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山田ホームパーティー
1
:
山田五郎
:2015/10/12(月) 23:16:41
【場所】
国道305号線沿いのアパート
笹塚駐屯地の一件が終わってからしばらく経過した後の、
ある週末。
山田五郎が住んでいる物件で、
料理をふるまうパーティをやるぞー
というメールを友人に送った。
ボーダーズのメンバーの知人とか、
これまでにできた知り合いとか。
社交辞令と常識の範囲で
「友達も参加OK」
と書いたが、
それが一般の社交辞令のレベルを超えて広がっていることを
山田五郎は知らない。
山田五郎のいる物件には、
山田五郎と、
その娘、美樹がいる。
【時間】
ある土曜日
13時〜GOOD MORNING
【ロール内容】
ギャグ、日常、喧嘩程度の戦闘。
なおガチバトルになった場合山田五郎による武力介入があるから気を付けよう。
2
:
山田五郎と山田美樹
:2015/10/12(月) 23:19:41
「パパ―。お皿こんな感じでいいー?」
ショートカットで、目元が快活ながらちょっときりっとした娘が父を手伝っている。
「ああ、大丈夫だ。ただ…作りすぎた料理をどうするかだな。」
ある土曜日。
13時ごろ。
快晴にして小鳥ちゅんちゅんの模様。
家庭用オーブントースターなどという凝ったものが台所にある。
山田はそこからやけに大判のマルガリータピザを取り出した。
なお卓上には大きなボールに盛られたサラダもある。
オリーブオイルと黒こしょうだけでまとめ、玉ねぎとレタスもフレッシュ極まるその上にミニトマトが散らされている。
「そろそろ来るか。」
右手首の軍用時計を見やる。
山田の住んでる物件の、ドアは開け放ってある。
窓やドア越しに、イタリアンの香りがあたたかくおいしい微風になって風に乗るだろう。
最初にメールを出した知り合いは数人だから、
料理はやや多すぎというところかもしれない。
「今日は友達が来るからなぁ…」
「友達だけ呼んだんだよね?」
「いや、友達の友達もいいよ、と」
「はぁーーーー!?」
ひと山越えた父の生きている実感ゆえの軽めの暴走であった。
3
:
群集
:2015/10/13(火) 16:58:24
^_^
4
:
山田五郎
:2015/10/13(火) 20:00:40
(注:↑の顔文字は当方のミスタイプです )
「大丈夫?からだとか、その、健康、とかそういう意味で。」
「まあ体力にはまだ自信はあるな、 …友達の友達といっても、常識の範疇でまとまるだろう。」
娘の声に父はどことなく茫洋とした眼差しで、窓の外を見ていた。
「パパいつも仕事終わったらそうなの」
美樹はこの夏休みの時に、父の住んでいる物件に越してきたのである。
面倒を見ていた山田の叔父が亡くなったからだった。
たっぷりと間を持たせた後、おもむろに父は口を開いた。
「すまん。」
真剣にそう思っていた。
「何しろ、生きて還ってくるとな。」
娘の素っ頓狂な声は敢えて聞き流す。
学校の友達の影響だろう。そのうち飽きる。
雰囲気を切り替えるので音楽でもどうかとミニコンポに向かおうとする。
娘がCDを選んで聞こうとしていた。
父は外に出て、あたりを見ていた。
サンダル履きで。
娘の服装は長袖バスクシャツ(赤ボーダー)とひざ丈スカートとレギンス。
父はベージュのチノパンとサックスブルーのシャツ。
5
:
山田五郎
:2015/10/13(火) 20:19:05
【山田のメールを送った径路】
1.シシラギ
2.ゴンドナ
3.職場の同僚
4.行きつけの店の友達
1.2.だけでなく3.4.のルートが一番実は危ない。
知り合いの知り合いのそのまた知り合いの友達の知り合い
…まで届いている可能性もあるのだった。
なお匂いにつられて足を止めるのも可。
6
:
山田五郎
:2015/10/13(火) 21:09:20
見たところ人影の気配はあまりない。
(年甲斐もなくそわ付くのもみっともないな…。)
山田はいったん自室に引っ込んだ。
なお一階に住んでいる。
7
:
ゴンドナ
:2015/10/13(火) 23:18:12
『お邪魔します』
「ちわ〜っす、ゴリラ菜園からお届け物で〜っす。」
そう声を掛けながら山田亭へと入ってくるのは、アロハシャツにハーフパンツのグラサンゴリラ。
笹塚の戦いからの療養後、傷も漸く目立たなくなった辺りで届いたホームパーティの招待メール。
喜び勇んで菜園近くの果樹園から取ってきた物をバスケットに詰め込んで馳せ参じた。
中に入るなり目に飛び込んでくるのは、利発そうな娘さんであり。
「お、お嬢さんがあのゴローさんの娘さんかい?
初めまして、親父さんにえらい世話んなってる、ゴンドナっつぅもんです。
あ、これ土産のアケビと梨、しっかり熟れたのもいで来たんでな、旨いぜ!」
実に馴れ馴れしく挨拶と自己紹介の後、たんまり詰まったバスケットを娘さんへと渡そう。
そうしていつもの、暑苦しいスマイルを親指立てて。
8
:
三谷悠夏
:2015/10/13(火) 23:50:31
「こんにちは」
そう一言、玄関先から声がする。
入ってくるのは黒髪の美人な女性。
「山田さんですか?あいにく、父は来られないそうなので、私がかわりに参りました」
山田に深々とお辞儀をし。
9
:
山田五郎
:2015/10/14(水) 00:31:14
>ゴンドナ
「はーい!」
美樹がゴンドナの声に応じて走ってくる。
「ゴンドナさん、ですよね?父がいつもお世話になってます。」
ぺこり。ショートカットの黒髪がさらり、と流れた、
父と親しいゴリラの人、ということで、時々話に出ていたあの人だなと理解できた。
「パパ―!」
「おっ、お客第一号か。」
いつもの現場より少しだけ髪が乱れた山田五郎が登場する。
オフであるというのがよくわかる。
ゴンドナの笑みと勢いよく立った指に、この間の現場からの完癒を見て取った。
「お疲れ様。治りが早いな。若さがうらやましいよ。
…菜園のやつか。熟れ頃だ。有難いね。」
娘がもつバスケットをそれとなく父が持ってやる。片手で軽々と。
「ピザとサラダができてる。食べてて構わない。旨いうちに平らげてくれ。」
やや小さい居間に3人掛けのテーブル。
居間の隣に和室がある。
さっきまでの間に、少し大きいテーブルにピザとサラダを移しておいた。
これなら大柄な亜人がいても大丈夫であろう。
台所はまだ調理器具を片付けてなく、鍋もオーブンも温まっていた。まだつくる気だ。
10
:
山田五郎
:2015/10/14(水) 00:40:06
>三谷さん
前髪をきれいに切りそろえた、うつくしいひとがいた。
山田は記憶をたどった。
そうだ、あれは数年前。TEASのメンバーと演習を行った時に、先方の隊長が紹介してくれたのだ。
水際立った顔立ちでありながら、アメリカ軍の伝説の狙撃手クリス・カイルをしのぐロングレンジ射撃を為すその腕前。
好対照をなすその個性は山田の脳裏に刻まれていた。
後から聞いたが笹塚の時に助けてくれたのは彼女であったというボーダーズ本部からの情報であった。
「お父さんの代理ですか。恐縮です。それから、先日は助かりました。」
彼女の父が誰かは、あとから記憶についてきたほどであった。
「我々の不始末でご迷惑をおかけしました」
山田も社会人らしく、お辞儀をする。
しかし、議員の娘だからといって、別段目の色を変えたりする山田ではなかった。
出世には淡白なほうなのだ。
「男の料理なので、油も量も多いかもしれませんが、もし抜いてほしいものなどあったら、言ってください。
どうぞ、お上がりください。」
なお玄関には10人程度のスリッパがなんとか並んでいた。
11
:
山田美樹
:2015/10/14(水) 00:43:26
>三谷お姉さん
父がいったん今方面に向けて彼女を案内したとき、
三谷さんのキレイな顔立ちが美樹の目に飛び込んだ。
「わぁ…」
顔立ちの美しさが、違う。
大人と子供の差を歴然と感じた。
「キレイ…」
頬が薄らと色づいて、憧れにうっとりとする。
パパとはどういう関係なんですか?とからかおうと思ったのだけど、
その言葉はのど元に撃ち落されてしまった。
12
:
山田五郎
:2015/10/14(水) 12:12:48
TEAS、という名前を山田はじかに聞いたわけではない。
共に演習をしていたことがあったとしても、その組織名は別のものを使っていた事であろう。
彼が無名部隊の存在を都市伝説程度でしか聞いていないように。
あるいは、修羅場と日常の往復で記憶の一部が怪しいのか。
山田はどの距離から射撃があったのかは知らない。
TEASの、とは紹介されていないのであった。よしんば紹介されていたとしても。
13
:
ゴンドナ
:2015/10/14(水) 23:14:30
「おんや、なんか話されてるんかねぇ、恥ずかしい。
お、ようにーさん、お招きありがとうよ!」
しっかりお辞儀も返しておいて。
娘さんの言葉に、参ったとばかりに頭を掻いた。
いつもより雰囲気ごとラフな印象の家主が現れれば、親指立てていた拳を開いてぺらぺら振り。
「はっはっは、まぁ齢だけみりゃあまだ若造だなぁ、確かに。
んじゃあ、さっそく頂くとすっかな! っと、その前に。」
奥の方に陣取ろうとした所、気付いた様に動きを止めて。
ちょいちょい、ゴローさんに手招き。
「……今回は本当、突然の迷惑に対応してくれて、ありがとう。
改めて感謝すんよ。」
言いながら、隠し持っていた日本酒を詫びの印も込めて渡そう。
ラベルに「銘酒 山猿」とプリントされた逸品である。
真面目に感謝の気持ちを述べれば、どこかこっぱずかしそうにピザへと手を伸ばして、大きく一口。
うんめぇ!
