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仮投下スレ

185シャロと殺意なき悪意 ◆7fqukHNUPM:2015/08/11(火) 16:22:35 ID:VTq8bey60



「ピルルク……あんたの『ピーピング・アナライズ』。使わせてもらう」



黒いカードから出てきたのは、青い少女の絵が描かれたカードと、一束のカードデッキだった。
『ルリグ』というカードの一人である少女、青い髪に青い瞳。そして青い服。
名前は、ピルルク。遊月も大嫌いな卑劣プレイヤー、蒼井晶が使っていた、本当なら絶対に頼りたくなかった大嫌いなカードだ。
その少女、ピルルクは感情をみせない声で問いかける。

「いいの? あんなにこのアーツを毛嫌いしていたクセに」
「きらいだよ!! やっちゃいけないことだよ!」

このカードのアーツ『ピーピング・アナライズ』は、人間の心を読む。
相手が、どんな願いを以って戦いに臨んでいるかを曝け出してしまう。
本当なら、それはセレクターバトルの対戦中に、カードの持つ技として発動する能力だ。
一般人相手には使えない、ウィクロスのバトルフィールドでしか使えない力だ。
でも、シャロと出会う前に、ピルルクから嫌々ながら聞き出した限りだと、『使える』。
カードバトルで、アーツを使うために何ターンかエナチャージしなければならないように、
『何時間か力をためなければいけない』という制限はついているけれど、使える。

「でも、このままじゃ、いつかもっとひどいことを考えそうで……シャロさんをそれに巻き込みそうで、怖いんだよ!」

人を殺すなんて考えたくはないけれど、
もし遊月がこんな風にガタガタになって、それでシャロの足を引っ張り、悪いこと、致命的なことが起こったとすれば。
そんなのは絶対にいけない。
かといって、『願い』のことをルリグの花代と友達のるう子を除いて、誰にも打ち明けてこなかった遊月に、『こんな願いのことで困ってるんです』と相談できるわけもない。

最終的に遊月が出した結論は、『桐間紗路の心を読むことで紗路が抱いている『願い』を知り、『だから、そんな願いを踏みにじるのは止めよう』と自分自身に釘を刺す』というものだった。
ひどく勝手だ。心を読まれるシャロからすれば、たまったものじゃない。
一度、同じように心を読まれて傷だらけにされたことがあるから、その重さは嫌というほど知っていた。
でも、逆に、自分勝手だとしても、それだけ酷いことをすれば。
それ以上の酷いこと――『死なせる』とかに至る前に、絶対にブレーキがかかる。
罪の重さをしれば、それ以上に酷いことをしようなんて思えなくなるはず。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいと。
彼女には聞こえないのだから、言っても意味の無い謝罪を言いかけて、止めて。
ピルルクから、彼女の願いを聞き出した。
それが、どんな結果を生むかなんて予想もせずに。

ピルルクにこっそりと見させた『シャロ』を、言ってもらった。


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