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投下用SS一時置き場4th

85エンドロールは流れない -フリーズキールはキブシの花弁- 3:2015/02/07(土) 23:01:07 ID:G2P.Bfi20

「……。……あー、うん。おーい……フォッグ……? ……私の話は?」
「おう? あぁしっかりアレしてたぜ!」
「いや、だったらだなぁ……」

やれやれ。私は肩を竦めて苦笑した。いや、分かっているのだ。この人にそういう理屈は通じない事くらい、理解している。

「おうおう細けェ事は気にすんな! 罠だとかアレだとか知るか! コソコソこういう事をする奴には、特攻して正面からそのツラぁぶん殴るのが一番良いんだよォ」

それみた事か。私は足元を見ながら思った。
黒く滲んだ砂と白い粉雪の境界で、私はやがて一歩を踏み出す。
諦観か、或いはそうでないのかはまるで分からなかったが、私は雪原に足を乗せた。ぼふり、と粉雪が舞う。
この人について行くと決めたからには、覚悟を決めなくてはならない事だけは明らかだったからだ。
かつての私であれば決して踏み込む事のなかったであろう、罠の上。踏み心地は世辞にも良いとは言えない。
選択肢にすら無かった道の上に、私は今立っているのだ。
私は、項垂れた顔を上げる。太陽を背にした彼がこちらに手を差し伸べていた。

「行こうぜ、坊主が待ってる」

彼はそう言って寒さすらをも笑い飛ばす。私は少しだけつられて笑い、後ろを振り返った。白い道に、私の足跡が、数秒前の軌跡がぽつぽつと残っていた。
黒い道と、白い道。
そう言えば、そんな様な事を道化師は言っていた。どちらを選ぼうが結局は同じなのだ、と。
果たしてそうだろうか。私は思う。勝ち取った勝利も、未来も。失った悲しみも、怒りも、誰のものでもない我々の、我々だけの軌跡だ。
それがどう足掻いても決まっているだなんて、あり得てたまるものか。何が惑星の記憶だ。何が預言だ。
人は、自分の手で草叢を裂き、その足で道を歩ける。未来も、道も、誰にもわかってたまるものか。

「ああ。行こうーーーーーシルエシカの初陣だ」

私の未来は、私が掴み取ってみせる。


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