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ξ゚⊿゚)ξ街角絵本と奇譚のようです
4
:
ブーン系の名無しさん
:2014/03/23(日) 23:07:02 ID:zwh.XI/U
`
少し横に長く、独特な、絵本のにおいのする表紙をなでる。
題名の通りそれ自体がトランクに見えるデザインだ。
少し古ぼけた茶色で、ごつごつとした皮の質感がそれらしい。
適当なページを開いてみれば、白くもちもちとした生きものがみっちりと詰め込まれた挿絵が目に入った。
早月はもしここに自分が詰められたら、と空想する。
【
http://livedoor.blogimg.jp/colored_pencil/imgs/8/9/896bd80e.jpg
】
狭いだろうから、小さな彼らに嫌な顔を向けられるのはまず間違いない。
そもそも彼らはどうしてトランクケースの中にいるのだろう。
いや、運ばれているんだったかしら。
本を読んでいるときにその場面を映像のように空想するのは、早月が幼いころからの癖だった。
いつからかそこに自分を放り投げるようになってからはただの悪癖と化してしまったが、
同時に文字の羅列が映像となって頭に入ってくるのがどんなに幸せなことか気付けたのだから世話が無い。
それにしても、と早月は首をかしげる。
さっき、小説を読んでいる間はまるで気付かなかったわ。
どうしてこんなところにあるのかしら。
気付かないのは当然という話だった。
早月は手元の活字を、ララードの世界観を追いかけるのに没頭していたし、そもそもこの絵本はカーテンの裏にあったのだ。
けれど、そこから先は謎だった。
ξ゚⊿゚)ξ「誰かが置きっぱなしにでもしたのかしら」
('A`)「どうだろうな。それ、いつもそこにあるし」
ξ;゚⊿゚)ξ「……っ」
ずい、と横から覗いてきた人影に驚いて、早月は言葉を詰まらせた。
青年だ。
早月よりいくらか年上だろう。
両目の下の深い隈と、への字に曲がった口。
加えて猫背ぎみの姿勢から、幸薄そうな人だ、と失礼に思いつつも早月はそんな印象を抱いた。
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