい流れにはならなか
った。―それ以上に、人造魔女本人の興味がそのペンギンな人(ハードボイルドペンギン)に移った事もあ
ると言える。(外部観測のみでのEVE閾値の強大さを興味深く思っているらしく“神格”であるという話も
彼女なりに納得出来ていた。)
「わかりました、ヤマトりょだんちょう……これがこれからのわたしの(なまえ)」
中々良いじゃないかとの魔女な彼女(マズルカ)の言葉に少しばかり照れた様に表情を崩して微笑みを見せるが
話の流れの重要な切り替わりでスッと先ほどまでの感情を殺した様な表情に戻り、傾注する。
「………………………」
モニターに映し出された芝村準竜士、何処か轢かれたカエルにも見える(本人の遺影云々に関してはやや?マ
ークを頭の上に浮かばせていたが)事実上の自分達の指揮系統の上層部筆頭の述べる言葉に、自分達の陣営が
置かれている状況が如何に絶望的に逼迫しているのかをイヤという程認識させられる。――その中でも核攻撃
に関する言及は―自分の元居た世界に於ける■■との終わり無き常闇の戦争、その過程に於ける戦術・戦域核
を用いた焦土作戦を込んだ後戻りの出来ない熾烈な撤退戦の様相を思い出させた。
―その何処も空から見ていた身でも理解できるほど凄惨極まりない有様であった。それらがあくまで(友軍・
避難民の退避)を前提としていたにも関わらずだ。―(此方の世界)のアメリカが意図している手は恐らく陥落
時点で残存戦力なり生き残りなりが存在しようがお構いなしという事故に――対抗策に関しては着手している
様だが辛うじて核攻撃を凌げても、結局は元凶(幻獣)を叩かなければ意味が無い。
「――あーす・でいぶれいく、…ひつようなせんりょくはたぶん、ひつようりょうにはほどとおい」
淹れてもらっていた熱いままのお茶を熱など感じないかの様にごくごくと口にしつつ、戦う事を最重視して造
られた生体兵器染みた存在である少女は不安を感じる以前に如何に酷い戦況であれ己はただただ(戦い続ける)
のみであると当初から考えていた。
設計され、教導され、兵站され、戦場に投入されればその(機能)を最大限に生かして自身の消耗・損失など露ほ
ども気にせず弾薬と魔力が続く限り苛烈な戦闘を繰り広げる事になるだろう。それはある意味で言えば非常に危
うい諸刃の剣に成り得る物だがとどのつまり、空木彩虹(アルファ06)とは今の処まだまだそういうモノ(兵器)な
のだ。
故に、先ほどまでの幼く何処かしら純朴で無邪気な雰囲気は鳴りを潜め、オーダー(命令)を待つ機械的で無機質
な空気を纏った視線をヤマト旅団長へ向ける。
さながら兵士というより目標情報の諸元を入力されるのを待っているミサイルにも似ていると言えるだろう。
>会議室ALL
60
:
カリー
:2021/06/21(月) 14:58:53
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
閉塞――――
その概念を体現したかのような場がそこにはあった。
鎮座している大半の者達は重苦しい空気に晒され、険しい面持ちとなっている。まだ小一時間ほどしか経っていないにも関わらず、まるで何年も幽閉されているような錯覚を覚える。悪い意味で濃密な時間だ。
されど、そこで執り行われているのは寧ろその逆。日本国の、人類の未来を取り戻す為の段取りを組んでいた。如何に残酷な現状を知らされようと、断固として光(きぼう)を手放さぬ者達もいるのだ。
――――――
(流石だなぁ、団長)
どうやらヤマトも、彼なりにやる夫の思いを汲み取ったようだ。
『勝算は充分にある』
この部分だけ聞けばある種無責任とも解釈できるが、ヤマトという男が言えばどうだろう。風渡りとしてこの世界に来てから、僅かな期間で団長の地位に就いた人物の口から出るそれには、十全過ぎる説得力が備わっている。こればかりは自分が真似するのは不可能だ。
「え、ああそうだったのか……了解、24時間前までにデータを入力しておくよ」
風渡りの端末で機体情報を見られるという旨の言を聞き、納得する。
「…………」
ふと視線を動かし、太陽の少女へ向ける。
さしものマズルカでさえ、その笑顔には空虚さが滲み出ていた。
それでも取り乱したりしないのは流石というべきか。
アルファ06……いや空木彩虹の方はやはりというかなんというか、完全に落ち着きはらっていた。
淡々と現状の戦力比を伝える様子からは、取り繕った印象は感じられない。こういう場合は感情に乏しい方が有利なのだと痛感する。彼女自身の自我諸々は抜きとして、下手に痛覚や生存本能なんかを持っている生身の兵士よりも、ひたすら合理的に行動出来るのは大きな強みである。
「OK、僕はいつでもいいよ」
ヤマトの予告に対し、まるでスポーツの指示でも仰ぐような気軽さで返答する。決して事態の重さを軽んじたりヤケになったわけではない。ひとえに熟練者としての余裕だ。
>会議室all
61
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2021/06/27(日) 01:18:04
【いつも遅くてすいません。基本全員レス確認+その上で判断吟味なんで】
【正直精神的にも環境的にも来てるのはあるんですがタイミングを見失いかねないので投下します】
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
溜息が漏れた直後、気を使ってくれたのか橋川清太郎が声を掛けてくる。
内容は機体について聞きたいようで大変ありがたかった。
「ああいいお、橋川…サン。やる夫は士魂号とはある意味対極の機体なんだお」
年上なので敬称を付けて説明するが
XAN-斬-。入速出やる夫が駆るオーバーマンと呼称されるオーバーマン キングゲイナーという作品に
出てくるマシン分類の一つ。
かつて主役メカであるキングゲイナーの本編以前の姿とされる原作未登場の存在。
但し来歴としては スーパーロボット大戦Zの世界リセット用システムエグゼクターシステムのマスターコアとして
解放された後やる夫と出会ったとされているがその間は何をしていたかは現時点では一切不明瞭である。
外見は見方によっては武者にも見えるが白を基調としたキングゲイナーに対して黒ベースのカラーリングに変更され、
意匠や装備品も忍者風にされておりこの世界に置ける士魂号が侍そのものならばXAN-斬-は忍と言えよう。
「運用コンセプトやカタログスペックは…本来なら格闘能力は極めて高くて中・遠距離戦もこなせて堅い万能機らしいお」
清太郎には少し戸惑いながらそう言うが、実際完全な状態であればアーリーオーバーマンとされる古い時代の技術を用いて作られた
一般のオーバーマンより性能が高いだけでなく、まるで自身が意思を持っているかのような存在。
もっともその中でも特に一線を画しているのは明白で基本性能だけでなく
オーバーマンはオーバースキルと称される特殊能力があり、XAN-斬-は忍術というらしい物を持っている。
その応用範囲はキングゲイナーを更に強化したものとされているが
「やる夫と一緒に発見された時に何かあったのかボロボロで自我とかも元々あったものも無ければ
機体性能も落ちてたとかで今やる夫は3割弱しか引き出せないんだお」
超絶的な強さは今では見る影も無く、やる夫の腕前に左右される段階まで落ちてしまっている。
やる夫自身は最初に乗った時から3割は引き出せたので才能の伸び代はとんでもないと見るか
それともそれしか出せないのは素人である彼ならばしょうがないと見るかは人によって変わるのかもしれない。
しかし今やる夫は伸び悩んでいた、生き物をいきなり殺せるのかという葛藤と殺す時の気持ち悪さ。
まず最初の壁にぶち当たっている。
「それと一応白兵戦でも戦えるお。出来ればそうなって欲しくはないけど」
ラグナロクオンラインのマグナムブレイクがいきなり使えるようになったと言えば信じて貰えるのかは分からないので
それに関しては敢えて伏せた。訓練ももちろん積んではいるが、対面では戦いたくないのが本音である。
「ああ、成る程現実でやってる戦略シュミレーションゲームのプレイヤーみたいに何事に置いても俯瞰で見られる人種ってことかお?」
峰津院大和なりのこちらを気遣うような説明に対してやる夫なりの解釈で当てはめる。
オタクなので考えや例え方は分かる者は限られるが、戦略シュミレーションを知っている者ならば
俯瞰視点で今ある戦力や物資などが提示される中他に調べたりして行動を起こしターンを進める。
それはプレイスタイルによって冷静に情報を見極めてあるいは犠牲が出る事を前提にとプレイスタイルにも分かれるが
少なくてもやる夫はそう認識した。
目の前に要る峰津院というそれが出来る例を同種か近い者として。
「峰津院は大物だお、少なくともやる夫には出来ない事が出来て見れない視点を見れる。
峰津院の見立てがそうなら本当に大将の器なんだろうお」
やる夫は煽りの天才である、そのやる夫を持ってしてもテレビ番組での論破能力だけでも認める所があった。
その男がそういうのだならば才覚は本物なのだろう。
「正直ゲームならまだしも命賭けた盤面では理解できねぇことばかりだから何とも言えねぇお。
けどその人を見る目が確かなら信じてみても良いのかもしれねぇお」
なら今の内にゴマすっておいておかねぇとなぁと少々おどけてみせたが
一先ず自分よりすごいと認めた峰津院大和の言葉だから信じる事にした。
裏切られた時は人を見る目が無かった、それだけだ。
「なら勝算に乗らせてもらうお、今はそれしかできねぇし」
まだ死にたくねぇからと呟くと強がりに見せかけつつ
恐怖で腕を震わせていることを誤魔化す。
62
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/06/27(日) 12:02:20
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、東三条 孝則】
「ああ、そうだった、言い忘れていたが貰えるぞ、勲章。確か名前は……何だったか東三条大尉?」
『今回は奪回従軍記章ですね、この作戦に参加して生き延びれば最低でも一個小隊にひとつ、個人である程度の戦果を挙げれば個人に対して一つ。他にも中型幻獣を多く葬れば銀剣突撃勲章や、中型幻獣のトータル撃破数で貰える黄金剣突撃勲章や黄金剣翼突撃勲章。文字通り戦局を変えられるほどの戦果を挙げた人には最高位の”絢爛舞踏章”が授与され歴史に名を刻みます。
勲章を授与された際のメリットは主に発言力の向上ですが、細かい特典は長くなるので後ほどに』
マズルカの演技染みた笑みに、意外にもヤマトが乗っかった。本当に言い忘れていたが勲章は貰えるのである。特に風渡りは海軍や芝村派閥には特記戦力としてカウントされている。最低でも個人単位で奪回従軍記章は貰えるし、可能であれば銀剣突撃勲章も狙ってほしいところだ。
発言力の向上は個人単位でも、部隊単位でも重要な要素だ。東三条が言う特典は主に金銭に絡むものだが、余程浪費しない限りはヤマトが給料は保証しているので恩恵はあまり感じられないかもしれない。
「シュミレーションゲーム……? ああ、前に志島がやたら勧めてきたヤツか。言いえて妙だな、入速出の例えが一番近しいかもしれないな。私も奴も」
一瞬やる夫の言っていることが分からなかったようだが、志島大地という友人が「ヤマトなら絶対にいい線行けるって!」と勧めてきたゲームのジャンルであるということを思い出して納得したようだ。
だが、ヤマトと芝村勝吏では違うところが一つある。それは”人命を尊重するか”だ。ヤマトは人の可能性を信じることが出来るようになってからは様々な思惑はあるものの人命を優先するようになったが、芝村勝吏は必要とあらば切り捨てられる男だ。
現代の倫理的にはヤマトが正しく、戦争時の判断に於いては芝村勝吏が正しい。人口が減少している今ではどちらが正しいとは一概に言えない状況だ。
だが、その違いを説明はしない、否、出来ない。何故ならヤマトのような人間は”口ではどうとでも言えてしまう”のだ。だから声に出して説明するのではなく、只管行動で示すしかない。たとえどれだけの時間が掛かろうとも、だ。
「よく仲間からもそういわれるが、私は”そう在れ”と育てられてきた存在だ。代々峰津院家は日本のために生きて死ぬことを運命づけられた家系である。唯々諾々と従うだけのつもりはないが、特に異存があるわけでもない。だが救うべき国の根元が腐っているのなら、それを取り払うくらいはするさ。あと普段はヤマトで構わんぞ、公の場では困るがな」
大物だと言われて謙遜する訳でもなく、普通に肯定しているヤマトだが不思議と嫌味な感じはしない。何故なら”そう在れ”と生まれ育ったからだ。小学生の年齢で小学校に通わず大学レベルの厳しすぎる教育を施され、戦う術を仕込まれ、人心掌握のためのノウハウを学んできた、それが自分の存在意義だったからだ。
だが一度はその腐った国を、世界を作り替えるために”一度目の世界の危機”をも利用した男でもある。結果失敗したが、そのことを後悔したことはない。何故ならその戦いで得難い仲間と”親友”を得たからだ。
そう在れと生まれたのはこの場ではヤマトだけではなく、空木彩虹もそうだ。一種のシンパシーを覚える程だ。だが今はヤマトも空木彩虹もその役目の枷は外れている、だから選ぶ自由を与えて、日常に戻すつもりでいた。
「そうだな、”本来なら”空木万翼長の言う通り戦力が足りないところだが、今まで知らぬ存ぜぬ我関せずを貫いて物資を出し渋っていた北海道の虎の子である戦車師団を2個師団分引き出した。作戦名称Earth Daybreakに失敗した後の”オレンジ計画”の情報を二重スパイにリークさせて、メディアを使い”必要な分だけ危機感を与えた”ことにより文字通り最低限の守りのみを除いて余剰力を全て投入させた。
それに加えて青森と二級戦線の部隊から選りすぐりの精鋭部隊と、派閥争いに敗れた者が多い中国地方で燻っていた山岳騎兵部隊、航空戦力の温存のために開店休業状態だった空軍の全ての航空戦力をこの一戦に投入する。ありとあらゆるものを結集させた文字通りの後を考えない総力戦だ、ちなみに竹内千翼長が元居た部隊である”ヒロイン天国小隊”も入っている。物資を与えたら飛躍的と表現していいほどに活躍を始めたぞ、彼女たちは」
『え、えぇっ!? 石田隊長たちもですか!? 一体何を送ったんですか?』
「”人型戦車”だ、あの部隊には何故今まで発掘されなかったのかと言う程に適性の高い人材がゴロゴロ居た、詳しい話は後ほどな」
そう、軍隊にいた空木彩虹万翼長の言う通り、”今までならば”戦力が圧倒的に不足していた。のだが、ヤマトはただ唯々諾々と滅ぶことを良しとしなかった、故に足掻きに足掻いて縄張りや派閥、全ての垣根を強引に取り払ってありとあらゆる有効戦力を搔き集めた。
最初に着手したのは北海道にある余剰にも程がある戦力の抽出だ。北海道の物資は豊かであり、”独立してもやっていける程に”豊かだったが、かつてヤマト近辺を嗅ぎまわっていたスパイを九頭文治が卓越した戦闘技術で生け捕りにして配下に加えた二重スパイに”オレンジ計画”の情報を流がさせた。
すると効果はてきめんで、上層部は顔面蒼白になって大騒ぎだったようだ。東京が陥落すれば日本全土に核ミサイルの雨が降る、当然北海道も日本である以上は核の雨から逃れ得る術はない。そこに追い打ちと言わんばかりにメディアを使っての扇動だ、政府は北海道の戦車師団の二個師団を派遣要請すると大々的に発表、断れば日本国民から後ろ指をさされるでは済まないイメージダウンに加え、彼らの尻にも火をつけた。断る選択肢など最初から与えない容赦の欠片もない強烈な一手だった。
さらに青森の二級戦線で特に活躍が目覚ましいかった部隊をこの作戦のために引き抜き、派閥争いに敗れた者の流刑地とも言われるほどの中国地方の部隊、主に動物兵器を駆使する山岳騎兵隊を招集し、”手柄を立てて再起する機会を与えた”。燻っていた連中は一も二もなくヤマトの提案に頷き、配下の山岳騎兵部隊にも演説をぶち上げて士気を挙げた上で海軍の指揮下に加えた。
軍隊の垣根と常識を全て無視して打ったヤマトの手段は現状に甘んじる旧世代には刺激があまりにも強過ぎた。それ故にヤマト暗殺を企てる者は後を絶たず、その全ては憲兵隊や九頭文治とハードボイルドペンギン、時にヤマト自ら出向いて阻止され、時には国家反逆罪で吊るし上げられている、ヤマト曰く「老害共の愚の骨頂」だ。このことは今は口に出さない心算だ。作戦開始前に余計な情報は必要ない。
【長いので分割します】
63
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/06/27(日) 12:03:40
「さて、それでは諸君、大規模反攻作戦の説明を開始する。私語を慎み現時点での作業を中止。総員傾注、質問は最後に受け付ける」
ヤマトがそう宣言するだけで場の空気が引き締まる。窓から外を見ていた九頭文治も席について話を聞く体制を取った。今はこの場にハードボイルドペンギンがいるので”スパイに対する警戒”は彼に任せようというハラだ。
「作戦名称<Earth Daybreak>は第一から第三フェイズに分かれて進行する。第一フェイズは殲滅戦だ、この横浜基地の襲撃を目論む幻獣を迎撃、殲滅する。ミノタウルスからスキュラ、ゴブリンに至る小物の一匹も残らず殲滅する。言うまでもないが最初の関門だ。私と竹内の機体は飛行能力があるので輸送機より高高度から奇襲を掛けて敵航空戦力を可能な限り削る、その他の機体は横浜基地より出撃となる。
第二フェイズは電撃作戦だ、このフェイズは我々が担当しないものとなる。神奈川から山口の岩国まで一気に攻め上がる作戦だが、この道中はあまり心配しなくていい。幻獣の”好戦派”は第一フェイズで殲滅している予定であり、神奈川から山口まで敵がぎっしり詰まっているわけではないからな。装輪戦車と航空戦力で充分対応可能だ。
第三フェイズは都市制圧戦となる。岩国を制圧して自衛軍岩国基地を奪還する。岩国に始まったことではないが、今も市民がシェルターに取り残されている状況だ。市内に溢れる幻獣と討伐しつつシェルターの市民を救出し、黒いスーツの”幻獣共存派”と連携を取り確実にシェルターの市民を救出する。
なおこの第三フェイズでは私及び九頭万翼長は機体を降りてウォードレスを装着して生身で戦うこととなる。私や九頭の機体が存分に活躍できる地形ではないし、最悪シェルターの市民に危害が及ぶ。この作戦の要は君島千翼長を始めとする人型戦車や竹内千翼長や入速出千翼長の小回りが利く機体を始めとするものだ、私と九頭の機体は小回りが利かないしそれぞれが生身での戦闘経験が有る故にこの決断をした」
なんと第三フェイズではヤマトと九頭文治は生身で出撃するという。旅団長自ら前線に立つなど本来は論外だが、今はそれを論じていられる状況ではない。出来る限り街を破壊せずに迅速に作戦行動を行うにはこれがベストと判断されたのだ。
「私たちが担当するのは第一及び第三フェイズだ。どちらも難易度が高く、厳しい戦いを強いられることとなる。第二フェイズの移動中は我々は全面的に休憩を取らせて貰うこととなった。陸軍が張り切っていることだし味方の航空戦力も出張ってくるので心配はいらんだろう。作戦時における符丁は『日本自衛軍で最も不味いレーションは?』と聞かれたら『サバの味噌煮』と答えろ。逆に不信感を抱いた相手にこちらから問いかけても良いものとする。
さて、これより質問を許可する。この作戦の内容及び質疑応答の内容も後ほど通信端末に送信するので、各々見返しておくようにな」
流石に喋った内容が濃く、長かったのでヤマトは湯呑に手を伸ばしてのどを潤した。さて、どのような質問がくるか。出来るだけ簡潔に話したつもりだが、補足が必要な場面くらいはあるだろう。
ヤマトの隣では東三条がノートパソコンを開いて会話の内容を纏める準備をしていた。
