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仮投下スレ

832New Game ◆WqZH3L6gH6:2017/02/20(月) 06:49:49 ID:PrdeHxpA0

夏凜は眼帯女のいう単語に犬吠埼風を思い出し、眉をひそめるが気にしないと決め話を続ける。
2人は放送局跡の南方へ歩く。身体中に支給品である包帯などが巻かれた痛々しい姿で。

「あの人はいつの間にかいなくなっていた……。私がアイツに攻撃を仕掛けていた最中に」
「命惜しさに眼帯女に協力したか、あるいは端からゲームに乗っていたか……」
「学ランの大男は……」
「ホル・ホースの言だと乗るまい」

アザゼルは手当の最中に回収したホル・ホースの白カードを取り出し断定口調で言う。
夏凜は不意を突かれたかのように身じろぎし反論しようとする。

「……それは」
「楽観論とでも言いたいのか?くだらん。
 貴様を襲撃した際のやり口からして、ほぼ眼帯女の意思が反映されていたと見て間違いなかろう」

アザゼルは皮肉げに呟くと夏凜から顔を背けた。
先ほどとは違う冷たさも感じる彼の挙動に夏凜は何が何だか解らぬ様子で少々戸惑う。

「支給品を回収し終えたらセルティと合流し小湊達を捜索する」

アザゼルの方針表明は強い意志はあったものの、どこか独り言に近い響きが混じっていた。
夏凜はその発言で放送局で何が起こったか悟り、奥歯を噛み締める。
あの眼帯女を取り逃がさなければ、今となっては唯一安心できる仲間のるう子がいなくなったりはしなかったのに……。

「っ」

けれど、煮えたぎるような激情は何故か湧かなかった。
夏凜はそれがおかしいと思った。

「……」

アザゼルはやや不機嫌な表情で参加者を捜索し、夏凜はきつい眼差しで時折「るう子」と呟きながらかつての同行者を探しつつ
自らが重傷を負わせたホル・ホースの乗車していた車を探していた。。
彼女の右目に光はあれどそれは弱く、疲労からか視界が狭くなったからか頼りない足取り進んでいる。

「これか」

アザゼルは当面の目標の対象を発見し呟く。
窓ガラスが破損した車―メルセデス・ベンツ。今は亡きアインハルトの支給品。
夏凜は強く息を吐くとすぐさまドアに手を掛けようとするが、アザゼルに遮られ尻餅をつきそうになる。
彼女は抗議をしようとしたが、声を発する事も動く事もできない。

「?」


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