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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】
75
:
尾弐 黒雄
◆pNqNUIlvYE
:2020/05/31(日) 18:47:29
>「……ついに、ここまで……」
コンクリートジャングルと揶揄される都心のビル群。その無機質な灰色の木々の中を進んだ先にその建物は有った。
東京都庁第一本庁舎。
帝都に住む人々の生活を維持、管理する、最大規模の行政機関。
老人にビジネスマン、主婦や職員、ついでにクレーマーと不良外人。
普段であれば手続きを行いに来る人々でにぎわいを見せる都庁は、現在、気味が悪い程に静まり返っていた。
「種類まではわからねぇが、結界が張られてるみてぇだな……都庁規模の施設を無人にする結界なんざ、どんだけ出鱈目しやがる気だ」
その無人は、明らかに赤マント……ベリアルによるもの。
>「皆さん、気を引き締めて下さい。いつ、どこから何が出てきたとしてもおかしくありませんから。
>……行きますよ!天魔の本拠地に殴り込みです!」
>「おう!」
「あいよ、了解だ」
だが、それでもやるべき事は変わらない。
ベリアルを見つけ出し、その野望を打ち砕く事。その為に尾弐達は此処に立っているのだから。
そうして一行は都庁のエントランスへと足を踏み入れ――――
>「――な――」
>「クカカカカカッ!ようこそ、我ら天魔の本拠地――東京都庁へ!
>まったくローランの奴め、余計な情報を……。おかげで吾輩の計画はメチャクチャだ。
>できれば準備が整うまで大人しく待っていて欲しいんだが、どうかネ?食堂でカレーでも食べて、今日は帰っては?」
>「やっぱりバレてるか……」
「は。大物ぶる割に、小物みてぇな覗き見してやがったって訳か」
まるで待ち構えていたかのように、突然その姿を現したベリアル。
その諸悪の根源に対し、那須野は正面から啖呵を切り、尾弐は不愉快を隠しもせず渋面を浮かべる。
その場で殴りかかるような事はしない。それは理性で堪えているなどという事では無く、何かしらの罠を警戒しての事。
>「さて。吾輩が手ずから客人を持て成したいところだが、色々忙しいものでネ。
>代わりにとっておきの接待役を呼んでおいたから、彼らと存分に楽しむといヨ。
>吾輩がこれと思って抜擢した者たちだ。どの接待役も、必ずやキミたちを満足させてくれることだろうサ。
>接待役たちのいる場所へは、こちらのエレベーターを使いたまえ。
>ああ、エレベーターは一人一基だヨ。相乗りは受け付けないし、階段も使えないからネ。
>もし接待役を倒すことができれば、吾輩のいる北棟展望室にご招待しよう。
>では、またお会いできることを楽しみにしているよ!クカカカカカカッ!!」
「そうかい。なら首を洗って待ってろ――――」
そして、案の定対峙していたベリアルは実体では無く、入って来た扉が閉じた事で此処が既に策謀の中に有る事を知る事となる
>「橘音くん、アイツの言う通りにしたらいけない。明らかにこっちを分断させる罠だ……!」
>「どのみち、行くしかありません。この程度のことは予想の範囲内です。
>ここからは別行動で行きましょう。少なくとも――現段階でベリアルの言ったことに嘘はないはずです。
>悪魔(デヴィル)は嘘を付き、ベリアルの言うことほど信を置けないことはないですが……。
>でも、ひとつだけはっきりしていることがあります。
>それは……『ベリアルは自分の造ったギミックに忠実である』ということ」
>「それでは……皆さん。
>後ほど、北棟展望室でお会いしましょう」
ここに至れば迷う事は無い。
いざとなればエレベーターの換気口でも破壊してどうにかしてしまおう。そんな事を考えつつ、尾弐は那須野橘音の左隣のエレベーターへと歩を進める。
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