>橋川清太郎、マズルカ、空木彩虹、入速出やる夫、会議室ALL
64
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2021/06/27(日) 19:21:03
【ごめんなさい今更ながら宛名を忘れていましたお許しを】
>橋川清太郎、峰津院 大和、会議室all
65
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2021/07/19(月) 06:12:25
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
マズルカ
「それはそれはまさか本当に貰えるとは思わなかったよ。頑張りが形になるというのは嬉しい事だね」
マズルカ自身まさか大和がこの話題に乗ってくるとは思わなかった。とはいえ今までの短いながらやり取りで感じた大和の印象や今の発言から察するに本当に伝達を失念してたのだろう。
言葉が返ってくるとは思っていなかったので些か応対が事務的というか塩対応になってしまった。とは言えマズルカ自身勲章や金一封等に対して執着心が無いのは本心である。
その後は特に口を挟まず黙って大和等が行う作戦「Earth Daybreak」の説明を黙って聞く。この世界の情勢はまだ完全に把握しきれてはいないマズルカではあったが文字通りこの国の命運をかけた
乾坤一擲の反抗作戦なだけあり我等がボス(大和)は方々手を尽くして戦力をかき集めたとの事。作戦は大まかに分けて三段階に分けられ、第一段階はこの横浜基地の防衛戦、というよりは
此方の反撃に合わせて侵攻してくる敵(幻獣)を撃退して進路を切り開くという意味合いもあるのだろう。第二段階は電撃戦と呼称されたがマズルカ達にとっては実質移動兼休憩時間と
考えて良い様だ。とはいえこの横浜基地から岩国基地までは少なく見積もっても700km近くはあり大和は幻獣がひしめき合っている訳では無いとはいった物の敵中突破である事には変わらないだろう
本当に第二段階のすべてを正規軍に任せられるのかこの時点でやや疑念が残った。第三段階は岩国基地の奪還と市民の救助。之は制圧と救助を両立せねばならず重火器運用にも制限がかかり
難易度が高そうだ。また"幻獣共存派"なる現地協力員が居るらしく符丁を覚える事となった「サバの味噌煮」マズルカの個人的趣味で言うならアップルパイとジュースが良かった。
説明がいったん終わった後質疑応答の時間となったものの誰も会議室内は何となく重苦しい雰囲気に包まれ、誰も口を開こうとはしない。逆に言えば立てられた作戦事態に現状不備は見られず
態々質問する点が無いとも言えるのだが、とりあえずマズルカが口火を切る事にした。
マズルカ
「とりあえず私からは質問が二つ要望が一つ。まず第一フェーズだが敵の殲滅とあるけれどこの殲滅したかどうかは誰が判断するのかな?次に第三フェーズにある市民救助だけれど
之は市民の居るシェルター事態を防衛するのか、それともシェルターから市民を脱出させてそれを守るのか。で最後は要望なのだが私の魔女ノ旅団はとりあえず書類上一個小隊という
話だったよね?出来れば二個小隊に増員して欲しい。説明を受けた限り私みたいな完全スカウト(この場合歩兵)でも結構仕事がありそうだし、何よりもう少し数を増やして柔軟性を高めたい」
>会議室ALL
66
:
カリー
:2021/08/08(日) 04:38:51
【自衛軍横浜基地/第二会議室/橋川清太郎】
いよいよ日本国の存亡を賭けた作戦の説明が始まる。ヤマトの鶴の一声によりその場に軍としての緊張感が戻った。これもやはり天性のカリスマが為せる業か。
ーーーーーー
一大作戦【Earth Daybreak】は大きく3つの段階に分けられる。まずは横浜基地に向かってくる幻獣を全て殲滅する第一フェイズ。
神奈川から山口の岩国まで戦線を上げる第二フェイズ。こちらは装輪戦車と航空戦力で遂行可能な為、自分達風渡りが出る必要はないとのこと。
そして自衛軍岩国基地を奪還する第三フェイズ。岩国ごと制圧するという大胆な内容だ。また、シェルターに取り残された市民を救出という側面もある。
「レーション、鯖の味噌煮、鯖の味噌煮……と」
ヤマトの伝える符丁を暗記しようと、小声で復唱する。後でGAWNDのメモリーにでも打ち込んでおけばいいのだが、事が事であるため万一を考えアナログ手段も躊躇なく使う。
(頭部装甲の内側にナイフとかで刻んでおくのもアリ、か……?)
「……」
説明を一通り聞き終え、マズルカが質問をしている間に考え込む。
第一フェイズはヤマト、竹内が先んじて輸送機より高高度から奇襲する手筈になっている。
Blitz griffonも空中での戦闘機動が可能なので、自分もそれに加わろうと考えたが……
(やめておくか)
わざわざ第二フェイズが丸ごとこちらの休みになっているのだ、相当に熾烈なものになると思われる。ここはスタミナや集中力などを考慮し、主要となる殲滅戦に傾注すべきである。
(と、なれば……)
「ねえ団長、第三フェイズは僕も同伴できないかな」
ヤマトと九頭がウォードレスで出撃するとのことだが、そこで自分も参加するべきではと考えた。機体を使わないならば、GAWNDの出番だ。その性質上、ウォードレスに近い運用が出来る筈である。Blitz griffonにはHard beakなど小振りな武装はあるのだが、それでもやはり歩兵にしか出来ないことはあるものだ。
また、タイミング的にも休息(第二フェイズ)直後なので丁度いい。
(そうなると、第三フェイズはGAWNDの乗り降りを繰り返しての作戦行動も視野に入ってくるな)
都市制圧となれば、人型戦車及びウォードレスとの協同作戦が重要になるだろう。前者はBlitz griffonで、後者はGAWNDで行うという算段だ。
>会議室all
67
:
<削除>
:<削除>
<削除>
68
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2021/09/19(日) 18:36:31
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、君島 邦彦、東三条 孝則、九頭 文治】
「余談だが私の居た日本は敗戦国でね、軍部は解体されて『自衛隊』という防衛に特化した軍隊擬きはあったが、当然軍隊じゃないなら勲章は出ない。精々災害救助で大きな手柄を立てた個人や部隊に感謝状が贈られる程度だ。この世界で貰える勲章などが気になるなら東三条に聞け、外様の私よりも詳しい」
話を振られた東三条大尉はどこかひょうきんな表情で肩を竦めた後に一礼した。彼は堅いところが目立つヤマトとは対照的にムードメーカーとしての素質もあるようだ。
さて、雑談はこの辺りにして、上がってきた疑問に答えるとしよう。再び空気が引き締まる。
「まずはマズルカ万翼長の質問の回答だ、一つ一つ行くぞ。まず幻獣に関してはこの世界で独自のレーダーを制作している、精度は極めて高く、今までにレーダーが原因の討ち漏らしは一件も報告されていない、表でも裏でもだ。これに関しては全幅の信頼を置いて良いだろう。小型幻獣が赤、中型幻獣が紫の光点で示される。元人間で幻獣と化した『第五世代』と呼ばれる連中は敵方の特記戦力としてオレンジで示される、第五世代については橋川万翼長への回答の後に説明する」
ヤマトがちらりと東三条大尉の方を見ると、流麗な手つきでのタイピングで記録を作っているのが見えた。これならば遠慮なく回答を続けてもいいだろう。
「続いて第3フェイズはシェルターの防衛ではなく、”シェルターから救出の後に後方への護送”になる。理論上はシェルターの食料の備蓄は二週間程度持つことになっているが、そんなものは所詮机上の空論に過ぎんのだ。今こうしている間もシェルターの中は極限状態だろう、一刻も早い救助が必要だ。護送には大型の兵員輸送車を使用し、岩国市市外付近まで後退させる手筈だ、護衛に付ける部隊は現地で判断することになるだろうが、最低でも一個小隊は付くはずだ」
「そして君の要望に関してだが、一個小隊から二個小隊への増員は可能だ。こちらで手続きしておこう。一応一人一人に軍籍を作る必要はあるが、偽名が一個小隊分から二個小隊分に増えるだけだ、大した手間ではない。他にも要望はあるか? 今思い浮かばなくても最低作戦開始の24時間前までに要望が出されれば出来る限り応えよう」
『あ、なあなあ大和、マズルカの姐さんの部隊は歩兵だろ? この世界の歩兵の銃火器のデータ、俺から送っておくか? 遅かれ早かれ必要だろ?』
「ふむ、最もだな君島千翼長。それでは任せたぞ。部隊の種別はあらゆる兵器の使用が許可される『独立混成小隊』がいいだろう、東三条、私の方からそのように訂正・更新しておく」
『あいよ〜』
『了解です』
目敏くヤマトが指示を出すよりも先に君島が仕事に気付いて提案する。ヤマトは忘れていた訳ではないが、質疑応答の最後にやる予定だったことを君島は今実行する。
さて、次は橋川万翼長への回答だ。だがこれに関しては流石のヤマトも思わず僅かに目を見開いていた。
「橋川万翼長、確かに使える歩兵戦力が増えるのはありがたい。だがその質問に対しては今すぐ正式な回答はできない。何故ならば現時点では君の”歩兵としての実力が未知数”だからだ。それに君はパイロットの他にもNジャマーのソフトウェア開発という大任が残っている、君の提案は正直ありがたいことこの上ないが、無理をしてはいないか?
だが、それでも第3フェイズで歩兵を買って出てくれるならば、明日の1330に第二演習場で九頭万翼長の実施する”試験”にて合格点を獲得して欲しい。レギュレーションはフリーでいい、君が持参した兵器や道具の一切の使用を許可しよう。九頭万翼長、君の手間が増えるが頼むぞ」
『……了解だ、もっともコイツ(橋川清太郎)には必要ないだろうがな。コイツは既に戦士としても兵士としても一級品だ。くぐった修羅場は一桁じゃないはずだ、”匂い”で分かる』
「ほう……珍しいな九頭万翼長。君がここまで饒舌に人を褒めるとは、期待できそうで何よりだ」
『フン……』
「橋川万翼長が第3フェイズで歩兵と仮定して……名目上はマズルカ万翼長の部隊の副隊長として出撃してもらうが問題はないか? 君に歩兵部隊指揮の経験が有れば1個小隊は任せてもいいのだが」
ヤマトの言うことは最もで、パイロット兼整備開発を行う橋川清太郎の歩兵としての資質を問うものだった。別に彼を責めたり疑ったりしている訳ではない、だがそんな橋川清太郎に思わぬところから援護射撃が入る。今まで我関せずを貫いていた九頭文治による口添えだった。
しかも無口で皮肉屋な彼にしてはかなり饒舌に褒めているときた。竹内君島東三条は驚き、ヤマトは口の端を釣り上げている。確かに彼は今でこそ穏やかな空気を纏っているが、その中に潜む戦士としての経験と資質を九頭文治は見逃さずに看破したのだ。
だが、それはそれとして形式上の試験は行うようだ。だがこの時点ではヤマトも九頭文治も心配は全くしていないようだった。
>橋川清太郎、マズルカ、空木彩虹、入速出やる夫、会議室ALL
【全員分一気に返すと文字数オーバーするので小分けに行きます。
追記:誤字があったので修正しました】
69
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/02/15(火) 03:15:34
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】【とんでもなく遅くなってしまい申し訳ないです。遅ませながら今年も宜しくお願い
致します。】
「せんりょくそのものにかんしては“だしおしみ”なし、ひつようりょうにかんしてももんだいないということ…りょうかいです。」
攻撃側は守備側の三倍の兵力が必要――という軍事的な定説に関しては、そもそも彼我の戦力差と“正確な敵の戦力予備”の把握など不可能という点
からして対幻獣戦ではその性質上、詳細を詰める事は出来ない。早い話が最初から無茶を通す必要が出てくる。不確定要素の類も恐らく実際の作戦行動
時には山ほど出て来るに違い無い。
そしてそれに対応する側はさながらローラースケートを履いた大混雑した店のウェイトレス並みか、それ以上の立ち回りを要求される可能性もある。
オペレーション“Earth Daybreak”当日の各フェイズの作戦行程を頭に叩き込みながら、発起後の己のフライトプラン(飛行計画書)を立案――元いた
世界では其々の兵科の作戦調整官が割り当てなども含めて指示を行っていたが、此処ではその辺りに関しては自分自身で考えなければならない。
基本的に己の立ち位置としては直衛の航空戦力的な遊兵としての役割が多いと仮定しつつ…
「まずるかさん、ひつようならわたしが“目”になる。れーだーでのかんしとけいくうそうさ(径空走査)のふたつできゅうなしゅうげきでもつたえられ
るし、ひつようならわたしがちょくせつたすけにかけつけるから」
J-STARS(地上警戒管制機)ほどとは行かないだろうが、レーダーによる捕捉とリアルタイムでの(空からの目)で作戦行動時の細やかな敵の動静を伝える役
割を人造魔女は買って出る、必要なら数日間飛びっぱなしでも別段問題は無い。
「おいしくない…“さばのみそに”」
伝えられた符号をやはり脳内に刻みつつ――ふと、思い出した様に人造魔女はあわててある事を旅団長に切り出す。
「ごめんなさいヤマトりょだんちょう、ひとつごそうだん…というよりりょだんちょうにはんだんをあおぐひつようがあるものがあって…」
>マズルカ、峰津院 大和、会議室ALL
70
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/02/20(日) 18:55:48
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和】
「ああ、事態が事態ゆえに出撃する部隊は練度がピンキリだ。最低限度の練度から虎の子として温存していた航空戦力、文字通り全てを出し切る。そうしなければ”この国が滅ぶ”のでな。まあその辺りの擦り合わせはうまいことこちらでやっておくので君は作戦行動に集中していい。
それと君に関する周知も当然行うが……空木万翼長の世話には我が旅団の女性隊員を誰か付ける、マズルカ万翼長にも手を貸して貰いたい。カバーストーリーとしては『ユーラシア大陸戦線にて某国にて計画されていた航空歩兵計画のデザインベイビーの最後の生き残り』という路線で行く予定だ。これに関しては裏取りのしようがないので事実発覚の恐れは無いが、これで構わないか、空木万翼長?」
ヤマトは事務処理を行いながらも頭脳を回転させ続けているようで、空木彩虹として周囲に馴染むための配慮も考えていた。出自としては、簡単に言えば『ユーラシア戦線の航空歩兵計画の最後の生き残り』ということで通す心算でいるようだ。
戦争の事しか知識になく日本の常識にも疎い、という事情もこれならば誤魔化せる。なぜ日本名を名乗っているか、と問われても軍人として日本国籍を与えていると言えば問題はない。アルファ06というコールサインにしか反応しにくいという問題も「最近国籍を得る際に名前を付けたばかりだから」と言えば違和感はないはずだ。
だが式典の作法や何かの拍子にマスコミにインタビューを受けた際にその場を受け流すための対応も必要になるが、そこは<Earth Daybreak>成功後に追々対策すればいだろう。今はまだその必要はない。
「まだ暫定の段階ではあるが、私と竹内、そして空木彩虹の飛行戦力で敵の航空兵力を速やかに殲滅するのが第一フェイズの肝と言っていい。私と竹内と空木彩虹が最優先で撃墜する目標はいわゆる”きたかぜゾンビ”もしくは”うみかぜゾンビ”と呼ばれる幻獣側の戦闘ヘリだ。
スキュラと呼ばれる空中要塞型の中型幻獣は空木彩虹万翼長は攻撃対象に入れずに無視して構わん。スキュラには『ミサイルラット』と呼ばれるスキュラ狩りの専門部隊を投入する。だが戦況に絶対はない、いざというときは『己の判断で戦え』。命令系統は私と善行忠孝大佐が直属に当たるが、何かの混乱でそれ以外の命令が来ても気にせず……いや、”無視しろ”。今のところ君を正しく運用できるのは君しかいない。他所の命令よりも自分の判断を優先しろ、いいな?」
第一フェイズの戦略の一部を開示すると同時に、ヤマトは『ヤマトともう一名の命令が無ければ自分の判断を優先しろ』という命令を下す。
ヤマトたちの海軍第一特務旅団は複雑怪奇な事情の末に階級は学兵のものが適用されている。風渡りは最低でも作戦会議で発言が許可される程度のものを用意したが、その階級の差を利用して『他所の部隊から命令が来る』可能性は無きにしも非ず。だから他所の命令は一切無視しろとも付け加える。
「重要な事ゆえもう一度言う、全員聞け。『他所の部隊から命令が来ても無視する権利が君たちにはある』。というよりもだ、当旅団の指揮権は私にあり、命令権は海軍の善行大佐と芝村準竜士にあるので『そこ以外の命令は無視していい』。海軍全体には周知させているが、陸軍や会津派閥辺りにはそれが徹底できていないのでどさくさに紛れて命令がくるかもしれないが無視して問題ない、私が保証する」
先程も言ったが、『自由に動いて良い』という言葉の裏付けと注意を行っておく。軍隊といえど一枚岩ではなく、他派閥から足を引っ張られる可能性もゼロではない。例えそれが戦闘中であっても、だ。国が滅びかけているのに派閥争いをする連中である。ヤマトからの信用は薄く、疑いの目線で見られてもおかしくない。
「一応だが符丁は更新される可能性が有るので留意しておけ。それと空木彩虹万翼長、遠慮せずに今言え。先ほど約束したように私は『君たちの要求と希望は可能な限り叶える』義務がある。モノによっては時間が掛かるかもしれないが、遠慮する必要はないぞ」
余談だが、アルファ06のことを空木彩虹とフルネームで連呼しているのは彼女が少しでも自分の名前を認識するように、との気遣いの結果だが、それを察しているのはこの場では君島と東三条の二人だけだ。
>空木彩虹、ALL
【あけましておめでとうございます。これからの事ですが、レスをする順番はもうこの際気にせずに隙に投稿してください。そうしなければ誰か一人でも欠けたらスレが止まるので、各自好きなタイミングで投稿してください】
71
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2022/02/20(日) 23:30:13
【かなり遅いですが明けましておめでとうございます。タイミングに関しては了解です。
そのようにさせていただきます】
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
「最も不味いレーション…最も不味いレーション…」
そんな話を聞いて何処かで自衛隊のミリ飯は上手いという話を聞いたが
この世界では不味くてサバの味噌煮なのかと若干の違いを思いつつ
「了解だお」
今までの話を聞いていてそう返事をする。
ただ
「話し聞いてて、やる夫が此処に拾われていたのが本当に今心底良かったと思ってるお」
なんとなくだが自分達の扱いが高待遇なのは言うまでもないが陸軍や会津派閥に拾われていたら
酷い待遇で利用だけされて使い潰される、なんてのが昨今の異世界召喚系小説では珍しくないのでそんな想像が出来た。
こんな崖っぷちの瀬戸際に来ても今この場にいる似た境遇の連中とこの部隊関係者しか
今現在は信用できないってのがまたこの世界は本当にどうしようもないのか。
「でもその他所から命令無視して後ろから撃たれる、事故に見せかけて消されるとかは勘弁してくれお?」
今までごく普通に何処にでも居た学生のやる夫としても他所の世界の派閥争いなんぞはよくわからんが
その巻き添えで死ぬのは勘弁してもらいたいのが正直な所だ。
72
:
蛮族白饅頭
◆yQ8lxZvm6.
