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ここだけ能力者達の物語投下所part1

2名無しさん:2017/05/10(水) 09:53:59
【作品名】包帯男の過去
【元スレ名】ここだけ平行世界、ここだけ世界の境界線
【注意事項】現在の境界線の設定と異なる部分があると思います。

とある世界があった。文明はあまり発達しておらず、大部分が砂漠、現代の基準からみたら古代文明と同等といったところか。この世界にも能力者は存在するが、数が少なく一つの一族に一人の能力者しか存在できない程であった。また、能力は代々受け継がれていくものであった。
この世界にある一族の一つ、紫の一族。能力を使った怪物退治を生業としている一族だ。この一族に伝わる能力は【光の右目】(ライトアイ)と呼ばれるもので、右目に宿り、右半身に光を纏いそれを変化させて戦うというものだった。この能力は、一族の男児が16歳になったら父親から継承されることになっている。それは強力な能力で、カノッサ機関や様々な組織に狙われることも多々あった。だが彼らは強く、能力を取られることは無かった。そんな一族に、一人の男児が生まれる。

男児の名は紫狼。紫狼は生まれた時から元気が有り余っているといった雰囲気で、父親の紫越(しえつ)、母親の紫桜(しおう)も手を焼くやんちゃな子へと成長した。

紫越「紫狼っ!何をやっておる!」

紫狼「うっせぇ!ハゲ!」

紫狼のイタズラに怒声を飛ばすこともしばしばあった紫越。そんな紫越を紫狼はあまり好きでは無かった。だが、【光の右目】には興味を示しており、早く使いたいと思っていた。
ーー時は過ぎ、紫狼の16歳の誕生日。この日に能力継承の儀といったものを行う決まりだった。

紫狼「めんどくせぇーさっさと能力使わせろよ。こんな形だけの儀式に何の意味があんだよ?」

紫越「ぶつぶつ言うな。始めるぞ。」

祭壇で儀を行う二人。だが、紫狼は心底退屈そうだ。紫越は、そんな紫狼に能力を継承するのを少し不安に思うが、自分の息子を信じれないなど父親失格だ。そう考え直し、紫狼に能力を継承する。

紫狼「へへっ!ついに念願の能力を手に入れたぜ!」

紫越「……調子に乗るでないぞ。その能力は傷つけるための物でない、一族を守る物だ。いいか、能力者としての誇りを忘れるな。」

紫越はいつも、口癖のように言っている。一族を守るための誇り高い能力だと。紫狼はこれにうんざりしており

紫狼「分かってるって。親父は心配性だな。俺にかかりゃ、パニック股間とかいう奴等も敵じゃないっての!」

紫越「カノッサ機関のことか?奴等には手を出すな。奴等はそもそも……」

紫狼「はいはい、わかったって。んじゃ、俺ちょっくら能力を試してくるぜ!」

話を聞かずに祭壇から出ていく紫狼。完全に調子に乗っていた。

紫狼「来やがったな!カニミソ機関!」

祭壇を出て、砂漠の方へ向かった紫狼の目の前に現れたのは、以前から【光の右目】を狙っていたカノッサ機関員達だった。彼らは、紫越を倒すのは難しいと判断し、能力を継承するこの日を調べ、能力の扱いに慣れていない紫狼を狙う計画を練っていたのだ。

機関員「光の右目!今日こそ貰うぞ!」

紫狼「やってみやがれ!発動、光の右目!!」

光を纏った右手で殴りかかる紫狼。だが、機関員はそれをヒラリと避ける。

紫狼「ちっ!避けてんじゃねえっ!」

再び右手で殴りかかるが、それもあっさり避けられる。それもそのはず、紫狼の攻撃は、紫越に比べて大振り過ぎるのだ。

紫狼「ちくしょう!なんで当たんねぇんだよ!?」

機関員「やはりこの程度か。予想通りの弱さだ。いや、予想よりも弱いな。終わりだ!」

侮辱の言葉と共に、機関員の攻撃が放たれる。それは、対能力者用のネットだ。

紫狼「くそっ!離しやがれっ!!」

紫越「紫狼っ!」

騒ぎを聞き、父親の紫越が駆けつけたが、時すでに遅し。機関員は紫狼に催眠ガスを浴びせ、静かにすると異世界への扉を開き、何処かへと去って行ってしまった。

紫狼「親……父……」

紫越「紫狼っ!!紫狼ーーーっ!!」


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