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Inflation Game
1
:
名無しさん
:2014/12/23(火) 18:31:08 ID:/A/nF7YU
柚帆が目を覚ますと、自分1人。そこは真っ白な部屋だった。
「ここは……?」
ガガ………ピイィィ………
スピーカーから聞こえてくる無機質な音声。
「ようこそ。そしておめでとうございます。皆様は本日から開催されます、Inflation Gameに招待されました。このゲームに選ばれた幸運な女性は全員で5人です。」
「何……何なのよこれ……」
「皆様に競い合っていただく内容は至極簡単。出来る限り大きく自身の子宮、そして胸部を膨らまし、一番大きく膨れ上がった女性が勝者です。期間は10ヶ月。どのような方法を使っていただいても構いません。」
「え……何言ってるの……ちょ、ちょっと!」
「ただし、皆様が一般の世界に住んでいらっしゃることは承知しております。皆様が自らを大きく膨らます意志があるなら、出来る限りのご協力はいたしましょう。まずは、皆様の手元に服用すると妊娠時のように身体が膨らむ薬を用意させていただきました。
一人当たりの服用量に限りはありません。平均して一粒で子供一人分の臨月相当まで1日で膨らますことができます。」
「ここはどこなの……出してよ……!」
「あとは皆様の希望するような薬を処方させていただきますので、お申し付けください。1週間ごとに口頭で途中経過のご報告に参ります。優勝者にはこの世界で5億円に値する賞金が与えられ、それ以外の女性はその場で限界まで膨張、破裂していただきましょう。」
「…………!!ちょっと………何言ってるの……!私こんなゲーム……」
「尚、参加者同士でのコンタクトは公正に反するため、禁止されております。罰則規定に反した参加者はその場で破裂していただきます。それでは、ご健闘をお祈りしております。」
「ちょっと………ちょっと……!」
次の瞬間柚帆は白い光に包まれた。
ーーーーーーーーー
「ゆ…………夢……………?」
目が覚めると、いつもの同棲している彼の横に寝ていた。まだ朝も早く、ぐっすりと彼は熟睡している。
「そ……そうよね、そんな身体を膨らまして競うなんて………!!!!」
柚帆は驚愕した。手のひらには、夢で見た錠剤がしっかりと握られていたのである。
163
:
名無しさん
:2015/02/25(水) 23:15:09 ID:7FslhR72
〜〜〜〜〜〜〜〜
いつものように変わりのない食卓。
目の前にはおいしそうに食事をほおばる柚帆。
何も変わりはない。何一つ、変わってなどいないのだ。
「おいしいね、彰」
「あぁ。」
「ふふ……ありがとうね…」
「いや…まぁ……な……」
「……お仕事どうだった?」
「あぁ……あぁ!おかげさまで……しばらくは泊まりじゃなくても大丈夫そうだ。」
「本当?嬉しい……」
しばらくは悠莉の家には行かない。
それも彼女に言いつけた本当のことだった。
彼女は昨日余りにも大きく膨らみ過ぎた。
定期的に膨らむのならば……毎週あのスピードで膨らんでいくのならば………
彰の想像する空間で次第に膨れ上がってゆく美少女。
すでに両手でも抱えきれない腹はさらに大きく……巨大なバランスボールも敵わないほどに……そしてついに地面に………身長さえ超えて……
あぁ、アドバルーンみたいだ……もう胸の方がバランスボールよりも大きく………
彰の想像の中の空間を限りなく埋め尽くしてゆく悠莉。
少しの弛みもなく、どこまでも巨大な3つの球になって……
6ヶ月後を想像した彰の股間に血液が集まり始める。
「………彰?大丈夫?」
「……ん?あぁ……ちょっと朝方まで仕事で、あまり寝れてないから……な………」
「今日は早く寝なよ……?無理しないで……」
「あぁ、ありがとう……」
目の前にいるのはそれに比べ貧弱な女性。
一般的に見れば到底貧弱ではない、豊満どころの話でさえない。
破裂寸前まで大きく膨れ上がった女性だ。
しかし圧倒的に足りない。
どんな女性だってそれくらい余裕で膨らめるのでは……
彰の基準は完全に壊れ始めていた。
(今晩…………)
彰の頭の片隅に浮かぶ瓶入りの錠剤。
そして浮かぶ自分の欲望を無限に詰め込み膨張し続けてゆく目の前の女性……
(だめだ………欲望に負けちゃ………)
「……大丈夫……?」
「あ……あぁ、やっぱり疲れてるみたいだ……先シャワー浴びて、今日は寝るわ………」
「うん…!片付けておくから、先入ってきていいよ。」
「ありがとう」
皿を下げる柚帆。実はこの体型でとても簡単な仕事ではなくなってきている。
すべては愛する彰のため。
何一つ変わってなどいない……彼女の頭の中を巡る疑問を除いては。
(………膨……腹………か………)
〜〜〜〜〜〜〜〜
(やった………………!)
そこには妊娠検査薬を片手に喜ぶ女性がいた。
(………シズマとの………赤ちゃん………)
もう片方の手で下腹部を撫でる。
それは以前より明らかに張りを強め、確実に大きく………
「シズマ……ちょっとお姉ちゃん出掛けてくるわね。」
扉越しに語りかけるシェリー。
「あぁ……いってらっしゃい……」
そして彼女は身支度を整え、玄関へと向かった。
(シズマとの赤ちゃん………ちゃんと診てもらわなきゃ………)
164
:
名無しさん
:2015/03/03(火) 14:41:35 ID:xwW9PWhE
※リレーを繋げさせてもらっている者ですが、自分も今後少し書くスピードが遅くなりそうです。
すみません。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、都内の産婦人科にて検診を終えたシェリー。
椅子に座り雑誌を読んでいた彼女を呼ぶ看護師の声が、ロビーに響く。
診察室のドアを潜るとそのこには、何とも複雑な顔をした医師の姿があった。
対面に座るシェリーの顔にちらりと視線を送ると、何やら口重そうに話し始める。
「えー・・・雪代さん・・・本日の検診の結果なのですが・・・」
雪代。色素の薄いシェリーの儚げな美貌に良く似合う苗字であった。
「はい、先生。どうでしたか?」
「ええ、ええ、はい・・・確かに妊娠はしておりました。ですが・・・」
「ですが?」
「あの、ですね・・・」
医師は口ごもってなかなか話しを進ませない。もどかしい。
「先生。何でもおっしゃってください。そんな態度をされたら気になってしまいます」
「あ、いや、申し訳ないです。こんなことは私も初めてなもので。非常に稀なケースなのですが・・・
シェリーさん、あなたのお腹の赤ちゃんですが・・・」
「数が、その・・・どうやら、じゅ・・・と、十つ子、らしいのです・・・」
言い慣れない単語に彼は戸惑っているらしく、両手の指で10を表しながらそう伝えた。
「十つ子・・・!」
シェリーは目を丸くして驚く。自分でも想像していた以上だった。
「ええ、驚くのも無理はありません。そして・・・この数ですと、やはり母体に負担がかかりすぎます。残念ですが、やはりここは」
「それだけ・・・?」
「え?」
「それだけ?先生?私のおなかには、今、それだけしか赤ちゃんがいないんですか!?」
「いや、あなた・・・えー・・・あ、もしかして日本語が難しかったかな?十つ子というのは・・・」
「分かってます。10人でしょう?いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう!」
「え、ええ・・・」
「なんてことかしら・・・!!」
シェリーの落胆は凄まじいものだった。想像以上だ。想像していたより遥かに・・・
薬の効果が、薄い。
(何よ・・・・・たった10人じゃ・・・満たされるわけないじゃない・・・!)
『多重妊娠を可能にする薬』。それが彼女が新しく夢の中で注文したアイテムであった。
(でも、確かに何人一度に孕めるかまでは聞いてなかったわね・・・受注されたことで浮かれてたのかしら、私・・・)
「雪代、さん?あの・・・ショックなのは分かりますが、少し冷静に・・・」
「ええ?・・・あ、ハイ。ごめんなさい、大丈夫です」
医師からの言葉を受け、シェリーは我に帰る。不審がられても後々が面倒だ。
「先生。私、気分が優れないみたいで・・・お話しはまた、後日・・・でもいいでしょうか?彼とも話しをしないといけませんし・・・ね?」
「え、ええ、分かりました・・・ですが、何度も言いますが、今回は非常に稀なケースです。なので、何か異常があったらすぐに・・・」
「はい、先生・・・」
医師はその後も話を続けているようだったが、シェリーの耳には入っていない。
彼女は今後のことに考えを巡らせていた。
(このままじゃ駄目・・・もっともっと、シズマの赤ちゃんを孕まないと・・・たった10人じゃ、大きくなったとしてもゲームで勝ち残れるか分からないし・・・
それに何より、満足できない・・・!)
スカートを握り締める手に力が入る。
(私はもっと満たされたい・・・シズマの遺伝子で・・・!数え切れないくらいの赤ちゃんで、お腹がいっぱいになるまで・・・!)
しかし、その為には
(もっとシズマとセックスしなければ・・・新しい薬も必要かしら?・・・何か方法を考えないと・・・)
シェリーはひたすらに、思案を重ねていた。
165
:
名無しさん
:2015/03/03(火) 23:32:28 ID:H6k7uJlY
※リレー主です。承知いたしました、ご無理なさらないようにどうぞ!
〜〜〜〜〜〜〜〜
次の金曜日の夜のこと。
朝が明けると土曜日がやってくる。
部屋にこもりっきりのシズマにとってはなんてことない、いつもと同じただただ過ぎる1日に過ぎない。
ただし、シェリーにとっては特別な意味を持つ朝になっていた。
「シズマ。お姉ちゃん先に寝るから、シズマも早く寝なさいよ。」
「あぁ……」
(いったい………)
ただあの日から、ひとつだけシズマにはやるべきことが増えていた。
(いったい何なんだよ……何日調べても………どれだけ調べても………!女性が膨らむなんて………どれだけ調べても………)
出てくるのは大した情報ではない…行き当たったと思っても、せいぜいコラか、フェチ向けのサイトばかり。
(月岡零………akira………こんなん到底趣味とか嗜好の領域………………くそ………!!)
頭を抱えるシズマ。それがまさに同じ被害者などとは想定もしなかった……
〜〜〜〜〜〜〜〜
ガガ………ピイィィイ
「参加者B……シェリーさん。今週は順位に変動が起きております。現在の順位はDが1位、続いてE、A、C、Bの順番になっております。」
(もっと………もっと………数えきれないほどの…………)
「………引き続きのご健闘をお祈りしております………」
(もっと………もっと…………毎日毎日…………たくさん………たくさん…………!)
「……………次回経過報告も1週間後を予定しております………」
(シズマとセックスする度に…………何十人だって…………何百人だって…………!!!)
「それでは………」
「ちょっと待って………!」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「朝まで調べたって………くそ…………畜生!!」
気付けば日が昇ってしまった。シェリーは知らないが、これが立て続けに三晩め。彼の体力も限界だった。
別段膨れ上がった女性なんか好きでもない。それなのに何箇所もそういうサイトを巡った。
ただわかるのはそういう嗜好があることくらい。
シズマには到底理解の及ばないことだ。
(もし姉ちゃんが………大きく膨らんで…………)
心なしか姉の下腹部は少しふっくらしてきたようだ。
しかし到底ネットの海を彷徨って見つけた画像には及ばない。
試しに頭の中で美しい姉を大きく膨らませてみる。
大きく………大きく………臨月のような胸……臨月のような腹………臨月……臨月……
「………あぁ……無理に決まってる………!意味わかんねぇよ………!!!」
臨月くらいの大きさがせいぜいだった。
そんな巨大に膨らんだ女性現実で見たことがない。どんなに大きくたって双児がせいぜいだ。
シズマの想像の中のシェリーも、双児くらいまで大きくすると、今にも弾け飛んでしまいそうに、痛々しく張りつめてしまった。
それが三つ子…四つ子………膨れるほど苦しげに呼吸をしている姉。今にも割れそうに……
「………そんなに………膨らむわけ………」
意識の片隅で誰かが部屋をノックする音がする。
「シズマ………朝ご飯……」
「あぁ……」
彼は徹夜で回らなくなった頭で、朦朧とする意識の中で彼は返事をした。
自然と警戒心を解き、食事を取りに向かう彼。
その行動が今後彼の想像の何倍も、何倍もシェリーを大きく膨らませていくとは、想像だにしなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜
(何だろう………)
今日も彰は仕事だ。仕事に出掛けている。
その時間パソコンに向かうようになった柚帆。
大きな腹を突っ返させて、巨大な胸に圧迫されながら、懸命にマウスを動かし、キーボードを叩く。
彰のアカウントには鍵がかけられてあり、ゲストユーザーとしてブラウザを起動していた。
(……お腹……膨らむ………大きなお腹ばっかり調べてるの…………どういうこと………?)
ふと脇に目をやる柚帆。パソコンデスクの下からDVDが顔をのぞかせている。
(………作品集………何これ………?)
普段なら気にもかけなかっただろう。
しかしそのジャケットには………
(………!!………え…………?)
柚帆の2倍も3倍も大きく膨れ上がった、半裸の女性が写っていた。
166
:
名無しさん
:2015/03/16(月) 17:34:11 ID:XDXhxsIw
モニターの中で、自分よりも遥かに大きいお腹と胸をした少女が、更にその体を膨れ上がらせていく。
その表情は淫靡に紅く染まっていた。
明らかに悦んでいる。
(彰…なんで、こんなもの…これが、膨腹って、こと…?)
柚帆は、DVDの再生画面を食い入るように眺めていた。
彼女の中で、色んなピースがはまっていく。
そして、それは一つの答えを形作った。
「…こういうのが、良いの…?」
大きくなった胸の奥がちくりと痛む。
大きくなったお腹の奥に、重いものが溜まっていく。
いや、大きいなどとは言えない。
画面の中の彼女たちに比べたら、自分などまだまだ…。
「…何か、やだな…」
ぽつり、とつぶやいた。
最近の彰。膨張無しで体を重ねることはあった。しかしそれでも恐る恐るというか、どこか淡泊に済ませている感覚。
当然だ。彰は優しいから、私の体を気遣っているのだ。
だが、もし彼が心の底では私に満足しておらず、パソコンの中の彼女たちで本来の欲望を発散していたとしたら。
(…私は、絵や動画以下ってこと?)
柚帆の心がざわつく。
嫉妬の炎が静かに燃え始めた。
本来なら、もっと冷静に考えることができたはずなのだ。
しかし、安定しつつあるとは言え未だ異常なゲームの真っ只中、柚帆の精神は容易に揺さぶられてしまう。
「あ」
ぽろぽろと。柚帆はいつのまにか涙を流していた。
「あ、う、やだ、何で…」
彰は言っていた。どんなになっても私を好きでいてくれると。
その言葉だけが支えだった。
「やだ、やだよう…あき、あきら…やだ…」
しかし本当は。彼は本当は、私をもっと膨らませたくて。でもできなくて。別の世界にはけ口を求めて。心はどんどん私から離れていって…。
「ち、違う、彰は…そんな人じゃ…」
モニターの中の女性は、既に体が埋まって見えなくなるほど巨大に膨らんでいる。
「…!!!」
柚帆は耐えられないといった様子でパソコンの電源を落とした。
「………」
そのままの姿勢でしばらく動かなくなる。
そして…
「…彰…」
彼女は立ち上がり、ふらふらとした足取りで部屋を後にしたのだった。
167
:
名無しさん
:2015/03/18(水) 01:27:09 ID:BXwriN5c
ベッドに横になる柚帆。
膨腹……もし本当に彰がDVDで観たような異常に大きく膨れ上がった身体が好きなのだとしたら………
目の前で膨れ上がった胸を腹に目をやり、手を当てる。
破裂寸前ではないにしろパンパンに張りつめた肌。
もう久しく自分の下半身さえ観ていない。視界は大部分が肌色を占めている。
それでもこれは彰にとってはまだまだ小さいのだ。
この部屋を埋め尽くすほどに、否それよりもまだまだ大きく、信じられないほどに膨らんだ身体が彰は好きなのだ…。
自分の想像の中で目の前の自らの身体をさらに膨らます柚帆。
視界の大部分を覆っていた肌色はさらに視界を埋め、ついには全てが肌色になる。
胸に顔が次第に埋められ、息苦しくなる。
ついには大き過ぎる胸で視界が隠れるが、その向こうでも留まることなく膨張し続ける自分の身体。
ベッドの上からはみ出し、アドバルーンのように膨れ、ついには天井につくほどになり、部屋を埋め尽くす。
きっとまだ彰は満足しない……でもそのためにわたしはもっと膨らまなければいけない……
想像の中の柚帆はついに部屋を埋め尽くすと、どことも知れない空間で延々と膨らみ続けてゆく。
限界のない風船のように……DVDの女性でも及ばないほどに………
しかし、想像も限界に達した。
直径数メートルにも膨れ上がった想像の柚帆はついに膨らむ速度を落とす。
次第に破裂しそうに張りつめ、カチカチになってゆく肌……破裂寸前になり……それでも容赦なく身体は膨れ続け……限界をとうに超えて臨界の域に入り………
次の瞬間一時に膨れ上がる想像上の柚帆。そして………
バンッ………!!!