思わずうなったゴリラである。
そうして次なるお客さんへも、挨拶一つ。
「おたくもにーさんの友人かい? 流石顏広ぇなぁ。
リンケイのゴンドナだ、よろしゅう!」
本日二度目の暑苦しい笑顔。
14
:
三谷悠夏
:2015/10/15(木) 00:12:19
「あ、父からこれを渡してくれと頼まれたんです」
彼女はそう言って桐箱の中のワインを取り出す。
シャトーマルゴー2006。
大災害の影響で、もはやほとんど入手不可能なワイン。災害前も、世界的に非常に高い評価を受けていた。「最も女性的なワイン」と評される。
「このワイン、美味しいんですよ。飲んでみます?」
パーティーの成人参加者全員に勧めるだろう。
15
:
山田五郎
:2015/10/15(木) 00:45:40
>三谷さん
※A(後述のリアクションの中に位置づける)
「これは…」
彼女から手渡されたワインを見る。
食道楽の山田は目の色が変わった。
「…いや、これは自分には過分の銘酒ではないですか…ただの副隊長にすぎない男です。」
一旦、議員である彼女の父からの礼に恐縮を極め、固辞しようと言いかけたが、彼女の物腰と所作が山田にボトルの授受を受け入れさせた。
「は、恐縮です。では、いただきます。お父様によろしくお伝えください。」
山田は、このきわめて女性的なワインに、亡き妻の面影を重ねていた。
僕には過ぎた女だった。
有難味をひしひしと感じる。
室内に入ると、
山田はデニム地のエプロンを身に着けた。
>ゴンドナ
「活躍の話を、ちょっとな。おかげで美樹がおぼえてしまった。」
ゴンドナの手招きとみじろぎを察し、歩み寄り顔を近づける。
「何、お互い様だよ。やるべきことをやる。それだけだ。」
震災をリアルタイムで体験した世代特有の、割りきりの良さであった。
嘆くよりも行動を、今日より明日を、過ぎた過失より未来の備えを、そうしてトキオを立て直してきた、そういう世代だった。
五郎の言葉にこだわりはない。実に、さばけていた。
「また次も組むことあれば、よろしく頼む。」
(※ここにA=三谷氏への返答のリアクションが入っている)
16
:
山田五郎
:2015/10/15(木) 00:50:23
>ゴンドナ2
で、エプロンを締めて室内からゴンドナを呼び、
彼がピザを食べる段に入る。
「良かった。口に合って本当に良かった。チーズの塩味が多すぎやしないかと思っていたんだ。」
放置しているとうんちくを言い出しかねない、そんなきめ細かい料理への視線だった。
「いや、しかし”山猿”持ってきてくれたのか。僕これ好きなんだよ。是非。いただく。」
任務後の手酌酒としてもまた格別であったし
今日のメニューに供しても良かった。
>三谷-2
そうして、彼女が勧めたボトルを手に取る。
きちんとサーブしておいたワイングラスにこれを注ぐ。
三谷さんに、ゴンドナに手渡し、自分もこれを受ける。
二人が飲んでから彼も飲む。
最高の美味が口腔を駆け抜けた。
感動の沈黙しばし、絞り出すように
「うまい」
万感をつぶやいた。
17
:
鳥
:2015/10/15(木) 23:29:54
ちゅんちゅん。
徐々に集まる仲間の会話が弾む中、外からは一匹の鳥の囀りが時折聞こえる。
そんな穏やかな午後。
ちゅんちゅんちゅんちゅん。
いや、鳥は時折ではなくずっと鳴いていた。
山田家のすぐ側にいるようだ、主張が激しい。
ちゅん………
少し静かになったか?と思った次の瞬間。
!!! ガッ !!!
挟まった。
少し開かれていた窓の隙間に。
スイカ程の大きさの丸い何か、の顔の部分が。
ぴーーーーー!
(ごしゅじんーー!!!ずーるーいーー!!!)
説明しよう、
今挟まっているのはゴンドナ宅で養われているまるい鳥(オーバード)弟である。
バスケットを片手に出かけるご主人を見つけ、食欲のみに働く第六感により後をつけてきたのだ!
招かれてなどいない、しかしそこに食べ物がある限りこの鳥にとってそんな事は全く問題ではない!
(鳥(兄)の方はレム昼寝に忙しいので本日は一匹での登場です。)
短い翼をパッサパッサ動かしながら体を捻るが、丸々とした体は当然入らず、頭部だけが屋内にめり込んでいる。
実は体内の空気を抜けば通り抜けられる裏技を保有しているのだが、美味しい香りを目の前にして完全に忘れているようだ。
<< 入室しました(頭部が) >>
18
:
ゴンドナ
:2015/10/16(金) 02:53:18
(しかしなんだな、随分目上の人の使い、と言うか代理? なんだなぁ。)
ゴロ―さんの対応にそんなイメージが沸いたゴリラである。
「にしても、暴れてばっかで大した活躍もしてねぇんだぜ?
まぁ、多少は役に立ったかも知らんが……、こっぱずかしいなぁ。」
娘さんに語られたという話は、いかほどの物か。
とはいえ、行って貰えてまんざらでも無い表情は浮かべる。
そして彼が言う、やるべき事をやっただけ、とくれば、くつくつと笑い。
流石、と言ってしまえばそれまでだが、本当に流石だと思う。
その背をごく軽く叩き。
「こっちこそよろしく、頼りにしてんぜ。」
なんて笑みかけるのだった。
「いやしかし、俺ぁチーズは濃い方が好きなんで、全然問題ないわ。
……お、にーさんの嗜好に合った様で何より、もってきた甲斐があるねぇ。」
かねてより食通と名高いゴローさんだからこそ悩みもしたが。
多分、この人ならば気持ちを受け取ってくれるだろうとも考え、不安は無かったのは確かである。
渡されたワイングラス、どうやら随分上物の様だ。
三谷嬢へとグラスを掲げて、感謝の意を込めてから、ちびりと口に含む。
……おおう。
唸りながら首を振り、感嘆を示した。
なんと、ピザに合う事か!
思わずもう一口、とグラスを傾けようとした瞬間、なんか派手な音が聞こえた!
