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◆grqZWuW4dcと◆MU.DuagW1U

703江雪 ◆MU.DuagW1U:2021/08/18(水) 22:58:06
(たびたび櫛を通して簡単に結った小夜殿の髪は、その跳ね方さえ何か懐かしいものを思い起こさせて微笑ましいのだが)
(前世からの頑固さで背筋を伸ばしたまま譲らず。とはいえ触れる髪が無くなるのも……惜しい)
つくづく……私も我欲が捨てられない……
(自戒を込めて長く息を吐き窓の外を眺め)
(仕上がりを確かめるような戸惑いを含んだ声に振り返る)
ああ……
(癖のある髪を、しっかりと油を使ってまとめれば、濡れ羽か繻子かのように滑らかな艶が出て)
(この辺りの普通の人間に比べて持て余し気味な引き締まった手足が露わで)
(門前の武神の像のように逞しく)
……
(思わず身を乗り出し、彼の膝の上に両手を重ね置き見上げる)
立派に……なられましたね……
(戦の道具のままであれば叶うはずもない成長した姿)
(自分の中の何かがほろりと涙しそうになるのを指先を目元にやって押さえ)
いえ、妙な事を…申しました……

【なるほど……、では……】
【(つう、と爪を立てた薄皮を向けば滴るような蜜で潤んでいる)】
【はい……】
【(小夜の口元へ差し出せば、手首へと滴り)】

【相変わらずせっかちな……!】
【(急いでついて行く。時を遡った先の人だかりに物怖じしかけるが、考えるより先に連れていかれるまま)】
【あっ、すまない。……わ……!】
【(爆ぜる火が視界を照らす。遅れて届く響きは木の橋を揺さぶっているのかと思うほど体の芯まで響く)】
【(歓声の中、次々と打ちあがる花火が輝き、散ってはまた次の仕掛けが)】
【……】
【(汗を拭うのも忘れて魅入る。そよぐくらいの風が煙と群衆の熱気を柔らかく払う)】
【(大きな花火が上がる時には、欄干に置かれた和泉守の手を無意識にきゅっと握り)】


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