「ぁ…………あぁぁ……………」
目から一気に涙が溢れ出る。
「う………うぅ……………!!」
嗚咽する柚帆。
彰はきっとそういうのが好きで、わたしは満たせてもいない。
増してや、自分を好いてくれているのではなく、今はこの膨らんでゆく身体を好いているのだとしたら……
そして、もはや諦めの対象となっているのだとしたら。
いろいろな思いが頭の中で交錯する柚帆。
次から次へと止まらず溢れ出る涙。
ふと頭の片隅に、例の薬が浮かび上がった。
そうすれば彰を満足させられると思ったわけではない。
自暴自棄に似た、負の感情。
柚帆は立ち上がると、彰は気付いていないと思い込んでいる薬を探し出し、手に取った。
蓋に手をかけ、瓶の中身を一度に手に空ける。
目の前の薬を全て飲んでしまえば………彰が好きなように自らの身体を膨らますことができる。
しかし、止まらなくなるかもしれない。部屋を到底埋め尽くすこともできず、破裂してしまうかもしれない。
もう今の彼女にそんなこと関係なかった。
破裂したっていい。
むしろ、彰の目の前で破裂してやろうか。
ほら、これがおまえの好きな膨腹だろう。おまえの彼女はその膨腹で、今から破裂して死ぬんだぞ。
おまえの大好きな膨腹で、最高の状態で限界で破裂して死ぬんだぞ。
それを見て、きっと彰は興奮するんだろう。
彼もきっと後悔などしない。
彼が悦んでいるその前で限界で破裂して死ぬんだ。
あぁ、むしろなんでこんなんで破裂したんだと思うかもしれない。
こんな小さい身体で……なんでもっと膨らまないで破裂したのか憤慨するかもしれない。
彼の理想の10分の1にも満たないような、小さな身体で。
一呼吸する柚帆。これから私は破裂するかもしれないんだ。
手を口に運ぶ。
「………柚帆……柚帆!何して…………!」
そのとき彰が帰ってきた。彼女の頭はいっぱいで、そのことにも気付かなかったのだろう。
柚帆の手には空になった瓶、もう片方の手には大量の青色の錠剤。
「………彰…………ちょうどよかった…………見てて……………」
理由はわからないが、彼女がやろうとしたことはすぐにわかった。
手を口に運ぶ柚帆。
まずい。
「………柚帆………!!何やって……………柚帆!!」
168
:
名無しさん
:2015/03/18(水) 23:53:32 ID:tucheY3I
彰にはその瞬間がスローモーションの様に見えていた。
ベッドの距離までは3メートルも無い。が、この状況、彼にとっては余りにも遠すぎる距離であった。
「柚帆ぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
彼の伸ばした手が柚帆の腕を弾く瞬間。
「・・・・・・・・・・ッ!!!」
彼女は自ら口に運んでいた手を下ろした。周囲にばら撒かれる飲み切れなかった錠剤。しかしその数は、先ほど見えていたものよりも圧倒的に少ない。
となれば当然薬の大半は・・・
「ゆ・・・ず!おま、お前・・・っ!?」
彰の脳内は完全にパニック状態である。ショックで血が巡らなくなっているのか、顔面蒼白で足が震えている。
体が、動かない、動けない。
柚帆は口に押し込まれた錠剤を、無理やり租借する。ぼり、ぼり、ぼり・・・。
口を動かしながら柚帆がこちらを見ている。やめろ。どうしてそんな目で俺を見るんだ。
「やめろ・・・」
彼女は口を抑えながら上を向いた。白いのどが、ごくり、ごくり、と噛み砕いた錠剤を嚥下いていくのが分かる。
「・・・・・・やめろ」
彰はそれしか言えなかった。やがて全てを飲み込みきった柚帆がゆっくりと、彼に顔を向けた。
「・・・・・・・!」
そこにあるのは、いつもと変わらない、柚帆の優しげな笑みだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!?」
ぞぞぞぞぞぞぞ、と彰の背筋に悪寒が走る。異常だ。異常事態だ。今までと何かが決定的に違う。
「な、なあ・・・柚帆?冗談・・・なんだろ?」
「・・・・・・」
「だって、なあ?お前・・・そんなことしたら、お前・・・」
震える指で柚帆を示す彰
「・・・・・・」
「ふ、膨らんで・・・膨らみすぎて、破裂・・・」
「もういいよ、彰」
「・・・・?」
「もういいの。彰、もう無理しないで良いの。ぜんぶ知ってるんだから」
「・・・・・・・え」
彼の心臓に稲妻が撃たれた。ぜんぶ・・・しってる?
「見ててね彰。私、今から・・・あなたが満足するかは分からないけど・・・膨らむから」
「あ、う」
「好きだよ、彰。大好きだよ。大好き。本当に、好き。世界で一番好き。」
「柚帆、俺もお前のことが」
「彰、ごめんね」
柚帆の頬を一筋の涙が伝った。
そして・・・
ドクン・・・
169
:
名無しさん
:2015/03/19(木) 22:30:15 ID:krBkilas
胸が鳴るのを感じる柚帆。
ドクン………
身体がほのかに暖かくなってくる。胸の奥が熱くなる。
「彰……ちゃんと見ててね……はぁ………効いてきたみたい………」
呼吸が次第に乱れる。
「はぁ………はぁ………ぅうん……はぁ…………ぁあぁ………!」
効果は直ぐに表れ始めた。一粒であれだけ柚帆を大きく膨らました青い錠剤。
それが今柚帆の中に、何粒も………何十粒も………
「ふ……膨らむ………ぅううん………!」
「柚帆………おい!柚帆!!」
「あぁぁ………!」
柚帆は自らの肌を撫でる。大きく張りつめた胸を、そして負けじと大きく膨らんだ腹を。
ぐぐぐ………
一回り大きく膨れ上がる柚帆。
もともと大型のバランスボールほどまで成長していた腹部が、ビーチバレーのように膨れ上がっていた胸が、一回り………二周り………
「あぁ…………膨らむ…………膨らむよ……!!」
目の前で彼女がみるみるうちに膨張を始めている。
悠莉よりも三周りほど小さかった柚帆が。
次第に悠莉に並び、さらに大きく膨れ上がろうとしている。
ドクン………ドクン………
柚帆の胸はさらに高鳴る。
そして同時に、彰の鼓動も……
ゆっくりとした膨張はほんの序章に過ぎない。
「あぁ…………あぁああ……!んん………ぅ………ぁ………あぁあ………!」
自らの身体を愛撫し、次第に激しく摩り始める柚帆。
彼女は膨れゆく身体で自慰に耽っているのだ。愛する人の前で。
「んん……んはあぁ……!あ……あき……ら……!」
ぶく………ぶくうぅ…………
喘ぎ声を上げる度に加速度的に膨張を始める柚帆。
そしてとうとう本格的に膨張を始めた……
「あき……あきら………!!あきら!!…………!!」
柚帆はついに持続的に、とてつもないスピードで膨らみはじめた。
ちょうど、悠莉が言っていた。罰ゲームに使う巨大風船のように。
エアコンプレッサーに繋ぎっぱなしにされ、最大出力で膨らまされ成す術もなくなったかのように。
その光景を見て呆気にとられる彰。
目の前で愛する人がとてつもない速度で膨張してゆく。
今まさに、とうに抱えきれなくなった腹と胸に圧迫されるように、膨らんでゆく。
彰の股間には、今までに感じたことがないほどの血液が集まり始めていた。
「ふ……膨らむ…………ふくらむうぅ………!……あぁぁ………!!」
腹部の直径も1mに近づき、とうとう超えんとしている。
また1cm……そして1cm……さっきまでの柚帆だって、無理矢理妊婦だと言えば信じる馬鹿もいたかもしれない。
しかし今の柚帆は……100人身籠っているといってもまだ足りないほどに膨らみ始めていた。
「あき……ら………やっぱり好きなんだね………こういうの…………もっと……もーっと膨らんで………あげるから………!………んんん……!!はぁぁ………ぁぁああん!」
膨れ上がるほどに快感を増してゆく柚帆…
快感を増すほどに巨大に膨れ上がる柚帆…
即ち彼女に膨張を止める手段などなかった。
170
:
名無しさん
:2015/03/19(木) 22:36:23 ID:krBkilas
長くなったので、二つに分けました。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「……ぁあ……気持ち……いい………もっと……もっと大きく………」
ぶく………ぶくうぅぅぅぅうう!!
彼女の腹はとうとうベッドの幅を埋め尽くし、膨れ上がった胸は彼女の視界を完全に塞ぎ始めた。
そして次第に張りを強め始める柚帆の身体。
永久に膨れ上がるかと思われた彼女の白く柔らかい肌も、光沢を帯び、限界へのカウントダウンを始めていた。
それでも容赦なく柚帆を膨らまし続ける快感の大波。
それにも関わらず、彼女の身体は膨張の速度を次第に緩め始めていた。
「あ………あきら………ねぇ、お願い…………わたしのこと……愛して…………最後に………一番好きな方法で……愛して…………」
信じられないことに、刻一刻と破裂に近づいている自らの愛する人は、更なる膨張を求めているのだ。
「あ……あきら………ねぇ………お願い………!」
自らの分身を、彼女に挿入すれば……
彼女はさらに猛烈な速度で膨張を再開し、数倍にも膨れ上がるかもしれない。
この部屋を埋め尽くすほどに……巨大という言葉で表すのも滑稽なほどに膨張し……
柚帆に近づいてゆく彰。
「……お願い……もっと………もっと………膨らまして………彰が満足する大きさにして………」
彰は膨張しきった彼女の胸に、そして乳頭に指を這わせる。
「ひゃ………あぁっぁ………!!」
三周りほども急激に膨張する柚帆。
ぐぐ………ぐぐぐ……………………
もう一度指を這わせる彰。
ぐぐ………ぶくうぅぅぅう………
「あぁぁ………んあ…………あきら…………もっと…………最後に満足させたいの………だから……もっと………」
ベルトに手をかける彰。
その時、目の前の柚帆がさらに四周りほど膨張する。
ぶくううううぅう……みち………みちっ……!!
肌の軋む音が聞こえる。
「もっと……もっ…も…………………い………いや……いや!………嫌!………嫌だ……!!!嫌だ嫌だ!!破裂したくない!!死にたくない!!!」
直径1メートル半近くと、直径40cm以上に膨れ上がった3つの巨大風船の下で柚帆が叫ぶ。
「嫌だ!!彰!!嫌!」
彰に与えられた快感で膨張を制御できなくなった柚帆。
ぶくううぅぅぅぅうぅ…………
ますます大きさを増す柚帆。今では本当に罰ゲームの巨大風船のよう……それが巨大風船を超え……
「嫌!!助けて!彰!」
ふと我に帰る彰。
「ゆ……ゆずほ…………柚帆!!おまえ………!!」
振り返ると、あのDVDが。月岡零の、あのDVDが落ちている。
我に帰って始めて目の前の光景と彰の中でピースがはまった。
171
:
名無しさん
:2015/03/20(金) 15:46:06 ID:1n/X3w4k
(見たのか・・・・・・!!)
彼はその場に膝から崩れ落ちた。
行き場の無い感情が怒涛のごと押し寄せてくる。彰は全てを理解した。
(何てこった・・・・!!そうか・・・それで、あいつは追い込まれて・・・!!)
「い・・・痛いッ!おなか・・・おっぱいも!・・・張ってぇ・・・んぐうううう!!」
「・・・柚帆!」
しかし今はそのことについて深く考える時間など無い。目の前の彼女は破裂に向かい膨らみ続けているのだ。
止めねば・・・何とかして!
「ううぅ・・・ごめん、ごめんねぇ、あきらぁ・・・・!!」
「違う!違うんだ!俺はそんな・・・くそ!!」
柚帆の声に思わず抱きしめようと手を伸ばす彰。しかし寸でのところで伸ばした腕を止める。
(・・・今の柚帆に触れて良いのか?刺激を与えるのはまずんじゃ・・・)
とは言え見てるだけでは何も変わらない。
眼前では今もなお、愛する彼女の乳房と腹がむくむくと膨れ上がり続けているのだ。
肉風船と形容すべきだろうか。どこまでも大きく丸く、張りを強め、真球の形になりつつある。
既に先日の悠莉ほどは大きくなっているだろうか・・・。
むぐ・・・みちち・・・みぢい・・・!
「あっ・・・あっ・・・!あぁッ!!」
無理やり押し広げられる体から異様な音が響くたびに、苦しそうな喘ぎを出す柚帆。
「ふ、く、らむぅう・・・!!たす、け、て・・・あきらッ・・・・」
「・・・!柚帆、柚帆ぉ!すまん、すまんッ・・・・!!ちくしょう・・・ちくしょう!!」
膨らんでいる部分を避け、手を握り締める彰。
「柚帆・・・すまん・・・ごめん・・・耐えてくれ柚帆・・・お願いだ・・・神様・・・・・・!!」
今の彼にはそれしかできなかった。
172
:
名無しさん
:2015/03/21(土) 03:58:42 ID:Onbhos8U
ぐ……ぐぐ………
「う……う………ふく………らむ………」
柚帆の膨張は次第にペースを落とし始めていた。
とうに先日の悠莉の大きさは超えてしまっている。
完全な球と化した3つの巨大風船。
どこもかしこもパンパンに張りつめ、汗で異様な光沢を放っている。
限界に近づいているのだ。
「ぅ……うく………ごめ……ごめんね………あき………ら………わた………わたし………うくっ……!」
ぐぐぐ………
「違うんだ………いいんだ、柚帆。俺は……俺は柚帆が………」
「うん………わかるよ………好きでいてくれて………うれ……しいよ……こんな風船みたいになっちゃっても………でも………本当は………足りないんだよね………」
「………………」
「ごめん……ね………ぅぅう………は……ぁぁ………!わたし彰が喜ぶほど………ううぅ!……満足するほど………」
「違うんだ………違うんだ違うんだ!……勘違いなんだ………あのDVDは………月岡っていう……」
「………膨腹……してるよ………わたし……………あぁぁ……ん…!」
ぐぐぐ………
彰はまた背筋が寒くなるのを感じた。
でも………でも…………
「違うんだ………柚帆………俺は………俺は…………」
「ねぇ……彰………お願い………」
「…………」
「わたし……ね………もう多分……んんっ………ダメだから………弾けとんで死んじゃうから………最後に………愛して……欲しいの………あぁ……!!」
「……………柚帆…………」
「おねが……ん!…お願い!早くしないと………んくぅ………早くしないと………破裂しちゃう………」
「………………」
「ね……せめて………せめて彰のこと満足させて死にたいの………!!彰が……彰が一番好きな状態で死にたいの……!だから………彰……私のこと………破裂………させて…………んん!」
ぐぐぐぐぐ………!
「どうせ破裂するなら………彰に……破裂させて……欲しい…………うぅうぅ………彰が満足した瞬間に………んん………弾けとんで死にたい………とても………大きさ……は……足りないかも………しれないけど………」
彰の股間に猛烈な勢いで集まる血液。
今目の前で……目の前で彼女は死にかけているのに。
この時初めて彰は自分の性癖を恨んだ。
愛する人が限界まで膨れ上がって、自分のせいで破裂寸前になって、その上尚も自分に破裂させて欲しいと言っている。
こんなに異常な状況なのに、彰はそれを興奮の対象として見ている……
(ちくしょう………畜生!!)
「あぁ………あぁぁあ………!膨らむ………膨らむ!!彰………彰早く!……わたしが破裂しちゃう前に………うぅ……全部……欲しいの………」
ぐぐぐ……!
どうみても限界まで張りつめた柚帆。
それが無理矢理に二周りも膨れ上がる。
また膨張の波が来たのかも知れない。さらに一回り。もう一回り。
破裂寸前になり落としていた速度をまた上げ始める。
ぐぐ……ぶくぅ………ぐぐぐぐ………!!
「早く!早く……!!んくうぅぅ……ひゃぁ………!破裂しちゃう!破裂しちゃう!お願い!!早く!」
ぶく…ぶくうぅぅぅぅぅ………!!
彰は拳を堅く握りしめた。
「お「お願い!破裂しちゃうくらいなら……彰にして欲しいの!彰に破裂させて欲しいの…!」
そして握りしめた拳をそっと解いた彰は、柚帆の頭を抱き寄せる。
「……あき……ら……?……ねぇ……おね………ん…………んん…………」
彰は優しく髪を撫でながら柚帆に接吻をした。
性欲からではなく。興奮からくるものでもなく……
「………あき………ら………?………ん………」
173
:
名無しさん
:2015/03/24(火) 08:35:52 ID:PSAeq012
「ん……」
それはただ唇を合わせるだけの口付けだったが、優しく、温かく…彰は震えていた。
(あきら…)
柚帆はかき乱された思考の中で、ふと昔のことを思い出す。
大学に入ったばかりのころ、彰を花蓮に紹介されてからしばらく。
告白したのは彼からだった。
なかなか一歩を踏み出せない自分を見て気を使ってくれたのは明らかだった。
とは言え向こうも緊張していたのだろう。顔を真っ赤にして、手も少し震えていたように記憶している。
普段とはまったく違う彰の態度がおかしくて…嬉しかった。
自分の存在が彼にとって特別なものだと分かったから。
そして長い時間をかけて相手が搾り出した答えに頷き、私たちは初めてのキスを交わしたのだ。
(あのときと、同じだ…)
柚帆は自分の体内から、熱が引いていくのが分かった。
大きく膨らみすぎた腹と胸に優しいものが詰まっていく。
「…ごめんな、柚帆…」
彰がゆっくりと唇を離し、涙交じりの小声でささやく。
「……こっちこそ、ごめん…ね、あき…ら…」
体の膨張はいつの間にか止まっていた。
「ごめん…ごめんね…ごめんなさい…!あきらぁ…!!」
「ちがう、お前は何も…すまん、すま…ごめん…ごめんよ柚帆…!」
ふたりの感情は言葉になる前に溶け、ただただ涙になって流れ出てゆくのみであった。
174
:
名無しさん
:2015/03/27(金) 00:42:26 ID:qL2voksg
その日からしばらく、柚帆はベッドの上を動くことができなくなった。
ベッドの上をいっぱいに埋め尽くした3つの巨大風船は、あと少しでも膨らんでいたなら全体に妊娠線が走り危険な状態であっただろう。
それほどに硬く張りつめた身体を無理矢理に動かすことは、得策ではない。
皮膚が柔軟性を取り戻すまで、彼女は寝たきりにならざるを得なかったのである。
当然、会社以外の時間は柚帆に付き添い続ける彰。
結局その後の話し合いでDVDの件の誤解は解けた。
しかし、彰自身はこれ以上性癖を隠すことはしなかった。
実際大きく膨れ上がった身体が好きなのは確かであること。ただ、柚帆をそういう目では見ることなく、実際彼女のことを思って膨張を避けていたことも明らかにしたのである。
柚帆は彼の性癖を理解し、自らへの愛を再認識する形となったのである。
ただ一つ、この時はとても自らがネットに上げた写真にまで思いが及ばない彰であったが…
現在の順位はDが1位、続いてE、C、A、B。こうして間もなくゲームは半分を終えようとしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「彰さん、本当になかなか来てくれないんだなぁ」
前回の急膨張から2週間、1人で暇な毎日を過ごす悠莉。
食べ物は前回の彰の訪問でしばらく困ることはなかった。
ただ、到底動くのが楽な身体とは言えない。
柚帆より数周り小さく、肌の柔軟性こそ十分にあったが、超大型のバランスボールと巨大風船を二つもつけたような身体が容易に動かせるわけはない。
歩けば身体が物にあたり、狭い視界でなんとか日々を暮らしている状態だった。
(『自分のいない間に、勝手に道具を使うなよ……!』………か……)
彰の言葉を思い返す悠莉。
(………ちょっとくらいならバレないし………彰さんも喜んでくれるんだしなぁ………)
部屋をぐるっと見回す。
(例えばぜ〜んぶ一気に使って………次彰さんが来た時にはこの部屋いっぱいに……)
部屋を埋めた、自分の最大限に膨張した身体を想像する悠莉。
「なーんて……破裂しちゃうわ、流石に……うふふ……」
しかし、口にした言葉とは裏腹に、身体が熱くなってくる……
(流石にそこまではいかなくても………)
目を横にやる。
(ちょっとだけ………ちょっとくらいなら……いいんじゃ……)
175
:
名無しさん
:2015/03/27(金) 15:30:12 ID:CqUR4yvU
悠莉の視線の先にあったのは、先日彰が泊まりに来た際に使ったコンプレッサーだった。
あの時は冗談のつもりだったのだが、後々になって思えば
(気持ちよかったなぁ・・・あれ・・・)
と、視界に入るだけでも膨らんだ部分がうずいてくる。
(やっぱり空気で膨らまされると・・・本当に風船になった感じがして・・・)
じゅく・・・と彼女の股間から湿っぽい音が小さく響く。
(でも、実際・・・他のものも興味はあるのよね)
膨腹薬、母乳精製アンプル、ガスボンベ、触手箱などなど・・・数え切れないほどの膨張アイテムを前にして
悠莉はおあずけをされた犬の気持ちを味わっていたのだ。
欲求不満なのである。
(あ・・・だめだ・・・どうしよう。ほんとに我慢できなってきた・・・)
膨らんだ腹と胸に軽く触れただけでぴりっとした快感が襲ってくる。
このままでは心のほうが破裂してしまいそうだ。
(・・・そうだ)
悠莉はふと、あることを思いついた。
(要するに、途中で止められなくなる可能性があるものを使わなければいいのよね)
えっちらおっちらと苦労しながら道具の山へと向かい、その中からあるものを取り出す。
それは・・・一見すると、何の変哲も無い、ただのビニールホースである。
(お腹は・・・これ以上大きくなると大変だから、おっぱいにしようかな)
悠莉はそう考えると、ビニールホースをぐいっと左右に引っ張る。すると、その力に逆らわずに長く伸びたではないか。
さらに彼女がホースの先端に指をかけ、おつまみのチーズの如く二つに引き裂いた。すると不思議なことにそのまま、途中で二股に分かれたホースへと変貌する。
「・・・すごい。これっていろいろなものに使えそう」
感心したような声を漏らす彼女は、次にその分かれたホースの先を乳首の辺りに持って行く、すると
「ん・・・!」
ぺた、っと吸着し、引っ張っても取れないようになってしまった。
「これでよし、と・・・。ぱく」
最後の仕上げにホースの空いてる口を咥える悠莉。
そう、彼女は自分の息で胸を膨らませようとしているのだ。
(これなら・・・好きなときにやめれるものね)
そして・・・彼女はしばし目を閉じ、息を整え・・・吸った空気を、ゆっくりと吹き出してみる。
吹き込んだ息がホースの中を伝い、彼女の豊満な胸へと注入される。
(んんっ・・・!)
