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仮投下スレ
715
:
夜へ急ぐ
◆WqZH3L6gH6
:2016/07/15(金) 15:59:14 ID:/gRdK6EA0
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情報交換を兼ねた談話の締めくくりは以下のやり取りだった。
「分校に行きたいです」
「解った」
運転に集中する静雄を他所に蛍は車外を時折見回していた。
警戒していると言ってもいい。
臨也を殺害し、蛍に一生消えないだろうトラウマを植えつけた纏流子は死んでいないと推測していたから。
そんな彼女へ、若干不安そうに静雄は顔を向けずに言った。
「……あいつに会わなくていいのか?」
研究所に安置されている折原臨也の事である。
「気にならないと言っちゃうと嘘になりますけど……い」
今はと言いかけて、それを押し留めた。
あの時の臨也の言動は明らかに静雄を破滅に導こうとしていたと今の蛍に判断できるもの。
押しとどめなければ、あそこまで混沌とした感情に任せて不仲な理由を訊いてしまいそうだった。
折原臨也が一条蛍の命の恩人である事は変わりはない。
必要も無しに臨也への悪感情を抱いてしまいそうな質問は止めた方がいいと思えた。
「……悪い、巻き込んじまって」
それを知ってか知らずかの静雄の乾いた声。横顔を見ると渋い表情。
蛍は色んな感情をこり固めたかのようなその一声で、もうこの場で二人の関係を知ろうとする気は失せてしまった。
「……」
「……」
気まずい沈黙を抱えながら車は分校へ向かう。
程なくして旭丘分校の正門前へ到着する。
車から降りた二人は正門へ向かおうとした。
「あの平和島さん?」
「車をカードに戻したほうがよくありませんか?」
「……そういや、そうだな」
盗まれる可能性を思い至った事もあって、静雄は車に手を触れると漠然と戻れと念じた。
車は一瞬で縮小し、1枚の黒いカードへと変化していく。
静雄は珍しく気味悪そうに手にしたカードを見つめた。
「どうしたんです?」
「これ知り合いの持ち物なんだけどな……」
静雄の表情がどこか途方に暮れたように変化する。
蛍は曖昧に笑った。静雄は蛍の方へ顔を向けた。
恐怖の色はほぼ消えていたが、視線はやや彼の顔から外れていた。
仕方がないなと彼は思った。
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