取り落としそうになったグラスをしっかり握って音の方向を見てみれば。
……あ、丸いのが挟まってる。
「と言うか、お前オーメルか!? どうやってここが……!」
驚愕した。一体どうやってここを嗅ぎつけたのか、と言うか何故食い物関係だとばれたのか!
おそるべし、食いしん坊鳥……!
ちなみにオーメルとは地元の言葉であり、こちらで言う饅頭に相当する。
家で飼ってる大食漢の丸い鳥兄弟の弟の方だ。
なお、兄の名前はエレセクル、こちらは白玉である。
なんかこう、申し訳なさそうに家主へと顏を向けて。
「……飼い鳥は友人に含まれますか。
と言うかめっちゃ大ぐらいなんだけど入れて大丈夫かいこいつ。
いや、やばそうならちゃんと家に帰すが!」
実際片方で良かった。
とはいえもう片方は彼に比べて大人しいから、こんな強行手段は取らないとは思う、が。
19
:
影
:2015/10/18(日) 08:51:24
窓に挟まるオーメルの背後に、大きな影が被さった。窓から差し込む光が遮られ、部屋がわずか薄暗くなるだろう。
その影は真上から現れた。窓の庇に片手をかけ、窓枠の下部に片足のつま先をひっかけて窓に取り付いている格好だ。
「おい、ついたぞォ、シィ!ここで合っとるんかのー?表札なんぞどこにもないんじゃが」
声は男のものだった。
あるはずもない表札を探してキョロキョロ頭を振るそのシルエットには、獣の耳らしきものが見てとれるだろう。
そしてその背中には、何かを背負っていた。
影が動くたびにぶるんぶるん物理法則に逆らうことなく揺らされている。どうやら.気絶しているようだ…
「ん?なんじゃこの鳥は…」
影は目の前で挟まっている丸々とした鳥に気づいたらしい。影は、その尻を宙に放り出したままのつま先でツンツン、つついてみた。
外から見る窓の中は、風景が鏡のように写り込んでいて、まさか目の前に飼い主が…しかもゴリラがいるなんて、鏡は思いもしないようだった。
『謎の影 ×2 が あらわれた!』
20
:
三谷悠夏
:2015/10/19(月) 07:36:23
>山田、ゴンドナ
「お酒はよく貰うのですが、父は飲まないので……余ってしまって」
彼女は何気なしにそういうが、ビールやチューハイ工場の減少によって、それらですら価格が高騰している現状で、その言葉は彼女がいかに裕福かを表すことだろう。
ワインを勧められると、彼女はグラスは貰うが、飲むことはない。
「お気を悪くしないでくださいね。私も父と同じでお酒はあまり……」
実は嘘で、長期間偵察任務の際は身体を暖めるためにウォッカなどを飲んでたりするのだが、彼らがそれを窺い知ることはできないだろう。
>鳥
「……あら、珍しいお客さんですね」
鳥に微笑みかける。
21
:
山田五郎
:2015/10/19(月) 10:24:58
>三谷
山田もそれはわかる。
震災前は世界中が高度な物流網で接続されていたため
さまざまなものが手に入った。
しかし震災後は、亜人の魔法と人間の科学を融合させた手法を以てしても
以前のようにいかないものもある。
「そうですか…体質はやむをえないですね。」
父も娘も、飲めない。
やむを得なさはしょうがないのだった。
体質で無理なモノを無理強いすると大変なことになる。
山田としては極めて惜しい。銘酒を飲めないとはもったいない。
が、一身上の感情を押し付けるのは好むところではなかった。
実際は彼女は飲めたが、仮にそれを知ってもやはり押し付けることはないだろう。
ボーダーズの中には新兵いじめもあり、そう言った理不尽を山田は嫌っていたからである。
目に憂いをにじませる程度の現れ方になってしまうが。
>ゴンドナ、鳥
「旨いワインとチーズで飯がはかどるね。いやあ…今日が休日でよかった。明日も休みだしなあ。」
週休二日っていいなあとしみじみする山田。
サッシからがたつく音が聞こえた。
「あ?…うぉっ?鳥!?」
耳を撃つその音に軽く驚く父。
「あっオーバードだ――!かーわーいーいーー!」
実はさっきからゴンドナの横でピザをつついていた娘も黄色い声が上がってしまう。
ちょっとスマホで撮影した。
スマホについているオーバードのスマホストラップが揺れる。
しゅっと立ち上がった娘は、サッシとガラス戸をちょっと開けてあげようと思って扉に手をかけた瞬間。
「うむ…いんじゃないか。みんな大喰らいだ。」
山田もゴンドナも三谷もみんな軍務的な仕事である。
並の人よりは飯を食うはずだった。
「きゃ」
娘が悲鳴を上げた。
山田が即座に顔を上げる。腰を浮かし立ち上がる。
「誰だ!」
危機の気配。即座に副隊長の顔になると厳しい声で一喝。
>影
窓から家に入ろうとする奴登場。
「ちょっと!ここドアじゃない!入口はあっちです!」
娘は意外と動じなかった。実質一人暮らしの時間もあるためか、やや物おじしなくなっていた。
娘はガラス戸まで、がらっと。自力で開けてしまう。
娘の後ろに山田が立っている。
「すみませんが、どなたですか?」
目をアバラギからその背中に走らせる。
背中に背負っているのは我が友、李徴子ではないか?
いや、シシラギではないか?
22
:
山田五郎
:2015/10/19(月) 14:07:54
ふと、思い直す。飲まない、ではなく飲めないだと。
ということは、父子そろって飲める人ではあったのだ。
飲まない理由はとくに詮索しない。
23
:
ゴンドナ
:2015/10/19(月) 20:49:19
「はっはっは、余っちまうたぁすげぇなおい。
まぁアルコールは非常時に使えるし、料理にも使えるしな、ため込んでても問題ねぇか。」
その一言で、それは裕福なのだろうと分かる物で。
くー、とワインを飲み切ってしまえば、お嬢さんの後ろから窓際に立ち。
「お、嬢ちゃんオーバード知ってるんか、と言うかそんなストラップが……!?」
スマホで撮影している姿を覗き込んだら、まるっとした可愛らしいストラップがスマホについていた。
確かに可愛い。ちょっと探してみようかと思う位には。
ともあれ、家主の許可も貰えた所で、お嬢さんが窓を開いて飛び込んで来たオーメルを両手でキャッチ。
お腹を空かせてるまんまる鳥をお嬢さんへと渡して、すこし窓から離れてもらい、謎の影へと向き合おう。
……お?
「あれ、シシラギじゃねぇの……?」
開け放たれた窓の外に居た謎の人、それが背負っているのは、我らが友人ではないか?
状況が呑み込めない……!!
24
:
オメール(オーバード)
:2015/10/19(月) 21:08:25
(抜けがけしようとしても、全てお見通しなのです!真実はいつもひとつ!!)
ご主人の吃驚した顔を見ると、してやったりとばかりに自慢げに少し嘴を持ち上げた。
室内の視線を集める饅頭鳥。
特に女性陣からの微笑みや黄色い声は、何だか有名になったようで気分が良いものだ。
美樹の撮った写真にはちょっとドヤ顔な鳥が写っている事だろう。
挟まってるんですけどね。
不意に、急に空へ雲がかかったのように視界が暗くなる。
何だなんだ?と慌て出すも、全く振り返る事が出来ず状況が分からない鳥は、ただずっとピーピー言いながらもがいていた。
山田父が自分の後ろにある”何か”に声を荒げる様を見て、更に焦る。
ぴぇーぴぇーーー(いのちの危機!!!お助けを!!!)
ジタバタジタバタ。しかし抜けない。
ぴーぴぇーぴぇーーー(お尻の危機!!!たすけてーー!!!)
