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FLOWERSで百合 避難所

818名無しさん@秘密の避難所:2015/05/26(火) 01:28:25 ID:2jEkUM0Y0
5月中盤、北の大地はまだ花見が最盛期だ。
私は聖アングレカム学院の見事な桜を思い出す。
短い間の在校だったけど、その思い出は褪せる事は無いだろう。

母と死別し、父と二人暮らしだった私。その父が前任者の事後処理で急に海外へ単身赴任になり
父の姉、いわゆる叔母の元で少し暮らしたのだけど、狭い家で難しい年頃の従兄弟と一緒になること
で生じる問題を懸念した父が八方手をつくし、縁あって全寮制のこの学院に入学することになった。
遠く離れた場所に一人は正直不安だらけだった。泣きもしたし、電話で父に悪態をついたりもした。
それでも時は待ってはくれない。三月下旬に入寮手続きし叔母の元を離れた。
父には淋しかったり辛いときは読みなさいと一冊のノートを渡された。

満開の桜の中、私たちは聖堂で入学式をし、クラスで自己紹介をする運びになった。
その時、私は二人の級友に心を奪われた。同い年に見えない大人びた黒髪の美人白羽蘇芳さんと
先生直々に級長に任命された花菱立花さん。どちらかとアミティエになりたかったけど
残念ながらその願いは叶わなかった。白羽さんは花菱さん、匂坂さんとアミティエとなり

邪に見れば籠絡された姫様と、王女と王子の趣である。

孤高の美人である蘇芳さんはともかく、私は風紀委員に選ばれた事で、一方の花菱さんには色々とお話をする事になり
その人となりに心酔した。やさしく気配りが出来、意見は適切で筋の通った規律正しさはまさに級長だと。
これならこの学院での生活も悪くないと思い、希望が心配を徐々にかき消していった。
何度か見ようと思っていた父からのノートも、この時期には引き出しの中奥底で眠っていた。
中途転入生の引き起こした図書紛失事件でのクラス内の不和やら色々有ったものの
入学して初めての行事だったオリエンテーリング、親睦のお茶会の交歓、農場の作業など普通の授業以外にも親睦を紡ぎ
同じ時を過ごすことで同室のアミティエとも仲良くなり、当初の心配は5月に入った辺りで霧散していた。




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