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仮投下スレ
891
:
題名不明
◆WqZH3L6gH6
:2017/08/17(木) 07:26:04 ID:AQlBGyAw0
・承太郎1
離れて四半刻は過ぎただろうか。本人の望みとは程遠い緩やかな足取りで前を進む。
紅林遊月と分かれた後、空条承太郎は南東へ向かっている。
全身が痛む。殺戮者に負わせられた多数の小傷と、小と言えぬ3つの裂傷。
その肉体的ダメージは仲間である風見雄二を探し求める承太郎にとって行動を阻害するものであった。
「……」
何度目になるか解らぬ深い息を彼はつく。
吐息を漏らす度に彼の脳内に少女の糾弾のような高音が響く錯覚に囚われる。
その声ではない声は紅林遊月が捜索しているだろう、天々座理世のに似ていた。
突き放すような事を言ったのが行けなかったのは解っている。
先の乱戦の初めに親しかった香風智乃を殺され、激昂の最中気絶させられ、目覚めた時にはここまでの戦況も
ろくに把握出来てない状況。これで落ち着けと言うのが無理な話だろう。
自分の欠点からの負い目が承太郎の傷の痛みを更に強くする。彼の体力だけでなく気力も削るように。
「!」
負荷に耐えきれなくなったのか、ついに承太郎の右膝がかくんと折れた。
彼は態勢をすぐ整えるものの、顔を少し下げてしまい、観念したかのように両膝を負った。
背と後頭部が草と軟土にとすんと着いた。焦りを覚える間もなく承太郎は意識を失い、仰向けに倒れた。
・1日目 11:??〜12:?? ラビットハウス1階(1)
「これのことは、あとで話すよ」
遊月はピルルクのルリグカードを仕舞うと雄二に問いかけ、
雄二は針目縫の変装を見破った理由を話し、仲間達を感心させた。
そして承太郎は情報交換に臨もうと言峰と雄二の方へ向かう、女性3人はぎこちない空気を漂わせつつ、
情報交換の場にいるのを申し訳なさげに拒否するや一塊になって二階に行こうとした。
その時遊月の身体に軽く当たった。遊月は返答に詰まるが承太郎は気にしないという素振りを見える。
遊月は察したのか軽く微笑む、承太郎はルリグカードを仕舞った箇所を見る。
それにも遊月は気づいた風だったが、今度は構わず無視して理世と智乃と一緒に上に上がった。
その後の三好夏凛の放送局からの放送の際も、承太郎は遊月に説明を求める様に見つめる事で暗に促したが、
「……」
それでも尚、遊月がルリグカードについて話す気配はなかった。
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