そうこう叫んでいる内に、鳥は気づけばゴンドナの手の中に収まっていた。
涙は出ないけれど、完全に涙目。
ぴぇぇぇぇ…(怖かったよぉぉぉ)
パスされた鳥は号泣せんばかりに美樹の胸元へ泣きつく。
人間だったら父に一刀両断されていただろうが、そこは鳥だから多分大丈夫。
25
:
アバラギ
:2015/10/21(水) 00:20:56
「おっ」
突然窓が開いたかと思うと威勢のいい少女が現れた。
「なんじゃ、この壁についとるのは門じゃないんか??」
窓に取り付いたまま、その逆光の人影は間の抜けた声で奇妙な事を言う。まるで文明に触れ合ったことのない地底世界の部族のような物言いだ。地上はようわからんのうなどとボヤいている。
「ええい、面倒じゃ。お嬢ちゃん、ちょいとどいてくれんか〜」
少女の言うことを無視して、無理やり中へと入っていく。どっこいせ、と荷物を背負ったままのその男は、窓から床にドン!と重量感のある音を響かせて着地する。
その男は、正直いってオラついていた。
両腕にびっしり刻まれた刺青。
筋肉質で無駄な脂肪のない体にタンクトップを一枚。そして腰には派手な和柄の布を巻いて、一本の刀を差した、赤錆柄の体毛の猫又獣人だ。
いかついナリに似合わないのは、その顔だ。
どこか気を許してしまいそうな、底抜けに明るい笑顔で、初対面の面々に物怖じもせず、よう、と片手をあげた。
「ここが、「ヤダマ」殿のぱーてー会場であっとるかのう?ワシの妹が付いて来いっちゅうもんで来たんじゃが、肝心のこいつがのびてしもうた」
そういって、首元でクロスさせた手首を持っていたもう片方の手を、よいしょと前に回して背中に背負っていたそれを掲げて見せる。
それは、まだ白っちゃけた髪の毛のままのシシラギであった。上下灰色のトレーナーというひどく女子力の低い格好だ。
ケルベロス戦から後、白化現象の治療中だったはずだ。なぜか額にはでかいタンコブができている…
「早くいかんと飯がなくなると煩いもんで、背負ってビルの屋根伝いに走ってきてやったんじゃが、どうやら何処かのカドにこいつの頭をぶつけてしもうたようでのぉ。まあ死んどりゃせんから、転がしとけば飯の匂いに気づいてそのうち起きるじゃろ!はっはっは!!」
底抜けに明るい男は、なんの躊躇いもなく適当に妹をそのへんの床に捨てた。
「ワシはアバラギっちゅうんじゃ。これは、さっき喧しい妹にせっつかれて獲ってきた肉じゃ。あんた、料理好きなんじゃろ?つこうてくれ」
シシラギと一緒に背負っていた、スーパーの袋を山田に差し出す。なんか血がこびりついた袋だ。中を見れば何かの生肉がそのまま入っていることだろう。
「猪肉じゃ。さすがに丸々運べんかったもんで、斬り取ってきたんじゃ。嬢ちゃん、牡丹肉は好きか?うまいぞぉ」
肉入り袋を山田に押し付けて、アバラギは美樹ににかっと笑いかけた。
「おう、それも食うんかの?ワシが捌いちゃろうか??」
ゴンドナの手の中…先ほどつま先でつついていたオーバードに、とんでもない提案をする。冗談なのか本気なのかよくわからない男だ。
「…お?ずいぶんべっぴんさんもおるのぉ。ヤダマ殿の奥方かの?」
奥の方に、妙な存在感を放つ美女…三谷女史をアゴをさすりながら見やる。
しかし、なにやら胃の奥がざわつく。
別に何かを疑っているわけではない。
だが、アバラギの第六感…つまり、「なんとなく」だが。
手を出しづらい。トゲを持つ女。
そんな雰囲気を感じていた。
26
:
ヤーチェ
:2015/10/21(水) 01:47:01
『入室しました』
アバラギが窓に張り付いて不審者騒ぎになっていた、その少し前。
ある一台の黒バイクがアパートの前で止まっていた。ドッドッドッ…というエンジン音が止まり静かになる。
バイクに跨っていたのは、女のようだった。
『カレー屋 無鉄砲』と書かれた膝丈の黒い腰巻エプロンに、白い七部丈Tシャツ。
ヘルメットを取ると、無造作に後ろに括った黒髪が首に落ちた。
みなりは、ごく普通の飲食店の店員に見える。だが、左半身に残る火傷跡がスラムでもなんでもないこのあたりではよく目立つ。
エンジニアブーツがスタンドを蹴りバイクを停めると、女はサイドバックを開け、中からふたつの紙袋を取り出した。
そしてアパートを見上げると…
なんとも、複雑な表情でロビーへと重い足取りで向かうのだった。
-------------------------
一体どこで聞きつけたのか。
ユーリ…元アントリオン特殊部隊ウォーヘッド隊長、現カレー屋無鉄砲店主…は、唐突にヤーチェにホームパーティ開催中の山田宅に配達を命じた。
「なんでわざわざ」
「世話になった礼だ」
「料理用意するころには終わってるかもよ」
「タンドリーチキンとサモサ、シーカバブ用意して梱包しといたぞ」
「私じゃ目立つわよ」
「ヘルメットしときゃ大丈夫だ」
行かない理由をあれこれ探しはしたが、悉く撃ち落とされた。
「…あのさ」
観念して店先で配達用のバイクに跨るヤーチェに、ユーリ達は生暖かい目を送っていたのだが。ひどく気乗りしない顔で、ヤーチェはため息をついた。
「べつに私は、あの男やもめを、どうにかしたいわけじゃなくて」
「いいから」
ユーリはあごをしゃくる。
「行ってこい」
あ、これ話聞いてくれないやつだ…。
ヤーチェは、再度ため息をつき。
無言でアクセルをふかしたのだった。
-------------------------
気を利かせたつもりなんだろう。
だがおせっかいすぎる。
悶々とした気持ちを抱えながら、ヤーチェは階段を上がっていた。エレベーターを使わず階段なのは、とにかく先送りにしたい気持ちの表れだ。
「大体、どんな顔して会えってのよ…」
自分たちがやったことを忘れたつもりはない。
あの日、何人ものボーダーズが死んだ。
自分達が直接手を下したわけではないが、だが火種をあえて焚き付けた自分たちだ。
かつて、山田は自分を尊敬するといってくれた。
今はどうだろうか。
そんなわけがない。
そんなわけがないのだ。
27
:
ヤーチェ
:2015/10/21(水) 01:47:32
「…渡すだけ、渡して。帰ろう。」
顔を見て帰るくらいなら、ばちは当たらないだろう。
…でも、もしかしたら。
顔を見て、ほんの少しだけ喋ることができるだろうか。もしかしたら中へ招いてくれたりするだろうか。もしかしたら、ちょっとだけ、仲間に入れてくれたりするだろうか…
現実を見ようとする気持ちと、どうしても消せない淡い期待を胸に、ようやくたどり着いた部屋。
開け放たれた扉の中から、何人かの声が聞こえてくる。やたらとよく喋る男の声だ。山田のものではない。
開け放たれたドアから、少し顔を出し、中を覗きこむ。
そこで丁度聞こえてきた言葉に、ヤーチェの心臓が跳ね上がった。
「…ヤダマ殿の奥方かの?」
黒髪の美女が、そこにいた。
端正な顔立ち、極めて女性的で凛とした立ち姿。
ヤーチェは思わず壁の影に引っ込んだ。
醜い劣等感が胸を荒らす。彼女の横に並ぼうなどと、そんなことが何故できるだろうか。
自分を、まるでレッドラインの外の魔物のようだと感じていた。
やはり自分は、この赤線を超えて中に入ることは、許されないのだと。
カサッ
山田たちの耳に、乾いた音が届くだろう。
振り向けば、ドアの前に紙袋がふたつ置かれているはずだ。
そこには、6人前のタンドリーチキンとサモサ、シーカバブを梱包した箱が入っているはずだ。
中にメモが入っており、そこには「俺をノックダウンしやがったクソ野郎へ」と、乱暴な走り書きが書かれている。いわずもがな店長のものだ。ついでに、店へのアクセスが書かれた名刺まで入っていた。意図は、よくわからない。
その少し後。
アパートの外で、エンジン音が聞こえ出すだろう。
そしてすぐさまマフラーの排気音があたりを震わせると、その音は、まるで逃げさるように去っていったのだった。
