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ただ話すだけの夢のようです

1ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 23:58:53 ID:VFaqp9XU
ラノベ祭り参加作品

2ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:01:59 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「なあ」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「ここはどこなんだ」

('A`)「場所はわからない。でも、夢の中だと思う」

川 ゚ -゚)「夢なのか?」

('A`)「俺は眠っていたはずだから」

川 ゚ -゚)「そんなこと、わかるのか?」

('A`)「わかるさ。アラームをセットして、布団を被ったんだ。俺、布団を頭まで被ればすぐに寝られるんだ」

川 ゚ -゚)「苦しそうな寝方をする」

('A`)「子どもの頃からそうしてきたんだ。今更変えられやしない」

3ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:03:28 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「子ども……そうか。君は大人だったのか」

('A`)「まだ未成年だけど、少なくとも君よりは大人だ」

川 ゚ -゚)「む、どうして私が子どもだとわかる」

('A`)「背丈が低いから」

川 ゚ -゚)「それくらいで子ども扱いされるのは困る。世の中背の低い大人だっているぞ」

('A`)「じゃあ、大人?」

川 ゚ -゚)「いや、違う」

('A`)「それなら問題ないじゃないか」

川 ゚ -゚)「結果だけを見ればそうだが、過程に納得がいかないんだ」

4ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:04:49 ID:MwXFfWDE
('A`)「なるほど。子どもにしては理屈っぽいな」

川 ゚ -゚)「それも偏見だな。理屈っぽくない大人もいるはずだ」

('A`)「何を言っているんだ。もう大人じゃないと明かしたじゃないか」

川#゚ -゚)「違う違う、そうじゃない。決めつけが気に入らないと言っているんだ」

('A`)「わかった、わかった。泣くな」

川#゚ -゚)「泣いてない」

('A`)「顔真っ赤だぞ」

川#゚ -゚)「…………」

5ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:06:24 ID:MwXFfWDE
('A`)「ほら、座ろう」

川 ゚ -゚)「……地面に?」

('A`)「仕方ないだろう。床なんてないんだから。それに、座った方が話しやすいだろう」

川 ゚ -゚)「どういう意味だ」

('A`)「見上げっぱなしでなくてよくなるから、首が疲れない」

川 ゚ -゚)「背丈について女性にとやかく言うのは良くないんじゃないか」

('A`)「とやかく言うように質問したのは君だろう」

川 ゚ -゚)「……それもそうか」

6ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:08:06 ID:MwXFfWDE






川 ゚ -゚)「大人はひらりとしている」

('A`)「その心は」

川 ゚ -゚)「私が追求してもまともに答えてくれない」

('A`)「ああ、ほかの人にも質問攻めしているのか」

川 ゚ -゚)「いけないことか?」

('A`)「いけなくはない。子ど……いや、俺ももっと若い頃はそうだった」

川 ゚ -゚)「どうして変わったんだ?」

('A`)「それは……きっと妥協するからだな。これくらいわかればいいやって、質問するのをやめてしまう」

川 ゚ -゚)「……まだよくわからない」

7ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:09:52 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「不満は残らないのか? 周りの間違いや、不条理に」

('A`)「それはあるよ。でも気にしてなんかいられない。だから途中で打ち切ってうやむやにする」

川 ゚ -゚)「それが、妥協?」

('A`)「そう」

川 ゚ -゚)「妥協はしないといけないのか?」

('A`)「そう。でないと、とても生きていられない。世の中間違いや不条理で溢れているからだ」

川 ゚ -゚)「……知らなかった」

('A`)「知らなくていいんだよ。まだ。ゆっくり知っていくものなのさ」

8ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:11:41 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「君は他の大人とは違うな」

('A`)「どうして?」

川 ゚ -゚)「私の話を聞いてくれる」

('A`)「君の周りの人はそんなに冷たいのかい?」

川 ゚ -゚)「聞いている暇がないらしい」

('A`)「そうか。それじゃあ寂しかったろう」

川 ゚ -゚)「いや、そんなに重くは考えていないよ。それは変えることのできないものだからね、考えても無駄だ」

('A`)「なんだ。君も妥協しているんじゃないか」

川*゚ -゚)「え、本当か!? 私は大人なのか?」

('A`)「そこまでは言っていない」

9ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:13:41 ID:MwXFfWDE
('A`)「君は大人になりたいんだな」

