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仮投下スレ

1管理人◆777Wt6LHaA★:2015/04/08(水) 14:21:51 ID:???
作品の仮投下はこちらのスレで。

2 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:33:26 ID:RSyUWU6I
OP案を投下します

3 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:34:37 ID:RSyUWU6I
ざわめきたてる声、怒りを露わにする声、今にも泣き出しそうな声
周囲には様々な人々の声が雑音のように流れてくる。
それが彼の安眠を妨害して、意識が覚醒してゆっくりと目を開けた。

視界には数十人の男女が戸惑いを隠さずに騒いでいた。
全員、首元には首輪が付けられており自分の首にも同様の物が付けられていた。
そこは彼がいた留置場では無い。
パーティーにでも使われるような巨大なホールの中で壁にもたれるように彼は眠っていたのだ。
床には高級感溢れる真っ赤なカーペットが敷かれており、天井には巨大なシャンデリアが吊られている。
全く見覚えの無い場所だった。

彼、空条承太郎は周囲を見渡してから思考を働かせる。
睡眠に入る前、承太郎は自らの意思で留置場にいた。
承太郎の体には悪霊が住み着いている。
知らず知らずのうちに悪霊が他人を傷つけてしまうからだ。
悪霊から他人を守る為に自分を隔離していた。

眠っている隙に、こんな人の多い場所に引っ張り込んだ連中はぶちのめさなければ気が済まない。
我ながら恨みを根に持ちやすいと自覚している承太郎は静かに怒りを滾らせていた。

「諸君!!静粛にしてもらおうか!!」

ホールの上段から全身が黒塗りの男が現れ、マイク越しにその声が響いた。
声を聴くだけで承太郎の怒りは更に込み上げてくる。
特に理由は無いが男の声は承太郎にとって非常に癇に障るのだ。

「不躾なる登場、ひらにご容赦を。さて会場にお集まりの皆様。
 わたくし961プロダクションという芸能事務所を営んでおります、黒井と申します。
 以後お見知りおきを」

「君たちをここに集めた理由を説明させてもらおう……今から君たちには殺し合いをしてもらう。
 言っておくがこれはドッキリでは無いぞ、正真正銘の殺人ゲームさ
 逆らえば……首輪に内臓されている爆弾でBOM!さ」

「ではルールを説明させ「ふざけんじゃねえ黒井!!誰が人殺しなんかするか!!」

周りの参加者を押しのけて前へ出た男が黒井に対して怒りをぶつける。
男の名は天ヶ瀬冬馬、かつて961プロダクションのアイドルグループ『ジュピター』のリーダーである。

「冬馬か……この私が散々目をかけてやった恩を忘れて、よくも私の顔に泥を塗ってくれたな。
 これは私が君に与える罰だよ。まあ安心したまえ、私も鬼ではない。
 他の二人は殺さずに別室で君の姿をモニターで映しながら待機させているよ」

黒井が指をパチンと鳴らすと巨大なスクリーンから画面が映し出され
そこには拘束された伊集院北斗と御手洗翔太の姿があった。

「北斗!?翔太!?……てめえええええ!!」
「心配するな、このバトルロワイアルが終わったら家に帰してあげるよ
 お前の死ぬ姿をその目に焼き付けて一生後悔して生きるがいいさ!
 ハーハッハッハッハッハァ!!」

4 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:35:29 ID:RSyUWU6I
「下郎がァ!!」

黒井の暴虐な振る舞いに激怒した金髪の少女の体は光に包まれ
見に纏っているスーツが青い鎧へと変化した。

「おやぁ?この私に逆らうつもりかね?セイバー君」
「これ以上お前のような外道の好きにはさせない!
 ここで貴様を討つ!!」

セイバーの跳躍で一瞬にして上階にいる黒井の眼前まで接近すると
風王結界によって他者には見えない不可視の剣で黒井目掛けて振り下ろす。
だが、剣が黒井に届く寸前で見えない壁によって弾かれ傷一つ付かなかった。

「何ッ!?」
「無駄無駄ァ!!その程度の対策も考えてない黒井だと思ったかァ?このマヌケがッ!!
 この私に逆らった者はどうなるかよく見ておくがいい!!」

黒井は懐からスイッチを取り出し、押した。
すると首輪からアラームが鳴り点滅を開始した。
狼狽えている群衆の中にいた老人の首輪が。

「ひ、ひぃいいいいいい〜〜〜!!なんでワシがァーーー!!?」
「あ!ごめん、間違えちゃった。こっちこっち」
「あべしっ!!」

パァン!と爆発音と共に老人(グレーフライ)の頭が吹っ飛び
首から血が噴水のように吹き出した。
そしてセイバーの首輪も老人と同じようにアラームが鳴る。

「くっ……このような悪逆非道な行為、決して許される物じゃない!!
 貴様は必ず報いを受けるだろう!そして己が犯した罪を悔いながら
 地獄の業火に焼かれて朽ちるがいい!!」

呪詛の言葉と共にセイバーの首は吹き飛んだ。
死体が光の粒子へと変わり、消滅していった。

「ジャンヌぅううううううううううううううう!!!!
 うぐぐぐ……おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれ!おのれぇぇぇ!!
 よくも我が愛しの性処女ジャンヌにこんな残酷で惨い仕打ちを!それが人間のやることですかぁ!?」
「いやぁ君のやってきた事の方がよっぽど残酷だと思うよ私は」
「黙りなさい!!このジルドレイめがジャンヌの命を奪った憎き悪鬼を討ち倒して見せましょう!!」

キャスターが怪しげな本を取り出して呪文を唱えると
海洋生物の化け物が二匹出現して、うねうねと動き出した。
キャスターのそばにいた参加者達は悲鳴をあげながら逃げる様に距離を取る。

5 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:36:22 ID:RSyUWU6I
「さあ!やっておしまいなさい!」

キャスターの指示を受けて黒井に向かう二匹の海魔。
その時、二発の轟音が鳴り響き、海魔の体に大きな穴が空いて消し飛んだ。

「ここでの戦闘は禁止されている。直ちに攻撃を中止しろ!!」
「長門さん!?」

おそらく女子中学生ほどの年齢である少女が
海魔を撃退した女性の顔を見て驚きの声をあげた。

「よくも邪魔を!!ジャンヌの敵討ちを妨害するなど神をも恐れぬ愚行を
 貴様たちは分かってqあwせdrftgyふじこlp!!!!」
「あーこいつは話の通じない手合いだわ。
 いつまで経っても説明が進まないからこいつだけさっさと島に送るか」

黒井が合図を送るとキャスターの姿が忽然と消えた。
一足先に殺し合いの舞台となる島へと強制送還されたのだ。

「長門さん!どうして……?」
「これは軍上層部及び提督の意思である!!
 吹雪、金剛、加賀に命ずる!!このバトルロワイアルで勝ち抜き、生き残れ!!
 それが三人に与えられた最重要任務である!!」
「そ、そんな……」

力なく地べたに倒れこむ吹雪。
一般人達を殺して生き残れだなんてあまりにも酷い命令。
そんなの夢であってほしいと現実を直視出来ずにいた。

「分かったかね吹雪?軍部の命令に逆らうってことは上司である提督にも責任が及ぶんだぜ。
 そんな真似はしないよな?大事な大事な提督を裏切るような真似はさぁ……。
 詳しい事は軍事機密で教えられていないが君たち艦娘は兵器としてテストを兼ねているそうだからな。
 お前たち気を付けろよ!!こいつら艦娘は見た目はただの小娘だが戦いの為に生み出された生体兵器だからなァ!!」

「さて、それじゃあこの殺し合いゲーム『バトルロワイアル』の説明をしよう
 とても大事な話だから耳の穴をかっぽじってよぉく聞きたまえ。
 ルールは簡単だ。君たち首輪の嵌められた参加者58人を、おっと先ほど一人飛ばしたから57人か。
 これからある島で君たちは殺し合いをしてもらう、転送で一瞬だから移動の手間はかからないぞ。
 場所はランダムだ。危険人物が近くにいない事を祈るんだな
 それと他に三名が既に島に送っておいてある。あいつらは話を聞ける状態じゃあないからな
 つまりここの57人と島にいる4人、合わせて61人で殺し合うのだ」

「島に着いたらすぐ傍に黒いデイバッグが落ちているから確認するといい。
 中には水や食料、島の詳細が描かれた地図に君たち参加者たちの名前が書かれた名簿
 このバトルロワイアルのルールが書かれた冊子。
 時計、懐中電灯、コンパス、救急箱等々のロワで必要なサバイバル道具。
 そして他の参加者を殺害するための武器が入っている。
 武器は人によって強力な物からハズレまでランダムに配られている。
 ハズレが出ても諦めるなよ、他人を騙して殺して奪い取るのも有りだからな」

「もちろんこのバトルロワイアルで生き残ったらそれ相応の報酬を払おうではないか。
 望みの物があれば出来る限り叶える、将来、何一つ気にすることの無い一生安泰した生活を与えよう。
 我々の持つ技術を最大限に使い生存者の支援に全力を注ぐことをここに誓おう」