今までに味わったことの無い感覚だった。生暖かいものが、じんわりと乳房に染み渡っていくような・・・なんとも、これは
(・・・気持ち良い、かも・・・)
悠莉の目がとろんと揺れる。頬が上気して、赤くなっていく。
「ふぅーーーーーーーーーーー・・・」
今度は少し長めに息を吐く。送られた息が胸に入り、じわじわと温かくなる。少しだけ張った感触が出たような・・・。
(も、もう一回・・・!)
悠莉の中で、欲望の影が強くなっていく。彰との約束という光を、飲み込まんとする。
彼女は思い違いをしている。
自分の意思で止められる状態ということは、自分の意思を一番優先してしまう状態だということなのだ。
そして不幸なことに悠莉という女性は・・・
「ふぅー・・・ふぅー・・・ふぅー・・・・・!」
欲望を抑圧してきたせいもあるだろうが、多少タガの外れた精神状態なのである。
176
:
名無しさん
:2015/03/27(金) 16:02:26 ID:qL2voksg
「ふぅー……ふぅー‥‥んん……もう少し……もう少しだけ………」
今や完全に視界を塞がんとしている悠莉の胸。
彼女に見えているのはほとんどが肌色の風船だけである。
「んん………ふぅ…………」
悠莉は息を吹き込むのをやめ、視界を塞いでいる胸を押し下げた。
目の前にあるのは姿見。
そして、豊満という言葉では到底言い表せない、ぱっつんぱっつんに張った胸を抱いている。
あまりにも巨大な爆腹の上に乗っかった乳房。
やもすると、その腹がまだ臨月程度のように見えてしまうほどに………
到底姿見に収まるはずもなくなってきていた。
「わちゃ……結構大きくしちゃった………これじゃバレバレだよ………」
自らの側面を鏡に写す悠莉。
両手はとうに抱えきれなくなった腹の表面を撫で、胸と大きさを比べている。
「………バランス悪い………し………少しくらいお腹も………いいよね………」
悠莉はホースを引っ張る。
すると何の苦労もなしに、痛みの一つもなくそれは外れた。
割いたホースの先を、束ねて粘土のように転がした。どうだろう、それはすぐにまた一本のホースに戻る。
すぐに秘部にあてがおうとする悠莉。
巨大な腹が邪魔になって一切自らの秘部に届かないのだが、意志を汲み取ったかのようにするすると彼女の秘部へと侵入してゆくホース。
「んん………はぁぁあ………ん………」
しっかりと彼女の膨らまし口に根を張る。それだけで彼女は軽く絶頂に達してしまった。
「ちょっと……だけ……ちょっとだけだから………んん…………」
彼女はまたそれに口づけ、自らを膨らまし始めたのである。
「ふぅー……ふぅー……!あと……少しだけ………!」
177
:
名無しさん
:2015/03/27(金) 21:30:44 ID:CqUR4yvU
すー・・・・・ふぅー・・・・・・すぅううう・・・・・ふぅうううううー・・・・・・
呼吸に合わせて、ぐぐぐ・・・と、ゆっくりとだが大きさを増していく彼女のお腹。
息を吹き込むと膨らむその姿は、まさに彼女の理想とする風船そのものであった。
「も、もう少し・・・あと1回・・・んっ!くぅ・・・」
既に何回目かも分からない「もう少し」をうわ言の様に繰り返しながら、悠莉はお腹を膨らませることをやめなかった。
ぱたたたっ!・・・と、水滴が床を打つ音が響く。それは洪水の如く溢れた彼女の愛液であった。
ホースとの結合部から漏れ出るほどに興奮しているのだ。
「も、もういっかいいいい!」
ぷぅうううううううううううううううう!!ぷくううううううううううううううう!!
最初は恐る恐るだった注入が、今や肺活量の限界まで溜め込んだ空気を一気に吹き込むほどの勢いになってしまっている。
女性の吐息なので一度に膨らむ量は微々たる物だが、それでも繰り返せば巨大な風船を膨れ上がらせることはできる。
腹が大きくなるほど・・・皮膚の張りが強まるほど・・・生み出された快感が体内をめちゃくちゃに駆け巡り、脳を溶解させんばかりに熱くする。
「んっ・・・ぷは・・・はぁ、はぁあん!きもちいいよぉ・・・!もう一回ぃ」
すううううううう・・・。彼女は思い切り息を吸い込んだ。それに合わせて巨大な胸が一回りは盛り上がる。
姿見に映るその光景にまた、自分は風船なのだという意識を強めていく。
地球に存在する空気を全て吸い込んでしまいたい・・・。そうすれば、彰もこれ以上ないくらい喜んでくれるはずだろう。
「はぷ・・・」
肺がはち切れんばかりに息を溜め込み、ほっぺたまで膨らんだ悠莉はホースを口に含み、そして
「ふうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう・・・・ッッ!!!!」
ぐぐ、ぐぐぐぐ・・・ぶくうううううううう・・・・。
(!!!?!!?!?!!!)
絶頂感が稲妻の如く彼女を打った。足ががくがくと震え始めている。力が入らない!
「ふぁあ」
たまらずに後ろへ倒れこむ悠莉。ベッドがあるので頭を打つことはなかったが、打ってしまったほうが正気に戻れたかもしれないだけマシなような気もする。
それはともかく、仰向けに寝転がった状態になった彼女は、視界を埋め尽くす肌色に感動を覚えていた。
「え、えへへ・・・しゅごぉい。わたし、本当の風船みたい・・・」
ろれつの回らない言葉を放ちにへらと笑う。
「も、もう少しだけ・・・膨らませたら・・・天井に、届いちゃう・・・?」
彼女は再びホースをくわえ込んだ。
「も、もう少し・・・もう少し・・・もう少し・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
パン!
「熱っ!」
「彰、どうしたの?」
「ん・・・あ、いや。目玉焼きがはじけた」
「火傷したの?大丈夫?」
「へーきへーき」
彰は手のひらを水道水で冷やすと、昼食作りを再開する。ふと、彼女のことを思った。
(悠莉ちゃん、大丈夫かな・・・飯ちゃんと食ってるか・・・?)
178
:
名無しさん
:2015/03/28(土) 23:49:58 ID:ljxpfaDM
〜〜〜〜〜〜〜〜
「彰……ごめんね、こうなっちゃったばかりに……」
「ううん、気にするなよ。俺も悪かったし……」
彼女の口元へと昼食を持ってゆく彰。
柚帆の体はだいぶ柔らかさを取り戻してこそきたが、あまりに巨大なことには変わりない。
現実的に考えても、これからの動きはだいぶ制約されるであろう。
自らも昼食を食べながら、そんなことを頭に巡らせる彰。
しかし………
(勝手に膨らましてなきゃいいんだが……あれだけ念を押したし大丈夫か……)
次第に頭の中は悠莉が浸食しつつあった。
「ん………ごちそうさま!」
「おう。ちゃんと食ったか?」
「うん、おいしかった!」
「………ちょっとコンビニ行ってくるわ」
「なんで?何か買うの?」
「あ……あぁ、なんか甘いものたまには食いたいだろ?」
「ケーキ?わーい、嬉しい!」
限界近く膨れ上がった柚帆が容易に外に出られるはずはない。どんなに無理をしたって、もうドア枠だって抜け出せないだろう。
彰にとってちょっとしたプライベートを作ることは、そう造作ないことであった。
「じゃ、行ってくるわ」
「うん、楽しみにしてる!」
ドアを締め、軽く溜め息をつく彰。
すぐに携帯を出し、アドレス帳を開く。
足はコンビニへと向かいながら、彼は電話を耳にした。
「………悠莉ちゃん………出ないな…………」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ブゥゥウゥ………ブゥゥゥゥゥ………
「ふぅぅぅぅぅぅぅ…………はぁ………はぁ…………あと………あとちょ……ちょっと……だけ!すううぅぅぅうぅぅう…………」
彼女が息を吸い込むたびに少しだけ膨れ上がる彼女の身体。
異様に大きくなった肌色の風船は、その度に限界であり続けるような有様であった。
彼女の巨大な胸の影で、空しく震え続ける携帯。
ブウゥゥゥ………ブウウゥウウ
「はぷ………ふううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
179
:
名無しさん
:2015/03/30(月) 01:50:34 ID:C.wEx8t.
もはや彰との約束は彼女の中で完全に消え去ってしまっていた。
ひたすらに自らの体に空気を詰め込んで膨れ上がることが快感となる、風船女と化した悠莉。
ふぅーーーーーーー・・・・みちり・・・ふぅーーーーーーーーーッ・・・ぎち・・・・!
幾度と無く息を吹き込んだ腹はてかてかと光沢を放つほどにパンパンになっており、内圧の凄まじさをを物語っている。
膨らむたびにゴムを引き伸ばすような耳障りな異音が小さく聞こえる。
言うまでも無くそれは、彼女の皮膚から発していた。
お腹と場の空気が限界ぎりぎりまで張り詰めているにも関わらず、当の本人は気にも留めない。
股間の辺りが水溜りになるほどの快楽が、自身の危険を知らせるための部分を焼ききってしまったかのようだ。
「はひ、すご・・・私、すっごいぃ・・・!あはっ♥」
悠莉はホースから口を離すと、眼前の巨大な腹を叩いてみる。
ぼん、ぼん・・・と内部で反響しくぐもった音が聞こえる。体内では空気によってできた巨大な空間が広がっているのだ。
それを想像すると言い様も無い幸福感で満たされてくる。
「・・・これじゃ、ちょっと、アンバランスかなぁ・・・?やっぱり、胸ももう少し大きくしないと・・・」
彼女は秘部につながったホースを引っ張る。空気が抜けてしまわないかとも思ったがそんなことは無く、代わりに大量の愛液が飛沫をあげた。
「んっ・・・・・んん〜〜〜〜〜ッ!!」
その衝撃で何度目かの絶頂を味わうと、先ほどのようにホースを二股にし胸へと繋いだ。
巨大な風船腹に比べたらまだまだ小ぶりな乳風船・・・。と言っても元々の彼女と比べたら数倍のサイズなのだが。
元の自分など、既に当の昔の記憶のように忘れてしまっているのだ。悠莉は。
「はぁ・・・はぁ・・・ちょっと、だけね・・・?すぅううううううう・・・・」
ふぅーーーーーーー・・・!
みち・・・ぷく・・・ぶくぅううううううううううう・・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・・・・」
彰は携帯を耳に当てたまま眉間にしわを寄せていた。
コンビニに到着するまでに何度もかけ直したのだが、一向に出る気配が無い。
外出できる大きさでもなかろうに、ではなぜ・・・。
彰の中で嫌な予感が大きくなってきた。
まさかと思うが・・・まさか・・・。万が一・・・!
「〜っ!!」
彰はコールを切り、頭を乱暴にかきむしる。だめだ、パートナーとして見過ごすわけにはいかない。
これは異常事態だ。彼は再び電話をかける。悠莉へ、ではない。
「・・・あ、柚帆か。・・・うん、悪いんだけどさ、会社の人から今連絡あって。・・・うん、ちょっと今関わってる仕事の件で確認しないといけないことがあるって言われてさ。
・・・うん、そう。・・・ああ、だからちょっと会社まで行って来る。・・・うん、すまん。今日中には帰るよ。・・・おう、じゃあ」
電話を切ると彰は大きなため息を吐いた。
(すまん・・・柚帆・・・隠し事とうそばっかりでさ・・・)
心中で彼女に対し詫びる。しかし今はゆっくりしている時間は無い。
彼は、駅に向かって走り始めた。
180
:
名無しさん
:2015/03/30(月) 02:39:53 ID:y4HPEseI
電車に揺られる彰。
来た電車に飛び乗ったとはいえ、休日ダイヤだ。ホームで10分近く消費してしまった。
ドアの傍らに立ちながら、落ち着きなく片方の足に、そしてもう片方の足に体重を掛ける彰。
頭の中には様々な可能性を思いめぐらせる。
(………こんなに急いで飛び出て………もしかするとただ寝てるか……携帯の電池が切れてるのに気付いてないか………)
今にでも外に飛び出して走り出したい気分。
だが、現実的に電車が到着するまでどうしようもない。
悠莉の家は決して彰の家から近くないのだ。
どんなに急いだってあと1時間……もし電車の接続がなければ、さらにかかる。
(くそ………!どうか携帯が切れているだけか………いや、呼び出しはできてるんだ……もし悪いことがあるとしたら………空気を入れ過ぎて動けなくなってるか………例の触手に襲われて………それか………)
最後に浮かび上がった可能性には背筋が凍った。
部屋を空けた瞬間、もうそこに彼女がいないかもしれない。
(……いや……落ち着け…………それはそれでおれは柚帆に集中すれば…………)
そんな思いが駆け巡った次の瞬間、思わず扉に拳を叩き付けた。
(…………俺は………俺は何を………!!…………………な……!!)
突如としてかかる急ブレーキ。
しばらくの沈黙のあと、スピーカーからくぐもった頼りない声が聴こえてくる。
「……………ぇえ………ただいま、緊急停止信号を、受信しました。大変お急ぎのところ…………」
(おい………おいおいおい!…………嘘だろ…………動けよ………早く………おい!)
〜〜〜〜〜〜〜
「ふうぅぅ…………はあぁ………はあぁ………ふ……うぅう…………」
みぢ…………ぎち……………ち………
巨大に光沢を放つ爆腹と、すでに完全な球体となった二つの乳房。
脂汗と、異様に引き延ばされたこともあって、人間の皮膚だとは思えないほどに張りつめている。
その爆腹の頂点は、天井まではまだ余裕があるもののベッドからかなりの高さにそびえる。
超爆乳ももはや中型のバランスボールほどもあるだろう。
「ふ………すぅ……ぐふ……げほ……げほ………あと少し……だけ………膨らみたい…………ごほ………」
快感に溺れているだけではない、あまりにムキになって吹き込んだ挙げ句悠莉は極度の酸欠になっていた。
それはむしろ彼女を悪い方向へと駆り立てる。
酸欠になって働かない頭。さらなる快感への衝動。
まったく動けないほどに膨張した彼女でこそあったが、部屋を埋め尽くす道具はいくらでも手の届く距離にあった。
「あと……あと………少し………だけ…………はぁ………ううっぅう…………」
ホースから口を離すと彼女は弱々しくそれを胸から抜いた。
手の届くところにはインフレーター、膨張剤………なんでも…………
「あと………少し………もっと…………もっと……………!」
彼女は遠のく意識の中で手を伸ばした。
181
:
名無しさん
:2015/03/30(月) 06:18:14 ID:C.wEx8t.
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
彰は人通りの多い街を走っていた。こんなに全力で走るのは何年ぶりだろうか。
電車の遅延も相まって、移動だけですでに一時間半もの時間が過ぎてしまっている。
大きくなり続ける不安感が彼の足をがむしゃらに動かす。最悪の想像が止まらない。
「はぁ・・・ひぃ・・・やっと・・・」
息も絶え絶えに視線を上げる。そこには悠莉の住むアパートがあった。
その場に寝転んでしまいたい衝動に駆られるがそうも言ってられない。
疲労した体に鞭を打ち、部屋へと向かう彰。悠莉から預かったスペアの鍵をオートロックに差し込む。
自動ドアを潜り抜けエレベーターのボタンを乱暴に叩く。
(早く来い!早く!!)
チン、と間抜けな音を立てて到着したエレベーターに体ごと倒れるように乗り込む。
体を打ったが構っていられない。
そして目的の階に着くやドアを蹴破らんばかりの勢いで飛び出した。目的の部屋に到達し、震える手で鍵を差し込む。
「悠莉ちゃん!入るぞ!!」
勢いよくドアを開け放ち、土足のままリビングへの扉へと手をかける。そして・・・
「悠莉ちゃ・・・・・・!」
扉を開けた彰は思わず絶句した。
当然だろう、そこにあったのは・・・
「悠莉、ちゃん・・・やっぱり・・・!」
ベッドの上に置かれている、柚帆以上に膨れ上がった三つの巨大風船だった。
異様な熱気と・・・濃厚な、メスの匂い。
彼は眉を顰めながらその位置からはまったく見えない頭の方へと近づく。
「・・・!」
その際に見たのは、手に握られていた細くて黒いホースだった。繋がっている先は例のコンプレッサーだが、幸いにも電源は入っていないらしい。
彼はそのホースを奪い取り、彼女の顔を覗き見た。
悠莉は顔面蒼白になり浅い呼吸を繰り返している。どうやら気絶しているらしい。
「悠莉ちゃん!悠莉ちゃん!!しっかりしろ!!おい!!!」
彼は大声で呼びかけながら軽く頬を叩いた。すると・・・
「・・・・・・へ・・・?あ、きら・・・さん・・・?・・・あれ・・・私・・・どうして・・・」
どうやら意識を取り戻したらしい悠莉が、薄ぼやけた瞳と声を彰に向けた。
「どうし、てじゃないだろ・・・!君は、何を・・・やって、へひぇ・・・・・」
「あきらさん・・・?彰さん?」
悠莉の問いかけに応える声はない。体力と精神力を使い果たした状態で頭に血が上ってしまったせいだろうか。
彼はその場に崩れ落ちたのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彰が気絶するのとほぼ同時刻・・・。
「見て、シズマくん。だいぶ大きくなったでしょ?」
「・・・・・・」
嬉しそうにお腹をなでるシェリーから、シズマは目を逸らす。
(くそ・・・!)