川 ゚ -゚)「ならなくちゃいけないと思っているんだ。パパもママもそれを望んでいる」

('A`)「忙しいパパとママが?」

川 ゚ -゚)「私に構っていられないのだから、構う必要がないようにしっかりしなければならない」

('A`)「なんだか可哀想だ」

川 ゚ -゚)「そうか? 私は悲しくないぞ」

('A`)「そのようだけど……」

川#゚ -゚)「悲しんでいるのは君の方だな。私を見て悲しいと思っている。一方的にな」

('A`)「……イライラしている?」

川#゚ -゚)「なぜわかる」

('A`)「顔が赤いから」

10ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:15:56 ID:MwXFfWDE
川#゚ -゚)「またか。もともと赤く見えているんじゃないのか?」

('A`)「そんなことはない。何もしなければ君の肌は真っ白だ」

川*゚ -゚)「へえ、よく観察していたんだな。そんなに気に入ったのか?」

('A`)「いや、不健康だと思った」

川 ゚ -゚)「……君はひねくれているな」

('A`)「そうか?」

川 ゚ -゚)「素直に女性は褒めるべきだ。パパはいつもそう言ってる」

('A`)「褒めるのは苦手なんだよ」

川 ゚ -゚)「嫌な奴だ」

('A`)「そうかもしれない」

11ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:19:06 ID:MwXFfWDE









ミ,,゚Д゚彡「にゃー」

川*゚ -゚)「猫!」

('A`)「うん」

川*゚ -゚)「捕まえていいか?」

('A`)「ああ」

川*゚ -゚)「よし、こうだ」

('A`)「にゃー」

川*゚ -゚)「ちょろいもんだ」

('A`)「人に慣れているんだな」

12ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:21:12 ID:MwXFfWDE
ミ,,゚Д゚彡「にゃー」

川 ゚ -゚)「よしよしほら、君も撫でろ」

('A`)「おう……なんでこんなとこにいたんだろうな」

川 ゚ -゚)「ここは君と私の夢なのだろう? どっちかの夢から出てきたのかな」

('A`)「でも、俺はこの猫を知らない。君は?」

川 ゚ -゚)「私も知らない。首輪とかもないな」

('A`)「知らない猫が夢に出てくるのか」

川 ゚ -゚)「想像上の産物なのかもしれない」

ミ,,゚Д゚彡「にゃー?」

13ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:25:04 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「広い大地と、光る星々」

('A`)「そして空にはでっかい月」

川 ゚ -゚)「それを見上げ立ち尽くす私と」

('A`)「猫を抱えて座る俺」


http://livedoor.blogimg.jp/colored_pencil/imgs/c/6/c6295401.png


川 ゚ -゚)「……夢か」

('A`)「静かな夢だな」

川 ゚ -゚)「地味すぎないか?」

('A`)「派手な方がよかったのか?」

14ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:28:44 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「夢は支離滅裂であった方が面白いだろうと思ってな」

('A`)「残念ながら、夢っていうのは記憶を素材に出来ているらしい」

川; ゚ -゚)「それはつまり、夢が殺風景なのは私のせい?」

('A`)「そうだと思うならそうだ」

川; ゚ -゚)「ぐ……しかし君こそ同じ夢を見ているんだろう? 君こそ地味な人生だ」

('A`)「まあな」

川 ゚ -゚)「そのうえ人を小ばかにしたくて仕方のないといういやらしい奴だ」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「目も死んでいる」

ミ,,゚Д゚彡「にゃー」

15ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:31:26 ID:MwXFfWDE
('A`)「そうだなー」