「おっと言い忘れていたよ生還者の人数は三人だ。
 三人の生存者が確認された時点でこのバトルロワイアルは終了とする。
 本来はただ一人が生き残るルールにするはずだったが、それでは面白味に欠けると思ってね。
 私自身の提案で三人が生き残るルールに変更させてもらった。
 戦闘能力の高い者だけが生き残れるわけじゃあない。
 チームワークを駆使すれば何の力も無い貧弱なアイドル共も生存確率が上がる。
 非力な者たちの配慮を考えた私の慈悲深さに感謝するがいい。ハハハハハッ!!」

6 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:36:57 ID:RSyUWU6I
「それと大まかな時間の流れだが、六時間に一回放送を行う。
 つまり一日四回放送となるわけだ。かなり重要な内容だから聞き逃さないようにな。
 放送で説明されるのは死亡した参加者に……これは特に重要だぞ〜進入禁止エリアの発表だ。
 進入禁止エリアとは?それは地図を見ればわかるが島は線で複数のエリアに区分けされている。
 その中で一回の放送ごとに私が三つ指定し、進入禁止区域とさせてもらう。
 もしうっかり禁止エリアに入った場合は、首輪が作動して死ぬぞ〜怖いだろ〜?
 そんなマヌケな死にざまはこっちとしても望んで無いんでな。
 1分以内に禁止エリアから脱出すれば首輪のアラームが止まり命が助かるから急ぐことだ」

「この禁止エリアは主に一カ所に引きこもって戦いを避けようとするチキンを炙り出すために提案されたルールだ。
 敵を迎え撃つのが目的の篭城戦ならともかく、ひたすら逃げ隠れするだけならつまらんからなぁ。
 あと最後に一つ、君たちは首輪による強制力で無理やり殺し合いをさせられている訳だが。
 万が一、この首輪を外すことに成功し遠隔操作による爆殺の脅威から逃れたとしても……我々に逆らおうとは思わないことだ。なぜなら〜」

黒井がパチンと指を鳴らした。
その瞬間、参加者の周囲を取り囲むように多数の少女達が武装を突きつけながら現れた。
提督の指揮の下、艦娘達がバトルロワイアル運営の為に大量導入されていたのだった。

「我々と敵対するということは一国の軍隊を敵に回すのと同等だからなぁ〜〜!!
 君たちのような貧弱で下等なモンキー共がいくら足掻こうが全て無駄なんだよぉおお!!」

「説明終わるのおっそ〜い!」「くま〜」「にゃ〜」「なのです」「もっと私を頼ってもいいのよ」「一人前のレディなんだから」「ハラショー」「っぽい!」

見た目は少女でも彼女たちは立派な兵器である。
先ほど二匹の海魔を仕留めた威力からして
その身に装着された武装は決して玩具では無いのだと参加者達は理解できた。

「大井っち〜くっつきすぎだよ〜」
「油断は禁物です北上さん!彼ら参加者の毒牙がいつ北上さんに向けられるか。
 想像しただけで恐ろしい……私が命に代えても守らなければ!!」
「大丈夫だよ。この状況なら誰も手が出せないよ。
 それに大井っちに何かあったらあたしも悲しいから無茶はしないでね」
「……ッ!?北上さんが私の心配を……ああ私はなんて幸せなんでしょう!
 この胸の高鳴り……それはまさに愛!!」

「そこぉ!!参加者でも無いのにお前ら二人でどんだけ尺取ってんだよ!!
 もう予定時間過ぎてるんだぞ!!空気読めよお前らッ!!」

「ちっ……私と北上さんのラブラブタイムを邪魔をする黒井こそ空気読みなさいよ……」
「何か言ったかぁ!?」
「いいえ何も」

7 ◆Q47.dLD/uw:2015/04/08(水) 21:37:34 ID:RSyUWU6I
「これから質問受け付けタイムを始める予定だったがスケジュールが押しているのでな。
 名残惜しいが開会式は終了し今よりバトルロワイアルを開始する。
 君たちが奮闘出来るよう武運を祈っているよ」

「待ちな」

「何かようかね?承太郎君」

壁に寄りかかり、終始無言を続けていた承太郎が体を起こし
黒井を睨みつけながら見上げた。
その瞳は冷静さを失わないまま怒りに満ちていた。

「……この空条承太郎はいわゆる不良のレッテルをはられている。
 ケンカの相手を必要以上にブチのめし、いまだ病院から出てこれねえ奴もいる。
 イバルだけで能なしなんで気合いを入れてやった教師はもう二度と学校へは来ねえ。
 料金以下のマズイめしを食わせるレストランには代金を払わねーってのはしょっちゅうよ」

「だがこんなおれにもはき気のする『悪』はわかる!!
『悪』とはてめーのように人の命を虫けらのようにもて遊ぶやつのことだ!!
 てめーがどんな権力や武力をもっているかなんて俺にはわからねえし関係ねえ。
 たとえ神の力をもっていようが、てめーはこの空条承太郎がじきじきにブチのめすッ!!」

多数の砲塔が承太郎に向けられているのにも関わらず
彼の顔には焦り一つ見られていない。
主催者である黒井たちが逆に追い詰められているかのような威圧感すらあった。
それだけの胆力を前にして黒井は邪悪な笑みを浮かべていた。

「ククク……ハハハ……ハーッハッハッハッハ!!!!
 面白い!!面白いよ君ィ!!この状況の中でこれだけの啖呵を張れるとはなぁ。
 私をブチのめすだとぉ?それは楽しみだ!!できるものならやって見るがいい!!この黒井にたいしてッ!!」

黒井の高笑いと共に全ての参加者がテレポートされバトルロワイアルが始まった。

♢♢♢

参加者が全て転送されたのを確認した黒井は飲料水を口にしながら席についた。
隣には軍服の男が座っている。

「やあ提督、君にも解説役をやってもらえると助かるんだがねえ……。
 ……やれやれ、相変わらず提督は寡黙な人だ」

さきほどから一言も言葉を発しない彼は提督と呼ばれる男である。
艦娘を指揮しているらしいが実際に指揮を執る姿は見たこと無い。
提督の考えはまるで読めない。
我々の思考のの及ばぬ深海よりも深い考えを張り巡らしているようで
もしかしたら何も考えていないのでは?とも思える。
黒井にとって提督は雲以上に掴みどころの無い人物であった。

「北上さんおつかれさま〜♪」
「あ〜お疲れ〜大井っち」
「緊急の時に備えて、これから一緒に換装の整備をしましょう〜♪」
「そうだね〜」

「……ってなんでお前らが最後まで尺を取ってんだッ!!
 主催の頭はこの黒井と提督だぞッ!!」


【Fate/Zero@セイバー 死亡】
【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース@グレーフライ 死亡】
【残り61人】


『主催』
【THE IDOLM@STER@黒井崇男】
【艦隊これくしょん-艦これ-@提督】

8名無しさん:2015/04/08(水) 21:38:44 ID:RSyUWU6I
OP案投下終了です

9名無しさん:2015/04/08(水) 23:14:34 ID:RSyUWU6I
書き忘れがありました

※バーサーカー、シャルロッテ、空母ヲ級の三名は開会式に未参加です。

これを最後に付け足しておきます
投下ミス失礼しました

10 ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:14:11 ID:qiu9HJE.
OP案を投下します

11 ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:16:04 ID:qiu9HJE.
科学の発展により著しい成長を見せる現代社会。
技術力によって培われた叡智は街並みを合理的に進化させている。

だがその裏では古より受け継がれる『魔術』が蔓延っていた。

事の始まりは宇宙の存命のために地球へ降り立った使者『インキュベーター』の存在である。
白い小動物の姿をした彼らは願いの代償に「魔法少女」システムを地球に齎した。
このシステムにより少女は希望を手に入れやがて絶望を振り撒く存在に「シンカ」していった。
夢を見たかっただけの少女が『魔女』に成り果てる、その力を悪用する者達も現れた。
少女達の生命を利用した邪神と『盗賊王』に裁きの鉄槌を下すべく『ファラオ王』は戦う。
その終焉は己を犠牲にし邪神とエジプトにやって来たインキュベーターを「千年パズル」に封印した。

ファラオ王の生命と引き換えに少女達の憎しみは消えたが新たな魔術が人々の不幸を呼ぶ。

新たに地球へやって来たインキュベーターは封印を恐れ契約システムを『聖杯』へと移していった。
この世に名を轟かせた『英霊』を召喚し覇権を競う『聖杯戦争』を実現させたのた。
少女達に契約を迫り再び魔女が増えてしまえばファラオ王のような人間に目を付けられてしまう。
表立った活動が出来ないインキュベーターは聖杯を創り上げ『アインツベルン』に情報を与えた。
この世界における魔術の血筋は総て魔法少女から始まっている。故に聖杯は彼らによく馴染んでいた。

魔法少女はソウルジェムが砕かれない限り死ぬことはない。つまり永遠の生命である。

インキュベーターが齎した魔法少女システムとは別に新たなシンカを求めていた者も存在する。
不幸を振り撒く魔女の誕生を防ぐため各地では『魔女狩り』と称して少女達を殺す儀式が行われていた。
血で血を洗うその儀式は形を変えて受け継がれ『生贄の儀式』として残っている。
『アステカのとある一族の族長』は一族に語られる魔法少女の不死を体現するため『石仮面』を被る。
魔法少女の血筋を持つ者を殺しその血を浴びることで彼らは『吸血鬼』として永遠の生命を手に入れた。

