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仮投下スレ

696 ◆X8NDX.mgrA:2016/04/21(木) 21:36:01 ID:f4EOfDks0
「く――分かった!嬢ちゃんの下につく!」

 その言葉に、再び縫の動きが止まった。
 呆けたような顔――というより、信じられない馬鹿を見るような目でホル・ホースを見てくる。
 どうやら予想斜め上の返事だったようだ。

「俺を利用してくれて構わない!いや、むしろ利用しろ!
 たったそれだけで命が助かるってんなら、安いもんだぜ!」

 なりふり構わずに、ホル・ホースは魂の叫びを上げた。
 生きることへの強い執着心が、とうとうその言葉までも口にさせた。

「へえ」

 そして、その言葉が縫の嗜虐心を刺激したらしく。
 口を半月の形に開くと、いかにも楽しそうな声でこう言った。

「じゃあ、ちょっと実験させてよ!」

 そうして気持ち悪いくらいに可愛い笑顔で、ホル・ホースの近くに歩み寄る。

「な、おい、なんだってんだ!?」

 縫に頭を掴まれた、次の瞬間。
 ホル・ホースは、生命戦維を脳内の奥深くまで侵入させられた。
 『精神仮縫い』とは異なる、異物を脳に入れられたことにより走る激痛。

「ぐあああああああああっっっ!!?」

 ホル・ホース自身、どういう状況なのか理解できていないだろう。
 未知の痛みに耐えかねて、両手で頭を押さえたまま、その場に倒れこんだ。

「ぐ、テメー……」
「あーあ、実験失敗かな?残念無念☆」

 少しも残念そうではない声を、朦朧とする意識の中で聞きながら。
 ホル・ホースは、縫のお遊びで殺される自分の不甲斐なさを、痛感していた。

(すまねぇな、アインハルトの嬢ちゃん……)

 その瞬間。
 このまま死んで、諦められるのか。
 そんな、よくある自分への問いかけが聞こえた気がした。






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