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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】
26
:
御幸 乃恵瑠
◆4fQkd8JTfc
:2020/04/16(木) 23:47:09
>「我が槍の名はフィムブルヴェト。
古くは北欧世界において『神々の黄昏(ラグナロク)』の先触れとなりし、我が極鎗を見よ!」
「ハクト、そなたは逃げろ……!」
>「生き残りたければ。これから先も、大好きな者たちと一緒にいたいのならば。
この一撃――凌いでご覧なさい!」
――ごめん、最後まで悪い子で。
*:・゜。*:・゜*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*
走馬灯だろうか、それとももう死んでいるのだろうか。
気付けばノエル――みゆきは、民家の庇の下で途方にくれていた。目の前は、土砂降りの雨。
人間の村に遊びに行っていたら急に雨が降り始めてしまった状況だろうか。
そこに、傘を持ったクリスが現れた。
「あ、お姉ちゃん……! 迎えに来てくれたんだ!」
みゆきは満面の笑みでクリスに抱き付いた。
「今まで大変だったんだから! 揃いも揃って捨て身で突っ込む命知らずばっかりでさー!」
「命知らずだけで突撃させたらすぐ全滅しちまうよ」
そう言ってクリスは、傘をみゆきに手渡した。
「お姉ちゃん……?」
「お前はまだ還ったらいけない。それで冷たい雨や身を焦がす日差しからきっちゃんやみんなを守ってやりな」
*:・゜。*:・゜*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*:・゜。*
「今のは……夢?」
我に返ってみると、まだ女王が奥義を放とうとしているところだった。
今のは時間にすると一瞬にも満たない間の白昼夢だったようだ。
「そうか……!」
ノエルは女王を手本とするように、世界のすべてを長柄として理性の氷パズルを合体させて武器を作り上げた。
「私の武器はこれだ! 名付けて――聖槍”星の王冠《スフィアクラウン》”!!」
世界のすべてが柄、理性の氷パズルが煌めく透明な生地としたそれは――槍というよりもどう見ても傘だった。
ダイヤモンドダストのような煌めきと共に、ノエルの姿が塗り替わる。
雪の結晶のファーに裾が縁どられた透明な呪氷のローブを羽織り、新しいそり靴も少しの曇りもない氷のスケートブーツと化しているその姿は、
ノエルにも乃恵瑠にも深雪にもみゆきにもとてもよく似ていて、そのどれとも異なっていた。
少年のような純粋さと、少女のような清廉さと、雪女が本来持つ妖艶さを併せ持ち、性も年齢も一切感じさせない不思議な雰囲気を纏っている。
特殊な条件下だけで現れる、全ての人格が完全に統合された五番目の人格だろうか――
これを便宜上御幸と表記することにする。
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