彼は湧き上がる焦燥を抑えきれない。それもそのはずだ。
姉のお腹の膨張が、日に日に増していっているのだ。
「・・・今日は晩飯いらない・・・姉ちゃんも、もう動かないで寝てろよ・・・」
「え?だめよ。ちゃんと食べないと・・・ね?シズ」
「いいから!!今日はいらない!!」
シズマはそう言うとリビングを飛び出して自室に走りこんだ。
椅子に座り込んで荒々しく息を吐く。
姉の変貌する体を見るたびに、彼は心が締め付けられる。今はまだ常識の範囲内の腹の膨らみ・・・だがそれが、いつか見たコラ画像の様になるのを想像すると・・・。
(怖い・・・姉ちゃんはどうなっちまうんだ・・・)
慣れ親しんだ姉の姿が、未知のものへと変貌してゆく。頭が良いとは言え十台の少年には酷な出来事だ。
(早く・・・探さなきゃ・・・何か、ゲームから抜け出す・・・手がかりを・・・)
182
:
名無しさん
:2015/03/30(月) 09:57:06 ID:C.wEx8t.
すみません。長くなったので三つに分けさせて下さい。
とは言えシズマにできること少ない。彼の推測では、このゲームの関係者以外にこの件は話すことはできない。それが可能ならばゲームとして破綻してしまう。
何らかの強制力が働く可能性があり、それは姉の体に害を及ぼすかもしれない。他人は頼れないのだ。
(ん…?)と、ふと彼は膨張系SNSの掲示板に貼られてあるURLに目が留まった。
「風船…生放送…見に来てね…?」
聞きなれぬ言葉の羅列に多少の興味を持ちリンク先へと飛んでみる。そこには…
『はーい!全国のファンの皆様こんにゃーちゃっす!風船アイドルみるるだよー!!』
「うわ!」
思わずヘッドフォンを外すほどの音量で自己紹介する、やたら胸の大きい少女の姿があった。
『んーみんなコメントありがとぉー!ほんじゃま今日もさっそくやってみよう!』
そう言うと画面の中の彼女は小さな空気入れを持ち出すと、画面外でごそごそと何かをし始めた。シズマは嫌な予感がしたが、ここはそう言う掲示板だ。と言うことは…。
『今日もいっぱい、お腹膨らませるからにぇーい!!』
「理解不能だ…」
シズマはドン引きの表情でみるるを見つめていた。ただでさえ本能的に苦手なタイプだ。知性を感じられない話し方。それに加え自ら腹に空気を入れて膨らまそうとしている。
シズマは彼女の絵文字が多すぎて読みづらいことこの上ないプロフィールを眺める。
「こんなことずっと続けてるのかこの女…自己顕示欲の塊か。…ん?」
と…ふと、一つの項目で目が留まる。そこにあったのは、第一回目の放送日。その日付は
(姉ちゃんが、初めて夢を見た日の…一週間前…)
一週間に一度の、順位発表。という言葉がふと浮かぶ。だからどうした、という感じではあったが…何となく気になってしまう。
(姉ちゃんは途中参加のプレイヤー…ということは、参加に至る前にゲームの中で何らかの動きがあったってことだ…。この女が放送を始めたのも、その何らかが関わって?
っていやいや、都合が良すぎるだろ発想だろそれ)
しかし、藁でもすがりたいこの現状である。何も得られるものはないだろうが、念のためだ。
『初見です。みるるさん初めまして』シズマが打ったコメントが、表示欄に映し出された。
『お!?初見さん!?いらっしゃいまーせー!ゆっくりしてってねどーぞ!!』
みるるがコメントに反応した。見れば、空気を詰め込んだ腹が僅かにぽっこり膨らんでいる。
『お伺いしたいことがあるのですが』
『ん!?何かね!?3サイズかな?えーとね、上からー103、68…』
『違います。あなたはなぜこの放送を始めたのですか?』
『あれ?違った?ごめんねー!みるるってば人の話聞かないからさー…ってえーと、この放送を始めた理由?えーと、そーれーはー』
シズマは頬杖をつきながら画面を見やっている。大した理由なんてあるまい。目立ちたかったから、とか、適当な理由なのだろう。
『…何でだろ…膨らみたくて、仕方なかったの』
「………」
言葉だけで言えば、シズマの想像通りの適当なものである。しかし、その表情は・・・
いや、表情など無い。ただただ空ろな、無表情だったのだ…。
シズマはその変貌ぶりに、冷たいものがぞくりと走った。
183
:
名無しさん
:2015/03/30(月) 10:00:17 ID:C.wEx8t.
ラストです。
『…ごめんね。初見さん。私さ、そこら辺の記憶、ぐるぐるなんだよね。なーんにも覚えてないんだ。でも…膨らみたくて…誰かに見てもらいたくて…。あ、やべ。頭いたい…』
記憶が、無い…?何かが引っかかるシズマ。そのまま続けてコメントを打つ。
『放送開始する前、何か変わったことはありましたか?』
『変わったこと…えーと…んー…。あ、おにーちゃんが死んじゃった…かな…?電車でゴー!されちゃって…』
兄の死…。それがショックで記憶が混乱した、ということだろうか。いや、それにしては、何か…妙な…。
シズマは何故か胸騒ぎを覚えた。もう少し突っ込んでみなければならない気がする。
『すみません。もう少し詳しくお話を聞かせてほしいのですが。いいですか?』
『みるるよくわかんない!あはは!ってうお!もう放送時間終わるじゃん!!今日はあんまり膨らめなくてごめんにー!!じゃあまたなみんな!!』
「あ…!いや、待て…」
彼女のプロフィールにはスカイプのアドレスが【突撃おーけー】の文字と共に書いてある。
シズマは自身のスカイプからコンタクトを試みる。
『みるるさん。先ほど生放送で質問した者です。』
と打ち込み反応を待つ。やがて
『しつこいなキミ!!びっくりだよ!!』
とチャット欄に文字が表示された。
『すみません。不躾な人間と思われるかも知れませんが、どうしても知りたいのです。お願いします』
『んー。と言っても別に話すことないしな』
『どんな些細なことでもいいんです。お願いします』
しばしの無言…そして
『顔写真おくってちょーだい。』
「………は?」
『キミがイケメンならいろいろ思い出すかもにゃ』
「はああああああぁ!?舐めてるのかこの女……!!…いや、落ち着け…もしかしたらだ、もしかしたら…万が一だ」
『どうぞ。右が僕です』
と、一年ほど前シェリーと一緒に撮った写真を(姉の顔は塗りつぶし)添付して送るシズマ。
何やってんだろおれ…。シズマは今更ながらに頭を抱えた。確証も無い情報を欲しがり見ず知らずの女に個人情報を送るなんて。手がかりを焦る余りに周りが見えなくなっているのだ。情けない。
ひょこ♪…自己嫌悪に陥ったシズマの元へ、みるるからの返信を告げる音が聞こえた。
『キミ、可愛い顔してるんね。私と同い年くらいかな?うんうん。合格だキミは!!では約束どおりお話してあげよう!!
で、いつ会おうか!!デートしながらお話したいな!!これは命令!!じゃなきゃ何も喋らんぞ!!』
シズマはデートと言う単語だけで顔が真っ赤になり脂汗が吹き出てきた。引きこもりの自分には無理だ。姉さん以外の女性と直接話すなんて絶対無理だ。死ぬ。
『ごめんなさい。私は家から出ることができません。チャットかメールでは駄目でしょうか』
『だめです。じゃあキミの家に遊びに行くからさ、住所教えなされ!!!』
だめだ!この女はだめだ!!何かもう全部だめだ!!!シズマは机に突っ伏した。
しかし…彼の中では、みるるに感じた異質感の答えを知りたがっている自分もいる。
もしかしたら、もしかしたら・・・ゲームに繋がる何かが得られるかもしれない。
姉を助けるきっかけになるかも知れない。
「……」
シズマは無表情で起き上がるとカレンダーをチェックした。姉の次の通院日はー…
『分かりました。お手数おかけします。個人情報は他言無用でお願いします。住所は』…
184
:
名無しさん
:2015/04/07(火) 02:33:22 ID:dpPw.IbM
申し訳ないです、遅くなりました。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「それじゃ、シズマ……行ってくるわね。」
「あぁ……」
締まった扉の向こうで微かに聞こえるシズマの声。
暖かな笑顔で自らの腹部を撫でるシェリー。
それは完全に母の顔だ。
そして、彼女の身体は既にシズマを焦燥させるに充分な変化を遂げ始めていた。
ゲームが始まってからほんの1ヶ月弱。
先日までに目だち始めるほどに発育を初めていたシェリーの腹部、そして乳腺は次第に成長速度を早め、妊娠後期のように急成長していたのである。
すでに彼女の身体は臨月の、それも大きめの臨月の妊婦のそれである。
真ん丸に張った下腹部。母乳をたたえた乳房。
マタニティドレスを纏い、しかしいつも通りの様子で玄関へ向かう彼女。
それがまるで当たり前であるかのように。何一つ異常がないかのように…
「……姉ちゃん…………」
遠くで玄関の扉が締まる音がする。産婦人科へと向かった姉。有り得ないような状況下で…
時計は14時を指そうとしていた。例の彼女が来るまであと1時間ほど……
〜〜〜〜〜〜〜〜
シェリーの周囲には彼女と何一つ変わらない容姿の女性たち。
いや、厳密に言えば、彼女達よりも幾分大きくさえあるかもしれない。
優しく自らの腹部を撫でる。
「シェリーさん………」
診察室に向かう彼女は自信と喜びに溢れていた。
この大きさならきっと………このまま膨らみ続ければ………
医者は脅威の眼差しでカルテと彼女の身体を見比べた。
「シェ……シェリーさん………こ………」
ただ笑顔を浮かべるシェリー。
「………ひとまず…検査に入ります………」
そう言って、出来る限り平静を装いながらいくつかの問診の後、エコーの準備を始める。
〜〜〜〜〜〜〜〜
『突撃ぃ!風船アイドルみりゅりゅの、お宅訪問だお!』
チャイムの向こうから聞こえた声は、完全にシズマの神経を逆なでするそれであった。
『さあー出ておいで!約束のお時間だよぉ!』
185
:
名無しさん
:2015/04/07(火) 09:46:51 ID:bOpaPzw.
いえいえ、お気になさらないで下さい。
こちらこそ、最近膨張シーン書けなくてすみません…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
シズマはインターホンのカメラ一杯に映るみるるの顔を、陰鬱な顔で見つめていた。
彼には姉以外の女性に対して良い思い出と免疫がほとんど無い。彼女のようなハデなタイプの娘ならなお更だ。
しかし何だろう。今まで見た女性とは、何かが違うものも感じている。簡単に言えば一番頭が悪そうなのだ。嗜好や話し方もそうだが、何より目が違う。そこらのぶりっ子キャラを演じている女性とは一線を画す、異次元の輝きを放っている。
もしかしたら宇宙人なのかもしれない。これは未知との遭遇だ。
「はぁ…」
シズマは観念して玄関へ出向き鍵を開けた。外の風景を見ないように顔を少し俯かせ、ノブを捻りみるるを招き入れる。
「…どうも、初めまして。自分がシズマで…」
「んぎゃーす!写真よりもかんわうぃーじゃなーいかー!!」
こちらの顔を見るや全力でタックルしてきたみるるに、シズマは為す術無く押し倒されてしまった。
「痛っ!ちょ…いやああああああ!!!だめ!やめて!!は、離れろ!!お願いします!!!」
「うん〜?なんだいなんだい女の子みたいな声出しちゃってにー。離れろと言うならほれ、まずキミがその手を離しなされ」
「…ぁ?」
シズマはそこで、倒れた拍子にみるるのアホみたいにでかい乳房を鷲掴みにしている状態なのに気付いた。彼の優秀な頭脳にしては珍しく、理解に時間がかかっている。
「ーーーーーっっっッ!!!??」
「まぁ…大胆なオトコノコは嫌いじゃなかよ。もっと揉む?揉むけ?ほれほれ」
初めて姉以外の胸を触ってしまった。しかもさっき会ったばかりの女性のだ。しかもしかもそれはとてつもなく大きくて…柔らかくて…!
シズマの神経は完全にショートしかかっていた。
「助けてー!!!お姉ちゃあああああああああああん!!!」
思わず彼は恥も外聞も無くそう叫んでしまった。怒り以外の感情で声を荒げるのは、数年ぶりのことなのだが…そんなことを気にする者は、この場には、いない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あり得ない…」
「何か仰いましたか?先生」
顔面蒼白になっている医師などどこ吹く風で、シェリーは涼しい顔で尋ねた。
大きく膨らんだその腹にはジェルが塗られ、エコーによる子宮内の検査が行われていた。
通常の妊婦ならば、モニターには胎児の影が映るはずなのである。しかしシェリーの場合は…。
「シェリーさん…すぐに入院の準備をなさって下さい…!」
「なぜでしょう?まだそんな時期ではありませんわ」
「なぜ………って、シェリーさん!あなた!!」
医師は我慢の限界と言う風に椅子から立ち上がる。
「あなたの子宮に…一体何人の胎児が、いるか…判断がつかないのですよ!それほどまでに…大量の影で!画面が埋まっているのですよ!?」
診察機の画面には、無数の影が蠢いていた。
長らく産婦人科で医療に従事してきたこの医師でも…いや、おそらく歴代全ての医者も含め見た事がないであろう
夥しい数の命の群れであった。
「成長速度も普通に比べて早すぎる。このままではあなたの体が…」
「心配せずとも大丈夫ですよ。あなたはただ、私の子供たちの健康状態を教えてくださればいいのです」
「…?あなた…何を…」
「お腹の胎児に異変は見られないのですよね?」
「ああ…それは、そうですが…!」
「なら何の問題がありましょうか。この子たちは健康にすくすくと育ち、私は全ての子を産み、育てたいと思っている。それだけで…十分ではありませんか?」
「………」
「先生。お願いします。私から子供たちを引き剥がさないで下さい」
「……分かりました…。ですが、私は医師として…見過ごすわけにはいかないラインというものが存在します。これ以上の変化があれば即刻、しかるべき措置を取らせて頂きますので、そのつもりで…」
「はい。ありがとうございます。先生…」
シェリーは目を伏せ、恭しく一礼してみせた。しかし胸中では…
(そろそろ限界かしらね…医者の手を借りない方法を、考えねば…)
中絶なんてさせてなるものか。全ては愛しいシズマとの愛の結晶なのだ。
彼女は澄んだ瞳の奥底で、暗い炎を燃やしていた。
186
:
名無しさん
:2015/04/07(火) 10:08:19 ID:bOpaPzw.
「どうして…膨らませたくなったか…って、そんなのただ…なんとなく…だよ…?」
と…みるるに変化が現れた。表情がすぅと消え…言葉の切れが悪くなる。
「……」
シズマはその様子をじっと観察していた。やはり…膨張に関する部分だけが明確にロックされすぎている気がする。
「何となくにしては…ちょっと特殊すぎる性癖だと思うんですが…。きっかけは無かったんですか?本当に?」
「…そんなのないよ…もうやめよ?この話さ…頭痛くなってくるんだよね」
駄目か…。どうやら本当に、何も思い出せないらしい。こめかみに手をやり苦悶の表情を浮かべるみるるを見ていると、どうにも突っ込み切れなくなってしまう。
「ごめんなさい。ゆっくりでいいので、何か思い出したら…」
「夢…」
「…え?」
「夢…は、最近…見るかな?女の人がね。膨らんでる、夢…」
夢。姉の話にも出てきた単語。全ては夢から始まったのだ。
「……膨らんでる…って?自分じゃなくて?」
「んー…?自分のも見るけどー。自分だけじゃなくて…なんつーかなー…」
「?」
「夢の中じゃ私、いろんな女の人になって…。その女の人が体膨らませてるの見てるだけ…っていう?でも私は何もできないの…。子供の頃から良くあったんよ。歩いてて女の子とすれ違うしょ?したらみるるアンテナがびびっと働いてにゃ?夢でその女の子の頭の中で一緒に生活するの」
「は、ぁ…?」
こういうのを電波というのだろうか…。とシズマは思った。
「最近の夢は薬飲んだらお腹が膨らんだりさ。空気入れおっぱいに差し込んだりそういうのばっかでさ…!他にもー。まるで野獣のような男に犯されて、熱いものを体に流し込まれるとかさー。どこのエロゲじゃって話。でもこの夢は好きなんだよねー。にへへ!私になってる女の人の、顔がすっげー美人やったから!!」
「……」
キンキンと高い声でまくし立てる彼女に辟易しているシズマを尻目に、みるるは続ける。
「何か逆光で男の顔は覚えてないけどにー…目だけは妙にギラギラでさ。そこに映ったんだわな。私の顔が。私じゃないけど…。超きれいな髪の毛でさ。白金っていうの?珍しいよね?」
白金の髪…。それは、まるで姉の…
「そう言えばこの部屋…」
そう言うとみるるは、寄りかかっていたベッドの上に飛び乗り、仰向けに寝転がる。
「…シズマくん。ちょっと私の上に乗っかりや」
「…はぇ?」
シズマは言う通りにベッドに上がり…みるるの上にまたがった。彼の顔は真っ赤に染まっていたが、彼女にはそれは分からなかっただろう。なぜならー
PCモニタから溢れた光が逆光となり、シズマの顔に影を落としていたからだ。
「おー…こんな感じこんな感じ。何か夢の雰囲気と似てるんだよね。この部屋…」
「……!…みるるさん…その…女の人って…」
シズマはパソコンのフォルダから、一枚の写真を拡大する。
まさか…と思うが…。
「あ…」
それは、みるるに送った自分の写真だ。個人情報に配慮し、姉の顔を塗りつぶす前の…
「そうそう。この人だよ。すげー。そっくり…。げ、まさかシズマちんの彼女?」
「……!!」
シズマは唐突に思い出した。昔好きだったドラマの中での台詞だ。
”偶然、という言葉は3つ以上は重ならない。それ以上重なった偶然は必然となり運命となる”
呆然とするシズマと、それをきょとんと見つめているみるる。正反対の二人の奇妙な関係は…この瞬間から、始まった。
187
:
名無しさん
:2015/04/07(火) 10:13:39 ID:bOpaPzw.
