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仮投下スレ

829New Game ◆WqZH3L6gH6:2017/02/20(月) 06:45:54 ID:PrdeHxpA0
絵里はまだ前方のそれに気づかず、猫耳ヘルメットを着用し、某有名仮想オバケとアヒルをミックスさせたような物体をコート代わりに羽織って、腕輪の明かりをちらせかせつつ付いていっている。
寒気に耐えているような素振りを見せながら。

――寒くは無い筈だが……

セルティの体感的に人間が凍えるような気候ではない。
なのに絵里の様子は……とセルティは少女の心身を案じ、自らの疑問を伝えようとする。
絵里はいち早く気づき、苦笑いを見せた。


「……変ですか?」
「……」

セルティは明らかに変な支給品にはあえて突っ込まず、頭部?を動かして、先の光景を知らせた。
一行は既に数メートル先に進んでいる。

「あれは、家?」

石碑より更に先にあるのは一階建ての現代風の小屋であった。明かりは付いていない。
更に周辺には遺体も転がっていなかった。

『あそこで休憩しよう』

セルティは素早く文字を打ち込むと疲れたように肩をすくめた。
絵里は一瞬躊躇したが、肩を上げ下げする彼女を見て仕方ないかあという感じで口元に笑みを浮かべてセルティの前を行こうとする。
セルティは用心させるように絵里の身体を軽く掴んだ。
絵里はどきりとし歩みを止め、苦笑しつつ軽く頭を下げ、ゆっくりと先に進む。

「……」

掴んだ布はとても頑丈そうで、布越しからは明らかに震えがあった。

石碑は小屋より高く立っている。セルティはつい数時間前に墓場の側を通過していた。
通過した際に気づいてもおかしくない程。セルティは石碑に書かれた文字をちらりと確認する。

「?」
『後で話す』

今は絵里を休ませ、アザゼルに連絡を取るのが先決とセルティは決断する。
遠方で暗闇にも関わらず石碑の文字を確認できた彼女に対しての絵里の驚嘆の眼差しを感じつつ、セルティはドアに手を伸ばす。
そして絵里に見えないよう影をドアの隙間に侵入させ罠が仕掛けられてないか確認し終えると、ドアを開け中に入った。

照明のスイッチを入れると絵里にも部屋の全容が見えた。
食糧を除けば標準の生活が何日もできるだけの設備と物資があった。


セルティはシーツを探し出すと、先に腰掛けた絵里に手渡。
そして何気なしに訪ねてみる。

『絵里さんは参加者のカードを拾ったが、それで何かするつもりはあるのか?』
「え?私はただ……」

絵里が白カードに気を止めるようになったのはついさっきのこと。
カードを同行する発想など湧くはずもない。セルティだってそうだった。
――そうだろうなと納得し、落ち込む前に明るい材料を提示した。


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