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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】

76尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE:2020/05/31(日) 18:47:47
「……ん?」

と。そこで尾弐は祈が何かを言いたげにしている事に気付く。
心配事があるなら話すべきだ――そう言おうとして、しかしその前に祈は口を開いた。

>「……あのさ。もしレディ・ベアを見つけたら、助けてやってくんないかな。
>姦姦蛇螺と戦った後、ローランがいってた『レディ・ベアとあたしが友達』ってやつ、実はホントでさ。
>あたしがここに来た目的には、あいつを助けることも入ってんだ」
>「あはは、知ってる。モノとレディは同一人物なんだよね」

「祈の嬢ちゃん、それは……」

そして、祈が口にしたそれは、レディ・ベアの救出を依頼する言葉であった。
ノエルがそうであるように、尾弐もまたレディ・ベアが祈にとってどの様な存在であるかは薄々感じ取っていた。
それでも何も調査をしなかったのは――――そこが尾弐にとっての分水嶺であったからだ。
東京ドミネーターズ、赤マントの仲間。
その事に確証をもってしまえば、漂白せざる負えないと……そう考えていたから、尾弐黒雄は『祈の友人』について触れなかったのである。

>「レディ・ベアは今、赤マントに捕まってる。
>妖怪大統領を従わせるための人質になってるんだと思う。
>ローランが守ってくれてるみたいだけど、どんな扱いされてんのか、どうなってるかはあたしもわかんない」
>「こんな土壇場まで、言葉にできなくてごめん。調子のいいこと言ってるのもわかってる。
>でも、あたしの友達を助けて欲しい。
>細かいことは後でちゃんと話すし、どれだけでも償うから。一生のお願い!」

真摯な祈の願いに、尾弐は渋面を作り、自身の首の後ろを右手で揉む。
――――正直なところを言えば、断りたかった。
むしろ、これが祈の頼みでなければ即断で断っている。
何せ、尾弐にとっては敵なのだ。
レディ・ベアという存在が東京ドミネーターズを名乗り活動した事で、どれだけの無辜の人々が被害を蒙ったというのか。
なれば囚われているというその状況は自業自得とでも言えるのではないか。
そんな者の為に大切な仲間が傷付くなど、看過出来ようはずも無い。気まずい感情を抱えながらも、尾弐は言って聞かせようとし

>「僕も正体気付かずに……いや、わざと気付かない事にして普通にクラスメイトやってたんだから似たようなもんだよ。
>仲良かったかっていうと……まあ殆どスルーされてたけど!」
>「僕からも、お願い! 今は少しでも戦力が必要だから……。
>救出できれば戦力になるかもしれないし、そうなればローランも人質がいなくなって戦いに参加できるかもしれない!」

ノエルの言葉を聞いてそれを止める。

(クラスメイト、か……俺にとっちゃ、奴さんは敵だ。だが、祈の嬢ちゃんにとってはダチ公でもある)

天を仰いで眉を潜め、たっぷり十数秒思案した尾弐は――――やがて、大きく息を吐く。

「他ならねぇ祈の嬢ちゃんの頼みだ。レディ・ベアは気に喰わねぇが、出来る様なら助けてやる」
「けどな――――奴さんを助ける事で祈の嬢ちゃんや橘音達が危ねぇ目に遭うなら、俺は躊躇わずにレディ・ベアの方を切り捨てるぜ。それだけは覚えといてくれ」

そうしてそのまま、尾弐は辿り着いたエレベーターのボタンを押した


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