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仮投下スレ

893題名不明 ◆WqZH3L6gH6:2017/08/17(木) 07:27:43 ID:AQlBGyAw0
承太郎は死者を蘇らせられるとは思っていないし、仮に死者との会話が可能になっても向こうから望まない限りは考えようとさえしない。
けれど孤独を強いられた魂をドライに見捨てられる男でもない。
承太郎は瓶の蓋を強く持つ。繭に囚われた魂の解放、それを目標の一つと定めつつ。
彼は両目を見開き、気を強く持ちながら瓶の中身を飲んだ。


・?日前 ??:?? 主催??

数々の武具、道具、果ては玩具が白い地面に散らばっている。
何人かの男女がそれを拾っては確認し口を出し、それを聴いた別の者がメモを取りつつ歩き回っていた。
ある1人の男が怪訝そうな表情で、その場を監督している者に近づく。
その男は2つの銃と2つの瓶を手に取っている。
それは所謂重複した支給品。男は■日後始まるゲームにおいてこれは良いのかと尋ねた。
監督役は懐から電子機器を取り出し、向こうに聞いた。
通話はすぐ終わり、監督役は男を一瞥すると「別に構わない」と返答した。
ゲームは予定通り行われ、同種の2丁の銃は1人は天々座理世、もう1丁は宇治松千夜に支給された。
そして2つの瓶――ある薬品は1つは園原杏里に、もう1つは――


・理世1

息はとうに切れている。
視界に映るは黒と深緑と霞がかった白。
胸中に渦巻く感情は混乱と罪悪感。
天々座理世は走っていた。ゲームの舞台H-4地点に向かって。
森の外に近づくに連れ熱気と煙が濃くなるのを感じる。
徐々に、今の彼女が知る由もない風見雄二と纏流子による戦火が広がっていたから。
だが火災があろうと、危険があろうと理世は避けながらもある場所に向かう。
香風智乃の遺体がある路上に。
ラビットハウスという拠り所の代わりとして。無意味と理解していても。

「…………」

森を抜け、やや離れた火災の煙に顔をしかめつつも彼女は進む。
真っ直ぐではなくふらふらと。
遺体に近づくに連れ、理世は生前の智乃に持っていた感情が変化していくのを感じる。
それは親愛だけでない。

目に映った遺体は紛れもなく智乃だった。
しかし今の理世には死んだ以上に認められない雰囲気が漂っていた。

「智乃だ、よな……」

智乃の遺体の状態は悪くない。絶望に固まった表情と致命傷である腹の傷を別にすれば。
戻ってきた理由はただ一つ、智乃を弔うこと。
理世は近づいた。

意外と悲しみも絶望も感じなかった。
理世は遺体を触れ森の方へ運ぼうとする。
遺体は固く、冷たく、そして重かった。

「う、うぅ……」

これは人でなくだった物だと、遺体の重みからそれを痛感した。


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