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【伝奇】東京ブリーチャーズ・玖【TRPG】

252那須野橘音 ◆TIr/ZhnrYI:2020/11/23(月) 13:41:53
東京都庁の上空を、渦巻く極彩色の雲が覆っている。
それは、終世主アンテクリストの生み出した妖気の渦。膨大な邪気の集積したもの。
龍脈の力によって増幅された、アンテクリストが支配する『すべての願いが現実化する世界』ブリガドーン空間。
ブリガドーン空間は刻一刻とその範囲を広げている。
もし、ブリガドーン空間が地球をくまなく覆ってしまえば、アンテクリストに勝てる存在はいなくなるだろう。
雷霆を司るギリシャ神話の主神ゼウスも、万象の知識を有する北欧神話のオーディンも。
世界を破壊させるというヒンドゥー教のシヴァも、アンテクリストの前には等しく撃滅されるに違いない。

だから。

この世界に生きる者は、自分たちの最大限の力を以てこの脅威を排除しなければならないのだ。
たとえそれが、儚い努力に終わったとしても。

ギュオッ!!!

東京都庁上空で翼を広げ、瞑目したまま静止しているアンテクリストの上空を、五機の戦闘機が飛んでゆく。
V字に編隊を組み、音速で飛行するのは、航空自衛隊百里基地からスクランブルした第7航空団第302飛行隊の戦闘機。
F-35A、通称ライトニングⅡ。2018年に導入されたばかりの最新鋭次世代戦闘機である。
突如として東京二十三区に出現した巨大な印章、手当たり次第に人々を襲う悪魔たち。
そして、都庁上空に佇立する『神のような何か』――。
状況を重く見た政府が緊急事態宣言を発し、航空自衛隊に出動要請をしたのであろう。
あるいは、富嶽が政府に直接働きかけて戦闘機を出せと言ったのかもしれない。

≪こちら第302飛行隊、コールサイン・アルファ1。目標を確認した≫

編隊の中央に位置する隊長機のパイロットが、管制へ報告する。

【アルファ1、ならびに各機。相手は正体不明の化け物だ。充分注意しろ】

≪ウィルコ。安全装置解除、アルファ1、エンゲージ≫

≪アルファ2、エンゲージ≫

≪アルファ3、エンゲージ≫

≪アルファ4、エンゲージ≫

≪アルファ5、エンゲージ≫

編隊が散開してゆく。その一糸乱れぬ飛行は、まるで航空ショーのようだ。
しかし、これは紛れもない実戦である。それも人対人ではない、人対化け物の戦闘である。
F-35Aの照準が、両手をゆったりと広げたまま逃げもせず空中に留まったままのアンテクリストに狙いを定める。

≪ロックオン。――アルファ1、フォックス2≫

ドシュッ!!

主翼下のウェポンベイからミサイルが放たれ、白い筋雲を引きながらアンテクリストへと飛んでゆく。
AIM-120 AMRAAM。アクティブ・レーダー・ホーミングによって目標へと自動追尾を行う、中距離空対空ミサイルである。
固体燃料ロケットによる推進力は最大マッハ4。言うまでもなく、その直撃を受けて生存できる生物はこの地球上には存在しない。
神を僭称するアンテクリストも、この人類の叡智たる科学の矢には成す術もなく屈するしかない――

と、思われたが。

それまで瞑目していたアンテクリストが、ゆっくりとその双眸を開く。
もはやミサイルは目前に迫っている。回避することは不可能だろう。
しかしアンテクリストはミサイルを避けようともせず、ゆっくりと右手を前方へと差し伸べた。
そして、その直後――ミサイルは『灰と化した』。

≪なに……!?な、何が起こった……!?≫

戦闘機のパイロットたちが驚愕する。
ミサイルは確実にアンテクリストをロックオンしていた。マッハ4で飛来する鋼の矢から逃げ切れる生物など存在しない。
だが、アンテクリストは未だ無傷でそこにいる。

≪アルファ3、フォックス2!≫

≪アルファ5、フォックス2!ありったけ撃ち込んでやれ!≫

さらに編隊は矢継ぎ早にミサイルを発射し、アンテクリストを集中砲火する。
だが、さながら槍衾のように四方八方からミサイルを撃ち込まれても、アンテクリストの表情は変わらない。
ただただ無表情に、軽く手を翳すだけ――
それだけ、そう。たったそれだけで、ミサイルはその先端からすべて灰と化し、風に散って消滅した。
『運命変転の力』。
龍脈から吸い上げている無尽蔵の力、『運命変転の力』で、アンテクリストはミサイルの在り方そのものを捻じ曲げ、
無害な灰の塊に変えてしまったのだ。


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