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投下用SS一時置き場4th
53
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エンドロールは流れない -自由軍、我等の胸にはミアキスを-
:2014/10/01(水) 22:05:08 ID:CSHND38c0
肩を揺らし、馬鹿笑いをしながら、フォッグはそう叫んで私の肩をバンバンと叩く。
加減知らずの馬鹿力に私は肩を脱臼させそうになりながらも、あぁ、と思った。
そうだ。これでこそ、フォッグだ。
どれだけ人間離れして、弱者から離れていようとも、決して図に乗りはしない。
天真爛漫。ありのままで嫌味がないこの姿だからこそ、私は、いや、皆は彼の元に集うのだ。
「はぁ〜〜〜。まったく、毎回悩んでいるこっちが馬鹿らしくなるよ。
やめだ、やめやめ! 下手な考え休むに似たり、ってね」
私は立ち上がり、帽子を被り直して伸びをした。背がびりびりと熱を持った様に痛んだが、彼の傷に比べれば些細なものだ。
「おう、それでいいんだよ。……しかしアレだ。悪ィな、アレが長くなっちまって。
アレしたらぼちぼちアレしに行くぜ。坊主が呼んでるからよ」
フォッグはそう告げると、サックを背負い立ち上がる。
「さっきのエラーラか?」
私はサックを持ちながら訊いた。
「そう、ソレ! セレスティアンはな、アレだからよ……その、エラーラがな。
アレだ……そのよ……アレよ。アレが、その、アレを知らせるアレだからよォ!」
「……ふむ? エラーラを使ってセレスティアンは互いに意思疎通出来る、って件の事か?」
「そう、ソレ!」
がはは、とフォッグは高らかに笑った。
私はサックの中身をまさぐる。
書斎の必要性が高いであろう本――私にとってレオノア百科全書は物理的な意味でも良い武器になりそうだった――や、
館にあった日用雑貨、調味料、衣類、救急箱、食器……その他諸々が詰まっていた。
どうやらサックの中はバテンカイトスの様な構造になっているらしく、
容量は無限、重量は一定、欲しいものは探れば必ず手に触れる、という仕組みになっていたのだ。
その中から、晶霊技師ガレノス著の “輝眼が持つ可能性と謎”を探り当て、私は取り出した。
厚手のヌメ革のしっかりとした表紙と日に焼けた羊皮紙を捲り、エラーラフォンの根底理論の頁を見る。
「エラーラ、か……首輪の感知と似た様なシステムかもしれないな。
もしかしたら、そこにこの悪趣味な首輪を解除する鍵があるかもしれん。
この筆者が言うように、インフェリアで言うドカターク効果の様なものが作用しているのか、或いは……」
「おう、考えるのもいいが坊主がピンチだ。行くぜ」
不意にフォッグが私から本を取り上げ、私のサックに無理やり押し込む。私は肩を竦め、やれやれと溜息を吐いた。
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