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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載
361
:
名無しさん
:2018/02/24(土) 21:23:30
からかっていたはずなのにいつの間にか誤解を解く事に必死になっているはやてと、恭也に好きな相手がいると思い込み膝を突きそうなほど落胆するフェイト。
絡みに行って軽くあしらわれたはやては兎も角、巻き添えを食らったようなフェイトは少々可哀想にも思うが、簡単に扇動されてしまうのも問題と言えば問題か。
とはいえ、守護獣としては主とその友人が悲しみに沈むのを看過する訳にはいかない。勿論、無骨な自分が直接口を出しても好転するとは思えないので適任者に任せることになるのだが。
<シャマル>
<はいはい>
「はやてちゃん、フェイトちゃん、ちょっと落ち着いて。
恭也君が言いたかったのは、ザフィーラの事もアルフの事も動物形態の時には見たままの姿で接してるってことなんですから」
「え?え?」
「…見たまま?」
2人にシャマルの言葉に反応するだけの冷静さが残っていることにザフィーラが密かに安堵する。
どちらも聡い少女なので、聞く耳さえあれば説明を続けることで誤解も解けるだろう。
先の見通しが立ったことでザフィーラは改めて恭也の様子を伺った。投げっぱなしは良くある事だがいくらか違和感を感じたのも事実だった。
「…何かあったのか?」
「…特に自覚は無いが、質が悪かったか?」
「多少な」
「ふむ…。
話が進まない事に苛立っていたのかもしれんな。話の内容にプレッシャーを感じているのか…?」
「話?主の軽口にか?」
「俺がこれから話そうとしてる内容に、だろうな。
済まんな。大人げない真似をした」
「…謝るほどの事ではない」
『お前は十分子供なのだから』
そう言葉を続ける事がザフィーラには出来なかった。
これだけ頼りきっておいて、という後ろめたさと、一時期の不安定さは脱したとはいえ、やはり恭也の立ち位置を揺るがせる真似は避けたい、という不安。
子供扱いされる事に反発するほど恭也が子供だとは思っていないが、そうする事で恭也の精神的負荷の増減が計れないザフィーラにはどうしても踏み込めない。
恭也の特殊性を除いたとしても人の心は難しい。
守護獣としてのプライドに懸けて弱音を晒すつもりは無いが、ザフィーラとしても心苦しい状況が続いていた。
「じゃあ、恭也さんはホントのホントに誤解しとらへんのやね?」
「しつこく念押しされると誤魔化そうとしてる気がしてくるから不思議だ」
「もう言いません!もう言いませんから、堪忍してください!」
「ふむ、フェイトも良いのか?」
「あ、うん。
でも、別にアルフが恭也の恋人でも、私はその、構わない、けど…」
「その割には歯切れが悪いな。
誤解したままでも構わないが、アルフを巻き込むのは本意ではないから一応言っておこう。
成犬だろうが子犬だろうが獣形態に欲情するほど特殊な趣味・嗜好はしていないし、人型でも精神面が未熟な印象を受けるから恋愛対象という感じはない。
口先での説明以外は出来んから信じるかどうかは好きにしてくれ」
「恭也君、どうしてそんなに投げやりなの?」
「別に。
俺が同姓愛者だと思われようと、獣姦者(?)だと思われようと誰も困らないでしょう?
まあ、変態と距離を取りたいと言われたら、…まあ別に良いのか」
『良い訳無いでしょ!』
「…間髪入れずに全員で突っ込まなくても」
「それほど下らん事を言ったという事だ」
「何度も言ってますけど、恭也君は早く自分を卑下する考え方を改めなくちゃダメよ?
分かりましたね?」
「むぅ、まあ、善処するから」
超希少な弱り果てた恭也の図。
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