:2022/02/20(日) 23:31:55
【またまた宛名を忘れていましたお許しを】
>峰津院大和、会議室all
73
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/04/04(月) 02:29:07
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】
「りょうかい。けいくうもくひょうがtarget priority(目標優先順位)、―くうちゅうしょうかい(CAP)およびてきじ
のこうくうしえん(CAS)をずいはんしつつじっしします。」
“きたかぜゾンビ”及び“うみかぜゾンビ”の情報そのものは頭に叩き込まれている。――撃墜された人類側の航空
戦力を文字通り(再利用)してくるという(幻獣)側の非常識な能力。純粋に地上部隊にとっての径空脅威でもある以前に
相手にする時点での兵員の心理的な意味での消耗も狙っているのかもしれない。…とはいえこれでもまだ有情な方だと
言えるのが末恐ろしい…インプットされたデータ上のモノで実物を見た訳では無いが…幾つかの(幻獣)の存在が彼女自
身としては気掛かりだった。
「はい、いいえ――ありがとうございますヤマトりょだんちょう。ようぼうというより、あなたのきか(麾下)にはいるうえ
で、わたしのゆうしているいちぶのへいそう(兵装)のしようきょかのけんげんをあなたにいじょう(移譲)するひつようがある
かとおもいまして…」
元いた(世界)に於いて、彼女の様な(人造魔女)は戦術レベルでの戦力としては勿論、戦略クラスの広域破壊兵装を必要に応
じて使用する場面が多々あった。―戦略爆撃機や艦艇からの核弾頭・もしくはそれに匹敵する代物を搭載した巡航ミサイルよ
りも確実に戦場での使用が可能な生残性もまた(人造魔女)に望まれる要素だ。
現に今の彼女自身もそれに準じた(兵装)を持参しており、戦場に於いての(それ)の作戦行動中の使用許可に関して自身の指揮
官であるヤマトに委ねて置きたいと言う具申だった。
――――
―
「………しんぱい?」
ある意味、尤もな憂いを口にしている饅頭めいた彼(やる夫)を幼げながら静かな彼女の視線がじっと見つめる。
>峰津院大和、入速出やる夫、会議室all
74
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/04/04(月) 17:22:01
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
マズルカ
「成程。電探(レーダー)がそこまで信頼出来るなら私達はとりあえず片っ端から映ってる輝点(ブリップ)を消していけば良い訳かまるでいんべぇだぁげいむだねハハハ!
ふむふむそして第三段階の市民の状態についてそして私の要望にも応えてくれて我等がボス(大和)には改めて感謝しよう。そして君島クンにもだ。
とは言え私はこの後銃火器取り扱い技能を習得しなければいけない事を考えると必然的に頭に叩き込まなきゃいけないのだがね」
自分(マズルカ)の質問に対する大和の答えと要請が受諾された事を受け笑いを交えてそれに答えたマズルカ。「マズルカ独立混成小隊か…ふふふ恰好いいじゃぁないか」等と呟いている。
そして送られたこの世界の銃火器に関するデータをパラパラ眺めながらアディレイドアサルトライフルって使い辛そうだよね等と(勝手な)感想を述べていたが
どうやら同じ風渡りの橋川が第三段階において歩兵としての参戦を希望しており、ボス事大和達も認める方針の様だ。之に関してマズルカは少々心配ではあった。
マズルカ
「おいおい大丈夫かい?いや橋川クンの技能を信用していない訳では無いが、さっきボス(大和)が言った様に君には替えが効かない大切な仕事が他に沢山あるのだろう?
歩兵なんていう仕事は私達胡散臭い連中に任せてしまっていいと思うが…まぁどうしてもというなら私もそこまで反対はしないよ。さっき増員して貰ったばかりだから
仮に正規軍(この場合海軍本隊の事だろう)から部隊を回せなくても、私の魔女ノ旅団から橋川君につけるお供位は捻出出来る。その点はボス等と話し合って決めてくれ」
自分の意見と必要であれば橋川にマズルカの戦力である魔女ノ旅団を回せる事を付け加えておく。次に旧アルファ06事空木からの提案に乗っかった。
マズルカ
「丁度いい私もそれについて言おうとしていた所だ。私達はボスである大和クンを除いて恐らくこの世界的に言う同調技能…つまり魔女としての特殊な才覚がある。
こうビビビっとテレパシーで繋がる事で無線機を通さずリアルタイムで繋げられる。だが私だけと繋がってもあまり効率的には使えないだろう。
だからこの<妖路歴程(ようろれきてい)>事レキテーちゃんと繋げて欲しい。レキテーちゃんは外見通りの魔導書だが魔女ノ旅団を統括する指揮技能に付随して
一定範囲だが戦場を正確に把握出来る地図の様な機能が使える。空木クンの技能と併せれば私達は敵に対して情報面でより優位に立つことが出来るだろう。
そしてもう一つ之は私からの提案だが、キミに私の魔女ノ旅団から二人程付けさせて欲しい。空木クンが今言った様に航空歩兵は空を飛べるというだけで
圧倒的なアドバンテージがありそして何より私は今日会ったばかりとはいえ仲間を失う気が無くてね。護衛を兼ねた増員と思って好きに使ってくれ」
空木彩虹の意見は勿論といった形で受け入れられ、同時にマズルカは二つ提案を行った。一つはマズルカの持つ変わった魔導書にテレパシー的なリンクを
マズルカへ行う様に繋げて欲しいとのこと。彼女曰くこのレキテーちゃんなる魔導書は元々戦域情報をリアルタイムで更新する戦域マップとしての機能が
あり之に空木彩虹の空からの眼を加えれば二人はより精度の高い情報を常に得る事が出来るだろうというものだ。もう一つは護衛を兼ねた増援の随伴。
空木彩虹を守りつつ航空戦力を強化する事が目的でマズルカ曰く通常戦闘なら空木の足手まといになる事は無いだろうとの事。
>>会議室ALL
75
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/04/06(水) 20:56:27
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、君島 邦彦、東三条 孝則】
ヤマト「安心しろ入速出、頭に数万匹単位でウジ虫でも湧いているか、もしくは『何らかの要因で洗脳でもされていない限りは』後ろから撃たれることはない。友軍への意図的な攻撃は軍法会議の後銃殺か、その場で”背後からの流れ弾”で死ぬかの二択しかない。
そんなことは軍人なら周知の事実だ。攻撃の正当性が証明されない限りは”死”の一文字しか残らんのだよ、仮に流れ弾だったとしてもその人物のキャリアには致命的な傷が残る、もっとも私は傷が残る”程度”で済ませる気は毛頭ないがね。
ともあれ余程の事態に陥らない限りはそんなリスキーな真似をするバカは居ないだろう」
ここでヤマトが言う”背後からの流れ弾”は、味方の銃弾という隠語でもある。友軍や民間人に攻撃しろと命令されても普通の軍人は承諾しない。それこそ最後に言った『余程の事態が起きない限りは』だが。
万が一流れ弾だったと実証されてもヤマトはその程度で済ませるつもりは毛頭なく、ありとあらゆる手段を講じて命じた者を破滅させるつもりでいた。
ヤマトは組織の運営や戦闘においては天賦の才を発揮するが、それでもすべての不穏分子を抹消できるわけではない、無論可能な限り手は打つが、この世に100%安全なことは存在しないのだ。
ヤマト「だがそれでも不安ならば『密会技能』と『幻視技能』を磨いておけ。これらはひとつひとつではそこまで役には立たないが、併せれば『戦闘以外で身を守る』助けになるだろう。それに価値を見出すかは人それぞれだが、それでも常に”他所からのちょっかい”に怯えて生活するよりは余程健全というものだ」
ヤマトは明言しなかったが、要は”暗殺”や”誘拐”の類いから身を守る助けになる。といっているのである。それでもこの世には完全は無いが、少しでも安全に近づけることは出来るのだ。
ちなみにヤマトはこれらすべての技能を併せ持つ『天才技能』の持ち主だ。故に訓練では基礎的な身体スペックを磨けば大抵のことはそつなくこなせるようになる。
ヤマト「さて、次は空木彩虹万翼長の件だが……よく申し出てくれたな。あの装備の中にそのような武装が有ったとは気付かなかった。基本的には余程の事がない限りは日本国内で広域破壊兵装を使用することはないだろう。日本は山岳地帯が多い上に人口が密集しているので下手に使えば自らの首を絞めることになる。例え山岳地帯で使用するにしても二次災害が怖いので使うことはないだろう。大型幻獣が現れた、などという事態に陥れば話は変わってくるかもしれないが。
ともあれその具申を受理しよう、後ほどデータベースにその武装のスペックを上げておいてくれ。難しければ簡単なものでもいい」
ヤマトは空木彩虹が自己申告するまではその武装の有無すら気付けていなかった。もし彼女がそれを自己申告せずに、ヤマトの言うように『自由に戦え』という言葉を実行に移し、広域破壊兵装を使用していたらと思うと背筋に寒気が走る。
それを危惧してなのか、そのような武装があるという明言と、その使用許可の移譲の申し出はヤマトにとってはとてもありがたいもので拒否する理由はどこにもない、その申し出を受けると同時にその広域破壊兵装のスペックの提出を要求した。難しいならば大まかでもいいという言葉も付け足して。
だがそれでも『絶対に使わない』とは言わずに、『大型幻獣』なる敵の出現があればその兵装の封印を一時的に解くかもしれない、という言葉を残した。
ヤマト「大型幻獣とは過去に数回だけ確認されているH級目標と呼ばれる幻獣だ。『その幻獣に勝利したという記録はどこにもない』敵でもある戦略目標だ。戦略武装でも用いない限りは撃退すら困難だと言われているが、今の私たちにはオーバーテクノロジーの機体と、先に死んでいった兵士たちが残した記録がある。それを踏まえても絶体絶命ではないが、場合によっては空木彩虹万翼長の広域破壊武装を用いる必要が出てくる可能性はゼロではない、とだけ言っておこう」
空気が少し重くなりかけるが、そこで一息入れるように湯呑に手を伸ばすが、中身が空になっていた。ヤマトが顔を僅かに顰めたのを見咎めた東三条がおもむろに席を立つと給湯室へ向かって歩き出す。
東三条「さて、話が進んできたところですがここでお茶のお替りなどはいかがですか? 茶葉は善行大佐から玉露の良い感じのものをいただいておりますので、皆さん遠慮なさらずに申し付けください」
君島「ハハッ、なんか喫茶店のウェイターみたいだぜ大尉さん。イケメンだしよく気が付くし、そういうの向いてるんじゃねーの?」
東三条「そうですね、無事に世界が平和を取り戻して軍縮政策でも打ち出されたら考慮しましょうか」
東三条がお茶のお替りを用意しに行き、湯を沸かしながら皆にそう言うと、君島がそれに乗り軽い調子でジョークを飛ばすと東三条は肩を竦めながらもこれまた軽い調子で考慮すると言い出す。
この二人は士官と下士官という違いはあれども呼吸を合わせるのがうまいので仕事でも平時でもかなりいいコンビとして動けているようだ。
君島「いいってことよマズルカの姐さん。あと歩兵なら偵察兵でも突撃兵でもオススメは70式軽機関銃、簡単に言えばサブマシンガンだ。軽いし装弾数も多いから最低限の射撃技能があれば前線に向かってばらまくだけでも弾幕として機能する。あと海軍は学兵でもない限りはスカウトはカトラスの着用が義務だ。お飾りでもいいからとりあえず腰に提げときな。
それと、自衛軍のウォードレス、簡単に言えばパワードスーツのデータも送っておくぜ。本来は調整を受けた”第六世代”でしか着用できないが、どういう訳か風渡りでも着用できてるんだ。だが長時間着てると体への負担がデカイから休憩時間は脱ぐことを許可されてるんだ。俺らには新型のアーリィFOX1型と2型が支給されていて、扱い易さは1型が上で、2型は上級者向けってね」
君島はスマホ型の端末を操作しながらも軽妙な調子で淀みなく言葉を紡いでいく。ヤマトが片腕として扱うのが納得できるほどの仕事ぶりである。こういうところで君島は真価を発揮するといってもいい。
ヤマト「インベーダーゲーム……確かシューティングゲームというジャンルの古いものだったか? まあいい、ともあれ戦場では基本的に幻獣がいるところはレーダーは真っ赤に染まるし、ゴルゴーンなどが後方にいれば今度は紫一色に染まる、なんてこともある。撃ち漏らしこそ心配いらんが、細かいところを見落とさないように気を付けろ。戦場では東三条がオペレーターを務める、多少のフォローは入るが慢心しないようにな。
それと空木彩虹万翼長への僚機、いや随伴機というのか? それについては許可を出すので細かい所は二人で詰めて完成したら報告を上げろ。空木彩虹万翼長もそれで構わないか?」
糖分補給用の飴玉を口に放り込むと、ヤマトは再び凄まじい速度でキーボードを叩き始める。竹内優斗の『VF-19エクスカリバー』を僚機に付けるかとも考えていたが、これならば編隊を組むのは状況に応じてで構わないだろう、と結論付けたようだ。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、ALL
【話が纏まってきたら基地内の案内を始める予定ですが、急ぐ必要は全くないので、やっておきたいことがあるならやってくれて大丈夫です】
76
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/04/07(木) 20:19:58
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
「そりゃそうだお、幻獣も怖いけど人間も怖いんだお」
心配、という言葉に対して空木彩虹という名になった彼女に少し青ざめた顔で告げる。
「やる夫はこの世界に来て右も左も分かってるか怪しい所なのに後ろも信用できないなんて…難易度ナイトメアモード処じゃねぇお」
明確にはこの世界の学徒兵よりもマシだ、皆から一週間ほど先に来た彼でも判るぐらい酷い有様の世界観なのはこの目で見てきた。
正しく地獄だ、生き地獄に居るのだ。
そしてそんな地獄にごく僅かな期間で一人前の兵士にならなければろくな死に方も出来ないのが
更に背中も任せられないというのは何を信じれば良いのかということになる。
己のみを信じる、というには今やる夫は割り切れもしなければそんな生き方も出来ない。
「うわぁ、友軍でも幻獣共生派とかヤベェ奴らの狂信者スパイに襲われるフラグじゃないですか!イヤだー!!」
峰津院大和の何らかの要因で洗脳でもされていない限りはまで聞いて真っ先にそんな発言を口に出す。
「ってのいうのは冗談、冗談?嘘になってほしいけど今こんな状況で派閥争いしてる奴等は保身や権力が大事なんだから
そんな奴らがどんな馬鹿な事仕出かしてきてもわかったもんじゃねぇお」
信用していない訳ではない、ただこの世界について知った際にこの世界の大人には真っ当かどうか期待できるか怪しいというもの。
もちろんこの場にいる大人は真っ当な人は多い。少なくとも上澄みと思えるくらいには。
峰津院も頑張っているのはわかっているが結局は自分の身は自分で守るしかないのか。