川 ゚ -゚)「……またか」

('A`)「ん?」

川 ゚ -゚)「またひらりとするのか。ほかの大人と同じように」

('A`)「……そうなるな」

川 ゚ -゚)「いや、違う。君はしない人だった」

('A`)「今はしているよ」

川 ゚ -゚)「させるもんか」

('A`)?「なんだって」

16ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:33:31 ID:MwXFfWDE
川 ゚ -゚)「君がひらりとしたがるならば、私がきっと止めてやる」

('A`)「どうしてそんなこと言い出すんだ」

川 ゚ -゚)「散々小ばかにされたから、復讐したくなったんだ」

('A`)「そんなに根に持つ奴だったのか」

川 ゚ -゚)「私は物覚えがいいんだ」

('A`)「君こそろくでもない子どもだ」

川 ゚ -゚)「あ、また子ども扱いしたな」

('A`)「事実だろう」

川#゚ -゚)「むう」

17ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:35:44 ID:MwXFfWDE
('A`)「ん? 空が白んできた」

川 ゚ -゚)「夜が明けるのか?」

('A`)「というよりも、夢が終わるんじゃないだろうか」

川 ゚ -゚)「なんだ、逃げる気か」

('A`)「仕方ないだろう。目覚めてしまうんだから」

川 ゚ -゚)「いつか必ず君の鼻を明かしてやるから覚えていろよ。私が大人になるまでな」

('A`)「わかったから早く、起きな。子どもは学校に行ってなさい」

川; ゚ -゚)「え? あ、ああ」

('A`)そ「……なあ、お前」

川; ゚ -゚)「なんだ?」

('A`)「もしかして不登校なのか?」

川; ゚ -゚)「なんでわかr――

18ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:38:08 ID:MwXFfWDE
瞼を開くと、薄暗い部屋が滲んで見えた。

変な夢を見た。
生意気な子どもと言い合っている夢だ。
誰ともわからぬ相手だった。

起きてから、人と話すのが久しぶりだと気づいた。
よくあんなに流暢に話せたものだと感心したくなる。

カーテンの向こう側で、陽光が溢れている。
古びた布だ。もう何年も洗っていない。
そんな気力を持つことさえなかったからだ。

しかし、今の俺の気分は若干上向きだった。
とても珍しいことだ。

光があまりに暖かかったからだろうか。
人と話したからだろうか。

19ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:39:34 ID:MwXFfWDE
カーテンを開くと、光はさらに強烈になった。
すぐに目を閉じて瞳を守る。

数回瞬いて、見えたのは、塀だ。
うちを取り囲む石の塀。

見知った光景ではあったが、俺は驚いた。驚く原因があった。
あの夢で見た猫がいたのである。

ミ,,゚Д゚彡「にゃー」

ひとつ鳴いて、猫はその首を仰け反らせた。
傷だらけの首輪が光を反射する。

リードは完全に途切れていた。
猫は何にも縛られていない。

20ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:43:38 ID:MwXFfWDE
こちらを一瞥して、猫はさっさと塀の上を駆けていった。
自らの自由を全身で表わしていた。

飼い猫の気持ちを考えたことなど今までなかった。
常に家にいるわけだから、野生に比べれば動かない。
その意味で、案外俺と同じなのか。


俺は外から内へと目を移した。
すっかり荒れ果てた俺の部屋。
もう何年も片づけていない。

('A`)「これは、まずいな」

俺は頬をひくつかせた。

21ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 00:49:16 ID:MwXFfWDE
あの子がこれを見たら失望するだろう。
お前もまだまだ子どもだなっと。
大人に憧れるあの子に、こんなものは見せられない。

あの子は本当に俺と会うのか。
わからないけど、嘘はつかなそうだ。
彼女なら、やりかねない。

まず片付けから始めることにした。
できることからこつこつと。

きっとどこか、遠い街にいるあの子もまた
ゆっくり大人になるのだろう。



〜おわり〜

22 ◆MgfCBKfMmo:2014/03/24(月) 00:50:23 ID:MwXFfWDE
おわりです。

さようなら。

23ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 01:10:44 ID:???
乙 クーが本当にいるならロマンチックな話だな。結構好き。

24ブーン系の名無しさん:2014/03/24(月) 01:37:13 ID:???
おつ


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