すみません投稿ミスしました…!また3回に分かれてますので、
>>186
はスルーしていただけると…!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
場所は変わって、シズマの部屋…
「先ほどは失礼しました」
「いえいえ、お気になさらず。良い年こいてお姉ちゃんとかコイツ可愛すぎだろとか全然思ってませんですし」
殺してやりたい。とシズマは思ったが表には出さず、入れてきた紅茶をみるるに差し出した。
「うん美味しい…!ていうか部屋暗いな!不健康だぞシズマくん!」
「………その呼び方、止めて下さい」
そう呼んで良いのはシェリーだけだ。
「ん?そーぉ?じゃーえーと…シズマちん!ね、決定!シズマちんイェーイ!」
「ええはい。それでいいですはいはい」
既に疲労困憊であるシズマはぶっきら棒に言い放つと、チェアに深く腰掛ける。
「じゃあ…早速ですみませんが。約束通りお話を…」
「約束…?あーあーアレね。私の話が聞きたいっていう…ストーカーかねシズマちん」
「違います…!詳しく説明は出来ませんが…。僕はあなたが生放送を始めたきっかけ、その少し前の話をして欲しいんです。お礼ならします…だから」
「詳しくも何も、言ったでしょ?みるるはただ膨らみたくて放送始めたの。それ以外よく覚えてない」
「…何でその方法…お腹を膨らませる、って表現に行き着いたんですか?注目されたいなら歌でもダンスでも、それこそただ裸になるだけでもいいじゃないですか」
貴女は顔は良いし胸もでかいし。と胸中で付け加える。
188
:
名無しさん
:2015/04/07(火) 10:16:30 ID:bOpaPzw.
ラストです。内容は
>>186
と同じものです。スレを乱してしまいすみませんでした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「どうして…膨らませたくなったか…って、そんなのただ…なんとなく…だよ…?」
と…みるるに変化が現れた。表情がすぅと消え…言葉の切れが悪くなる。
「……」
シズマはその様子をじっと観察していた。やはり…膨張に関する部分だけが明確にロックされすぎている気がする。
「何となくにしては…ちょっと特殊すぎる性癖だと思うんですが…。きっかけは無かったんですか?本当に?」
「…そんなのないよ…もうやめよ?この話さ…頭痛くなってくるんだよね」
駄目か…。どうやら本当に、何も思い出せないらしい。こめかみに手をやり苦悶の表情を浮かべるみるるを見ていると、どうにも突っ込み切れなくなってしまう。
「ごめんなさい。ゆっくりでいいので、何か思い出したら…」
「夢…」
「…え?」
「夢…は、最近…見るかな?女の人がね。膨らんでる、夢…」
夢。姉の話にも出てきた単語。全ては夢から始まったのだ。
「……膨らんでる…って?自分じゃなくて?」
「んー…?自分のも見るけどー。自分だけじゃなくて…なんつーかなー…」
「?」
「夢の中じゃ私、いろんな女の人になって…。その女の人が体膨らませてるの見てるだけ…っていう?でも私は何もできないの…。子供の頃から良くあったんよ。歩いてて女の子とすれ違うしょ?したらみるるアンテナがびびっと働いてにゃ?夢でその女の子の頭の中で一緒に生活するの」
「は、ぁ…?」
こういうのを電波というのだろうか…。とシズマは思った。
「最近の夢は薬飲んだらお腹が膨らんだりさ。空気入れおっぱいに差し込んだりそういうのばっかでさ…!他にもー。まるで野獣のような男に犯されて、熱いものを体に流し込まれるとかさー。どこのエロゲじゃって話。でもこの夢は好きなんだよねー。にへへ!私になってる女の人の、顔がすっげー美人やったから!!」
「……」
キンキンと高い声でまくし立てる彼女に辟易しているシズマを尻目に、みるるは続ける。
「何か逆光で男の顔は覚えてないけどにー…目だけは妙にギラギラでさ。そこに映ったんだわな。私の顔が。私じゃないけど…。超きれいな髪の毛でさ。白金っていうの?珍しいよね?」
白金の髪…。それは、まるで姉の…
「そう言えばこの部屋…」
そう言うとみるるは、寄りかかっていたベッドの上に飛び乗り、仰向けに寝転がる。
「…シズマくん。ちょっと私の上に乗っかりや」
「…はぇ?」
シズマは言う通りにベッドに上がり…みるるの上にまたがった。彼の顔は真っ赤に染まっていたが、彼女にはそれは分からなかっただろう。なぜならー
PCモニタから溢れた光が逆光となり、シズマの顔に影を落としていたからだ。
「おー…こんな感じこんな感じ。何か夢の雰囲気と似てるんだよね。この部屋…」
「……!…みるるさん…その…女の人って…」
シズマはパソコンのフォルダから、一枚の写真を拡大する。
まさか…と思うが…。
「あ…」
それは、みるるに送った自分の写真だ。個人情報に配慮し、姉の顔を塗りつぶす前の…
「そうそう。この人だよ。すげー。そっくり…。げ、まさかシズマちんの彼女?」
「……!!」
シズマは唐突に思い出した。昔好きだったドラマの中での台詞だ。
”偶然、という言葉は3つ以上は重ならない。それ以上重なった偶然は必然となり運命となる”
呆然とするシズマと、それをきょとんと見つめているみるる。正反対の二人の奇妙な関係は…この瞬間から、始まった。
189
:
名無しさん
:2015/04/12(日) 23:09:34 ID:YtdnHsmE
また遅くなりました……ゆっくり巨大に膨らましていきましょう笑
〜〜〜〜〜〜〜〜
「どうだ……柚帆?」
「うん………だいぶ………慣れてきたかも………」
「触って大丈夫か?」
「うん……大丈夫………」
柚帆自身の起こした急激な膨張から2週間。
彼女はその身体の巨大さに慣れてきたばかりではなく、実際皮膚も柔らかさを取り戻しつつあった。
「お……だいぶ………」
「ね?余裕できたでしょ……?」
そうは言っても大きさが縮んだわけではなく、柚帆には1メートルを悠に超える爆腹と、それさえ全く見えない程度に膨らんだ小型のバランスボール大の乳房が揺れている。
「……久々に立ち上がってみようかな……?」
「無理するなよ?」
「うん………んん………ふぅぅ……ん……きゃ…!」
身体に反動をつけ、起き上がろうとする柚帆。しかし、もちろん巨大な風船に跳ね返されてしまう。
「おい……無理するなって……」
「うぅん……大丈夫………今度こそ……ん………ん………よいしょ……!」
次はゆっくりと自分の身体を動かし、ベッドにようやく腰掛ける事ができた。
「はぁ………うぅん……!やっぱり……大き過ぎるね……ふふ……」
苦笑いする柚帆。あまりに大きく膨らんだ腹で脚を閉じる事もできず、さらにその上に鎮座する超乳のせいで手を後ろに支えなければならない。
「……はぁ……自分の身体じゃないみたい……」
「ほんとに……な………」
「でも………ね………なんかわたし……楽しくなってきちゃった……」
「………は……?」
「なんて…おかしいよね?でもなんか……どこまで膨らめるんだろうな……って……」
柚帆は果たして本気で言っているのだろうか。頭を悩ませる彰。
だが、彼女の笑顔は偽りなく楽しそうに微笑んでいる。
「ねぇ………もしわたしが……あのDVDみたいに大きく膨らんじゃったらどうする?」
「え……えぇ?」
「だから、あの月岡?さんっていう人の作品みたいに………この部屋いっぱいに埋め尽くして動けなくなっちゃったりして………」
「でも……でもあれ、CG………」
「もう………知ってるけど…!」
(やっぱり気にしてるのか………?)
楽しそうに笑う柚帆。だがどうしても彰は先日の件で罪悪感に苛まれてもいた。
そっと柚帆に後ろから寄添う彰。
「彰……?どうしたの……?」
「柚帆………好きだよ……」
「もう…大丈夫だよ…?わたし………ふふふ………」
暖かい抱擁に包まれ、さらに幸せそうに笑う柚帆であった。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「んっまあぁぁあ、本当にいいんですぅ?」
どこかと携帯で電話を交わす田神。
「そんなプライベートパーティーの案内をまたわざわざこちらにまで………なかなか需要がない……ってちょっとおぉお?そんなことないんですよぉ?……ほんとに……もぅ!うちにも好きな子いるんですよ?……月岡のことぉ……」
190
:
名無しさん
:2015/05/15(金) 04:28:31 ID:q2E1XvwQ
「というわけでね?彰ちゃん。来週末は空けといて欲しいのよぉー。ノリでさぁ先方にあなたが行くってもう伝えちゃったのよね」
「………はぁ」
柚帆とのわだかまりが氷解し、しばしの精神的な安らぎを得ていた彰の下へ再び爆弾が投下されようとしていた。
出社してすぐ田神に呼び出された彼は、あまり聞きたくない名前を告げられてしまっている。
「いやぁまさか月岡零のプロダクションから直々にお誘いが来るなんてねぇ!私びっくりしちゃったわよぉもー!あなたも彼女の作品嫌いじゃないみたいだしねぇ!!その感性大事よ大事!!」
「あ、あの。俺まだ行くって…」
「…はえ?何か予定でも入ってた?…仕方ないわね。別にいいわよ私が行くから!あなた繋がりで月岡零と会話できるかも知れないし」
「…待って!大丈夫です!俺が行きます行かせて下さい!」
冗談じゃない。あの月岡零はそう口の軽い女ではないだろうが、性癖に関わることを無意識に話してしまう可能性は十分にある。
田神は妙に勘の鋭いところがある。些細な会話でも絶対気付かれないとは言い切れないのだ。
さすがに職場の人間に知られてしまうのは恥ずかしい。
「あらーほんとぉ!?嬉しいわーありがと!!」
「ええ…いやー、あはは…」
「ついでにしっかり顔売ってきなさいね。仕事貰えるチャンスよ。よろしくね彰ちゃん」
田神はポンポンと彰の肩を叩きながらそう言った。こういう所は案外しっかりしている。
しかし当の彰は
(また月岡零と話さなきゃいけないのか…)
上司の言葉も耳には入らず、胃の奥に痛みを感じ始めていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「よっ。シズマちん相変わらずシケた面構えな!!ウケル!!」
「受けないよ。いいから入って」
所変わってここはシズマの家の玄関である。
先日の出会いからしばらく、みるるはちょくちょく家に遊びに来るようになっていた。
シズマの方も、彼女がゲームに関わっていたと確信した為に更なる情報を仕入れるべく姉の目を盗んで連れ込んでいた。
「シズマちんゲームしてもいい?」
「…いいけど。余計なものには…」
「触るな、でしょ?分かってるっつーの!みみっちい野郎だぜーまったくよぉー」
「ぬぐ…いちいち煽らなきゃ気がすまないのかあんたは!」
「えへ、だってキミの怒った顔かわええんやもん」
「………」
苦手だ。本当に苦手だ。こういうの…。シズマは頭を振って思考を切り替えた。
考えなければならないのは、どうしたらみるるの様に生きたままゲームから脱落できるか、だ。
何かきっかけがあるはずである。いや、既にある程度の察しは付いていたが…。
191
:
名無しさん
:2015/05/15(金) 04:29:14 ID:q2E1XvwQ
すいません、また二つに分けます
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「なあ、みるる…さん」
「呼び捨てでいいんだけどにゃー。で、なにさ」
「お兄さんのこと…聞いても良いかな」
電車に轢かれて亡くなったという兄。聞くところによると彼女には身内と呼べる存在が兄しかいないというのだ。ということは…
シズマは最近発売されたFPSの戦争ゲームをプレイし始めた。画面に夢中になっているのだろう、こちらを見向きもせずに応える。
「別にえーよー」
「…ずっと二人で暮らしてたんだよね」
「うん。お母さんもお父さんもみるるが小さいときに死んじゃったからさ。お兄ちゃんだけが家族だったよ。私よりバカだったけど優しかった」
彼女よりバカとか本当に人間だったのだろうか。ミジンコか何かを勝手に兄と呼んでたんじゃなかろうか…と思ったがさすがに不謹慎なので考えを改める。
やはりゲームにおけるみるるのパートナーとは…。
「…シズマちんも姉ちゃんと二人暮らしなんだっけ?一緒だったんだねー」
「そうだけど、俺は両親が健在だし…みるるさんとは違う。あんたの方が、辛い…だろ」
「……辛くはないよ?多分お兄ちゃんはロクな死に方しないだろーなーって思ってたしな!あはは!死ね死ね!!」
みるるは画面の中を所狭しと動き回る兵を操り、敵部隊を殲滅しまくっていた。意外と腕は良い。
「まーでもさー。やっぱ寂しいよねー。いつもいた人がぱっと消えちゃうとか」
「………」
「私が生放送始めたのも寂しかったからかもね。最近やってないけど」
「そうみたいですね」
「うん。シズマちんと話すようになってからね。あんまり寂しくないんだわ。でへへ。おら死ね!あの世に私にわび続けろぅ!!」
敵部隊を駆逐したみるるはそう言うとシズマの方を向いてにひゃりと笑った。
あえて言うことでも無いが、その表情は普通に可愛いものである。
「…そりゃどーも」
ふい、と目を逸らすシズマ。少しだけ顔が赤かった。
「私さ、シズマちんに構ってもらえて嬉しいよ。だからお礼がしたいんだよね」
「…べつにいいですよ、そんなの…それより何か思い出したこととか…」
「シズマちんってさー。私の生放送にたどり着いたってことは、好きなんでしょ?女の子が膨らむの」
みるるから問われた言葉に、しばし彼はフリーズしてしまった。
「………えあ!?いや、ちが…!勘違いしてるな!?違う、俺は…あの、理由は言えないけど!こういったことを調べる必要があって…!!」
「もー何恥ずかしがってんだよーぅ。分かってる分かってる。みるる様は全てお見通しなのだよ。うん」
何がお見通しだ節穴もいいところじゃねえか!!
「だからね。今日はシズマくんのために、いいものを持ってきたのだ!」
みるるはバッグからあるものを取り出すとシズマに手渡してきた。
「……これは……」
「ん、空気入れ。今日は特別サービス!風船アイドルみるるちゃんを、好きなだけ膨らませる権利をキミに与えよう!!」
余りの展開に言葉も無く。思わずシズマは手渡された空気入れのハンドルを押し込んでしまった。
ぷしゅー………。エアの流れる音だけが、しばし薄暗い部屋の中にこだました…。
192
:
名無しさん
:2015/06/05(金) 21:17:28 ID:ckQ8jfLE
しばし流れる沈黙。整理がつかない。次に何をするべきか。
ここで彼女にリードを奪われたらだめだ。確実にペースに飲み込まれてしまう。
「あ……あっほら、ゲーム………」
「お………おぉ………?ついつい押しちゃったのかな??体は正直だねぇ!いいよ!」
「ち………ちが………」
「シズマちんは恥ずかしがりだなぁ!そういうのも可愛いよ!ほら、ほらほらぁ!」
そう言ってスカートをたくし上げ始める彼女。
「ちょ、おま………みるるさん、何を……!」
「ちょっとー、察し悪いぞ、シズマたん。風船を膨らますには、まず穴に入れなきゃ!」
ネジが飛んでるどころじゃない。シズマは目を覆った。
あぁ、やめてくれ………だいたいそんな卑猥な……見たくもない女性の身体など………
話しかけるな……このまま追い出してしまおうか………いや、そんなことしたら話が……
目を覆ったまま、考えを一気に巡らせるシズマ。
しかし、何も動いている気配はない。彼女からけしかけてくる気配さえも。
そっと指の間からみるるを覗く。
「………シズマたん何期待してるのかなぁ?女の子の大事なところ見れるとでも思ったかなぁ?!」
「そ……そんなじゃ………っ!!!」
彼女の股間からはバッチリ伸びたホース。その先に繋がった空気入れ。
あぁ…………マズい…………
「………恥ずかしくなっちゃったのかな??じゃぁほら、ほら!!貸して!!!それ!!」
「え………ぇ……ちょっ………!!」
「よってらっしゃいみてらっしゃい、みるるの大膨張ショーの始まりだよぉ!」
そう言うと彼女は躊躇することもなくポンプを押し始めた。
それもものすごい勢いで………
193
:
名無しさん
:2015/06/06(土) 22:07:09 ID:iBfrVj0I
シュコシュコシュコシュコ…!
「んふぅー入ってきた入ってきたぁ」
「いや、待って、ま…!」
シズマは慌ててみるるを止めようとする、が
ぐぐ…! と
彼女の着ているシャツのお腹の辺りが、うっすらと盛り上がってくる様子を目の当たりにし思わず固まってしまった。
(ほ、本当に膨らませてるのか!?自分のお腹を…空気入れで!!?)
彼の理性と常識とは余りにかけ離れた行為に、彼は完全にパニックに陥っていた。
心臓が早鐘の様に打ち鳴らされている。
「あれぇ?シズマちん顔真っ赤だよ?生で見るのは初めてだった?うふふ。そらそうか!」
「あ、だ…あ…」
「はえーイイネーイイネー初々しいやねー。そんな反応されたらもっとがんばりたくなっちゃうよぉー」
そう言うみるるの腹は、ぐぐ、むく、と大きさを更に増していた。
元から少しぽっちゃり目だった胴回りが、ふっくらと張ってきている。
「んふー…。何か今日はすごいテンション上がっちゃってるにゃー…。そう言えばこっちも生で膨らむとこ見られるのは初めてだし…あーいくらでも空気食えちゃいそう」
シュコシュコシュコシュコシュコシュコシュコ!
彼女のポンピングは明らかに速度を増していく。
大きさで言えば妊娠3〜4ヶ月だろうか。シャツの上からでもほのかに膨らみがわかる程度。
しかし体内に空気を詰め込んでいると考えると話は変わってくる。
人間の内臓はそんな風に作られていないのだ。みるるの負担を考え、シズマはハッと我に帰る。
「だ…駄目だって!そんな…体に悪いだろ!」
彼にしては少し間の抜けた叫びだったが仕方が無い。この状況を的確に止める言葉なんて彼の辞書には載っていない。
「んなことねーっすよ?これくらい余裕だし。ここからが気持ちいいんだよねへへ」
みるるはにへらと笑いながら空気を貪っていく。それは心底楽しそうな笑顔で…。
(…付き合ってられるか!!)