各地で起こる戦いは歴史に残ることなく、知る者だけが知る一種のお伽話として受け継がれていった。

やがて魔術が影を帯び世界に技術が発展した頃、人類は新たな『兵器』を生み出した。
日本と呼ばれる東洋の島国は幾多無く起きる戦争のために早急な戦力確保が必要だった。
銃弾では多くの者を殺せない。戦車を用意するには金が必要だ。制空権は敵国が有利である。

戦況が不利になり追い込まれていた日本を救ったのは戦力として扱っていた『艦隊』だ。
海の覇者として多大なる戦果を上げていた戦艦達を『人の姿』として転生させることにより『人型兵器』を生み出す禁術。
魔術の血筋は数こそ減ったもののこの世から姿を消さず、『艦娘』を誕生させた。
コストが掛からない兵器である艦むすはその力を大いに発揮し日本を勝利へと導いていた。その力は女神と称される程。

過去に魔法少女が魔女として扱われていた風習はこの世から消えた。そして『少女達の時代』が到来する。

『765プロダクション』の『アイドル』達はその姿と笑顔から絶大なる人気を誇っていた。
彼女達に憧れてアイドルを目指す学生も多く、アイドルの理想像『アイドルマスター』として名を轟かせていた。

舞台で輝く『奇跡』の『シンデレラ』を目指し日本の学生は大いに盛り上がる。
そんな彼女達を目指し世の中は『アイドル戦国時代』へと突入していた。

少女達が輝ける時代の到来、しかし時を同じとして千年パズルの封印が解かれてしまう。

12オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:16:44 ID:qiu9HJE.
千年パズルの封印解除に伴い、世界には目に見えない『闇の力』が広まってしまった。
再び現れる魔女は人々に不幸をばら撒き新たに希望を絶望へと塗り潰す。

人間の中には『狂気』を求め有り得ない『リスク』を賭けてゲームを樂しむ者も現れた。
闇の力が原因かは不明だが、『ギャンブル』によって生命を落とす者が増加傾向になっている。
一部の世界を知る『観測者』達からは『闇のゲーム』と呼ばれていた。
日本の中でも多くの闇が集まる場所『東京・池袋』では『首なしライダー』の都市伝説が噂になっていた。
この首なしライダーの系譜は石仮面の流れを汲んでいる、と裏の人間では言われているが定かではない。
常人よりも多大なる闇を受けた『情報屋』は『ヴァルハラ』を目指すために暗躍し、人間社会はアイドルの裏側で闇に染まりつつあった。

邪神復活の影響により沈んでいった者達の怨念が具現化した『深海棲艦』を倒すために「艦むす』は再び戦場に駆り出される。
魔法少女の成れの果てである魔女を倒し『宇宙を守る』ためインキュベーターは再び契約を行う。
邪神と契約システムである魔法少女、その影響を受けた『勇者システム』と『バーテックス』。
人知れず世界を守るために『勇者部』である少女達は悪に立ち向かう。
『魔法少女』と『勇者』、そして『艦むす』は境遇こそ違えど時には互いに協力し世界のために戦っていた。

幾度なく繰り返される戦い、学ばない歴史、汚される少女。

終わることのない輪廻は何度も何度も因果を束ね何れ来るであろう終焉に進んでいるのか。
答えは何も出ないが『世界』の時は急激に『加速』した。

インキュベーターはこれまでに無い程の素質を持つ『少女』を発見してしまった。
封印を解かれた『ファラオ王』は『記憶』を失いながら惹かれるように世界の核心に向かっている。
魔女狩りの系譜を持つ『石仮面』の歴史は共鳴による『幽波紋』によって『エジプト』を舞台にした。
『艦むす』は己に走る謎の『ノイズ』に悩まされながらも戦いを続ける。
歴史を辿るように『魔法少女』を始めとする少女は争いに巻き込まれ、一部の少女は『アイドル』として世界に羽ばたき出した。
繰り返される『聖杯戦争』は『魔術師殺し』の男を舞台に呼び込み、今宵も戦争の鐘を鳴らす。
『邪神』の影響は闇を産み『都市伝説』や『闇のゲーム』として人々に『不幸/狂気/快感』を齎していた。

インキュベーター襲来によって始まった古代エジプトの『遺産』は『共鳴』するように動き出す。

過去が存在する故に今が在る。だが過ぎた時代を現代へ押し付けるのは如何なものか。
魔法少女もアイドルもスタンド使いも艦むすも決闘者も今を生きている。

今を生きている『伝説』と言えば『両津勘吉』である。

警察官の男、しかしその生き様はアカシックレコードに刻まれている。

金儲けが好きな彼は『とある外国の老人』にイカサマを仕掛けられ大負けを経験している。
懲りずに裏のゲームに参加した彼は『伝説の男』と麻雀を行った。結果はもちろん……。
同僚には御曹司が居る。その繋がりからか『SPW財団』ともパイプを持っておりその力を貸している。
『とある超常現象が起きた学生』の事を考え牢屋に案内したのも彼だ。

一度は『聖杯』なる物を手に入れようとしたがその時期は『深海棲艦』との決戦が控えていた。
司令官である『提督』と友人であった両津は『特殊刑事』と共に作戦に参加し日本を守っていたことも在る。
『ファラオ王』の記憶を受け継ぐ少年の『カードショップ』にはコレクター故に顔を出した事もあった。
また『アイドル』が好きでありその知識は総てのジャンルに置いて頂点を極めている。

過去から続く因縁の中心に存在している両津勘吉。
彼はこれから行われる殺し合いの中でも――。






「川内さーん……夜戦も程々に……ってここはどこ?」


目を擦り夢ではないかと認識させるがこの時間は現実であろう。
夜中の訓練を行っていたはずだが気付けば暗いホールのような場所に駆逐艦吹雪は立っていた。
記憶には先輩である川内と夜戦と称される特訓をしていたのだが何が起きたのだろう。

「あれって天海春香さん……? なんで?」

辺りを見渡せばテレビに映るアイドルが近くに居た。
那珂と呼ばれる艦娘が憧れるアイドルマスターが何故自分の近くに居るのだろうか。
そもそもここはどこなのか、謎しか生まれない。

13オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:18:39 ID:qiu9HJE.
身体が軽い事に気が付くと幾らか装備が外されている。
夜戦では主に体作りが中心だったため問題はない、気が抜けているようだ。

「静まれ――秘書官の長門だ」

自分の周りに居る人達もまた突然この場所にいたかのように驚いている。
その騒がしさを一声で黙らせたのが演台に降臨している戦艦長門だ。
その戦闘能力と頭脳は艦娘の中でも図一であり英雄である提督の秘書官を務めている。

「な、長門さん!」

知り合いが居ることに安心した吹雪は大きな声でその名を呼ぶ。
返ってくる言葉は反比例するように冷たい一言。

「これからバトルロワイアルの説明を行う。駆逐艦吹雪、少し黙っていろ」

頼れる秘書官の声ではなく、まるで機械のように冷たくて感情の篭っていない声。
元は戦艦だと言われればそれまでだが話は違うし問題も異なる。
バトルロワイアル。響きから考えれば殺し合いだろう。

「バトルロワイアル……正気ですか!? 長門さん!!」

彼女は説明の一つもせずにこれから行われるらしいバトルロワイアルの話を切り出したのだ。
順序もなければ守るべき道徳も存在せず、例え存在していても殺し合いの強要など神でも許されない。
正義感の強い長門なら尚更そのような発言はしないだろう。

彼女ならばこの状況に正面から対抗し勝利を齎すだろう。
そんな存在が何故殺し合いの音頭を取っているのか。

「黙れと言ったはずだ吹雪。誰に逆らっている?」

「逆らうも何も今の長門さんはおかしいです……っ」

「提督から授かった指令書にも記されている――が?」

その一言で吹雪の時間は止まってしまった。
最も尊敬している存在が殺し合いの首謀者だと脳内に響き渡る。
有り得ないこれはなにかの間違いだ。夢であり悪夢である。
目が覚めれば川内と一緒に夜戦をしている――そう思いたいが故に現実を拒む。

「て、提督がそんなことを!」

「秘書官であるこの私が嘘をついている……か?」

そんな事は一度もない。
提督が死んだと噂されていた時も長門は絶望の中艦娘達の先頭に立った。
そんな彼女が嘘を憑く理由はなく、ならば事実であるというのだろうか。

それこそ信じられないだろう。

14オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:19:23 ID:qiu9HJE.
吹雪の周りでも戸惑いの声が挙がっている。
戦艦長門と言えば艦娘の中でも大きな知名度を誇っている。
英雄とまで讃えられている彼女の発言に戸惑いを覚えるのも無理もない。

現に同じ艦娘である吹雪もまた混乱の渦中にいるのだ。
何を信じればいいのかわからない。
提督も絡んでくるとなれば出口のない迷路に迷い込んだような。


「うるさーい!! ――ってわしは部屋で寝ていたんじゃ……お、吹雪じゃねーか!
 なんでこんなところに居るんだ? 提督の奴は近くにって長門も! わしにドッキリでも仕掛けるのか?」


長門が一同を黙らせたようにこの男もまた世界を停止させる。
目覚めた両津勘吉はネクタイを緩めながら長門に手を振っていた。
状況が理解出来ていないこの男はパーティが始まるような気分でいるようだ。


