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投下用SS一時置き場4th

19間奏-終章/歯車の廻る館- 5:2014/05/16(金) 00:31:04 ID:5phnltpY0
だから、それを奪う奴は認めねェ。平然とそう呟く彼に、私はそれ以上何も言えなかった。
嗚呼、理屈ではない。この精神を支えるのは、泥臭い不屈の意思なのだ。私には到底無い、図々しいくらいの自我なのだ。
やはり、この人は強い。運命など、どうでもいいと思わせるだけの力がある。言葉にも、態度にも。
けれど、フォッグ。けれどね、私には無理なんだ。私はそれに抗えるほど強くない。
こればかりは、どうしようもないんだ。私は貴方にはなれない。
……だから、貴方を信じて想いを託すよ。私は自分をこれ以上信じる事が出来ないんだ。
フォッグ。どうか、どうか貴方だけはずっとそのままでいてくれ。運命なんか笑って砕いてくれ。前に進んでくれ。
それだけなんだ。それ以上は何も望まない。卑怯な私の、たった一つの願いだ。どうか聞き入れてはくれないだろうか。
貴方はーーーーーーーーー最後の希望だ。

「……そうだな。悪かった。少し、風に当たってくるよ」

私は自分のそんな女々しい想いを胸の奥にそっとしまうと、そう言って立ち上がる。
全く私という人間は毎回毎回、進歩が少しもない。
何かあるたび躓いて、一歩進んで二歩下がる。その度、フォッグの言葉に救われて、そして落ち込む。その繰り返しだ。
やれやれ。どうしようもないな、全く。言いたいことも碌に言えず、迷ってばかりだ。これでは餓鬼の頃とちっとも変わらない。
私は半ば自分に呆れながら踵を返して、溜息を吐いた。そしてドアノブに手をかけてーーー



【8:59ーーーーーーーーーselect,summonerーーーーーー】



ーーー私は、その部屋を出た。


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