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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

350小閑者:2018/01/14(日) 11:02:41
「人聞きの悪い事を言うな、馬鹿者。
 大体、ムッツリでもオープンでも助平に変わりが無いなら警戒しておけ。そもそも、助平心を誘発するような露出の高い服を着ておいて言う台詞か」
「この格好、動き易くて良いんだよ」
「警戒心は何処へ行った?
 フェイト視点だけじゃなく、少しは自分に向けられる視線も気にしろよ。
 それに、動き易さを優先するなら、胸は無い方が良いんじゃないのか?」
「別に大きくデザインしてる訳じゃないよ。人型の大人に変身したら勝手にこうなったんだ」
「…変身魔法だよな?姿形は任意で設定するものじゃないのか?」
「骨の形や内臓の働きまで思い浮かべられる奴なんてそうそう居ないだろ?少なくともアタシにゃ無理だ」
「ハラオウン、説明」
「当然の様にこき使うな!
 …変身魔法の術式には術者の生命活動に支障を来す事が無いよう、厳重なプロテクトが掛けられている。アルフの言葉通り、生体としての機能に不可欠な臓器を変質させてしまったら命に関わるから、この処置は当然だろう。
 その一環として、本人のイメージと生身の身体の特徴を術式に記録されているデータに反映させることで変身後の姿が決定される。これが使い魔が人型に変身する時の理屈だ。身体に掛かる負荷を出来るだけ減らすために身体的な特徴が残り易い。端的な例としては性別や色素だ。
 ちなみに、特定の人物に成り済まそうとしたり、ユーノのように人間が別の生物に変身する場合は、余程変身対象の事を生物学的に理解していない限り見てくれしか真似る事が出来ない。仮に、ユーノがフェレットの脳の構造を忠実に模倣していたら、脳の容量や機能の問題で記憶や知識は勿論、人格や知性すら失っていたはずだ。
 同じ理由で、僕が君の姿に変身したとしても君の戦闘スタイルまで真似る事は出来ない。君の剣技を活用する知識が無い事も理由ではあるが、外見を真似ているに過ぎない変身魔法では根本的に筋力や骨格といった体組織までコピーする事が出来ないからだ」

 使用する上では持っていなくても不都合の無い知識を当然の様に説明出来るのがクロノなら、その説明から必要な要素だけ抜き取って他の部分を切り捨てるのが恭也である。

「ふむ。
 つまり、アルフの胸は犬型の時からでかかったという事か」
「…態々これだけ詳しく説明したのに、あまり卑猥な表現で要約しないで貰いたいんだが」
「別に卑猥だとは思わんが、間違ってないだろ?」
「…まあ、そうなんだが」
「アンタ、意外とそういう事、口にするの平気なんだね。恥ずかしがって言わないかと思ってた」
「まぁ、自分の趣味・嗜好となれば変わってくるだろうが、事実をありのまま口にする分にはあまり羞恥心は無いな。
 相手は選んでる積もりだし、場も弁えている積もりだが、不快に思ったら言ってくれ」
「それぐらいなら構わないけどね」
「それは重畳。
 …それは兎も角、そろそろシャワーを浴びてくれ。身体を冷やしたくない」
「ああ、悪い。
 って言うか、アンタ先に入りなよ。アタシは使い魔だから風邪引いたりしないし」
「む、そうか。
 では、悪いが今日はそうさせて貰うか」

 そう言って着替えを取りに部屋へ向かおうとした恭也が体の向きを変えたところで、カチャッというノブの音と共に開いたドアからフェイトが姿を現した。
 若草色のワンピース型のパジャマに解いて下ろした髪という昨日までと同じ寝起き姿のフェイトは、しかし、開ききらない瞼と緩慢な動作という普段ならあまり見せる事の無い如何にも寝惚けている様相だった。

「寝惚けてるな」
「あ〜、昨日は恭也の事が心配で明け方まで寝付けなかったみたいだからねぇ」
「それを俺の所為と言われるのは不本意だな。
 そもそも俺が寝込んだ原因はあいつらに有るんだぞ?」
「フェ、フェイト?大丈夫なのか?今日はまだ寝ていても良いんだぞ」

 フェイトはクロノの掛けた言葉に反応して顔を向けると、一番手前に居る恭也の姿を認めた時点でホニャッと笑みを浮かべた。

「きょうやだ〜」

 舌っ足らずな口調で名前を呼ぶと、覚束無い足取りで歩み寄りそのまま恭也の身体に腕を回し胸に額を押し付けた。

「…をい」
「その位は大目に見てやっとくれよ」
「きょうやのにおいがする〜」


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