『退室しました』
28
:
三谷悠夏
:2015/10/21(水) 13:11:38
「山田さん。この方は何処に寝かせましょうか」
アバラギが山田家に来訪して暫く。お世辞も「いえ、違いますよ…」と適当に笑って流したあと、床に無造作に置かれている彼女を寝かすため、山田にそう聞いた。
山田が、この部屋でなく、あるいは何処かのベッドを使って良いと許可したならば。
見たかも知れない。山田家から走り去っていくヤーチェを。車に乗り込み去っていく彼女を。あの日、笹塚でスコープ越しに見た姿と同じ女性の姿を。
29
:
山田美樹
:2015/10/21(水) 19:36:08
>アバラギ
父の不在を何とかしなければならない。
そう言った環境で育っていたため、それなりの気丈さがあった。
アバラギの外見で警戒心を持ってしまった山田五郎の娘は、
「それはドアです!入口はあっち!」
あっち、と美樹から見て左方を指し示す。
アバラギに押し切られ、窓から室内への道を譲ってしまう。
娘には、父のような貫録や体さばきが無かった。
あ、ちょっとと言いかける娘は、父に「いいんだ、と制せられる。」
【ここに後述の山田五郎のレスが入ります】
>ゴンドナ
「テレビで見たの。」
日曜夜の動物番組で取り上げられてから、
かわいさで有名になってちょっとしたブームだった、という説明をした。
「クラスのみんなもつけてるよ。かわいいって。ゴンドナさんが飼い主…だよね?」
>オメール(オーバード)
ゴンドナからオメールという名前のオーバードを預かる。
まるまると、おおきなふくらすずめにも似た外見のその鳥は、見た目よりも軽く感じられた。
ふかふかとしたオーバードの体を、足を折らないように気を付けながら抱きかかえる。
テレビで見た通りのかわいさだった。
あいらしさを鳥の形にしたらこうなるのかもしれなかった。
「大丈夫だからねー。みんながいるし、ゴリラの人もいるし。
うちのパパは悪い人じゃないから大丈夫だからねー」
よしよし、と背中のあたりをさすってあげる。
オメールを抱え、今は空いている座布団の上に座ると、
ピザの残りを手でおよそ鳥の一口サイズにちぎった。
自分御お皿の上にサラダも盛った。
「食べる?」
オメールの口元にピザが運ばれる。
30
:
山田五郎
:2015/10/21(水) 20:03:37
>アバラギ、シシラギ、ゴンドナ
ある晴れた週末の昼下がり。
闖入者が誰か。山田はアバラギをまだ知らない。
ほろ酔いも一発でオフにした。
アバラギの風体はストリートスタイル系だが、
表情に敵意がないどころかあけすけですらある。
負われているのはどう見てもシシラギだ。ゴンドナの声に山田は頷く。
山田は、いいんだと娘に言って、道を開けさせた。
【ここまでが上記の山田美樹のレスにさしはさまる部分】
「ああ、そういうことですか。」
なんだかぞんざいにシシラギを見せる兄。
白化中だというのに、わざわざ来るのはありがたくもあり、心配でもあった。
友情なのか、食べ物につられたからなのか。どっちでもよい。
彼はシシラギの兄だという。兄でもなければこうしてくることも難しいだろう。
仮に賊ならばもっと危険の予感が、山田の首筋に感じられるのであった。
「屋根伝い」
思わずSNSのネタテンプレの如く反復してしまう。
「角に頭をぶつけた!? 妹をそんな君、ぞんざいに扱うんじゃない。」
しかも床に妹捨てるし。生肉押しつけるし。
「イノシシ…ボタン肉か!うまそうだなあ…じゃない、妹を投げちゃいけないだろう。しかも床に!」
(「ボタン肉…?あっおいしそう!食べたい!」)
父から旨い食材の話として聞いていたボタン肉、その実物を見て、好奇心がそそられた。
山田五郎も思わずキレ芸に走ってしまう。
アバラギという男の持つ、場を持っていく雰囲気。人間性。これもまた彼の個性であり、
実は場所さえマッチすれば煮詰まった局面を打開できる能力ではあるのだが…
40代男性としてはアカン行動は咎めざるを得なかったのであった。
(ここで山田娘から「食べ物じゃなーい!」と口撃が飛ぶ。)
「と、娘も言ってるから勘弁してやってくれ…奥方ぁ!?」
ちょっと娘が手のひらを返すのが早い。
とんでもない!珍しく山田は声をあげた。
「余所のお嬢さんだよ!」
山田の背中越し、部屋の片隅に、小さい仏壇がある。
そこには穏やかに微笑む30前後の女性の遺影があった。
視線を流し、仏壇を見るように促す。
アバラギの肩をたたいた。
>ヤーチェ1
袋がこすれる乾いた音がその時山田の耳に届いた。
「?」
>三谷
とにかく友人を床に転がしておけるわけがなかった。
「娘のベッドが空いてる。とりあえずそこに寝かせてくれ。」
ここは応接間に当たるが、ふすまを隔てて隣の部屋は娘の部屋になっていた。
16歳の娘が使うベッドである。おおよそ成人前後の女性でも使えるだろう。
「ドアのところで音がした。見てくる。済まないが、シシラギを運んで寝かせてくれ。」
山田はドアに向かった。
31
:
山田五郎
:2015/10/21(水) 20:24:30
>ヤーチェ
首筋をなでる妙な予感。
命に切迫したものはないが、突如兆す違和感を山田は確認したくなった。
空気にさえ残る、何者かがそこにいた微妙な温度の違い。
服のにおい、髪や体がもつ人間のにおいの残滓が漂う。
吹き渡る街の風には無いそれを山田の語感は感じた。
それは男の気配ではなかった。
足元から暖かいにおいが立ち上る、
胃袋をくすぐるカレーの香り。
中身が定かではない梱包を訝しげに見る。
名刺を見つけた。
「カレー屋 無鉄砲。」
声に出す。
走り書きのメモも見る。
内訳のメモも書いてあった。
ノックダウン、といえば思い出すだにいまだに不快感が残る。
魔術で自らが操られていた時の記憶が呼び起された。
近頃そんな目に合わせた人物は一人しかいない。
ユーリ、新聞で見たウォーヘッドのボス。
女の気配を残す空気のにおい。
薫りを鍵に、瞬間、梅ヶ丘での記憶が開く。
ユーリ、ウォーヘッド、八千代。
記憶が直列した。
カレー屋無鉄砲。そこに行かなければならない。
敵である俺になぜ食べ物が贈られたのか。ただの宣伝か。
店の営業を超えた意味を、因縁から一種のジェスチャーとして感じた。
なぜ我々が襲われたのか、確かめられるものなら確かめたかった。
(「余所のお嬢さんだよ!」)
おそらくは先ほどの山田の声も八千代に聞かれたであろう。
この間おおよそ10分。
>ALL
「作る手間が省けた。いやー驚いた。」
ドアの閉まる音。山田が帰ってきた。
「西新宿の方、幡ヶ谷に、なんか無鉄砲とかいうカレー屋ができたそうで。営業で配ってるみたいだ。
タンドリーチキンにサモサ、シシケバブ。メシを出そう」
ちょうどよい。そろそろピザも減ってきたころか。
テーブルの横に炊飯器を置くと。保温していたご飯を中高に人数分盛っていく。
「まあアバラギもよろしく食ってくれ。まだまだ飯は出るぞ。」
それにしても、娘には申し訳ないが、後日時間を割いて幡ヶ谷に行かねばならなくなった。
32
:
ゴンドナ
:2015/10/24(土) 01:06:50
始終ドヤ顏してたオーメルを宥めてくれる娘さん。
「よぉしよし、まぁそう泣くな、大丈夫大丈夫。」
その鳥頭辺りをわしゃわしゃ撫でつつ、目線はアバラギの方向に。
なんとも危なそうな外見をしてはいるが……、なんだこの毒気を抜かれる顏は!
そして何となく見覚えがある面構えは、なるほど、シシラギの兄貴か。
納得しつつも、どっかの角にぶつけたと聞けば、サングラスの下の眼をかっぴらく。
「流石と言うか、気絶ですんだのかそれ、丈夫だなぁ……。
あとこいつ(オーメル)は俺の連れだから捌かねぇでくれ……!」
可愛い愛玩的な存在なのだから!
