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ここだけ能力者達の物語投下所part1

6名無しさん:2017/05/10(水) 10:05:16
園太郎は、雛子を助ける方法を探し、様々な医者や学者を訪ね、様々な文献を漁った。だが、当然不治の病の治療方法など見つかる筈がなかった。
そんな時ーー奇妙な服装の男が園太郎の前に現れる。その腕には見たこともないエンブレムのついた腕章。それはまるで、別の世界からやって来たようで……

奇妙な男「やあやあ、お困りのようだね。君の噂は聞いているよ。たった一人の妹を助ける為に、西へ東へ奔走しているらしいじゃないか。いやぁ、健気だねぇ。泣かせるねぇ。でも、それじゃあ駄目だ。雛子ちゃんは助けられないよ。」

園太郎「なんだお前は!?何故僕の事を……それに雛子を助けられないだと!?」

奇妙な男「おおっと、怒らないでくれよ。“その方法では”助けられないって事だよ。」

園太郎「まさか……助ける方法があるのか!?」

藁にも縋る思いだった園太郎は、この怪しげな男の話に耳を傾けてしまう。

園太郎「つまり……雛子を助けたければ、そのカノッサ機関という組織に協力しろってことか?」

男の正体は、カノッサ機関員。本当に違う世界からやって来たのだ。彼曰く、鬼化症候群は能力の一種だと言う。そして、カノッサ機関は能力を消し去る研究をしているとも言った。この研究が進めば、雛子の鬼化症候群も消すことが出来るらしい。
到底信じ難い話であったが、彼が見せたこの世界に存在しない魔法のような能力や、同じくこの世界に存在しない精密機械の数々を見てしまっては、信じざるを得なかった。

機関員「ああ、そうさ。残念ながら、今の機関では鬼化症候群を抑える薬を作るので精一杯だ。だが、様々な世界の能力者のデータやサンプルを手に入れ、それを解析すれば能力を消し去る方法が見つかる筈さ。」

園太郎「その能力者調査や能力者狩りを僕にやれと……?」

能力者狩り、機関の別の部所では能力者を殺すことを指す場合もあるが、彼が所属する研究所では能力者の捕獲の事だ。
それは、生死を問わず、生きたまま捕獲された能力者も酷い実験の末、死んでしまうことも多いという、機関の残酷な面が見える仕事で、園太郎は直ぐに引き受けると返事をすることが出来なかった。

園太郎「でも……僕はそんなこと……」

機関員「そうかぁ、残念だなぁ……まぁ、君がそう言うならしょうがないねぇ。あーあ、可哀想な雛子ちゃん。ご両親だけじゃなく、お兄ちゃんにも見捨てられちゃうなんてねぇ。」

そう言って、立ち去ろうとする機関員。だが、その言葉を聞き、園太郎はすぐに機関員の肩を掴み引き止める。

園太郎「待って!僕は……僕はカノッサ機関に入る!」

園太郎(どうせ……どうせ世の中は父さんや母さんのように、冷たい奴等ばかりだ……どうなっても別に……それに……それに僕は雛子を絶対に助けるんだ……)

機関員「……うん、やっぱり君は優しいお兄ちゃんだ。」

こうして、歳桃兄妹は故郷の世界から姿を消した……


カノッサ機関新世界支部第三研究所。それが、この機関員が所属する研究所であった。

機関員「君は機関員にしては優しすぎる。だからほら、これを被りなよ。」

その機関の研究所にて、鬼を模した仮面を手渡される。

機関員「これを被ればあら不思議!君は優しいお兄ちゃんから、恐ろしーい鬼になれる!」

園太郎「鬼に……」

機関員「それから、能力を消し去る研究が成功するまでは雛子ちゃんに能力抑制薬を投与することになる。だけど、薬もタダじゃあない。だから、君がキチンと能力者の調査や狩りをしてくれないと渡すことが出来ないんだ。
要するに、ノルマを達成しろってね。まぁ、ノルマと言ってもそんな難しいモノじゃない。君が鬼になれば、楽にこなせるだろう。」

園太郎「……ああ、分かったよ。」

園太郎(そうだ……僕は鬼だ……鬼になるんだ……)

その日から、カノッサ機関に鬼仮面と呼ばれる人物が新たに加わった。


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