「あれって両さん?」
「両津勘吉じゃないか」
「あの男、アイリが言っていた味方ならば頼もしいが敵ならば恐ろしい存在……」
「ばっかもーん!!」
「ククク……」
「あの警察の人は初期の頃からライブに来ていた人と……?」


有名人が故にその一声一動作が多くの人間から注目を集めている。
この会場の中において一番知名度が在ると言っても過言ではないこの男は両津勘吉。
決して挫けない大人、少年の心は忘れない永遠の男だ。


「少し静かにしてくれ両さん」

「お前承太郎! エジプトはどうした、ホリィさんは助かったのか!?」

「この殺し合いは最後の一人が決定される瞬間まで永遠に続く。
 但し七十二時間が経過すれば首輪が爆発しお前たちの生命は糧となる」


大柄な学生が両津勘吉を説得している時。
長門は被せるように殺し合いの概要を発言し総ての関心を己に集中させた。
参加者の多くはこの瞬間、初めて己の首に触り冷たい機械を実感。
この首輪は爆発する、助かるためには最後の一人にまでならないといけない。

「何を言っているんだ長門。今のガキ共はバトルロワイアルなんて知らんぞ」

「重要な事はそれじゃあないぜ両さん。問題はあの女が何を言っているか、だろ?」

「いや殺し合いとかする訳ないだろ。可笑しな事言ってると本当に牢屋にブチ込むぞ! それとジョセフのジジイは金返せ!」

「……やれやれだぜ」

「その学生が言うとおり知っていようが知っていないようが関係ない。
 これから行われるバトルロワイアルに参加するのは提督の残した指令書に記されているからな」

長門が発言を終えると舞台袖から出て来た艦娘睦月は指令書を開示し会場の参加者に見せる。
しかし暗くて遠いため全く見えず馬鹿にしているようにしか見えないのが現実だ。

「睦月ちゃんまで!? こんなの絶対おかしい、なんで!?」

吹雪は叫ぶ。
長門秘書官だけではなく親しい艦娘である睦月までもが向こう側に存在しているのだ。
殺し合いを進めるために艦娘は生まれた訳ではない。
彼女達の力は世界の平和を守るために存在している。これは逆の道を進んでいるだけだ。

「みなさんには支給品として地図や食糧が支給されます。
 また、ランダムアイテムとして一部の道具も支給されますので確認をお願いします」

友の叫びは届かず睦月は殺し合いの説明を行う。
「長門秘書官が言った通りみなさんにはこれから殺し合いを行っていただきます」
再度繰り返される悪夢への誘い。
「殺し合いってなに!? 提督の指令書に書いてあるなんて嘘でしょ!?」
「みなさんがどのように過ごすかは自由ですが生きて帰れるのは一人だけです」
ならば仲間を作っても最終的には殺し合わなければならない。
黙って逃げても七十二時間経過すれば全員が死ぬ、逃げ場は存在しない。
「如月ちゃんがこんなことして喜ぶの!?」
「私達は進行役としてッ……ぅ……一定の時間置きに放送をさせていただきます」

揺らぐ心。
こんな事をして誰が喜ぶのか。睦月の言葉が詰まる。
長門秘書官とは違いまだ彼女には心が残っているらしい。ならば――。

「今ならまだ戻れるよ!? 私も一緒に謝るから殺し合いなんて辞めようよ!!」
私が貴方を正気に戻す。

「……最後の一人には願いを叶える権利が譲渡されます。そのために頑張ってください」
それでも心に届かない。

「願い何て叶えられる訳無いよ! そんな事出来るならとっくに使ってるでしょ!?」
現実を、私だけを見て。

「……」
言葉が無くなる。

吹雪の言っていることは正しく願いが叶うと言われ信じる人間がどれだけ存在するのか。
殺し合いの対価として考えれば有り得なくもないが現実的に実在しないだろう。

「――それではこれからみなさんを会場に案内いたします」

15オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:20:58 ID:qiu9HJE.
睦月の言葉と共に会場にいる人達の下半身が徐々に消え始めた。
粒子化のような現象は下半身から上半身へと移り進行が速い参加者は既に消えていた。

「待って! 待ってよ睦月ちゃん!!」

もう会えなくなるかもしれない。
言葉が正しいなら吹雪、彼女はこれから殺し合いを行うのだ。
生きて帰れる保証はない。もう鎮守府にも戻れないかもしれない。

「悩み……力になれなくてごめんね」

「ッッ!!」

「睦月ちゃんが何を考えているかは知らないけど……ごめんね。
 相談に乗っていればこんな事にはならなかったかもしれない……本当にごめん」

私が心の闇に気づいていれば。
このような暴挙に出ていなかったかもしれない。
そう思うと涙が止まらない。

如月が死んでから彼女の心には闇が誕生していた。
その事実に気付きながらも力になれなかった。
友達して失格だ。

「違うの!!」

「え?」




「長門秘書官は操られているの! その人の名前はD――」




睦月が最後に何を言おうとしたのか。吹雪は解らない。
この会場に来てから何度時間が止まったのだろう。
目の前に起きている現実が受け入れられなくて彼女は気絶してしまう。

最後に聞こえたのは乾いた破裂音。

最後に見たのは友の首が破裂した瞬間。


「言い過ぎだぞ睦月……お前も■■■様を受け入れれば良かったものの」


右手に握り締めたスイッチのような物を見つめながら長門は呟く。
言葉と動作から察するに彼女が睦月を殺したのだろう。
彼女が最後に何を言おうとしたかは不明だが何か長門にとって都合の悪い事だったのだろうか。

その答えは死んだ睦月と進行役の長門だけが知っている。
吹雪を始めとする他の艦娘が知らない秘密を彼女達は知っているのだ。
提督の残した指令書の内容を含め謎が謎を呼んでいる。


「なぁアンタ。今■■■って言わなかったか――言葉がノイズになっていやがる?」


両津勘吉を止めていた学生が長門に向かい話しかける。
その身体は上半身まで消えかかっているが聞いておきたい事があるらしい。

16オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:22:01 ID:qiu9HJE.
承太郎はとある単語が音にならない。一つの疑問が生まれる。
人名である■■■が発音出来ない、まるで何かの魔法に封印されいるかのように。
その言葉は彼の一族が対峙する奇妙な螺旋の様に始まってしまった物語の因縁。

何故その言葉が口に出せないのか。
幽波紋の一種とでも思って納得するしか無い。
加えて操られていると言った睦月の言葉から察するに確認するまでもない。
長門を操る男の正体を彼は知っていた。

「ノイズ……さぁなんのことかな?」

承太郎の問に解を示さない長門は不敵な笑みを浮かべた。
その姿から戦艦である誇りは伺えなく腐った道化師のように薄い笑いを保っている。
答えないならば仕方無い。
舞台がエジプトから移ろうが承太郎のやる事は変わらないらしい。

待っていろ、テメェを裁くのは俺のスタンドだ。

己に再度刻んだ承太郎の身体も他の参加者同様に消え会場に移動した。


「これで最後は貴方だ――両さん」


全ての参加者が消えゆく中最後に残ったのは両津勘吉ただ一人。
しかしその身体も八割は粒子のように消えており彼が会場に移動するのも秒読みだ。

彼が最後に残った理由は不明だ。
強いて言うなら彼のタフさ故か神様の気まぐれとでも言っておこうか。

両津勘吉の表情は言葉で表す事は不可能だろう。
怒り、そんな簡単な言葉では処理出来ない。

「お前がやったことは絶対に許されない。わしはお前を連行しなくてはならん。
 ビックセブンが聞いて呆れる……お前は本当にあの戦艦長門なのか?」

「愚問だな両さん。私は提督の秘書官である戦艦長門だ、知っているだろう?」

「わしの知っている長門は艦娘の憧れで提督にも信頼されている立派な艦娘――人間だった」

その言葉に長門の肩は震えた。
心は操られいるが両津勘吉の言葉は彼女に届いているようだ。
本来■■■の支配は人間の言葉一つで崩される事はない。
両津勘吉の人間としての輝きが吸血鬼の闇に打ち勝ったのだろうか。

「提督が指令書に残した事実もわしには信じられん。だがお前が嘘を憑くとも思えない」

「全て事実だよ両さん。私は提督の秘書官だからな」

「なら■■■の命令に従うなッ! ジョセフのジジイから奴の事は聞いているからな」

ジョースター一族因縁の相手。
宿敵、運命とも呼べる男が長門を操っている。
この説は睦月の最後の言葉、承太郎の反応から間違いないだろう。

邪悪の根源が何を考えているかは不明だが殺し合いを見逃す程両津勘吉は腐っていない。
その心、人間として限界まで挑戦し続ける男は人々の笑顔のために動くだろう。

17オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:22:54 ID:qiu9HJE.
気付けば首の下まで身体は消え掛かっている。
両津勘吉も会場に飛ばされるのだろう。これでバトルロワイアルが幕を開ける。
誰が笑い誰が泣くのか。それは誰にも解らない。
一つ言えるとすれば両津勘吉を始めとする一部の人間は殺し合いを止めるために活動すること。

起きてはならない悲劇を止めるために彼らはその生命を捧げる。
勿論死ぬつもりはない、彼らとて自殺志願者ではない。
運命を打開するために両津勘吉、一世一代の物語が始まろうとしているのだ。

