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着ぐるみと顔

1名無しの作家さん:2019/04/03(水) 12:28:26 ID:uKfwwxlM
ちょっと変化球系の着ぐるみネタです。

2名無しの作家さん:2019/04/03(水) 12:52:04 ID:uKfwwxlM
ここはイベントから個人ユースまで幅広く手掛ける着ぐるみ制作会社。
荷物運びや雑用として働く平社員の僕こと真弓(まゆみ 誤解されると困るがこれは名字であり性別は男である)は、ある日職場の課長(女性)からこんな依頼を受けた。
「おーい、ちょっと新型の着ぐるみのテスターになってくれないか?」
「テスターですか?」
「ああ、新型のかたどりっていうか、見栄えや使用感を試すため社員で試してみようと思うんだ。ボーナス払うからさ」
そういわれると引き受けてみたくなるし、元々スーツアクターにも興味はあったので引き受けることにした。

上司に連れられてきたのは会社の更衣室。
「じゃあまず全部脱いでね」
「…え、普通下着くらいは付けません?」
「まあ気分気分。言い忘れてたけど一日がかりの仕事になるからオムツは履くし、脱いだ後首以外は全身タイツ型のインナーで覆うから」
正直成人になってオムツには抵抗感があったが、これも金のため。一応課長は外に出てくれたので着替え、専用の薄型オムツの上に全身タイツという、ちょっと恥ずかしい姿となった。
「おー、着替えたか。じゃあ次は頭坊主ね」
「え」
「繰り返すけど新型だからさ、出来るだけ着ぐるみにノイズを混ぜたくないんだよ。本当は全身脱毛してタイツなしオムツだけの方がよかったけど、さすがにそれだと日常生活恥ずかしくなりそうだから坊主で我慢してあげる」
…坊主の時点でファッションセンス的にアウトな気がするが、これも仕事だと自分に言い聞かせ、課長に頭を丸刈りにされ、さらにその後顔も剃られた(眉毛は勘弁してもらった)。しかし全身脱毛した方がいい着ぐるみとは一体。

「よーし準備完了、じゃあ制作場所行こうか」
と、僕は課長に連れられ、会社地下にある着ぐるみ工作場へと案内された。
熊さん・美少女フィギュア・顔出し被り物・家具等等…多種多様な着ぐるみが並ぶそこで、なぜかベッドに寝せられる僕。
「じゃ真弓君、少し眠っててもらおうか」
(え)
「心配しないで、ちょっと寝てないと着ぐるみ制作で困るからさ」
…どんどん嫌な予感がしてきたが、逃げたくても課長ががっちり見張っている。
もうこうなればしょうがない。僕は課長に渡された睡眠薬を服用し、眠りについた。

3名無しの作家さん:2019/04/03(水) 13:15:46 ID:uKfwwxlM
…目が覚めると、体全体に拘束感が存在した。
顔も、耳も、腕も、足も、胴も、股間も。
全てを何かが覆っている様な感じがするのに、開かれた目の先は何も覆われておらず、呼吸も特に問題はない。
どうやら場所は制作場ではなく、さっきの更衣室のようだが、誰もいないらしい。
「誰かいませんかー」
と一応呼んでみた後、何とかして体を見まわそうとする…が、ここで異常に気付いた。
顔が動かない。完全に首が固定され、正面しか向くことが出来ない。
しかもよく分からないが、なぜか頭の上に何かかずっしり乗っている感じがずっとしている。
ならばと手足を動かしてみたら、こっちは何とか動いたが、どうも着ぐるみの手足が動物のものらしく、四つん這い以上の立ち上がりが出来ない。
更衣室には鏡もあるはずなのに、四つん這いしか出来ないから鏡の高さまで首を上げられないし、首が固定されているからドアの方も向くにも体全体を動かさないとみることすら出来ない。
(これは、僕はどんな着ぐるみ姿なんだ… まさかこのまま売られるとかそんなことは)
と不安になった時、ドアが開いた。
 
「真弓君、早く起きたね」
「課長、僕は今どんな状態なんですか!鏡を見せてください!」
「いいけど、ちょっと今動くの大変だろ。ちょうどよく首輪とリード持ってきたから、これで引っ張ってアゲル」
と、なぜか大きな器具を取り出し、僕に巻き付けようとした。
…だがそれはなぜか僕の首の「上の重さ」にかかり、それなのに課長がそこをひっぱると体全体が引っ張られた。
自分はペットじゃないと言いたかったが、それよりも現状説明を求める気持ちが強かったため、やむなくそれに従い課長に繋がれ歩くことにした。
歩いている内に足音が蹄鉄似だったから、どうやら僕は馬か牛の着ぐるみを着ているらしいことはわかりつつあったが、それと首が動かない理由にいまいち思い当たれず、只重みを抱えて歩くのがつらかった。
社内になる大きな鏡の前に案内され、初めて見た僕の姿は…
「何ですか、この妖怪は?!」
…栗毛の、大型な馬であり、背中には鞍もあり、それなりに着ぐるみと分かるくらいにはデフォルメも聞いている姿。
だがその長い首の真下には、本来存在しないはずの「人間の顔」が刻まれていた。
…そう、今の僕は、「馬に刻まれた顔」と化していた。