シズマは強引に空気入れをひったくろうとしてみるるの腕を取った。しかし
ぽゆん…
「あっ…」
「あ…」
勢いよく動かしているみるるの腕から外れた手のひらが、彼女の豊満すぎる胸に触れてしまった。
「…シズマちんのえっちっち」
「あ、あ…ご、ごめん」
慌てて手を引っ込めるシズマ。思わず触れてしまった手のひらと、彼女の胸を交互に見てしまい…
「あ、れ…?」
そして違和感を覚える。ほんの数分前と、何かが違うようなー…
「んお?もしかして気付いた?目ざといすなーシズマちんは」
みるるは悪戯っぽくそう笑う。その表情が張り付いた顔の下。そう、彼女の胸部…胸…乳房が…
「な、んで…胸まで…?」
みるるの胸が、ゆっくりと膨乳していた。
「んふふー。これね?みるるの自慢なんだー。一ヶ月前くらいからね…?何か、興奮しちゃったり?するとねー…
溜まっちゃうんだぁ」
「た、た、溜まる?何が?」
「おっぱいに溜まるものなんて決まってるじゃんさ。ミルクだよん。このまま溜めとけばすっげー大きくなるよ?私のおっぱい!」
その言葉を聞いた瞬間、シズマの脳内に稲妻が走った。
みるるが腹を膨らませ始めた時の衝撃とはまた違う、まったく新しい感情の爆発。
「む、胸が…大きく…?」
「そっすよぉ?むちむちなみるるちゃんのミルクちゃんがねー…むくむくーって、って?あれ?」
「…!!!」
ぱたた… と、飛沫がフローリングの床を叩く軽い音。
シズマの鼻血であった。彼は慌てて鼻を押さえるとティッシュに手を伸ばした。
「…ははぁーん?シズマちん…もしかしてコッチ派?」
にやりとみるるが小憎らしく笑う。
(こっち派…?何がだよ…!!何がだ!ちくしょう!!止まれ!みっともない!!)
彼自身はまだ気付かぬことであったのだが…
シズマの中に刻まれていた「おっぱいフェチ」の種が…芽を出した瞬間であった。
194
:
名無しさん
:2015/08/10(月) 00:53:35 ID:6f3l1WbM
〜〜〜〜〜〜〜
時は同じ頃、ここはシズマ宅から少し歩いたところにある公園。
緑に溢れ、それなりの広さもある。立派な噴水もあり、郊外のこの街では人々の集いの場所でもあった。
子供が走り回り、ママ友が語らう。
ベビーカーを押して散歩する主婦もちらほら。
そして、公園の中央の池に沿って散歩するのは、妊娠中の新米ママである。
下腹部はこんもりと膨らみ、生命の瑞々しさに張りつめている。
パンパンに張りつめた巨乳を抱え、重そうに丸々と膨れ上がった下腹部を抱えながらよたよたと歩いていた。
ふと池の畔にたたずむ、白金の長髪をたたえた美女を見つける。
「あら………すごいお腹ですね……!」
その下腹部を見てつい声をかける彼女。
下腹部だけではない、胸回りもはち切れんばかりに張りつめ、服に皺を作っている。
「うふふ……そうかしら……?」
「すごいですよ……ちょっと触ってもいいですか……?……うわっ、ぱんっぱんですね……!」
「この近くに住んでらっしゃるの?」
「はい、ここから5分くらい歩いたところに……」
彼女がシェリーに話しかけたのも無理はない、彼女の身体を見てさぞかし自分と同じ境遇だろうと期待したからである。
「……私もうすぐ臨月で、結構大変なんですよね…。やっぱりお腹すごい大きくなっちゃって……」
「まぁ、そうなんですか?」
「そうですよぉ……先生には減胎も薦められたんですけど、どうしてもできなくって……」
ニコニコと笑いながら彼女を見つめるシェリー。
「あら。」
「なので、このお腹の中3人も赤ちゃんがいるんですよ?少し早めに産もうとは相談してるんですけど……」
「まだ大きくなるんですか?」
「えぇ……もうお腹周りも100cm超えちゃって…!今にもパーンって弾け飛んじゃいそう……おっぱいもパンパンで……」
「大変なんですね」
柔らかい笑顔を煌めかせながら、自らの巨大な下腹部を愛おしげに撫でるシェリー。
あまりにも大きな身体を抱えた者同士、打ち解けるのも早かった。
会話をしばらく交わすうちに、二人は共に畔を散歩していた。
「……それで、シェリーさん……でしたよね?こんなに大きなお腹……私よりももっともっと大きいですよね…!」
「そうかしら?」
「えぇ…それこそつついたらパンクしちゃいそう……大変じゃないんですか?」
「いいえ。赤ちゃん達にはしっかり大きくなってもらわないと。もっともっと……」
「すごいですね!私毎日『もう膨らまないで!』ってお願いしてるのに、どんどん大きくなっちゃって。……怖くないんですか?」
「ううん、どんどん大きくなって欲しいと思ってるんです。私も減胎なんてとてもできなくて……」
「わかります……。でも…立派なお母さんですね……」
「そんな大したものじゃないですよ…でも、赤ちゃん達のためならいくらでも大きく膨らめるって……私破裂したっていいって思ってるんです……おかしいですかね?」
「私はさすがに破裂は怖いかなぁ……でも出来る限りお腹の中で大きく育てて上げたいと思うので、複雑な気持ちです…」
「そうですか」
シェリーはまた柔らかく微笑む。彼女も愛おしげに自らの腹部を撫でる。
「………シェリーさんはもう臨月ですか?そんなに大きいので、もし先に産まれたらいろいろ体験談教えて欲しいな……って………」
「……………」
「管理入院とかされるんですか……?というか、何人お腹の中にいらっしゃるんですか?」
「……………」
「………シェリーさん?」
彼女よりもふた周りも大きな下腹部を撫でながら、彼女は微笑むばかりであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「ちょ………ちょっ…………!みるるさん!」
同じ頃、みるるの爆乳に、いや、膨れ上がる超乳に押しつぶされながら、もがく男が一人……
「ほれほれぇ!膨乳大サービスだぼぉ!」
「い……息が……苦し……うっぷ……」
195
:
名無しさん
:2015/08/21(金) 04:46:45 ID:???
みるるの胸は既に元よりも二周りは大きくなっていた。
もちろん通常の人間ではあり得ない現象なのだが、シズマには原因の見当は付いていた。
(こ…これは、ゲームに参加していた影響か!?ゲームから脱落しても、体質の変化は起こりえるってことか…!)
彼の脳は顔に押し付けられた胸の感触により大部分が沸騰してしまっていたが、かろうじて残っている冷静な部分で必死に考えていた。
いや、今はそんなことよりも。
「あはは!シズマちんどーすか!私のミルク風船おっぱいのお味は!?遠慮せんとむしゃぶりつくがよい!!」
「むぐぅー!!」
みるるはテンションが上がってしまっているのだろう、シズマのことなどお構い無しに顔面に胸を乗っけてくる。
呼吸が満足に出来ない状況。このままでは死んでしまう。
ぐぐ、ぐぐ…
また少し母乳が溜まったのか、顔にかかる圧力が増した気がする。
(まったく…!ちくしょう!!何で、僕が…こんな!!)
毒づくシズマであった、が…。
(こんな目に合ってるって言うのに!興奮してるんだ!!!)
彼の股間は異常なまでにいきり立っていた。
(胸が膨らむ女の子だぞ!?そんなバケモノみたいな…異常なんだぞ…!くそ、くそ!!)
膨乳に対する自身でも処理しきれない感情に、彼は精神を焦がしていた。
「んー?どうしたシズマちん。反応が無くて私はつまらんぞ。せっかくキミにならあげてもいいと思ったのに」
「……!んぐ、ぷは…はぁ、はぁ…あぁ!?何が?何だってぇ!?何をだ!!」
「私の処女」
「ぶはぁ!!」
あまりにもあっけらかんと言い放った彼女の言葉にシズマは吹き出し、頭を床にしこたま打ちつけた。
「キミも興奮しちゃってるみたいだからさー。いやー勢い任せの膨乳ックスなんて私もちょっとドキドキしちゃうにゃあ。ぐふふ」
「み、み、みるるさん、ねえ!あなたねえ!!そういうのは、もっと、その…好きな人とやれよ!!」
「…私、シズマちんのこと好きだよ?」
「あ…?」
その言葉は、みるるが放ったとは思えないほどに穏やかで、優しい色をしていた。
その表情も、普段の彼女とは違い少しだけ…少しだけ、「普通の女の子」のものであった。
「え、あの…」
シズマは鈍った頭で必死に言葉の意味を理解しようとしている。冗談、だろう、いつもの。うむ、そうだ、そうに決まって…。
「なぁ〜に本気にしてんだよぅ!ばーかばーか!このあほシズマ!!冗談に決まってるっつーの!!」
「いてえ!はたくな!!やめろ!!いい加減にしないと怒るぞ!!」
いきなり頭をひっぱたきまくるみるるの腕をつかみ、シズマは彼女の下から這い出ると真正面から言い放った。
「…怒んなよ。…冗談じゃん」
「冗談で済むか。こっちは窒息で死ぬとこだった」
「…じゃあ冗談じゃない。マジ」
「そういう問題じゃ…」
「マジで好き」
…………………………。
双方に、無限とも思えるような静寂が流れた。
空気が…ぬるい。
「…っていったら、どーする?」
「………知らないよ、そんなの…今日はもういいですから。話はまた改めて後日…また、遊びに来たときに」
シズマがそう言って立ち上がった時だ。
ガチャ…
「!!!!」
玄関のドアの開く、小さな金属音が聞こえた。
196
:
名無しさん
:2015/08/21(金) 04:47:49 ID:yuOLh/Pc
さげちゃったのであげます。すいません
197
:
名無しさん
:2015/08/26(水) 14:52:25 ID:MEIMJqfk
「ま……マズい………」
「……ほぇ?」
「クソッ……みるるさん、早くどこかに……」
「およよよよ?」
シズマと同居している人間と言えば、他にはいない。
「ただいまぁ…」
玄関から響く柔らかい女性の声。
「おい、早く……どこか隠れるとこ……」
「ほよよ?もしかしてシズマちんのお姉ちゃん降臨かな?」
「馬っ鹿おまえ、いいから隠れろ!」
「どうしてかなぁ?ごあいさつごあいさ……ちょ……何を……むぐぉ……!」
シズマはまだ少しずつ膨れつつある超乳みるるを引っぱり、備え付けのワードローブの中に押し込んだ。
「シズマー?いないの?」
廊下から足音の近づいてくる音がする。
もちろん、シズマが外出しているなど有り得ないことなのだが、それでも気配がどうも違うことは感じ取られているようだ。
「シズマちん……狭い……狭いって……!」
「黙ってろって……閉めるからな……」
「おっぱいが……おっぱいが引っかかって……」
「膨れ上がるな…!おい……!」
コンコン……
その時自室のドアを叩く音がする。
「シズマ?いるの?開けるわよ?」
あぁ…来てしまった……
「あぁ!いるよ!今忙しいんだから黙っていてくれ……!」
「そう……ちょっと話があるんだけど……」
「ちょっと待ってくれよ!(くそっ、クソっ………閉まれ………!)」
ガチャ……
ドアを開けるシェリー……そこには……
「ごめんね、忙しいところなのに……今日もいつもと同じプログラミングのお仕事?」
「あぁ……くそ……話しかけないでくれよ……」
寸でのところでみるるをワードローブに押し込めたシズマ。
カタカタと平常を装いパソコンに向かっている。
(…………きっつ………おっぱいきっつ……!……ぉ……あの人……夢の中で見た美人さんにゃ……!あれがお姉ちゃんか……)
しかし厳密にはみるるを押し込みきれておらず、少しだけ扉が開いていた。覆い被さる服の隙間から、少しだけ外の様子が見える。
「なんでこんなに早いんだよ?今日病院だったんだろ?検査は?」
「あのね……そのことなんだけれど………」
(わちゃぁぁ……おっきなお腹……!3人ぐらい入ってそうだにゃ……もうすぐ生まれそう……おっぱいもあたしには敵わないけど、おっきいにゃぁ……)
それから暫しシェリーは、その巨大な腹を愛しげに撫でながら、次の言葉を探っているようだった。
「………なんだよ………」
「………………」
柔らかい沈黙の後、少し虚ろな目で物思いに耽っていたシェリーは、口を開く。
「今日ね……定期検診行ってないの………」
「……え……?」
198
:
名無しさん
:2015/09/01(火) 02:34:22 ID:9iiXKnkw
彼女の言葉に思わず言葉が詰まるシズマ。
「……なん、で、だよ…ダメだろ、それ…。姉さんの身体…どうなってるか、分からないじゃないか!」
「…というか…もう医者には行かないわ…少なくとも、検診にはね。意味が無いもの」
「意味あるだろ!!姉さんの体は…」
「だって」
シェリーは目を伏せ、シズマから視線を逸らす。
「お医者様ったら…『これ以上は危険だから』って…さすがに誤魔化すのも限界なのよね。どんなに言葉を並べたところで、日に日に大きくなるお腹と胸を見せちゃってるわけだから…どうしようもないものね」
「どうしよう、もない…って。でも」
「堕ろせ、っていうの?そんなのゴメンよ。小さくなったらゲームに勝てないし。それより何より…」
彼女はまるで守るかのように、両腕で腹を押さえた。
「…私の体に宿ったこの命…失うことなんて、誰がするものですか」
シェリーは、公園で出会った妊婦のことを思い返していた。
これから母親になるであろう彼女の、柔らかで、慈愛に満ちた微笑み。生まれてくる子供と、母になる自分に対しての不安と喜び…。
その全てが、シェリーにとっては眩しいものであった。多少人とは異なる授かり方をしたが、それでもシェリーにとっては、愛しい人との間に誕生した、れっきとした命である。
「…私は…この子達の母親なの…何人に増えようと、等しく、愛情をもって…守らなければいけない。あなたもそう思うでしょ。シズマ?」
小さく、呟くような言葉だった。
ぞくり、とシズマは背筋が冷たくなった。彼女の言葉が、柔らかい氷の如く彼にまとわり付く。
(…な、何か…言わなきゃ…言わなきゃ、姉さんに、何か…)
しかし彼はそれ以上何も言い返せず、ただ下を向くしかできなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(何か大変なことになってるっぽいなー)
ワードローブに押し込まれたみるるは、姉弟の会話を聞き込んでいた。
(てゆーかほんとに美人な!シズマちんのおねーちん。あんな人が近くにいたら、面食いになっちゃうよなー)
みるるはそこで口をへの字に曲げて心中で呟く。
(…へん、おっぱいの大きさなら勝ってるっつーの)
みるるは口をへの字に曲げて自分の胸を見る。母乳が溜まって膨らんでいるが、形が崩れずにぼぼんと前に張り出している。
張り出している。そう、今もゆっくりと。
半開きだった扉を押しながら。
199
:
名無しさん
:2015/09/14(月) 14:51:25 ID:YjK03ssM
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ね……シズマ………?」
「……………………」
「お姉ちゃん、大丈夫だから……お腹の中の赤ちゃん、ちゃんと立派に育てるから」
「でも…………でも…………」
どうやってもシズマはそれ以上のことを言うことはできなかった。
「………ね……?」
シェリーはシズマの前まで歩を進める。
そしてパンパンに張り詰めたマタニティーウェアをたくし上げ、臨月の3つ子でも十分入る巨腹を晒した。
「ほら、シズマ……」
「姉さん……何を……」
「触ってみて……」
シズマの目の前でまるまると膨れ上がったそれ。
もう臍は伸びきり、表面は完全な球体になっている。
今までシズマが見てきたどんな妊婦より大きな腹。
「そんな……今にも破裂しそうじゃ……!」
「いいから……触って……」
シズマは恐る恐る手を伸ばし、その表面に触れた。
「………ん………!」
「い……痛むのか……姉ちゃん……!」
「ううん……違うの…ちょっと……ね………」
シズマは触れていた指先を離し、今度は手のひらで撫でてみた。その感触を確かめるように。
張り詰めた見た目に反し、意外にも柔らかさを保っている。
それは愚か、よく考えてみればこの大きさにして一筋も妊娠線がない。
「シズマ……わかるでしょ……この中にたくさんの……たっくさんの命があるのよ」
「でも……」
「これからどんどん大きくなって、私たちの赤ちゃんが生まれるの。私の中で成長して……」
「でも……もしも……」
「どんどん、どんどん大きくなって……」
「もしも破裂なんかしたりしたら……!!」
シズマは言葉を選んでいただけに、すぐにその言葉を出してしまったことを後悔した。
しかし、姉の顔を伺うと、予想に反して彼女は真っすぐな目でシズマを見据えていた。
「……絶対に破裂なんかしないの……この子たちが生まれるまで……いくらでも大きく膨らんでみせるから……」
〜〜〜〜〜〜〜〜
(うおぉぉぉぉぉ、狭い………!おっぱいが入りきらないにゃ………!!)
みるるは大きく膨れ上がった超乳を両腕に抱え、クローゼットの中で四苦八苦していた。
(ひ………これ以上締め付けたら………おっぱいパンクしちゃうじゃないか………!!)
200
:
名無しさん
:2015/09/17(木) 01:10:09 ID:6z3ULqbE
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
シェリーはいつもの薄い笑みを浮かべながら、シズマの頬に手を添える。
「ね…シズマは何も心配しなくていいのよ?知ってるでしょ?お姉ちゃんは強いんだから」
「…あ、う…」
「でも、もうしばらくすれば、私は自力で動くのが難しくなってくるかも知れない。そうなったら助けてね」
「……」
「安心なさい…私にだって考えがあるんだから。だから、ね?何も言わないで…」
「ねえ、さ」
シズマが何事か呟こうと口を開…けなかった。
シェリーが頬から滑らせた指でシズマの唇を押さえたのだ。
「………ね?」
姉ちゃんは…いつもこうだ。いつも、いつも。俺を子ども扱いして、優しく、黙らせる。
そして俺は、いつまでもそれに従うしかできない、黙るしか出来ない…。
情けなさに思わず眉間に皺が寄るシズマ。姉に対する意見を封殺するかのように、口内に溜まった唾を飲み込んだ…と、その時。
ぎぃいいい………
彼の背後から、クローゼットのきしむ音が響いた。
途端、血相を変えシズマが振り向く。すっかり忘れていた!!彼女の存在を!!!
「シズマ?」
「わ、分かった!分かった!姉ちゃんの言い分は分かったから!!もう部屋から出てってくれよ、俺は忙しいんだ!!」
「……ええ。じゃあ晩御飯が出来たら…」
「今日はいらない!納期が近いんだ!!話し合いは、また今度!!!」
シズマはシェリーの肩を押し部屋から追い出した。
姉は何か思案するような視線を彼の背後に投げかけていたが、結局何も言わずに退散する。
「はぁ…はぁ…」
彼女が台所に引っ込むのを確認した彼は、大急ぎでクローゼットの扉を開ける。
「ご、ごめん!長いことこんな狭いところ…にぃッ!!?痛って!!」
ぼん!どすん!!