「わしがお前も含めて全員救ってやる。だから待っていろ長門」

「……私はバトルロワイアルを進行するだけだ」

両津勘吉は睦月を殺した長門も見捨てず救うと告げた。
どんな罪を犯そうが死んでいい存在などこの世にはいない。
救える者は全員救う。彼はこれまでそうやって生きてきた、そしてこれからも。



「言ってろ……聞こえるかああああああああああああああああDIOオオオオオオオオオオオ!!」



消える前に渾身の力を込めて彼は叫ぶ。
後ろで笑っているだろう卑劣な愚者に向かって。



「わしが貴様を潰す! 承太郎達だけじゃなくて長門や睦月まで巻き込みやがって……覚えとけえええええええええええええええ!!」



この言葉を最後に両津勘吉の姿は消えてなくなり全ての参加者が会場へと移動した。
始める物語は終焉が闇に覆われ見えない袋小路の行き止まり。


打開するか潰されるか消え去るか。


全ての不安を残しバトルロワイアルは始まりを告げる――。






【睦月@艦隊これくしょん -艦これ- 死亡】



【進行役】
【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】

18オープニング ◆lDV7Hqphtg:2015/04/09(木) 01:24:03 ID:qiu9HJE.
投下を終了します

19開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:27:56 ID:2qHx2M/.
OP案を投下します。

20開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:29:27 ID:2qHx2M/.
両津勘吉が目を覚ました。見慣れない部屋だった。殺風景な部屋。
そしてかなりの数の人が集められている。
座っている者もいれば、立っている者もいる。年代も性別も様々だ。
共通しているのは、皆が悪い夢から覚めたときのように辺りを見回していることだ。

「おい、両津。これはどういうことだ……」

両津の隣にいた大原部長が、不安げな顔で両津に尋ねる。

「知りませんよ、部長。わたしだって起きたらこんなところにいて……」

「せんぱ〜い、何なんですか、これは〜」

「おお、本田か。あっちにはボルボもいるな。海パン刑事まで……。うむ、一体どうなっているんだ」

「両津、今年は夏期オリンピック開催の年ではなかったよな?」

「どういうことです?そうですけど」

「いや、あそこにいるのは日暮じゃないか?」

「ええ、間違いありませんね。どういうことでしょう?わざわざあいつを起こすなんて命知らずな……」

「ところで、両津。わしらにつけられているこの首輪は一体なんだ?」

「ちょっと試してみますか」

両津が思い切り力を込めるが、首輪は外れない。

「くっそー、こんなときにスパークでもいたら……」

両津がそう言い終わったとき、やけに勇壮な音楽が流れ始めた。
そして、その音楽とともに一人の男がせりにのって部屋の前方の床下から現れた。

21開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:30:21 ID:2qHx2M/.
「やあ、スーパー貧乏人諸君、元気かな?」


「げっ!あいつは白鳥!」

悪趣味なスポットライトを浴び、紙幣のようなものをまき散らしながら現れたのは、あの白鳥麗次であった。

「おい、白鳥!どういうことだ、これは!」

「口を慎め。僕は今君たちの命を握っているんだよ」

残酷な笑みを浮かべた白鳥。

「スーパー貧乏人諸君、君たちには今から殺し合いをしてもらう!」

一瞬静まり返った。その言葉の意味を理解した者がどれほどいたのであろうか。

「おい、何を言っているんだ!殺し合いだと?お前、ふざけているのか?」

両津が声を荒げる。

「ふざけてなんかいないさ。貧乏人は馬鹿ばかりだからもう一度言うが、君たちには今から殺し合いをしてもらう。
これは命令だ。君たちスーパー貧乏人はスーパー金持ちである僕に従う義務があるんだよ」

「何を言っているんだ、お前?本当に大丈夫か――」

ボンッ、ボンッ、ボンッ、ボンッ、という音がした。一瞬の静寂

22開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:31:20 ID:2qHx2M/.
「いやああああああああああああ!!!」
「まどか!見ては駄目!」

「両津!本田!ボルボ!頼む!」
「分かりました!部長!」

両津が答える。4人がそれぞれ駆け寄る。手遅れだと分かっていても、彼らは警察官だった。
頭のない4人の遺体が倒れていた。1人は老人。2人はおそらく中学から高校生ぐらいの女性。もう1人は――。

「部長……」
「両津……これは夢じゃないんだな……?お前の悪い悪戯でもないんだな……?」


毎日のように目にしていた黄色いスーツ。欠かすことの出来ない派出所の一員。


「なかがわああああああああああああああああ!!!!」


叫んだのは両津か、大原部長か。

その近くで目を覆う5人の女子高生たち。


「嘘……なんで……?」
「ほ、穂乃果しっかりしてください……」
「嘘、嘘よね……?これは夢よね……」
「なんやこれ……うちらが何をしたというんや……!」
「あ、あいつ……!殺してやる……!!殺してやるうううう……!!」


彼女と5人との付き合いは1年程度にすぎない。学年も違う。
しかし西木野真姫はかけがえのないμ'sのメンバーであった。その命はあまりに理不尽に奪われた。

23開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:32:26 ID:2qHx2M/.
そしてここにも、仲間を失った者たちがいた。

「なんで……?今日はみんなでプロデューサーさんのお誕生日を祝うはずだったのに……」
「なに……これ……冗談はよして……!!」
「プロデューサー……、これ、ドッキリだよね……?自分、今ならまだ許してあげるぞ……」


「貴様……貴様!!絶対、絶対に……!!」


指がちぎれるのではないかと思うほどに強く拳を握り、わなわなと震える眼鏡の男。
天ケ瀬冬馬は彼が怒ったのを見たことがなかった。
冬馬自身、この不条理な事実に強い憤りを感じていた。しかし、彼の怒りはそれとは比べ物にならないであろう。
水瀬伊織。765プロダクションの大切な仲間。彼女もまた、その命をあまりに身勝手に奪われた。

学ランを着た青年もまた、彼と同じ感情を抱いていた。

「てめぇ……」

空条承太郎は下品に高笑いするスーツ姿の男を強く睨みつけた。激しい感情が承太郎を包んでいた。見る者を気怖じさせるほどに。
ジョセフ・ジョースター。共に旅をし、共に戦ったジョセフは、彼にとっては単なる祖父という存在以上のものだったのかもしれない。

24開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:33:27 ID:2qHx2M/.
「わはははははは、分かっただろう?そこの4人は貧乏人というにはいささか無理があったからね。
スーパー貧乏人の集まりにはふさわしくないと判断したわけさ。まあ、中川さんには恩もあったけど、仕方ないね。
他にも気に入らない連中はいるけど、あんまり殺しすぎると進行に影響が出るからこれくらいにしておくことにした。感謝するんだな。
そうそう、海馬くん。君も頭を吹き飛ばしてあげようかと思ったんだが、それじゃあつまらない。
貧乏人の群れで無様にもがき苦しむのも一興かと思ってね。今は殺さないであげるよ」

海馬瀬人は何も言わなかった。ただ、自分に向けられた侮辱に口元を歪ませるだけだった。

「鷲巣さんも自分の立場を弁えた方が良いですよ。昭和の怪物かなんだか知りませんが、今は平成なんでね」

「若造が……!!このわしを舐めおって……!!」

「僕は女の子には甘いから、大道寺ちゃんも生かしておいてあげるよ。僕ってやさしいねえ。ああ、さっきの2人は主に性格が気に入らなかったから」

「……人の命をもて遊ぶなどあってはならないことですわ……!!」

両津が白鳥に向かって突進する。しかし、ゴン、という音と共に阻まれてしまう。硬質ガラスのようなものが白鳥を守っているらしい。
両津は何度か勢いよくタックルをするが、結果は同じであった。

「僕に手出ししようとしても無駄だよ。それともさっきの4人みたいになりたいのかい?」

「くそっ!!」

25開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:34:55 ID:2qHx2M/.
「いやあ、親父から勘当された一文無しの僕を助けてくれたうえに、こんな素晴らしいショーまで主催させてくださるとは、本当に頭が上がらないな。
まあいい。スーパー貧乏人諸君、一回しか言わないからよく聴け。君たちには今から外に出て1人になるまで殺し合ってもらう。
一応言っておくが、それぞれ飛ばされる場所はバラバラだ。貧乏人はすぐ群れるからな。タイムリミットはなしだ。ただし、24時間で1人も死者が出なかった場合は全員の頭が吹き飛ぶことになる。
それと君たちにはデイパックが支給される。ありがたく思え。食料や名簿などの必要なものが入っていると考えてもらえばいい。他に何が入っているかは運次第だ。
まあ、貧乏人らしく、良いものが入っているように神にでも祈るんだな。
次に放送についてだ。6時間毎に放送でその時点までに殺された者を教えてやる。そのとき、君たちが持っている地図にあるエリアから3つを指定して禁止エリアにする。
禁止エリアに踏み込んだ場合は、首輪が爆発するから気をつけるんだな。分かったな?
最後に名簿に関してだが、ここにいる者の全員分の名前は書いていない。自分の名前が書いてないからといって慌てないように。
残りの名前は第一回放送開始時に浮き上がることになる。自分の知り合いがいないように願うことだ」

心底楽しそうに語る白鳥。

「それとだな、勝ち上がった人間に何もないというのはちょっとつまらない。優勝者は元の世界に帰してやると共に何でも願いを叶えてやる。
死人を生き返らせるのも、不老不死も、僕みたいなスーパー金持ちになるのも自由だ。どうだ、スーパー貧乏人にもチャンスがある。夢がある。やる気になっただろう?」

