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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

343小閑者:2017/12/24(日) 17:54:52
「なのは!ちょっ…と待って下さい。致命的な誤解があると思うんです」
「そんなことないよ。
 女の子を身体的特徴で判断するような悪い人にはお仕置きが必要だもの」
「身体的特徴?だから、何の話w ひいいい!?」

 恭也らしからぬ悲鳴を上げて90度捻った身体の前後を高速物体が通過した。
 それが赤い短剣だと視認出来たのは恭也だけだろうが、その彼自身も身体を捻る以上の回避行動が取れなかったのは弾速以上に攻撃される可能性を全く考慮していなかったからだろう。躱せたのはコントロール精度の甘さに助けられたようなものだ。

「は、はやて!俺、味方だよな!?」
「味方?何言うとんの?
 おっぱいの大きさで女の子を区別するような人、女の子の敵に決まっとるやん」
「…」

 漸く具体的な単語を聞けたことで誤解を解く切欠を見つけたはずなのに、恭也の視線はやや上方の遥か遠くを眺めていた。

 クロノには分かる。
 あれは女性の理不尽な行動に苦労してきた者の目だ。
 きっと、今の彼女達にはどれほど理を説いた説明も言い訳としか受け取って貰えない。それどころか恭也の何某かの行動を引き金にして私刑と言う名の一方的な殺戮が始まるだろう。
 恭也にはその未来予想図が鮮明に描けている筈だ。
 言うなれば解体出来ない時限爆弾。
 放っておけば勝手に爆発するが、解除しようと試みればそれに反応してやっぱり爆発する。
 対処方法など存在しない。
 それを知らない者は不用意に手を出し爆発させ、知っている者は起爆しないことを祈りつつ少しでも時間を稼ぐために沈黙を貫く。勿論、クロノは祈りが届いた事など一度として無かったが。
 だが、クロノは思う。
 恭也ならば、自分には出来なかった方法を選択してくれるのではないだろうか、と。

 その想いが届いたかどうかは定かではないが、恭也はクロノの期待に見事に応えた。
 一度軽く俯いた後、3人に見えるように小憎らしい冷笑を浮かべると、神経を逆なでするように鼻で笑って言い放った。 

「どう言い繕ったところで今のお前達がペッタンコなのは動かし難い事実なんだ。
 シグナム辺りに動き易さを自慢してやったらどうだ?」

 クロノは思った。
 きっと、世の男性の何割かは自分と同じ様に恭也のことを尊敬するだろう、と。





「おお、あれすら躱すか」
「これだけ離れて見てるのに時々見失うって凄いわね」
「だが、だんだん魔法の威力と効果範囲が大きくなってきてるから、本当に躱すだけで手一杯になってきてるな」
「逆に早めに当たっておいた方があんまり痛い思いしなくて済んだんじゃないのかい?」
「そうか?恭也の回避能力は知ってるんだからワザと当たったりすると後でもっと酷い目にあう気もするけど」
「これ以上大威力の魔法だと訓練室の被害が馬鹿にならないな。ユーノ、広域結界を張っておいてくれ」
「展開済み」

 戦闘が始まると、全員が速やかに部屋の隅まで移動して、余波を受けないようにザフィーラの展開した障壁の影に隠れていた。完全に観戦モードだ。
 ちなみに、そのメンバーにはヴィータも入っている。フェイトの笑顔を見た時点で怒りは鎮火していた。

 戦闘は終始少女達の攻撃魔法の炸裂音が響き続けていた。
 だが、その展開は単調なものではない。
 威力よりも手数とスピードを重視した魔法から始まり、徐々に威力と効果範囲の広い魔法へと移ってきている。
 3人の呼吸も時間を追う毎にあってきて、互いに詠唱から発動までのタイムラグを補い合うようになっている。それはイコールとして恭也が劣勢に追い込まれていくということでもある。
 尤も、表現を変えるなら未だに『劣勢』で押し止めているとも言える。モニタールームに居るレティなど暫く前から文字通り開いた口が塞がらなくなっているほどだ。


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