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ここだけ能力者達の物語投下所part1

8名無しさん:2017/05/21(日) 23:40:48


街の図書館。適度に冷房が効いていて、過ごしやすく、机なども多くあり、そこそこの広さの街の図書館であるため、蔵書もなかなかのもの。勉強するには、もってこいの場所で、剣もよくここへ勉強しに来ていた。
しかし、今日は違う。まずは、読書感想文を終わらせるべく、一太郎と剣はこの場へとやって来たのだ。

『とうちゃーく!』

「こら、一太郎。図書館では静かに、だろ。」

『あ、ごめん、つい。』

「分かれば良いんだ。それより、感想文は何の本で書くのか決まったのか?」

『ううん、まだ。』

「それじゃ、ぱぱっと決めちゃうか。」

『オッケー』

そうして、一太郎は本を探しに歩き出す。剣は、その間、椅子に腰掛け、家から持ってきた英単語帳を読み、勉強する。

『剣兄ちゃん。いくつか持ってきたよ。』

「どれどれ……」

暫くして、一太郎がいくつかの本を持ってきた。一太郎のことだから、漫画でも持ってきた可能性がある。図書館でも、昔の名作漫画等は置いてあるのだ。一応、確認しておくか。そう考え、剣は一太郎の持ってきた本を手に取り見る。
一冊目、「ホントの心霊写真」。ありとあらゆる心霊写真を集めた一冊で、一枚一枚に、霊能者の胡散臭いコメント付き。写真も人目で合成だと分かる物も多い。

「……いや、これでどう書くんだよ。」

恐らく、夏の恒例の心霊番組を見て、影響され、興味を持ったのだろうが、これで感想文を書くのは難しいだろう。

『えぇ?駄目かなぁ?』

「別のにしようぜ。さ、次々……」

二冊目、「新・恐竜図鑑」。最新の研究に基づいた恐竜の復元図が満載の一冊。表紙を飾るのは、ふさふさの毛が生えたティラノサウルス。剣が昔持っていた図鑑に乗っていた姿とは、随分と違っている。これはこれで、可愛いと剣は思うが、かっこよさは減ったと思う。

「いや、一太郎……そもそも、図鑑は駄目じゃないかな。」

恐竜、小学生の男の子なら、好きな子も多いだろう。一太郎も、その一人。夏休み中に、恐竜展に連れていってもらう程だ。しかし、いくら好きだからといって、感想文を書くのに適しているかと言うと……

『えぇー、これも駄目?』

「感想文を書くんだから、なるべく物語が良いんじゃないかな。図鑑とかじゃ、書きにくいだろ?」

『うーん、確かにそうかも。それじゃ、取って置きのこれ!』

三冊目、「怪談シリーズ その3」。人気の児童向け怪談を集めたシリーズの3作目。学校の図書室にも置いてあるが、人気が有りすぎて、すぐに貸し出し中になってしまう。

「うん、まぁ、これなら大丈夫かな。」

『よーし、書くぞー』

これなら問題は無さそうだと判断され、まずはその本を読み終える。そして、一太郎は原稿用紙と向き合った。
暫く用紙に向かい合ったかと思えば、文章に悩み剣に相談し、分からない漢字があれば聞きに行き……

『できたー!』

「どれどれ……」

苦労の末、感想文は完成する。漢字の間違いなど無いか、それをチェックする剣。その感想文の最後には……

でも、ほんとうにおばけが出てきても、きんじょのつるぎ兄ちゃんが、おきょうとかとなえて、なんとかしてくれるとおもいます。

などと、書かれていた。

「一太郎……お前、俺を何だと思ってるんだ?……お経分かんねぇよ……」

『えっ』




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