扉を空けた瞬間、巨大なクッションのようなものが彼の顔面に突撃してきた。思わず尻餅をつくシズマ。
それの正体はもちろん…
「し、しずまちん…こんなに私のおっぱい膨らませて…責任とってよぉ…」
3周りは膨張した、みるるの母乳風船バストである。彼女の小さな体躯には不釣合いな程に実った双乳を目の当たりにしたシズマの血が逆流する。
「うお、おお…すっげ…。あ、え?せ、責任?は?」
「当たり前じゃんー!こんなおっぱいじゃ家帰れねーよー!だから…」
みるるは巨大なバストを下から抱えると、彼の前に差し出した。
「搾って…小さくしてよね?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どすん…!
シズマの部屋の方から何か音が聞こえた。台所に立つシェリーは、ちらとそちらに目を配る。
弟はストレスが溜まるとモノにあたる癖がある。ゲームのコントローラーなどが主な被害者だ。いつものことだ。まだまだ子供なのだ。
「………」
いつものこと、である。
しかし、その日に限り、シェリーの目は冷ややかに光っていた…。
201
:
名無しさん
:2015/10/08(木) 22:32:39 ID:u0Ru5tbw
〜〜〜〜〜〜〜〜
それから1週間。
降りしきる雨の中、彰は森に囲まれた屋敷の前で途方に暮れていた。
(あぁ……冗談だろ……また……しかもよりにもよって雨……)
パーティー開始の時間に遅れること20分。屋敷の中は明かりがつき、遠目にも賑やかな雰囲気が伝わってくる。
(まぁ……何も別に……な……ただちょっと変な夢を見ただけだ。気にしない、気にしない!)
月岡零。その名前を聞いただけで思い出されるあの光景。
今でも本当に目の当たりにしたかのように覚えている。まるで感触まで伝わってくるように。
1ミリの猶予もなくなった超絶乳。部屋一杯に膨れ上がり、まるでボールのように張り詰めた超巨大腹。
それが容赦なく、まったくスピードを緩めることなく目の前を満たしてゆく。
ただの夢の中で見た風景。破裂寸前どころか、臨界状態を超えなおも膨張し続けてゆく零……
「……にちは……ら様……彰様ですか?………すみません、参加者のご確認を行っております。」
「……ぁ…はい、そうです。田神が先日はお世話に……」
いつの間にか大扉の前にいた彰。気付くと中からメイド服を来た女性が顔を覗かせていた。
「よかった、お待ちしておりました。どうぞ、お入りになってリストのお名前をご確認ください。お迷いになってしまったかと思ったのですよ。」
扉を開け、彰を誘う先ほどのメイド。年は20代前半ほどだろうか。
「いえ、すみません。ちょっと予想外の天気………で………………え?」
まだあどけなさも残る、可愛らしい笑顔と共に扉を開けたのだが、その下にはとても似つかわしくない身体があった。
「……そ……それは………」
丸々とビーチバレーのように膨れ上がった超乳。そして、膝下まで膨れ上がり、歩行をやや困難にさえしている超爆腹。
「えぇ、もちろん月岡様のパーティーですので、私たち接待する側も大きく膨らませていただいております。」
「ふ……膨らませて……って」
「はい。もちろん、身体に空気入れを繋いで、できるだけ大きく膨らませているんですよ。もうやめてくださいってお願いしても、月岡様がもっともっとって……まだあと2倍は膨らまさないとっておっしゃるんです!」
「に……2倍も………」
まずい。股間が即座に反応し始めたことを感じる彰。
「そうなんです。膨らもうと思えば膨らめるんですけど、流石に動けなくなっちゃうじゃないですか?入り口で転がってたら受付嬢なんてできないし。」
「あ……あの……」
「信じられないですか?触ってみてもいいですよ?まだまだ余裕ですから……」
そう言って、ぐっと身体を前に突き出す彼女。
メイド服に覆われてこそいるが、どこもかしこもパンパンに張り詰めていて、少しの猶予もないように見える。
つい生唾を飲み込む彰。
「ほら……早く触ってくれなきゃ、破裂しちゃうかもしれないですよ…?実は今も少しずつ膨らんでるんです。」
「え……ぇ………?」
言われてみれば次第に盛り上がって、いや、膨れ上がってゆく彼女の身体。
メイド服を引き伸ばしギチギチという音が聞こえ始めているばかりか、よく見ると糸がほつれ始めてさえいる。
「ほら……怖がらないで……」
「は……はぁ………」
言われるがままに手を恐る恐る前に伸ばす彰。少しずつ彼女の身体に近づき……
「……早く………」
ギチ……ギチ…………
202
:
名無しさん
:2015/10/08(木) 22:33:35 ID:u0Ru5tbw
長くなりましたので、二つに分けました。
________
「ちょっと、貴方?」
突然聞こえる血の気のない声。
どこか透き通っているようで、嫌みが籠っているようでもある。
「調子に乗らないで頂戴。彰さんは私のお客様なんですよ。ねぇ?」
振り返るとそこに立っていたのは紛れもないその人。
「……つ……月岡さん………!」
またしても言葉を失う彰。
無理もない、その巨大に膨れ上がった下腹部は今にも床に着こうとし、パンパンに張り詰めた腹の上には直径50cm台の巨大風船が二つ。
「お会いしたかったんですよ〜〜〜彰さ〜ん?今日は彰さんもいらっしゃると思って特別仕様なんです。……さぁ…こちらへいらっしゃって……」
「は……はい………」
「貴方…やはりこういうのお好きなんですね……」
「い……いや……あの……」
「わかりますわ……今日はパーティーですから、ゆっくり楽しんでいかれてくださいね……」
耳元で囁く月岡。すると彼女は手を差し出し、股間に当てがおうとする。
「堪能されてもいいんですよ………」
「ちょ……ちょっと……月岡さん!何を!」
「うふふ……冗談ですよ………さ、会場はこちらです。みなさんにご紹介しますから一緒に行きましょう。」
彼女は彰の腕を取り、廊下を歩き出した。
もう片方の手は、愛おしそうに巨大に膨れ上がった腹を撫でている。
「そうそう、それと貴方。私の貸してるボディスーツなんですから、調子に乗らないように。貴方は受付嬢だけしていればいいんです。」
月岡は振り向くこともなく、受付嬢に向けてそう言い放った。
「……はぁい………」
不満そうに返事をすると、彼女は手首のスイッチを押した。
203
:
名無しさん
:2015/10/10(土) 03:46:55 ID:RcpveNKI
ばしゅうぅ…うううううぅ……
手首のスイッチを押した瞬間、空気の抜ける音がすると同時に丸々と膨らんでいたメイドの体が萎みはじめた。
背後の様子を伺っていた彰は合点のいった風に一息、ついた。
(そりゃそうだ…普通の人間があそこまで膨らむわけ無いよな…当たり前か…)
「彰さん…うちのメイドが失礼いたしました。どうにも悪戯好きでしてねぇ…彼女」
「あ、いえ、そんな、気にしてないですよ」
「うふふ…でしょうねえ。あなたは優しいお人ですから…まあそれ以上にやらしいお人でもありそうですけど。興奮なさってたんでしょう?」
「…!」
「素直な人」
零はからかうように笑うと巨大な腹と胸を押し付けてきた。フェイクと分かってはいても意識せずにはいられない。
そんなやり取りをしている内、二人は豪奢な扉の前へと辿り着く。扉の両脇に控えていた二人のメイドが恭しく一例すると、ノブに手をかけた。
「さ、着きましたわ。ようこそ私のパーティーへ」
「……おお」
開かれた扉から見える光景に、彰は思わず声をあげた。
そこにあったもの…。ガラスケースに入れられた、月岡零がここ数年で手がけた絵画や彫像を始め、所々に設置されたモニターには映像作品が流れ、コンパニオンガールによる膨張ボディスーツの実演などなど…
しかし一際目立つものはそれらのものではなかった。彰の視線は、上。巨大なホールの天井を埋め尽くす、大小さまざま色とりどりの風船であった。
風船には照明が仕込んであるのだろうか、様々な色の、しかし淡く優しい光がホールにいる人々を照らしている。
幻想的な光景だった。
「綺麗、ですね…」
「ふぅん、クリエイターにしては普通の感想ですのね。あ、いや失礼。そんな顔をしないでくださいまし。…まあ私にしては、大衆好みの作品ですからね」
「…この、風船ですか?」
「ええ。良く見ると、全てに五体が付いています。女性を象ったバルーンなのですわ」
(…大衆好み、なのかなあ…それ…どっちかというと悪趣味なような…)
複雑な表情の彰。しかしそんな内面を察したのか、零は続けてこう話す。
「うふふ。これに感情を載せられるのはあなたが『そういう』人だからですよ。普通の人間にとっては、こんなのただのジョークグッズですわ。はいこれ。差し上げますから、膨らますなり割るなりお好きなように」
「………ありがとうございます」
「うふふふふふふひひ」
零から手渡された女性型の風船(よくよく見れば精巧に作ってある。吹き込み口が多数あるのは、それぞれが胸や腹に繋がっているのだろう)に、思わず柚帆の姿を重ねてしまい眉根を寄せる彰。
とはいえ無下にもできず、複雑な表情を更に何ともいえないものしながら、スーツの胸ポケットに丁重にしまい込んだ。
そして彼女は手のひらで顔を隠し、肩を震わせて笑い始める。完全におもちゃにされている。何がそんなに面白いのか。
悠莉といい零といい…最近知り合った女性は、なぜこうも…。
「ごめんなさい、ごめんな…あふふ…はぁーあぁ。どうしてかしらねぇ。彰さんと会うと、ついはしゃいでしまいます。楽しい」
「それはどうも、光栄です」
「うふふ。私ばかり面白がってちゃいけないわ。彰さん、乾杯しましょう!お酒は何がお好み?」
下から覗き込み尋ねる零の目は、どこまでも漆黒に深かった。見透かすようなその目を直視しまいと、目を笑顔の形にして絞る。
「では、シャンパンを…。改めて、お誘いいただきありがとうございました」
「うふ、こちらこそ。…会いたかったですわ、彰さん。……乾杯」
二人は、給仕のメイドから受け取ったグラスを、合わせた。
「約束しますわ、彰さん。今日はあなたにとって、忘れられない日にしてさしあげます」
酒で湿った零の唇から発せられた一言に、不安を拭えない彰であった。
204
:
名無しさん
:2015/10/10(土) 05:47:17 ID:nrc5ZcA6
それからのパーティーは滞りなく進んだ。
やはり同時代で月岡が最も注目を集めるアーティストなだけはある。
彰以外にも同業者がいるばかりか、客層は画商から、玩具業界にまで及んだ。
そんな中彰は周辺の作品にも次第に慣れ、気を奪われる隙もなくなっていった。
「ドリンクはいかがですか?」
「あぁ、一杯頼むよ。彰くんは?」
「えぇ。それでは赤ワインを……」
もちろん、ウェイトレスも例外無く巨大に身体を膨らませている者ばかりだ。給仕に支障がない限り、ではあるが。
(月岡とも言えど、やっぱりただの変人ではないみたいだ……あそこにだって、ほら……)
彰の視線の先には、スレンダーで長身なウェイトレスが一人。
(全員膨らましてたら仕事が成り立たないことだってしっかり計算してる。)
これが彰の独り合点であるのがわかるのは、ほんの一時間先のことになるのだが……
「それでだね、彰くんは……」
仕事の話や、業界の話をするうち、時間は瞬く間に流れていった。
ーーーーーーーー
パーティーの半ばに差し掛かってからは、月岡からのプレゼンテーションの時間も平行して進められた。
月岡の新作の発表はもちろん、デザイン業界、玩具業界、さらには文具業界とのコラボレーション商品まで。
(月岡零……僕の思い違いだったみたいだ。かなり戦略的にやってるし……何よりも先見の明もある。)
実際会場は盛り上がりを見せていた。どの客人たちの目も期待に溢れ、好奇心と驚きを以て彼女は受け入れられていたのである。
「それではプレゼンも最後になりますが………」
(なんだ、無事に終わりそうじゃないか。今日は来てよかった……)
「……本日のメインイベントとして、お越し下さいました皆様に、本日限りの最高傑作をご覧に入れましょう。それでは壇上へ、いらっしゃい。」
その瞬間最も会場は湧いた。ここまでも刺激的な作品を発表してきた零。これ以上の傑作とは何か。
「気になりますね、彰くん。」
「えぇ。さぞかし素晴らしい作品かと………」
(あれ………あの人………)
壇上を見た彰は困惑の色を隠せなかった。
なぜならそこに呼ばれたのは、先ほどのスレンダーなウェイトレスだったからである。
205
:
名無しさん
:2015/10/10(土) 06:16:53 ID:nrc5ZcA6
長くなったので分けさせてください。
ーーーーーーーー
「さて、皆様。私のパーティーにいらっしゃっている方々なら、私の美学は当然おわかりかと思います。この世で生涯女性が最も輝く瞬間。それは、胎内に生命を宿している瞬間です。」
(あの人……さっきのウェイトレスじゃ……)
「女性は生命に満ちている瞬間が最も美しく、これは男性では得られないもの。そして、単胎より双胎、双胎より五胎。五胎より十胎。二十胎、百胎と増えるほど、女性は美しく、輝きに満ちているのです。それに比べてご覧になって、この姿!」
会場はどっと笑いに包まれた。彼女が指し示す先に立っているのは先ほどの彼女だ。
さらに月岡は、大胆にも彼女の衣装の前面を開き、平らで柔らかなその下腹部を曝け出してみせた。
「何よりも私の美学に反した姿!誰よりも見窄らしく、貧相な姿!何者も胎内に宿していない、非生産的な姿!貴方はそう思わないかしら?」
「はい、おっしゃる通りですわ!」
再びどっと笑いに包まれる会場。
「それでは貴方はどうあるべき?」
「胎内に生命を宿し、そして出来る限り多くのそのミルクをたたえる豊満な器を持っているべきです。」
「そう!貴方の下腹部はもっと大きく丸みを帯び、あなたの乳房はもっと豊満でなければならない。それでは最も貴方自身が、いえ、女性が輝いている瞬間とは何?」
「無限の生命をこの身体に宿し、無限のミルクをたたえ、どこまでもどこまでも発育してゆく姿です。」
「そうね。貴方はどこまでも大きく大きく膨れ上がっているべき。でもね、女性は永久にはそれを発育させてゆけないの。最も貴方が美しい瞬間はその極限にあるのもわかるわね?」
「はい。その通りです。」
「この世で一番の美しさ、輝きを得る瞬間、貴方はどうあるべき?」
この辺から次第に客人のざわめきは動揺へと変わっていった。
「…はい。極限まで生命を詰め込み、何ものよりも大きく大きく膨れ上がった下腹部と乳房は、ついにその限界を迎え、弾け飛びます。」
「そう、貴方が一番輝く瞬間。それは貴方がその美しい身体を四散させる瞬間に他ならないの。」
この時までに、会場は完全に静まり返ってしまっていた。
(月岡……いったい何を言って………)
「それではみなさん。これより一夜限りの、最高傑作をご覧にいれますわ!彼女がこの世で最も輝く姿を、ご覧になって!」
そう言った次の瞬間。
何の前触れもなく、目の当たりにしている彼女の下腹部と、双丘が盛り上がり始めた。
「さぁ、貴方が今望むものは何?」
ついに会場にはどよめきが起き始める。
206
:
名無しさん
:2015/10/12(月) 03:30:18 ID:3mivMfII
薄暗い部屋に、幽かに揺らめくランプの光。
何時から私はここにいるのだろうか。唯はそんなことを思いながら、変わらぬ天井を見つめていた。
零によってぶくぶくと膨張させられ続けた乳房と腹は、もはや自分では全体が掴めぬほどの大きさになっている。
姉は無茶な膨張を強いるが、その性癖ゆえだろうか、破裂寸前のところでいつも限界を見極める。
もう一息でも吹き込まれたら爆ぜてしまうであろう状態。張り詰めた体が発する痛みは今までに体験したことの無いものである。
今は創作や仕事の付き合いに集中しなければいけない状態なのでこの部屋に来ることは少なくなっているが…それももうすぐ終わるだろう。
そうすればまた風船の如く膨らまされる日々が始まるのだ。そう考えると気分が重くなる唯であった。
心が壊れかける時もあった。しかしその度に、ふと昔の姉の姿を思い出してしまい、持ちこたえてしまう。
いっそ心が先に破裂してしまえば楽になれるのに。
不幸な双子の片割れに注がれ続けているのは、姉の欲望と狂気と…彼女なりの愛なのだ。
ざわ…ざわ…
と、そこでうっすらと、遠くからざわめきが聞こえてきた。
そう言えば今日はパーティーがあるのだと姉が言っていた。ホールで何か催し物でも始まったのだろうか。
(私には…関係ない…関係ない…)
彼女は静かに目を閉じる。もう今日は眠ってしまおう。そういえば、次の白い夢は何時だろうか。
あの白い部屋の夢を見ているときが、唯の、唯一の、自由な時間であった。
姉の欲するアイテムを注文する、その時までは。
207
:
名無しさん
:2015/10/12(月) 03:31:01 ID:3mivMfII
※二つに分けます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ぶくううううううう…!
彰はその様子から目が離せなくなってしまっていた。
壇上に上がったウェイトレスの彼女が、今まさに衆人監視の中、体を膨れ上がらせているのだ。
「さぁ、貴方が今望むものは何?」
昂ぶりを内包した零の問いに、ウェイトレスは言い放つ。
「この身を破裂させること…です!!」
(!!)
彰はびくりと肩を震わせた。零の目が一瞬、こちらを射すくめたような気がしたのだ。
(あなたがのぞむものはなに?)
(…!!俺は…)
彰はたまらず部屋から出ようと踵を返…そうとしたが、どうしても視線が壇上の二人から逸らせない。
ウェイトレスの腹が、瞬く間に妊婦ほどの大きさへと変貌していく。乳房が、ハンドボールの様な大きさへ膨乳していく。
零がその体を愛おしそうにさすると、ウェイトレスの顔にほのかに紅がさした。
「そう、そうよ。何事にも限界があるからこそ、芸術というものは成立するの。私たちアーティストは、常にその限界に挑戦し、突破しなければならない。否、わが子である作品を、突破させてあげなくてはならない!!!」
零が口元を押さえた。まるで何かを隠すかのように。
「さぁ、膨らみなさい!もっと、もっともっと!!膨れ上がるのです!!」
「はい!」
ウェイトレスはそこでびくんと体を震わせる。すると、膨張の速度が目に見えて上がり始めた。
彰の隣にいた女性が、短い悲鳴を上げて顔を覆った。夫であろうその横の男性も、冷や汗を流しながら口元を押さえている。
(…まだ余裕がある…パンクするには、まだ、足らない…)
その様子を見ながら、彰はどこか冷静に考えていた。本当に破裂しそうなときは、もっと張りが出て、うっすらと血管が浮き出て…
(って!!何考えてんだ俺は!!!バカか!!また、そんな…!!)