「分かっているお、峰津院の言うことはまったく持って正しい。ありがとうだお。ちくしょう…やる夫がなにしたんだってんだお」
涙目になりながらそんなことを言っているが、素人であるやる夫に道を示してくれているだけマシなのだ。
やる夫も所詮盤外戦術でR18Gの画像になる趣味もなければ死にたくもないのでこれから戦闘以外で身を守る方法を身につけなくてならない。
そう決意するのであった。
>空木彩虹、峰津院大和、会議室all
77
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/04/16(土) 21:07:55
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】
「れきてー…ちゃん、わかったまずるかさん、“でーたりんく”そのもののやりとりするじょうほうりょうはいまはおさえられているからたぶんだいじょうぶだと
おもうけれど――こちらにかかってる“せーふがーど”のかいじょはしておくね。“あぶない”から…ためしにいまかんたんに“つながって”みる?」
元々彼女自身の持つ魔術的・超能力的なテレパシーを用いた相互通信能力・機能は、最初から解析され改めて規格化されたモノが付加されており精神妨害や干渉に対
してのセキュリティめいた機能、フィルタリング・攻勢防御などの(友軍外)の存在との(通じ合い)や(干渉)に対して攻撃的な防御が働き相手の精神を焼く様な物騒な
システムが実装されている(この辺はほとんど電子戦的な形式である)
それ故マズルカ本人との(リンク)は兎も角、見ての通り意思を持つ魔導書な(空木個人としては“おもしろいみため”)の<妖路歴程(ようろれきてい)>との(リンク)に
関して二人(?)にそれ由来の実害が及ばない様に配慮しなければならないとこの人造魔女は考えた次第であった。
「いっしょにとんでくれるにんぎょうさんたちがいるなら、わたしはかんげいする。そのばでうごけるてがおおいほうがいいから……ありがとう、まずるかさん。」
護衛を付けるというマズルカの提案に二つ返事でどこか嬉しげに了承の意を示す人造魔女、ヤマト旅団長からも許可を得た事もあり―なにより彼女(マズルカ)の心遣い
に対して純粋に感謝していた。
――
―
(戦略級の広域破壊兵器)の件をヤマト旅団長に伝えたのは、任意判断での使用が戦場に与える影響を考えると難しいという点から、DWRC(彼女の古巣のアメリカ軍の超
自然戦対応部門)時代から“それ”の使用自体がJCS(統合参謀本部)やはたまた大統領レベルでの判断を仰ぐ必要がある代物故にである(尤も核兵器やそれに匹敵するパ
ラテクノロジーを応用した各種戦略兵器群も扱いは大方一緒であったが)、申し出に感謝する旨をヤマト旅団長は口にしつつ現状の主戦場であるこの国(日本)の地理的
な要因から通常作戦で使用する事は先ず無いが、この手の兵器を使う必要がある規模の(戦略目標)が存在するという事を話した。(H級目標)と呼称される其れは過去の
記録からしても撃破記録自体が存在しないという戦略級の化け物(幻獣)らしい。
―兵器の概要・諸元に関しては
「えっくすえるはちにーぴちかーとほうしんけいせいがたまそれいきほうしすてむ(XL82ピチカート砲身形成型魔素励起砲システム)、とうしゃがたへいそうでゆうどう
きのうもあり、かがいはんけい――きしょうじょうけんにもさゆうされますがすうじゅうからすうひゃっきろはんい、しこうせいまそのちょうせいでたんいつからこう
いきもくひょうまでのかりょくちょうせいもかのうです。」
言葉でカタログスペックを述べるより、実際に実物を見た方が良いと考えた人造魔女は、中空に自身に残されていた記録情報を投影(インカムの小型装置から)
映し出された映像は無人機から空中から撮影されているらしく漆黒の闇の中、日付と(U.S DWRC MS-11BC/MQ-15A/ネバダ州/ブラックロック砂漠/実験射爆エリアO-7)の文字が入る。
一瞬の閃光が(闇夜を切り裂いた)と思えば、塗り潰すような凄まじい光が一拍遅れて周囲を真昼の様に照らし出し、光の柱とも形容出来るようなどこか神々しくも禍々し
い破壊の奔流が周囲を巻き込みながら急激に膨らみ加害範囲内の全てを文字通り消し飛ばしてしまった。――魔術の類に心得があるモノなら映像からでもそこに渦巻いて
いた魔力がどれだけ馬鹿馬鹿しいほど膨大で極端なモノなのか窺い知れるかも知れない。
「くうちゅう、およびちじょうでのとうしゃがかのうなほか、すいちゅうでもきほんてきにもんだいなくしようかのうです。」
光に巻き込まれて砂嵐になって途切れる映像を他所に少女はつらつらとそうヤマト旅団長に続けた。
――
「―よっつかぞえる、いきをすう、よっつかぞえる、いきをはく。…おちついて」
どこぞの大尉のまた知り合いからの受け売りめいた四拍呼吸を促して目の前で青ざめている白饅頭な彼(やる夫)を対照的に特に表情を変えた様子も無い顔で人造魔女の少女は落ち
つかせようとしている(当の本人は冷静に考えた上で現状の勢力関係が有る意味八方塞がりなことを嘆いている様だが…)
「…わたしもこわくないわけじゃない、けど――もういえにひはつきはじめてる。すくなくともわたしやこのばのみんなは(やるお)のみかた、それだけはわすれないで」
ある意味情緒破りで当たり前のレトリックであるが、(味方がゼロよりよっぽど恵まれてる)と、人造魔女の少女はニッと彼(やる夫)に精一杯微笑みかけた。
>マズルカ、峰津院 大和、入速出 やる夫、会議室ALL
78
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/04/16(土) 22:31:30
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
マズルカ
「カトラスか…うーむ正直私の様な箸より重い物を持ったことが無いもやしっ娘魔女には重い代物だが…義務とあらば仕方ない。魔女なりの"工夫"をして携帯しよう。
後君島クンの気遣いは嬉しいが私は魔女ノ旅団を率いる身所謂指揮官枠だからね。護身用の拳銃とカトラス位しか持たないだろう。
無論戦場に出る際はちゃんとウォードレスを着用するから安心してくれ…とはいえこの身だちゃんと私に合ったウォードレスを用意してくれたまえよハハハ!」
東三条が用意してくれたお茶のおかわりを飲みつつ君島のアドバイスを受け最後ウォードレスの話題になった際、マズルカは自分の豊満な胸をあえて揺らしてアピールしながら笑い飛ばした。
短い間ではあるがこの会議室に居るメンバーもそろそろマズルカが普通女性が気にする様な事案をあえてジョークにして笑い飛ばすという性質だと言う事も
認識出来る頃合いだろう。また之はただ冗談という訳でも無い。マズルカに転写された記憶や知識が正しければ通常スカウト(歩兵)はウォードレスの着用が義務化
されているのと同時に太り過ぎ或いは幼い子供等平均的な体系から大きく外れた人間はウォードレスを着用出来ないという知識があった。つまり自分の体形を強調し
そうした不備が起きない様に遠回しに伝えたという訳である。とは言えカトラスの件もそうだがこういうちょっとした問題であればマズルカ自身錬金窯を使い
ちょっとした"手品"で何とか出来なくも無い為そこまで深刻な問題という訳でも無いのだが。
マズルカ
「ン?ああ思考防壁的な物かそうかそうか君(空木彩虹)は"そういう魔女"だものな。分かったとりあえず繋げてみよう」
空木彩虹の言った"セーフガード"といった言葉に対して瞬時にマズルカは理解した後まずマズルカ、そして次に<妖路歴程>とテレスティックリンク(テレパシー的な通信)が行われる。
マズルカからは「<<聞こえますか…今貴女の脳内に直接語り掛けています…>>」等とふざけたそしてちゃんと接続している事を示す思念が送られてきており此方は問題なさそうだ。
そして肝心の妖路歴程の方だが此方は何というか不思議な感じであり、空木彩虹の感じ方としてはHQ(前線司令部)等のコンピューターにアクセスした時に似ているだろう。
リンク後マズルカの言っていた通り地形情報等が送られるし、疑問を投げかければ<妖路歴程>が回答出来る範囲で答えが返ってくる。ただそこには当然人間らしさはない。
ただ完全に機械とも言い切れない何とも不思議な感覚だ。とは言えこれで戦場における地形把握及び空木彩虹及びマズルカ間のリアルタイムな情報共有等は可能となった。
マズルカ
「よしリンクの問題はなさそうだね。それにボス(大和)の了承も得た事だし空木クンの随伴は後日改めて考慮しようじゃないか。空木クンには貴重な三日間の内
数時間程割いてもらう事になるだろうが…君へ随伴出来て物になる人形兵の選抜と調整を行わなければならない。それには実際空木クンに飛んで貰って
編隊飛行が可能かどうかチェックする必要があるからね。アハハ!という訳だから礼は不要だ少々君の時間を拝借する事になるだろうからね!」
空木彩虹の随伴人形兵の作成にはどうやら空木彩虹が実際に飛行して貰わなければならないらしく、作戦開始までにその時間マズルカに付き合ってもらう事になりそうだ
自分(マズルカ)に礼は不要だがその分随伴人形兵作成に付き合ってくれとマズルカは笑いながら言った。
マズルカ
「やる夫クン戦場では臆病な位が丁度いいとは言うが、見えない敵に臆してばかりではいざ見える敵との戦いに支障をきたす。我々が今集中すべきは幻獣という
眼前の敵ではないか?それにだ身辺警護ならボス(大和)は何も言わずともしっかりと整えてくれているだろう。恐らく我々のガードはそこらの士官より硬い。
それでも怖いと言うなら私が身辺警護用の人形兵を貸してあげてもいい。君好みの可愛い奴をこしらえようじゃないかハハハ!」
空木彩虹に乗っかる形でマズルカも見えない敵におびえるやる夫に冗談交じりで口をはさむ。様は気にし過ぎるなと言いたいのだろう。
そして最後さて私はもうここ(会議室)でやる事は無いかなと伝えた。
>>会議室ALL
79
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/04/21(木) 23:02:39
【自衛軍横浜基地/第二会議室/入速出やる夫】
「四つ?わ、わかったお。スー…スー…」
空木彩虹に言われた通り四拍呼吸を繰り返す。
そうしている内に少しずつだか落ち着いてくる。
「ハー……おかげ様でちょっとは落ち着いたお」
そして空木彩虹も怖くない訳ではないらしいが、彼女はこの状況は家に火が付いていると例える。
やる夫はもっと下品な言い方に変える。
「あーもうケツに火が付いてるってことだお?そう言われればそうだけど…」
もう四の五の言っていられる訳では決してないのは火を見るより明らか
その上で彼女やこの場にいる部隊関係者は少なくても味方と信じてほしいと
空木彩虹―アルファ06は言っている。
そしてマズルカと名乗る魔女の彼女も目に見えない敵にビク付いていては戦いに支障を来たすとも実際その通りではある。
「此処に飛ばされた時、幻獣の恐ろしさはよくわかっているお」
ただ幻獣という言葉で少しは落ち着いたとは言え、幻獣に襲われた当時を思い出し震え始める。
なぜ死んでいないか今でも不思議なくらいだが
「こんなに怖くて仕方ないのに…この世界の人達は更に間近で経験してるんだお…」
「どっちがマシかなんてことはわからないけれど…それなら信じてみるかお、マズルカちゃん」
どの道信じるしかない。此処まで言ってくれるマズルカや空木彩虹そしてこの場に居る皆を。
「ありがとうだお。でも全部おんぶに抱っこはさすがに恥ずかしいから、本当に困ったときには借りるからその時は
とびっきり可愛いのを貸してくれお?」
明らかに強がりだが、精一杯の勇気で言い放つ。
「えーと、空木もありがとうだお。やる夫も皆と違って戦いに慣れてるというわけでもねぇお
死にたくもねぇし、やりたいこともある。だから生きる為に出来ることはするつもりだお」
この場全員の中で唯一戦いの経験もなく日常でも落第生とも言える自分が何ができるのかはまだ分からない。
今にも恐怖に押しつぶされそうだが絞り出した信念も覚悟もなかったやる夫の今出せる答え。
>空木彩虹、マズルカ、会議室all
80
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/04/30(土) 21:10:36
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、東三条 孝則、君島 邦彦】
ヤマト「案ずるな、日本の憲兵隊は優秀だ。活動は活発になってはいるが軍事行動に影響を及ぼす範囲ではない、無論この世に絶対など無いから100%とは言い切れないが。幻獣共生派の行動で戦局が動くほどの被害が出たのは一度きり、先程軽く触れた岩国防衛ラインに張り巡らされた地下通路の爆破だ。こちらとて無能ではないのであの規模の被害が出るようなことは”もう二度とない”、これだけは断言できる。
もし”Earth Daybreak”が成功し、日本が朝日を拝んだその時は『防衛ラインの爆弾魔がこちらとの交渉のテーブルに着くことになっている』、奴ほどの才覚の持ち主はもう共生派には居らんよ」
東三条『上級万翼長、それは作戦後に話す予定の事柄では……?』
ヤマト「構わん、順番が前後はしたが『共生派によって戦局が揺らぐ可能性は皆無である』ということが伝われば充分だ。不安の種を残したまま戦場に放り込むほど私は人でなしではないさ」
今明かされる衝撃の事実に事情を知っていた君島と九頭文治と東三条は冷静だが竹内優斗は目に見えて狼狽していた。幻獣共生派の言動は徹底的に弾圧されているこの状況下で”共生派との交渉”というイベントは露見すれば国が揺らぐ事実だ。竹内優斗は意外にも取り乱さずゴクリとつばを飲み込んで情報を頭の中で整理しているようだ。流石に参謀の東三条も口を挟むが、ヤマトは「必要な事だ」と短く一蹴した。
さらりと爆弾発言をぶち込んだヤマトだが、それはやる夫の不安の一つを取り除くための処置であることは明らかだった。情報開示の一つや二つで生存率が上がるならばヤマトはそれを躊躇わない。
ヤマト「この件については奪回作戦後に全ての情報を開示する。我々にも無縁な話ではないからな。だが今は旭を拝むことだけに集中しろ、でなければこの国と我々は滅ぶのでな」
爆弾魔に関する情報は作戦後に開示するとだけ言うとヤマトはこの話を切り上げた。先ほどから濃度の濃い情報を出してばかりなのでこれ以上やる夫や竹内優斗などの新米の頭に負荷をかけるわけにはいかない。
そして空木彩虹の投射する映像と口頭による説明を受けてヤマトは情報を脳内で咀嚼し、使えるタイミング・使える場所・”使っていい時期”などを探しているようで十数秒ほどヤマトの手が止まり、顎に手を当てて俯いていた。
結果、極めて強力な力だが使い処が極端に制限される上に”一度、多くても二度の使用が限度”という結論に至った。強すぎる力はあらゆるもののパワーバランスを乱す。海軍第一特務旅団の各機体もそうだが、空木彩虹のいう戦略兵器はそれ以上のものだ。考えなしに使っていいものではない。
「……よし把握した、仮にソレを使用するにしても機会は一度あれば多い方か、二度目は無いと思った方がいいだろう。だがXL82ピチカート砲身形成型魔素励起砲システムといったか、今見せた威力を形成するに当たって大量の魔力・またはそれに準ずるリソースが必要なのだろう?
