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素晴らしき膨らみの世界
24
:
幻龍総月
:2016/12/04(日) 23:39:03 ID:sZ2ZZbaI
あれからしばらく経ち、季節は夏になった。千子は今日も全身妊娠するためステーションに向かっていた。
千子の身体はほとんどの場所に妊娠できるよう改造が進んでいた。以前は子宮、胸、尻だけだったが、今では膀胱、小腸、大腸でも妊娠できるようになった。今度は胃でも妊娠できるよう改造してもらうことになっている。
「皆妊娠出産で頑張ってるし、私ももっと頑張らないと」
今は一切妊娠していない一般的な体型で行動している。なので最寄り駅からステーションまで徒歩で移動している。
ちなみに現在の出産数は84人。ちゃんと全員の世話もこなしている。
「さてもうそろそろ着くはずなんだけど……、ん?」
どこからか声が聞こえた。しかし周りを見ても誰もいない。
「空耳、かな? いやでも……」
「そ……、ど……!」
「もしかして、上?」
見上げてみると、
「どいてどいてーーー!!」
空から女の子が降って来ている。
「え、え?!」
右往左往したせいで、すぐに避けるという動作が遅れてしまった。
「きゃあ!?」
ギリギリでかわして直撃を免れた。降って来た女の子は地面に刺さるような形で落下、着陸した。
凄まじい威力だったためか、ちょっとしたクレーターが完成し、ゲームキャラが敗北したかの様な態勢で倒れていた。
「し、死んでないよね?」
恐る恐る近付き、状態を確認する。身体には目立った外傷は見当たらず、気絶しているかのように見える。
「も、もしもし?」
生きているか声を掛けてみる。しかし返事はない。試しに突っついてみるが、反応はない。
「これはもう、死んじゃってるのかな?」
一人どうしようもない状況に追いやられた千子は急いでスマホを取り出す。
「救急車? それとも警察? えっと、えっと」
「ああ、大丈夫です。生きてますから」
のそのそと起き上がり、身体を起こした。
「いやはや、失礼しました。お怪我はありませんか?」
「私は大丈夫ですけど、貴方の方は……?」
「この通りピンピンしてますよ! ほら」
身体のあちこちを動かしながら無傷なのをアピールしてくる。
「ね? 大丈夫でしょ?」
「ええ、まあ……」
「おっと、紹介が遅れました。私『カルマ』と申します」
「福原千子です。よろしくです」
とりあえずお互いにあいさつを済ませ、歩道の影がある場所に座る。
「あの、いきなりなんですけど、何で上から落ちてきたんですか?」
「えっとですね、ある組織から逃げ出そうと飛行機から脱出を試みたんですが、うっかり落ちてしまいまして」
「はあ……」
「ああ、そうだ。もし良かったらこれあげます」
懐から小瓶を取り出した。中には飴玉のような物がたくさん入っている。
「これは?」
「ただの飴です。心配してくれたお礼というか」
「じゃあお言葉に甘えて」
小瓶から一つ取り出して口に運ぶ。味はごく普通の苺味だ。
「うん、おいしい」
「でしょ? よければもう一個どうぞ」
進められるままに飴を食べていく。小さい飴だったので、いくつも食べてしまった。
「あ、ごめんなさい。あなたの飴なのにこんな……」
「お気になさらず。ところで、身体に変化はありませんか?」
「え? 特にないけど……」
お腹を触った瞬間、異変に気付いた。
内臓に触れる感覚がしたのだ。それも一つではない。いくつもあるのだ。
「こ、これって」
「ふふ、どうやらお姉さんには適性があるみたいだね」
カルマは立ち上がり、千子の前に立つ。
「お姉さんが食べた飴、実は薬だったんだ」
「薬?」
「そう、『進化薬』っていうね」
楽しそうに笑みを浮かべながら千子の身体に触れる。
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