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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載
393
:
名無しさん
:2018/03/04(日) 23:53:11
高校生の美由希は当然として、耳年増気味のはやても、同室で着替えるという暴挙に及ぶ事で羞恥心を体感したフェイトも、なのはの言葉は受け入れられるものではなかった。
だが、なのはにとっては驚愕を示すみんなの反応の方が意外だった。滴るほどの汗にまみれた恭也だって少しでも早く風呂に入った方が良い、なんてことは言うまでもない事だと思っていたからだ。
「な、なのは、不破君は男の子だから一緒にお風呂に入るのは止めた方が良いと思うよ?ね?」
「え、でも、10歳までは良いんでしょ?」
「そりゃあ、銭湯はそういうことになってるけど…」
「なのはちゃん、出来れば私も一緒に入るのはちょっと…」
「私も…」
「ええ!?で、でも、恭也君が風邪引いちゃうよ!?」
真っ赤になっている3人に対して、改めて驚きの声を上げるなのはにフォローを入れたのは恭也本人だった。
「この位で引いたりしないからさっさと入ってこい。
お前達は兎も角、お前の姉と一緒に入るのは俺も御免だ」
「ぁぅ…」
「へぇ、美由希さんだけなんや…」
「利害が一致してるんだから、そこで食い下がるな」
「むぅ」
「なのはもそろそろ認識を改めておけよ。ルール以前にあまり無防備だとあらゆる意味で周囲に被害が及びかんねん」
「えぇ〜?」
不満、と言うよりは理解出来ないと言う顔のなのはに揃って苦笑を返す。
基本的になのはは異性への警戒心が低い。
勿論、なのはにだって羞恥心は有る。それなのに恭也と入浴することに抵抗を感じないのは、想像が追いついていないからだ。
風でスカートがめくれてパンツを見られたら恥ずかしいと感じる。それは経験があるから良く分かっている。
だが、なのはには幼稚園以来『男の子とお風呂に入る』という経験が無い。父や兄はなんだかんだと理由を付けられて入ってくれなくなったのだ。だから、異性との入浴が恥ずかしいものだという一般論が具体的に理解出来ていないのだ。
フェレットの姿をしたユーノと一緒に入っていた事も、男子との入浴に対する抵抗感を下げている一因になっているのだろう。
尤も、フェイトと同じ様に、実際に一緒に入浴すれば思考回路がショートしただろうことは容易に想像出来るのだが。
脱衣場に到着すると美由希が中へ入り、続いて足を踏み入れた恭也が入り口付近で立ち止まって中を見渡した。
洗面所も兼ねた脱衣所はそれなりの広さを持っていたが、子供を含めた4人が同時に着替えるには流石に手狭だった。
とは言え、この状況で贅沢を言っても仕方がない。椅子の類が無いため、恭也はなのはとフェイトを床に降ろした。
「あ、恭也君、ありがとう」
「ありがと、恭也」
「良いからしっかり温まってこい。
それじゃあ美由希さん、3人共自力で服も脱げないだろうが宜しく頼む」
「りょーかい。
不破君も体を冷やさないようにね?」
「心得ています」
そう言い残すと恭也は惜しげもなく背中を見せて脱衣所のドアを閉めて出ていった。
「…ねぇ美由希さん、少しくらい興味を持ってそうな素振りがあってもええと思いません?」
「あ、あはは…
まぁ、女の子の裸に興味を持ってもおかしくない年頃だとは思うけど、もの凄く恥ずかしがり屋な上に自制心も強そうだから、そんな素振りは簡単には見せてくれないと思うよ?
それにはやてだって、相手が女の子なら誰彼構わず着替えを覗こうとする不破君なんて嫌でしょ?」
「それは、まあ、確かに…。
ところで、フェイトちゃんは何で真っ赤になっとんの?」
「な…なんでも、ないよ?」
「…ひょっとして、恭也さんに覗かれたん?」
「ちちちちちちがうよ!!
単に一緒の部屋で着替えただけだし恭也は見ないように背中を向けてくれてたから私が一方的に見てただけだもん!!」
「へ〜そうなんや。
じゃあ、詳しい話はお風呂に入りながら聞かせて貰おか」
「…は!?誘導尋問!?」
「そんな高度な駆け引きじゃなかったと思うけど…
まぁ、何にしても脱がせ終わった子から湯船に放り込むからね?
っと、その前に水で埋めて温くしておかないと凍えた体には辛いか。
あ!そう言えば着替えが要るんだ。なのは用の買い置きがどこかにあったかな?
みんな、ちょっと探してくるから自力で脱げるだけ脱いでおいて」
『はーい』
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