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銀の彼女はバイクを駆るようです

2ブーン系の名無しさん:2014/03/14(金) 21:15:07 ID:eeR7MseY
僕が彼女と出会ったのは、海のそばを通る国道だった。
潮の香りなんて僕は慣れ切っていたというのに、どうしてかそのときのつんと鼻をつく感覚はいまだに強く焼き付いている。

http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1494.jpg

僕より10歳ほど年上だった。
彼女の髪色は銀色が塗されていて、田舎であることを差し引いてもかなり風変わりな彩色だった。
少なくとも僕はそのような嘘っぽい輝きの毛髪を見たことなんてそれまでもそれからも一度としてない。

ウール素材の暗い紺色をしたフード付きコートと、ギラギラした真紅のタートルネックシャツは、
形式的に言えば色合いが喧嘩しあっているようにも思えたけれど、
その場の雰囲気から浮いている彼女に纏われているからこそ、絶妙の様相を呈しているように印象付けられた。

服装からして冬なのだろうけど、この回想ではそのことはあまり重要ではない。

彼女の横に鎮座しているバイクは、シルバーと黒で無骨に塗装されており、
大きさも相まって、女性らしさを微塵も感じさせないフォルムだった。
ヤマハのFZ1 Fazerという車種名は、後に記憶を頼りに調べて知ったことだ。
いずれにしろ気軽に買える代物じゃない。

彼女は僕の方は見ず、煙草を加えてやや顎を上向かせ、何もないはずの空を見上げていた。
強いて言うならこれからの悪天候を予感させる灰色の雲が広がっていたくらいだ。
彼女が右手につまんでいた煙草からも同系色の煙が棚引いており、中空で雲の色に溶けてしまっていた。


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