考えないようにしていたことが、目の前の出来事によって掘り返されてしまう。だから来たくなかったんだ。だから…。
しかし目を逸らせようにも逸らせられない。CGではない、生の女性が、柚帆や悠莉以外の女性が眼前で膨腹膨乳していくのだ。
しかしそこで、はたと思い出す。この邸に到着して、初めてであったメイド。彼女もまた、体を大きく膨らませていたが、それは…。
(そう、だよなあ。ボディスーツに決まってる、よな。ああ、何焦ってんだ俺は。あれはフェイク。いつも見てるCGと変わらない、まがい物…)
とはいえ質感といい色といい、見える範囲ではまるで本物の人体のようであった。が、そこは変人である月岡のことだ。拘り抜いて作り上げた精巧なスーツなのだろう。
なのだろう…。
なのだろうか…?
そこで彰と零の視線が合う。今度こそ、彼女はしっかりと、こちらを見据えたのだ。
心底楽しそうな笑みの形に、歪む。その目の中で、黒い闇が揺れていた。
「…冗談、だろぉ?」
彰は引きつった笑みで返すほかできなかった。
ぐぐぐっ…! ウェイトレスの膨張音が、少しだけ音を大きくし始めた。
208
:
名無しさん
:2016/05/31(火) 03:34:15 ID:nxR5en1E
すみません、スレ主です。長く止めてしまいすみませんでした…もしまだ繋げてくださっていた方いらっしゃれば、続けていただけますか?
以前の連絡の内容は無視していただいて構いません…!また新たに進められればと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜
ぐぐ……ぐぐぐ………!!
みるみるうちにウェイトレスの服が盛り上がってゆく。しなやかに揺れていた制服が、メイド服が、次第に張り詰め、こんもりと三つの風船を抱えたように、盛り上がってゆく。
「はぁ……あぁ……ん………!!」
「ほら、もっと……もっと大きく…みなさんにその美しく張り詰めた身体を見せつけてあげるのです!」
「は……はい……いぃぃ!零……さまぁ……!!!」
そう言い終わるやいなや、洋服をパンパンに張り詰めさせていた身体が、6つ子を孕んでいたかのような身体が、さらに躍動した。
ぶくうぅぅぅ……!!!グググ……!!
「……いや……嘘……」
思わず彰の隣にいた女性の口から、声がこぼれた。隣にいた男性、夫だろうか。すぐに彼女をなだめる。
「……大丈夫だ……安心しろ……きっと」
(そう……きっと……あれは………)
彰も自分に言い聞かせた。あれは……あれはきっと……
「さぁ!!さぁ!!!その自らの拘束を紐解くのです!!早く!!!ためらわず!!!!」
「はい……はいぃ……零……さまぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ぐぐぐ………ぐぐ………ブチブチブチ………!!!
紅潮する月岡の目の前で、さらに大きく膨れあがった腹を、さらに大きく膨れあがった胸を抱え、悶えるように仰け反るウェイトレス。その身体は10人子供を宿しても、まだ余るかもしれない。
そしてついに彼女の洋服はほつれ始め……
「あぁぁ………いや………あぁぁああぁぁ!!!」
ビビ………ビビビ…………ばつん………!!!
何かが弾け飛ぶような音。一瞬の静寂。
「い………いやぁぁぁぁぁああ!!!」
彰の隣の女性が叫ぶ。それと同時に、あちらこちらで湧き上がるどよめき。悲鳴。
会場内はパニックの様相を呈した。
「う………嘘………だろ…………月岡……」
彰の視線の先では、肌色の巨大な風船が、さらに速度を上げながら膨張を続けていた。
209
:
名無しさん
:2016/05/31(火) 22:49:00 ID:S5xzU4hs
お久しぶりです、繋げていた者です。
お気になさらないで下さい。またよろしくお願いします。
〜〜〜〜〜〜〜〜
その風船は、どうみても人肌のそれであった。
作り物とは思えない、血の通った生体の持つ感覚というのだろうか…生々しい存在感を放っている。
何より壇上の零とメイドの鬼気迫る表情、しぐさ、声。その全てに怨念じみたリアリティがこれでもかと篭っている。
「あなた…わ、私…」
「顔色が悪いな…。ここを出よう。まったく、さすがの悪趣味だよ。月岡零…!」
彰の近くにいた夫婦が連れ添って出口の扉に向かう。が、
「…どいてくれ。家内が気分を悪くして…」
「申し訳ございませんが、お応えできません。まだショーは終わっておりませんので」
扉の前に構えていた一人のメイドに退出を阻まれた。夫である男性の表情が見る間に険しくなる。
「おい!いい加減にしてくれ!!冗談もここまでくると不愉快だ、私たちは帰らせてもら………あ?」
男の怒号は尻すぼみに消えうせた。険しかった表情が、見る間に驚きのものへと変貌していく。
「重ねて申し上げますお客様…。どうぞ、最期までごゆっくり、お楽しみ下さいませ」
ムク…ムク…!
行く手を塞いだメイドの体も膨張を始めたのだ。その腹に押されるように、後ずさりする男。
「お客様?」
「ひぃ!」
「どちらへ行かれるのですか?」
「おい、おい、やめてくれ!!」
と、そこかしこから湧き上がる短い悲鳴。扉前以外の場所でも、メイドの腹が膨れ上がったのだ。
広かった会場が急激に狭くなっていく。プレッシャーに押された来賓たちは、自然とステージの前で固まる形になった。
ギチン…!!
と、何かの軋む音が響く。来賓の目が一斉に壇上へと向かった。
「ホラ、ホラ!!まだよ…まだ、足りないでしょう!?もっと膨らみなさい!もっと!!」
「零、さまぁあああああ!!も、もう、もう…!わたし…ッ!!」
そこには、上半身を覆いつくさんばかりに丸々と膨張しきった三つの球体を抱えるウェイトレスの姿があった。
その大きさは、最早人体と呼べるものではなかった。
先日、破裂寸前にまで膨らんだ悠莉よりも大きくなっている。彰にはそう思えた。動悸が激しくなる。目が離せない。
「やめろ…やめるんだ…月岡…」
「あああああああああああああっ!!…んぎっ!?」
ギチリ…みちり…バツン!
ウェイトレスの腹から、ゴムが千切れるような音が鳴る。
「嗚呼、嗚呼…この音は…もう終わりなの?あなたは、もう…逝かなければならないの?この熱く甘美な時間は、もう終わってしまうのかしら?ねえ、ねえ…」
先ほどまでの激情から一転、優しく…切なく、囁くような声で零が問う。指を噛み、別れを心底悲しむような、愛おしいものと別たれる子供のような泣きそうな顔で。
「れい、様ぁ…だ、だめ…もう…だめぇ…」
「…ええ、ええ、ええ…そうなのね…美しいわ、綺麗だわ。あなた、あなた…何よりも、この世界で何よりも尊いものに成っている…!!」
零は、来賓に向け叫んだ。
「皆様!みなみなさまァ!?御覧下さいませ!!私、月岡零の新作が、今、完成しますわ!!」
「うあ、ああああ、あああああああああ…」
みぢ!ばちっ!ぼん!!
ウェイトレスはついにその場に尻餅を付いてしまった。既に張り詰めすぎて膨らまなくなった巨大風船から、断続的に音が響く。
うっすらと見える青筋に混じり、赤い線が走る。それは正にデッドラインでありーーー
「やめろおおおおおおおおおお!!零!!」
彰は叫んだ。
その叫びに零は満面の笑みで応え…誰にも聞こえないような小声で呟いた。
「貴方に捧げるわ。受け取って下さいね、彰さん」
210
:
名無しさん
:2016/06/01(水) 02:42:01 ID:phkunKD.
ばづ……みぢみぢみぢ……!……みぢぃ………!!!
会場の人々にはそれはあたかも静止画のように、そして永遠の時間のように思われた。
メイドの体に走っていた赤い線は、とうとう体全体を包むように、メロンの網目のように彼女を包み込んだ。
刹那、周囲のメイドたちの身体も、瞬く間にメイド服を弾き飛ばし、膨れあがってゆく。
そして、彼女達の身体も同様に、肌色で、豊かに幾千もの子を宿したかのように、生命力に溢れ、そして満たされ、ついに弾け出そうとする。
肌が軋む音は、壇上から会場全体に広がり、それは肉が裂けようとする恐ろしい轟音となり、そしてもう一度、ギリギリと己の限界を超えようとする、静かな皮膚の叫びへとなっていった。
「つ………月岡…………」
彰は、もう一度彼女の突き刺さるような冷たい微笑を、その目で確かめた。
そして、零の目の前で白目を剥く彼女の、最期の言葉にならない声を微かに、そして耳をつんざくような叫びを聞いた。
「ぁ……ぁ……………あぁ…!!!…………いやぁぁあぁあぁぁああ……………!!!」
彰は現実から目を背けようと、強く目を瞑った。
ギリ…………バッツ…バン………ババボン!!!!
耳をつんざくような、巨大な破裂音が会場中に響き渡る。それも一度ではない。会場中で、いくつもの……
バン……ババン………!!!ババボン!!!
悲鳴と爆発音が次々へとこだまする。破裂したくないという、悲痛な叫びが塊となって。
「月岡………月岡あぁぁぁぁぁ………!!!!あぁぁぁああ!!…………畜生………なんて………あぁ………」
彼は自らが希望をしない場に足を運んでしまった。そして、殺戮が起こるその場に居合わせてしまった。
その現実への絶望で、全身から脱力してゆくことを感じた。
近づいてくる足音が聞こえる……月岡だろうか……そうだ、あいつは自分がいたからきっと……自分のせいで……
「ねぇ、彰さん…?ご覧になりませんの?さぁ…」
狂ってやがる。やっぱりこいつは、狂気が生み出した……
「ねぇ?ほら、怖がらないで目をお開けになって?せっかくの美しいショーが…」
美しいだと……狂気が生み出した殺人犯が……!!
一発だけでも彼女を殴ってやろうかと彰が目を見開いた、その時。
…予期せず会場中に大きな拍手が響き渡った。
「………拍手……?こいつら……何を………。……これは………?」
そして、目の前に広がる赤い……
……そう赤いバラや、金銀の帯、紙吹雪を目にした。
211
:
名無しさん
:2016/06/01(水) 14:49:48 ID:rDrVG58Y
照明を反射し、美しく舞い散るそれを呆けた顔で眺める彰は、そのままゆっくりと周囲を見渡していく。
まず目に入ったのは周囲の来賓たち。
あれだけのパニックが嘘のように、皆朗らかな笑顔でこちらを向き拍手をしている。
気分が悪いといっていた夫婦もだ。すっかり平気な顔でウェイトレスからドリンクを受け取っていた。
そのウェイトレスは腹の部分が裂けていて…中身であるタイツを着込んだ本物の腹部が覗いていた。そこにはバラの花びらが引っかかっている。
「お客様、お飲み物をどうぞ」
「ああ、ありがとう。どうだった?僕の芝居は」
「ええ、素晴らしかったです」
「あなたがあんなに怒れるとは知らなかったわ。これからは気をつけなくちゃ」
「ああ、いつもお前の尻に敷かれているのは、あれも実は演技なんだ。本当は怖い男なんだぞ?」
夫婦間のささいなジョークに、周囲から笑いが零れた。彰は完全に置き去りだった。
壇上からは、例の長身のウェイトレスがやれやれといった風で降りてきていた。こちらの視線に気が付くと、悪戯っぽく笑って軽く会釈する。
(これは…これは…?)
「うふふふふ。いかがでしたか?彰さん」
ゆっくりと近づいてきた声に顔を向ければ、そこに居たのは月岡ーーー
「零ッ!!!」
彼女の姿を確認した瞬間、彰は弾かれたように飛び掛る。月岡零の細い肩を掴み、がくがくと揺さぶった。
「零!零!!おまえ、何のつもりだ!?頭おかしいんじゃねえか!!?」
「おいおい、やめなさい。人は悪いが、これも彼女なりの表現の仕方であって…」
「うるさい!!」
止めに入った来賓に一喝すると、再び零に向かってまくし立てる。
「何なんだよあんた…!なんでこんな、いつからだ!?いつから俺は騙されてたんだ!?」
「…んふ、当然最初の最初からですわ。今回のコレは、あなたの為のパーティーなのですもの」
「は…?」
「他の皆様も快く引き受けてくだすったのよ?みぃーんな、あなたと、私の為に」
ここにいる全員が?嘘だろう?来賓の中には企業の重役レベルの人物もいるのだ。それが、こんな茶番なんかに…。
彰は混乱が極みに達した。この空間は狂っている。早く柚帆のところへ帰りたい。
「乱暴なことをして、すみません。帰ります」
「ダメよ。彰さん。あなたにはこれから…」
「帰ります!もう付き合ってられない。こんな、こんな茶番」
「その茶番でチンコおっ立ててイキやがった変態なのはどこのどなた?」
ぼそりと耳元で呟かれた零の一言に、彰はハッとする。
今まで気づかなかったのだが、既に彼のパンツの中は小水を漏らしたかのように濡れていたのだ。
「…!!」
「うふ、ふふふ、あははあ。私、鼻が良いんですの。すぅぐ分かりましたわ。楽しんでいただけたようで何よりです」
「楽しくなんか、ないです…!」
言い切り、その場を後にしようとするも、しな垂れかかってきた零に阻止される。
「…まだ己の欲望に背いているのですね、可哀想な人…。強制はしないと以前に言いましたが、少しだけ不憫に思えてきましたわ」
「…それは…俺は、それで、十分だからです…だから帰らせて…」
「それはダメ」
「どうしてですか…!もういいでしょ!?あなたは俺をからかいたかった、俺はドッキリに引っかかった、みんな笑顔でめでたしめでたし…それで終わりの筈だ!」
「別にからかってなんか…私はあなたの為に一生懸命…」
結構本気で悲しそうな顔をする零。彰の中に罪悪感が芽生えるが今はそれどころではない。早くこの一日を終わらせたい。
「それに、まだ発表がまだです。貴方を帰すわけにはいきませんの」
発表?何のことだ、まだ何かあるのかーーと思う間もなく、零は大声を張り上げた。
「パーティーにお集まりの皆様!ご協力ありがとうございました!お陰で私の『新しいパートナー』の心に、大きな激情の傷をつける事ができましたわ!!」
「何を言って…」
「こちらの彰さんは、私の芸術にとてもピュアな感銘を受け、私もその純粋な思いに心を貫かれました。魂の波長が合致したのです!こういった相手が見つかること。それは、創作者として至上の幸福であると私は思っています!!」
「零さん!」
「発表します!!私の次回作は…この、彼と、彼の会社との共同制作になりますわ!!どうか皆様、応援よろしくお願いいたします!!!」
その言葉を聞いた瞬間、彰の頭は完全に真っ白になってしまっていた…。
212
:
名無しさん
:2016/06/11(土) 02:53:29 ID:CNJw7EWY
〜〜〜〜〜〜〜〜
「やだあぁぁぁぁぁあ彰ちゃん!!やったじゃないのおぉぉ、あたし、嬉しいわぁぁ!」
パーティーの翌日、会社でその晩の話をさせられる彰。相手はもちろん、あの田神の他にはいない。
「あたしたちのデザイン会社も、もっと深みのあるジャンルを開拓しようとしてたから、大チャンスじゃないのぉお!!よかったわぁぁ…」
「よかったわぁぁ……じゃないですよ。本当に……あんなドッキ……」
ここまで言って彰は思いとどまった。そのドッキリのことを果たして田神に明かしていいものか?
問題はだいたい自分向けのドッキリが、それも一個人向けのドッキリがなぜわざわざ行われたかだ。
話が広がれば、その前日に起こった(少なくとも彼にとっては)大惨事を打ち明けなければいけないだろう。
それももし万が一、彰が余計なことを口にこぼしでもしたら、鼻のいい田神に嗅ぎつけられないとは限らないだろう。
彼のその、口に出し難い趣味を……
しかし。
「あら、どうだったのかしら?」
「………はぁ………?」
この上司は一体何を求めて……そう彰が思ったのも束の間で会った。
「んもおぉぉぉ、そんなとぼけた顔をしないの!!ドッキリの感想は?」
「か……感想……??ド…ドッキリって……」
「ちょっとおぉぉぉしらばっくれないの!それともなかったの?月岡零の邸宅で、全ウェイトレスが大膨張して、大爆発する!!っていう、彰ちゃん向けのイベントでしょ?観たかったわぁあぁぁ!!女の子がパンッパンに膨らんでいくの!!」
「し………知ってた…んですか……?!ってか田神さん、あまり大きい声……」
「あったりまえじゃないのおぉぉ!何のためにあなたを送り込んだと思ってるの?」
「は……はぁ………?」
ここまで言って田神は彰の耳元へと口を寄せる。
「だって、月岡から聞いたわよ……こういうの好きなんでしょ?興奮した……?」
彰の目の前は真っ暗になった。あぁ、こいつも、よりにもよってこいつまで……
〜〜〜〜〜〜〜〜
「………グル……だったのかぁぁ………はぁ……」
それ以降のことは何も覚えていない。気づけば、彼は暗い帰り路を一人で歩いていた。
田神はそっちの気がある分、どうやら人生経験も多いらしい。
彰のことを異端視することもなく、他へ口外しないことも約束してくれた。
ガッハッハ……と盛大に笑う彼の声が、今一度彰の脳裏に蘇る。とはいえ、とはいえだ。
「『一人で抱えないで相談しなさいよ』……なんて言われてもなぁ……参っちゃうよ…」
相談すれば、それは同時に柚帆の破裂を、そして死を意味する。
もちろん、田神はそこまでの意味では言っていないのだが、彰にとっては切実な問題だ。身の回りが膨張に溢れ、感覚が狂ってきている。
そしてこれ以降は、月岡のクライアントとして、共に事業を進めなければならない。
どれだけ会う頻度が上がるかもわからない。その度に彼女は彰のことを挑発してくるだろう。
そして、その度に間違いなく、彼の本能は貪欲に反応してしまうだろう。それを見た彼女は、さらに巨大な身体をひけらかしてくるかもしれない。
ひたすら彼の気は重かった。
「月岡のヤツ……『事業の成功の暁には』って……」
そして脳裏をかすめる、零が別れ際に呟いた一言があった。
「……なんなんだよ…『最高傑作』を見せる……って………」
トボトボと灯りの下を歩く彼だったが、人知れず股間が反応していたことは、彼自身も気づいていない……
〜〜〜〜〜〜〜〜
「全然帰ってこないじゃない……柚帆……」
同じ頃、ベッドで天井を眺めながら、考え事をする彼女がいた。
「なんなのよ……あのモヤシ野郎………」
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