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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

342小閑者:2017/12/24(日) 17:53:47
 はやての魔法が解けて出てきたクロノは恭也の台詞に頬を引き攣らせた。図星だったからだ。
 あの瞬間、なのはがフラッシュムーブで、フェイトがプリッツアクションで離脱したのを見届けたクロノは敢えてユーノとアルフと共にその場に残った。
 なのは達の姿を見られていないかどうかは賭けだったが、上手く姿を隠せば不意打ちが出来ると踏んだのだ。偶然ながらもはやての魔法が視界の効きにくい物だったため、シールドの光で閉じ込められている状態まで演出出来た。
 そして、ユーノとアルフに防御を任せて、念話でなのはに襲撃者がヴィータであること、砲撃で林へと弾き飛ばしたこと、防御されて大したダメージにはなっていないこと、更にクロノとの位置関係を聞き出すと、ヴィータがギガントシュラークを打つのに適した何箇所かにシールドの中からディレイバインドを設置した。

 即興の仕掛けのため不自然に見える点はあるかもしれないが、このタイミングであれば如何に守護騎士であろうと捉えられる!

 そんなクロノの確信をあっさり覆してくれたのだ。動揺を態度に出さなかっただけでも褒めて貰いたいくらいだった。
 恭也にバインドの発動を察知する技術はないので、状況と言動からの推測だけで見抜かれたことになる。つまり、『戦場の何処にいても厄介』どころか『戦線に居なくても厄介』まで格上げされる可能性が出てきたのだ。
 クロノ自身も周囲の人間から『完璧超人』などと言われる事があったが、彼ほど出鱈目ではないと主張したい。
 勿論、そんなことをすれば五十歩百歩だと反論されることになるのだが。
 しかし、ヴィータの言いたかったのはそんなところではなかった。

「そんなこと言ってんじゃねー!いいから早く放…あっ!?」
「は?」
「い、いつまで触ってんだ、バカーー!!」

 ヴィータの台詞に意表を衝かれたのか、突き飛ばす力に逆らう事無く恭也が腕を解いて一歩後ずさる。
 振り返ったヴィータは左手とグラーフアイゼンで胸元を庇いながら正面から恭也を睨みつけている。
 はやてが母性を刺激されてふらふらと近寄ろうとするくらい、ちょっぴり涙が浮かぶ眦を吊り上げた紅い顔で威嚇するヴィータの姿はなかなかに刺激的だ。
 流石の恭也も良心に来るものがあったようで、思わず口を滑らせた。

「済まん、気付かなかった」
「なっ!?」

 羞恥の赤が瞬時にして赫怒の赤に切り替わる。
 恭也も自分の失言に気付いたらしく、珍しく言い訳じみた弁解を始めた。

「あ、いや、他意は無いぞ?
 ただ、前に顔を埋められたりだとか、手に余るほどのサイズを押し付けられたりしてな。何と言うか、その、印象が強過ぎてそういうものだと刷り込まれてしまったというか」
「チクショー!
 小さくて悪かったなぁ!!」
「いや、だから、そういうつもりでh おおお!?」

 言葉の途中で慌てふためきながら屈んだ恭也の頭髪の先端が抵抗も無く切り離された。
 その鎌はホントに非殺傷設定ですか?と確認できる命知らずはこの場には居ない。
 距離を取ってから振り向いた恭也は、慌てて静止の言葉を投げかけた。

「ちょっ、待てフェイト!
 模擬戦中なのは分かってるが少しは空気を読んでくれ!今、明らかに脱線してただろ!?」
「やっぱりリインフォースのが良かったんだね」
「は!?
 あの、フェイトさん?会話がかみ合ってないんですが…」

 フェイトの、教本として写真にして額に納めて飾っておきたいほど綺麗な笑顔を確認した途端、言葉使いが敬語になる恭也。
 写真には写らない何かを背負って佇むフェイトは、やっぱり恭也の言葉を聞いていなかった。

「そうだよね。なのはのお兄さんが選んだのも忍さんだもの。
 恭也は、アルフかシグナムかシャマルかリンディさんかエイミィか桃子さんか美由希さんかフィアッセさんか忍さんくらいじゃないと女の子として認めてくれないんだね」
「え?何の話だ?
 そのラインナップ、共通項が分からないんd ふぉおお!?」

 不意打ちに対応したとは思えないほどのスピードでバックステップしたにも関わらず、恭也の前髪が5ミリほど焼失した。


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