もはや答える者はいなかった。怒りに震える者。恐怖に怯える者。歓喜に胸を躍らせる者。葛藤に揺れ動く者。
それぞれの思惑と共に、バトルロワイアルの火蓋が切って落とされる――。

【こちら葛飾区亀有公園前派出所@中川圭一 死亡】
【ラブライブ!@西木野真姫 死亡】
【THE IDOLM@STER@水瀬伊織 死亡】
【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース@ジョセフ・ジョースター 死亡】

【残り61人】

『主催・司会進行』
【こちら葛飾区亀有公園前派出所@白鳥麗次】

『デイパックの中身』
 地図、名簿、食料、水、メモ帳、筆記用具、ルールブック、腕時計、方位磁石、懐中電灯、ランダムアイテム1〜3

『名簿』
35名の名前が書いてあります。残りの名前に関しては第一回放送開始時に浮き上がります。
(ただしプロデューサーに関しては「プロデューサー」としか書いてありません。
また、海パン刑事、エンヤ婆に関してもそれぞれ本名の汚野たけし、エンヤ・ガイルではなく「海パン刑事」「エンヤ婆」と記載してあります。
見せしめとして殺された4人の名前は35名の中に入っています)

『ルールブック』
白鳥が語ったこととほぼ同様。

『放送』
00時、06時、12時、18時と1日に4回放送が行われます。
放送では前の放送までの間に死亡した人間の名前と禁止エリアが発表されます。
この禁止エリアに立ち入った場合30秒の警告の後に首輪が爆発します。

26開幕〜いのちの秤〜 ◆Ju94Ls6/3E:2015/04/11(土) 03:35:34 ID:2qHx2M/.
投下を終了します。

27 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:03:13 ID:1o/8S7rE
OP案を投下します

28 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:04:04 ID:1o/8S7rE



 薄暗い暗闇の中、一人の少女が目を覚ました。

「うぅーん……、なんだか騒がしい。もう、どうしたの睦月ちゃん、夕立ちゃ…………あれっ!?」

 駆逐艦・吹雪が目を覚ました場所はいつもの鎮守府の宿舎ではなく、どこまで続いているのかもわからない、闇に閉ざされた空間であった。
 闇に包まれているにも関わらず遠くの物まではっきりと見えるこの不思議な空間には、吹雪以外にも老若男女を問わず多くの人間がいた。

「ここ……どこ……? 睦月ちゃん、夕立ちゃん! 赤城さん! みんな! 誰か、誰かいませんかー!」

 訳のわからない事態に混乱し、誰か知り合いはいないかと声を上げて周りを見渡していると、吹雪はあることに気付いた。

「首輪……? え、私にも?」

 自分同様に知人の名を呼ぶ者、未だ寝ている者、気を荒立てている者、怯え震えている者、状況を受け止め沈黙している者。
 この場にいる者の立ち振る舞いは三者三様であるが、みな共通して硬質的な首輪を填められていた。
 自身の首に手を伸ばすと、そこにもやはり首輪のような物が備え付けられている。

「こ、これって――」

 そこそこな大きさの首輪だというのに首の動きを阻害することなく、また、触れてみるまで付けられていたことに違和感を覚えることがなかった首輪に吹雪はあるものを連想した。

(この肌触り……まさか艤装……?)

 新装備のテストかと一瞬考えたが、それでは男性にまで首輪がかけられていることが説明できない。
 深くは考えず、まずは艦隊の仲間がいないか探すために吹雪が動き出そうとしたちょうどその時、背後にあったらしい巨大なモニターから光が発せられた。

 
 黒一色でできていた世界に突如現れた光。停滞していた空間を打破したそれは、当然ながらその場にいた全員の視線を集める。
 吹雪も周りにならって後ろを振り向くと、その大画面には思いもよらない人物が映されていた。


「参加者諸君、静粛に。――――司会進行役の長門型1番艦・長門だ」
「長門さん!?」

 空間全域に響き渡る大音量で発せられたあの声、見事な黒の長髪、引き締まった顔立ちは記憶と寸分違わない。
 司会進行役と名乗った彼女は、吹雪の知る秘書艦・長門その人であった。

29 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:04:53 ID:1o/8S7rE


「長門さーん! なーがーとーさーん! これって一体なんなんですか。特殊な訓練かなにかなんでしょうか?」

 ようやく知り合いに出会えた嬉しさから、吹雪はモニターの長門へ向けて手を振って大声で呼びかけた。

 長門はそんな吹雪を一瞥したが、しかし相手にすることなく口早に言葉を紡ぎ出す。

「参加者諸君はなぜこのような場所に集められたのか。そのことが今最も知りたい事柄だろう。

 単刀直入に言う。諸君は殺し合い――バトル・ロワイアルをするために集められた」

 長門の端的な発言は、この場にいる者のほとんどに衝撃を与えるものであった。
 戦艦の魂を背負う少女も、契約により魔法を扱う少女も、練達の魔術師も、神に選ばれし勇者も、アイドルも。おおよそ正常な思考を持つ者のほとんどはその発言に息を呑んだ。
 そして直後にざわめき。どこからかそんな馬鹿なことに誰が従うんだという声。


 ――しかしこの場に集められているのは、正常な思考を持つ者だけでない。


 人の死を見ることが好きな人間もいる。殺し屋もいる。ただ人が苦しむ様を見たいだけの人間もいる。狂気に憑かれ、死など恐れぬ英霊がいる。
 この場所には、確かに長門の発言を肯定する存在もいた。

 困惑、恐怖、混乱、狂気、狂喜。様々な感情に参加者が囚われている間に長門は早口で言葉を続ける。

「参加者諸君にはこの説明が終わり次第、会場に移動しそこで殺し合いをしてもらうこととなる。
 生きて帰ることが可能な者は一名のみだ。最後の一人になるまで殺しあってもらう。
 ――では、この時点で質問のある参加者はいるか?」

 冗談で言っているようには見えず、吹雪は目の前のモニターの人物が本当にあの長門なのかと疑いたくなった。
 そのことを聞こうかと思って声を出そうとした瞬間、吹雪のすぐ傍にいた熊のような大男が先に長門へ質問を投げかけていた。

「質問があるかないかで言えば、あるとしか言えんのではないか?
 お前さん、いきなり殺しあえと言われて従う馬鹿ばかりいるとでも?」

 赤髪のその男は仮装大会から連れてこられたかのような、古めかしい大層な衣装に身を包んでいた。
 しかし、誰一人としてその服装のことを笑う者や指摘する者はいなかった。
 なぜなら男の放つ圧倒的な存在感が、この場の全員の本能に彼が人間以上のなにかであると明確に訴え、警告していたからだ。

30 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:05:47 ID:1o/8S7rE

 そんな男の質問を受けながら、長門は臆することなく返答をする。

「尤もな質問だ征服王。
 なんの対価もなく殺しあえなどと言われても、それこそ人を殺すことや嬲ることを望んでいる下種しか承諾はしまい。
 なのでこのバトル・ロワイアルを勝ち抜いた者には、その者の望むどのような願いも我々が叶えるという約束をしよう」


 優勝者のどのような願いも叶える。 
 長門がそう約束すると言った瞬間、空間内で先ほどとは異なるざわめきが起こる。

 征服王と呼ばれた男は「なるほど」と呟くと、さらに長門へ問いかける。

「どのような願いも叶えるとは大きく出たな小娘。その願いで世界の覇者にしろと言われたならばどうする。死んだものを蘇らせることができるか?
 叶えることが可能な尺度を提示せんでは、誰もその話を信用することはできんぞ」

 征服王はどこまでの願いならば叶えられるか質問する。
 その様に周りの参加者は沈黙し、ただ祈った。
 もし、彼の要求を満たせるだけのことが可能なのだとすれば、すなわち超常の存在である彼が殺し合いに参加するのではないのだろうか。
 そうならないよう、ただの人間は祈るしかできなかった。

「叶えられる願いの尺度か。
 ――少なくともサーヴァント七騎分の魔力相当の奇跡しか起こせない聖杯よりは多くを叶えることができる。
 今貴様が受肉していることからも、魔術の知識がある者が見れば多少は信用できるだろう。
 他の参加者にわかりやすく言えば、おおよそ想像できることの全てが実現可能であると考えてくれていい。
 恒久的な平和を願うもよし、魂と切り離されゾンビとなった体を元の体に戻すこともできる。滅んだ世界を元に戻すことも根源へ到達することも可能だ。
 
 それだけのことができるとだけ言っておこう」

 男の質問に毅然と応える長門の姿は吹雪の記憶通りで、やはり彼女が偽物であるとは思えない。
 そのため吹雪だけ、優勝して叶えられる願いの内容に他の参加者がどよめく中、その報酬に興味など示せずにいた。


 そして長門の話を吟味している男に視線が集まる。
 果たして彼はこの殺し合いに乗るのかどうか、破格の優勝報酬を前に皆がそのことを危惧した。

 考えるように頭を下げていた男は数秒もしない内にその頭を持ち上げ、「最後にいいか?」と前置きし、再び質問を投げかけた。
 その顔は酷く獰猛で、まさに略奪者のソレ。爛々とした目は自信と凄みに溢れていて――――