空木彩虹万翼長、今後その話題を人前で話すことを禁じる。話していいのは私が君に質問をした時だけだ。あれだけの破壊力を有するのだ、タダで撃てるものでもなかろう。それに日本という地形では制御が利くとはいえ周囲の影響も考慮せねばならん。使うにしても問題が山積みだ
だが発射条件が”膨大な魔力”だけならば解決できる手筈はある。手筈はあるがそれでもやはり撃っていいのは一度のみだな。君たちが来る一週間前に私は日本が誇る霊峰富士山の龍脈のレイラインを私は掌握している、日本には滅ぶことを良しとしない神々は多い、”滅亡を回避するためだけに使う”と契約を持ちかけたら神々に承諾を貰えたのでな。マズルカ万翼長を始めとした皆も魔力的リソースが必要な場面が出来たら私に言うように」
ヤマトのセリフの後半部分は魔法に関する知識を得ていない人物にとっては何の事だか全く理解できないものだろう。だがハードボイルドペンギンと5121小隊のブータニアス王、魔法もしくは魔術の知識がある人間にはニュアンスくらいは伝わるだろう。
平安時代から代々受け継がれてきた峰津院家の秘奥、日本の龍脈を操り強大な力を人の身で引き出すという大技をヤマトは異世界の地球で躊躇いなく使用したのだ。ヤマトの世界に神族は居なかったのでこちらの世界でそれを実行するにはひと手間かかったが目標は達成している。
君島「あー、マズルカの姐さんが言いたいことは分かった、けど流石に小隊長ともあろうものが小銃や軽機関銃も装備していないっていうのは”周囲から怪しまれる”と思うぜ? 自衛軍は小隊長でも弾幕を張る程度の仕事は要求されるから不自然に見えるところは出来るだけ削った方がいいだろうよ。
んじゃ折衷案としてウォードレスの右腰辺りにでもマシンガンの弾を抜いたやつを吊り下げておくのはどうよ? 銃弾が無ければ大した重量にはならないぜ? よし、各端末に幻獣や機体・装備のデータ送信完了っと」
君島としてはマズルカのいう装備でも問題ないのだが、海軍の兵士がまともな小銃やそれに類するものを装備していないと”不信な目を向けられる”ということを危惧しているようだ。もし不審な目を受けて報告を挙げられてもヤマトと君島の手腕を以てすれば大事になる前に握り潰すことは容易い。
容易いのだが、確実にヤマトたちの仕事が増えることになる。なので形だけでもいいので装備しているという体裁を整えてもらえないかと君島は頼んでみた。それを拒む権利はマズルカにはあるので拒否されたら大人しく仕事を増やすことで対処することにしよう。
君島「今日新しく来た面々は明日軽い身体測定を受けてもらうんで、その際にウォードレスの採寸も行う予定……なんだが、採寸の必要なヒトはマズルカの姐さんだけっぽいな。あぁ採寸するのはモチロン女性隊員だから安心しな、諸々のデータは機密として扱われるから体重を測っても外には一切漏れないから安心だぜ」
東三条『うーん、惜しいなぁ君島くん。体重云々のセリフが無ければ完璧だった』
君島「えぇ? でもオンナの人は体重とか気にするだろ? 外に漏れないって判れば安心できると思ったんだが」
東三条「そこは体重という言葉を使わずに計測データと言えば良かったんだ、飲み込みは早いけどもう少し勉強が必要ですね」
東三条によるダメ出しを受けて肩を落とす君島、だが逆に言えばそれ以外に指摘すべきと事は全くない。情報の扱いもうまいので憲兵なども向いているのではないか、そう東三条は考えていた。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、ALL
81
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/05/16(月) 02:11:41
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】
視界表示上――もしくは思索系統の表示系の異常や欠損は確認出来ない。
あちら側(マズルカ及び主に妖路歴程)の其れ―無機質気味ながら完全にそうだとは言い切れない様な不可思議な感覚
使用感としては自身が嘗て作戦行動中は常時接続していたクラス4のJTIDS(統合戦術情報伝達システム※そのDWRC仕様)
のそれに近い。補助・管理用の人工知性、それに類似した(実際は異なるが)モノの存在などもかなり近しいモノを感
じる。
(思念通信※ちぇっく、かんどりょうこう、かんどりょうこう…もじばけなし、かんぺき)
逆に(妖路歴程・マズルカ)側には、幾つかの英文の注意喚起や警告表示が出ているが―接続する時点でカウンターセキュリテ
ィの類やヒュプノシス・プロトコル系統の各種精神感応系に対応した妨害・反撃システムは解除されている。
しかし、マズルカや妖路歴程は一瞬だけ、黄と黒のピエロ衣装の白骨化した道化、腰にあてた手には短剣を握り、もう片手に
にはクラブ・ダイヤ・ハート・スペードのエースのカードを手にした其れが映り、カタカタと意味ありげで耳障りな笑い声を
あげて消えていく様が見えたかもしれない
(思念通信※あ…“いまの”はきにしないで)
――
「りょうかい、――そのへんはだいじだからいつでもつきあう。まずるかさん―わたしもだれかといっしょにとぶのはひさ
しぶりだからたのしみにしてる。」
―
「もともとはかんさいほう(艦載砲)をもとにしたせっけいでしゅつりょくそのものはちいさめです、まそをれいき(励起)させて
はかいりょくをだすほうしきだからしょうひえねるぎーはひかくてきすくなめですが、れいてきなかんきょうにはあくえいきょ
うをあたえるかもしれません。」
この兵器が(戦略兵器)として扱われている理由には破壊力以外にも――幾つかの言葉で言い表される霊的・魔力的なエネルギー
を集積し、且つ(敵)による利用を防ぐ為に励起させて(消費)する為大量破壊兵器による大破壊と、霊的・魔的なリソースの焦土
作戦を両方同時に行うという代物だ、喩えるならかつての湾岸戦争よろしく敵の利用を防ぐ為に油田に火を放つ様な感覚に近い。
それ故にヤマト旅団長の言う様な(一度あれば多い方か、二度目は無い)という言葉は想定される使用機会として一番近しいと言え
るだろう。…否、そうでなければならない。
リソースそのものは旅団長の手腕により掌握済みである為、その辺りの要望には応えられるとの事で取り分け必要であれば相談せ
よという事に関しては人造魔女もまた了解した。
――
「どういたしまして、わたしもできることなら(やるお)にきょうりょくするからえんりょなくそうだんしてね。」
例えば、訓練とか訓練とか訓練とか…
結局のところ精神論以前に取り合えず動く方が性にあっているのかもしれない。
「…かわいい?―くまとかねことかいぬとか…」
(身辺警護用の人形兵)に関して“飛び切り可愛いの”云々のマズルカとやる夫のやり取りを聞いて、可愛いのニュアンスの違いか
らかデフォルメされた動物のぬいぐるみめいたものをある意味純真な人造魔女は頭に思い浮かべている。
>マズルカ、峰津院 大和、入速出 やる夫、会議室ALL
82
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/05/17(火) 19:37:23
マズルカ
「ダニィ?ふうむそうかそういうしきたりであれば仕方ない。いや私も流石に弾を抜いた飾りの銃を持っていく戦場に出る気はない。
しっかりと弾を装填した短機関銃を持つとしよう。どの道この後小銃取り扱い技能を習得せねばならないのだしね」
君島の指摘に大げさに驚いて見せると同時にこれまたあっさりと短機関銃の携行を承諾したマズルカ。どうやらそこまでスタイルに拘ったり銃火器の携行で行動に支障が出る様な事は無いらしい。
無論それ以外にも君島が指摘した海軍士官"らしい"装いをしなければボス(大和)の無駄な仕事を増やす事になると言うのを考慮したのもある。流石にそこまで迷惑をかける気はこの奔放な魔女にもない。
マズルカ
「私の死装束になるかもしれない物だガッツリと図ってしっかり作ってくれたまえ!そして心配は無用だ東三条クン!私マズルカさんは自らのスタイルの良さを自覚しそれに自信を持っている。
何だったら写真付きプロフィールと一緒に廊下にでも貼っておいて貰って構わないよ。あっでも流石にヌードとかは困るなアッハッハッハ」
君島のデリカシーに抵触しそうな発言も東三条によるダメ出しを含めた一連の流れも、この妙なテンションの魔女は全く動じる事無くこれまた笑い飛ばしてしまった。
流石に本気でプロフィールを公表しろと言う訳では無いだろうが、とりあえずこの会議室に居る人間は皆ああこの魔女にそこまでデリケートな対応は必要ないなと確信させるだけの言動ではあった。
しかしそうした調子で当たり前の様に自身のウォードレスを"死装束"と例える辺りにただの陽気(馬鹿とも言う)な女では無いと察する者も居るかもしれない。
マズルカ
「<<ああ問題無い様でなによ…ん?ああそうか君(空木彩虹)がそういうなら気にしないことにしよう。やれやれ一瞬私の脳にゴーストでも焼き付いたかと思ったよ>>」
空木彩虹との同調中に一瞬過った謎のイメージ。ナイフ(短剣)とトランプを持った髑髏の道化師。とは言え空木彩虹自身が気にするなと言った為マズルカ自身はそれ以上
詮索せず言う通り気にしないことにした。自分も魔女等と言う胡散臭い事をやっていればこうした不可思議な現象に出くわす事等珍しくも無いしそうした事象の最良の対処法は
"無視する"事に限る。空木彩虹・妖路歴程・マズルカ間の同調を調律させて手早く終いにした。
マズルカ
「まぁ空木クン程の航空魔女とはいかないがキミについていけない様では話にならないからね。後この随伴人形兵だが指先ほどの同調でリンクが確立されたから人形兵への命令もある程度行える。
勿論基本的には私が魔女ノ旅団として動かすつもりではあるが必要に応じて命令を出してくれ。空の戦闘は地上以上に速いからね」
どうやらマズルカは負担でなければ空木彩虹にウィングリーダーをやって欲しい様だ。そもそもこの随伴人形兵は空木彩虹のサポートの為であり
空木彩虹自身が指揮をした方が部隊として効率的に動けると判断したのだろう。ついでにマズルカ自身空での戦闘は付け焼刃程度の知識しか無いとも付け加えた。
マズルカ
「信じられないだろうがねやる夫クン。私だって戦うのは怖いさ。相手は世の理が通じぬ化け物臆するなという方がどうかしているというものだ。
だからといって恐怖に飲まれ泣き喚いた所で状況は変わらないしアレだ。泣いているだけなんて何かこう…そんな奴等(幻獣)を利するだけで悔しいじゃぁないか。
なので私はこうして笑っている!うむカラ元気とかハッタリとかそういうのだな!多分皆そんなものだ。え?私だけ?うーむそうか…」
やる夫に対してマズルカは自分も怖いときっぱり言い放つ。そしてそれは戦いに赴く人間だれしもがそうだとも。しかしそこで自分が泣き喚かないのは
なんか敵に塩を送る様で悔しいというある種マズルカらしい言い分ではあったが、強がりながらも勇気を持って言葉を放ったやる夫に対して
強がっているのは皆同じだとも言いたいのだろう。
マズルカ
「とは言え君には私の様な胡散臭い魔女以外にボス(大和)を筆頭とした頼れる仲間が沢山いるからそう心配する事も無い。
ウェヒヒヒ!お勧めは従順かつ清楚で一途なゴスロリ西洋人形メリィちゃんと天真爛漫でお兄ちゃんと遊ぶのが大好きな妹系日本人形かくやちゃんですぜ旦那」
ただし最後の「貸し出すボディーガード候補の人形」については何というかまるで小さな子供がいたずらをしたくてたまらないと言った非常に信用出来ない表情と口調であった。
>>会議室ALL
83
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/06/10(金) 21:52:49
ざわ…ざわ…
峰津院大和に齎された共生派に関しての話に周囲がざわつく中
やる夫も鼻と顎が某賭博漫画作品同様に尖ってしまう。
やる夫はこの音が今この場から聞こえたことで何かが起こる前兆だと分かった。
理由はわからない、しかしこれは直感でどうしてかわかったこれは嘘じゃない。
ネットスラングとして身に染みるレベルだからこそよーく知っているのかもしれない。
「…分かったお。そこまで言い切るならそれを全力で信じるお、峰津院がやれるだけやってそこまでやったなら。全力で出来る事をするお」
どこまで出来るかはわからないけど、と付け加えたが峰津院大和に今出せる答えを同じように出した。
「だおね、助かるお。やる夫みたいな素人より知ってるだろうし…」
協力してくれる、という空木彩虹に素直にお礼を言う。
ラノベ漫画ゲームでも明らかに華奢な見た目で男より戦闘力が高いなんぞ珍しくないところで
見た目の判断なんぞ役に立たないこの非現実な状況でそれは空気からなんとなく分かっていた。
じゃなければそもそもこんな場所には居ない。だからそんな人達から学ばなければ自身から先に死ぬのは目に見えて明らかだった。
生きる努力をしなければという強迫観念に駈られていた。
「マズルカちゃんも怖いか…意外だお。この手のは手慣れてるかと思ってたけど」
世の理が通じぬ化け物臆するなという方がどうかしている、マズルカの言葉はもっともだ。
人は得体の知れない物を恐れる。その手のプロも恐れる物は恐れるだろうし一般人は猶更。
マズルカも人の子、というのを知れた安心した自分が居た。
「今はまだそこまで割れ切れねぇお…でも心構えだけでも変わればきっと」
例え怖くても虚勢を張る事が幻獣にとってどのような意味を持つのかは今のやる夫に推し量ることは出来ない。
しかしその考えは前向きだ、それは見習うべきなのだろう。それをマズルカは怖くても教えてくれた彼女に親近感が湧いた。
「やる夫も余り知った事は言えないけど、それで良いんじゃないかなと思うお。そんな奴が一人くらいは居ても良いし。
上手く言えないけど、マズルカちゃんの在り方が勇気づけられたり誰かの助けになると思うからやる夫みたいに」
自分でもなぜこんな言葉が出たかは分からないが自然とそんな風に思えた。
マズルカの言葉を聞いていて体の震え自体は少し止まっていた、ほんの少しだが恐れ自体も薄まったのかもしれない。
「実際ある意味凄いドリームチームだと思うお…やる夫以外は」
何かしらその手のプロが居る―その筆頭が峰津院大和なのだから基準がおかしいがおそらく皆も得意分野がある。
今のやる夫にはそれが自覚できていないもののマズルカや空木彩虹そして橋川清太郎も。
作戦内容を聞いている限りそれは間違いなく彼らが居てもどうにもできないならそれこそ本当の終わりだろう。
だからこそ自分の場違い感半端なさを感じることも。
「それ言い出すならやる夫は皆と違って得意分野ないし…胡散臭い魔女以前だお」
そして空木彩虹がかわいいやつという言葉に対して身辺警護用の人形兵は動物を連想しているようで
対してマズルカ明らかに胡散臭いどころではない感じがする2体の人形の名を面白半分か紹介してくる。
「ええー?ほんとにござるかぁ?」
純粋な空木の手前で完全な悪乗りでそんな煽り台詞を悪ふざけ全開で言ってのけた。
>峰津院 大和、空木彩虹、マズルカ、会議室all
84
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/06/12(日) 14:06:31
【自衛軍横浜基地/第二会議室/峰津院 大和、東三条 孝則、君島 邦彦】
ヤマト「なるほどな、それは看過できんな。少なくとも同じ地域に二発も撃ち込むような真似をすればその地域の神族を敵に回しかねないな。どの程度の悪影響かは分からないが、とにかく一度と定めておいた方がよさそうだな」
あの規模の破壊力の悪影響がどの程度かは具体的には分からない、だが決して小さいものではないことは理解できるつもりだ。もしかすれば霊的な環境の再利用を封じるような意図も含まれているのかもしれない。
仮に使用するとしたらその地域の神族には退避してもらった方がいいのかもしれない、ブータニアスやハードボイルドペンギン辺りにも気を付けるように言い含めなければならないだろう。
だがあの破壊力は一度きりの切り札と考えれば旨味はある。場合によっては硬直した戦局を覆す手段となりうる。リスクのみを恐れて敬遠するのは愚の骨頂だ、特に今のような場合においては。
君島「いやー、悪いね姐さん。海軍だけなら周知を徹底しやすいんだが、陸軍となるとウチを敵視する連中が多いんだわ。一応陸軍にもこちらの理解者は居るにはいるんだが、やっぱり数は多いとは言いづらいね」
キーボードをブラインドタッチで叩きつつ器用に詫びて見せた。実際に使う機会が無くても痛くない腹を探られる機会は少ない方がいいに決まっている。
意外と言えば意外かもしれないが、会津閥が幅を利かせている陸軍にもダイイチを始めとした芝村閥の理解者は居るのだ。それはどちらかと言えば若い士官や佐官が多い、派閥争いよりも日本という国の未来を憂う良識派たちだ。
会津閥はここのところ致命的と言えるほどの失態を重ねているのでそれを見限ったとも言えるかもしれない。いくら派閥争いで勝とうとも国が滅んでは意味がないと考えられる今時貴重な人間たちだ。自分の尻に火がついてようやく状況を理解するような人間たちではないことは確かだ。
などと真面目なことを考えていた君島と東三条、次のマズルカのセリフに君島は思わず吹き出し、東三条は咳き込む羽目になった。
君島「いやいやいや、そりゃしっかり図るけども!しっかり作るというか調整するけども!もうちょい慎み的なものを持って姐さん!そんなことしたらウチの旅団の情報管理能力が疑われるわ!本人の希望だとなお悪いって!」
東三条「ハハハ、今回は君島くんの言う通りですよマズルカ女史。そんなことしたら第一旅団の風紀を問われかねませんし、なにより第一旅団の女性隊員たちから総出でクレームが来ますとも、データは厳重に管理させていただきますよ」
君島はオーバーなリアクションで、東三条は内心少し引きつつも丁寧に「それはいけない」と念押しした。まあ十中八九場を和ませる冗談だと二人とも考えているわけだが……むしろ冗談だと信じたいところである。ヌードとかまかり間違えて実現した暁にはヤマトが苦労して立ち上げた海軍第一特務旅団が音を立てて瓦解する。
とりあえずマズルカに関しては女性特有のデリケートな対応に注意を割かなくてもよくなったであろうことは、この場の全員が理解したことだろう。その点だけみればマズルカは目的を達成したと言っていいだろう。
九頭文治に至ってはまるで無反応で、タバコを取り出そうとした動作を君島に見咎められ「ここは禁煙だぜ、旦那」と小言を頂いて舌打ちしつつ椅子に深く座り込んだ。
ヤマト「ああ、お前はそれでいい入速出。いきなり信頼しろというのは難しいだろうが、信用くらいはしても大丈夫だ。それにお前はお前が思っているよりも弱くない、自信がなければ訓練を通して付けろ。それが今後の課題だな」
この自信の無さと少しの卑屈さはまるで初めて出会った時の志島大地のようだな、とヤマトはボンヤリ思う。最初は”彼”の腰巾着程度の認識しかなかったが、あの七日間で彼は凄まじい成長を遂げた。
そうでなければ生き延びられなかったとはいえ、志島大地は割れた仲間たちのなかで一つの勢力を作って見せた。無論志島と入速出は違う人間だ、まったく同じことを要求はしないが、”可能性はある”とヤマトは信じている。
実際にやる夫は現時点でその辺のベテランの学兵を凌駕する実力がある。これも”付与された可能性”の賜物と言えばそれまでかもしれないが、今のやる夫は50点取れれば御の字のテストを70点取って劣等感を感じているような状態かもしれない。周りが平然と90点を超えればそうもなるだろう。
そう考えれば今は”援護の達人”とか”黄色い先生”と呼ばれている滝川陽平にも近いかもしれないな。
ヤマト「さて、私が知りたいことは粗方片付いた、もう少しコミュニケーションをとることは悪くないが、今は時間が押していてな。新たに着た君たちのためにも基地を案内しようと思うが、いいかね?」
摂り急いで知るべきことは知った。あとは個人間でのやり取りで充分だと判断したヤマトはデータを保存すると席を立ってそういった。既に日は傾いている。もうじき夕焼け空が拝めることだろう。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、会議室ALL
【次のレスで横浜基地の案内ロルを回そうと思います】
85
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/06/22(水) 06:34:50
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室)/空木彩虹(アルファ06)】
追い詰められて形振り構わない人類の断末魔の一抹の様な代物、即ちこれ(XL82ピチカート)、最悪共倒れすら許容した狂気染みた産物
――彼女の装備してきた(ストライカーユニット)に備えられたモノ、その原型の艦船に搭載して使用する代物に関しては敵に与える打撃
よりも後々の損害の方が高価く付く様な文字通りの諸刃の剣だった。
(何もない大陸)、ただ廃墟と寒々とした空虚な荒野だけが広がる終末の永遠に明けぬ闇夜の風景――そしてそんな場所でも閃き飛び交う
曳光弾と止む事無き砲爆撃と小火器の閃光そして無数の鬼火、爆発的な魔力の奔流。
彼女が生み出されて何度も何度も真っ暗な戦場の空から鮮明に見てきた光景。
そういう代物であると認識して貰った上で、彼女(空木)は己の上官(ヤマト)に対してどうか彼自身が後悔しない使い方をして欲しいと
心から願う。
しかしいざ(使用命令)が下れば、その時点で良心の呵責や疑念を感じていたとしても――彼女は一切の躊躇無く確実に命に代えてでも
やり遂げるだろう。
――
―
「“こうくうせんはみずもの”ってよくいわれてた。りょうかい、くうちゅうでのしきはわたしがする。でもひつようになったらすぐ
まずるかさんのほうででしきをしてもらってもだいじょうぶ、きほんはほとんどひとりでとんでいたから」
マズルカからの提案と空中での随伴人形兵の指揮権に関しての話に関して人造魔女は唯々諾々と了解する――先ほど(同調)して動作確
認をした際に視えた(何か)に関しては気にしないでと言った本人の言の通りそれ以上は口にしなかった。…別段それほど問題の無い事
なのかも知れないし―余り触れるのは宜しくないモノなのかもしれない。
しかし危機感の類は無いので何かしらの危険のあるモノと言う訳でも無い様だ。
「わたしはそらがせんもんだったけど、ひとがへりつづけてからはしんだへいたいさんを(さいせい)してかずをそろえなおすまでは(ほへい)
としてもうんようされてた――うごきのはなし、こうげきのはなし、ぼうぎょ・かいひうんどうのはなし…あとはあまりかんがえたくないけ
ど(げきつい)されたときのうごきかたのはなしなんかもできる。―でもいちばんたいせつなのは、きそくんれん。」
そう言って少女は柔和に微笑む。
協力すると言ったからには己が知る限りの質問には答えるつもりでいた。無論時間が許せば一緒に訓練もしようとも考えていた。それが目の
前の白い饅頭めいた姿をした戦友(やる夫)を一分一秒でも長く生き延びさせる努力足りえるのならばこの人造魔女は喜んで手助けに励むだろ
う。
――
―
「このきちのせつびあんない…りょうかい、ヤマトりょだんちょう。よろしくおねがいします。」
一通りの話が済んで、時間が押している事も確かである為、旅団長の言う様に基地内の案内を受ける事になった人造魔女は、窓越しに視えた
陽の暮れつつある空を何処か感慨深そうな視線で見遣りながら――移動に備えて席を立つ。
>マズルカ、峰津院 大和、入速出 やる夫、会議室ALL
86
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/06/23(木) 06:12:51
【自衛軍横浜基地/第二会議室/マズルカ】
「ああ戦は水物とはよく言ったものだ。その点は実戦経験者の空木クンなら良く分かっている事だろうし指揮に関しては高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応していこうじゃないか」
何となく最後の方は問題がありそうな発言だったがマズルカも改めて了承した様だ。またマズルカ自身先ほどのイメージは必要であれば空木から話すだろうとも考えていた。
「ホントにござるよーウェヒヒヒとまぁ冗談はさておきだ今はまず自分に出来る事をしようじゃないか。そして今出来るそしてやるべきことはボス(大和)の案内を受ける事だろう。
…おっと君(やる夫)はそういえば私達より到着が先だったかな?」
やる夫の悪ふざけに更に悪ノリする様にふざけた笑みと台詞で応対するが大和や空木等の話が纏まるとそのふざけた顔も瞬時に真面目な表情へと変わり、よっこらせと大仰に椅子から飛び降り
退出の準備を始めつつ「何やる夫クンは新人交流と会議室でのカンヅメで少しナーバスになっているだけさ。歩いて外の空気を吸えば少し変わると言うものだよ」とも付け加えた。
「んーそうかい?自分では結構いいアイディアだと思ったのだがなぁ広報グラビアアイドル。ま風紀紊乱で憲兵隊にしょっ引かれるなんて事があったら困るからここは忠告を素直に受けよう」
君島と東三条の釘差しを受けたマズルカはやれやれ仕方ないとでも言わんばかりのリアクションを取りつつ忠告はしっかりと受け止める事にした様だ。ふざけた言動は多い物の根本的な
部分は割と常識?を持ち合わせている様で銃の携帯もそうだが基本的に忠告や提言は素直に受け入れている。
「私も当然問題無い。と言うか私の可愛いお知りに根が張ってこのまま会議室の観葉植物にでもなるかと思っていたよ。ささボス(大和)基地の案内を頼むよ」
マズルカの方は問題無いで既に席を立ちんーと背伸びをして早々に退出準備を整えている。
87
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/07/02(土) 21:02:30
「そうするしかねぇならやるお。今は信じる事しか出来ないし、いろいろとやって考える余裕が出来たらその時考えるお」
峰津院の叱咤に対してやる夫も精一杯ながらもそんな答えを返す。
無自覚とはいえ伸び代の高い己にも未だ気づいてはいないが
どうしてか懐かしさと違和感を感じながらも只管がむしゃらにやるしかない。
今の自分はそうしなければ生き残れないから。
「でも闇深スギィ!!」
空木彩虹の話を聞く限り、兵隊の死体を再生して再利用していたという倫理もクソもないような発言が出て
思わず野獣先輩と同じような言い方になってしまう。
仕方ないネ敬虔な淫夢厨だからネ(だからそんなのいねぇつーの)。
この世界と同じかあるいはそれ以上か程度は分からないが
少なくても似てるような感じだから慣れているのか。
「基礎訓練かぁ…操縦訓練ならおかしい奴扱いされたんだけど」
そもそも乗ってる機体が違う以上適正などは違うのもあるとおもうが
少なくても本人的には直感で本来の性能はこんなものではないというのが分かっていたからこそ
自分のせいで斬がこうなったのなら早急に本来の姿に戻してやるのが責務と感じていた。
それを実現できるなら基礎訓練にも力を入れなくてはならない。
「そうだおね、今日はちょっと驚くことが多すぎたお…外の空気を吸うのもいいかもしれないおね」
マズルカの言うことに同意し自分も思っくそ発端になった共生派の件もしかりEarth Daybreakの作戦内容しかり。
いろいろなことがありすぎた。だからこそ頭の中の整理は必要だろう。
「やる夫は確かにマズルカちゃん達より先に来たお。だから基地内部はそれなりに知ってるお!