あと多分そんなに食べられる身も少ないと思う、多分。
そんなオーメルを世話してくれる娘さんを有難く眺めていれば、問いかけられ。
「おう、そうだぜ、うちで世話してんだ。 ちなみに兄弟がもう一匹居てな、そっちはクールな食いしん坊。
……で、テレビで紹介されてたって? 見たかったなぁ……。」
そりゃもう、可愛く紹介されてたのだろうと思えば、実に惜しい顏をする。
とりあえず。
「で、あー、えっと、なんつったっけ。
まぁいいや、ねーさんよ、こいつは俺が運んどくよ。
娘さんよ、悪いがちょっとだけベッド借りるぜ〜。」
思えばまだ名前を聞いてない三谷嬢に言えば、シシラギを両手で抱え上げ、お姫様だっこの要領でゴローさん指示の部屋へ。
一応娘さんにも断ってベッドへと寝かせれば、戻ってきたゴローさんが手にした物が目に入る。
「へぇ! あんな所にカレー屋たぁ、またおもしれぇもんだな。
俺もその内邪魔してみっかな〜。
っと、アバラギだっけ? 俺はゴンドナだ! 妹さんには世話んなってる、よろしく頼むぜ。」
結果、普通に客人だったアバラギへと三度暑苦しいスマイルと共に自己紹介。
ご飯の盛られた器を手に取り、早速色々と手を出させて貰うとしよう。
うむ、実にパーティっぽい。よきかなよきかな、笑み浮かべて。
33
:
オメール(オーバード)
:2015/10/24(土) 22:31:07
(おいしくないです!!お肉全然ないのでおいしくないです!!)
生肉を持ったアバラギの笑えない冗談?本気?に可動域の限り首を横に振る。
気持ち口から息を吐きお腹を凹ませて、美味しくないアピールをした。
ただ幾ら空気を腹に貯めているとは言え、その外側に肉が付いているのも事実。
まさかちょっとしたブームが起きているとは知らない丸い鳥達。
ゴンドナより先に番組スタッフに出会っていたら、オーバーオールを着たおじさんと一緒にトキオをぶらり旅するミニコーナーが始まっていたかもしれない。
珍しく焦っていた鳥だが、美樹の優しい言葉と、ご主人の大きな掌の温もりにすっかり落ち着いたようだ。
ぴゃ!!!(食べ!まし!!!)
落ち着いた結果お腹が減った。
若干噛み気味で一鳴きすると、差し出されたピザを啄む。
(う…ま……)
実に幸せそうだ。
少しだけ体が膨らみ、ふかふか度が増した。
丁度秋冬毛に生え変わる時期なので触り心地は申し分ないだろう。
スパイシーな香りに少し心惹かれたが、流石にチキンにガッつく事はない。
肉以外は雑食です。
34
:
シシラギ
:2015/10/25(日) 20:33:45
「あー大丈夫じゃ、これくらいの傷、日常茶飯事じゃ。寝かしとったらなおる。」
妹の負傷にわやわやする周りを、はっはっはと朗らかに笑っていなす。
「???…別に、綺麗な床なようじゃが、なんかまずかったかのう」
床にほかったことを山田に咎められ、アバラギは本気で困惑しているようだった。
「すまんのぉ、わしゃこっちにきてまだ日が浅いもんで、ここのしきたりが分からんのじゃ。不快にさせたなら、あいすまんかった」
そういい、素直に彼らにぺこりと頭を下げよう。
「タイガードラマちゅうので、だいぶ勉強したんじゃがまだまだじゃの。…ああ、その鳥は食べんのか。ペットっちゅうやつかの。」
ゴンドナが連れだと主張するオーバード。
「うまいんじゃがのぉ…」
などと未練がましくボヤく。食に執着が強いのは妹と同じようだ。
奥方に妙に過剰反応する山田に、眉が跳ね上がった。またも地雷を踏んでしまったか。三谷女史にも、すまんの、と笑ってごまかす。
「おっと、ちごうたか。いや、そうか。ヤダマ殿はミボージンであったか…これは、奥方にも失礼をした。後で手を合わさせてくれ」
やらかした後も朗らかだ。わはは、と笑いながらゴンドナと同じように食べ物へと向かっていくだろう。
「おう、ゴンドナっちゅうのはあんたか!こっちこそシィが世話になっとるのう。これからも仲ようしてやってくれ。おっと、そうじゃ」
皿に肉ばかりをよそいながら、思い出したように顔をあげる。
「ワシもこないだリンケイになったんじゃ!あんた同業じゃろ?色々教えてくれんか」
35
:
アバラギ
:2015/10/25(日) 20:37:13
修正:シシラギ→アバラギ
36
:
三谷悠夏
:2015/10/26(月) 16:43:42
申し訳ございません、パスします
37
:
山田美樹
:2015/10/27(火) 20:42:29
>ゴンドナとオーメル
オーバードをなだめながら美樹は笑った。
「ああいう感じのヒト、時々学校にいるよ。見た目がいかついだけで本人は割と明るいヒト。」
オーメルの喉元をゴロゴロと撫でながら。
「うん、録画してなかったからあれだけど、ほんっとにかっわいかった!本物にはかなわないけど。
…え、もう一匹いるの!?わぁ…あれ?そういえば、ゴンドナさんが飼い主ってことは、ぼっちにしてて大丈夫?」
おっ、と声を上げる。オーバードが膨らんだ。
満足しているらしい。テレビでもそう言ってた。
「あ、そういえば、雑食だよね。」
ピザとかサラダとか突っついている鳥さんの口元あたりに、食べられてないものを寄せる。
愛らしい鳥から目が離せない。
38
:
山田五郎
:2015/10/27(火) 20:57:51
鳥にかかりきりの娘に微苦笑しながら、テーブルの上の皿と食器を追加で並べていく。
ややざっくりとした盛り付けだが、先ほど盛りつけた白米と併せ、エスニック飯でパーティーのメニューがその二に移った感がある。
「妻の事は、まあいいじゃないか。亡くなってることは事実なんだ。気にしないでくれ。」
すぐに、山田は平静になった。どうしようもないことは、どうしようもないのだ。すでに受け入れて何年も経っていた。
娘は一瞬、ちょっとだけ、微妙な目つきをした。まだ16である。
>アバラギ
「亜人は人間よりタフだからなぁ」
人の事態の感じ方、行い方は同じ人間でもだいぶ異なるときがある。亜人ならなおさらだろう。
山田はとりあえずありのままにアバラギの行動を把握してみた。
なおアバラギ自体がそのあたりについて驚異的におおざっぱであるかもしれないのだが。
「床がきれいでも、人間の町ではそういう置き方はしないんだ。
故郷ではそれでいいのかもしれないが、ちょっと驚いてしまう。ソファーとかベッドの上にそっと置くと良いよ。」
まあ僕らも君の村の習慣はよくわからないから、お互い様だなと言い、自分も白米をぱくつきだす。
「大河ドラマは、まあ時代劇という劇だ。現代の話じゃなくて、江戸時代というざっと400年くらい前の時代で捜索してる物語だな。
…為にはなるが、今の常識とはだいぶ違うんだ。何か勉強にいい作品でもあったらいいんだが…」
>ゴンドナ
「そういえば、ゴンドナは結構日本語が達者だが、どうやって勉強したんだ?やっぱりテレビとかラジオか?」
日ごろあまりこういった質問はしないたちなのだが、流れをして気になってしまった。
>オーバード
そんな時、アバラギが、オーバードはウマいと言い出した。
山田はオーバードを見つめる。
(うまいのか。)
食道楽で知られた副隊長殿であった。
(どんな味なんだ。)
しかし娘は、オーバードを愛しんでいた。
(いかん!これはいかん!邪念よ去れ!)
オーバードの背中に視線が突き刺さっていたであろうことを自覚し、
白米をかっ込む速度がぐんと上がった。
「タンドリーチキン、うまいな中々!」
これは箸が進むぞう、などと言いつつ。
(オーメル君、すまん!)