「――なぜ征服王である余の前にそれだけのモノを用意して、貴様らを叩き潰し強奪するという選択を取らないと思った?」


 瞬間、男は腰の剣を抜き放ち、同時に炸裂音を従わせた雷光が彼の目の前を迸った。

31 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:06:54 ID:1o/8S7rE

「きゃああッ!?」

 突然の落雷により、近くにいた吹雪は衝撃によって体勢を崩して倒れる。
 闇を切り裂いた光と轟音に目と耳が眩み、数秒してようやく白い闇から視界が正常に戻り立ち上がってみると、そこには先ほどの表情が嘘のように、苦虫を噛み潰したような顔で剣を握ったままの男が立っていた。


「貴様……」

 男はモニターを睨みつける。
 その様子から男がなにかをしようとし、そしてそれを長門が阻止したことが窺うことができた。


「ここで争うことは禁じられている。宝具の使用は会場に行くまで制限させてもらった」

 男の行動を阻止したというのにそのことを誇ることなく、長門は坦々となにが起こったかを説明する。

「参加者に取り付けてある首輪には、装着者本来のパフォーマンスを阻害する機能が備わっている。
 我々に叛旗を翻そうと考えるのは無駄なことだと理解しろ」
 
 長門はそう言い放ち、早い口調でルールの説明を再開する。

「繰り返すが、参加者諸君にはこのバトル・ロワイアルで己以外の全ての参加者を屠り、優勝を目指してもらう。
 優勝者は望む願いを叶えることができ、優勝者がでなければ――――――参加者全員の首輪を爆破する」
「えっ!?」

(首輪を爆破する!?)

「バトル・ロワイアルの開催期間は三日間。本日00:00より開始し、その七十二時間後の00:00までに終了していなければ会場内の全ての首輪を起動、爆破する。
 殺し合いを受け入れないことは自由だが、己以外の参加者が存在すればどちらにせよその者と心中することとなる。よく考えて行動することだ」

 どうあってもこの場にいる人間のほとんどが死ぬように作られている巫山戯たデスゲーム。
 そしてそんなものを平然と説明する長門に、吹雪は我慢できずについに声を上げる。


「待ってください長門さん! こんなのおかしいです! どうして殺し合いなんかしなくちゃいけないんですか! どうしてそんなことを平然と言えるんですか!
 こんなこと提督が知ったらきっと――――」
「このバトル・ロワイアルは提督のご意志でもある」


 長門が口にした言葉を、吹雪は理解できなかった。受け入れることができなかった。
 同じ言語を使っているというのに、脳が聞いた単語の意味を成すことを拒絶した。

32 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:07:53 ID:1o/8S7rE

 だが、そのような現実逃避は状況を悪化させることはあっても好転させる力はなく、そのことをわかってはいるから吹雪は言葉そのものを拒絶した。

「嘘……嘘です! 提督がこんな、あり得ませんよだって提督…………提督は………………っ!」


 そう、こんな、秘書艦の言ったことは嘘に決まっている。
 嘘。そう、嘘なのだ。
 本当の提督は――――――――!

「信じる信じないはお前の勝手だが、今も提督はここでお覗きになっている。そのことを肝に銘じておけ」


 嘘だ。
 そう――嘘だと信じたいのに、カメラが動いて秘書艦の背後を映すと、そこには見間違えるはずのない顔がある。
 初めて出会った、あの時の顔のままで。

 
「質問は以上か、駆逐艦・吹雪。

 では最後に定時放送について説明する。バトル・ロワイアル開始から六時間ごとに放送を行う。
 放送内容は死亡した参加者及び侵入禁止エリアの発表だ。まず――」

 長門が重要な説明をしているというのにその話は頭に入ることなく、吹雪は言葉を失ったまま立ち尽くす。
 最も信頼していた提督に裏切られた――その事実が吹雪を絶望で満たしていた。

「――――以上がこのバトル・ロワイアルの説明だ。最終確認を望む者はいるか」

 吹雪は、長門の説明が終わっていることに気付いた。

(そっか……、もう……本当に、始まっちゃうんだ……)

 先ほど長門に食いついていた大男も沈黙を貫き、誰も長門に質問をしようとするものはいない。

(殺し合いなんて嫌だ……。でも、提督がそれを望んでいて……)

 なによりも、提督がそのようなことを望んでいることが認めたくなかった。


「…………誰も質問はないようだな。では参加者諸君――」
「おい。一つ聞かせてもらおうか」

 長門がロワイアルの開始を宣言する直前、学ランを着こなした2m近い背丈の少年が問いかけた。

33 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:08:56 ID:1o/8S7rE

「……なんだ?」
「なぜ俺たちが殺しあわねばならん」

 至極尤もな、誰もが考えた疑問。
 高校生とは思えない雰囲気を纏った彼は、その事を長門へ問い質す。

「俺たちが殺しあったところで貴様らにとって見世物以上の価値はねえ。だがてめーらはその手の殺し合いを見て楽しむ屑のようには見えねえ。
 …………何を企てていやがる」

(…………?)

「……その質問に応える義務はない」

 長門が一瞬言葉に詰まった。今まで通りの事務的な返しであったが、確かにその一瞬、長門は何かを思った。

「ここに来て答えれないとはどういうことだ? なんでも思い通りになるんならこのロワイアルとやらは娯楽でしかねーはずだ。
 それともまさか、何か裏があって、俺たちを殺し合わそうとしてるんじゃああるまいな?」

 彼が示した可能性に、再び参加者はざわめき出す。
 すべてを叶えられるはずの主催者に、自分達を戦わさなければならない理由があるかもしれない。
 それはすなわち、ここに来て長門たちの発言に虚偽があるという可能性が出てきたのだ。

「……話はここまでだ。参加者諸君には会場に移動してもらう」
「これだけは言っておく。俺はてめーらのことを何一つ信じていねえ。そして必ずてめーらをぶん殴る!
 精々フラスコの中のネズミと油断して、俺たちに寝首を掻かれないように気をつけることだな」



 そうして参加者すべてが闇に溶けるように姿が霞み、消えていく。
 吹雪はそのことすらどうでもよく感じ、会場内でどうしようかと考えていると――――






「――――随分酷い言いようじゃないか。承太郎」




 まさに会場へ飛ばされるというその瞬間、吹雪たちはまた暗い空間へ呼び戻されていた。

34 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:10:15 ID:1o/8S7rE


「これは……」

 承太郎と呼ばれた青年も何が起きたか理解できていないようであった。
 ただ一つ確かなのは、彼の名を呼んだ親しげな声には、聞いた誰もが底冷えするほどのナニカがあった、ということだけだ。


「やあ参加者諸君。私が今回のバトル・ロワイアルを企画した者だ」

 モニターに目を戻すと長門たちは脇へ移動しており、長門がいた場所へ謎の男が座っている。
 その男は電灯の光に照らされているはずだというのに、なぜか顔の部分が黒く塗りつぶされており表情を窺うことができない。


「このロワイアルを開催されたことに疑問を抱いた者がいるようだが、なんてことはない。私の暇潰しだ。
 提督は私の友人でね、司会進行に部下を寄こしてくれたんだ。
 なので彼女らがロワイアルを楽しんでいないように見えたのは仕方のないことで、何もおかしなことではない」


 穏やかな口調で、暇潰しとしてこの殺し合いを企画したと謎の男は告げる。
 友人としてあの男に協力している――どちらにせよ殺し合いを開いたことに変わりはないが、提督が好んで殺し合いを望んだわけではないという話に、吹雪は僅かだが希望を見出た。
 モニターの男をどうにかすれば提督も考えを変えてくれる。その可能性が出てきたのだ。


「てめーが暇潰しでこの殺し合いを始めたってのか。なるほど、顔は見えないがそういうことを平然とする野郎だということはなんとなくだが感じ取れる!」

 承太郎はモニターを指差し、そして打ち倒すべき宿敵として謎の男へ向けて啖呵を切った。

「何者かは知らねーが、てめーのような邪悪は必ず、この空条承太郎がぶちのめす!」

 承太郎の宣戦布告に対し、子供の戯言をあしらうかのように、一切取り合うことなく謎の男は喋りたいことだけを話し出す。
 

「このバトル・ロワイアルを優勝した者の願いは必ず叶える。約束しよう。それが死者の蘇生であろうとなんであろうとだ。
 私は嘘を吐かない。君達にはそのことを信じてほしい」

 無視されたことに腹を立てた様子はないが、嘘を吐かないというその部分をどうしても信じることができないという風に、承太郎は男へ噛み付いた。

「ふんっ、一体誰がそんなことを信じられる? てめーは胡散臭すぎるぜ!」

35 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:11:50 ID:1o/8S7rE


 承太郎の意見に男は「そうだろうな」と初めて頷くと、嬉しそうな声でその指摘に応じる。

「では、私の言っていることが真実であると証明しよう。
 先ほど司会進行が首輪には爆破機能があると説明したが、君達がそれを信じずに無理に首輪を外そうとして爆死してしまっては喜劇にすらならんからなぁ」
「――! お前ら、急いで俺から離れろっ!」

 男の言葉の意味を理解したのか、承太郎は周りの人間へ急いで離れるように声を荒げた。
 その様子から吹雪も直後に何が起きるか、直感的に理解する。

(え、まさか――!)


