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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】

297尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE:2021/01/07(木) 22:34:11
>「さすがは黒雄さん。ただ一度の大喝を以て、萎縮しきっていた人々の心を奮い立たせるとは……。
>相変わらずの豪傑ぶり、頼もしい限りです」
>「……アナタ、は……」
「なっ……!!?」

残る力を振り絞って悪魔の一角を叩き潰した尾弐に届いたのは、祈達が齎した暖かな癒しの光と……穏やかな声。
それは、とても懐かしい……もう二度と聞けないと思っていた声だった。

>「橘音君、今までよく頑張ってくれたね。礼を言うよ……もちろん黒雄さんも、そこの天邪鬼さんも。
>みんなの協力のお陰で、祈は成し遂げられた。あの子ひとりでは、きっとここまで漕ぎつけられなかった。
>どれだけ感謝しても足りません、だからこそ――」
>「ここから先は、わたしにも手伝わせてください。あの子が生きる世界を、みんなが紡ぐ未来を、私も守りたい」

「……橘音も、外道丸も無事で……はは。ったく、お前さんはいつも美味しい所を持っていきやがるなぁ」

笑うような、泣くような声を出しながら尾弐が振り返ったその先に居たのは。
多甫祈の父親にして、東京ブリーチャーズが一員。

陰陽師、安倍晴陽。

>「ただ一人の増援ですって?お生憎さまね、増援は二人なの」
「颯!?お前さん、どうして……いや。聞くまでもねぇか。安倍晴陽の隣に、多甫颯が居ない訳がねぇ」

そして、その後から疾風をぶち抜く様に颯爽と現れたのは――祈の母であり晴陽の妻である、多甫颯。
多甫祈が生まれるよりも昔。数多の妖壊から帝都を守り抜てきた者達。
かつての東京ブリーチャーズが今、奇跡の名の元に再集結を果たした。

>「はい、黒雄君。橘音も、天邪鬼君も」
>「祈ちゃんのところへ行かなくていいんですか?」
>「あの子はもう、わたしたちの手を離れているよ。それに、祈の周りにはもう、大勢のともだちがいる。力を貸してくれている。
>それなら――わたしたちはわたしたちの出来ることをするべきだ」
「おいおい、どんだけ成長しても親は親なんだ。祈の嬢ちゃんの事を第一に考えてやれ……なんて偉そうに言いてぇところだが、正直助かったぜ。あんがとよ」

酒を呷る様に渡された迷い家の湯を一息に飲み干した尾弐は、騒乱の渦中で繰り広げられるその遣り取りに、急速に快復していく傷の痛みすらも忘れる程の湧き上がるような郷愁を覚える。
そして――その感情を戦いの為の燃料へと切り替えていく。

>「さあ、黒雄君、橘音。久しぶりに私たち四人、旧東京ブリーチャーズでやりましょうか!」
>「なんだ、私は仲間外れか。とはいえ、ここは貴様らに譲ってやろう。旧交を温めるのはいいことだ。
>三尾、いや今は五尾か?語呂が悪いな……とにかく結界の再構築だ。急げ」

「悪ぃな外道丸。ちっとばかしおじさん達の同窓会に付き合ってくれや。なぁに、退屈はさせねぇさ」

>「了解!ではクロオさん、晴陽さん、颯さん!用意はいいですか!?
>旧!東京ブリーチャーズ――アッセンブル!!!」

「――――アッセンブル!!!!」

愛する者と、親愛なる者。そして在りし日を共に駆け抜けた仲間達。
今再び彼らと共に、尾弐黒雄は嘗て羞恥心と罪悪感で吠える事の出来なかった掛け声を口に出す。
この場における戦いの顛末は、多くを語る必要もない。
晴陽の術が悪魔を薙ぎ払い、颯の脚撃と天邪鬼の剣戟が悪魔を翻弄し、尾弐の膂力が魔を殴殺し――――そして橘音は、とうとうその役目を成し遂げた。
七つの道具は龍脈の流れを正し、べリアルの印章と魔法陣が消滅した今、目指す場所は一つ。

>「皆さん、都庁前に再集合しますよ!」
「応っ!!」


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