一通り案内は出来るけどやる夫も殆ど行ってる場所は一部だけだからなぁ…」
一日でも早く使いこなす為自分の部屋、外での操縦訓練、飯を食うのルーティーンなので最初に紹介された時以外殆ど行かない状態に近い。
お忙しい峰津院旅団長の代わりに自分が案内しますよキリッ、と言いたい所だがそれが出来るかは怪しい。
88
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/07/03(日) 20:00:45
【また今更ながら忘れていましたお許しを】
>峰津院 大和、空木彩虹、マズルカ、会議室all
89
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/07/10(日) 20:21:26
【自衛軍横浜基地/第二会議室→移動→食堂/峰津院 大和、東三条 孝則、君島 邦彦、九頭文治、竹内優斗】
君島「なんでそんなムズカシイ言葉知ってるのに、そこに突撃しちゃうのさ……まあいい、いやよくないケド。今書類のバックアップを取ってる。量が多いからあと1分程度だな」
マズルカのノリの良さと恥じらいをすっ飛ばしたところに軽く戦慄しながら君島はツッコミを入れる。書類の件についてはヤマトに言っているようで、念のために3重のバックアップを取っているところだ。
この1998年という時代は紙の書類が主流であり、電子データで書類仕事をしているのはヤマトや君島を含めても極少数だ。ヤマトは元々そういう仕事をこなしていたから順応は早かったが、君島の場合は『可能性の付与』に大きく助けられている。元々素質はあったのだが、『可能性の付与』の助けで僅か3日程度でPCの扱いをマスターした。
君島がバックアップ作業に勤しむ中、ヤマトはぬるくなったお茶を飲み干して席を立つ、ゆっくりと首を回すとパキッパキッと数回乾いた音が鳴った。長時間の作業によって首が凝っていたらしい。
ヤマト「入速出は元々一般市民であり、テレビゲームなどで先入観などがあるのだろう。必要とあらば私でも君島でも九頭でも訓練には付き合おう。だが、貴様の機体は貴様だけのものだ。明確な操縦イメージが湧いているのならば一度基礎に立ち返ってみるのも悪くなかろう、案外回り道に見えることが最短ルートであるということもあるだろうさ」
ヤマトなりにやる夫にアドバイスを送りつつも、周囲を見回す。今のところ異存のある者はいないようである。君島もバックアップ作業が終わったところだったのかノートPCを閉じて立ち上がった、九頭文治も席を立つとドアを開ける、竹内優斗は皆のお茶を片付けている最中だ。
ヤマト「では基地を案内する。といってもこの基地に世話になるのはほんの数日だ。せいぜい迷わない程度に覚えておけばいい。君島は他に急ぎの仕事があるならそちらに取り掛かれ、九頭は”いつもどおり”だ、竹内千翼長もついてこい」
君島「りょーかい、今日中に備品と物資の申請やっておきたいから俺は一旦別行動だ、あとはヤマトと大尉殿に任せるぜ。それじゃ皆さんまた後で〜」
君島は突発的に沸いた風渡りに対する対応以外にも仕事を抱えているらしく、ノートPCを左腕に持つと右手を振って皆とは違う道を歩き出した。
ヤマトは部屋を出て皆が付いてくるのを確認して歩き出す。九頭文治はその左後ろを付いて行く形で追従し、竹内優斗はその更に後ろを歩いている。最後尾に東三条大尉が付いてきている形だ。
今ヤマトが歩いている道は先ほど通った道を戻っている、最初にいたハンガーから順繰りで回るつもりらしい。
ヤマト「ここが君たちの機体や装備をおいている格納庫、ハンガーになる。ハンガーはここ以外にも分散しているが君たちが足を運ぶのは此処になる。他所の方に迷い込まないように気を付けてくれたまえ。一応後で基地の地図を各端末に送るので確認しておいてくれ、次は演習場だ」
カツカツ、と足音を立てながらヤマトは堂々と肩で風を切って歩く。ヤマトは良くも悪くも有名人であり、移動中には周囲の視線に晒されることになった。好意的な、好奇心交じりの視線が半分程度で残りは嘲りや嫉妬を含んだ負の感情を孕んだ視線だった。
だが表立ってヤマトの歩く道を阻むものは現れず、せいぜいが陰口を叩く程度で、それすらもヤマトと文治が視線を向ければ止む程度のものだった。
ヤマト「ここが第二演習場だ、明日の0900にマズルカ万翼長は此処に来るように、橋川万翼長は1330だ。主にここは海軍や学兵の使用する演習場となる。次に行く食堂を挟んだ反対側に第一演習場があるが、そこは陸軍の管轄だ、用事がなければ近づく必要もないだろう」
次に案内したのは第二演習場だ、主に海軍と学兵が訓練に使用する演習場である、演習場が分かれる程度には海軍と陸軍の間にある溝は深いということだろう。
次に案内するのは食堂だ。こちらは位置さえわかれば特に補足するようなことはないが、案内しないわけにもいかないので足を運ぶ。
ヤマト「ここが食堂だ、あそこにある券売機で食べたいものを選んで向こうのカウンターに食券を持っていけ、九州戦役では食堂とは士官用と下士官用に分かれるらしいが、ここではその区分はないし、そもそもその下らない区分(ムダ)自体が消える予定だ、君たちは堂々と食事をすればいい」
そういえば前に荒波大佐率いる荒波隊が九州で学兵である部下を士官用食堂で食事させて揉めた挙句殴り合いの喧嘩に発展したらしいという事件があったことを思い出した。勝者は荒波大佐(その時点では大尉)で、あまりにもくだらない動機の喧嘩だったためそれ自体が無かったことになったとか。
この面子には荒波大佐自体を紹介していないし、余計なことを言って必要なことが頭に入らなかったら本末転倒なのでこのことはヤマトの口をつく前に飲み干された。
ヤマト「ここが宿舎だ、ここから見て右の宿舎が男性用で、反対側が女性用となっている。基本的に異性の宿舎に立ち入ることは禁止だ、破れば営倉行きだ。もし用事があれば端末で連絡を取るように、次は――――」
そうして約30分ほど他の施設や立ち入ってはいけない場所を案内すると、最初辺りに案内した食堂に皆を連れてきた、まだ外は明るいが時間はもう1900を回っている。食堂にはちらほらと利用する兵士たちが見られる。
そして食券機に並んでいる兵士の中には君島の姿も見られた、君島も視線に気づいたのか、一旦食券機の列を離れて皆の元に駆け寄ってきた。
君島「よォ大将、案内の途中かい? 俺の方は事務の人に話し通したらトントン拍子に話が進んで思ったより早く終わった、んで今から晩飯だ。みんなは?」
ヤマト「丁度ひと段落したところだ、ちょうどいい時間だしここで晩飯を済ませておこうか。各自好きなものを頼め、一応補足するが食券は無料だ。空木彩虹万翼長には……マズルカ万翼長、頼めるか? 各自料理を注文したらあの辺りに集まって食べるとしよう、まだ利用者も疎らだし、今回くらいは大丈夫だろう」
一旦ここで晩飯にするらしく、数台ある券売機に皆が適当に並ぶ中、慣れていないであろう空木彩虹のことをマズルカに任せるとして思い思いに料理を注文させて一塊になって食べようとヤマトは提案した。
マズルカと空木彩虹には日本語が読めるかという問題もあるが、その辺りは『刷り込み』でなんとかカバーできるだろう。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、橋川清太郎、ALL
90
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/07/12(火) 07:23:02
【横浜基地/自衛軍横浜基地(第二会議室→移動→食堂)/空木彩虹(アルファ06)】
「うん、わたしもそういうかたちでだいじょうぶ。しきけいとうがすんだんされることもけっこうおおかったし」
何だか少々配になる様な魔女な彼女(マズルカ)の最後辺りの言葉に、本当に大丈夫なのかこくりと頷いて肯定する人工魔女。見えた件(くだん)の髑髏
なピエロの様なナニカに関しては今後必要になったら説明…もとい“紹介”しようと彼女自身は考えていた。
「だいじょうぶ、しんじゃうまえもしんじゃったあともみんなよくしてくれたいいひとたちだったし――」
若干引き気味に戦慄を覚えている様な様子の彼(やる夫)とは対照的に、人工魔女は笑顔で懐かしみながら答える。
(闇が深い)のは間違いないが、死亡した兵員の“再利用”そのものは彼女がかつて戦っていた常闇の世界では良く行われていた(処置)の一つ。それだ
け深刻な人員不足に悩まされていたとも言えるが魔術的・科学的に発達して規格化すらされていた(そういう技術)は実に人間性や情緒を置き去りした
合理性を発揮したらしい。
「やるおはやるおの“やりかた”のままでいい、ひとによって“やりかた”はそれぞれだから…きそたいりょくをつけるのはいいことだよ。」
付け加えられたヤマト旅団長の言葉に添える様に少女は悩める白饅頭(やる夫)にそう言いながら案内に従って後についていく、格納庫(ハンガー)、海軍
・学兵用の第二演習場と陸軍管轄の第一演習場、それから食堂。
―方々を案内されている感じる色々な感情の綯い交ぜになった視線に対して、人工魔女はさして気にする様子も無く受け流す。
良くも悪くもそういうモノに関して無頓着な部分がある――
「ここがしょくどう…ふぃーるどきっちん(野戦炊事車両)がおおかったからなんだかしんせん」
伝統的にその手の拘り自体は歴史が古い国や階級社会の影響が大きい国の軍隊では付き物の様なモノで独特の文化に似た物があるが、主力を担うべき
国軍(自衛軍)そのものの現役将兵が既に磨り減り、学兵が実質主力を担いつつある現状では規律以前に弊害以外の何物にもならない。
なお、彼女(空木)自身は元来食事はそれほど必要としない身(人工魔女)だが、勿論、普通に飲食する事も出来るし其処からエネルギーを摂取する事も可能
である(この機能の付与自体は彼女の製造・運用元のDWRCが、戦場で将兵に混じって戦う“彼女ら”の異物感を和らげる為に行った心理的な配慮とも言える)
温食が食べられるありがたみは何だかんだで経験済みだ。(MREやHDRの類の連食でも一切文句の類は言わなかった手合いであるが…)
その他宿舎(なお、何故男女の宿舎での出入りが御法度なのかいまいち分かっていない模様)や基地内の案内後に再び食堂に戻って来た一行は、先に用件を片
付けた彼(君島)と合流しつつ夕食を摂る事になった。
「――ちゅうもん、なにがいいんだろう。」
券売機購入機の前でやや深刻な悩み気味な顔をしている――最初の頃の無機質な雰囲気は段々鳴りを潜めつつある様だ。
>マズルカ、入速出やる夫、峰津院 大和、(橋川清太郎)、食堂ALL
91
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/07/12(火) 21:24:12
【自衛軍横浜基地/第二会議室→移動中→基地食堂/マズルカ】
マズルカ
「そもそも私は正規軍というものに属したのは今回が初めてだしなぁ。指揮に関してはむしろ空木クンの方が上手くやってくれるでしょうと期待しているよ」
しかし髑髏とは…随伴航空兵には黒字に白のスカルフェイスのペイントでもした方がいいのだろうか?いやそれともセーケイ方言のハンガリー語で喋らせた方がいいか
等と空木とは全く違うそして割とどうでもいい事について悩んでいる魔女であった。
マズルカ
「何改めて見て回れば記憶も新しくなって覚えるというものだ。何よりこういうのはイベントだよイベント!んなもん知ってるわという校舎の案内あえて受ける事によって好感度が高まると言うものだ」
基地の案内が出来るか否かで不安になるやる夫をマズルカはいつもの調子で笑い飛ばす。彼女に言わせればこうして改めて全員で基地を回るというのはお決まりイベントの一つという事らしい。
マズルカ
「そりゃあお釈迦様だって人生は艱難辛苦という位だ。悟りすら開けていない様な私達凡人は人生って奴を楽しむ努力をしなくちゃァいけない。と私は考えているのだよ君島クン。
っと何だい君島クンは残業かい?そいつは残念だそれじゃあお先ー。」
君島の当たり前の突込みに対してこれまた一種快楽主義的な返答を自信満々に返した上大和や他の風渡り達と共にまるで仕事終わりのOLかバイト明けの様な声をかけて会議室を出ていく。
そうして後ろをとことこと付いて行きハンガーへ到着した。当然ながらマズルカの乗機は無い。正確に言えばマズルカの乗っているドラケーターと呼ばれる歩行型スクーターの様な機械は
恐らくハンガーの隅で何故か足踏みしている状態で放置されているだろう。
マズルカ
「ふぉぉぉー!こういう景色はオトコノコが好きな奴だねぇ。後やる夫クンのマシンはMT(ManTank…マズルカ流人型戦車の略称らしい)と並ぶとやはり変わっているなぁ。
歩いている所が余り想像出来ないがMTと違ってもしや飛行可能なのかな?ボス(大和)のマシンは…これまた如何にもな格好良さじゃないか。色々とある物だ」
私も一機欲しいなぁ確か希望号一機100円だっけ?等と大和の案内を受けながら思いついた端次々と言葉に出して感想を述べる。軍服を着ていなければ民間人の広報担当アイドルか何かが
紛れ込んできたと一般兵達は考える事だろう。特にやる夫や大和の機体(斬やフリーダム)を物珍し気に見て感想を述べている。因みに自身のドラケーターが何故動いているか聞かれれば
「あれは永久機関で動いていてだれも止め方を知らない。というか止まると次に動くか分からないから動かしっぱなしにしている」との事。尚大きさ事態は本当にスクーター程度なので
邪魔であればハンガーではなく宿舎の自転車置き場にでも置いておくと付け加えた(機密的に問題のある駐車の仕方ではあるが)
マズルカ
「ガーッ!なんだーゴルァ!ケンカ売ってんならマズルカさんは買うぞクルァー!!」
しかし一部の一般兵からの嘲笑や侮蔑を大和や空木彩虹等が大人な対応をしているのに対して、マズルカは文字通り「怒っている」という状態で怒りをあらわにした。
それまでの笑みは消え失せ顔を真っ赤にして大きく開いた口からは(それなりな)侮蔑に対する怒りが言葉となって飛び出し、恐らく頭からは湯気が出てるだろう。
それを周囲が恐怖と捉えるかそれとも小型犬の遠吠え程度に感じるかはそれぞれだが、とりあえず怒っている事は周囲の全員が分る。
「喰ってやるー!喰ってやるー!」と中国清朝時代辺りに居そうな物の怪の如き咆哮をあげながら、相手にとびかかろうとしているが制止されればアッサリと引き下がる。
マズルカ
「演習場…訓練は大事とは言え明日9時起きかー私はどちらかと言えば夜型魔女だから朝はあまり活動したくないのだが仕方ない。人形兵を用意して忘れない様にしよう」
先ほどまでの怒りはどこへやら。大和から訓練を言い渡されるとぐへぇと嫌そうな顔をする。別に訓練が嫌と言う訳では無くどうも自称夜型人間(魔女)らしい。
そもそも九時に訓練開始なのだから九時に起床しては間に合わないのだが、恐らくこの辺りはマズルカの好むツッコミ待ちの冗談なのだろう。
本人自身会議室で述べた通り可能性の付与による技能習得というこの世界の特異性に関してむしろ魔女として研究意欲をくすぐられ前向きでいる。
マズルカ
「うーむ私は真面に軍人やったことは無いが士官と下士官…というか兵は明確に区別をつけるべきと思うのだが…まにわか魔女の私でなく専門家のボス(大和)が言うならそれに従おう」
食堂の案内は素直に聞いていたのだがぼそりとこぼした発言はマズルカにしてはやや珍しい物…かもしれない。とは言えあくまでここ(ダイイチ)の流儀に従うという点に変わりはない。
その後すぐ宿舎の案内になった際やる夫に対して「テレパスセル作って互いの宿舎にこっそり忍び込もう!」という注意した本人の目の前で禁を破る事を提案している奔放っぷりだった。
なんやかんやと話は進み、食堂で君島と合流し皆で食事をとる事になり、さり気なく大和に空木のフォロー進められると任せたまえと自身のたわわな胸を叩く。
マズルカ
「ふふふ空木クンここはこのマズルカさんに任せたまえ!」
そして真剣な表情をして券売機の前で悩む空木の肩をポンと叩き、何故か券売機をスルーしてツカツカと進み食事が提供される調理場の前まで進むと非常に良く通る声で一言。
マズルカ
「水と親父のギャグ二人前で!」
空木、やる夫、君島、大和、(橋川)、他食堂ALL
