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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載
376
:
名無しさん
:2018/02/24(土) 22:23:08
「さて、と。
憂さ晴らしも済んだ事だし、話を戻そうか」
そう切り出した恭也の様子が普段の泰然とした雰囲気を取り戻している事にはやてとフェイトも安堵した。
高町家を訪れてから、もっと言ってしまえばなのはの兄と対面してから、恭也の態度が少しずつ堅くなっていくのを2人も感じていたのだ。
だから、恭也の心境を察するには至らなかった事も一因とは言え、恭也のために行動する事が出来ない不甲斐ない自分に心が沈み、行動出来るなのはを羨んでしまう。
はやてははやてなりに、フェイトはフェイトなりに恭也を支えているのだが、美由希の考え通り成功よりも失敗の方が印象に残り易いのだ。そして、それはなのはとて例外ではない。
当然の事と考えて何気なく採った行動こそが恭也の助けになっている場合が多いため、尚更本人達は自覚出来ていない。そして、人を羨む様な考え方自体を恥ずべきものと考えている3人は、互いが互いを羨んでいるなどとは夢にも思っていないのだった。
人生経験の浅い小学生なのだから当然とさえ言える結果ではあるのだが、恭也の事を鈍感と認識している自分達自身もまた、五十歩百歩だと気付けるのはまだ先の事なのだろう。
「きょ…高町さん。
先程の『確かめたい』という言葉は、手合わせする、と解釈して良いんですね?」
妹達とのテンポの良い会話から一転して、自分の呼称に迷う少年に名状し難い想いが過る。
単に彼自身と同じ名前を口にするのに抵抗があると言うよりは、自分を『恭也』とは認めない、という意思表示なのだろう。
無理もない事だと自分を納得させて、恭也は努めて感情を殺しながら先を促した。
「…ああ、それであってるよ」
「先程も言いましたが、俺の技量自体は俺という存在を説明する上で何の関わりも無いはずですが?」
「確かに技量の高低は関係ない。個人的に興味はあるがな。
だが、手合わせで見たいのは技量ではなく剣技そのものだ。
君の修めた剣術流派の思想を知るには手合わせするのが一番だからな。
どんな戦いを想定して、何を勝利目標にするか。
そういったものは戦い方に反映されるから、たとえ道場での手合わせであっても見えてくるし、勝敗にも左右されない。
勿論、手合わせ自体、無理強いするつもりはない。だから、わざわざ曲解して『技量』なんて言い出さなくても普通に断ってくれればいい」
「それをわざわざバラす辺り、外見からは想像出来ないほど性格が悪いようですね」
「…まあ、身内からは意地が悪いとよく言われるんだが、これだけよく似た容姿でその台詞が出る辺り、君も良い性格してるね」
「ええ、性格が良いとはよく言われます」
「面の皮も厚いようだ」
無表情のまま互いを皮肉る様子は、鏡に向かって自分を婉曲に罵倒しているようで、見せつけられている少女達の方が居たたまれない。
そんな事は知った事かと言わんばかりに眉一つ動かさずに口を閉ざした少年を、恭也も静かに見据え続ける。
勿論、意外な口の悪さに腹を立てている訳でもなければ、ましてや唖然としている訳でもない。単に、この沈黙が何らかの葛藤に因るものだと察して結論が出るのを待っているのだ。
なのはの口添えがあったお陰で、再考には辿り着いた。勿論、再考した結果として改めて拒否される可能性もあるが、結局のところ無理強いしたところで本人にやる気がなければ意味は無いのだ。なるようにしかならないだろう。
恭也としても彼の技量に興味はあったが、言葉通り『興味』、つまりは好奇心以上のものではない。
そして、興味と言う意味では、どうして彼がここまで手合わせを拒むのかが気になり始めていた。
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