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投下用SS一時置き場4th

108エンドロールは流れない -希望が災厄になる瞬間-1:2016/09/26(月) 03:40:01 ID:L07qfzMo0
<始まり>の終焉から如何ほどの時間が経過したのか―――。
たった数秒の話かもしれないし、数分程度かもしれない。
あるいはもう何時間も経過したかもしれない。そんな当たり前の時間の感覚すら
麻痺する程に、この地は空から降り注ぐ絶望に犯され、死が充満しつつあった。

(―――やれやれ、厄介事もここまで来ると意図した悪意にしか感じないね)

そんな絶望の地の真っ只中、烈風――シンクは
時折身体を掠める瓦礫を拳で払い、または回避しながら嘆息した。
視界の先には、剣士と英雄崩れ、佳人の3名―――。
先刻剣士――クロエ=ヴァレンスを止められなかったばかりか、予想外の反撃に遭い、
已む無くその場を離れたシンクであったが、無論クロエを見捨てるつもりはまだ無い。
共に戦う事も選択肢に無かった訳では無かったが、瓦礫が降り注ぐ中では
リスクも大きいし、この状況下で本性を晒すのもまだ早いとの判断で、
瓦礫が然程酷く無い場所で、且つ3人の意識の範囲外の位置まで退避し、
戦況を観察していたのだ。手助けするにせよ、先ずは状況確認してから――。
クロエと佳人――イレーヌ=レンブラントとの戦いを観察しつつ
周囲を警戒していたが、今のところ他に接近する者はいない。
その点は良かったが、今現在、事態は明らかに思わしく無い。
先刻までクロエの優勢で勝敗の帰趨は明らかだった。
だが戦況は瞬時に一転した。既に満身創痍、半死半生の状態で、
最早相手にならない筈――クロエは勿論、シンクも同じ認識だった。
にもかかわらず、英雄崩れ――スタン=エルロンは突如覚醒した。
一体何が起きたのか、シンクには理解出来なかったが、
理解出来ずとも確実なことがあった。

――このままではクロエは死ぬ

歴戦の兵であるシンクならではの結論である。
狂気に染まってる訳でも、恐ろしい形相をしている訳でも無い。
体力や傷が回復した様子も、漲る魔力も、迸るような闘気も一切感じない――にもかかわらず、
相対する者に“死”を予感させる“何か”をシンクはスタンから感じ取っていた。

(――あの時危険を冒してでも自分も戦いに加わるべきだったか?)

そうすれば、覚醒前に殺す事が出来たかもしれない。そう思い舌打ちしたが
時既に遅し。まだ相手が1人だけなら兎も角、2人相手では
仮に今自分が加勢したとしても勝率は3割以下――正直分が悪い。
まだ利用価値が充分ある以上、クロエを此処で死なせる訳にはいかないが、
闇雲に突撃するのは愚の骨頂。慎重に事を起こす必要がある。
シンクは気配を周囲に溶け込ませると、そっと行動を開始した。


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