 次の瞬間、ポンッ、とコミカルな発破音が生じた。
 一拍を置いて、水音がその後を追う。

 吹雪は承太郎の頭が吹き飛んだところを連想し、悲鳴とともにしゃがみ込んだ。
 周りからも悲鳴があがり、遅れて言葉にならない絶叫。


「て……、てめー…………! なぜ!」

 しかし、吹き飛んだと思った彼の声が吹雪の耳朶を叱咤する。
 そして吹雪が顔を上げれば、首輪を付けたままの承太郎が、眼力だけで相手を殺さんばかりにモニターを睨んでいた。


「…………樹?」
「――なぜっ! 関係ねー奴の首を吹き飛ばしやがったぁあああああっ!?」

 承太郎の怒りから、無関係の人物の首が飛んだことがわかった。
 絶叫が続いている方向を見てみると、中学生くらいであろうか、学生服を着ている頭のない体が血の海に倒れこんでいた。

「樹? ねぇ、樹!? 樹ってば……っ!」
 同じ制服を着た少女が、呆然とした表情のまま壊れたように名前を呼んでいた。
 だがその足が血の溜まりに濡れた途端、繰り返されていた声が一度止まり――次の瞬間、決壊した。
「や……あっ……ああ、ぁああぁああああ、あああああぁああああぁぁぁぁああああああぁぁああぁあああああぁあああああああああああああああああああああああ!!!?」
 死体に抱き縋る少女が狂ったように泣き叫び、その姿を直視できず吹雪は思わず視線を逸らす。

「――このようにっ! 我々主催に反抗的な者や進入禁止エリアに居座った者! 優勝者が出なかった場合は君達全員の首輪が炸裂するっ!
 そうなりたくなければ、是非っ! 存分に殺し合いを楽しんでくれたまえ!」
「答えろてめぇえええええええええええっ!!!!」

 
 愉悦の滲んだ声に怒りを爆発させた承太郎がモニターに向かって駆け出すが、しかし謎の男はやるべきことを終えたのか、再び司会進行役の長門へその席を譲って奥へと消えていく。

36 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:13:13 ID:1o/8S7rE

 謎の男から放送を引き継いだ長門も予定外の参加者の死に動揺を隠せず困惑しているようであったが、一度息を吐いて落ち着きを取り戻すと己の役割を続けた。

「……以上で、説明を終了する」
「待てっ! さっきの野郎を出しやがれ!」

 承太郎の要求に長門は耳を貸さず、どこか決意を秘めた顔をすると「艦隊に告ぐ!」と力強い声で、吹雪や、この場にいる艦娘全員に向けて言葉を発した。

「駆逐艦・吹雪、空母・加賀、戦艦・金剛! 必ず生き残れ! これは秘書艦である私からの命令だ!」

 長門が吹雪たちに下した命令は、達成不可能な物であった。一人しか生き残れない殺し合いの場で、三人に生き残れという命令など実現できるはずがない。
 だが、長門は三人ともにその命令を下した。

 その意味を考えている間に周囲の参加者は再び闇に溶けていき、いよいよバトル・ロワイアルが始まるのだと吹雪は理解する。



「――――何時如何なる時も水雷魂を忘れるな、吹雪」
(っ!? 長門さんっ!!)

 そして――最後に会場へ飛ばされることとなった吹雪は、闇に飲まれるその寸前、長門から付け足されたもう一つの伝達事項を耳にした。
 吹雪にのみ届いたその言葉は、バトル・ロワイアル司会進行役の物ではなく――艦隊の秘書艦である長門からの激励であった。










    ◆◆◆


「途中で些か面倒なこともあったが、無事に始めることができた。
 ありがとう提督。これも君と君の優秀な部下の働きがあってこそだ」

 古ぼけた屋敷の中、DIOは友人である提督に喜びを示した。
 DIOに称讃されたことに提督は感動し、その様子を見て長門は顔をしかめる。

「しかし君達の実直な性格から、危うく計画が露見しそうになった時は冷や冷やさせられたよ」

 そうして楽しそうに語るDIOであったが、おそらく闇に塗りつぶされた顔は笑っていないだろう。

「どうかしたかい、長門? 私の顔に何かついているのかな?」

 DIOに見ていた事が気付かれ、話しかけられる。紳士のような語り口の甘い声であるはずなのに、どこか気持ち悪さを感じさせることができるのはおよそこの男だけであろう。

「いえ、なぜ見せしめとして、犬吠埼樹を処刑したのかと。
 反抗的な者を罰するのであれば、ライダーや空条承太郎がその対象だったのでは?」


 その言葉にDIOは嗤った。顔は確認できないが、確かにこの男は嗤ったと、そう感じ取ることができた。

「あれは勇者どもに対する警告だよ。精霊に守られた勇者であろうとこの場では死ぬ。そのことを理解させるには同じ勇者を見せしめにするしかないだろう。
 ――――それになにより、兄弟姉妹の絆とは素晴らしいものだ。君にも確か姉妹艦がいたはずだが、そうは思わないかい?」

 DIOは首の裏側にある星型の痣をゆっくりと撫でると、自然な風に陸奥のことを聞いてきた。
 この男との会話で陸奥が出たことに激しい嫌悪感を覚えたが、顔に出さないように厳しく己を律する。

37 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:14:13 ID:1o/8S7rE

「つまり、犬吠埼風から負の感情を得るために行った、と……」

 DIOは楽しそうに、大仰な素振りでこちらの意見を肯定する。
『邪神』の力が滲み出たことによってDIOの顔に出来た影も、実に愉快そうに渦を巻く。

「承太郎を虚仮にする目的もあったが、勇者からは期待以上の負の感情を得ることができた。
 この調子であればバトル・ロワイアルが終了する頃には『ゾーク』の力も完全に我が物とすることができるだろう!」







 エジプトで復活した吸血鬼DIO。
 古の地にて、運命のように異世界から飛来した恐るべき力の残滓と引き合ったこの悪の帝王は、新たに宿したその力を完全な物とし、さらなる高みへ至るための贄を欲した。

 すなわち邪神へと捧げられる供物――生命あるものの心に巣食う、負の情念を。

 このバトル・ロワイアルは、DIOが神へと至るための儀式。

 そのために帝王は手にした神の力の一端で時空を超え、生贄である参加者達や、舞台を整える手足として長門達を呼び寄せたのだ。


(提督も、DIOに植え付けられた肉の芽によって吹雪たちまでこの殺し合いに参加させてしまった……)


 このままでは悪の帝王はバトル・ロワイアルという悪趣味極まりない見世物を堪能し、そして悪の神へと進化する。
 

 それを阻止するためにも――――――――



(頼むぞ吹雪。必ず生き残り、そして仲間たちと共にDIOの野望を打ち砕け――!)















【犬吠埼樹@結城友奈は勇者である 死亡】
【残り60人】



『主催』
【長門@艦隊これくしょん -艦これ-】
【提督@艦隊これくしょん -艦これ-】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】

38 ◆7CTbqJqxkE:2015/04/11(土) 15:14:50 ID:1o/8S7rE
OP案投下終了です

39 ◆fMt28iuvso:2015/04/11(土) 17:01:52 ID:7OFa5dJI
OP案投下します。

40 ◆fMt28iuvso:2015/04/11(土) 17:02:59 ID:7OFa5dJI

―――地面が冷たい。
眠りから半分ほど覚醒した、寝ぼけた頭で最初に思った事がそれであった。
いや、その地面の冷たさと硬さによって起こされたといったほうが正確だろうか。
まだ半分ほどしか覚醒していない、ぼんやりした頭を抑えつつ辺りを見回してみる。
ここは巨大なホールのようで、周囲では数十人の人々が自分と同じように体を起き上がらせているところだった。

ふと体に違和感を覚え、自分の体を見てみると、寝間着に着替えて就寝したはずが服装がスーツに変わっている。
今日のアイドル達との初顔合わせの為に新調したスーツだ、いくらプロデューサーとしての初仕事で疲れたからといって着替えずに寝ることなどありえない。

41 ◆fMt28iuvso:2015/04/11(土) 17:03:49 ID:7OFa5dJI

不思議な事の連続に混乱していると、突然ホールの奥に位置する壇上から声が上がった。
自然と声のする方法に目を向ける。

「諸君、目は覚めたようだな。 私は戦艦長門だ、突然だがこれから諸君に重大な任務を与える。
一言も聞き漏らさんよう、心して聞け」

そこには、妙な格好をした女性がマイクに向かって喋っている姿があった。
肩に白いぬいぐるみを乗せている事が、凛々しい姿とのギャップで緊張感がいくらか緩和される。

「諸君に与えられた任務は、最後の一人になるまで殺しあいをすることだ」

42 ◆fMt28iuvso:2015/04/11(土) 17:04:19 ID:7OFa5dJI

―――今、なんと言ったのだろうか? 緊張感どころの話ではない。
聞き間違いかと思ったが、周りの反応を見る限り俺の耳に間違いはなかったようだ。
周囲がざわつく中、一人の少女が壇上の女性に問いかけた。

「長門秘書官! 殺し合いって……一体どういうことですか!?」

「吹雪、私語を慎め。 他の者もだ、騒いだものはこの場で死んでもらうことになるぞ!
詳しい説明はこれから行う、説明は一度しかしないから聞き漏らさないよう注意して聞け」

その女性が説明を言った言葉に、声は静まった。
得体のしれないこの状況に、死ぬかもしれないとあれば黙っているしかない。


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