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ここだけ能力者達の物語投下所part1

19名無しさん:2018/10/06(土) 21:57:23
【作品名】Time After Time
【元スレ名】ここだけ世界の境界線


銃声に眼を閉じる。口に含む酒の風味は、酷くシケたものに感じられた。
遠くから下卑た笑いが聴こえてくる。殺し、戦い、死ぬ為だけに歩く兵士達による無意識下の挽歌か。
燃え盛るスクラップヤード。死者の嘆きと伸ばされる手には眼もくれず、ソーマタージは一人自室で酒を呷る。

「──────よっ、元気?」
声が聴こえた。どこか懐かしく、頭の中を掻き回す不愉快な明るい声が。
振り返らなくても声の主は解ってる。何の脈絡もなく現れ、彼の意識を掻き乱す者だ。
「……失せろ、この野郎」
「ありゃりゃ、何か不機嫌そう…。どうかした?ボクで良ければ聞いてあげるよ」

ギリリ、と鋭い歯が噛み合わせられた。怒りが一瞬でソーマタージの頭を温め、身体を追従させる。
振り向きざまに投げられるまだ酒の入ったグラス。顔にブチ当たり中身と破片、血を散らすはずだったそれは、背後の人物の顔面──────貌の無い、トンネルじみた空洞をすり抜けて壁に当たった。
「危な…っ!いきなりなにするのさ!?顔はやめてよ」
「黙ってろ!そのツラ以外挽肉にしてやろうか!」

普段は飄々とし、気紛れで好意と殺意をコロコロと写すソーマタージの顔。その顔は今や、宿敵と相対したかの様に揺るぎの無い敵意に歪んでいた。
「何度も出てきても無駄だ!生憎と俺の頭の中はもう満員なんだよ、唐変木のカマ野郎!
 その産まれる前にタマ落として親父に犯されたみてえな面と全身引っ込めて犬に喰われておっ死にやがれ!」
ゴシックロリータに覆われた身体を指差して怒鳴り散らす。それでも、目の前の少年は困った様に頭を傾けて白い髪を微かに揺らすばかり。
「参ったな……。どうかした?流石にらしくないぜ、つば──────」
「その名前を!口にするな!!」


電光石火の速さで伸ばされた手が貌の無い頭を掴む。ギリギリと、握り潰してやろうかと力を込めたのに指が固定されたかの様に動かない。硬すぎる。
「何なんだ手前は!ズケズケと現れやがってデカい口は効く、人を小馬鹿にした様な態度はする、ふざけた考えに殉じやがる───!」

「何で───! 何でオレに殺されたのにそうしていつも通りに振る舞える───!」


♦︎


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