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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

398名無しさん:2018/03/05(月) 00:26:43
 尤も、誤解を解いている美由希自身が非常識に分類される事は確定しているため、この説明にどれほどの意味があるのかは疑問の余地があるのだが。
 また、フェイトは説明を省いたが、銃器で武装して狙撃レベルの奇襲が出来れば魔導師にも勝てる。バリアジャケットは強度に応じて常時魔力を消耗するためそれほど高く設定しないからだ。勿論、それには殺害かそれに準ずるほどの負傷を負わせる事が条件になるため、殺し合いが前提の話だ。
 逆に奇襲に失敗すればまず勝ち目がなくなる。魔力の出し惜しみをしなければ、よほど大威力の銃器でなければ防げるし、専用の装置でもなければ探査魔法を掻い潜る事が出来ないからだ。

「魔導師ランク、だっけ?
 因みにフェイト達のランクは?」
「私は半年程前にAAAの認定を受けました」
「私は受けたこと無いけど、クロノ君達が言うには同じくらいだろうって」
「私も受けたこと無いですね。魔力量は多いらしいですけど照準とか収束とかの技術的な事がからっきしなんで、よっぽど訓練してからでないとごっつい低評価になりそうです」
「ふうん。
 それで、不破君との模擬戦の結果は?」
「…最初の頃は一応優位に立ってたはずなんだけど、最近はどうやって優位に立ってたのか思い出せなくなってきちゃったかな」
「昨日、3人掛かりで総攻撃して漸く捉えられたんですが、その、3対1だったのに魔力量に頼った『物量作戦』だったのであまり…」
「スマートじゃなかった?
 でも、資質を効果的に使うのは別に恥じる必要は無いと思うけど?」
「そう、ですか?」
「うん。
 それに、勝ち方に拘るって事は『拘っても勝てる』と思ってるって事でしょ?同等以上の相手だったら形振り構っていられないはずだよ。
 最低ランクの不破君が相手なら勝って当然?」
「ち、違います!
 そんな、ことは…あぅ」

 思わず否定したが思い当たる節のあるフェイトは尻すぼみになってしまった。ショックのあまり強ばった顔を隠すように深く俯くフェイトに美由希が苦笑する。
 勿論、フェイトが恭也を見下していたなどと言う事はない。そもそもランク以前に3人掛かりで挑んでいるにも関わらず戦闘技術で敵わないからと、先天的な資質である魔力量頼りのゴリ押しという手段に出る事を恥じるのはある意味当然なのだ。広範囲型の魔法が殲滅系とか戦略級とか呼ばれる大威力魔法しか持ち合わせていない事もその考えを助長しているかもしれない。
 ただし、1対1での訓練で恭也の領域とも言えるクロスレンジに踏み込んで敗北を続けていたのは事実だし、その戦い方を恭也から指摘されていながら頑なに戦闘スタイルを変更していないのも確かなのだ。
 本人にどのような意図があろうと、魔導師ランクという評価基準が存在する以上、それは見下しているという解釈も出来なくはない。尤も、それで連敗しているのだからあまり説得力があるとは言えないのだが動揺しているフェイトはそこまで考えが回らないようだ。
 そんなフェイトを見ていられなかったなのはとはやてが美由希に抗議の声を上げた。

「違うよ!
 フェイトちゃんは得意な分野で強くなろうって頑張ってるだけだよ!」
「そうです!
 格上の相手に挑む、言うんは見下すのんとは正反対や!」
「なのは、はやて…」

 分かってくれる人は分かってくれる。誤解して欲しくない親友達の声援にフェイトは胸が熱くなり、潤んだ瞳で2人に抱きついた。
 話を振った美由希も期待していた通りの結論に落ち着いた事に安心して、抱き合う3人を微笑ましく見つめ、年長者の責務として苦言を呈す。

「自分の方向性を把握してるのは良い事だね。現状に満足せずに上を目指すのも立派だと思うよ。
 でもね、得意分野を伸ばしたとしても不破君に追いつくのは簡単じゃないよ?」
「?
 それはそうですよ」
「へ?」

 不思議そうに肯定するフェイトに意表を突かれた美由希が間抜けな声を上げるが、なのはとはやてにとっても同じ結論なのでどちらもフェイトと同じ顔をしている。


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