4名無しの作家さん:2019/04/03(水) 13:37:55 ID:uKfwwxlM
「古来、着ぐるみマニア達は『着ぐるみにおける顔出しの有無』について悩んできた」
「リアルを追求すれば顔は覆われるが、それに伴い呼吸や視界は阻害され、着用時間は短くなる」
「顔を出せば着用時間は伸びるが、『生身の顔』に現実感を見出しムードが台無しになる」
「ならば『着ぐるみの顔』と『人の顔』を別にし、『人の顔』にも着ぐるみの素材と同じ特殊メイクや素材マスクを施せばいい!そうすれば人でも動物でもない第3の『着ぐるみ』が完成するのだからな!」
「という訳で、君がその第1号という訳だ。ああ、睡眠薬は着ぐるみ用のメイクやマスク処理の際動かれると困るからで、坊主もメイクとのコンフリクトを防ぐためだから」

自慢げに語る課長に、とりあえず一言ツッコミを入れた。
「どう見ても都市伝説の怪異でしょうが!自分で言うのもなんですが、これじゃただの人面瘡ですよ!」
「いいじゃないか、ファンタジー系の映画とか、ディープな着ぐるみファン向けとか。後18禁になるけど上下逆に着ぐるみに入って股間からふぇら…」
「もっと駄目です!そんなに言うなら自分でやってみればいいでしょうが!」

「まあそれは後で考えるとして、どうする、一応これで制作場まで『君が歩いて』戻って脱いで感想書類提出すればテスト終了だけど…。外に出てみる?」
(やりたいんかい)と心中でぼやきつつも、
「お断りします」
「そうか。ならしょうがない。但し、帰りはエレベーター前まで私を乗せてくれないかい。後で有給も出るようにするから」
「…分かりました」

エレベーターまで、課長(60㎏)を乗せて歩くのは正直地獄だったが、何とかそれをやりこなし、制作場で無事着ぐるみを脱がせてもらった。
脱いだ後構造をみると、着ぐるみはパーツ組み立て式になっており、胴体部分は背中の鞍で隠した接合部で合わせて纏うようになっていた。
また『人の顔』部分は空っぽになっており、着用者にあわせ一からメイクとマスクを施すため、実用化されてもオーダーメイド品として売り出す予定らしい。

脱いだ後僕は「マニアックすぎる、首が動かないのがつらい」と報告書類を書いて提出し、坊主頭を抱え再び雑用生活に戻り数か月後。


「…課長。何をしているんですか」

5名無しの作家さん:2019/04/03(水) 14:15:16 ID:uKfwwxlM
「どうだい!この姿。君が嫌みたいだから、私が全身脱毛して新しいテスターになったんだ!」
そう全身タイツ姿を見せる課長は、頭にも何も毛が存在しない。
すっきりしたスタイルと、ブラすらつけずオムツのみを下に付けたのみのその姿は、明らかに異様なのにどこか美しく、思わず見とれてしまった。
「これから新しい着ぐるみにチャレンジするから、期待していてくれよ」
そう言って颯爽と制作場へと歩いていく姿に、数か月前のきつかった仕事を思い出しちょっとブルーになった。
だがその日課長は戻らず、翌日職場に行くとあの課長は異動になったと、新しい課長に説明された。