>三谷
「シシラギ君は寝かせておけばそのうち食べ物のにおいで目がさめるだろう。
せっかくなんだからもっと食べて。」
おせっかいを焼きつつ場を回そうとするおじさんであった。
39
:
ゴンドナ
:2015/10/30(金) 22:35:27
しっかとシシラギを寝かせれば、今はぐっすりな彼女の頭を撫でてやろう。
痛いの痛いのとんでいけ。
そうしてから部屋に戻れば、オーバードの味の話になっていた。
(うまいのか…!?)
どうやらこやつ、オーバードを食べた事がある様子。
いや、もしかしたら、たまに居る何食ってもうまい系の人かも知れないが…。
オーメルと共に戦慄した。
そんな丸い鳥も、旨い料理に満足気な様子だ。
こりゃまた、良い羽毛がとれそうだ、うむ。
アバラギに対するマナー講座は、ゴローさんに任せておくとして。
「タイガー…、虎? あ、あれか、時代劇みたいな奴で勉強したのか?
なるほど、納得したぜ。
そそ、まぁペットっつうか同居人、鳥? って奴だな、飯食わせてやってる代わりに、こいつの羽毛を頂いてんのさ。」
生え代わりの時に拝借したのが、また良い値段で売れるのだ。
と言うのは建前で、単純にどえらい可愛さにほれ込んだからなのだが、流石に言えない。
「お、あんたもリンケイになったんか、アバラギさんよ。
まぁ、俺が教えられる事なんざたかが知れてるが、何でも聞いてくれなぁ。」
答えられる事なら教えるからよ! なんて言いつつ、親指立てて暑苦しい笑顔を浮かべた。
「ああ、俺ちいせぇ頃から上の人間に世話んなってたんだ。
だから俺んとっちゃ、こっちのが素なんだよな。」
『地底語では、どうも堅苦しくなってしまっていかんのだ。』
むしろ地底語の方が苦手なレベルなのである。
たまに地底語講座とかこっそり受けに行っている程に。
だから、自分が言葉について教えられる事は少ないと思うのだ。
オーメルの世話をしてくれている娘さんの隣に座って、タンドリーチキンへと手を伸ばす。
「ああ、いるいる、見た目とのギャップがあって面白ぇんだよなぁ。
ま、やっぱ愛でるなら本物だよな! ああ、あいつはこいつとは別の意味でマイペースだからなぁ。
一緒に来てないって事は、寝てるかもう一匹の同居人と戯れてるかだと思うぜ?」
火竜も一緒に住んでてな、と追加情報。
自分でも中々に不思議な組み合わせだと思うが。
美味そうに食事をするオーメルと、娘さんの組み合わせは、うん、実に可愛らしい。
実に賑やかになってきたホームパーティの空気と共に食事を味わいながら、ほのぼの気分である。
40
:
オメール(オーバード)
:2015/11/02(月) 14:55:59
口元に運ばれる食べ物は須らく胃袋へ流されてゆく。
流石に一回に啄める量はさして多くないけれど、それでも一般鳥と比べれば非常によく食べる。
留守番中の兄は、同居人の火竜の上に移動してコロコロしながた昼寝を続行していた。
弟が食べていかなかったおやつの木の実も頂いたので、こちらもお腹いっぱいで大満足らしい。
ぴょー(幸せだ…この女の子は女神かな…?)
咀嚼の合間にコロコロ転がる鈴の音のような声を時々発していた。
何もしなくてもご飯が出てくる(大体いつもそうですが)至福のひと時。
いつまでも続けばいいのに…と思っていたその時。
ーービクッ
何か背筋に冷たいものを感じて体がわずかに跳ねる。
おかしい、先ほど食料を見る目でこちらを見ていたアバラギからは何も感じないのに…
気配の方へ首を回すとそこにいたのは山田父。
(おとうさま、貴方もですか……??!!)
タンドリーチキンを食らう様を見てより一層の恐怖を感じたのか、すぐさま元の方向に向き直った。
(あーー、おいしいなぁぁ)
何も見なかった事にしよう。美樹もゴンドナも三谷も恐らく自分を食料としては見ていないし、きっとここは安全だ。
そう自分に言い聞かせて。
41
:
アバラギ
:2015/11/05(木) 20:57:11
「ふーむ。そうか…ここじゃ床は 〆∂⊆£ なんじゃな…」
山田の説明にアバラギは納得したようだったが、まだ日本語に変換しきれない言葉があるようだ。ローストビーフをふた切れ一気に頬張りながら独り言を呟く。
「なんじゃ、そうか。通りでサムライやニンジャやマオトコを見かけんと思うたわ。わっはっは!」
大河ドラマとは。
オーバードと同居してるというゴンドナの説明に頷く。
「なんじゃ、そうか。確かに羽毛はあったかいからのう。じゃが、オーバード1匹じゃ、枕のぶんの羽毛も採れなさそうじゃのう。いっそ、オーバード牧場でも開いたらどうじゃ。
お嬢ちゃんも、大量のオーバード、見たいじゃろ。」
ムツゴロウ王国化していくゴリラ農園…
「なんじゃお前さん、こっち育ちか。
『通りで日本語が達者だな。じゃあ地底語でわからねぇ事があったら俺に聞いてくれ。魔術師だからな、古代文献も読めるぜ。』
異界のダンジョンで古代地底語にぶつかることもあるからの」
うんうん、と頷き今度はタンドリーチキンをパクつく。さっきから肉ばかり食べている。
「うーむ。うまいのぉ。ヤダマ殿は引退後も安泰じゃの。」
ぱくつく手が止まらない。
一瞬、オーバードに手を伸ばしかけ、
『っと危ねぇ、間違えた』
本気なのか冗談なのか、慌てて手を引っ込めた。
42
:
三谷悠夏
:2015/11/07(土) 15:12:17
皆の会話に適当な相槌を打ち、部屋のあちこちを歩く。そして、時計をチラッと見る。
「あの、私、もう少しでおいとましなければなりません。短い間でしたが、お誘い頂きありがとう御座いました」
皆に頭を下げる。
43
:
山田五郎
:2015/11/08(日) 18:50:21
>三谷
「む。そうでしたか。いや、なんだか小忙しくて申し訳ないです。」
座していたところ立ち上がって、頭を小さく下げて礼を述べる。
「せわしなく恐縮です。今日はどうも、ありがとうございます。」
そうして、三谷さんが帰るときには、玄関まできちんと送るのだった。
>ゴンドナ
「なるほど。まあ地上でも似たような話はあるなぁ。外国の移民二世とかだな‥。」
若い世代の亜人だとそういうこともある。
震災直後からの世相をリアルタイムで感じていた山田にはすぐ理解できた。
地底語がやや不自由で、地上人に近くなる世代というのはあるものだ。
>オーメル
一瞬鳥と目が合った。
顔の前で手をせわしなく左右に振り
(ちがうよ!食べないよ!)
とジェスチャーしてみたが、伝わらないかもしれない。クソ真顔だったから。
>アバラギ
「侍はいないし、忍者も厳密にはいないなあ。…侍という階級はなくなったが侍の剣術はあるし…
まあ僕も剣士という点では侍みたいなものか。
忍者という仕事はなくなったが、忍者の技術を教えている格闘の道場とかはある。」
間男、という言葉に眉をひそめつつ
「間男は現役の言葉なんだ。あまり大声でいうとよくないよ。良くない言葉だな。」
ご飯を改めてつついている山田おじさん。
「肉食男子か…。
引退後なあ。趣味で食えるほど世の中甘いとも思えないんだが、まあ深夜食堂とかやってもいいんじゃないかなあ、とは
…なかなかねえ、ボーダーズの再就職ってのもアレ(厳しい)なところあるからなあ。」
肉食が微妙に意味が違う。
「肉が嫌いな奴ってあまりいないよなあ。…アバラギ君、生食はまずい。」
オーバードに手を伸ばす彼に真顔でアドバイスするおじさん。
「オーバードは食べ物じゃないぞ。…まあ食べるなら、串焼きだな。」
話題が食いものから離れないマンだよ。
鳥にうっかり恐怖心を与えかねないよ!
