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仮投下スレ

712夜へ急ぐ ◆WqZH3L6gH6:2016/07/15(金) 15:57:27 ID:/gRdK6EA0
自動車の形に変化したコシュタ・パワーの運転に大分慣れてきたなと長身の男はふと思った。
人智を超える力と強靭を併せ持つ指先が硬い地面をえぐり続け大きな穴を形成していく。
地面を掘る長身の男は平和島静雄、その傍らには小柄な少女の壊れた人形のような遺体があった。
静雄は埋葬作業による疲労からではない溜息をつくや、今も車の中で眠り続ける少女の事を思う。

一条蛍。
相容れない敵である折原臨也と同行した、最初の仲間であった越谷小鞠の大切な後輩。
纏流子の強襲で傷浅くも倒れ未だ目覚めぬ少女。
小柄な少女の、蒼井晶の遺体を見つけたのはたまたま。
過去いくつもの死体を見てきた静雄でも無残な遺体をそのままにするのは気が咎め、蛍が眠っていることもあり、
簡単にだが弔うことに決めた。


土を被せ、瞑目する静雄。
流子との戦闘の合間に言われた蟇郡の警告が脳内に響く。


――俺が守っていなければ、一条は既に3度は死んでいた


口元を引き締める。
蛍を守れるのか、いやそれ以前に鬼のような自分を見て恐慌してしまわないだろうか……。
怒りに流されて害を撒き散らせてしまわないだろうか……。
不安に胸を押されるようだ。苦悩から汗が一滴流れる。だけどこれ以上喪わない為に折れる訳にはいかない。

「セルティ……」

数少ない友人の名を思わず呟く。彼女は放送では呼ばれていない。
でも縋るつもりはなかった。
彼女は彼女で苦難にぶちあたっている可能性があると思い至ったから。
同時に彼はここに来て漠然とだが仲間が必要だと思った。
せめて自分が戦っている間に同行者を避難させてくれる人を……。


「は……」


漏れた声に含まれるは自嘲。
静雄でさえも殺意と殺意が渦巻くこの地でそれは贅沢とも言える望みかも知れないと思ったから。


「……!」


何かを叩く小さな音。音の発生源は少し離れた所。
停めてある車のドアからだ。
こんこん、とまた音がした。
駆けつけたい衝動を抑え静雄は振り向く。
車の方から軽い緊張が感じられた。静雄は僅かに身をこわばらせ向こうの反応を待つ。


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