一体なぜ…

そう思いつつ2週間ほど過ぎ、ふと前に来た更衣室に入ると…。
「やあ、マッサージチェアです」
課長の顔が刻まれたデカいマッサージチェアが鎮座していた。
「いやあこの新型、君の意見もあってか中々実用化に至らなくてねえ。でもどうしても実用化したいから、私自身がPRガールとして各地に派遣され新型の宣伝をすることになったんだよ」
「せっかくだから大人のマニア向けに売るため、家具に埋め込んでもらってね。ついでにマッサージ中私の股間にもバイブ機能が作動する様にしてもらってるから気持ちよくて…」
「あ、そんな18禁向けだけじゃなく、他にも子供向けに顔部分が胸についた大型ゆるキャラや巨人の着ぐるみとか、リアルタッチの塗り壁の着ぐるみを創ってホラー映画に売り出すとか、結構忙しいよ」
「大抵は目を見て中に私がいるって気づくけど、珠に気づかずそのまま座る人もいて、そうしたおバカさんに息を吹きかけたりささやきかけたりするのがもう…」
「後、この状態で他の人達が私に栄養サプリメントを飲ませる際、何もできず飲ませてもらうだけっていうのがもう、口移しでもいいんだぜ?」
「これでも私の頑張りで、今度ようやく『フェイスレリーフ』って名前で商品化されることになったんだ。喜んでくれ」
呆れて声も出ない僕が黙ってみていると、マッサージチェアから不意に顔の眼が消え、背が拓き課長が出て来た。
…濡れて肌に張り付いた白い全身タイツはどこかエロスを感じさせた。
「ねえ、今度君もどうだい。今度新しいフェイスレリーフが出来てねえ…」
…僕は、つい失神してしまった。

6名無しの作家さん:2019/04/03(水) 14:44:25 ID:uKfwwxlM
…目が覚めると、再び数か月前のあの拘束感が蘇って来た。

「起きたかい」
そこに届く課長の声。
「ごめんねえ。今の課長さんに頼んで、2,3日君をレンタルしたから」
「聞いてないですよ!何やらかしてるんですか!」
「いや前君の馬姿を見てつい惚れちゃってさあ。もう一回だけ君にこのフェイスレリーフを味わってほしかったんだ。お願い、今回だけだしまたボーナス弾むから」
「それより今僕は…」
前の馬の時は正面に首が固定されていたが、今度はうつぶせにされ床しか見えず、手足の可動域も大分狭い。
また前と違い、顔部分はメイクなしでマスク状の穴のみとなっていた。
「そんなことよりもう不用意に声を出さない方がいいよ。客が来るから」
課長はそう言い捨て沈黙すると、部屋に誰かが入って来た。女性2人らしい。

「えー、これが着ぐるみリラックスルームですかー」
「ええ、マッサージチェアへそこ、お休み用のベッドはそこです」
嫌な予感がした。
足音と女性の声は段々僕に近づき、そして…
「背中」に女性の重みが加わった。
…そう、今や僕は、手足を木彫りの脚に、体をシーツの下に埋め込まれ、裏から呼吸をしているベッドだった。

「ねえベッドさん、あなた人入りなんでしょう。なんていう名前なの」
「ま、真弓です!そんなことより、僕が人間だって分かってるなら出してください!」
「んー、こういうプレイに私憧れてたからちょっと駄目かなあ。それより、あなた動けるんでしょう。歩いて♪」
「だったら降りてください!」
正直また四つん這いで歩くのは嫌だったが、何とか歩こうとして見る。
やってみると、どうやら違和感のない範囲で関節はあり、ゆっくりとだが這うことは出来た。
と言ってもさすがに細かな作業は出来ないが。
「も、もういいでしょ…」
「だーめ、次は顔を見せて、そういう店とは違うって説明されたからキスはしないけど写真はとらせてね」
「…ネットにアップだけは勘弁してください。プライバシーがあるんで…」
そんな感じで、女性客は課長で楽しんだり僕の上で休んだりと楽しみ帰っていった。

他にも何も気づいていないっぽい男性客が来て呑気に休んでいったり、店員が栄養補給用の液体を飲ませてくれたりとしている内に閉店時間となり、
「よくやったね。さあ出してあげるよ」
課長によって僕はベッドから引きずり出され、替えの全身タイツとオムツを渡された。
「あの、他の服は?」
「何を言ってるんだい、フェイスレリーフの楽しみは着ぐるみの下に全身タイツしか着ないことじゃないか」
と流され、結局僕はほぼ全裸状態で休み(流石に課長と同じ部屋というのは無かった)、早くこの苦行が終わるのを待つのだった。

結局僕は3日間ベッド着ぐるみプレイを強いられ、やっと元の職場に戻ることが出来た。
その間、課長にせがまれ課長入りのマッサージチェア(何と課長の内部操作で動き回る)でも休んだが、
皮一枚挟まって女性の息や喘ぎ声が聞こえる椅子に、全身タイツ姿で座るというのは何とも言えないものがあった。
あれからも課長はフェイスレリーフのPRガールとして活躍し、今では電話などでたまにレリーフの注文が入るが、
もう僕はフェイスレリーフになるのはこりごり、僕にそんなフェチはない!としみじみ思うのだった…。



おしまい

7名無しの作家さん:2019/04/04(木) 03:21:14 ID:FLKEqKBI
良かったです
強いて言うなら課長の着ぐるみの描写を詳しく読みたい、できれば続編も


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