44
:
山田美樹
:2015/11/08(日) 19:02:52
>オーバード、パパ、アバラギ兄さん
かわいいものはなにしてもかわいい。
ふくふくとからだをふくらませてご飯食べてるのちょうかわいい。
実際、撫でてみたらとても気持ちよさそうにしているので
うれしいしかわいいしで娘大満足。
突然、びくつくトリ。
「パパ?」
(すまん。と向こうからパパの陳謝する声)
「食べるとかそういうの止めてね?ほんっとに止めてね?」
かわいそうすぎる。かわいい生き物を食べるとか犯罪としか思えない娘。
「あの!?」
オーバードに手を伸ばしたアバラギにきっ、と目線が向く。
間違えた、的なニュアンスで手を引いたのでやっと安心感が。
うふっ、と笑った。
…本物はいい…かわいさのレベル全然違う…
かなり娘は魅了されていた。
>ゴンドナさん
「見た目同じようでも、結構性格とか違うんだぁ」
犬とかでもよくある。娘の言葉には納得した気持ちが顕れてた。
「もう一匹ってことは三匹、ですか?わぁ…3匹も…この子みてて思うんですけど、やっぱり仲良しですか…?」
かわいいものが3つあるからかわいいが3乗されてる。
娘は真剣にそう思った。
「えっ、ドラゴンまでいるんですか!?大丈夫ですか?!」
オーバードは美味しいのである。
美樹は食べる気は全くないけど、ドラゴンは食べるかもしれない。
一緒に飼ってて大丈夫なのと、おおざっぱな想像でもうあわてて聞いてしまう。
***********
>オーメル2
「あ。そだ。」
立ち上がると、冷蔵庫横のダンボールを開けて、かごにミカンを積んで戻ってくる。
オーバードの前に向いて置いといてあげる。
45
:
オメール(オーバード)
:2015/11/18(水) 01:16:45
(PL:ゴンドナ様のレス順かと思うのですが、少し間が空いたので先に投稿いたします)
ピェーーー!(シャーーー!)
アバラギはもはや天敵であった。
珍しく瞬発力を発揮し、小さい口を目一杯広げて対抗する。迫力は全くない。
ピョォ!(こっちは真顔じゃないですかーやだー!)
言わんとしている事は分かる気もするが、それにしても真顔すぎて全く伝わってこない。
え?生食?串焼き?不穏な単語のやり取りが。
この家での粗相は許されない、気を抜いたら…死ぬ。
能天気に生きてきてン年、初めてシリアスな感情が自分の中に芽生えていた。
娘さんの慰めに涙ちょちょぎれそうになる鳥。
撫でられてようやく萎縮していた体が元に戻った。
ぴ!!!(おみっおみかん!今から旬のおみかん!)
カゴに積まれたミカンに目が輝いた。
ちょうど甘いものが欲しいと思っていたところなのです!
ぽいんっ、軽く体を弾ませてカゴのすぐ傍と移動し。
嘴を皮にぷすりと刺す。
そのまま首を持ち上げたので正面から見ると顔は全て隠れ、丸い体にミカンがくっついた新種の生き物みたいになっていた。
その状態で美樹の方へ体ごと振り返る。視界にはオレンジ色しか映っていないけれど。
(もぐもぐもぐもぐ…)
嘴を突っ込んだまま中身を貪っていた。口周りは甘い汁でベタベタだ。
46
:
ゴンドナ
:2015/11/18(水) 18:16:41
「オーバードは二匹でな、まぁ飯やってる分の小遣い稼ぎみたいなもんなのさ。
……オーバード牧場か、魅力的っちゃ魅力的ではあるな。」
アバラギの提案に心が揺れ動く。
しかし、この兄弟だけでもかなりの大食らいだ。
それを多数となるともう、自分一人の手では回らない気がした。
まぁ、前向きに考えてみる事にはしよう、可愛いだろうし。
「だろう? 俺としちゃこっちが母国語でなぁ。
『其方も其方で、地底語では随分印象が違う物だ。
正直助かる、この外見だから稀に困る事がある物でな。』
……そんときゃ頼りにさせてもらわぁな。」
訳あって今は所属していた会社を離れてフリー状態、伝手は多い方が良い。
とりあえずうちのには手は出さないで置いて欲しい!
この辺り話が早い山田には、数度頷きを返し。
「まぁ今となっちゃ違和感の欠片もねぇが、ちょいと前まではすげぇもんだったぜ?
こっちに出て来たての亜人にネイティブな地底語で話しかけられたりしてな、いやまじ全然聞き取れねぇ事…。」
今や亜人あるあるの様な現象だ。
それこそ崩壊前での二世や外国系日本人のそれと似た様な物で。
……にしても、可愛い物を前にした若い娘さんってのは、妙な力強さを感じる。
オーメルに魔の手を伸ばしかける二人に立ち向かう姿を見て感慨にふけったとか。
「こいつら、オーバードが二匹と火竜が一匹、いまんとこ俺んちで同居中よ。
それが面白いもんで、一番大人しいのが火竜なんだよ、イハって言うんだがね?
育ちの良さが現れてんのさ。」
まぁ、特にイハに懐いている兄の方は、たまにぐみぐみと甘噛みされているけれど。
どうやら愛情表現っぽいぜ? とフォローと解説を。
……等のオーメルが威嚇するのを目を丸くして観察。
初めてみた状況である。
流石は元野生、危機感を感じる本能は残っていたか……。
とても面白い感じにみかんを食べているのを見ると、それも勘違いかと頭をひねるが。
まぁ可愛いからよしとしよう、眼福。
「おお、お嬢さんお帰りかい?
またなぁ、道中気を付けて!」
頭を下げる三谷嬢に、ぺらりぺらり手を振って。
47
:
山田五郎
:2015/11/30(月) 22:46:00
※三谷さまのレスが滞っているため、
スレを進行させます。
>ゴンドナ
話が早いのは、やはり震災をリアルに体験した世代だからというのが大きい。
なぜそうなのか、を突き詰めて白黒つけるよりまず受け入れる。
山田五郎は、彼の親の代から一家がそうだった。
「大変だったろうな。何しろ、話すにも、見た目で話せると思われるから大変だろう。
…ちょうど、僕が子供の時はこの国も人口が減っててね、しかしバブルの影響かハーフが増えたんだ。
見た目が白人なのに英語が話せないというのが、まあネタになったりならなかったりというところか。」
想像と共感はしっかりできた。
さて、気がつくと時間はだいぶ経過していた。
日もそこそこ傾き、
「結構長時間飲み食いしてたな。一旦ここでお開きとして、まあまったりしたいやつはまったりすればいいか。
何だったら泊まっても構わない。」
48
:
山田五郎と山田美樹
:2015/11/30(月) 22:57:42
>オメール
>>山田五郎
なお山田おじさんはキープオン真顔だった模様。
心の中ではジェントルでも、ひとや鳥は外見で判断しちゃいますよね。
なんか鳥めっちゃ恐れてる。
しょうがないよね割と戦士だからね五郎さんね。
(仕方がない、目を、逸らそう。)
視線をすっと下に落とし、喰う興味がないよというのをジェスチャーで示すんだ。
曲解されてもしょうがない!
>>山田美樹
手の中からぽいーん、とオーバードがはねる。
しばらく後、山田美樹は、一瞬噴きだした。
オレンジ色の頭の鳥、に見える。
夢中でミカンにくちばしを突き立ててよちよちと振り返る鳥さんのかわいさ比類ない。
あっ…美樹はちょっと声を上げると、手近なティッシュを手に取って、フローリングの上に落ちたおみかんの汁をふく。
後で雑巾で拭いておこう。
それにしても一心不乱に食べているのは、赤ちゃんの様で母性本能がくすぐられるようなられないような。
>それから
一応の会のひと段落的なことを父が言った。
寝ていたシシラギが起きれば、残ったものをうまい事まとめて出すこともできる。
山田五郎は空いた皿をまとめ、
「ちょっと、いったんテーブルをあけるよ」
食べきられた料理の皿も器用に湯洗いする。洗剤のついたスポンジをさばくのも慣れたものだ。
そうして、食休みが終われば、山田五郎はお茶かコーヒーか紅茶、またケーキでも出して、皆をもてなすのだった。
席を立って三谷さんが帰れば、きちっと玄関まで送り、謝辞を申して。
【退出しました】
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