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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】

329尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE:2021/02/11(木) 22:00:48
天より堕つる禍星。
空を朱く焦がす強大な力の塊。その数七つ。
神々ですらも模倣出来ぬであろう御業は、帝都に散在する終世主に抗う意志を焼き払わんとする。

「こりゃまた随分と滅茶苦茶やりやがるな……腹立ち紛れに都市を滅ぼそうたぁ、まるで餓鬼の癇癪だ」

>「ははは、これは愉快痛快!
>アンテクリストめ、大技を繰り出してきおったな!今まで我らを地を這う虫と思い、見向きもせなんだものが。
>やっと正式な障礙として認識したということかよ――!」
>笑い事じゃないですよ天邪鬼さん!?
>あんなもの、一発でも喰らったらジ・エンドだ!それが七ツも……誇張じゃなく東京が滅んでしまう!」
>「だろうな」
>「だろうなって!」

実際、あの火球の一つでも落下を許せば都市は壊滅するのだろう。
腐っても終世主を名乗る者が放つ技だ。そういう業でそういう権能を有していると観て違いない。
ならば、尾弐達が取るべき選択肢は一つ。

>「確かに正論、喰らえば一切万象塵芥と帰そうよな。
>ならば喰らわねば善い。喰らう前に我が神夢想酒天流の秘奥にて彼の大陰火、膾に斬って呉れようぞ」
>「仕方ありませんね……。ではクロオさん、ハルオさん、颯さん!
>五人であの火の玉を出来るだけ何とかしましょう!」

正直な所を言えば此処での消耗は大きな痛手にはなるが、背に腹は代えられない。
力を惜しんで守るべきものが滅ぶのを座して待つなど馬鹿げている。

「随分腰にきそうな前座だが、仕方ねぇ。派手に暴れて――――」

尾弐は覚悟を決めて口を開き

>「いいや。橘音君、黒雄さん。ふたりは都庁へ。
>ここは私たちに任せて下さい。祈たちと合流し、アンテクリストを討つことに集中を」
>「そうね。橘音、黒雄君、先に行って。
>あの隕石は、こっちで何とかするから!」

しかし、吐き出しかけたその言葉は晴陽と颯の二人に遮られた。
彼等は当然の様に口にする。自分達が、何とかすると。
天邪鬼も含めて3名が語る言葉を聞いた尾弐は始めは怪訝な顔をしていたが、やがて……遅ればせながらようやく思い至る。
その言葉の意味に。

>「戯け。なんでも己のみで片付けようとするのが貴様の悪癖よな、三尾。
>おいクソ坊主、貴様からも言ってやれ。自分のできぬことは、他の者に任せてしまえとな」

「ハ!そうだな――全くだ。懐かしい連中に囲まれたせいか、つい自分達で全部やらなきゃならねぇと思っちまってたが」

苦笑を浮かべ、大きく息を吐く尾弐。
そうだ。今の尾弐は。尾弐達は、かつての東京ブリーチャーズではない。

「早く走りてぇのなら祈の嬢ちゃんに。多勢に無勢だったならノエルに。奇襲強襲が必要ならポチ助に」
「出来ねぇ事は、仲間を信じて任せりゃいいんだ――――俺も橘音も、もう一人ぼっちじゃねぇんだから」
「頼れる仲間が居るんだからよ」

迷いながら、間違えながら進んできた自分達の手を引いてくれた者達がいる。
暗い闇の中で尚、光を見せてくれた者達が居る。

「信じようぜ、橘音。俺達を光の下に引っ張り出してくれた、キレェな連中をよ」

そう言って尾弐は那須野橘音の腕を掴み、天邪鬼達に背を向ける。

>「さあ――征け!
>そして、見事帝都鎮護の役目を果たしてくるがいい!」
>「祈を頼みます、黒雄さん。
>……いいえ、祈だけじゃない……この東京を。
>それが出来るのは私たちじゃない、あなたたち現在の東京ブリーチャーズだけですから」
>「ふたりとも、頑張ってきてね!
>みんなの未来を。あなたたちの未来を、守って!」

「あんがとよ、晴陽、颯、外道丸――――此処は任せた。俺達は、世界を救ってくる」

一歩、二歩。振り返らずに足を前へ。
勝利の誓いを此処に遺し、悪鬼と妖狐がいざ決戦の地へ推して参る。


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