92
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/07/24(日) 21:20:43
【自衛軍横浜基地/第二会議室→移動→食堂/入速出やる夫】
「いや君島さんや九頭ニキならまだしも峰津院にさすがに忙しい合間をぬって付き合ってもらうのはなぁ…」
別に君島や九頭に迷惑を掛けても良いという意味合いで申している訳ではない。
幾らやる夫が空気が読めないとはいえ峰津院大和は忙しいのは分かってる。
それがどれ程かは想像も付かないがさすがに申し訳ないという気持ちが沸き上がるが
「とりあえず手を煩わせないようには頑張るお、ありがとうだお」
ただ其処は純粋に峰津院大和に対しお礼を言う。
「(考えられねぇお、死んだ後もまた蘇ってまた戦わされて…やる夫だったら耐えられるのかお?)」
やる夫にはとてもではないが考えられないいやそんな世界に生まれたいとは思わないのが率直な感想だった。
そんな状態になってもいい人でいられるなんて到底想像もつかない精神性いや弄られてるのかもかもしれないが
だがその世界は少なくても自分達のいた世界にそこまでしないとならない瀬戸際ならば致し方なかったのか。
現代社会から来たやる夫からすればどう言葉にすればいいのかはわからなかったが、少なくてもそれ以上突っ込むのは止めた。
「そ、そうだおね確かにマズルカちゃんの言う通りだお」
彼女の言う事はやる夫自身も分かると言えば分かる理屈ではある。ゲームの中ではだが。
今居る世界がゲームの世界と言えばそうなのだが
「じゃあ付いていくかお!!」
基地の内部を紹介の為回るのに付いていく事を決めた後。
全員が回り始める前に
「基礎に振り替える…やり方はそのままでいい、かお」
峰津院大和と空木彩虹の言葉を反芻する。
案外回り道に見えることが最短ルートかもしれない
「時間が許してくれねぇけどまだ恵まれてるから贅沢は言えねぇお」
せめて本格的な作戦開始までそれが出来るようになるまで応えられのが
協力してくれた彼ら彼女等への報いなのだろうと考えたやる夫はその後の最後尾に向かうのであった。
ハンガーに向かった際、マズルカはやる夫の乗る斬(ZAN)や峰津院のフリーダムを並ぶ人型戦車の中で
それぞれ思った感想を口にしている。
「ぉっおっ、オーバーマンは基本小さいんだお。小回りがかなり聞くからビルの隙間とか建物を利用したり
街中で普通に居ても問題はないサイズなのは利点だおね」
他の機体の中で間違いなく機体サイズは小さい部類に入るので大きい人型では入れない場所にも問題なく入れたりする。
その上で滅茶苦茶固く工作の類も大得意なこの武士達が立ち並ぶ中で正しく異質な忍者そのものだった。
それからも移動中は案の定
「マズルカちゃん、見ちゃ駄目よ!」
向けてくる負の感情を向けてくる一部兵士連中に対してマズルカを
ママーあれなにーと言っている子供に対して母親が言う言い草をやって止めた。
宿舎案内の際マズルカはまたもや注意された前でやらかしていたが
「いやいや女の子には興味が無いとは言わねぇお。でも今は…」
さすがに忍び込んで女子全員を敵に回す所業をこの場で言えるはずもなく冷や汗を掻いてたじたじになっていた。
と言ったことがありそうして基地施設を一通り案内を終えた後と食堂にやってきていた。
「わぁい、飯だお飯!!」
やる夫にとっては数少ない憩いの時間である食事に大喜びで飛びついて
券売機で迷わずラーメンを押して調理場まで行くと
「ラーメン、ヤサイマシマシニンニクマシマシアブラマシマシカラメマシマシで」
とクルクル踊りながら二郎でするようなコール(呪文)で注文する。
魔法使いらしい魔法使いが言えば本当に聞こえてしまうのではないかと思えてしまうが
そう入速出やる夫はラーメン二郎の常連―ジロリアンやる夫なのだ!!
そして出てくる豚の餌の様に積まれたラーメンが目の前に出てきた。
>峰津院 大和、空木彩虹、マズルカ、会議室all
93
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/08/06(土) 13:30:09
【自衛軍横浜基地/食堂/峰津院 大和、東三条 孝則、君島 邦彦、九頭文治、竹内優斗】
ヤマト「構わん、それも避けてはいけない類いの仕事の一つだ。一先ずは”可能性の付与”を信じて励むといい」
ヤマトからやる夫に言えるのはこの辺りが限界だ。いざとなれば九頭文治のスパルタコースに放り込む心算でいるが、今の調子で続ければじきにモノになるだろう。
ヤマト「フィールドキッチン……野戦炊事のことでいいのか、今後はその機会もあるかもしれないが、こちらにも慣れておけ。周囲からの視線は気にする必要はない」
空木彩虹の何気ない言葉にもヤマトは声を掛ける、今後はどちらかと言えば野戦炊事所や車両で食べることの方が多いかもしれない。
ヤマト「よせ、マズルカ万翼長。この程度のクズ共など相手にするだけ時間と酸素の無駄でしかない、噛みつく度胸もない凡俗共だ、本来なら視線を向ける価値すらない」
東三条「ハハハ……それと、起床のラッパが鳴るのは0600ですので、その時間に起床して頂くことになります、慣れないかもしれませんが規則ですのでどうかご容赦を」
ウガーッと威嚇するマズルカ、茶化すやる夫、そして必要以上の毒を吐くヤマトに苦笑しながら訂正する東三条という中々に酷い構図だ、特にヤマトに関しては相手に聞こえる音量で言っているのでたちが悪い。
それでもヤマトに異議申し立てに来ない所を見るとヤマトが言っていることが本当のように思えてしまうだろう、嫌がらせにカウンターを食らった挙句に憲兵の世話になりたくないというのもあるだろうが。
「ふむ……君の言うことに一理はあるだろうが、非効率だ。一々別の場所(スペース)を作って、メニューも変えて、更に人件費も余計にかさむとくる。兵士たちが一斉に食事できないと言われるかもしれないが、そこは時間を区切って分ければ済む話だ。
君たちにはイマイチピンと来ないかもしれないが、企業も軍隊も人材に掛かる費用はバカにならんのだよ。加えて下士官用の食堂は、士官用の食堂の料理と比べると味的な意味でマズい、それでは士気に関わる」
聞く者が聞けば違和感を覚えそうな理論だが、ヤマトのカリスマとあまりにも堂々とした言い様であたかもそれが真実であるというように語りかける。天才技能レベルMAXによる話術は伊達ではない。
マズルカはヤマトを専門家と言ったが、実際は軍人歴半月程度のものである。それでも旅団を維持・管理・統率出来ているのは本人の資質にあるところが大きい。
それでも『まるで以前にも同じことをしていたような手際の良さ』に自分でも違和感を覚えることがある。実際にジプスという組織を率いていたし、そのノウハウが生かせているということは確かなのだが。
しかし、適当な面が目立つように見えたマズルカだが、思った以上に自分自身の考えを持っているようで、そこは好感を得る。が、次の行動をみてヤマトは額に手を当てることになる。
ヤマト「………………」
君島「ハッハッハ、すんませんおばちゃん、海軍カレー3人前で!」
東三条「ところでそのメニューは前に滝川千翼長から聞いた定食屋の0円メニューらしいですが、マズルカ万翼長は一体どこでそれを聞いたんでしょうか……」
ヤマトが思わず頭を抱えそうになっているところを見て君島は笑いながらもカレーの食券を3枚(君島の分含む)差し出してフォローしていく、東三条のツッコミに気付く人間はどの程度いるのだろうか。
極めつけに、食堂で働いているのは困惑しながらヤマトとマズルカを交互に見渡すおばちゃん達であり、水はともかくオヤジギャグは望むべくもない。
やる夫はやる夫で明らかに健康に悪そうなラーメンを頼んでおり、生き生きとした(ように見える)顔でテーブルに持って行った。よもやそればかり食べた挙句のその体系なのでは? とヤマトは疑っていた。
その後文治は普通の醤油ラーメンを、東三条は生姜焼き定食を、竹内優斗はハンバーグ定食を、ヤマトは僅かに悩んでコロッケ定食を注文して各々席に着く。その頃にはヤマトの表情筋も再起動を果たしており、普段の調子を取り戻していた。
ヤマト「それでは各々席につけ、ついでに入速出、そのメニューは当分止めておけ、朝か昼にでも食べた暁には吐くことになるぞ」
一応やる夫には釘を刺しておいて、全員分のメニューがテーブルに上がったことで夕食を始めることになった。
ヤマト「さて、先程質疑応答の時間を取ったばかりだが、話しておきたいことや聞きたいことがあれば遠慮なく聞き給え。まあ無くても雑談程度なら構わないが、騒がない程度に頼む」
そういってヤマトは手を合わせて「いただきます」と挨拶をしたのちにコロッケ定食を食べ始めた。先ほどの質疑応答は軍事機密になる部分が大半だったが、今は雑談を通して各自好きなことを喋らせればいい、という気遣いだった。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、(橋川清太郎)、ALL
94
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/08/16(火) 16:58:30
【横浜基地/自衛軍横浜基地(食堂)/空木彩虹(アルファ06)】
「まずるかさん?」
“ここはこのマズルカさんに任せたまえ!”と自信満々というより最早確信犯的な動きで券売機を通り過ぎてから
高らかに放った一言。
「みずと…おやじのぎゃぐ?」
というメニューがあるのかと勘違いしつつ周囲の面々の何とも言えない反応に?マークを頭に浮かべていたが…
迷っている彼女(空木)へマズルカに続き更に一つ手本でも見せる様に白饅頭ことやる夫が魔術的詠唱な感じの注文
を流れる様に一つ、出て来たラーメンはこれでもかと言わんばかりに具材が乗っかっており、思わず(おいしそう)
と人造魔女も呟きを漏らすが――やや表情が固まったヤマト旅団長が忠告する様に教練やトレーニングの内容如何
では地獄を見そうではある(主に逆流とか胃袋的な意味で)
当の本人(やる夫)はまさしく至福の時と言った感じの活き活きとした表情をしているが…
「あ…きみしませんよくちょう、ありがとうございます。」
流石に見兼ねたらしい君島千翼長がフォローする様に海軍カレーの食券を渡してくれて取り敢えずどうにか注文は出
来た――食事のカレーのトレイを受け取って旅団長の指示に従って席に着き、全員のメニューが出揃ってから夕食が
始まる。
「ん、おいしい」
と早速海軍カレーにパクつき始める人造魔女、食事が始まり一先ず先程の会議室ほどの堅苦しさは抜きで雑談をして
構わないというヤマト旅団長の言もあるので――
「やるお(やる夫)、そのりょうり(二郎風ラーメン)――どうやってたべるの?」
と早速興味があった事を訊ね出す。
――(兵器)としての機械的な面が強く感じられる彼女(空木)だったが、少なくとも此処へ(呼ばれる)以前、己が世界
の戦いの中で少なからず色々な人々との交流があった為、割かし雑談や談笑の類は出来るレベルではある。
無論、(個)としての方向性を示す道しるべをより明確に示されたのは―この(ダイイチ)に所属してからであるが。
>マズルカ、入速出やる夫、峰津院 大和、(橋川清太郎)、食堂ALL
95
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/08/16(火) 20:00:07
【自衛軍横浜基地/第二会議室→移動中→基地食堂/マズルカ】
マズルカ
「ほうほうこの機体はオーバーマンというのだね。確かにこう生物的なフォルムで小回りが利きそうだMTなんかとは別ベクトルで頼もしさがあるねぇ」
格納庫でやる夫のオーバーマン斬(ZAN)について短い会話を交わし通路を歩ていくと件の連中(一般兵)とのトラブルが発生した。
やる夫はまるで子供を宥めるかの様にマズルカを抑え、ヤマトはある種ヤマトらしいキツい発言をしてマズルカを制止する。そうすると激高?状態だったマズルカであったが
すっと熱が引く様に冷静になり「ケッ貴様等命拾いしたな!」等と捨て台詞を吐いた後、他のメンバーについていく。怒っているのに間違いは無いのだがあまり怖さを感じないのは普段の素行のせいだろうか。
マズルカ
「くっ起床ラッパは朝6時かぁ〜マズルカさんの今までの魔女兼放浪生活を考えるとキツい物があるというのが素直な感想だ。とは言え個人的に興味もあるし頑張らせて頂くとしようじゃないか」
訓練場における東三条の補足を聞いて顔を一寸しかめたものの、いやいや之は良い機会だとブンブン顔を振って思い直す。その後食堂に到着した際ヤマトの食堂運営事情に対して珍しく異を唱えた
マズルカであったが「ボス(ヤマト)はとことん合理的なのだね。軍人に向いていそうで向いてない感じがするがまぁ問題無くやれてるみたいだしいいか」と述べるに留まった。
ヤマトとダイイチの流儀や指示には基本的に従うと言う点において嘘偽りはない。ただしマズルカは内心うまくやっているのは確かだろうが内部の敵も想像している以上に多いのだろうなとも考えた。
やる夫に対しては半ば冗談でボディーガードの提案を行ったが、明日から自分の身の回りの世話係兼ねた護衛役を一体常に随伴させておくとしよう…と密かに決めるマズルカ。
マズルカ
「な.なんと!この世界ではこの注文をした後次は何か頼んでねと言われて漸く本命の注文をするのが礼儀と聞いていたのに!なんてこった!あ.後君島クンありがとう」
本当に一体どこから知ったのか知らないがマズルカ自身もこのギャグが通じない事に勝手に落胆している。そしてフォローしてくれた君島に対しては空木同様感謝を述べた。
そしてカレーを受け取って席に付き「いただきまーす」と大きな声でハッキリと言った後食事を始める。やる夫に対しては「それじゃ運動は厳しいんじゃないか?今度機会があれば
このマズルカさんが消化の良い手料理を振る舞ってあげようじゃないか。シーチとカーシャは日々の糧ってね」等と冗談交じりのリアクションをする。
マズルカ
「特にもう話すべきことはないんじゃないかな?特に私を含めた一部の風渡りは今日異世界来訪したばかりだ。むしろ明日に備えて早めに休むべきだと思うがね」
ヤマトが聞きたい事はないかと問いまた騒がない雑談程度ならしてもよいと言うが、マズルカは以外にも真面目な発言をした。早く食べて今日は切り上げて休むべきだというのだ。
こういう辺りも"実戦経験者"としての経験が普段のおちゃらけた行動とは別に反映されているのだろう。
>> 空木、やる夫、君島、大和、(橋川)、他食堂ALL
96
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/08/19(金) 21:10:00
【自衛軍横浜基地/食堂/入速出やる夫】
食堂で頼んだ豚の餌みたいに積まれたラーメンに対して大喜びで持ち去り
席に着いた後食べる為、いただきますと言い割り箸を真っ二つにする前に峰津院大和から釘を刺されるが
「えー、これでも加減してる方だお?」
なんと衝撃発言をかますやる夫。
「煮卵とチャーシューWも入れてないし、チョモランマにしたらもっとだお?」
完全に専門用語が入っているが、チャーシューWは8枚でしかも一枚でも大きく、チョモランマとは限界盛りと呼ばれる最大量に当たる。
あとチャーシューや煮卵は券を買わないと付いてこないので量的にはこのラーメンには具材は麺とスープそしてニンニク・野菜のみ。
ただマシマシはその下の量でもあるがかなりの量があるのは違いない。
「一日の終わりをサラリーマンがビールで終えるようなもんで身体を凄く使うと腹が減るんだお…
だから二郎系ラーメンで締めるんだお!」
それは理由の一つでもありやる夫にとってはだが幻獣と死ぬのが怖いが生きている限りは腹が減る。
好きな物を食っている間は特に余計な事を考えずに少なくても居られる。
寝ている時と飯を食っている時だけはそうしていた。
最もこれがある意味適応したとも取れるし彼の異常性の表れでもあるが
「マズルカちゃんみたいな美少女に手料理振舞われるなら、しばらく豚玉(小)に変えてみるかお?ハハハハ」
尚豚玉ラーメン小でも普通のラーメンかそれよりも多いのであるが実際見るまでは恐らくは分からない。
やる夫はやる夫で量を減らそうとしているが果たして…?
