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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

349小閑者:2018/01/14(日) 11:01:57
 恭也が彼女達の事を大切に考えているのは疑う余地が無いだろう。ならば、彼は余程の事が無い限り、彼女達を悲しませるようなことはしないだろう。それこそ彼女達自身の身に危険が迫るような事でもない限りは。
 尤も、だからと言って恭也は彼女達を異性として考えている訳ではないように思う。勿論、実年齢からすれば別に不自然な事ではない。性の違いに気付き意識し始める年頃ではあるが、それがイコール恋愛とはならないだろう。
 そういう意味では、3人の他にも恭也の大切な存在の枠に入っている者は居るだろう。ヴォルケンリッターやアルフは入っているだろうし、早朝訓練で顔を合わせる機会の多かったユーノやなのはを介して繋がりのある少女達(確かアリサとすずかだったか?)も入っているかもしれない。
 何れにせよ、恭也に関しては親しい人物が彼の身を案じている事を知ってさえいれば、自身の力量と限界を熟知している分、安心していられるとクロノは思っている。既に高い能力を示しながらも未だに底の知れないポテンシャルを垣間見せる少女達の方が無茶な行為に走るという意味では余程危うい気がするのだ。
 ただし、恭也が無茶をしない、という意味ではない辺りが厄介ではある。
 彼がそんなに小賢しい性格なら、そもそもまともな攻撃魔法の一つも使えない身でシグナムやリインフォースに戦いを挑んだりしていないだろう。
 絶対に引く事の出来ない戦いに際して、『1%の可能性に賭けて挑む』という精神論寄りのスタンスと『100戦した時に1度しか勝てない実力差なら最初の1戦目でその勝利をもぎ取るためにあらゆる手を尽くす』という僅かばかり現実を見つめたスタンス。その差にどれほどの違いが出るのかは不明だが、前者に入るであろうフェイトやなのはよりは後者に分類されるであろう恭也の方が少しだけ安心出来るのではないかとクロノは思っている。
 心外な事に所々で自分を恭也の同類だと評価するエイミィから『自己弁護だ』などと言いがかりをつけられたが、現実を見据えている分マシというのは客観的な評価なのだ。

 そんな風に思考が彷徨い始めたクロノを恭也の言葉が現実に引き戻した。

「ハラオウン、ドアの前でボーっとするな。
 身体が冷える前にシャワーを浴びたい」
「あ、ああ、済まない。
 ん?アルフは良いのか?」
「キョーヤが入るんならアタシは後で良いや」
「なんだ、アルフも浴びるのか。
 なら一緒に入ろう。洗ってやるぞ?」
『…ええー!?』

 クロノとアルフが驚愕の叫びを上げて恭也を凝視するが、緊張どころかからかっている様子すらなく平然としている。
 その態度に混乱に拍車が掛かる2人を恭也は真面目な口調で嗜める。

「おい、フェイトもリンディさんも寝てるんだ。大声を出すな」
「ツッコミどころはそこか!?」
「キョーヤ、本気で言ってんのかい!?」
「休日ならまだ起こす必要は無いだろう?起こすにしても無闇に騒がしくするものじゃない」
「そこじゃなくて!」
「…さっきから何を言って…あ、そうか。
 済まん、失念していた。入浴するなら人型になるのは当然か。
 先に入ってくれていいぞ」
「…ああ、この格好のままだと思った訳ね。
 ちょっと焦ったよ。ムッツリスケベを返上して、オープンなスケベになったならフェイトに近づける訳にはいかないからね」

 アルフが安堵しながら人型に変身すると、律儀にも服を湿らせるほどの汗まで再現されていた。
 その姿にクロノが顔を赤らめつつ何気ない素振りで視線を外した。
 健康的な血色と抜群のスタイルと露出度の高い衣装。いつも通りのその姿を肌を伝う珠の様な汗で飾る事で、溌剌とした印象が前面に押し出されている普段とは違い妙に艶めかしく見えたのだ。
 対する恭也は視線を逸らすどころか顔色を変える事も無く、平然としたまま会話に応じている。


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