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投下用SS一時置き場4th

132エンドロールは流れない -Meaning of Birth- 3:2016/11/30(水) 01:29:26 ID:tlYwzgK20


正直言って、状況は最悪だ―――。
冷静を装いつつも、シンクは内心激しく憤っていた。
悉く事態は悪化していき、この時の為に仕立て上げた駒を
失った直後の最悪なタイミングでの再会。ロイドだけならば兎も角、
あのリアラまでいたのではどう考えても自分の行為がバレたと思わねばなるまい。

「…意外ね。もう少し偽りの仮面を被り続けるか、或いはもう少し動揺するかと思ったけど」
「俺は悪くねえ!…って慌てふためく姿でもお望みだったかな?それは申し訳ないことしたね」

銀髪の女の挑発にも似た言葉を軽く流しつつ、シンクは欠片も申し訳無さを込めずに返す。
この女は後ろにいるガキと男の術師同様見た事の無い奴ではあったが、
自分を見る目を見るだけで、大よその事態は分かる。勿論リアラとディムロスからの
証言もあったのは間違いないだろうが―――。

「大方死霊使いか赤髪辺りから僕の話を聞いていたんだろ?ならこれ以上仮面を被り続ける必要は無いね」

赤髪って、まさかアッシュさん?とガキが言ったのを男の術師が咎めているが
今は置いておく。とにかく僕が言ったように、恐らく元の世界での正体がバレているのが
此処ではかなり問題だ。事実、僕にこれ以上余計な策を弄されまいとしてか、
今すぐにでも戦いとなりそうな一触触発の雰囲気。確かに連戦続きの状況下で
この人数と戦えば間違い無く此方が敗北となるだろう。勿論ロイドが嘗て言った通りならば
殺される事はないだろうが、戦闘不能にはさせられてしまうだろうし、
下手するとロイドの意思を無視して周りが僕を殺す可能性もあるだろう。
何れにせよここまで振り回された挙句そんな結末を迎えるのは御免だ。

(さて、どうしたものかな)

万一即座に戦闘となったとしても良いように、一見には無抵抗のように、
だけどどんな攻撃にも対応出来るような態勢を取りつつ、一同を見渡す。
無論この間の思考は、嘗てノーマを殺害した時と同じ――否、それ以上の速度で状況打破の術を模索していた。
ロイドとリアラ、ディムロスに、ガキ1人と術師2人、それとあの剣…ディムロスやアトワイト同様に
意思を持つ剣――ソーディアンか?仮にそうだと仮定すると、戦力的にもかなり面倒だ。
戦いが始まる前に、何としても戦力を削らねばならない。その為にまず最初に穿つ楔は―――。
思考の歯車が、シンクの中で1つの解を導き出す。策戦―――開始。


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