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仮投下スレ

656悪意の種、密やかに割れて ◆NiwQmtZOLQ:2016/04/08(金) 19:59:40 ID:BdiowsKo0

B-7にあるホテル、その一室。
東側に窓があるその部屋は既に日光が差し込む危険もなく、カーテンが閉められている。
かといって室内の照明器具が点いている訳では無く、結果として部屋の中は、普通の人間が辛うじて活字を読めるか程度の明るさで満たされていた。
薄暗闇に包まれたそんな部屋の中で、唯一ひっそりと自ずから光を放っているものが一つ。
ありふれたサイズの液晶画面であるそこに反射する姿は、先程のシャワーのお蔭で殺し合いの場であるにも関わらず清潔感に溢れる一人の男。

帝王DIO、その人だった。





あれから。
麻雀に快勝し気分を良くしたDIOは、尚も他の娯楽で暇を潰そうとして、娯楽場の案内図を見に行こうとした。
しかし、実際に案内図を見て―――――正確にはその横にあるホテルの案内図を見て、より有意義な時間の過ごし方を発見した。

―――――ホテル内の、綿密な探索。
もしも敵が強襲してきた時、そしてその敵が万が一にでも日光というDIOの弱点を把握し、外に面する場所へ誘導するなどといった姑息な手を使ってきた場合。
こちらも流石にホテルの中を、単に地図で掴んだ概要以上にしっかり把握しておかなければいけない。
吸血鬼としての身体に『世界』という最強のスタンドを持つ自分だが、あのクソッタレの侍共のように、必死に小さい頭を捻って考え付いたなけなしの策が、「偶然」このDIOの域に達することが「万が一にでも」存在するかもしれない。
だが、帝王が完全に地の利を理解しているのであれば、そんなちっぽけな偶然すらも水泡と帰す。
そう、これはこのDIOの勝利をより盤石にし、虫ケラごときがあろうことか二度も勝利するような、間違ってもあってはならない事態を防ぐもの。

DIOの持論の一つに、「恐怖を克服する為に生きる」というものがある。
名声、支配、金、友人―――――それらのものは全て人間が生きている上で安心するために手に入れようとする、という論。
DIOが今しているのは、まさに今「万全を期す」という形で安心を得るという行為だった。

「ふむ、ここは…」

DIOが開いた扉は、そのほかの部屋のような豪奢さがなく、シンプルにデザインされた机が並ぶ事務室。
整理整頓がきちんとなされている―――――というより、机の奇妙なまでの小奇麗さや、ペン立てに入った使用した形跡がほとんどないように見えるペンを見るに、実際には一回も使用されていないのだろう。

「つまりは、このDIOが初めに使うことができるということか」

東向きの窓に念入りにブラインドとカーテンを掛け、部屋を物色しようとして、少し奇妙な事に気付く。
どの机にも、テレビに似た画面が嵌め込まれた、見慣れないものが並んでいる。
しかし、DIOが知るテレビはこんなに薄くないし、そもそも一つあれば十分といった代物の筈だ。
それがいちいち個人の為に用意されているというのは奇妙だし、そもそも娯楽である筈のテレビがこんなに遊びが無いように見える場所に大量に設置されているというのもおかしな話だ。

「面白そうだな…調べてみるとするか」

そう言って机に近寄り、慎重にディスプレイを調べてみる。
間もなく裏面にあるコードが、下にある何やら大きな箱のようなものとつながっていることがわかり、興味の対象はそちらに移る。
手で触ること数十秒、そちらにランプが併設された小さなボタンがあることを知り、迷いなくそのボタンを押しこむ。

―――――途端、先程まで暗転していた液晶が輝きだした。

やはりテレビのようなものだったのか、と思うDIOの前に現れたのは、しかし彼の興味を引くには十分な一文。




『殺し合いサポート専用パーソナルコンピュータ システム起動』




という、そんな一文だった。


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