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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

370名無しさん:2018/02/24(土) 22:04:26
 恭也の合いの手に内心で喜びつつ、表情をしかめて反論する。

「それは大袈裟やろ?失礼な。
 そもそも、こないに可愛いダルマなんてあらへんわ」
「冬眠直前の皮下脂肪を蓄えた熊と言ったところか」
「もっと失礼な!誰が熊やねん!」
「そうだよ、はやてちゃんはもっと可愛いよ!」
「うん。クロノが言ってたよ、はやては子ダヌキだって」
「そうそう。
 可愛い可愛い子ダヌキや!ってちょっと待てい!」
「フェイト、それは外見より中身を評したものの筈だ。
 恐らく4:6くらいの割合で」
「内面6割かい!いや、外見4割も十分失礼やけど!」
「え?タヌキ可愛いよね?」
「なのはちゃん、それフォローになっとれへんから!」
「えぇ!?可愛くない!?」
「そことちゃうねんて!私が言いたいのは!」
「違うの?」
「狸は狐と並んで人を化かす生き物とされているんだ。
 人を陥れる様な悪質なものから、からかう程度の軽いものまで幅は広い。
 それにしても、大した接点も無いはずなのにはやての本質を見抜いている辺り、ハラオウンを甘く見ていたようだ」
「感心するところちゃうやろ!」

 先ほどの重い空気が消えて、賑やかに連れ添って歩く。
 そんな一同を高町家で出迎えたのは、高町兄こと恭也と、高町姉こと美由希だった。

「ただいまー」
『お邪魔します』
「いらっしゃい」
「いらっしゃい。
 母さんから電話で聞いてるよ。みんな、夕食も食べてくんだよね?」
「美由希は台所に近づくなよ?」
「酷ッ!?」
「クリスマスに何をしたかもう忘れたか?
 寒かっただろう?兎も角上がってくれ。
 はやてちゃんは車椅子ごとの方が良いかな?」
「あ、すいません。
 タイヤを拭ける雑巾か何か貸して貰えますか?」
「ああ、ちょっと待っててくれ」
「いや、俺が運びますよ。
 流石にバリアフリーになってる訳ではないでしょう?
 はやて、掴まれ」
「へ?
 わ!?ふわわわわわ!?」

 その場にいる全員が言葉の意味を理解する前に、恭也がはやての膝裏と肩に腕を回して抱き上げる。
 普段、風呂など車椅子の使えない状況でシグナムやシャマルに抱き上げられている為に、持ち上げられたはやては条件反射で恭也にしがみついた。
 軽々と持ち上げられたはやては顔を真っ赤にしながら恭也の腕の中で心底から思った。恭也の忠告通り厚着をしてきて良かったと。
 動きを阻害される事を嫌う恭也は雪が降る程度の気温であっても厚着をしないため、はやても無理して薄着をしていたら恭也の逞しさとか温もりとかいった諸々の物を直に感じ取って脳みそが沸騰していたかもしれない。
 シグナムに抱き上げられた時だって十分な安定感があって不安に思った事など無いのに、恭也の腕の中だと不思議なほど安らげるのはどうしてだろう、などと停止寸前の思考で考えていると恭也の声が聞こえてきた。

「はやて、襟を放して貰わないと離れられないんだが?」
「へ?
 …ごごごごごめんなさい!」

 いつの間にかリビングのソファに下ろされていた事にも気付かずにしがみついていたはやては、恭也の声で漸く我に返って大慌てで手を離した。
 ドクンドクンと激しく力強く脈動する心臓と火照る頬から自分の顔がどうなっているか予想出来たはやては、顔を隠すように俯く事しか出来ない。

「外見が似るとこういう所も似るものなんだねぇ」
「美由希、何の話だ?」
「女の子はいろいろと大変だよって話」
「…そうは聞こえなかったが?」
「そうなの。ねー?」
「えっと、お姉ちゃんの言う通り、かな?」
「多分、合ってると思います」
「むう」

 間違いなく自分への悪口だと思っていたのに、なのはとフェイトに同意されてしまったため追求出来ない高町兄。
 末妹に激甘な彼は、最近急速に子供から女の子に変わっていくなのはに困惑する事が多くて困っていた。素直な所や優しい所が無くなっていないのがせめてもの救いだろうか?


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