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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

328小閑者:2017/12/24(日) 17:39:19
「あ〜…その、なんだ、ひょっとしてまだ片想いの段階なのか?」
「あっ、う、えっと…」
「そうか。
 恋愛事にまるで疎い俺では大した助言は出来んが、将来の進路を決める要素にするほど想いを寄せている相手なら、いっその事自分から告白してみたらどうだ?」

 うん、やっぱりこの助け舟は泥舟だったようだ。
 周囲の視線が『してるしてる!たった今真正面からしてるから!』と訴えているように思えるのは、はやての被害妄想なのだろうか?
 漸く精神を立て直すことに成功したはやては、大きな溜息を吐く事で眼前の真面目面をドツキ倒したくなる衝動を堪えると、真剣にアドバイスしてくれたであろう恭也に言葉を返した。

「アドバイス、ありがとうな。
 でも、ええねん。もともと伝えるのはもっと後にする予定やったし」
「後?」
「うん。
 もっと成長して、心も身体もええ女になってからや。
 今の私じゃ、その人と釣り合えへんからな」
「身体は兎も角、心はかなりのものだと思うんだが…
 それに、そんなにのんびりしていて大丈夫なのか?
 まあ、結婚するにも子供を生むにも早過ぎるのは確かだが」
「こど!?
 な、何言うとんの!?まだエッチな事するには早過ぎるやろ!?
 そういうのんは順番というものがありまして、まずは交換日記からと相場が決まっとるんよ!?」
「意外と古風だな。
 それにどうして俺から身体を隠そうとする?
 誰かは知らんが、相手が違うだろう」
「わ、分かっとるわ!
 よう見ときや!
 すぐにええ女になって誰を好きなんか教えたるわ!」
「…前言を翻して悪いが、焦る必要はないだろう。
 ちゃんと見ててやるから、ゆっくり時間を掛けて納得いくまで自分を磨くといい。
 その時がくるのを楽しみにしているよ」

 そう告げる恭也は、言葉も口調も眼差しさえも驚くほど優しげなものだった。
 思考が真っ白に染まっているのに頬の熱さだけが実感出来る。ひょっとしてからかわれているだけなのだろうか?

「恭也さん、ほんまのほんまに相手が誰か分からへんの?
 分かっとるのに惚けとるだけやないの?」
「なんで泣きそうになってるんだ!?
 俺も知ってる奴なのか?しかし、そうなると…」

 泣きべそ寸前のはやてに怯みながらも該当者を探そうとする恭也だが、この世界に飛ばされてから知り合った男は多くない。尚且つはやても面識のある人物となると更に限られる。

「ひょっとして一目惚れとかする方なのか?それが悪いとは言わないが、深入りするならせめて相手を良く知ってからにした方が」
「ちゃうねん。まるっきり外れとるから」

 恭也の視線の先に誰が居るか気付いたはやては即座に制止の声を掛けた。

「恭也さんの推理は明後日の方向に進むんが分かったから、この話はここでお終い。ええね?」
「…まぁ、いいけどな」

 クロノ達には悪いがきっぱり否定しておかないと、これ以上恭也に変な先入観を持たれてはどう拗れるか分かったものではない。
 幸い、といって良いのかどうか分からないが、この一連の会話で彼らにははやての言う『その人』が誰なのか伝わっている様だから気を悪くしたりはしないだろう。

「そう言えば、さっきなのは達も目的は一緒だとか言ってなかったか?」
「にゃ!?」
「ち、違うよ!?私は別に、恭也のことが好、じゃなくって、恭、きょ、えと、だから、…そう!恭也の言ってたような、好きとかじゃなくて!」
「私もそう!恭也君のこ、っあ、えーと、恭也君の、言ってた、『その人』の事、大事な友達だと思ってるから!だから、幸せになって欲しいなって!」
「慌て過ぎだ。俺は主旨とは関係ないだろうが。
 要は恋愛感情じゃないと言いたいんだな?」
「そう!そう言いたかったの!」
「意義有り!
 被告人の発言には虚偽が含まれとります!」
「ふ、含まれてないよ!」
「そうだよ!別に、みんながはやてちゃんとおんなじ様に思うとは限らないじゃない!」
「ほほう。
 そこまで言うなら証明して貰おうやないか」
「しょ、証明?」
「これから私の言う通りの事をしてみてや。何とも思てへんのやったら簡単な内容や」


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