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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

404小閑者:2018/04/19(木) 12:47:06
 テレビの中でガッツポーズをきめる勝利チームのキャラクターを背景に、勝者を称える賑やかな曲が無言のリビングに響く。
 跪いているなのはの様子を見る限り、それなりに想い入れのあるものなのだろう。普通に考えれば買い換えれば済む物にこれだけ落胆していると言う事は、愛着の分だけ同じ性能の別製品とは一線を画するのかもしれない。
 無論、弁償はするにしても、こればかりは気軽に笑い話にする訳にもいかないだろう。
 恭也ですら神妙な態度をとっている辺り、なのはの落ち込み具合が分かるというものだ。

「あ、あの、ごめんね、なのは。
 興奮して、熱が入りすぎちゃって…」
「入ったのは電流やったけどな」
「あー、すまんな、なのは。
 大人げも無くはしゃぎ過ぎてしまった」
「いやいや、恭也さんは正しく子供やろ」
「あ、はは、し、仕方ないよ、2人とも初めてだったんだし。
 気にしないで?」
「顔蒼褪めさせてまで頑張っとるところでなんやけど、いくら初めてでも普通は握り潰さんし、焼き切らんけどな」

 一々はやてが茶々を入れているが、別に空気が読めていない訳ではない。一緒に遊んだメンバーの中で唯一、被害者にも加害者にもならなかったので、あまり深刻にならないようにという配慮のつもりなのだ。
 尤も、恭也に順応しつつあるこのメンバーに対して取る態度としては、やや不用意と言うか軽率と言うか、ぶっちゃけ、絡まれに行ったようなものである。
 口火を切ったのは加害者チームだった。

『お詫びと言ってはなんだけど、次のはやてとの模擬戦で憂さ晴らしすると言う事で一つ』
「まままま待たんかい!声を揃えて何を恐ろしい提案しとんの!?」
「じゃあ、お言葉に甘えてS.L.B.3連発くらいで手を打つよ」
「打たんといて!たとえ非殺傷でもショック死するわ!
 深刻にならんように場を和ませようとしたはやてちゃんに酷いんちゃう!?」
「単に部外者的な立場になったのが寂しくて絡んできただけだろ?」
「な!?
 ちゃ、ちゃうわ!そんな注目集めるために泣きわめく子供みたいな事せえへんちゅーねん!」
「大丈夫だよ、はやてちゃん。
 誰も無視したりしないし、寂しがるのは恥ずかしい事じゃないから」
「待って!そんな生温い目で見つめんといて!
 …ん?その、さも理解者ですよ、言う顔で擁護するって事は、寂しがり屋1号はなのはちゃん?」
「にゃ!?」
「藪蛇だったな」
「大丈夫だよ、なのは。なのはに寂しい想いなんてさせないから」
「ち、違うよ!私だっていつまでも子供じゃないんだから!」
「前の時から2ヶ月も経ってないけどな」
「それより、なんで一番寂しがり屋のうさちゃんキャラっぽいフェイトちゃんがそっち側なん?」
「飛び火してきた!?」

 沈下してしまったかと思いきや、再び賑やかになった子供達を夕食の準備を進めながら眺めていた大人達が感心する。

「なのはをあそこまで落ち込んだ状態から復帰させるとは、なかなかやるな」
「前に美由希がゲームCD踏み砕いた時には3日は沈み込んでたんだけどな」
「次の日には同じソフト買ってきたんだけどねぇ…」
「人には分からない違いが有るんでしょ。
 それにしても、目まぐるしく攻守交替するのね。流石にジェネレーションギャップを感じるわ」
「う〜ん、あの会話のテンポには私もついていけないかも」
「美由希、あんたまだ若いんだから頑張らないと。恭也の事、老成してるなんて言ってられないわよ?」
「恭ちゃんほど酷くないよ!」
「その会話は十分酷いぞ」
「そう言えば、あっちの恭也君は漫才みたいなノリにも参加出来るのね」
「なのはの話では主導権を握るのは大抵彼のようだぞ。恭也と似てるのは顔だけなんじゃないのか?」
「放っておけ」
「士郎さん、あんまり恭也をいじめないの。
 よし!完成。
 恭也、あの子達呼んできて」
「了解」

 恭也にとって風向きの怪しい会話が続いていたためこれ幸いとリビングへと移動してみると、どういう経緯でそうなったのか、『本物のウサギ』を追求していた少女達から心の底から怯えるリアクションを返されてマジ凹みすることになるのだった。


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