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【伝奇】東京ブリーチャーズ・壱【TRPG】
190
:
多甫 祈 ◇MJjxToab/g
:2018/04/13(金) 13:31:24
コトリバコの呪詛の源は、
その狭い細工の中に押し込められた子ども達の魂の嘆き、憎しみや恨み。
即ち『負の感情』である。
恐らくコトリバコには、その呪詛を効果的に発揮させるために、
内側に閉じ込めた子供たちの魂に働きかける呪いのような何かが施されているのだろう。
その何かが、強制的に子ども達から憎悪等の負の感情を引き出しているのだ。
そう考えれば、両の足がなくなり、満身創痍の状態なっても執拗にノエルを追い続けたことや、
移動する力すら失い、左腕がもげた状態でも祈への攻撃を続けたこと。その異常な攻撃性に説明がつく。
ハッカイともなれば、それこそ無尽蔵の呪詛を吐き出せるだけの力があっただろうから
そのような呪いが働いていてもなんとかなったに違いない。
だがノエルの刃は霊的な継ぎ目を完全に断ち切り、既にハッカイを仕留め終えていた。
そのような状態では、残された命を無理矢理に、粘液として絞り出しているようなものだ。
だが止めることができないのだろう。そのような状態になっても。
馬に鞭を打つように、コトリバコが無理矢理にあの赤ん坊へ命じているから。
恨め、憎めと。目の前の敵を倒せと。
痛い筈なのに。苦しい筈なのに。もう嫌だと泣き叫んでも、コトリバコの呪詛が
攻撃を止めることをを許さない。その苦しみは想像を絶する。
またも粘液を吐こうとしているのだろう。ハッカイは再び首を持ち上げ、口を祈へと向けた。
その目から流れる血の涙に、響く嗚咽に。
「終わりに、しよう……」
祈は、血が熱くなるのを感じた。
もう、見ていられなかった。
この状態ならば、恐らく放っておいても『ケ枯れ』を起こしてただの小箱に戻るだろうが、
それを待とうだなどとは微塵も思えない。
一刻も早く、あの子をその苦しみから解き放ってやらなければならなかった。
それも、これ以上苦しまぬよう、一撃で。
そう思った時、祈の頭に、どうすれば彼の巨体の頭を潰せるかという問いに対する答えがようやく閃いた。
祈は辺りを見回し、程なくしてそれを見つける。
祈が見つけたのは、重い金属製のバットだった。
『ぶあああっ! あ”ぁあぁ”!』
ハッカイが再び粘液を吐きつける。祈はそれを避けることもなく、そのまま浴びた。
赤の混じった粘液が祈の被る布を汚し、灼いていく。だが祈はそれを脱ぎ捨てる間すら惜しんで、金属製のバットを構える。
体を捩り、目いっぱいに振り被る。
「うううううううう、らあああああああっ!!!」
そして渾身の力でもって、ハッカイへと投擲した。
――ターボババアと言う妖怪の孫である祈は、その走る速度に強力な制限を受ける。
どれほど早く走ろうとしても、フォームを変えたとしても、その速度が時速140kmを超えることはできない。
それが都市伝説として語られるターボババアの速度の限界だからだ。
しかし、それ以外の物に関しては規定がない。
人が時速40kmで走れるのなら、祈は140kmを走る。
単純に考えて人の3倍以上の筋力を備える祈が全力を込め、遠心力をも利用して投げた金属製のバットは、
軽々と時速140kmなど超え――、雷の如く凄まじい勢いで飛び征く。
そのまま、手足を失い動くこともできないハッカイの頭部、その眉間へと突き刺さり、
そのぐずぐずの皮膚を突き破り、柔らかな頭蓋を砕いて、
中身を恐ろしい力で掻き回しながら頭の反対側へと貫通、中身を吹き出させる。
ハッカイを貫いて尚勢い余るバットは、閉まっている店舗のシャッターへと突き刺さってようやくその動きを止めた。
『あ……ぎぃ、ぁ、お、…………』
ややあって、頭の半分ほどを失ったハッカイの首が、力なく倒れた。
そして『ケ枯れ』を起こし、付喪神としての姿を保てなくなったハッカイの体は緑色の膿のようになり、消失する。
残されたのは小さな小箱だけとなった。
呪詛としての力も失ったのか、ハッカイが作りだした粘液もまた消えている。
祈が今更になって被っていたカーテンを脱いでみると、幸い粘液は体にまで達していなかったものの、
パーカーや髪の先を、焦がしたり溶かしたりしているようであった。
なんにせよ、ハッカイは倒した。
「……今はおやすみ、コトリバコ」
後で橘音に、この小箱に閉じ込められた子ども達をどう供養すればいいのか聞かねばならない。
そんなことを考えながら、祈は呟く。少し離れた場所から、破魔の結界の光が広がるのが見えていた。
【祈、ノエルを安全圏へ逃がしてフリーにした後、やや離れた位置で手負いのハッカイを撃破】
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