「おっおっ、二郎系に興味を持つとは!!いいでしょう!食べ方を教えてあげよう!!」
空木彩虹は豚の餌の様に積まれたラーメンについて突いてくる。
この行動に未来のジロリアン(ラーメン二郎の常連)になる可能性を感じ取ったやる夫は
初心者向けに語り始めた。
「まずは野菜から食べてから麺をひっくり返して食べる―天地返しをするんだお!」
とても熱心に攻略法を語りながら実演でその通りに食していく
「その後に大事なのは味を変える事!これが二郎へ行く初心者制覇の鍵だお!」
尚量についてだが、初心者が行く場合は小サイズのラーメンでも量が多いので麺は少なめの方が良い事を伝える。
二郎系ラーメンの沼へと着実に引きずり込み一人ずつ増やしていく―それがやる夫のこの世界での野望。
「話したい事話したい事かお。とりあえず異世界の人ってやる夫達みたいにいろんな料理知ってとも限らないし
さすがに毎日海軍カレーは飽きるお?この世界の食べ物について教えたりした方がいいんじゃねぇかお?」
異世界組が食べる際に頼む物について絵付で教えておいた方が良いのではないか、と個人的な意見を伝える。
知らないで頼むのと知っていて悩むには違いがあるはず、たぶん。
>峰津院 大和、空木彩虹、マズルカ、会議室all
97
:
ライブラ
◆xiCUMklbPU
:2022/09/11(日) 20:21:02
【自衛軍横浜基地/食堂/峰津院 大和、東三条 孝則、君島 邦彦、九頭文治、竹内優斗】
君島「あー、なんっつーかなぁ……水はともかくオヤジギャグの説明が難しい。つか、よそ(外国)からきたはずのマズルカねーちゃんがなんでオヤジギャグを知ってるのさ」
コミュ力が結構高めの君島にすら説明が難しい概念、オヤジギャグ。言語選びのセンスと言えばいいのか、文化的な何かと言えばいいのか。そもそもなんでマズルカがそれを知っているのか。どのみち説明は困難である。
竹内優斗は苦笑いしつつ丸投げ、ヤマトと九頭文治に至っては知らん顔である。生きていく上で必要なものではないからどうでもいいと言ってしまえばそれまでであるのだが。
君島「分かる、午前6時起きとか言われてもフツー困るよなぁ、でもなんでか知らんが”まるで慣れているような感じ”で起床出来るんだなコレが。もしかしたらこれもOversとやらのおかげかもな」
マズルカが顔を顰めた理由は君島も十分理解できる、のだが、なぜか徹夜や夜更かしでもしない限り”何故か”既定の時間に起床できてしまうというのもある種の”刷り込み”のなせる業か。流石に睡眠時間が足りなければ起床は辛いものになるが。
次いでマズルカが言ったことはおおむね間違っていない。ヤマトは組織運営で合理性を追求する性質であり、昔は下の戦闘員の心情を意図して考慮しないところがあった。今では大分改善されているのだが大本は変わらない。
だがそんなヤマトが軍人として政治に関わっているのは、ひとえに度重なる敗北で”軍人(指揮官)の絶対数が足りない”という理由がある。そして2大軍閥の一つである芝村閥に最も気性が近いのでスカウトされて軍人として政治に関わっている。芝村とは血族に非ず、優秀な血を芝村に迎え入れるのだ。
絶体絶命の危機に彗星の如く現れた期待の新星、と呼ぶにはあまりにも強い輝きを放つ人物の出現は周囲を大いに沸かせた。その出自は謎に包まれている……ということになっているが、対外的な出自(のフェイク)は既に準備している。それはいずれ語られることになるだろう。
ヤマト「私としても一軍人として前線で戦うのは吝かではないが、指揮官の頭数が圧倒的に足りんのだ。ゆえに君には期待しているよ、マズルカ万翼長?」
クククッ、と冗談であることを示すように不敵に笑うヤマト。マズルカは戦いの経験が有る上に”人とは違う力”がある。逆に言えばマズルカを頼りにせざる得ないのが現状である。そこはこれからの成長にこうご期待というところだ。
優斗「ええと、マズルカさんの言うことはよく分りませんが、少なくとも青森とか東北地方にそんな風習はないですね、ハハハ……」
ヤマトとマズルカのやり取りに目を瞬かせていた優斗だが、律義にマズルカの言葉にツッコミを入れていた。地方のローカルルールなら優斗が知らないのは仕方のないことだが、主に熊本のほんの一部でしか浸透していない風習である。
しかしそれを何故、どこで知ったのか聞こうとする人間はいなかった。わりとどうでもいいというのが実のところだ。
ヤマト「君の言うところは一理あるが、入速出の言う通り料理に対する説明をしていなかったな、だがどう説明したものか」
東三条「では僭越ながらこの私めが説明しましょう、まず陸・海軍問わず人気なのがお三方が食べている海軍カレーです、味の秘訣は企業秘密ですが、一部市販されているほどに人気のメニューですね。次は峰津院上級万翼長のコロッケ定食ですが――――」
食堂のメニューについて説明を買って出た東三条参謀。まずはこの食卓に並んでいるメニューの説明に始まり、次いで人気メニュー、知る人ぞ知る玄人向けのメニューをまるでこういった解説にに慣れているような口調でスラスラと説明していく。
そして最後にやる夫のような特殊な注文の仕方を説明して「ご清聴ありがとうございました」という一言で締める。まるでグルメレポーターのような詳細な説明だった。
ヤマト「解説ご苦労だった東三条参謀。ああ、ひとつ言い忘れていたことがある、ついでに言っておこう。これはマナーではないし、下らん風習に近いことだが――――」
それから説明されるのは受付を正面として中央から左側が海軍がよく座り、右側によく陸軍が座るという豆知識に加え、日本人には周知の事実だが国外から来たマズルカや空木彩虹には馴染みのない食堂にまつわる習慣や風習をヤマトなりにざっくり噛み砕いて説明する。
やる夫や竹内優斗、九頭文治には知ってて当然の話しであるが、彼女らには覚えのない風習だ、その些細な違いで下らないいざこざに発展することを危惧したヤマトは細かい所まで説明をする。
ヤマト「――――とまあ、こんなところだ。先の案内中に居たような下らないヤツらはどこにでもいるから一応留意しておけ。絡まれても適当にあしらっていいので、間違っても自分から手だしはしないようにな」
色々と長く喋ったが、その合間合間にも箸を動かしていたようで、料理は半分程度まで減っている。君島の方は8割は食べ終えている。過去に色々あったゆえに他愛のない会話しながら食事をするのは新鮮だと思っているヤマトである。
>入速出やる夫、空木彩虹、マズルカ、(橋川清太郎)、ALL
98
:
プライマリスの魔女
◆nkg.2sWI0U
:2022/09/14(水) 02:51:00
【自衛軍横浜基地/基地食堂/マズルカ】
マズルカ
「オヤジギャクというのはだね主に中年男性がするつまらない冗談の事だ。クククまぁ特定年齢層のコミュニケーション方式とでも考えてくれればいい。
何故知っているかと言われれば私の世界にもこの概念はあったからだ。それに魔女として齢を重ね幾多の世界を旅すれば自然と色々覚えていくものさ色々とねフフフ…」
親父ギャグについて態々解説した上何故知っているかについてもこれまた(意味深に)説明したマズルカ。確かに普通魔法を使う魔女が居る世界の住人にしては自称している通り
妙な事や変な事を知っており胡散臭い事この上ないのだが、その点を追求されても「魔女だから」と「黒と秘密は女を美しくするものさ」と本気なのだがふざけているのか分からない調子で返された。
マズルカ
「何?そんなにサービスがいいのかいOversSystemとやらは。というよりそこまでいくとどこまでが自分でどこまでがOversSystemが用意した物なのか分からなくなってきそうだよ。
大丈夫かい?実は人形を使役する魔女のマズルカさんが機械の義体に魂だけ入れられてドールとか人工妖精(フィギュア)とかになっていた等と言うオチは…ありそうで怖いじゃないか!」
また起床時間の話を君島から聞くとマズルカはとんでもない事を言い出して勝手に怖がり顔面蒼白でがくがくと震えていた(と言っても次の話題にはすぐに表情を戻す程度なのだが)
この辺りの話題に深く?食い付いてくるのは胡散臭いとはいえ実際に人間の様に振る舞う人形を作りだして使役する魔女としての知識や経験故と言った所か。それを無駄に深刻に受け止めず
変に勘ぐったりせず最後は冗談で落とす辺り、周囲に気を使って深刻化させない様にしている配慮が若干感じられる。
マズルカ
「やれやれボス(大和)マズルカさんは正規軍人の経験は無いし魔女ノ旅団という人形兵を使役して戦うのもほぼ我流なのだから、あまり指揮官として頼られても困ってしまうのだが。
とはいえこれもまた可能性の良い研究になるかもしれない。必要とあらば技能を習得する様善処しようじゃないか。まぁ<随伴歩兵>(スカウト)としてはしっかり働くつもりだから安心して欲しい」
何となく大和とのやり取りが腹の探り合いの様になってしまった為、ここはあえて大和の冗談を含めた希望的発言に対して何時もの様な調子と表情ではあるが肯定的な返事をしたマズルカ。
大和の役割を考えればそう簡単に戦場に出てはこれないだろう。さりとてこんな正規訓練も受けておらず使用する機体や装備も統一されていない非常に特殊な部隊を、この世界の正規軍士官が
統制するのは非常に難しいだろうし、仮にできたとしても正規軍の弾避け程度の扱いが関の山だろう。元々魔女は頭を使う仕事であるしマズルカ自身可能性の付与というこの世界独自の法則には
非常に興味を持ち研究意欲も湧いていた。小銃の取り扱いだけでなく将来的にはある程度指揮官としての技能を習得するのも良いだろうというのは本心からである。
そしてやる夫の提案の元東三条がナレーターの様にすらすらと流暢に食堂のメニューを解説し、それに対してやんやと茶々入れしつつ最後は拍手で締めたマズルカ。
ただし大和の行う主に作法的な説明に関しては茶々入れせず真面目に聞いていた。さっき怒りを露わにして喧嘩を売った手前おそらく大和が最後に言った"手出ししない様に"とは
恐らく自分(マズルカ)に対する釘差しであると考えた為である。
マズルカ
「うーっす気を付けまーっす。ああそれと空木クンは分からないが私に対してそこまで気を使う事は無い。こう見えて"イロイロ"と知っているからねフフン」
尚料理についてもやる夫の提案等を含めた手前(茶々入れしつつ)聞いていたがどうやら割と理解していた様だ。ただやる夫の言った"豚玉"はお好み焼きかと考え混乱したとも付け加えた。
そして何時の間にか食事を終え、相変わらず尊大?な態度で体躯に見合わぬ大きな胸を揺らし、自慢げな顔(所謂ドヤ顔)でポーズをとるマズルカであった。
>> 空木、やる夫、君島、大和、(橋川)、他食堂ALL
99
:
青空を夢見るモノ
◆RPXIifaP1c
:2022/09/19(月) 18:55:18
【横浜基地/自衛軍横浜基地(食堂)/空木彩虹(アルファ06)】
「そう…なるほど…わかった。」
色々と突っ込みどころはある内容であるがノリノリな相手(やる夫)から件のラーメンの食べ方を教えられて興味深げな表情
でこくこくと頷く、――割かし具体的な喫食方法のシュミレーションを脳内に組み立てて―且つ“自分向け”に調整した食べ
方を想定していたりする。馬鹿正直に話半分で楽しみにすれば良いモノをそのまま物理演算機能まで用いている辺りは非常に
イヤな予感しかしないモノかも知れない(無論彼女の頭の中での事なのでやる夫含む他のメンバーが知る由も無いが…)
そうして、スラスラ丁寧に話してくれる東三条の食堂メニューに関しての説明に対しても興味津々な様子で…
「たべものじたいはしっているものはおおいけれど、わたしがにんちしているりょうりのしゅるいにはかたよりがあるかも」
というよりコテコテの欧州文化圏製造の存在なのでビーフ・ラビオリやらスラッピー・ジョーやらチキン・チャンクスなどなど
大体アメリカナイズドされた欧米なメニューばかりである、無論カレーの類などに関しては知ってはいるが…その国や地域特有
の食事となるとこの人造魔女からしてみるととても新鮮味があるモノと言えるだろう。
というより、(糧食)として支給されたものなら其れが旨かろうが不味かろうが平らげてしまうし文句も言わない(味覚に関して
学習し興味を持った個体であれば味に関して人や同胞に尋ねたり自力で改善出来ないか試す様な事もするだろうが)
「おきたりねたりはせんたくしのひとつ、しじがあればきゅうみんじょうたいになるし、きほんてきにわたしは“24じかんねなく
てもだいじょうぶ”いつでもおきられるしいつでもねられる。やるお、まずるかさん、ふあんならおこしにいくよ?まいあさでも
―――まえもにたようなことしてたから」
とかどこぞの人の姿をしたトップヘビーな旧帝国海軍重装駆逐艦めいた台詞をケロリと口にする、実際嘗ての戦場で地上戦に参加
していた際はそんな感じで所属部隊の兵員の起床を呼び掛けたり手伝ったりもしていた様だ。
しかしその辺もそれほど心配する内容では無く、OversSystemの付与した(機能)なのだろうか?自然と起床出来てしまうらしい(無論
徹夜・夜更かしの度合い次第らしいが…)
そんな話の最中にふと魔女な彼女(マズルカ)が口にしたSFホラーめいた可能性の話に――
「……………………そうだとしてもやることはかわらないから、わたしはだいじょうぶ。」
己の掌を見つめ強く握ったり開いたりしながら人造魔女は少し考える様な表情を浮かべていたが―そもそも最初から(造り物)の身故
に別段違和感は無かったらしい。
「でんとうはきづかないさいぶにもありいきづくもの…ってどこかのぐんじんさんもいっていたからだいじにしたほうがいいとはわた
しもおもう――いまはそれどころでないからしかたがないのだけれど」
何処の軍にもあるモノだが…そんなものにすら懐かしさを覚える嘗ての全面戦争――そしてこの人が滅び掛けている世界。
少し思う事がある様に外見の幼さとは不釣合いな憂い交じりの視線を、窓の外の馴染み深い星の海が広がる夜の空へ向けて…
>マズルカ、入速出やる夫、峰津院 大和、(橋川清太郎)、食堂ALL
100
:
入速出やる夫
◆Ge6raFQoEs
:2022/09/29(木) 20:31:42
【自衛軍横浜基地/食堂/入速出やる夫】
「おっおっ、まぁこれはあくまでも初心者向けの食べ方だから自分なりの食べ方を向けるといいお」
二郎系ラーメンの攻略法について初心者向けとしてはこんなもんだろという感じだが
食べ方は人それぞれ。
己にあった物を慣れたら見つけていくのもまた食べる愉しみである事を付け加えた。
「いろいろねぇ…」
マズルカの気になる事を言っているが果たしてどこまで知っているのやらと思いつつも
「起こしに来てくれるのかお?そりゃありがたいお」
とやる夫としては嬉しい事を空木に言われてしばし悩むが
すぐに
「…いや止めとくお。やる夫がぶっ倒れた時はお願いするかもしれないけれど」
ここでなんでフラグ折った!?という輩も居そうだが
やる夫としては斬を一刻も早く乗りこなさなければならない自負と焦りもあるが
オーバーマンの操縦や技能を伸ばすこと自体にも興味があり自然と訓練自体も苦ではなく
金で時間が買えるなら買いたいぐらいだがそうもいかない。
それをようやくこの異常な事態に巻き込まれて自覚しているやる夫からすれば
申し訳が無いという気持ちも芽生えているようだ。
「早起きも苦じゃねぇお、不思議なもんだおエロゲやるのに徹夜だって珍しくないのにお」
本当に体がまるで慣れてるように起きるのだから
この既視感を覚える感覚は何なのか?
嫌なものではないが、自分でも説明のしようがないものの
今はラッキー程度に受け入れることにしていた。
それからは東三条の食堂メニューからの料理の説明から
マズルカと空木が聞いているのを傍で見聞きしながら
あれだけ量のあったラーメンを見事一口まで食べ切ると
「あぁ喰った喰った」
一番最初に食べ終わり、手を合わせてご馳走様をした後好物を食って満足した表情を見せる。
「(腹ごなしにギリギリまで自主練してもいいけどさっさと帰って寝るかお?)」
とりあえず欠伸をしながら話をしている者たちを見ながらそんな事を考えていた。
>峰津院 大和、マズルカ、空木彩虹、会議室all
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